海外在住でありNETFLIXもAmazon Primeもない何丘は、娯楽といえば専らYouTubeである。
平均して、日に1時間はYouTubeを見ている。そんな中から面白かったものを7コ選んでご紹介する。いずれもこの1か月のうちに視聴したもの。
※並び順に特に意図はありません
【思想】宮台×波頭
面白かったが、「結局なにを学びましたか」と問われると、返答に窮す。
私は文学部にいたので、ここに出てくる思想家・哲学者の名は、全部一応馴染みである。馴染みというのは、その名が言及される場面に何度か立ち会っている、というだけで、実際にその人たちの著作を読んだわけではない。
学生時代に読まなかった。その後の人生でも読まなかった。読んでいれば、こういうふうに語れる、こういうふうにものが分かっている、人間の仲間入りができたか。
二重の意味で、否。私は頭が悪いので、たとえ読んだ(全ページに目を通した)としても、賢くはなれなかっただろう。また、げんに読んでいないのだから、読まなかったであろう。何度人生を繰り返しても。
今年はウェーバー没後100年という。それに合わせて入門書が何冊か刊行されたようだ。ええと、岩波および中公新書。これとプロ倫をついには読んで、賢く?この私でも、今からでも、それは可能か?
いずれにしろこの動画を見て、いい意味で、自分は何者でもない、と思えた。学生時代の感覚。あと、超弩級のインテリは逆にメガネかけない説。
【宮迫】アンジャッシュ渡部の記者会見
芸能は知らない。基本どうでもいい。だが結局私も醜聞が好きなのだ。この稀代の醜聞にどうしても関心を持ってしまう。
公衆便所援助交際が露見して謹慎していた芸人が「禊」の記者会見、その形式は(初めて知った言葉だが)「囲み」であり、参加したのは女性レポーターばかりだそうだ。
この全てが醜い。「醜聞」と私が言うのはこの意味だ。全く驚く。まともな感覚ではない。完全に狂ってる。テレビ、芸能、腐りきった世界だ。公然たるいじめショー。人を自殺に追い込む国。渡部が気の毒だ。あえていうが、渡部がしたことは全然大したことではない。配偶者が美人女優「だからいっそう罪が重い」というのも滅茶苦茶な話だ。世の男性の犯しがちな小悪に過ぎない。罪と罰が全く均衡を失している。社会が誰かをいじめたい気分だったときにたまたま好個の材料を提供してしまっただけ。露見してやり玉に挙げられてしまったのが不運というほかない。
宮迫はヒロイックに喋ってるが(「勇気をもって否という」感じ)、この温度感にも正直共感できない。だが、宮迫の立場としてはそらそうなるか。こんなことを言うのに勇気が必要なこと自体が気持ち悪い。私は局外者なので、ただ静かに、冷ややかに、ことの全てに「引いて」いる。
【ロシアのTVドラマ】ОТТЕПЕЛЬ
ロシアのTVドラマを見た。全12回。YouTubeで全編無料で見れる。ありがたいこと。ロシア語ができる人は絶対見た方がいい。
タイトルのОТТЕПЕЛЬ(オッチェペリ)は「雪解け」の意味。歴史の時間でやりましたでしょ、スターリン死後の「雪解け」の時代。
どんな話か。一言でいえば、60年代ソ連の映画人たちの青春群像劇。恋、恋、そして恋。「映画をめぐる夥しい会話、多くの出来事、5プードの恋」(チェーホフ)。
地味といえば、地味なのかもしれない。世界を揺るがすような大事件は起きません。CGはおろか回想シーンさえなし、ただ淡々と現在が進行していく。
ただ、芝居の上手さには舌を巻く。もうそれだけでずっと見てられる。ロシアのリアリズム演劇の伝統とはすさまじいものだ。完全にひとつの世界が出来上がっている。そのこと自体が感動ものであった。
これと同時に見始めた半沢直樹(2020年版)の方は、馬鹿馬鹿しくなって途中で止めてしまった。まったく子供騙しもいいとこ。13年版は楽しく最後まで見れたのだが。
ら抜き言葉すいませんね。
【歌】Mariah Carey – Underneath the Stars
11月はこればっか聴いていた。この音、これぞ90’s。そして90年代のマライアの、なんだろうな、この煌めきって。たまらない。
