こっちが聞きたい。
11月30日
その後も色々あった。ミサイルの応酬、特に、露による新型弾道ミサイルの使用、それによってウ政府中枢を撃つことも辞さずという新種の脅迫。が、日本語の一般報道でよく報道されているように思ったので、逆に更新意欲が萎えた。特に、露の新たな脅迫を取り上げて騒ぎ立てるのが(それこそ露の思う壺に思えて)厭わしかった。若干これについて補足するなら、Pは新ミサイルの使用を「実験(成功)」とうそぶくが、新型兵器の実験とやらを自国でなく外国に対して行うという発想がそもそも悪魔である、とのゼレンスキーの指摘あり(激しく同意)。また、ウ情報総局によれば、当該ミサイル(オレシュニク)は然り実験段階にあり、現有は2発程度、これを量産に持っていく前には、少なくとも10発程度使用してパラメーターを見るであろう、とのことだ。ほか、トランプ人事(ウ戦争調停担当特使にケロッグ・コーンフレーク氏)、ウにおける大増税(戦争税1.5%→5%ほか)、露による28日のウ全土大規模空爆(飛翔体200ほど)と大停電。
昨日~今日にかけての新たな話題としては、
Sky Newsによるインタビューでゼレンスキー、ウの非被占領地がNATOの傘で守られる確証あれば戦争凍結も可との認識を初めて示した(УП)。むろん被占領地の主権を手放すわけではない、4州とクリミアは、外交交渉により返還目指す。妥当と思う。東部の被支配地はどんどん拡大している。これのほかに落としどころはない。ウ側がこうまで言っているのであれば、ほんとうにトランプは、就任24時間で戦争を終わらせることができる。ウを米の核の傘で守る、と宣言さえすればいい。戦争凍結が最悪のシナリオであるのは、それが露に再軍備の猶予を与え、将来の第3次ウ侵略を招く公算が大であるためだ。だが現在の軍事境界線を事実上の露/NATO境界線としてしまえば、露がもはや軍靴で跨ぎ超えてくることはあるまい。交渉によって露から土地を取り戻すことは殆ど可能事の外であろうから、この言葉が口をついて出るに至るまでのゼレンスキーの歯噛みと懊悩を思うと胸が痛いが、本当にゼレが……ウクライナが、ここまで後退できるならば、あとは本当に西側の政治的意思ひとつである。露と峻厳に対峙し、少なくとも今ウクライナの施政権下にある91年国境の8割の土地を確実に西側の軍事力で守る、新たな一発の砲弾が東から西へ飛べば今度は確実に露を滅ぼす、と断言する気骨を示せないのであれば、さらに多くのウクライナ人が死に、さらに永く久しくウクライナの人たちの生活の破壊がつづくばかりである。
30日の計画停電は、キエフ市/州とオデッサ・ドニエプロペトロフスクの両州で、地区により4~7時間(УП)。
オデッサの10日間予報。
読み方:左端、11/30土曜、最高気温6度、最低気温3度、風速7m毎秒。停電が最大7時間程度で済んでいるのは気温がそこまで低くないからである。これから冬本番を迎え気温がマイナス10度を下回ってくると(その日は必ず来る)1日の大半が電気ないという事態も避けがたい。私が実体験した、酷暑の今夏がそうであったように……そのときより露ミサイル攻撃による電力網損傷はさらに進んでいる筈だ。
11月19日
ウクライナ戦争どうなってるか、と今日聞かれたら?――こう答えるだろう。1000日が経過した。侵略は続いており、東部の防衛線は持ちこたえておらず、露の支配域は哀しいかな着実に広がっている。本来の国境線(91年国境)からするとウ国土の2割が露に支配されている形。露はかなり無理をおして進軍しており、日の死傷者は1500人前後で推移。ウ側のカウントによれば、1000日かけて、露兵、都合72万人を死亡または重傷により戦線から退場せしめた。一方で、東部の戦線からは遠い、キエフだのリヴィウだのオデッサだの、後方の都市に対しても、露は盛んにドローンだのミサイルだの飛ばしてくる。狙いの一つが電力。先日は短時間に210の飛翔体を飛ばしてきてオデッサは3日ブラックアウトした。各地で今も停電が続いている。市民の犠牲も増え続けている。そんな中、ついにCHAMSが得られた。
●1000日
УП←この記事に1000日を2分半で振り返る動画あり(ゼレSNSで発表)
●オデッサにようやく光
・オデッサ州は3日間ブラックアウトしたが20㈬からようやく計画停電に移行する。地区により、3~7時間停電、あとは電気あり。УП
