4月半ば、鹿児島旅行に行ってきた。
旅程
4月半ば、平日つづきの3泊4日。
メンバーは、僕(鹿児島2回目)、妻(初)、3歳児。レンタカー。
旅程は、まずちょっと鹿児島の地理だけども、九州ありますやんか、
霧島と書いてあるあたりに飛行機で乗り付ける。そんで左側の半島(薩摩半島)を海沿い南下してって、その先端あたりで右の半島(大隅(おおすみ)半島)に渡って、そちらを海沿い北上していく。そのように、湾をぐるっとひとまわり、反時計回りに回る。錦江湾(きんこうわん)一周旅行。拡大↓
①鹿児島空港に降り立った私らは②鹿児島でラーメン食ったり桜島渡ったり水族館のぞいたりして、③知覧(ちらん)の武家屋敷など冷やかしつつ④鰻池(うなぎいけ)で温泉つかって、フェリーで大隅半島に渡って⑤雄川の滝など見つつ海沿い北上して⑥福山の黒酢づくりなど見学しながら⑦霧島で温泉入ってフィニッシュとす。ワンサゲイン:錦江湾一周旅行。
自宅~車ゲットまで
飛行機はソラシドエアとかいうLCC(ローコストキャリア、格安航空)で3か月前とかに取って7000円くらいだったと思う。その便が朝7時台と早かったので、自宅を出たのは6時前とかだ。吉祥寺から羽田空港までバスが出てたので楽勝だった。どこへ行くにもなるべく新宿とか渋谷みたいなクソ田舎を経由しないで済ませたい。
進行右側の席をとれば富士山見えるだろうと踏んだらビンゴだった。
霊峰富士、圧倒的な存在感。ほんで左手に白く見えてる山巓の列は南アルプスであろう。一発飛行機で日本列島なめてみるほど良い地理の教材もない。
子供は飛行機全然怖がらなかった。オデッサから成田への脱出便(1年前)に次ぐ、人生2度目の飛行機。むしろすげー喜んでいた。妻は本当は飛行機が怖いのだが子供に恐怖の在処を教えない教育方針によりぐっと我慢→子育て日記
↑鹿児島空港には足湯があった。西郷どんのでかい木像もあった。つつじの開花が東京より進んでいた。ヤシの木もある。このように「南国来た」の記号を見つけて足しにする。
ほんでこんなカー(car)を借りた。ぽっちゃんが連れて行ったトリケラトプスのアヴォちゃんと偶々同じ色だったのでぽっちゃん大喜び。
仙厳園
まず鹿児島市郊外の仙厳園(せんがんえん)いうところ入った。僕は前に来たことがある。妻は九州上陸じたいが初。ここには島津の殿様のお屋敷と、桜島を借景とした美しい池泉回遊式の庭園がある。Oh how lovely
桜島
苔も素晴らしい
苔の世界にさりげに蘇鉄とかあるところが南国で嬉しい
それで島津の殿様のお屋敷はこんな素晴らしい中庭を囲んでいる
維新後も迎賓館として機能しておりニコライ1世なども訪れた由だ。お屋敷からの桜島ヴュウ(煙はいてる)
こちら仙厳園は太郎ちゃん的にはわりと退屈な一章となるはずで、でも折よくちょうど車が仙厳園に着くころ太郎は寝てくれた。だから仙厳園滞在時間の半分ほどは寝てる太郎をベビーカーで押しつつ妻と二人、心ゆく庭を楽しんだ。昔みたいに♡
鹿児島
初日の宿は鹿児島の街のただなかにとった。こちら天文館と呼ばれる中心街、アーケード商店街が縦横に伸びてその間をちんちん電車が走っていく。日本の生活ではあまり見ないтрамвай(トラム)を見れてぽっちゃん、よりむしろ妻が喜ぶ。妻が喜ぶとむろん僕も嬉しい。
↓見て。宅地内降灰指定置場。桜島から噴き出た灰が積もること日常茶飯事なのでそれを黄色い袋に集めて出す専用のゴミ捨て場がある。
鹿児島出身の友人N子によると、灰捨て用の市指定ポリ袋は頑丈なので(なにしろ灰は重いからねぇ)、学校行事でさつまいもほりとか行くときはどの子も決まってその黄色い袋を持ってくるということだ。あと、よその車に灰が積もっているのを見かけても、指でボンネットに字や絵など描いてはいけない。というのも灰は粒子が粗くまた硬いので、そんなことすると車のボディとか窓ガラスに擦り傷をつけてしまう。車の灰は水で洗って落とす一択なのですって。
