コロナと「地球の歩き方」と何丘

その他

「地球の歩き方」がコロナでピンチなんだそうだ。

思えば「地球の歩き方」にはお世話になった。思い出語りをしてみたい。

事業譲渡で「地球の歩き方」の版元が変わる

先日NHKのニュースサイトに「地球の歩き方」を襲った新型コロナという記事が載った。

それによると、「地球の歩き方」を出版しているダイヤモンド・ビッグ社が、出版事業を学研に譲渡するのだそうだ。

出版事業を学研に譲渡、と太字で書いたが、正直何のことか分からない。事業を譲渡?てどういうこと? なんでも、別に「地球の歩き方」が廃刊になるわけではなく、今後も刊行は続くのだそうだ。なら別に……いいのか?

とはいえ、コロナで「地球の歩き方」が大打撃をこうむってるのは確かなようだ。まず、①売れない。そりゃそうだ。旅行しないんだから誰も。旅行の需要が減ったんだから旅行ガイドブックへの需要も減るさ。

そして②、現地取材ができない。「地球の歩き方」は現地からの最新情報を加味して毎年改版されている。でもコロナ禍で現地の情報が調達できなくなり、アップデートができなくなった。

何丘と「地球の歩き方」①旅行で実際にお世話になった

思い出語りを始めたい。
何丘は、少なくとも次の5冊に現実的にお世話になっている。

※書影は「地球の歩き方」HPよりキャプチャ。


「お世話になった」とはどういうことかというと、これらの国に行く前に、当時の最新版を購入して、徹底的に読み込み、旅程を立てて、そのあと必要なページを破り取って実際の旅行に持っていき、現地で適宜参照した。

何丘と「地球の歩き方」②妄想旅行でお世話になった

私の海外旅行経験は欧州に偏っている。てか欧州しか行ったことない。

でもそれはたまたま海外旅行に目覚めたのが私がモスクワで暮らしてる期間のことで、モスクワから西欧諸国へは(地理的に)容易にアクセスできたからで、別にアジアとか中南米とかアフリカに興味がないわけではない。

さりとて中南米は、またアフリカは遠い。そこでまた「地球の歩き方」である。図書館で借りて眺めて妄想旅行を楽しんだ。

※同じく、書影は「地球の歩き方」公式HPよりキャプチャ。

ざっと以上のような国に私は遊んだ。地球歩きした。(妄想でネ)

「地球の歩き方」の優れている点

私は他にも日本で売られている、またロシアで売られているたくさんのガイドブックを見たが、「地球の歩き方」は圧倒的に優れている。3つの点で。

⑴情報量が多い

小さい街まで取り上げる。たとえばスペインなら、他の凡庸な薄い本だとバルセロナマドリード、トレドセゴヴィア、でコルドバセヴィリアグラナダ、あと何だろうサンチアゴデコンポステーラくらいか。だが「地球の歩き方」は、あいだあいだの小さい街まで相当数取り上げて、ちゃんとその街の歴史的意義、輩出した文化英雄、見るべきもの食うべき店を紹介してくれる。だから好き。

⑵情報の質が高い

日本で売ってるガイド本は「グルメ」と「ショッピング」に偏重しすぎだ。でかでか写真を載っけてびかびかにデコって、とりあえずこれを見るこれを食うここで写真を撮ることがすなわち「そこへ行った」ということの意味である、と規定しすぎ、押し付けすぎ、レール敷き過ぎ。
「地球の歩き方」にも名産品の紹介はあるが、ちょうどその押しつけがましさの感じがない。そのかわりに、その街その街のそれこそ歴史的意義とか、街ごとにどういうポイントで・どういう感性で楽しめばいいのかをサジェストしてくれる、そういうしっかりした記述がある。手元に現物がないのでちょっと曖昧な言い方になりますが。 ♡好きです♡。 要するに、そゆことです。

⑶軽量である

ロシアで売ってるガイド本に多いのが、上質紙を使い過ぎてムダにページが厚く、本が重い。その点「地球の歩き方」は、紙が薄い。薄くて上質である。あれだけのページ数の本として、驚くべき軽さである。
おそらくだが、旅行に携行されることを前提に、版型から紙質まで、見やすい・嵩張らない・持ち重りしない本とはどういう本か、詰めに詰めてのあの形であるはずだ。