・なおキエフ市/州やドニエプロペトロフスク州でも4~6時間の計画停電。УП
・4~5時間停電したって残り20時間電気あればいいじゃないかと思われるかもしれないが、多くは需要ピークの夕方に停電が設定されており、たとえば18~23時の停電など、そうとうキツかろう。
・当局者によれば、オデッサ州が計画停電から脱する(全地区・全時間に電気あり)には数日でなく「数週間」がかかる。УП
●CHAMS
・ウクライナが露にATACMSを使用した。ブリャンスクの弾薬庫に8発撃ち込み、うち露は2のみを撃墜したもよう。ロイター、УП(先に露が6発撃ち込まれて5を撃墜したとかうそぶいていた)
・これより前(かつ米によるCHAMS解禁の後)、VVPは、9月にアナウンスしていた露のシン・核ドクトリン(露の核使用条件を緩和・拡大する)に署名し・発行させた。それによれば、核保有国から支援を受けた非核保有国による露本土攻撃は、露の核による反撃のトリガーになり得る。特に、弾道ミサイルの露本土に対する「発射」(飛来また着弾でなく)事実だけでも、露が核で反撃する十分な理由になる。УП
←本件は、ロシア語の見るファンタスマゴーリヤの夢である。ロシア文学の幻想怪奇小説の伝統に連なる最新作、つまりは、虚構。とはいえ危惧されるのは、これにより、VVPの有事の思考が自動化(高速化)されることである。VVP72歳は殺人と謀略と権力の夢に酔いすぎて完全に焼きの回ったクソ老人であり不測の事態(プリゴジン反乱、K州侵攻など)に際会するとアポケーに陥り極めて鈍重な反応をしか示せなくなることを度々証明してきた。だが、こういう規定(核反撃発動条件の明確化)が存在し、それにサインした記憶も新しいとなると、当面、米英の長射程砲が発射されたら、即、ボタン押す! という反応がオートマチックに引き起こされてしまうのではないか。それは困る。――ひとまず、今回のATACMSは、上首尾に、露の引いたシン・赤線を踏み越える前例をさっそく作ってくれた。よかった。
11月18日
いいニュースと悪いニュース。どちらから聞きたい?
●いいニュース(CHAMS)
ついにチャムスが得られた。CHAMSとは、「米国による、米国が供与した長射程兵器のウクライナによる露深部への攻撃、の許可」(※一般的な用語ではない。筆者自身、CHAMSが何の略語なのか知らない)
CHAMSとは、もっと隠然と与えられるものだと思っていた。解禁しまーすと宣言してから撃つより、何も言わずに敵の油断を襲って轟々たる戦果を挙げてから「実は解禁してましたー」とするほうが戦術的効果が大きいから。(ゆえに、それはもう、実は与えられているのだ、と思った時期もあった。)
УПタイムラインに即して言うと、「NYT:バイデンがATACMSによる露攻撃を許可」が17日20:20(現地時。+7時間でJST)、「ロイター:ウは近日中にATACMSで露を撃つであろう」20:57、「フィガロ:英仏がStormShadow他による露攻撃を許可」21:35、「ゼレンスキー:世人はいまに戦果の報を聞くであろう」22:33。
最初の攻撃は露K州にたむろしてる露兵と北朝鮮兵に行われるとの観測があるが、そう報道されているということは、実際は別の場所に行うのか。敵がATACMSやStormShadowの射程外へ引き上げ損ねている全ての高価値標的を同時に襲ってしまえばいいと思うが。「ミサイル自らをして語らしめよ」ゼレンスキー。
●わるいニュース
17日朝、ウ各地に、空前の規模のミサイル/ドローン攻撃。210飛翔体(ミサイル120発、ドローン90機)が飛来、うち144を撃墜。下図は撃墜戦果(ウ空軍、УП)
各地の電力インフラが損傷→停電。多くで同日中に停電は回復したが、最も被害が甚大なオデッサ市/州では日付変更後も電気・水・温熱すべてのインフラが停止中。УП
11月14日
●トランプ
トランプが要職人事を次々打ち出し世界がカタズ。ウクライナは一喜一憂と思う。「一喜」の部分は、たとえば国家安全保障担当大統領補佐官ウォルツと国務長官ルビオという人はともに①トランプの「米第一主義」に共鳴②タカ派の急先鋒③米の宿敵=中・イラン・露に対して強硬④共和党内の反ウ・脱NATO派からは距離。ウォルツはむしろウによる米供与長射程砲の露本土深部攻撃賛成派とのこと。「ウはこの人事に安堵しただろう」Politico、УП
