ロシア・ウクライナのクリスマスと正月~新年祭の過ごし方~

オデッサ/ウクライナ/ロシア

ロシアのクリスマスとか正月について日本人と話すときいつもモヤモヤするのは、出てくるキャラとか生じるイベントは大体共通しているのに、その様態とかタイミングとかが微妙に異なっていて全部はよう説明しきらんからである。この記事でそうしたモヤモヤを一掃したい。

初級編①正月の後にクリスマスが来る

まずは基本的な事項。

ロシアのクリスマスは1月7日である

日本人の感覚だとクリスマスが来てそのあとお正月って感じだが、ロシアはこの逆である。まずは年が明けて、そのあとでクリスマスが来る。

このへんは「へー」で済むと思う。理解するのはそう難くない。

初級編②マローズ爺さんと雪娘

ロシアにはサンタクロースはいない。かわりに……

「マローズ爺さん」がいる

やることは同じで、良い子にプレゼントをくれる。造形もほぼ同じ。単に一つのものを違う名前で呼んでいるものと思っていい。

マローズ爺さんはしばしば助手として「雪娘」を伴っている。セットで大体こんな画になる。

それで人手が足りないようならもう一人、「雪彦」(雪だるま)もお手伝いをすることになっている。

(снегурочкаが雪娘ならснеговикを雪彦と訳して何が悪かろう)

~coffee break~

大前提として、ロシア人は新年を大いに祝う。一年で一番盛大に祝うお祭りだ。子供はプレゼント貰えるし大人は仕事休みになるし。アルコールの消費量も年間でこの期間が最多である。

ロシアだと元日(1/1)からクリスマス(1/7)までは連休となるのが普通だ。勤め先によって・曜日の巡り合わせによっては10連休とかも珍しくない。

ウクライナはそこは渋くて、まぁこれも勤め先によるだろうが、祝日は1日と7日のみ。義父は31日まで働いて年明けは3日から出勤している。そのかわりウクライナはカトリックのクリスマス(12/25)も休みだ。

中級編①正月とクリスマスを含めて「新年祭」

さて、もうちょい込み入った話を始める。経験上このあたりから日本人に理解される率がグンと下がる。

まず、ロシアでは正月とクリスマスが切れていない。<新年祭>というひとつづきの祝祭があって、いわばそのパート1が正月、パート2がクリスマスである。

この点は日本と好対照だ。日本はほれ、クリスマスと正月は全く雰囲気の違う全然別個のイベントでしょう。街やスーパーのBGM・内装が一夜にしてガラリと豹変するのは浅ましいを通り越していっそ清々しいほどだし、気分もテンションも画然と切り替わる。しかし(改めて)

ロシアの正月とクリスマスは連続一体的な<新年祭>を構成する

よく知らんのだがこれは実は西欧でも同じなのではないか。ジョンレノンの「Happy Xmas」という歌でもニューイヤーとクリスマスがいっしょくたに祝われてるだろう。

So this is Christmas
and what have you done?
Another year over,
a new one just begun
(中略)
A very Merry Christmas
And a happy New Year

要するに日本が特殊なのだと思う。正月という土着の(非常に強力な)祝祭に隣接してクリスマスという舶来の(これまた商業ドリヴンの非常に強力な)祝祭があり、水と油のように界面不活性なのは。

だがそれゆえに、たとえば次のような質問を受けたときに、私は返答に窮す。

岸田
岸田

(もう12月半ばだけど)
そちらもクリスマスムード盛り上がってる?

違うのだ岸田よ。盛り上がってるのは新年祭ムードなのだ。第一に当地では正月とクリスマスは一体をなすものとして観念されており、第二に当地では前者が後者に先行するゆえに……(だがそんな説明は面倒くさく、「うん、まあね」と答えて終わる)

中級編②ツリーは実は「新年祭ツリー」

ロシアでもツリーは飾る。街のそこら中に立ってるし、私らの自宅やダーチャにもことごとくツリーがある。

左から、私らの自宅のツリー(人工)、ダーチャのツリー(モミ)、団地のツリー(松)。

だが先ほどの伝で、これはクリスマスツリーというより、新年祭ツリーなのだ。正月前に飾り立て、旧正月が終った頃に撤去する。ロシア語的にもновогодняя ёлка(新年祭ツリー)であって、рождествеская ёлка(クリスマスツリー)とはあまり言わない。