あと、つつじね。これをミヤマキリシマと呼ぶのか知らんが、まぁ三多摩あたりでもふつうにみるやつよ。東京とかだと街路や庭先の花はもう少し多様性を追求してる。鹿児島はもうつつじしか植えてはいけないという決まりでもあるかのようにかたくなにつつじばかりを植えている。つつじしか見ない。
桜島
ここからぽっちゃん的に楽しい章に入る。お船に乗って桜島に渡る。そのバランス、あるいはリズムだ。大人に楽しいイベントと子供に楽しいイベントをいい具合に混雑あるいは交代させる。前者ばかりだと子供には退屈。こんなことなら三多摩ハウスにいたかった、旅行ってなんかつまんない、家に帰りたい!と言わせてしまう。旅は楽しいものと思ってもらいたい。
桜島。
桜島の最高標高は1117mだそうだ。僕は関東平野のまっただなかの産なので、こういうどかんとした景物が視界に据わった人生とりわけchildhoodにあこがれる。桜島がずっと見えていたN子の少女時代。あるいは太宰の甲府時代。父なる山を持たなかった僕の人生は貧しい。一応それに代わるものとして僕には武甲山があるが、いうて親戚のおじさんくらいの距離感だ。肉親ではない。
桜島ついてまず向かったのは恐竜公園。太郎へのサービス。
船着き場から歩いて15分くらいか。距離は近いのだが結構な上り坂をベビーカー押してった先にぽっかり開けた場所があって、そこにチープな恐竜たちが点在してる。
この首長竜は滑り台的になっている。大昔に作られて大して修理もされていないと見えてボロい。昭和。でも大人には、そのレトロ感もたまらん。このゆるさ、なるほど東京ではない。たしかに流れてる時間がちがう。悠久。ぽっちゃんもむろん大喜びさ。
ところで案内板によるとこいつは「ディプロドプス」だそうだ。冗談じゃない。第一にそれを言うならディプロドクスであろうし、第二に、ディプロドクスはこんな垂直に首が持ち上がらない。これは普通にブラキオサウルスであろう。……と、ぽっちゃん博士は憤慨した。「かかりのひとにてがみをかこう」
恐竜公園でたっぷり遊んでぽっちゃんサービスは果たしたので、あとはまったり溶岩の岸辺で足湯などつかって桜島感をたんのうした。
海沿いの遊歩道が整備されていて奇岩珍岩、天然の溶岩アートを楽しめる。
鹿児島Ⅱ
あとの時間はお宿でまったり。子供と妻は。朝も早かったしね。僕は貧乏性なのでもう少し歩きたい。ラーメン食べ行ってくるつって一人出た。天文館(中心街、アーケード商店街)のすべての筋を歩いた。ラーメン食った。
↑ヴィジュアル至高。味はふつう。
↑西郷どん。鹿児島はどこ行っても西郷だった。西郷ときどき竜馬。
↑本願寺の鹿児島別院という大変物々しい寺院があって、その玄関にこんなポップな金句が掲げられていた。格式は上げたし門戸は開きたし。
あと、写真とらなかったが、ザビエル公園てのがあって、そいういやフランシコ・ザビエルは鹿児島から日本に上陸したのだった。古い石造りの教会の門柱とともにザビエルのレリーフが飾ってあり、ライトアップされたさま荘厳。なんでもなさげな公園の一角に大層ありがたいものがある感じで、なんか感動した。
day2:朝の城山
翌朝一番で城山のぼった。
桜島viewが自慢の展望台である。山頂近くまで車で登れる。天気が悪くて桜島の全容は見えなかったがそこにあると知れるだけで十分。昨日自分が歩いたあとも確認できてよかった(本願寺の大屋根も見えている)。何よりこのお山は緑がよかった。三多摩とは緑の濃さ深さ多彩さが違う。