また、これはトランプによる任命ではないが、米議会上院共和党会派の長に何某いう中道の対ウ支援賛成派が選出された由。УП
かと思えば、「一憂」の部分、国家情報長官にギャバード女史、対ウ支援反対派。ウ「偽情報対策センター」によれば、同人は22年よりクレムリから報酬をもらい露政権の手先となっている。22年開戦当初より「この戦争は米が露を多年にわたり挑発した結果。米国の支配層はウクライナ人の手を借りて多くのロシア人を殺そうとしている」等と主張。また、ウ国内の生物学ラボで大量破壊兵器が開発されている、との偽情報を盛んに拡散。УП
今後の人事の注目ポイント:ウ露戦争終結めぐる交渉(和平/停戦交渉)を担当する特別代表という役職が設置されるのだそうだ。2017-2019のトランプ第1期にも同様の役職があったとのこと。間もなく発表の見込み。Fox News、УП
※全体的なことを確認しておくと、
トランプは選挙キャンペーンで「大統領就任後24時間で戦争を終わらせる」とシャンクスみたいなこと言ってたが、シャンクスは漫画のキャラクターであって、現実にはそんなことできるわけがない。が、自らの威信にかけて、最早期停戦は目指すであろう。現在トランプ周辺では「落としどころ」として、⑴現在の勢力範囲での紛争凍結⑵その停戦ライン周辺への非武装地帯の設置⑶ウクライナのNATO加盟を20年間猶予という案を考えているそうだが(WSJ、УП)、これは露の望むところ、ウの敗北以外の何ものでもない。ウのNATO加盟に待ったをかけておくから露さん数か年後の第3次侵略大攻勢に向けて力を蓄えておいてね!とのメッセージとあの食人鬼どもは解するであろう。また露は、上記⑴現在の勢力範囲での紛争凍結を当て込んで、今のうち少しでも多くのウ領土を蚕食するべく、人命をいとわぬ攻勢を東部でかけ続けるであろう。
ところでトランプは下院共和党議員との会合で、また4年後の大統領選にも出馬しようかなぁとか軽口叩いたという。真に恐ろしいのはこれだ(憲法改正により通算2期8年までとの制限撤廃→独裁→米民主主義の死)だが流石にそんなことにはなるまいと思う、かの国の自浄の力を信じる。УП
●バイデン政権の最後のふんばり
トランプ政権発足(25年1月20日)までにバイデンは対ウ支援についてできることをすると言ってる。
国防総省によれば、今年4月の米議会追加支援決定以降、ウクライナへ約束したもののうち、実際にウクライナに届け終わったのは、弾薬については83%、防空装備については67%、火力(攻撃用?)については60%ということだ(10月半ば時点)。何しろ米の在庫兵器を数日~数週間以内に届ける、要修理のものあれば速やかに修理して届ける、とのこと。УП
●世論調査
「レイティング」社の9-10月の社会調査。ウクライナ国民の心の声は。
・戦争に勝利することを信じますか。
信じる……88%
信じない……10%
※22年4月比で信は9-10%DOWN(「信じる」97%であった)
・戦争、いつ終わりますか。
一年以内に終わる……31%
1-2年で終わる……33%(УП)
・戦争の結果に最も大きな責任を負うのは誰ですか。(複数回答可)
ゼレンスキー大統領……58%
ウクライナ軍……49%
ウクライナ軍のスィルスキー総司令官……33%
国際パートナー諸国……30%
ウクライナ市民……28%
最高会議(ウ議会)……13%
ウメロフ国防相……10%(УП)
・どれか一つ選ぶとしたら、どの国際経済同盟に加入したいか。
EU……75%(23年2月の最大時は85%)
関税同盟with露/ベラルーシ/カザフ……2%(不変)
・NATO加盟の是非を問う国民投票が行われたら、賛成票を投じますか。
賛成……75%(23年2月の最大時は82%。ただし22年4月の59%と比べたら遥かに多勢)
反対……7%ただし22年4月当時(УП)
・ウ軍の動員(徴兵)は十分か、いきすぎか。
いきすぎ……26%(24年2月比7ポイントUP)
適切……32%
不十分……25%(24年2月比11ポイントDOWN)
※年齢別では18-29歳の層で「いきすぎ」との評価が最大、43%(УП)
↑動員への評価、地域別(上段より東部、西部、南部、中央部)、年齢別、性別(男、女)。赤が「いきすぎ」緑「適切」青「不十分」灰色「回答に窮す」
・戦争税(военноый сбор)の増税(1.5→5%に)どう思う?
