YouTubeにある音楽LIVE動画で好きなの10個くらい挙げてく

その他

よくぞこの瞬間を定着してくれたと思うLIVE映像がYouTubeに色々ある。これ良くないすかどうすかと問うてみたいもの10個ほど集めた。お断り:別に音楽に詳しくない。趣味も非常に偏っている。でも一つ二つ聞いてもらって共感してもらえたら嬉しい。

【★邦楽】ある高校生/カブトムシ(aiko)

aikoの「カブトムシ」を文化祭かなんかで高校生が弾き語りしてる。もとの曲も好きだし、歌うまいとか声がいいとか堂々としたたたずまいとか、色々指摘できるが、何よりも動画に横溢するこのキラキラした輝き、青春の放射。この子がいかにも皆から愛されてそうな感じとか、練習の日々とか学校生活とか想像されて、客席のガヤつきすら泣ける。自分にもこんな日々があった。かけがえのない「今ここ」。

こんなん好きな人は関取花の「つらら」のLIVE映像もお楽しみいただける思う。

声よ・歌うま・ギターうまの3女傑に関取花・青葉市子・カネコアヤノを数えている(勝手に)

【★邦楽】月が近づけば少しはましだろう/ASKA

CHAGE and ASKA(チャゲアス)の、アスカ。オケ引き連れての「月が近づけば少しはましだろう」。歌手として規格外だなと思う。シンフォニーを構成する夥しい楽器群と生身一つでこれほど渡り合えている時点で人間ではない。なんもしないでただ立って待ってるときすら漂う大物感。フェイク(アドリブ)うますぎ、二番のサビ終わりのロングトーンの倍音が気持ち良すぎ。2008年のライブだそうだ、このときが力量もっとも充実していたときではないのかと勝手に想像する(よく知らない)

ASKAでライブ映像というと有名なのは多分これ。「君が代」

どんな懐疑派も聞けば黙る。わかりやすく凄い。楽器として優秀。

【★邦楽】おそうじオバチャン/憂歌団

「憂歌団」いう古いブルースバンドの98年の解散ライブ。歌ってる木村充揮という人の特徴的な声は界隈で「天使のだみ声」と呼ばれる。MVPはギターの内田勘太郎、この人のギターソロがとにかくすばらしい。木村の「美声」と内田のギターでノリノリで行進してって大満足のうちに終曲を迎える、非常に結構がよろしい。すげえバンドがあったもの。

憂歌団でもう一曲となら、これを。「パチンコ」

70年代とかの映像なのかな

【★邦楽】虫/ザ・スターリン

2011年、福島第一原発事故からわりとすぐに福島で行われたイベントで、80年代の伝説的なパンクバンド「ザ・スターリン」が臨時再結成。よく知らん。が、フロントマンの遠藤ミチロウ(自身福島出身、2019年没)の異様な存在感・どっから出してんのか分からん声・めちゃめちゃ不穏な歌詞、メンバー特にギター氏の異形ぶり、謎にまばらな観客席、すべてが「非常時」を醸し出していて、緊張感のうちに10分の長尺を見切ってしまう。ベースは有名なKenKenという人だそうだがよく知らん♪

非常時感あふれる同じイベントで遠藤賢司(エンケン)も歌ってる。こちらも素晴らしいパフォーマンスなのでぜひ。「夢よ叫べ」

ついレジェンドばっか紹介してしまう

【★邦楽】ワールズエンド・スーパーノヴァ/くるり

岸田の声がたまらなく好き。昔はロックバンドのヴォーカルとして音域が広くないこととか声圧が弱めなこととかが気になっていた。とし食ってなんとなく声の味というものが分かるようになったよ、今では唯一無二の声だなと思う。すばらしいアンサンブル、ドラムの人もギターの人も、「音楽を楽しんでる!」て感じ。踊りだしてしまう岸田が愛しい。踊りに入る前、だいじなギターをそっと置くしぐさも。

くるりからもう一曲。これも何度きいても良い。「東京」

地方出身・上京組が東京を歌った、あるいは東京の人間が東京を歌った歌を集めた「東京」がテーマのアンソロジーを編むとしたら、この曲は必ず入れる。「ワールズエンド~」とうってかわって内省的な曲と歌詞にスライドギターのweep(啜り泣き)が合う合う。若き岸田&佐藤くん(ベース)の文系メガネ男子っぷりが愛しい。

以上5曲、日本語のうた。

こっから5曲、英語のうた。

【☆洋楽】Tell Me If You Still Care/D’angelo & Questlove(SOS BAND)

