オデッサ(ウクライナ)情勢、現地報道まとめ

オデッサ/ウクライナ/ロシア

ュースなんか見たくない。だが義父母を残してきているので、オデッサの様子が気になる。ローカルメディア「Timer」を相変わらず見ている。残念ながらいずれ熱戦の舞台となることが濃厚なオデッサ周辺の情勢について現地報道をまとめておく。

幸いにも、この戦争で最も被害が少なかったウクライナの大都市が、オデッサということにな……るのかもしれない。

未来を占うことはやめよう。

(略記法:ローカルニュースサイト「オデッサライフ」Одесская Жизнь→「ОЖ」、オデッサ市公式テレグラム→「Т」、ウクラインスカヤ・プラヴダ→「УП」)

  1. 5/20(20年探したテロリストをついに便所に見つけたらしい)
  2. 5/19(オデッサ映画スタジオ破壊宣言?)
  3. 5/18(畑/半建築/カタコンベ)
  4. 応援のお願い
  5. 5/17(執拗に狙われる橋/ガソリン/アカシア/浜)
  6. 5/16(橋、悪いミサイル)
  7. 5/15(無)
  8. 5/14(静穏)
  9. 5/13(横浜/蛇島/ウォッカ)
  10. 5/12(オデッサっ子を世界遺産に)
  11. 5/11(幸運な街)
  12. 5/10(敵の3つの武器:新旧ミサイルとフェイクニュース)
  13. 5/9(朝に夕に夜に)
  14. 5/8(16発)
  15. 5/7(10発)
  16. 5/6(2発/厳戒)
  17. 5/5(無事)
  18. 5/4(静かな日)
  19. 5/3(やたらめったら撃ってきた)
  20. 5/2(ミサイル攻撃で住宅が被弾、死傷者あり)
  21. 5/1(わりと大丈夫だった)
  22. 4/30(オデッサ国際空港の滑走路がミサイルで破壊される)
  23. 4/29(大丈夫/外出禁止)
  24. 4/28(暗鬱のGWが始まる)
  25. 4/27(橋/墓/幽霊/ロシア人はなぜ「特殊作戦」を支持するのか)
  26. 4/26(ドニエストル)
  27. 4/25(あやしい話が多い)
  28. 4/24(何もない日)
  29. 4/23(オデッサにミサイル攻撃)
  30. 4/22(もうすぐパスハですね)
  31. 4/21(昨日に同じ)
  32. 4/20(ファシストの駆逐艦には”Z”の名がついてるんだよ)
  33. 4/18・19(戦時アネクドート)
  34. 4/17(ハリネズミと地雷原と祭)
  35. 4/16(あらゆる活動が最前線)
  36. 4/15(オデッサが少し安全になった?)
  37. 4/14(巡洋艦モスクワ撃沈)
  38. 4/13(ライオン、銃、消去される街)
  39. 4/11(静か)
  40. 4/10(オデッサ解放記念日、ネコ)
  41. 4/8(外出禁止令)
  42. 4/7(ミサイルは撃ち込まれるものの)
  43. 4/6(事もなし)
  44. 4/5(花を植える)
  45. 4/4(無事)
  46. 4/3(オデッサへの攻撃が過熱している)
  47. 3/31(またお酒を飲んでもいい)
  48. 3/30(停戦交渉で進展というが)
  49. 3/29(ゆるみ過ぎ禁物)
  50. 3/27・28(「オデッサは多分もう大丈夫だね」)
  51. 3/26(この状況で固定化するのか)
  52. 3/25(オデッサ市営動物園が営業再開)
  53. 3/24(切り取り方次第)
  54. 3/23(どうかこのまま何ごともなく)
  55. 3/22(わりと静かな日)
  56. 3/21報道(海からの攻撃)
  57. 3/19記事(世論調査:オデッサ市民は戦争をどう受け止めている?)
  58. 3/18記事(ウクライナの防空能力と空襲警報)
  59. 3/18・19報道(イーロン・マスクとオデッサ、Timer編集長拘束)
  60. 3/17報道(国境ガラ空き、社会混乱に乗じた犯罪)
  61. 3/16報道(海からの攻撃、国境越えの悲喜劇)
  62. 3/15報道(海からの攻撃、市民への武器の配布)

