ロシア語の歌ロシア語で聞いてみるvol.1チェブラーシカ「誕生日の歌」(歌詞和訳)

ロシア語ソング集

アニメ「チェブラーシカ」の名曲「誕生日の歌」をロシア語で聞いてみる。歌詞・対訳・解説。

チェブラーシカ「誕生日の歌」とりま聞いてみよ

まずは聞いてみてくだせえ。1分半。

Песня из мультфильма "Чебурашка". Пусть бегут неуклюже пешеходы по лужам…

誕生日の歌とか言いながらえらい暗いな、と思われたかも知れない。だいたいこんな意味のこと言っている。

雨だけど心はウキウキ、誕生日。でも私は友達いない孤独な人間だから別に誰が祝ってくれるわけでもなく、通りすがりの人が「アイツ雨なのにいやににこにこしてんな」といぶかしむくらいのものだ。ともかく私の心はウキウキハッピー。こんな素敵な日が、しかし、一年に一度しかないっていうのは寂しいことよなぁ。……

なんで歌が暗いかお分かりいただけたかな。誕生日なのに、雨なのだ。誕生日なのに、孤独なのだ。ひそかにウキウキしているが、こんな日は一年にせいぜい今日くらいしかないのである。

チェブラーシカ「誕生日の歌」歌詞と対訳

ではチェブラーシカ「誕生日の歌」の歌詞みていこうか。聯ごとにロシア語の歌詞とその対訳を示す。拙訳は「すっとこどっこい訳」と呼ばれる流儀によるもので、わりと自由に肩の力をぬいて即興的に訳しているが、少なくとも自分でよく意味が分からないところを適当に言いつくろって胡麻化してるものではない

【1番】
Пусть бегут неуклюже
Пешеходы по лужам,
А вода по асфальту рекой.
И неясно прохожим
В этот день непогожий,
Почему я веселый такой?


歩行者の皆さんはおっとっととか言いながら水たまり伝い走ってゆけばよい
水はアスファルトを川のように伝い走ってゆけ
通りゆく人たちには分からない
こんな天気の悪い日に
なんで私がこんな陽気なのか

А я играю на гармошке
У прохожих на виду.
К сожаленью, день рожденья
Только раз в году.


私はというとアコーディオンを奏でております
通りゆく人に一瞥されたりされなかったり
かなしきかな誕生日は
年に一度きり

【2番】
Прилетит вдруг волшебник
В голубом вертолете
И бесплатно покажет кино.
С днем рожденья поздравит
И, наверно, оставит
Мне в подарок пятьсот эскимо.


空色のヘリコプターで
突如飛来した魔法使いが
無料で映画を見せてくれる
誕生日おめでとうとか言いながら
たぶん、プレゼントということで
アイスキャンディ500本くれる

А я играю на гармошке
У прохожих на виду.
К сожаленью, день рожденья
Только раз в году.


んで私はというと通行人にこれ見よがしに
アコーディオンを奏でております
かなしきかな誕生日は
年に一度きり

【ロシア語レベル0~1向け】せめてこれだけ聞き取りたい

ロシア語ぜんぜん知らない人でもせめてこれだけ聞き取れると嬉しかろうと思う、耳に立つ特徴的な音で聞き取りやすい(と思われる)箇所を青マーカーで示す。

Пусть бегут неуклюже
Пешеходы по лужам,
А вода по асфальту рекой.
И неясно прохожим
В этот день непогожий,
Почему я веселый такой?

何丘妻
何丘妻

1番の、「レコイ」と「タコイ」という音が韻を踏んでるのを聞き取ってみてね
ロシア語の歌の歌詞はだいたい脚韻を踏んでいます(語尾をそろえる)
レコイは「川のように」、タコイは「こんなふうに」という意味

А я играю на гармошке
У прохожих на виду.
К сожаленью, день рожденья
Только раз в году.

何丘妻
何丘妻

サビの「ナガルモーシケ」というのが、「アコーディオンを(弾く)」という意味だよ
ガルモーシカ=アコーディオン
動画でワニの人がアコーディオンを弾いてるでしょ

Прилетит вдруг волшебник
В голубом вертолете
И бесплатно покажет кино.
С днем рожденья поздравит
И, наверно, оставит
Мне в подарок пятьсот эскимо.