あとこの山の中腹には西南戦争で西郷隆盛が立てこもった西郷洞窟というのがあり、太郎が洞窟好きなので立ち寄った。例によってそこに巨大な西郷像があり、こんだけ頻出するなら言葉教えとこうと思い「ぽっちゃん、この人はね、西郷だよ」と言ったら、太郎は「あー」と心得て、すぐさま「Мама, он последный!(ママ、この人はね、最後だよ!)」と通訳してみせた。そこがまさに西郷最期の地だったのでIPPONとられた気に。
水族館
そこから歩いてもいけないことはない距離だが子供の省エネのため車で、いおワールドかごしま水族館に行った。お目当てはこちら。
ジンベエザメ! 世界最大の魚。太郎は魚にドはまりしている。中でもジンベエはかなり好き。その本物が見られる日本でも珍しい水族館だ。思ったより小さかった。というのも、こいつは(わざわざ捕まえてくるのでなく)たまたま漁網にかかったやつを5mに育つまでここで展示して、5mこえてくるともうこちらの水槽では手狭と判断して海にかえす。本当なら10m以上まで育つ。そういう方式で今10代目だかのジンベエがこの子だそうです。その話じたいも優しくて気分がいい。
クラゲ槽(ぽっちゃんが抱えてるのがトリケラトプスのАвоちゃん)
イルカのショーもあった。江ノ島水族館とか下田の海中水族館と比べると完全屋内でこぢんまりしてるが「イルカ研究所」の研究発表という体裁をとっていて(この日のテーマは「イルカの目はどのくらいものが視えているのか?」)、一方ではジャンプもたっぷり見せてくれて、アカデミック×アクロバティックのハイブリッドな感じが目新しかった。この水族館、相当やる。
終演後、ナレーターを務めてた白衣の「イルカ研究所」所員(という体裁の)女性に、質問あればなんでもどうぞということだったので、疑問をぶつけてみた。「イルカのジャンプは鼻先からすっと水に入るときと脇腹からばしゃーんと落下するときと二種類ありますね。後者は水しぶきも大きくてド派手ですがイルカにはちょっと痛いのではないかという気がするのですが、自然環境だとイルカはどうジャンプしてどう着水しますか?」答えはこうだ:野生のイルカも両方のジャンプを行う。前者は高く翔べるので空中から遠くを見渡す(索敵?)ときに使う。後者は脇腹をあえて水に打ち付けて体に張り付いた貝殻とか邪魔者を払い落とすとき、あるいは単にイライラしてるときに使う。――この回答は大変納得のいくものだったし、研究所員ふうの人がリアルにイルカに詳しくて、なんかすごく嬉しかった。
ほか、太郎が最近おぼえたチンアナゴ、カスザメ、リュウグウノツカイ(剥製)など実物を見れて太郎も満足げであった。
↓今まだ②である。
ちょっとさすがにペース早めようか。次は③、知覧(ちらん)。
知覧
知覧には有名なものが3つある。お茶。武家屋敷。知覧特攻基地。
こちらがお茶畑。沿道あちこちにある。扇風機がふぁたふぁた回ってるのは結露を防いでいるのだ由、茶畑には決まってあるが、この季節に、この微風で、いったい意味があるのか。でも茶畑には決まってあったから意味あるんだろう。
ほんで武家屋敷だが。
上の地図の一本道ぞいに古い武家屋敷がいっぱいあって、キホン現住家屋なのだが、お庭だけ見学できる。金沢の武家屋敷とか角館とか行ったことあるので同じようなもんだろう(から別に行かなくても?)と見くびってたが、全然ちがった。絶対必見のやつやった。
この長閑きわまりないホコテンの一本道がずーっとかなり長く続いていて、両脇にいにしえの家屋が立ち並んでる。この低い石垣+生垣の列がずーっと続いている。
ほんで7軒ほどお宅の庭先にお邪魔がゆるされている。(要共通チケット購入)
↑向こうのお山を借景していて、庭木とお山の稜線がきれいに連続するように剪定している↓
基本枯山水なのだが、
一軒だけお池のあるお庭があり、やっぱ水あるとエエよなと思った。
NEKO
なんか伝わりますかね。良さ。
脇には麓川というのが流れていて、これ沿い歩くだけで全然よかった。
この知覧の武家屋敷は太郎ちゃん的には退屈な一章であった。「早く鰻の池に行きたい」ばかり言っていた。