賛成……64%(断固賛成32%、どちらかといえば賛成32%)
反対……32%
※当然ながら、収入と相関。УП
●国防募金が減ってる
ウクライナ国民自身による軍への募金が著しく減少している。金銭ないし意欲が枯渇してきているということ。ウクライナの有名TV司会者セルゲイ・プリトゥーラの慈善基金は今年14億グリヴニャ(≒52億円)を集めたが、これは往時の数分の1である由(22年には「人工衛星を買える」くらいの募金を集めたとか)УП
戦況膠着、近親者の動員、停電、トランプ復権に伴う対ウ支援削減ないし望まざる形での停戦の見通し。これが「今こそ軍を支えねば」という方には向かず、むしろ厭戦、内向き志向に帰結している?
●エネルギー、電力
13日、一部で停電があった。幸い生活者には累は及ばず、ビジネス・産業向け電力制限が首都で。既に解消し、14日は停電は行われない予定。УП
これを受け、またぞろ「停電の季節」がやってきたか、と各紙報じたが、ガルシチェンコ・エネルギー相、そうした報道を「閲覧数欲しさの偽情報」とこき下ろし。今回の停電は発電施設における不測の事態(事故)に伴う一時措置であり、がたがた騒ぐほどのことはない、「公式の情報源のみ信用せよ」と。УП
11月10日
戦争は今日が991日目であるそうだ。千日数えたら千万文字書いたことになって大願成就、アセンション、すごいよまさるさんの最後のページみたいに口から血を流して「勝った……!」と呟いて、戦争は終わったということにならないか。なりません。
●オデッサ受難
四夜連続で市中にドローン飛来で住宅ほか民生施設に爆害。
「壁二枚」の原則。あるいは「ふた壁防御」の鉄則。古い記事だが、こちらを参照。シェルターは必ずしも君を爆撃から救わない。むしろ棺桶になる可能性あり。よきシェルターは、ふたつの出口があり、独立した電気系統を持ち、同じく独立した水道を持ち、換気孔がある。この条件を備えぬシェルターに逃げ込んで生き埋めになる可能性あり、それならば、いっそ、自宅に留まって危難の去るのを待った方がよい。その際、「ふたつの壁」で守られた空間に留まる必要がある。街路に面した壁は敵の攻撃で破砕される危険あり、破砕片から身を守るために、もう一枚壁がほしい。要は、あなたと街路との間に、窓のない二枚の壁があるように。最悪なのは、街路に面した、窓のある部屋である。
●露の「新世界秩序」の矛盾
ISW:露は軍事ブロックなき新世界秩序を追求するとするが自身の行動と完全に矛盾。露のまさに注力していることは北朝鮮イラン中国ら非(反)西側諸国との軍事ブロック形成そのもの。BRICS拡大志向もその文脈。УП
露は要するに、超大国に返り咲きたいのだ。覇権国=米国一極支配からの脱却、公正かつ平等な新世界秩序というが、けっきょくテメェが「極」に返り咲きたいだけ。世界の東半分を制覇・宗主していたあの頃に帰りたいだけ。この露(つゆ)の夢を、トランプが――ルールなど糞くらえ、パワーにこそ真善美の骨頂を見るトランプの、実に忌まわしく厭わしい言葉と行動による、「圧倒的に強い米国」の再建が、砕いてくれるなら、それは、最悪のものよりは少しましな、世界史の推移と思える。その意味で、私は、仕方ない、トランプを支持する。(何丘)
●エネルギー/電力
ウクライナの一昼夜あたりの電力輸入量は5215MW時(784MW)。輸入元はポーランド、スロヴァキア、ルーマニア、ハンガリー、モルドヴァ。УП
※1000kW=1MW、1000MW=1GW。ふつう日本だとkWで統一するが、露字メディアは統一しない。本当はこちらで計算してkWに統一するべきだが、私はよく桁数を間違えるので、正確を期す&手間を省くの一挙両得のため、書いてあるまま訳すことにする
●兵器の国産化
