1月の7日間(ウクライナ戦争)

1月21日

キエフ、電力

キエフ受難。もとの人口が300万。うち100万余りに電気と暖房が来ていない。寒波が居座っている。日中マイナス5度、夜間マイナス10度。これが今週いっぱい続く。УП

クリチコ市長によれば、1月中に首都市民60万人が市外へ退避したと見られる。夜間の市内の携帯台数が60万台ほど減ったことから。УП

今次の大停電の因みとなった露の大規模攻撃は、ミサイル34発、ドローン339機、計373飛翔体によるもの。うち342がウ防空部によって無害化(撃墜等)された。つまり、9割は防いでいる。残り1割でこの被害である。
ゼレンスキーによれば、今次の防衛には少なく見積もって8000万ユーロ分の防空兵器(ミサイル等)が使用された。防空にはカネがかかる。そして防空の手段は枯渇していく。無人機対策はなんとか自前で可能だがミサイルとりわけ弾道弾は米システム「Patriot」でしか防げない。Patriot用のミサイルが払底している。露は弾道弾の使用を著増している。УП

ウ経済環境農業相、ダヴォス(世界経済フォーラム)で語らく:露は昨年10月以降ウの発電力(火力・水力)8.5GW(ギガワット)分を損傷させた。この多くがのち復旧され、さらにのちまた破壊された。正直、直すより守るほうが安上がりだ。だが守る力(防空装備)が十分に与えられなかった。いま、電力不足を補うため、欧州より1.9GWを輸入している(記録的な数字)。また、ウの津々浦々で、総計1GWの発電機が稼働し、経済と生活を支えている。が、まだまだ足りない。УП

ブダーノフとフョーロドフ

ブダーノフ大統領府長官ダヴォスで語らく、和平交渉は前進している。明日すぐ平和にとは言わない、何しろ戦争の相手が相手である。だが前進していることは間違いない。そしてウは、蚊帳の外でなく、直接に和平プロセスに参加している。ウに必要なのは公正な平和、安全の保証、明確な復興計画だ。УП

フョーロドフ国防相、国防部門の優先課題を記者らに語る:大統領より受けた指令は「空陸で敵阻むシステムの構築、敵とその経済に対する非対称攻撃・サイバー攻撃の強化、継戦の対価を露に耐えがたいものにし和平を強いること」。第1の課題はマネージメントとガヴァナンスの再定義。正しい課題設定そして実行力、成果主義! 第2の戦略目標は「敵の損失の拡大」。いま我々は月に敵3.5万人を死傷させている。これを5万にして戦争継続を露にとり耐えがたいものにしていく。УП

ブダーノフとフョードロフは改造ゼレ政権の最重要人物であるから不案内の向きは覚えてほしい。ともに若い。ブダーノフ40歳、フョードロフ35歳。

ブダーノフ(↑)は前職、ウ国防省情報総局長官。インテリジェンスのトップである。露深部における露将校の暗殺であるとか黒海洋上の露軍事経済アセット強襲であるとか有名な「蜘蛛の巣」作戦であるとか、露の急所を突く諸々の作戦を首謀・主導した。他面でメディアアピアランスに長け国民人気高く、世論調査では仮に大統領選で決選投票となった場合にゼレンスキーを下しうる数少ない(2人しかいない)逸物である。今月半ばに大統領府長官に就任。政権のNo.2と見てよい。対米和平交渉でも主導的役割を担う。数手先を読む切れ者の現実主義者として米政権内でも評価が高い。

フョードロフ(↑)は前職DX(デジタルトランスフォーメーション)相(兼第一副首相)。このTシャツルックで分かると思うがIT起業家出身、そのマインドで政府のデジタル化をゴリゴリに推し進めていった。代表作は国民アプリДия(ヂーヤ)。マイナンバーカードだの保険証だの免許証だのスマホにぶち込み大抵の行政サービスをオンラインで受けられるようにした人権アプリである。何丘もそのかみはコロナのワクチン証明書でお世話になりました。戦時は国内メーカーを糾合してドローン軍の創設・増強に辣腕を振るった。同じく今月半ばの人事で国防相に就任。イノヴェーション旋風で戦線の劣勢を巻き返せるか。

ともに若く、有能で、ウの至宝といっていい人材である。この上ない適役と思う。正直この人事は胸アツ。心配なのは、ブダーノフがこれまで謀略に使ってたIQを交渉等の正道に全量向け変えることができるのかということと、あとフョードロフとスィルスキー(ウ軍総司令官)の相性どうなのかなということ。ともあれ期待している。フョードロフが軍を強くして戦線を押し返し露深部を破壊していって、でブダーノフが交渉をまとめる。少しでもより公正な和平へ。2026年、ウクライナに平和を。