何丘妻
何丘妻

2番の、「キノー」と「エスキモー」という脚韻、聞き取ってみて
キノー=映画、エスキモー=アイスキャンディ
商標か何かだったんだろうけど、アイスが「エスキモー」てのは面白くない?

ところで、赤マーカーでハイライトしたところは、ロシア語初学者(キリル文字読めます程度の)に是非マスターしてほしい言葉だ。

к сожаленью 残念ながら。日常でも、お誘いを断るときとかに使う。「残念ながら行けません」←ただ「行けない」という直截性を和らげる。英語でいうI’m sorry but..の感じ(多分
день рожденья 誕生日。誕生рожденьеの日день。
только раз в году 年に一度きり。年にв году一度разきりтолько。一般的に、これこれの時間あたり何回というのは「回数+в+対格」。たとえばдва раза в неделю週に2度
бесплатно 無料で。よく使う。対義語「有料」はплатно

【ロシア語中~上級向け】「誕生日の歌」でロシア語のお勉強

次はロシア語的にもう少し高度な話をする。中上級者のロシア語ブラッシュアップに資するところあれと願う。それを言うお前は何様だと言われそうだが、私は語圏に生きてそこそこ長いのと、あと適宜妻(ネイティブ)に聞いたりもしてるので、何というか、そこそこ信頼してくれていい。少なくとも字幕なしで映画を・辞書なしで新聞を読んで8~9割分かる程度ではあるス自分。

Пусть бегут неуклюже
Пешеходы по лужам,
А вода по асфальту рекой.
И неясно прохожим
В этот день непогожий,
Почему я веселый такой?

А я играю на гармошке
У прохожих на виду.
К сожаленью, день рожденья
Только раз в году.

Пусть.. ニュアンスとしては、仕方ない、別にいい、他人は自由にならないもの…という諦念と、よろしい、させておけ、他人は他人で自由におやりなさい…という肯定を同時に示す。訳語としては、こういう場合は個人的には古語の「よしや」が一番しっくりくる。あとは「ままよ」とか
А я.. 構造的には、さっきのПусть~の他人の無関心への容認と、その一方で私はというこのА я(ところでこの私自身はといえば)が対照されている。まぁ、うるさく構造ということを言えばだが
рекой 様態を示す造格。川と(流れる)、川のように(流れる)。время идёт стрелой時は矢「のように」過ぎる
у прохожих на виду 研究社露和にはу кого на виду「~から見えるところで」とある。つまり歌の主人公はストリートミュージシャンさながら車馬轆轆の街区に立ちひとり心楽しく歌を歌っていて、通りゆく人(прохожие)は彼を見るともなく見る、見ようと思えば見る。何しろ彼らから「見えるところで」歌っている
раз в году 上述のように一般的にtにつきn回というのはв+対格だがここではгодが前置格。妻によるとポイントは具体的な日付のあるなしで、漠然と年に何回とかならхожу в море раз в годと対格とのこと
гармошка 厳密にいうと、ガルモーシカとアコーディオンはちがう(下図)

左がアコーディオンаккордеон、右がガルモーシカгармошка。鍵盤かボタンかで違う。ただまぁ微妙な差異なので、日本人ならどちらもアコーディオンと呼ぶだろうように、ロシア人も多分どっちのやつもぱっと見ガルモーシカと呼ぶであろう。

何丘妻
何丘妻

うん、そうであろう。

ソビエトアニメ「チェブラーシカ」について

チェブラーシカ。このキャラクターはどっかで見たことあると思う。ロシアといえばマトリョーシカかチェブラーシカか、てなもんだろう。ロシア人自身もチェブラーシカのことは大いに愛してる。なにしろソビエトアニメが生み出した最大のスターがチェブラーシカ(とわにのゲーナ)だと言っていい。

わにのゲーナ。

人形アニメ「チェブラーシカ」シリーズは1970年前後に3作ほど作られた。のち、キャラクターの使用権が日本にわたったりロシアがまた買い戻したり色々あって、その間にまた数本の近作・新作が作られたりした。