5/20(20年探したテロリストをついに便所に見つけたらしい)

義父母に出国の必要性を説得する(そして叶わない)夢をまた見た。そんで朝起きてニュースを開いてミサイル攻撃との見出しが飛び込んできて急ぎ目を走らせてみると「本日2022年5月20日、露侵略軍航空機よりオデッサ州に対しミサイル攻撃、南方作戦司令部によると、今次の攻撃で被弾したのはとあるビーチの便所である」とあって大笑い。

«Ракетами воздушного базирования враг существенно испортил воздух на юге Одесской области.
Воплощая один из знаковых месседжей своего сумасшедшего диктатора, рашисты, очевидно, пытались «замочить в сортире» очаг нацизма. Разрушен пляжный туалет»
「敵は空中発射式ミサイルによってオデッサ州南部の大気を深刻に汚染した。狂気の独裁者(頓風珍)の名言を実現するべくファシストどもはナチズムの淵源を「便所でぶっ殺す」ことを企てたようである。ビーチの便所がぶっ壊された」

「便所でぶっ殺す」は頓風珍が大統領就任前にチェチェンにおけるテロリスト掃討作戦について言った有名な台詞で(Wikipedia日本語版で見出し語にさえなっている)、タフガイ国父のイメージを内外に鮮明にした、いわば今のキャリアの起点になった言葉だ。それから20年、老醜・狂気の帝王よ、ついに見つけたんだねえ。血走った目をカッ見開いて「みぃ~つけた!」

いいオチがついた。もういいよ。退場してください。

2度目のミサイル攻撃

同日夕、2度目のミサイル攻撃があり、インフラに被害があったという。なんのどういうインフラなのか。それがわからないのと、あととりあえず人的被害はないそうなので、明らかにどうでもいい便所破壊の方が今日のトップニュースになってしまった。ОЖ

オデッサ映画スタジオで武器弾薬探してみた

オデッサ市長がオデッサ映画スタジオ内を歩き回って武器弾薬探してみたよ・なかったよ。武器弾薬なんかどこにもなかったよ。という動画。

Мэр Одессы ищет ПВО на Одесской киностудии

ちなみに動画でザハーロワの「オデッサ映画スタジオ(Одесская киностудия)」との発語がリピート再生で強調されてるが、オデッサをこいつのようにАдэссаと発音するのは典型的な「ロシアのロシア人」すなわち余所者の符丁であって、地元民の耳からするとマジ不快であり絶望的にダサい。→「オデッサか「アヂェッサ」か~ロシア語の≪Е≫の発音~」

たたかう猫ちゃん

戦争が始まってからやたら猫がたたかう。オデッサはもともと猫がうじゃうじゃいる街だが。今度は画家(イラストレーター?)の母とその娘による連作。

これとか

これとか好き。もっと見たい方→ОЖ

敵性語の街からの排除

オデッサ市議のなんとかいう人がオデッサ市内の道路の名称のうちロシアと関係のあるものを軒並み改称するように呼び掛けているということで。またその話か(いわゆる脱共産化ということで14年以降道路名称の改称運動が全国的に行われ、その後も改称漏れのものの追加改称の報がたびたび上がっていた)と思いながら記事読んでたら、ドミートリイ・ドンスコイとかアレクサンドル・ネフスキーとかオデッサと何の関係があるんだ、オネガ通りとかノヴゴロド通りがあるならどうしてワシントン通りとかロンドン通りがあってはいけないんだ、とあって、まぁ確かにと思ってしまった。

が、やはりこんなことは馬鹿々々しい。憎悪は有り余っているので敵の「像」を増殖さすことは容易だ、だがあまり敵を増やし過ぎると本当の敵が見えなくなってしまう。どう改称したって結局民衆は慣れ親しんだ元の名で呼ぶのだし。ОЖ

5/19(オデッサ映画スタジオ破壊宣言?)