呼称についてのマニアックな注1
しかし革命前は、むしろクリスマスツリーという言い方が普通だったようだ。ソ連時代に年中行事の脱宗教化という名の上からの言語改革が行われ「これからはクリスマスツリーでなく新年祭ツリーと呼ぶことにしましょう」ということになった、それが今に尾を引いている、とのこと。

呼称についてのマニアックな注2
ёлка(ヨールカ)というのは本来「モミの木」だが、新年祭ツリーとしては、松のこともふつうにヨールカという。モミはぼろぼろ葉が落ちるのと、あと松の方が長持ちするので、自宅に飾る用としては松も好まれる。

ちなみにツリーを出すタイミングはかなり遅い。そして片付けるのも遅い。12月半ばくらいに出して、1月半ばくらいに片づける。ひどいと1月一杯ずっと出ている。

これは正教のクリスマスがカトリックのそれより2週間遅いからで、ツリーはやはり本質的にはクリスマスツリーなのだ……という説明も可能かもしれないが、個人的には、単にこっちの人の気質(ギリギリまで出さず、出したら出したでギリギリまで片づけない)という気がする。

何丘妻
何丘妻

あと、基本的にロシア人は前祝いを嫌います
たとえばロシア人は誕生日を前祝いは絶対にしないよ
当日会えないからって前日に「一足早いけどおめでとう」とかは絶対に言わない。縁起が悪いとされている

アキラ
アキラ

とはいえ新年に関しては「よいお年を」的な挨拶は普通にかわす
そしてマローズ爺さんの到来も、しばしば年明け前なのだ(後述)

中級編③マローズ爺さんが来るのは「正月」

先ほど初級編にてこう言った。

・ロシアにはサンタクロースはいない
・かわりにマローズ爺さんがいる
・両者の機能は同じである
・造形もほぼ同じである
・両者は単に同じひとつのものの異なる名であると言っていい

だが中級編に入った今はもう少しあなたを混乱させる事実を付け加えさせてもらいたい。マローズ爺さんはクリスマスでなく、正月に来る

そう、実はマローズ爺さんは、サンタクロースの双生児であるくせに、正月のキャラクターなのだ。従って、良い子がプレゼントをもらうのも、クリスマスでなく正月である。

サンタクロースの場合
クリスマスイブ(12/24)にひそかにやってくる
翌朝、子供が起きてみると、靴下の中なりツリーの下なりにプレゼントがある

マローズ爺さんの場合
大晦日(12/31)に堂々とやってくる
子供たちに直接プレゼントを手渡す

タイミングは年明け前だったり年明けてからだったり、家によっては「朝起きるとツリーの下にプレゼントが」というパターンだったりもするらしいが、少なくともクリスマスには来ない。そこは堅い。

たとえば何丘家にはどんなふうにマローズ爺さんがくるか。実例は次章「上級編」にて。

中級編④ロシアのそれはそもそも「クリスマス」?

そもそもの話として、ロシアのそれをクリスマスと呼ぶことに、個人的に一抹の抵抗がある。

ロシア人自身はロシアのそれをラジジェストヴォー(рождество)と呼ぶ。日本人もしかしたらクリスマスという語は欧米全土の共通語と思っているかも知れないが、全然そんなことはない(私のちょっと齧った英仏独西露語の中でクリスマスをクリスマスと呼ぶのは英語しかない)。日付も様態も異なるソレを、またロシア人自身は全然異なる呼称を使ってるのに、なんでクリスマスと呼ばなければならないのか。

つうわけで個人的には「降誕祭」の方を好ましく思う。日本ハリストス正教会の呼称。

基本的に同教会のもって回った語用が私は好きでないのだが、「降誕祭」は私としては受け入れやすい。ゴーゴリ「降誕祭の前夜」等でなじみ深いし(※私は文学からロシアに入った)

とはいえもちろん、それを人様に押し付ける気はない。日本人との会話の中では「クリスマス」と私も呼ぶ。だが内心モヤッとはいつもしている

~vodka break~

うちのツリーオーナメントをちょっと紹介。
こういう丸い珠を無数に下げる。あとお人形も吊るす。
右下がくるみ割り人形。このぞっくりした歯列で堅いクルミを噛み割るわけね。

マローズ爺さんはしばしば衣装が青い。赤7の青3てとこか。
国粋主義者はアンチサンタということでマローズを青く描きたがるが、
雪娘が青き衣なので取り合わせとしてどうしても爺さんの方は赤が多くなる。

