見たものを見たそばから忘れていくというのも哀しい話だ。一週間に見たYouTubeを「履歴」で遡って、印象深かったものについて改めて一言記して忘却に抗する。たぶん多くの人が知らないだろう動画の紹介をかねて。皆さまの趣味の拡張に役立てば幸い。
【ねこ】アジアねこ散歩ch|第三の街オデッサは猫だらけ
「アジアねこ散歩ch」というチャンネル。Twitterで知った。この人はふだんはどっかアジアの国に住んでて、今旅行でオデッサに来てる。んであちこち撮ってはtweetしたり動画にしたり。在住者からするとすごく面白い/新しい情報があるわけでもないのだが、でも来訪者の視角を借りて住み慣れた街を眺め直すのは楽しい。そもそも岩合光昭のねこ散歩ファンだしwhy not。
まだ登録者1000人くらいだが、こういうのは伸びると思う。まずチャンネル名から王道感ある。なんか世界50万人くらい登録者いてもおかしくない名前だ。こうしてウクライナにまで足を延ばした以上はいっそ「世界ねこ散歩ch」を名乗ったらどうか。サムネもいい。
こんなのも見た↓
オデッサに先立ちリヴォフ(リヴィウ)を訪れたときのもの。街歩きで美女を撮る。これなどは少々ずるい。男がこれやったらただちに品性の問題になる。女性だから許されること。
何しろ大いに参考になる。この人のように上手にはできないが、この8掛けくらいならできる気がする。YouTubeあんたもやってみたらと最近何人かから誘われ半ばその気になっている。せっかくオデッサ在住で、オデッサはそこそこネームバリューがあり、それでいて在留邦人が少なく、しかも旅行の自由が制限されているこの時代状況であればwhy not。
【笑い】米粒写経|ベランダ泊のススメ
サムネから何から先ほどの「アジアねこ散歩ch」とは対照的にYouTube的にいけてないチャンネルだ。米粒写経のトークライブ。内容はさすが安定の面白さ。森野くんという米粒写経のマネージャー?的な人が掘れば面白そうなので掘ってみる、という企画。じっさい森野氏、なんともひょうひょうとすごいことをする面白い人であった。ただ居島の、言葉尻とらえては持ちネタ披露に持ってく強引さは今回少々鼻についた。
色々な趣味の世界があるものだ。難しい山に登る。そのトレーニングと、あと新着装備の性能確認のために、あえて予報で一番寒いとされる晩に自宅ベランダで眠ったりする人。
山に登るのは楽しいだろうが10㎏の荷物など背負いたくないしスマートウォッチで心拍数確認などもしたくない。それでも山には登りたい。富士山と立山しか上ったことないがもっと程よい高さで楽しい山が幾らもあるだろう、そんな山に軽装備で「山男子」ふうの装いでもなくしてフラッと登りたい。剱岳には一生登らない自信がある。蟹の横這い? いつタナトス(死の衝動)にかられて飛び降りんとも信用ならんわ、自分が。
【人生】トマホークTomahawk|幸福の科学教祖の息子
「トマホークTomahawk」とかいうチャンネル、何のチャンネルなのか知らない、知りたくもない。サムネにごたごた書いてある文字が全部パンチ強すぎて、思わず釣られた。面白かった。
なんでも、幸福の科学の大川隆法の長男という人が今、YouTube上で教団・教祖の闇を暴露しまくってるらしい。その人を呼んでのインタビュー。すげえな。「すげえな」以上の感想がない。幸福の科学については何も知らんがこの息子氏の言を聞いて素朴に思うことは、大川隆法という人は頭のよい人で宗教を完全にビジネスとして割り切ってるんだろうなと。商品は「心の平安」。商品開発=ドグマの構築。この宗教というビジネスにだけはどういうわけか税制上の優遇があるのだが。
ただこの息子氏についていうと、私はずるい人間だから、そんな何もしないで年収2000万も貰えるなら黙って貰ってればいいのに、と思ってしまう。私なら大人しく清水富美加と結婚するし東大も受かる。この人の歩んだ特殊な人生への共感がなさすぎるか。でも幼少期に人のようにのびのび遊ばせてもらえなかった、その埋め合わせの意味からだけでも、多少甘い汁を啜る権利はあると私なら考えるだろうな。まぁ言ってない部分でこの人も相当甘い汁吸ったのだろうが。
【美食】テイストメイド ジャパン|トマトレシピ BEST10
テイストメイドジャパンは過去のYouTubeレビューでも取り上げたかも知んない。食べ物系YouTubeの高峰。この分野のジャパン代表としてどの人にも自信をもって勧められる。ロシア人に見せてもインド人に見せても「すご・・!」と唖然とすること必至。10分の動画、倍速なら5分のことだ、騙されたと思って見てみるがよろし。