露外務省ザハーロワ報道官によるとオデッサ映画スタジオにウ軍の武器弾薬や地対空装備が運び込まれ軍事拠点化しているのだそうだ(РИА)。民生インフラを密かに軍事化し人民を肉の盾にするキエフ軍陋劣なり、といういつものプロパガンダ。自軍の雑魚ミサイル下手撃ちによる相手方民間人死傷を言外に正当化するもの。「お定まりの厚顔無恥な嘘。吐き気がする」とオデッサ市長(T)。「たしかに敷地内に兵器はある。第二次大戦時のレトロ軍用車が、撮影用に」とオデッサ軍政報道官(UNIAN)。オデッサ映画スタジオ↓

ソ連映画およびドラマの名作が多数制作された撮影所。みんな大好きヴィソツキーの集合場所変更不可(место встречи изменить нельзя)も児童映画「エレクトロニクのぼうけん」もここで制作された。いわば旧ソ連・ロシア語文化圏全域にとっての貴重な文化財である。ここが軍事化されたということ、それを理由にミサイルを撃ちこんでくるやも知れぬということ、どちらにとってもおぞましさ閾値越え(зашкаливает)な想像だ。

私事ながら、私たちのオデッサにおける最後の住み家はここから徒歩2分のところであって、発せられる印象的な一点鐘ジングルを毎日聞いていた。同じアパートに今わが義兄とその恋人が住んでいる。

ザハーロワがこう言ったからとて、必ずしもミサイルが撃ち込まれるとは限らない。むしろ、撃ち込まれる可能性は低減された、あるいは排除された、と思われる。思いたいのか。過去には義父母の家から至近距離の州立病院について露側による同様の「軍事化」発表があったが(5/6参照)、その後別に何もなかった。こういうブラフ発表の狙いは2つあって「1つは人民に恐慌を巻き起こすこと、1つはこうした発表に対する人民および軍または行政の反応を分析して真の軍事拠点の所在を突き止めること」だとオデッサ軍政報道官ブラチュクの兄貴。ОЖ

(個人的には、ウクライナ軍が本当に民生インフラおよび市民に軍事インフラおよび軍人を紛れ込ませていないのかどうか、確実なことは誰にも分からないと思うので、ウクライナがそういうことをしていないと断定する気もない。それが戦争(このような防衛戦)における禁じ手なのかどうかも知らない。とはいえ、それによってウクライナが「市民を巻き添えにしている」という譴責を受けるいわれもないと思う。撃ってくる方が100%悪い、という事実はどうあっても動かない)

マルシュルートカ減便

マルシュルートカ(ミニバス)。例のガソリン不足および価格高騰で自家用車から公共輸送機関への振り替えが進み需要が高まっているにもかかわらず、同じ理由で採算が合わなくなり、その運行数が減っているという。それを必要としている人には気の毒な話だが、そら見たことかという感じもする。先日言ったがオデッサは公共交通機関の整備が行き届いていなく、電車やトロリーバスやトラムでカバーできていない部分を民間のマルシュルートカが補っているのだが、なにしろ民間なので、このように一番必要な時に経済合理性を理由に撤退してしまったりする。

ガソリン不足とはいうが、事実上の公共輸送機関であるマルシュルートカにきちんと燃料が優先配分されていれば問題ないわけだ。だがそれを実行するためのスマートなスキームがなかったり、例の自家用車とガソリンスタンド店員の闇取引の横行で、必要なところに必要なだけが行きわたらない。けだし腐敗した社会は危機に弱い。日本が理想社会だとは全然思わないが、少なくともここに(および5/17付けで)書いたようなことで市民社会が麻痺するようなことは、有事の際にも起こらないだろうと思う。ОЖ

ゼ「戦後ウクライナはイスラエルレベルの国家安全保障を構築する」

ゼレンスキーがウクライナの学生たちを前に語ったそうだ。戦争終結のあかつき、ウクライナは安全保障の問題に傾注する。「いつどんな恐ろしいことをしかけてくるかも分からない奴が隣に住んでいる、ということを人々が理解している、イスラエル(をはじめとした先進諸国)と同水準の安全保障インフラを構築する」УП

アゾフスターリからの化学物質流出でアゾフ海の水質汚染の危機

マリウポリの例の製鉄所から化学物質が流出してアゾフ海でエコロジカル・カタストロフィの危機だそうだ。で水つづきの黒海であるが、専門家によると「黒海にはさしたる影響はないだろう。黒海はすでに一種の毒の海だから」。