上級編①ロシア人の正月の過ごし方

ここからは上級編ということで、ロシア人の大晦日と元日の過ごし方を具体的に見ていく。

とはいえ、こんなものは全く人それぞれである。ある人は家族でしっぽり、ある人はパーリナイ。私はモスクワとオデッサにおける自身の8回4パターンの年越し体験と、伝聞それから本や映画の知識を踏まえて、知る限りのことを語るに過ぎない。「こんなものは全く人それぞれであるが……」と以下一々断らないが、まぁそういうことでよろしく。

(※読み返してみて思ったが、以下の記述は相当にマニアックで、読み疲れする。基本的な事項はここまでで既に語り終わってるので、具体事例にそこまで興味ないよという人は、以降は肩の力を抜いてさーと走り見していただいて、お好きなタイミングでご退場ください)

どんな音楽聴くか

新年祭中の店だのカフェだののBGMはWHAM!のラストクリスマスでありマライヤキャリーのAll I want for Christmas is youでありジョンレノンの例の曲であり、日本と何ら変わらない。

だが日本でいうキットキミハコナイとか広瀬香美みたいなドメスティックな冬ソング・新年ソングもロシアにはロシアのそれが当然あって、

↓たとえばこの「あと5分で新年」という歌とかはロシア人大好きだ。テレビつけてるとよく聞こえてくる。※サムネ押すと動画へ飛べる

↓私の守備範囲の子どもの歌だと、たとえば某ソ連アニメの挿入歌とか

↓某子ども向け映画の劇中歌とか、色々ある。

これら楽曲は何丘Twitterの「ロシア語唱歌100選」で取り上げた。キャプチャ画像タップで当該ツイートに飛べ、そっから当該曲YouTubeに飛べる。

(「ロシア語唱歌100選」はTwitter上でロシア人の愛唱歌を100曲紹介しており、100曲全部同一スレッドにぶら下がっている。ロシアの社会風俗文化に興味ある人やロシア語学習者にガチでおすすめ。⇒ こちら

どんな映画観るか

日本人が年末恒例行事として第九を聞くように(余談ながらマスクで第九は笑いました)、またアメリカ人がもしかしたらクリスマスには映画「ホーム・アローン」を見るように、ロシア人もお正月に決まって見る映画ちゅうものがある。少なくともテレビでは必ず絶対に放送する。

それがこれ、「運命の皮肉、あるいは『よいお湯を』」というやつ。

まぁその主題歌だけでも。美しい曲です。「とねりこの木に私は尋ねた」

ロシアはソフトパワーの発信に力入れてるのか何か知らんがこの種のコンテンツを大量無料公開していて、この映画もYouTubeで全編見られる。日本にいるロシア語学習者が「教材がないので勉強できません」という言い訳は全く通用しない時代になった。

ゼームス
ゼームス

実際こんなん教材にするのは悪くないと思う。字幕出るみたいやし。いわゆるкрылатые фразы(引用向きの名言)も多いので即戦力の語彙セットが手に入ると思うます

どんな芝居見るか

日本人が年末好んで第九を聞くように(ちなみにマスクで第九は笑いました)、という譬えはむしろこっちでやればよかった。第九のかわりにロシア人は劇場行ってチャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」を観劇する。

私らはモスクワ住んでたとき一回ボリショイで観て、オデッサ来てからはオデッサのオペラ劇場で毎年観てる。こちらはそういうの安いので(その分質は低いのかも知れないが)。

語学マニア向けの注
くるみ割り人形はロシア語でЩелкунчик、ウクライナ語でЛускунчикという。щёлкатьもлузгатьも「くるみの殻を割って中身を取り出す」の意

何飲むか

12時まわったらシャンパンを開けて祝うというのが定番だと思う。うちは義父がワイン作ってるので平生から飲用するアルコホルの9割はワインだが、年明け最初の乾杯はシャンパンでと決まっている。逆にこのときを除いて年間でシャンパンを飲む機会はない。

去年買ったオデッサ地元産のやつ。めっちゃ安いやつ。「そういうのはシャンパンとは言わない」という指摘はもっともだが、ロシア語的には葡萄で酒で発泡してれば漏れなくシャンパンなのである。

ウォッカに関しては、ロシアといえばウォッカというイメージだろうが、……どうだろうな。

うちはウォッカ飲みとウォッカ嫌いの中間、基本飲まんがノリ次第では飲まんこともない勢で、一応何かのときのために戸棚に一本常備してはある。たとえば今回の年越しは義父義兄私と男が3人揃ったので流れ次第では50g(という言い方をする)イッてもおかしくなかったが、たまたまその流れにはならなかった。だが去年あたりはイッてたかも知れない。よく覚えていない。

何食うか

静かの海の向こうなる蛮族アメリコス人はクリスマスに「トルコ」とか称する肉食をするらしい。何やら野蛮な感じがするね。そこいくとロシア人はエレガントで、正月というとサラダを食べる。かわいない?