料理のアイデアもさることながら、動画としてのクオリティの高さよ! 完璧な編集。どの一瞬をとっても画がおしゃれ。展開は超高速なのに見やすくて分かりやすい。料理終わりでBGMがきちっと一段落するのも見事だし、せっかく美麗に盛り付けた料理を最後に崩すとこまで見せてくれて「これどうやって食べるねん」の疑問を解消してくれる。
今回のトマト動画でいうと、1:48~の「丸ごとトマトのチキンスープカレー」は自分でも作れそう、今度ぜひ試してみたい。ラスト「水玉トマトのレアチーズケーキ」のアイデアには脱帽。てかこのレベルになると当然のようにトマトは皮を剥くのね。
【音楽】Аквариум & Борис Гребенщиков – Greatest Hits
ボリス・グレベンシコフ(Борис Гребенщиков、グレベンシチコフ)のライブに行ってきた。その前に予習としてこれ聴いてた。グレイテスト・ヒッツ。
グレベンシコフは日本でどのくらい知名度があるのか知らないがロシア人ならまず知らない人はいない大御所中の大御所。そうさな日本でいうと誰に当たるだろう、たぶん桑田佳祐あたりをイメージしてもらえればいい。桑田佳祐56年生まれ65歳、グレベンシコフ53年生まれ67歳、忌野清志郎51年生まれ(生きてたら)70歳。
あと「ロシアのボブディラン」みたいな言い方もされる。文学性の高い歌詞と初期のアコギ弾き語りの感じはたしかに。あと、ある世代を中心に熱狂的なファンを持ち、いわゆるミュージシャンズミュージシャン(ミュージシャンにリスペクトされるミュージシャン)である点もディランぽい。
私の行ったライブ in オデッサは、わりと幅広い世代が来ていた。
ライブでも改めて思ったが、ハデさはないが、いかにも良い音楽(good music)という感じがする。妻によると、グレベンシコフはдоброе тепло(優しい温もり)の人。含羞んだ微笑の奥の、賢者の言葉と小市民の善良さ。ロシアの良心みたいな人。
とまぁそんなようなものちょいと聴いてみたいという人は、上掲グレイテスト・ヒッツをつまみ聴きしてみて。概要欄の曲リストで頭出しできるので1分聴いて気に入らなければ次、というふうにでも。ロシア語の勉強にもなる。歌詞知りたければ「曲名+текст」で検索。
【音楽】Аквариум – Город Золотой (АССА)
そのグレベンシコフ(のアクアリウムというグループ)で一番好きな曲。Город Золотой「黄金の街」。切なくて美しいメロディ。
動画はこの曲が劇中歌として鳴る映画のワンシーン。この色感もいかにもノスタルジックでもう大好き。АССА(アッサ)という映画です。ロケ地はクリミア半島のヤルタ。妻によるとこのロープウェイはヤルタに現存する。映画のラストに唐突にツォイ(ヴィクトル・ツォイ)が出てくるよ。
詞ぃ少し見てみよか。歌い出し↓
Под небом голубым есть город золотой, С прозрачными воротами и яркою звездой, А в городе том сад, все травы да цветы, Гуляют там животные невиданной красы:
辞書さえあれば誰でも読める簡単なロシア語。青い空の下に黄金の街がある、その門は透明にして、明るい星の意匠。その街には庭園がある、草花は咲き乱れ、めずらかに美しき、動物たちが歩いている。続くサビ部↓
Одно - как желтый огнегривый лев,
Другое - вол, исполненный очей,
С ними золотой орел небесный,
Чей так светел взор незабываемый.
たとえば炎のたてがみもつ黄獅子、たとえば目玉まみれの牡牛。そうして天なる黄金の鷲、その輝く眼差しの忘れがたいこと。
【音楽】Борис Гребенщиков – Аригато(アリガト)
もう一曲だけグレベンシコフ。近年(2008年)の佳曲。ライブでもやってくれた。今のグレベンシコフのヴィジュアルこんな感じ。
曲名はАригато(アリガト)。サビ部で「アリガト、ママさん」と唐突に日本語が出てくる。なんでそこだけ日本語なのか、歌詞通読するもよくわからず。たぶん「なんとなく」だと思われ。
Аригато, мама-сан
Никто, нигде и ничей
Весенний ветер
Девяносто дней и девяносто ночей
アリガト、ママさん。誰でもない、どこにもいない、誰のものでもない。春の風。90の昼と90の夜。←思考停止の直訳。
今週は以上だす。
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