これは私も前に何かの番組で見たんだが、図のように

黒海は水深100mくらいまでは酸素があって生き物も豊富にいるんだが、200m以下は硫化水素の層で、そっから水深2000mくらいまでもともと誰も棲んでいないのだそうだ。「そうか。ホッ。ならよかった」ОЖ

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5/18(畑/半建築/カタコンベ)

18日未明ミサイル一発、州内のどっかの畑に落ちた。被害なし。着弾地&ミサイルの残骸を写した映像だそう↓

Обстрел Одесской области 18 мая

オデッサの市域を出るとこんな茫漠たる畑がいっぱい広がっている。ヨーロッパの穀倉。どこまで走っても山など影もない、緩やかな起伏を帯びた広大な平地。ステップというやつ。あと、見ての通り土が黒い(チョルナズョーム=肥沃な黒土というやつ、義父によるとかつての黒海海底だが本当ですか)ОЖ

ともあれ、敵は今、前世紀50~90年代の「高精度であることをその特徴とはしていない」ミサイルを使用していて、どこに着弾するかは神のみぞ知る、すなわち、確証的に安全な場所など存在しない。ОЖ

花咲く春

オデッサを訪れるのに一番いい季節はいつですか、と聞かれたら、だいたいの人が「5月または6月」と答えると思う。緑と花の彩り、まだ暑くなりすぎない、夏場のバカンス客でごった返さない。そのよき季節がまた巡りきたそうで。ОЖ

ライラックやアカシアの芳香が漂いマロニエの燈心が燃えトーポリの綿毛が舞う五月のオデッサ。

街の変貌

ОЖのもう一方のルポルタージュは市の”闇”を照らした。戦争前、オデッサは(ウクライナでは珍しく)人口が増加傾向にあった街で、とはいってもそんなに大挙して移住してくるものでもないだろう(部屋余り大丈夫か)と心配になるほど、同時並行で高層マンションの新規建設が進行しまくっていた。それが戦争を機にぱたっと途絶し、多くの建設現場が現状のままおっぽり出されて、大型の屋上クレーンなどがなすところなく上空でたたずんでいて剣呑な感じらしい。「もし魯兵の狂った脳髄に『あの作りかけの高層マンションにアメリカの兵器が格納されているのでわないか!』という狂った考えが浮かんでミサイルが撃ち込まれ、重量20トンの60m級クレーンが頭上に落ちてきたらどうする?」と記者。だが建設会社はこれを撤去して安全確保するのも自腹が痛むことだからしない、「不可抗力だから仕方ない」。実はオデッサは以前から中途放棄された半建造物が多かった。採算が合わなくなるとすぐ責任者がドロンしてしまって工事は沙汰止み、土地のその一角は簡易隔壁の中でとわに且つムダに休眠する。今度のことでいっそうひどくなった景観の荒廃、これがクリーンアップされるのに今後一体何年かかるのだろう。

一方でいいニュースもある、とかで。オデッサ名物カタコンベというのがあって、本来の意味のカタコンベ(地下墓地)ではないのだが、オデッサの地下には蟻の巣みたいな坑道が延長相当な距離で広がっていて、一部は観光地化されている。されていた。それがいま地下シェルターとして注目されて、整備が進んでいるのだそうだ。

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長らくこの記事を書き続けてきました。まだ当分終わることができないようです。
(オデッサについて戦争との関連で何も言うことがなくなる日まで更新が続く)

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当記事はウクライナ戦争のさまざまなアスペクトの中でもオデッサをめぐる状況のみに偏頗な関心を寄せるものであり、記述も自己表出過多で公平を欠きます。ただ、一応元プロの人間が特殊専門的技能を駆使して書いており、あと、そいつ(その書いてる奴、私)がついこないだまでまさに現地に住んでいたという点に、一応の取り柄があると考えています。

頑張れよ、読んでるよ、ちとわろた、ものもうす、蒙啓けた、開眼した……などなど、何かあれば、投げ銭&メッセージくださると、とても嬉しいです。

5/17(執拗に狙われる橋/ガソリン/アカシア/浜)