本当、なつかしくて、たまらない。昔よく聴いた曲、というわけではない。このほど初めて知った曲だ。にも関わらず、途方もない郷愁を覚える。
誰かのコメントにもあったが、サムネの薄紫のワンピースがまた、若いマライアに実によく似合っている。世が世なら俺の嫁…。
【江頭×宮迫】バンジージャンプ
おっさんの友情。えらい感動した。
男女の間で友情が成り立つか。分かり切った話だ。では「おっさん同士の友情は成り立つか」。21世紀はこれがアクチュアルなテーマだ。
私はもともと芸能人とかお笑い芸人とか興味ない、むしろ嫌いであった。テレビなんて下らない、自分は選民だからテレビなんか見ない、正確には「民放なんか見ない、NHKは見る」。だが今はもうはっきり宮迫のファンだ。チャンネル登録もしてるし、新作が出たら3回に1回は見る。つまり3分の2はそれでもつまらない。
その宮迫がこんなに喜んでいて、その宮迫を、江頭氏こんなに応援してくれて、こちとら本当にほっこりした。江頭飛びますのシーンのテロップには思わず涙ぐんだ。ありがとう江頭氏。宮迫のことこんなに応援してくれて(何様)
前編の3番勝負はいかにもテレビのバラエティのノリであーこういうの嫌だなと思ったが、見てたらふつうに面白かった。宮迫、ちゃんと「芸人」だよね。そして、宮迫がこんなに嫌がってるバンジーを、結果跳ぶことにならなくて、本当によかった。江頭氏も無理に跳ばせようとしなくて本当に助かった。そのことでも「ありがとう江頭氏ぃ~」としきりに感謝していた私だ。
そして、何より、つっつんのジャンプ。正直アイフォンなくしたりなんだりの件であんまりこの人のこと良く思ってなかったのだが、さすがに評価爆上がりですよ。天晴れ。
【宮迫×中田】手越祐也(Win Win Wiiin)
鳴り物入りの「新番組」。思ったほど面白くなかった。でもたくさん視聴されて、話題にもなったようで、良かった良かった。私は今やすっかり宮迫と中田のファンなので、二人がこんなに気持ちを入れてすごい準備もしてやっと世に出た作品が大向こうに受け入れられて、そのこと自体が嬉しい。
私は、言ったけど、そんなに面白くなかった。手越とかいうやつに別に魅力も感じなかった。むしろ調子のいいいけすかないガキだなと悪印象だった。だがおそろしい美青年だとは思う。
出だし、中田が緊張してるのが分かった。そんなことあるんだ。ていうかそれほどまでのことだったんだね。でも全体としてつつがなく、そこそこ面白く、最後まで漕ぎつけていて、もちろん退屈はしなかった。次回はきっともっと面白い。
中田のほうの「公開後所感」みたいな一人語りの動画も見た。相方の宮迫のことを「尋常じゃないプレイヤー」「お笑い日本代表みたいな人」と激賞していて、そのことにまたニヤけました。本当にその通りなんだろう。
【中田】約束のネバーランド
中田の極悪ネタバレ漫画紹介シリーズ。ネタバレしますよ!との警告もなく、文字通り最後まで、最後の最後まで語り切ってしまう。おいおい、ウソだろ、まだいくのか、えっ最後までいっちゃうの、いっちゃうの、いったー!!
というのを承知で見ている。「進撃の巨人」のときは、見終わった後「本当にこれ見ちゃって良かったんだろうか」と一抹の後悔があったのだが、今回はもう、漫画読むよりこれ聴く方が面白いかもしれないと思った、というか、名人芸を聴き切りたい誘惑にあらがえなかった。
結果、後悔はありません。読む前にぜーんぶ知っちゃったけど、正直満足感しかない。むろん読む。2年後日本帰ったら(※何丘は妻の里帰り出産/子育てでウクライナに住んでいます)キメツも進撃の巨人も約ネバも必ず読むが、
そういう終わり方か。それは泣く。それは泣くよ。私がうるっときたそのタイミングで、中田も目頭を押さえた。そのことにまたダブルで感動。な、そら泣くよな、中田。そら語ることは物語を生きることだものな。中田の話芸が空疎なものではないということだ。その涙はレイの、エマの、えーとあと誰、ホフマン(合ってる?)の、涙よな。