たとえばこのオリヴィエというサラダは新年祭に食うべきサラダとされている。じゃがいもと卵ときゅうりのピクルスとちょっとした肉片とグリーンピースそしてにんじんをマヨネーズで和えた、別にどってことないサラダで、作ろうと思えば別に新年じゃなくてもいつでも作れるし、実際わりと作ったりする。にも関わらず新年祭のサラダという位置づけだ。よくわからない。

これはちょっと外見だとよく分からないと思うが、いわゆる毛皮を着たニシンというやつで、酢漬けのニシンとかじゃがいもとか色々が層になっている上にビーツ(この毒々しい赤)の層を重ねて、それがまぁ「毛皮を着ている」ということなのだ。ご覧の通り見た目ハデな大技なので、これもハレの席の料理という位置づけだ。いうて新年でなくても食べるけど。

ちゅう具合に、サラダばかり並びがちな食卓ではあるかもしれない。もっとも、ジャガイモが主体なのと、マヨネーズが結構かかってるので、カロリーは非常に高い。

あと、イクラとか、(イクラは本来ロシア語であるが)普段は食べない高級食材が使われがちでもあると思う。

マローズ爺さんが現れる

某時某分、マローズ爺さんくる。

まあ正体を言ってしまうとこの白髭赤帽子の人は私の義父なのだが。と私が言ってしまうと義父が傷つくことを知っているので、私は言わないのであるが。(ごめんね義父、じつは知ってる・・)

マローズには大体決まった口上がある。

マローズ
マローズ

К вам пришел издалека
遠い道のり歩いてきたわい
Моя ноша не легка
担いだ荷物は軽ぅないわい

荷物というのはもちろんプレゼントをどっさり詰め込んだ担い袋のことである。

しかしマローズ爺さんはタダではプレゼントをくれない。そこは文学の国ロシアである。「何かひとつ詩を暗唱してみんさい!」と課してくる。言えねばプレゼントは貰えないのである!

だがうちの太郎は2歳にして早やチュコフスキー童話を数篇そらんじてるので難なくパスした。私を含め大人たちも全員パスした。私たちはマローズからそれぞれプレゼントをもらいほくほくだった。

このときそうさな、夜の10時くらいであったか。家庭によっては12時を回って新年を迎えるまでプレゼント開封厳禁だったりもするそうだ。もちろんすべての家にマローズが来るわけでもない。

プーチン

ロシア国営第1チャンネルで23時55分くらいからプーチンの一年をしめくくる挨拶が始まる。生放送ではないが臨場感がある。私はプーチンが死ぬほど嫌いだがかれこれ10年くらい見続けてるので今年も見た。興味ある人はこちらからどうぞ。プーチンのロシア語はきれいだし聞き取りやすいので学習者にも勧める。

プーチンの演説は必ず23時59分に終わるようになっている。んで0時00分、クレムリンの大時計が高らかに時鐘を響かせる。そのあとにABBAの「ハピーニューイー」が朗らかに歌い出され・・もとい、扇情的なロシア国歌が合唱されて私に虫唾が走る。

なお、その1時間後にはウクライナ国営テレビにてウクライナ大統領の一年をしめくくる挨拶が始まる。私はオデッサに移住してからの3年はこちらも欠かさず見ている。こちら

プーチンの方と見比べてもらうと(聞き比べる必要はない、ただ画ヅラだけ見比べてもらえれば)ロシアとウクライナの打ち出す国家イメージの違いが鮮明に分かると思う。

なお今回、ゼレンスキーは演説の9割9分をウクライナ語で行い、とあるひとフレーズのみをロシア語で述べた。(虚仮野郎め。自身の半身に対し一体なんという態度をとるのだ)

(誰も興味ないと思うけどロシアとウクライナに対する私のアンビバレントな想ひについてはこちらの記事を)