鰻池(鰻温泉)
薩摩半島の南端に池田湖があり、その脇に鰻池がある。どちらも火口湖。鰻池のほとりに鰻温泉という小さな温泉郷があり、そこに民宿をとっていた。そこ目指して知覧からさらに南下していく。
したら見えてきたのさ開聞岳(かいもんだけ)が。
すばらしい三角形のシルエット。ルート的に車でかなり接近するのでうわーすげえなすげえなと私と妻で盛り上がっていて太郎はハァ?何を盛り上がってるのかこの人らはって感じだったと思う。太郎ちゃん分からないかなぁ、ショッピングセンターやおもちゃ屋さんはどこにでもあるけど桜島とか開聞岳とかそういうものはここにだけしかないものなんだよ。そこにだけしかないものを求めて旅というのはするんだよ。
開聞岳Viewが素晴らしい恐ろしくファンシー&インスタジェニックなベーカリーが沿道にあり、思わず立ち寄った。CAFE MARLEY。コーヒーワッフル最高でした。
ぽちちゃんを開聞岳への感動に釣り込もうとするのだがワッフルにむちゅう。あまり強調しすぎてもこれはきょうみかんしんのおしつけだなと判断してむしろ嫌悪感を抱いてしまいそうで、加減が難しい。
ほんでウナギ温泉郷。
めちゃめちゃ鄙びてる。超こぢんまり。宿も二軒しかない。でもなんか、すごくきれいにしてる。道とかも。
すごく東京中心的な言い方になるけど、地理的には最果てのような地に、すごく折り目正しく生活を営んでて、で少数のゲストをとても気持ちよく迎えてくれる。逆に東京近郊のさびれたところのさびれかたってひどいから。熱海とかもそうだし、高崎のシャッター通りとかちょっと目も当てられない感じがある。
犬の像があるのは、例によって西郷の足跡がここへ及んでいて、なんでも征韓論に敗れた傷心の西郷が犬を10匹だか連れて鰻温泉に逗留して、毎朝はやく起きて狩猟を楽しんでいたとかや。どんだけワイルドやねん。
↑スメ、と称する噴気窯で調理をおこなう。キホン各家庭にあるとかであちこちから蒸気が上がってる。こちらは公衆スメ。「観光他」とある右手の窯は観光客も使ってよい。が、300円払えとある。ザルで野菜とかキノコとか卵とか蒸して食べる。
↑こちらはお宿のお夕食。スメ料理。スメでにわとり一匹むしたやつ。他にタイを一匹まる蒸ししたやつもいただいた。硫黄泉なので、鶏や魚も若干硫黄に微醺してる。
↓翌朝。お池に降りた。水面で小魚ぱちゃぱちゃ跳ねていた。
day3:薩摩半島→大隅半島
車ごと積めるフェリー(山川・根占線)でお隣の大隅半島へ。「錦江湾一周旅行」は後半に入る。
かすむ開聞岳にグッバイ。この秀麗な薩摩富士は標高924mだそうだ。こんな美しい三角の塊が視界に高頻度・長時間入っていることで土地の子供はある種の幾何学感(センス・オヴ・ジオメトリイ)をはぐくまれないではいないと思うのだがどうだろう。
あ、そだ、その前に、フェリーまで少し時間があったのでJR最南端の駅、西大山駅に寄ったのだった。もちろん開聞岳見たくて。無人駅。駅に来たからには電車を見たいぽっちゃん「電車いつくる?」→時刻表みると3時間後であった。
雄川の滝
大隅半島渡ってまずの一発は雄川の滝。ここもぽっちゃん的にはつまらないかもしれぬ、と思ったら都合よく寝てくれた。旅疲れが積もっているかな。
雄川ちゅう渓流に沿って滝壺まで歩いて行くのだが、のっけから絶景すぎる。
で大変ありがたいことに、道はずーっと舗装されていて、ベビーカーでも問題なし。葉音水音に包まれて子供さぞ気持ちよく眠ったろう。
この舗装の完璧さも、また失礼なこと言うが、これほどの僻地にして、よく整備したものと感心する。上から言っちゃってるか……なんというか。ちゃんとしてる。当然のようにちゃんとしている。ということに感動する。ロシアやウクライナだったら中心から離れるほどにてきめんに腐敗し荒廃する。