↓シリーズ第1作がこちら「わにのゲーナ」(1969)。

(サムネを押せば動画に飛べる。もしリンク切れしてたら「Чебурашка 1」等と検索)

あらすじ
都市に生きる孤独者ゲーナが「友達募集」と張り紙したら謎生物チェブラーシカだの獅子チャンドルだの色々集まってきた。この街にはこんなに沢山の孤独者がいたのか……とゲーナいささかショック。そこで孤独な人たちが身を寄せ合う「友達の家」を建設することにした。

↓現時点で最新作は、ロシアが2020年に作った「新年のひみつ」だ。もはや人形アニメでなくCGだが、人形ぽい質感が再現されててわりと好きだ。

あらすじ
わにのゲーナとチェブラーシカがモミの木を飾り立ててお正月を祝おうとした(※ロシアではモミの木はクリスマスというより新年祭の風物)ところへ正月気分を台無しにしてやろうと底抜けの悪意もつイタズラ老婆シャパクリャクがモミの木をごっそり盗み出してしまう。でもね新年祭はモミの木に宿るのでなく、それをともに祝う人がいる団欒の場にこそ宿るのだよ……

で、

今回取り上げた「誕生日の歌」は、チェブラーシカシリーズの第2作「チェブラーシカ」(1971)の主題歌。わにのゲーナが「今日は私の誕生日だ、誰も祝ってくれないけど私自身はひとり心うれしいのよ誕生日だから……」と歌っているところへチェブラーシカが現れて、誕生日プレゼントをくれる。そういう場面で歌われる歌。

↓シリーズ第2作「チェブラーシカ」。

(リンク切れしてたら「Чебурашка 2」とかと検索して、19分くらいの動画があればそれ)

チェブラーシカ「誕生日の歌」の話は以上です。

「ロシア語の歌ロシア語で聞いてみる」シリーズの趣旨

最後に、この企画の趣旨の話をしたい。当ブログでは、これを皮きりに、おおよそ今回のような感じで、今後いろんなロシア語ソングを紹介していく。

この企画は何丘のTwitter活動からのスピンオフというか、その補完版である。Twitterで「ロシア語アニソン百夜百曲」という企画をスタートしたのが10/1だった。

↑押すと当該ツイートへ飛べる。

ほんで、今96曲まで来てるので、今日明日で100曲完走しきる見込み。

「百夜百曲」の趣旨は次のようなものだ。

・ロシア語の歌を100曲紹介する。ただし……
・「こどものうた」に限る(※)
・何丘の好きな曲、あるいはロシア人の愛してやまない曲に限る
・狙い①ロシア語学習者に教材を提供する
・狙い②ロシア文化に興味ある人に優良コンテンツを紹介する
・狙い③音楽好きな人に知られざる名曲を紹介する
・各ツイートは「ロシア語全く知らない人でも最低限その曲を理解し楽しめるような抄訳・解説」を目指す
・140字厳守でそれを行う

※「こどものうた」というのは、ロシア語でいうдетские песенки、まあ日本語でいう童謡……というと「ぞうさん」「ちょうちょ」の類を連想してしまうからそうは言いたくなくて、まぁ「唱歌」が適当だと思う。一番しっくりくるのは「みんなのうた」(←NHK)だ。具体的には、ソビエト時代のアニメとか子供向け映画とかの劇中歌が多い。

なんで私がソビエトアニメの歌とかに詳しいかというと、2歳の子供(ロシア・日本ハーフ)によくそういうのを聞かせてるからだ。妻や義父母が聞かせるので私も横で聞いてたら門前の小僧習わぬ経に恋をするというやつで、おー結構いい曲あんなというところから、気づけば深みにハマってしまった。

まだ色々語りたいが、まーもうバシッと決めて終わろう。要するにここから始まる一連の記事は、

何丘Twitterの「百夜百曲」で取り上げた100曲を
記述を大幅に充実させて
改めて取り上げなおす100記事である

具体的には、各記事に「ロシア語歌詞全文・その対訳・ロシア語のお勉強ノート・出典となっている映像作品の紹介」を付する。

非常に有益でユニークなコンテンツ群となるであろう(自画!)

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