花火が上がる

さあ12時を回った、新年だ、明けましておめでとう!のタイミングで花火がばんばん上がる。

日本の花火大会みたいなオーガナイズされた花火ではない。各戸各人てんでに上げる。チャチな打ち上げ花火なので、見て美しいものでは全然ない。ただ大きな音が鳴るだけ。打ち上げる方はそれでなかなか楽しいのだろうが、カラの容器ほど大きな音を立てるの類である。

なお、モスクワではもうそういうのは禁止されて久しい由だ。ここオデッサではガンガン上がる。近所迷惑という概念がまだ発達していないのだ。

私らはというと、幼な子もいることであるし、静かに線香花火でお祝いします。ぱちぱちぱち……

今年もよい年になりますように。

上級編②ロシア人のクリスマスの過ごし方

1月7日がクリスマス(降誕祭)である。

この章は短い。どうしても宗教的な話になるので、あんまり自分の話したくないのと、深入りしだすと説明も大変なことになるので。さーっとひと刷毛でロシアのクリスマスを素描するにとどめたい。

イヴは家族でしめやかに

正月がウラー(イェー)な感じなのに対してクリスマスは家族でしっぽりしめやかに祝う。花火も上がらない。

こちら私たちの今年の食卓のようす。別段のこともない。ワイン飲んで、ちょっと豪勢な食べ物たべる。中央黄色いのはいわゆるミモザサラダ。スープはサリャンカ。※どちらも別にクリスマスだからといって食べるものではない

特別なたべもの

イヴにはこういう穀物とドライフルーツの粥を食べる。クチヤーという。全然おいしくない。黒いつぶつぶはケシ粒。

あと、こういうドーナツ型の(シールで見えないけど中心に穴が開いてる)パンを食べる。カラーチという。ぱさぱさして全然おいしくない。

スーパーのカラーチ売り場。7日(降誕祭当日)の昼に撮った。すでに値引きシールが貼られてる。

風物詩の映画

さっきもその名に言及したが、ゴーゴリ「ディカーニカ近郷夜話」集中「降誕祭の前夜」に何丘家はえにしが深く、その映画版を決まって見る。見るっていうか、テレビで流しといて見るともなく見る。

↓これまたYouTubeで全編無料で見れる(クリック/タップで当該動画へ)

コリャダー(歌めぐり)

上掲映画に出てくるが、特にウクライナで、若い衆がグループを組んで歌を歌いながら家々を訪ね歩き、お菓子をねだる風習がある。コリャダーколядаという。北米のハロウィンの習慣に似ている。

映画の20:00~21:30あたり見てもらうとわかりやすい。

↑左上より時計回りに①練り歩く②降誕祭をことほぐ歌を歌う③家人、小窓よりカラーチ差し出す④ハッピー。画像クリック/タップで動画20分めあたりに飛べます。

ウクライナでも都市部ではまず行われないと思うが、私らのダーチャのある村では今もリアルにこうしたことが行われている。

十字行

先ほどの歌めぐりは民衆の習俗だが、こちらは教会の行事。十字行(じゅうじこう)といって、十字架やイコンを掲げた聖職者に先導された信徒たちが、教会のまわりをぐるっと一周する。上掲はWikipediaから借りた写真、これはパスハ(復活祭)の際のものらしい。私自身は降誕祭前夜に真っ暗な中で行われるものに一度だけ参加した。

↓そのときの雰囲気はおおよそこんな感じであった。※適当な拾いものの動画

当日、教会へお参りに行く

ほんで降誕祭当日は最寄りの教会に行ってお祈りをする。

礼拝は長時間(終日?)ずーっと行われてるので、私たちの場合だと、適当な時間に行って5分10分くらい過ごして帰ってくる。敬虔な信徒さんなら何時間でも参加するのかもしれない。

興味ある人はプーチンの今年の礼拝の様子でも覗いてみては如何(こちら)。ただし、こんな貸切なのは特殊な例。

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まとめ
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なんか色々語ってしまったが、この記事から最低限これだけ持ち帰ってくれたら本望だ。

・ロシアの新年祭は①正月②クリスマスの二部からなり
・ツリーもサンタもプレゼントも①のアトリビュートである

以上。

最後に、この記事を通じて私がロシアという言葉に「ロシアとウクライナ」双方を代表させてしまったことにつき、なんというか、ウクライナに謝りたい。ひとえに記述の煩雑を避けるためだった。私は分離主義者でも大ロシア主義者でもない。了

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