17日、例のドニエストル・リマンにかかる橋にまたしてもミサイル。巡航ミサイル2発が命中したそうだ。度重なる攻撃で橋はつとに通行不能になっており、補修もままならない。(逆に、そんだけ当たっても崩落はしないものなのだろうか)ОЖ

同じ橋を狙った16日のミサイル攻撃で誤爆された海辺の保養施設の6歳少女は指だの足だのを切断する重傷だそうだ。という一文を書くのに10分くらいかかった。到底こんなことに慣れることも、理解することも、許すこともできると思われない。ОЖ

ガソリン

ウクライナでガソリンが払底している。各所の石油加工/貯蔵施設がミサイル攻撃で破壊され、残った少ないガソリンは軍や重要インフラに優先配分されるため、自家用車向けの普通のガソリンスタンドは品切れのためお休み/営業してても長蛇の列/もしくは法外な高値で取引されているという。義父はつとに電車orマルシュルートカ(ミニバス)通勤に切り替えている。義兄はなんや某ガソリンスタンドでアルコールで希釈した変な燃料を注入されて自慢のダイハツを壊してしまったそうだ(爆発なぞしなくて本当によかった。剣呑すぎる)。ネックなのは何しろ情報がないことで、今どこにどれだけのガソリンがあるのか、目当てのガソリンスタンドがやってるのかやってないのか、現地に実際に足を運んでみないと分からない。どこか開いてるとこはないかと残燃料ギリの車を走らせるだけ走らせて、結局見つけられずに燃料空費した、ということにもなる。

あと、一回の給油量が制限されている。これは私たちがまだオデッサにいた3月上旬時点で既にそうだった。だが「現金で。レシート不要」という魔法の言葉をいうと満タン給油(ただし割増料金で)してくれたりもするそうだ。請えばレシートも出るがそこには規定料金で規定量だけ給油したかのように書かれている。実際との差分は担当したスタッフの懐に入るというわけ。

この話の中にウクライナ社会の腐った部分が端的にいろいろ出ている。①公共交通機関が未発達なので移動が自家用車だのみ。②店舗とか役所の営業情報が公開・更新されず「やってるかやってないかは実際に足を運んでみないと絶対に分からない」。③「袖の下」慣行が社会の隅々まで行きわたっている。ОЖ+実体験

アカシア

オデッサの白アカシアが開花を迎えた(ОЖ)。アカシアはオデッサを象徴する花だ。街から海へと降りていく斜面は広大なアカシアの森になっている。歌にも歌われている。レオニード・ウチョーサフ「黒海のほとりに」

Леонид Утесов "У Черного моря" (1955)

Есть город, который я вижу во сне.
О, если б вы знали, как дорог
У Чёрного моря открывшийся мне
В цветущих акациях город.
У Чёрного моря!
その街のことを夢に見る
とても大切な街
黒海のほとり、私の前にいま開けくる、
アカシアの咲き乱れる街
黒海のほとりの

そのアカシアの森を抜けて海へ降りていくことが許されていない。海はいま3重の意味で危険だという。第一に、浜は地雷原。第二に、ウクライナ軍および露軍の双方が海中に機雷を設置していて、それが時化で繋留を解かれて岸辺に漂流してきている。第三に、敵はオデッサの特に沿岸部にやたらミサイルを撃ちこんでくる嗜癖があるようなので、次狙われるのはそう、今あなたがいるそのビーチかもしれませんよ。ОЖ

5/16(橋、悪いミサイル)

9日以来のミサイル攻撃、つまり1週間ぶりか、またしても例のドニエストル・リマンにかかる橋が狙われたらしい。軍部によると「敵は損傷し不通となっているドニエストル・リマンにかかる橋への攻撃を継続している。だが犠牲となっているのは無辜である」。何しろ橋周辺の保養施設つまり夏場バカンス客を収容しまた饗応する日本語でいうところの「海の家」的なやつが破壊され近隣の住宅も被害にあって大人3人と6歳女児が負傷、女児は重体だそうだ。ОЖОЖ

