何丘は終わっている。ものを全然知らない。
自分のような文学部出身でビジネスにもテクノロジーにも疎い人間は、せめて樹木、草花、星座に詳しくありたい。
まだ手遅れではないのではないか。今から何が可能か。
つうわけで自分の身の周りにある植物、今回は「липа(リーパ)」に詳しくなってみよう。
ちなみに「花の名前とか樹の名前とか分かんない。団地育ちだから」とはエレファントカシマシ宮本浩次の言。
【before】липаについて知ってること
何丘が今住むウクライナには липа(リーパ)が一杯生えている。
こちらは先日、散歩でとった写真。
(※このときの散歩の模様はこちらの記事にまとめた)
さてこのлипа(リーパ)について何丘は何を知ってるか。
- 初夏に黄色い花を咲かせる
- 花はいいにおいがする
- 花を摘んで、乾燥させて、茶にする
- 多分、日本語だと「菩提樹」
- 多分、ドイツ語で「リンデン」
- 鴎外が「舞姫」で、ベルリンのウンテル・デン・リンデン通りを「菩提樹下」と訳した、そのリンデンだと思ってる
- 多分、日本には余りない
- 多分、ロシアとかウクライナとかドイツとか、高緯度の地域に生える
答え合わせも兼ねて、調べてみよう。
【after】липаについて調べた
日本語だと「シナノキ」「ボダイジュ」らしい
「シナノキ」で画像検索してみる。
次に「ボダイジュ」
うん、これこれ。
どちらも花のつきかたからして、何丘のおもうлипа(リーパ)そのもの。
ちなみにシナノキは榀の木と書くそうで、この榀は冬目景『イエスタデイをうたって』の森ノ目榀子の榀。
釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたとか言うが
インドのブッダガヤというところに釈迦が2500年前にその下で悟りを開いたという菩提樹の4代目とかが残っているそうだ。
こう見ると、日ごろ目にするлипа(リーパ)とは樹容が大分ちがう。
花は同じように黄色く咲いて周囲を芳香で包むのだろうか。これほどの巨木だと町ひとつくらい香りで満たしそうだ。
なお、こんな記事見つけた↓
ニュートンのリンゴや仏陀の菩提樹 訪ねてみたい名木(ナショナルジオグラフィック)
「巨樹探訪」をテーマに世界を旅する。素敵だねえ。
日本にも菩提樹は普通にあるようだ
「菩提樹 名木 都内」とかで検索すると、たとえば杉並区の大宮八幡宮というのが出た。
インドの菩提樹より、何丘の知るлипаに近いようだ。「6月中旬に淡黄色の花を咲かせ香りが漂う」との記述からも。
ベルリンの「ウンテル・デン・リンデン通り」もやはりлипа
この動画の感じだと、名高い伯林「菩提樹下」通りの菩提樹は、釈迦のそれというよりлипаだ。
それにしても殺風景だね。札幌の公園通りの方が1000倍にぎわってますよ?
ほか、липаについて興味深い事実(Wikipediaより)
・英語でlime tree(ライムツリー)。ライムとは関係ないらしいが、香りがいいからでしょう。
・「香りの良い蜂蜜の蜜源として知られる」ですって。蜜源という言葉。たしかにロシアでлипаのハチミツ売られてる。
・「乾燥させた花は、ハーブティーとして飲まれる」。そうそう確かに、人たち採集してますよ花を。
(以上、Wikipedia「シナノキ属」の項より)
・「ドイツのライプツィヒ、ロシアのリペツクなどの地名は、この樹木のスラブ語名称(例えばロシア語: Ли́па)に基づいている」ですって!
・「シューベルトの歌曲『菩提樹』(歌曲集『冬の旅』)で有名」ほう。聴いてみよう。
ここに幸あり――Du fändest Ruhe dort!
(以上、Wikipedia「セイヨウシナノキ」の項より)
ウクライナ語で6月は「липаの月」という
ウクライナ語で、6月はлипень(リーペニ)、つまりлипа(リーパ)の月だそうだ。
日本語にすると「菩提樹月」ですね。
そらлипаがそこら中うわってるわけだ。
(ちなみに日本の旧暦で、6月は「水無月」)