私のせんもんは90年代後半のブラックミュージック(特にネオソウルと呼ばれるもの)なのでそれ系ばっかり紹介してしまう。知識ゼロを想定、なるべく情報量少なく紹介する。

これが誰かとかは別に知らなくていい、とりあえずこの分野では第一人者中の第一人者の二人であるとだけ言っとく。歌ってキーボード弾いてんのがディアンジェロ、ドラムス叩いてんのがクエストラヴ(ザ・ルーツ)。まぁ聴いてみてほしい。なんかいいな、と思ってくれたら幸い。盟友ふたりのリラックスしたセッション、親密で対話的、一人で高音低音二部の伴奏つけ時にループも作りながら歌い上げてく帽子の男と、実に実に楽しそう&嬉しそうに「たたた」と叩くアフロ。聴衆との一体感。極上の時間。

一応ちょっとだけ:ディアンジェロという人はブラックミュージックがこの半世紀に生んだ最大の天才の一人で、ただ薬物問題とか色々あって臭い飯を食べて激太りするなど人生をだいぶ遠回りしており、活動30年でアルバムたった3枚しか出していない。だがその3枚がいずれも「超」のつく名盤である。

一番やんちゃだったころのディアンジェロ。「悪魔のパイ」

そんなオラオラなのちょっと怖いですという向きにはこちらを。ギター弾き語り1分半

【☆洋楽】Stakes is High/Robert Glasper Experiment + Mos Def(De La Soul)

これまたこの人たちが誰なのかとかはいったん知らなくていい。とにかく聴いていただいて、なんかわからんけどカッコいい!と思ってもらえたら嬉しいなぁ。ラップしてる人、いい声してる思いませんか。あと、聞こえてくる片言節句から、なんか社会派の、いいこと言ってるげな感じしませんか(Cocaine and crack bring sickness to black/コカインとクラックが黒人社会をむしばんでいる、等々)。あと、アフロの人のヴォコーダーの「いぇーいぇーいぇいぇいぇーいぇ、らららーらー」クセになりませんか。

あと注目してほしいのが、ラップの人の、場の支配力である。俺がヴァイブと言ったらヴァイブレーションと言ってくれーみんなー!から始まって、なんかもう終盤にかけてヴァイブレーションまみれになってくじゃないすか。ラッパーのこと別名でMCといいますわな、それがMaster of Ceremony(セレモニーをつかさどる人)の意味であることを思い出させられる。

このラッパーの人(モス・デフ/ヤシーン・ベイ)の代表曲ひとつ挙げとく。LIVE映像じゃないけど。

【☆洋楽】Optimistic/August Greene ft. Brandy

36分のうちに5曲を披露しているライブ映像だがぜひ聴いてほしいのは3曲目、16:30くらいから始まるOptimistic(前向きに)という曲。まずすばらしいのはドレッドヘアーの女性の底抜けに明るいノリ。この曲の「前向きに生きようよ」というメッセージにまさにうってつけなキャラクター。声は正直、出ていない。このおばちゃんはアーティストとしての盛りはとうに過ぎている(ブランディ、90’s 中~後半にR&Bに耽溺した私のような人なら知らぬ人はいないディーヴァ)。それでもバンドのメンバー皆がこの女性の参加を心から喜んでいて、そのかますフェイクのひとつひとつに目で喝采送ってる。気遣いにあふれた、やさしい時間。

それにとどめをさすのが、スキンヘッドのラッパー(コモン君)が曲末に披露するフリースタイル=即興ラップである。リラックスした雰囲気の中で頼まれもせぬに自然に流露しだしたラップは質量ともに充実、技巧と諧謔とポジティヴなメッセージで人たちを唸らせ微笑させほろりとさせ、オチまでつけて結ぶ。美事というほかない。ヒップホップ食わず嫌いの人にはこういうの見てちょっといいかもと思ってもらいたい!