その後もう一度オデッサ方面へミサイルが飛んできたが、これはウクライナ軍が撃ち落としたとのこと。ОЖ

何しろ敵にとって橋を完全に破壊することが戦略的にめちゃくちゃ重要なんだろう。これでもう5次にわたって攻撃してるわけだから。でも、どうやらそれほど重要な戦略目標にして、その攻略に有効なミサイルを使用できていない、ということになるのではないか。一度は狙いを外して海の家とか民家とかを破壊しちゃってるわけだし、一度は迎撃されちゃってるわけだから。高精度・超音速のミサイルが枯渇してるというのは本当なのではないか。と素人考え。

ラシズム(ロシア・ファシズム)という術語

ロシア語又はウクライナ語でウクライナ側の情報を追っている人にはつとに馴染みの文字並びだが、侵攻以来、рашизм(ラシズム)あるいはрашист(ラシスト)という言葉が報道・論説でよく使われていて、その意味は「ロシア版ファシズム/ファシスト」ということなのだが(頭文字のFをロシアのRに置き換えた新語)、この語にお墨付きを与える決定がウクライナ最高会議人道および情報政策委員会によってなされた。マスメディアに対しこの語の使用が推奨され、またこの語をウクライナ語辞典に載録するよう勧告もなされている。ウクライナ国家記者連盟によると「ラシズムはナチズム・ファシズムの一種で、『ロシア世界』という術語のシノニムである」ОЖ

あれとこれとを同じ名前で呼べない、というのは一種の心の優しさでもあると思うのだが感傷的に過ぎるだろうか。私もこのブログで戦争の文脈でロシアをその名で呼ばずに端的に「敵」と言ったりイニシャルで露とか魯とか書いたりするが、それは、私にとって(個人史的必然として)一種の聖別された名であるロシアの3文字で、今のこの(これまた私にとっては聖別された名である)オデッサに対してミサイルテロを繰り返す集団のことを呼び表したくないからである。からで「も」ある。

というような機微は一切感触も想像もすることなく、日本政府は、次いでメディアは、「ウクライナがそれでお喜びになるなら」とて、この語を公式採用して使い出すこともあるかもしれないな。ウクライナの地名を一斉にウクライナ語呼びに変えたように。

全然関係ないのだが「ネコは同居ネコの名前を分かっている」のだそうだ。NHK

「自分がネコ好きなこともあり実験を行った」の一言にほっこり。

5/15(無)

静穏。

5/14(静穏)

9日を最後にミサイルが飛んでこなくなった。軍部によると、敵のミサイルが枯渇してきていることが原因で、オデッサへ、またウクライナ全体へも、攻撃が間遠になっているらしい。既にオデッサへの7~9日の攻撃の時点で敵弾にソ連時代の旧式のものが混じっているのが認められた。張子の虎!はりぼての「世界第二の(略)」!ОЖ

ヘルソンで露への編入要請(NHK)

NHKのこの報道はある種の典型を示していると思う。選択的な「現地の声」に矢鱈に重きを置く。「ヘルソンに住む50代の住民の男性」一人の声なんぞを大きく取り上げすぎ。現実には露に占領された現状をまんざらでなく思っている人たちも少なくないと思うし、「ロシア軍は食料品を奪い、住民が抵抗すると殴ったり、殺害したりしている」というのもどこまで事実か。「検問所ではスマートフォンを調べていてウクライナ側を支持しているような内容があればスマートフォンを取り上げるか、持ち主を逮捕している」とあるが、同じようなことをウクライナ側もやっているに違いない(追記:たとえばこちらの記事→車載カメラで検問所を撮影していた男を取り調べてみたらテレグラムの親ロシアチャンネルを多数フォローしていたため拘束)。ウクライナ南部(このヘルソンや、オデッサを含め)は伝統的に親ロシアの土壌である。今度の侵略で嫌ロ親ウに傾いた人も相当数いるだろうが、ひとたび露の支配が確立して「もうミサイルが飛んでくる恐怖も、空襲警報や爆発音におびえることもない」ということになると、他ならぬ侵略者たちがもたらしたかりそめの平安の中で、親露の地金が現れてくることも想像に難くない。インフラを復旧し治安を維持し食料や生活支援物資を配給するZ軍はそれこそ「兄弟」の貌をしている。そしていざウクライナ軍が奪還作戦にやってきたときに、かなしいかな、愛すべき祖国の「解放」軍は、平穏な生活の再度の破壊者として立ち現れる。占領されるということはそれほど致命的なことなのだ。