1月20日

……容易に書き出せない。白紙を前に書き出しあぐねている。現実の酷薄さと、自分の無力に暗澹としている。

20日未明、キエフにまたしても大規模攻撃。また全戸の半数が暖房を失った。寒波が居座り依然として夜間の気温はマイナス10度を下回っている。9日の攻撃からようやく立ち直りかけたところだった。悪魔がいるなら雪氷を好むであろう。雪氷と爆炎を輪舞させて楽しむだろう。

でグリーンランドである。ダヴォスに集まる欧州首脳らはウクライナのことそっちのけでグリーンランドのこと話すことになる。西側の分断と内訌、世界最強国による「武力による現状変更」の率先垂範。夢のような光景、筋書きにもない僥倖だ。北風に耳を澄ませば高笑いが混じっている。

電力

16日のゼレンスキー発言によれば、ウの電力需給ギャップは7ギガワットの赤字。需要18GWに対し供給11GW、実に需要の3分の1をカバーできていない。УП

緩和と適応といいますが、緩和すなわち、既存大型施設(変・発電所等)の修理復旧と防衛(防空)は限界を露呈しているので、適応(応急処置)に当局は注力している。言い換えれば、電気暖房水道の全戸供給は今季につき諦めざるを得ない、それはもう無理な前提で、ともかくも市民を凍死させない、そこに全力を注ぐ。

もともと大停電の際の駆け込み寺としてпункты несокрушимости不屈の拠点というものが全国に1万か所ほど整備されていた。その配置や機能に見直しをかけ、強化していく。「拠点」は次の要件を備えていなければならない。①十分な水・電力備蓄、②安定通信、③睡眠がとれる。また「拠点」は数あればいいというものでなく、一つ一つが十分な収容力を備えていなければならない。同時入室可能な最大人数は、人口3~10万の小都市に設置される「拠点」であれば100人、10-50万の中規模都市なら100-300人、50万以上の大都市では300人。УП

また、これとは別に、пункты горячей едыアツアツごはんの拠点なるものも展開する。移動式の「モバイルキッチン」、要はキッチンカーのことでしょな。キエフ市では既に41台の「モバイルキッチン」が稼働中。困窮層に熱い食べ物をふるまう。УП

未曾有の電力危機にあえぐキエフのため、隣国ポーランドのボランティア団体が「ポーランドの温もりをキエフへ」と号する募金活動を展開、目標額は約1億円(発電機100台の購入・輸送費)。15日~18日の3日間で目標の半額を集めたとのこと。УП

世論調査

最新の世論調査でウクライナの人たちのインサイトを探ってみよう。
KMIS(キエフ国際社会学研究所)、1月中旬実施。

Q:露の戦争目標は何か。何がしたくてウと戦争してるのか。
A:ウ領土の全部もしくは大半を掌握しウの国体とウ民族を滅ぼす・・41%
 ウ人の物理的抹殺(ジェノサイド)・・28%
 ウ領土の全部もしくは大半を掌握し傀儡政権を樹立・・11%
 4州(D、L、Z、Khe)の完全掌握・・3%
 2州(DとL。つまりドンバス)の完全掌握・・2%
 現在の占領地で満足・・1%
 脱ナチ、脱軍国主義で満足。ウの主権にはノータッチ・・2%

最後の3つを除いた実に83%が、露の目標はドンバスにとどまらぬと見ている。実に8割が、露の目標はウの全面支配もくは完全破壊であると見ている。
一方、このごに及んで、露ナラティヴを信じている人、「脱ナチ」云々すなわちウの悪魔祓いが完了すれば善良な露はただちに手を引くであろうと信じる人が、2%いるということも見逃せない。УП

Q:いま行われている和平交渉が、持続性ある平和につながると信じますか?
A:信じない 69% わからない 5% 信じる 26%
Q:前2者に追加質問。なぜそう思う(信じないorわからない)?(自由回答)
A:「露が平和を望んでいない」「露は戦争継続を望んでいる」etc・・52%

いろいろ交渉が行われているが、結局は露が平和を望まない/戦争を望んでいるから、実質的な和平には結実しないであろう、と醒めた目で見る人、実に7割。

Q:想像してご覧、現在の戦線で停戦となる、米欧がウに安全を保証する。その場合、露はウに再侵略をしかけてくると思いますか?
A:思うね 57% どうだろう50-50ならん 26% いや露はもう二度と攻めてこないだろう 11%

領土交換なしにひとまず現在の勢力図で戦火の交換がやんでも、露は5割以上の確立で再び攻めてくる、たとえ欧米の安保約束があったとしてもだ、と考える人、実に8割超。14年の苦い苦い教訓。УП

Q:戦線についての次の二種の記述のうちどちらが確からしいと感じるか。
  ①(楽観説)然り露は前進している、だが緩慢かつ、多大な損失を出しながらの前進である。ウは効果的な抗戦を継続する能力を有する。
  ②(悲観説)露は顕著な成功を収めておりウの抗戦は絶望的である
A:①かな 77% ②だね 12% 何とも言えんよ 11%

意外にも、楽観説が支配的である。現実が直視できているのだろうか。そう思わなきゃやってらんねぇというところだろうか。УП


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