「地球の歩き方」のダメな点

とはいうものの、「地球の歩き方」とて完全無欠ではない。少なくも3つの欠陥がある。

⑴誤情報

情報が間違っていたり、致命的に不足していることもある。旅先で「畜生、本に騙された!」と臍を噛んだことも何度か。

でも、それはまぁ仕方ない。神ならぬ人のわざ、完璧など求めるべくもない。重要なのは次だ。

⑵誤情報通報への対応

私が実地で発見した重大な誤情報について後日、旅から帰ってから、編集部に報告したことが2度ある。
繰り返すが、重大な誤情報についてだけ。細かいことは言わない。さすがにこれは旅人を迷わせる、私のような泣き目を次の人も見る、と思ったから、あえてメールした。「地球の歩き方」ファンなればこそだ。

でも返事がなかった。2度とも。それは正直、どうなんだろうと思う。

でも今回、実は小さな出版社がやっていた本なのだと知って、まぁそれならしょうがないのかな、人手が足りてなかったんだろうし、と思った。

だからそれは良い。重要なのは次だ。

⑶電子版への対応が遅い

このことについては私はハッキリ「地球の歩き方」編集部を恨んでいる。いま公式HPを見ると一通り電子書籍版が揃っているようだが、私が「地球の歩き方」を一番必要とした2012~2016年あたりは、ようやくドイツフランスあたりの人気タイトルで電子版が出始めたくらいだった。技術的にはもっと早く全然可能であったはずなのに、なんでそんなに電子化に及び腰だった?

旅行ガイドブックこそは他のあらゆるジャンル(小説・ビジネス書etc…)に率先して電子化すべきだったのではないか。

たしかに「地球の歩き方」は携行を前提に作られていて軽い。重さ当たりの情報量でいったら斯界随一なのは間違いない。だがそれでも、キンドルよりは重い。複数国にまたがる旅で、「地球の歩き方」が二冊以上になる場合はなおさらだ。

そこで私などは必要なページだけを破り取って携行することになった。いうてナカナカに美しい造本である。書物破壊などできればしたくなかった。だからもあって、げんにいま、手元に一冊の「歩き方」も残っていない。全部破壊して、捨てちゃったんだよ。

何丘と「地球の歩き方」のこれから

私と「地球の歩き方」の関係は今後も続く。さしあたり3つの次元で。

⑴地球の歩き方「ロシア、ウクライナ他」を注文済み

申し遅れたが私・何丘はウクライナに住んでいる。そのウクライナについて「歩き方」はどう書いているんかなと気になったので、(今回のニュースとは全く関係なく)Amazonで購入し、船便で送ってもらっている。到着待ちだ。

ウクライナは弱小すぎるのでロシア他との抱き合わせの一冊。全548ページ!うち500ページくらいを占めてそうなロシア、うわ要らねーなと一瞬思ったが、考えてみると長く住んだロシアについても私は「歩き方」目線で眺めたことがなかった気がする。到着が非常に楽しみだ、早く手に取って見たい。

⑵地球の歩き方「東京」をカートに入れた

くだんのNHKのニュースで知ったのだが、東京五輪2020にあわせて、シリーズ初の「東京」編が出ていたらしい。「地球の歩き方」が東京をどう料理するか、ファンとしては非常に興味がある!! カートに入れた、というのは実はウソだが、心の中では入れた。そのうち是非読みたい。

※書影ダイヤモンド社HPよりキャプチャ。

⑶今後の人生でも大いにお世話になるだろう

出版社が変わっても「地球の歩き方」は存続するそうだ。とはいえ出版社が変わるのだから、内容とか形態とかが軽く刷新されることもあるか?

願わくば、慣れ親しんだあの感じ、表紙のスタイルとか全体のレイアウトに、あまり変更が加わらないことを。そして情報の質と量が損なわれないことを。

ほかにこれに匹敵する旅行ガイドが現れない限り、私と「地球の歩き方」の関係が今後も続くことは堅い。


最後になったが、「地球の歩き方」創刊40年おめでとう。これからもよろしくね。


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