話がそれた。この一人の「ヘルソンに住む50代の住民の男性」の声がどの程度「現地の声」を代表しているものなのか。こういう報道に接するときは眉に唾をつけてかかった方がいい。

5/13(横浜/蛇島/ウォッカ)

13日、オデッサに対する攻撃はなし。だがオデッサ沖の「蛇島」がホットスポットになってるのと、あと沿ドニエストルで相変わらず不安定化工作。「敵軍が沿ドニエストルに空路、オデッサに海路上陸する可能性については、そうした可能性を排除はできないものの、まず前者についてはウクライナ軍の対空砲火を恐れて戦闘機すら飛来しないのが現状であって兵員装備輸送機のオデッサ上空通過については言うも愚か、後者も迎撃の構えは陸海で十分であって、上陸の企ては敵にとって自殺行為である」と軍。ОЖ

蛇島

蛇島(остров Змеиный)でここ数日戦闘が激化している。敵にとってはオデッサおよび沿ドニエストルへの上陸・ウクライナ南部への攻撃・黒海北西部支配のための要衝で、3月24日の侵攻初日に進軍・占領して以来、現在も露軍の拠点となっている。これに対しウクライナ側が攻撃を仕掛けている形。場所↓

素人考えでも分かる気がする。敵はつとに下図の黄色い丸印にあるドニエストル・リマンにかかる橋の破壊を狙っていて(それが成功したのかどうか不明、とにかく4次にわたりミサイルが撃ち込まれている)、これが成功するとオデッサ州の所謂ベッサラビア地方(ドニエストル・リマン以西の地域)と母ウクライナが事実上切り離される。敵としては、蛇島起点で同地方を攻略しつつ北上、モルドヴァ東部の沿ドニエストル地方(事実上のロシアの飛び地)と繋げることができれば、つとに攻略済みのドニエプル左岸と合わせて、東西そして南からオデッサを挟撃できる。

しかし上記マスタープランの実現のためには対空防衛システムで船団とか上陸部隊を掩護することが不可欠で、かつてはその役を例の巡洋艦モスクワが担い得たが、同艦が「逝ってしまった」ために、それに代わるものを蛇島に構築する必要が生じた。それで先日来、蛇島への対空防衛用レーダート等の搬入の試みがあるのだが、ウクライナ側がこれをよく阻んでいる由。(ただし敵側もこの阻止をまた阻止するべく頑張るので、ウクライナ側にも相当の損失が出ているらしい)

蛇島は洋上の孤島なので「占領するのは容易だが、防衛するのは至難」であるとのこと。ウクライナは下手に奪還しようとせず、敵の装備の搬入を待っては撃滅する、というのをひたすら繰り返してはどうか、と素人は愚考す。毒牙を矯めつつ敵を待つ蛇島の図(本章冒頭)。ОЖУПBBC

姉妹都市ヨコハマ

姉妹都市であるオデッサと横浜の両市長がオンラインで会談した。横浜からオデッサへ水の浄化装置(система очистки воды、家庭用の浄水機?もっと大がかりなもの?)が届けられるのだそうだ。一方のオデッサ市長は横浜市長にオデッサの世界遺産登録への支持を求めた由。T

ウォッカ解禁

オデッサ(市・州)では14日から全種類のアルコール飲料の販売が解禁される。経緯をいうと、2/24侵略始まる、3/1に全種類のアルコール飲料が販売および提供禁止、4/1にアルコール度数30度未満の飲料すなわち麦酒ワインの類が解禁、でこの5/14全種類解禁。大丈夫かな。市民社会に銃火器が充満している状況であることが心配だったりする。ОЖ

5/12(オデッサっ子を世界遺産に)

オデッサ方面、やはり9日を境に静かになった気がする。空襲警報も鳴らないではないが報道に攻撃被弾命中爆発死傷損壊の文字なし。

や、あったか。最近のミサイル攻撃(多分9日の)による衝撃波でオデッサ中心部のヴォロンツォフ宮殿が損傷した由。市長「オデッサの世界遺産登録を改めてUNESCOに求める。我々の責務はオデッサそして全世界の将来世代にこの街の建築を残すことだ」ОЖ動画