トランプ再選でひとつ確実なことは米国の対ウ支援の規模が縮小することだ。だがウクライナもこの間そのシナリオに備えていなかったわけではない。何もくれなくても自分で作ったもので戦える態勢を整えるべく兵器の国産化に努めていた。ゼレによれば、国産ミサイルが最初の100発を製造し終わったそうだ。ほか、大砲や砲弾、各種ドローン(前線で用いるもの、敵本土深部を叩くもの)の製造についても、24年は大いなる進展があった、とのこと。УП
11月9日
トランプが勝った。北朝鮮が参戦した。露の侵攻は止まらず、東部の露の支配域は緩慢だが着実に広がっており、ウクライナの後方諸都市には連日連夜ミサイルやドローンが飛んできている。
●トランプ再選
・ゼレンスキーは6日PM5時JSTとかなり早いタイミングでトランプに祝意を表している。「トランプの指導力による『強いアメリカ』の時代の到来と超党派のウクライナ支援を望む」(X)。
・続いて7日朝JSTには祝電を入れ電話会談。「素晴らしい会話」(ゼレ談)になった、とのこと。УП
・この電話会談は25分続き、トランプは「ウクライナを支える」と述べたという。興味深いことに、会談にはイーロン・マスクも参加した。スターリンクを通じたウクライナ支援を約したとのこと。トランプ2期目へのマスクの影響の大きさがうかがえるが、二人がウクライナについて何を考えているのか、予断は全く許されない。УП
・CNNによれば、礼節や(自己への)忠誠心を重んじるトランプは、世界のリーダーの誰がどのタイミングで自分に祝電を入れるかを入念に観察していた。УП
・プーチンは表向き、祝電を入れていない。
●バイデン
・トランプが来年1月20日に大統領就任するまで、バイデンにはなお2か月の任期があり(いわゆるレームダック期)、ウクライナ支援に使えるお金がまだ60億ドル残っている。バイデンはこれを余さず使うであろうとの観測(そこはさすがに、頼む)。УП
●蚕食
ウクライナは10月新たに490km2の領土を失った(露に占領された)。УП
上は、24年1月から1か月ごとの失地をグラフ化したもの。失うペースが右肩上がりなのが分かる。10月はこの1年で最大の失地を記録した。救い?は、露兵の喪失ペースの急速さ。露軍の死傷者1000人ごえ(※ウクライナ発表)はもう当たり前、1500人の日もざらにある。
●エネルギー、電力
・ウクライナでは、当然ながら、もう暖房シーズンが始まっている。受難の冬のはじまり。「暖房シーズンは首尾よく開始された」とシュムィガリ首相。УП
・民間所有の中小発電機による分散発電が大事。分散発電の出力は既に1.35GWを数える。УП
・少し前、エネルギーインフラへの攻撃を互いにやめませんかという交渉がウ露間で始まっている、という話があったが、現在、双方のエネルギーインフラへの攻撃は盛んに行われている。
・露は10月、2000機のドローンをウクライナ各地に飛ばしたという。9月は1300程度だった。今後も大量に飛ばしてくるものと見られる。УП
●ゼレンスキー、ハンガリー訪問
・親露ハンガリーに開戦以来はじめてゼレが訪問(欧州政治共同体サミット(7日)出席のため)。スピーチで「露に対するあらゆる譲歩に反対。必要なのは『力による平和』」УП
※「力による平和」はトランプが1期目で愛唱したフレーズで、元ネタはレーガン米元大統領の言である由。
●世論調査
ウクライナ人に聞いた、ロシアのこと好きですか、嫌いですか。好き……3%、嫌い……93%(KMIS、24年9-10月、УП)
↑同様の調査の、08年からの経時変化。好悪は見事に反転。14年で好感はかなり落ちたがその後だいぶと持ち直している。「露への敵対的感情が侵攻の引き金」は嘘。因果関係が逆。14年のことがあってからもウクライナ人の半数は露に好感を持ち続けていた。
今度は露(という国)でなく、露に住む露人への好感/反感について聞いた。ロシア人(露在住の)のこと、好きですか、嫌いですか。好き……8%、嫌い……84%。
21年11月(上図左。侵攻前)時点では、好き76%、嫌い14%であった。