ついでに一人、フリースタイル(即興ラップ)のモンスターを紹介す。ザ・ルーツのブラックソート。ファンクマスター・フレックスのラジオで10分間ライムし続け伝説となった。

これも正直何度も見てる。何度でも見れちゃう。全ラッパーの中でブラックソートの声が一番好き(正確にいうとイラデルフ・ハーフライフと物は落ちて壊れるのときのブラックソート)

のちジミー・ファロンに「あんたがフレックスのラジオでしゃべった全barをタイプしてみました」と巻物見せつけられて苦笑↓

【☆洋楽】One Mic/Nas

ナズちゅう人が代表曲「ワン・マイク」=一本のマイク(さえ俺にはあればいい)、を披露している。どうでしょう、カッコ……よくないすか?
ナズはメジャー中のメジャーの人で、あちらのヒップホップの世界では自他ともに認めるキング。レコードでは端正なラップを聞かせるが、ライヴだとこの通り、絶叫・咆哮しまくり観客アオりまくり、歌詞の大半はうしろの人に棒読みさせて自分はあんまラップしない、めっちゃ自分に酔ってる。「こんなんアリか!?」と自分などは衝撃を受けたが、カッコいいことはもう文句なしにカッコいい。まさにカリスマ。キャリア絶頂時のスターが放つ究極の輝きをここに見る。

Nas「One Mic」原曲↓

なお一般にこういう普及版では放送禁止用語はミュートされるので不自然にラップが途切れている箇所は汚い言葉を使っているかあるいは銃とか薬物に言及しているものと思うべし

【☆洋楽】Condolence/Benjamin Clementine

ベンジャミン・クレメンタイン。英国の人で、これまで紹介してきたアフロアメリカンの人たちとは全然出自と文脈が異なる。上掲動画は3曲入りだが、ひとまず1曲目の「コンドーレンス」だけ聴いてほしい(お気に召したら残り2曲も是非)。これ見て「ただの天才やん!」という言葉が出たなら私とハイタッチ。ですよな!
コンドーレンスは「弔辞」の意。省察(長く続く短調の部分)の果てに「そうして自分は自分の恐怖心とか不安というものに弔辞を突き付けたのであった!」とついに曲名の「弔辞」(コンドーレンス)の語が出てきた瞬間、長調へと転じてばあっと景色が開けていく感じ、溜まらんものがある。

※ちなみにこれとあと2つ前に紹介したやつは同じNPRというアメリカのラジオ局がやってるタイニーデスクというアンプラグドライヴのシリーズ。いろんなジャンルのいろんなアーティストが数曲ずつ披露していて、ショーケースとして趣味の開拓に非常に使える。おすすめ。

ベンジャミン・クレメンタイン。天才ぶりがえぐいLIVE映像が色々残っている。「礎石(コーナーストーン)」

バーバリーのメンズコレクション(2016)で披露している「アディオス」

ここまで5曲、英語のうた。

ここから2曲、インストゥルメンタル。

【♪インスト】Amazing Grace/Tommy Emmanuel

ギター一本でオーケストラやっちゃうスーパー変態ギタリスト、トミー・エマニュエル。8:30~の「アメージング・グレース」だけ聴いてほしい。すごない? 他に言うことない。私はむかしモスクワでこの人のライヴを見ました。

こちらの「虹の彼方に」も名演。ギターが歌う歌う。知ってるメロディだと思います。

あと、アメージンググレースでLIVE映像ということなら、これを紹介しないわけにはいかない。竹原ピストル「Amazing Grace」、魂を鷲掴みにされる

【♪インスト】Danny Boy/Keith Jarrett

キースジャレットの「ダニーボーイ」。なんだろな、いつ聴いても「光」と思うんだよな。光(言葉の最もやさしき意味での)から感じるのと同じものをこの音たちから感じる。して曲が終わると「がんばろう、よく生きよう、生を慈しもう」と思う。

【🐱】

おすすめと趣味自慢の二兎を追っている。おすすめの皮をかぶって趣味自慢をしているということを自分で認めたくはないがどうしてもそうなる。だがそこをなるべく自制したつもり。特に洋楽編についてはうんちくを言いたい欲求を殺して、一字でも字数少なきことが正義と心得、アーティスト名さえろくに明示しなかった。「おすすめ」に徹した。とにかく動画を視聴してみてほしい。気に入っていただけたら本望。

なるべく違法アップロードのものは挙げないべきなのだが、アップロードされて10年とか経過しその間に数十~数百万の視聴を得ているものは、事実上の公共財と見なして取り上げた。

邦楽で自分が一番魂かけて聴き込んだのはエレカシ(エレファントカシマシ)だが私の好きなYouTube上のLIVE映像は違法アップロードばかりで、上記の自分勝手な基準からもちょっと取り上げていいものか微妙だったので、よしといた。取り上げるとすればとあるフェスでの「友達がいるのさ」、ある年の野音の「生命讃歌」「愛の日々」「四月の風」「パワー・イン・ザ・ワールド」「暮れゆく夕べの空」、若き日の「曙光」あたりであった。