雄川は水の色がエメラルドグリーンであることで名を馳せる。
ものすごくきれい。どうしてこんな色になるんだろう。ふしぎ。
滝。実物はこの100倍よかった。カワセミも遊びにきていた。
ここで太郎起きた。
大隅半島を海沿い北上
いま旅は⑤(雄川の滝)まできている。これから霧島めざして北上していく。中の道と海沿いルートとあったが、桜島を反対側から見たかったので、海沿いルートにした。
たのしきドライブだった。とちゅう天神様に寄ったり、
奇妙な大木の並んでる緑地でべんとー食べたり
この木なんなんすかね?わりとあちこちで見かけた。
上の地図で⑥とあるのは福山の黒酢の里。甕で発酵させる。「壺畑」とかいう。
↑海の向こうにうっすり見えてるのが桜島。
そんなこんなで大隅半島西岸を駆けのぼった。鹿児島っ子N子によると、鹿児島や知覧や指宿のある(観光資源豊富で経済行政の中枢を擁する)薩摩半島に対して大隅半島側の人はコンプレックスを抱いていて、勉強で優等の成績とって鹿児島のいい高校入るのが大隅半島の中坊たちのドリームだったとか言ってる。本当ですか?
もっぺん地図出す。ここで余談的に、黒潮の「舌(ぜつ)」の話したい。
黒潮ちゅう海流が日本列島の太平洋側を下から舐め上げてるじゃんか。その黒潮が錦江湾に入り込んでその奥の奥までお掃除する。それを「黒潮の舌(ぜつ)」と呼ぶそうだ。この言い方を大層気に入った。基本的に湾の中は水が滞留しやすく濁りがちなところ、ときどき黒潮のベロがず・ず・ずと奥まで入り込んでお掃除してくれる、それで錦江湾の水はきれいなんだって。細部まちがってるかもしれないが、こんな説明を例のいお水族館で読んだ。
霧島
その譬えでいうと子宮にあたるのが霧島だ(いつそんな譬えをしたんだ)。霧島神宮という有名な神社がある。天孫ニニギノミコトを祀る。
高すぎる杉の並木と小さき人
霧島ではいいお宿をとった。全国旅行支援(2割引きになる)はもちろん使った。お部屋に露天風呂がついてる。最高。
館内には男女別大浴場のほか、露天の家族風呂が3つついてて、うち2つに入った。うちの1つ(岩風呂)↓
前日の鰻温泉に続き、太郎にははじめての体験。「温泉」「露天風呂」という語が語彙に加わった。
day4:霧島(続)
雨の最終日。霧島高原をあちこち走り回った。
宿の近くに丸尾の滝というのがあった。昨日の雄川と比べれば小ぶりだが、柱状節理が美しい。晴れてればこちらも滝壺はエメラルドグリーンないしコバルトブルーだったのではないか。
鹿児島滝多いなという印象だ。一々立ち寄ることはしなかったが道走っててこちらに何々の滝ありという表示にたびたび際会した。
つつじのすごいとこ。道の駅霧島「神話の里公園」。晴れてればリフトとか乗って楽しめたはずのところ。
霧島「アートの森」美術館。屋内外に現代アートの展示。
ここは正直行かなくてもよかった。大したとこじゃなかった。「トーキョーさんぽ」に影響されてしまった。
霧島神宮の麓にいい感じの一角があって、まず甍の立派なこの建物は皇紀2600年に文教施設として建てられたとかいうやつ(これ自体が文化財)で、今は謎に屋久杉を使ったファーニチャーを展示・販売してる。見学無料の屋久杉工芸館て感じに楽しめる。
その向かいに蕎麦屋があって、観光地と思えぬ良心的な価格。蕎麦はつなぎ多めで麺がふにゃふにゃで好きじゃなかった(これが好きな人もいるだろう)。太郎はとり天がうますぎて完食した。手作りのわらび餅が絶品で、おみやげに買って帰った。
ほんで同じところに謎に天狗館というのがあって、古今東西のいろんなお面が飾ってある。
子供は怖がるかなと思うのだが初めて出会う種類の怖さなので、すなわち怖くない(→子育て日記)。だが下の写真の奥に見えるガルーダはいかにも恐ろしげな形相で、すなわち彼が既に所持している「怖がるべきもの」のカテゴリーに該当したので、怖がった。