ついでに音楽遍歴を略記してみる、趣味自慢成分濃くなりそうな予感、注意。わたくちは最初に買ったCDがビートルズのなんかよくわからん3枚組のアンソロジーである。中1かな。ビートルズは基本全曲知ってるがそういう変な入門の仕方をしたので何のアルバムの何曲目とか言われても分からないのがコンプレックス。そのあとイーグルスとかビー・ジーズとかエルトン・ジョンとかワムとかジャミロクワイとか白人ロック~ポップス系を色々きいたが中2でBoyz 2 Menに出会って一気にブラックミュージックにのめりこみ、以後はそればかり。中学高校はブックオフとかヤフオクでCD買い集めて狂ったように聴いていた。日本人としてはかなりマイナーな趣味だということは自覚していた。洋楽というが白人でなく黒人のほう、黒人音楽といってヒップホップでなく歌モノのほう、歌モノでも女性でなく男性のほう。わたしの印象では歌モノは女性の方が好んで聞かれていた――メアリーJブライジとかTLCとかデスティニーズチャイルド(かのビヨンセを輩出したガールズグループですわ)とかそれこそブランディとかアリーヤとか。でも私が好きなのはどっちかいうとジョデシ/K-ci&Jojoとかブライアン・マクナイトとかJoeとかR.Kellyとかそういうんだった。そのうちヒップホップも聴くようになった。Jay-ZとかNasとかスヌープとかパフ・ダディとか、果てはシャキール・オニールとかクリス・ウェバーのCDにまで手を出した(そのころNBAも好きで見ていた。シャックとコビーのレイカーズが無双していた時代)。R&B→HipHopときて、最後に出会ったのがNeo Soulと呼ばれるサブジャンルであった。70年代のソウルミュージックをヒップホップ世代がリヴァイヴしたもの。これ聴きだしたらBoyz 2 Menなどの商業R&Bはもう聞けなくなった。エリカ・バドゥ、ジル・スコット、ビラル、ディアンジェロ、ミュージック・ソウルチャイルド、んで芋づる式にザ・ルーツ、コモン、ブラックスター、ロイ・ハーグローヴ、J Dillaとか。歴史を知ろうということでご本尊の70年代ソウルも聴いた。それこそスティーヴィーワンダーとかマーヴィンゲイとかダニーハザウェイとか。ここまでが私の音楽遍歴の第一章。

大学入って野山を歩いていて口ずさむ歌が自分にない、ということにはたと気づいた。自分は英語の歌しかしらない。英語の歌は、知ってるどの曲も、今自分が見ているこの日本の野山の景色、この風、このにおい、にそぐわない。日本語の歌を知りたい。こういうとき口ずさめるような歌を。
それで畏友のK氏に教えを乞うて、エレカシのアルバムをまさにディスコグラフィ順に貸してもらった。奥田民生とかも。Kさんは洋邦問わずロックに詳しかったので、当時の新しめの洋楽、リバティーンズとかストロークスとかホワイト・ストライプスとかも教えてもらった(はや趣旨に反している)
それでエレカシにどっぷりハマり、ライヴにも行ったし、CD全部集めて死ぬほど聴いた、LIVE映像も見まくった。個人的ベスト5曲は「過ぎゆく日々」「悲しみの果て」「武蔵野」「シグナル」「俺たちの明日」。だが「昇れる太陽」くらいにミヤジの世界についていくのがきつくなってきて、そのうち全然追いかけるのをやめた。これが音楽遍歴の第二章。

そのあと自分の人生はロシア語圏と日本を2~3年単位で行ったり来たりする季節に入って、ロシア語の歌も随分聞くようになった。モスクワ時代はオクジャワとヴィソツキー。オデッサ時代はムリチク(ソビエトアニメ)の歌たち、あとボリス・グレベンシコフ。そのうちブログで紹介してみようか。これが第三章。

で、第四章が今で、要するに、やる気がなく、極端に受動的で、何も追いかけず、広く浅くいろいろ聞いてる、あるいは、何も聞いてない。「新しい学校のリーダーズ」が耳に入ってくればそれを聞き、ハマればしばらく聞いていて、飽きれば聞かなくなる。「歴史以後」を生きている。強いて言えば、自分が子供の時歌ったような童謡を、太郎と歌う日々。あとは自作の20秒ソングをまた太郎と歌ってる(第二章あたりから作り出した、いま多分200曲くらいある)

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