↓同じところに蒸気屋という菓子店があって、ここのふわふわのカスタード饅頭が美味だった。創業者が屋久島出身だそうで屋久杉のものすごい飾りが飾ってある(他店舗も同様だ由)
で、最後に寄ったのが和気神社であった。藤で有名な神社という。ちょうど藤の季節だので、ぜひ寄りたかった。
↑和気清麻呂を祀っている。同人はいのししと縁が深いとかで、🐗とツーショットの「日本一(したがって世界一)の大絵馬」が。
狛犬もいのしし。静謐な雰囲気。
藤は、まぁまぁ。実はこの間にあしかがフラワーパークの大藤を見てしまったので写真みてもさすがにショボく感じてしまうが。雰囲気はあった。
これ見たらもう夕暮れで、空港に向かって、晩の飛行機で東京三多摩に帰った。
最後の和気神社は僕の趣味だ。有名な神社を見たい。花の名所を見たい。子供は完全にそれに付き合わされた。ほらイノシシだよと指摘したり強調したりして興味を喚起するのが常套手段だが、その種のてくだを旅を通じてだいぶ使ってしまったので、もう車から誘い出すのも悪いような気がして、おとうちゃんちょっと見てくるからおまえ車の中で待ってるか。というとウンというので、車で待たせて一人見に行った(交代でそのあと妻も)
子供と旅行することについて
こんな3泊もするような旅行は子供できてから初めてだ。(東欧流亡は除く)
僕らは結構旅行好きな夫婦でこれまであちこち行った。京都も行ったし広島も行ったし北海道青森岩手秋田新潟富山石川長野岐阜。あるいはスペインイタリアフランスチェコオーストリアスイス。それに比べると、子供がいる旅行は、見られるもの・できることが、体感、3分の1程度に減る。「激減」する。
今回僕は運転手役だったし、3泊4日の内容としては、手応え薄に感じた。これしきでもう終わりか、と。特に最終日とか、雨がわざわいして、ただ車であちこち走っただけに終わった感じ。
最終日は子供もさして楽しくなかっただろう。すでに3日目の時点で「きょうとうきょうにかえるの?」と言い出していた。旅、つまらない? あるいは、ホームシック?
妻は言った。子供が楽しいかどうか、そればかり気にするのも違う。私たち自身も楽しむべきだ。歴史とか文化とか花とか建築、私たちが見て面白く、子供には到底面白くないようなものも、ちゃんと見るべきだ。子供にとって楽しい章もちゃんと用意する。だから子供の方も、親にとって楽しい章(自分にとっては必ずしも面白くない章)の存在を許容すべきだ。互いの妥協のうえに家族旅行は成り立つべきだ。
だが、こうも思った。「子供によって自分(たち)本来の旅が貧しくなっている」「子供に妥協している」という考え方・感じ方が、そもそもダメなんじゃないか。子供の存在によって自分たちの旅がいかに豊かになっているかということへの喜びに目を開かないといけない。それが今回は、まだ未熟で、できていなかった。
プラスして、こうも思った。子供が武家屋敷に興味ないのは、普段からそういうものへの関心を涵養してないからだ。自分たちが好むことへの関心すくなくとも理解を、普段から子供に育てておくことで、自分たちの旅もしやすくなる。これが興味関心の強制(おしつけ)になってはいけないが。現に、その後、私たちはあしかがフラワーパークに行ったが、僕が花が好きでふだんから花への自らの関心を示しているので(私たちの住む三多摩某市はみどりが多く季節の花に彩られている)意外なほど子供もフラワーパーク楽しんでいた。
海外旅行いくと急に美術館とか行きだす日本人という揶揄があるが、そういうことをしても、ともなわれていく子供は到底たのしまないだろう。
【教訓まとめ】
・子供がいることで損なわれてる部分でなく、豊かになってる部分に目を向ける
・私たちが楽しむことを子供も楽しむための下地を、普段から作っておくこと