Воронцовский дворец пострадал от ракетных обстрелов Одессы

まったく逞しい。転んでもただでは起きない。災い転じて福となすてやつか。ヴォロンツォフ宮殿はオデッサ港を見下ろす観光一等地に立つ19世紀の多分美麗建築だがもともと整備不行き届きで廃墟化し落書きだらけのベニヤ柵にぐるり覆われていて誰も入れない、私に言わせればダメなオデッサの象徴みたいな物件だった。それをいいカメラで美しく撮って侵略軍の蛮行に帰責し世界遺産登録へのテコに用いるとは。ちなみにこれ

ヴォロンツォフ宮殿ならびにヴォロンツォフ(とプーシキン)については何丘のこちらの記事をどうぞ

思うに、この逞しき「オデッサっ子」одесситыこそ世界無形文化遺産に登録されるべきではないか。ソ連時代から数々の歌に歌われ文学に映画に描かれた、海を愛し諧謔・浪漫精神に富むこの人々。

歌、たとえばこれとか。レオニード・ウチョーサフ「オデッサっ子ミーシャ」

Ты ж одессит, Мишка, а это значит,
Что не страшны тебе ни горе, ни беда!
Ведь ты моряк, Мишка, моряк не плачет,
И не теряет бодрость духа никогда!
きみはミーシャ、オデッサっ子。その意味するところは
きみは不幸も哀しみも恐れちゃいけないってことなんだ
だってきみは海の男。海の男が泣くもんか
心の張りを失うな、決して!

とはいえ地雷原と化したビーチで無双は禁物

オデッサ市公式テレグラムが口を酸っぱくしてビーチに降りないでくださいね今は戦時ですからね浜は地雷原ですからね!!と警告している。このほど隣町のユージヌィの美しきビーチも地雷原化した由(ОЖ)。だがそれでも浜へ降りてきて水浴するやつというのがいる。この動線なら地雷踏まないで海まで行ける、という「けものみち」を見つけたんだろう。誰かがその最初の一人とならなければならなかった。その一人と、あとナマコを最初に食った奴。

Человек купается на заминированном пляже

5/11(幸運な街)

11日、2発のミサイルが発射されたが、1発は海上で撃ち落とすことに成功し、1発は州内に落ちたものの人にも物にも損害はなし。敵は戦力に乏しく兵員も士気を欠き、オデッサに上陸/進軍してくる見込みは低い、だがミサイル攻撃の脅威は依然として高く、沿ドニエストルとの境界付近も緊張していると。ОЖОЖ

オデッサ旧市街の世界遺産登録に向けた手続きがかなりいいとこまで進んでいるらしい。期待。ОЖ

5/10(敵の3つの武器:新旧ミサイルとフェイクニュース)

概況:10日のオデッサは基本的に静穏であった。とはいえ引き続き海からクリミアからミサイルが飛んでくる脅威は非常に高い。「艦船6隻と潜水艦2隻にオデッサ州はじめウクライナ全土を攻撃可能な巡行ミサイル50発以上が積載されている可能性がある」。とはいえ数日オデッサをムチャクチャに攻撃して敵は一旦退いた、今は水がなくなるだとか(後述)フェイクニュースをばら撒いて精神攻撃に力を入れているもよう。ОЖ

9日夜のショッピングセンター攻撃で1人死亡

9日23時オデッサに7発ミサイルが撃ち込まれ郊外の大型ショッピングセンター「リヴィエラ」が全壊し、とはいえ夜間(外出禁止時間中)のことゆえ当然にお店は閉まっていて、それでも警備員1人が死亡、5人が負傷。ОЖ

敵はどんなミサイルを使用しているか

ウクライナ大統領顧問の何とかいう人によると現在敵がオデッサ攻撃に使っているミサイルは2種類あって、1つは60年代の何とかいうミサイルでものすごく精度が低く取り扱いも難しい、1つは例のキンジャールという最新鋭の超音速ミサイルと、両極端なことになっている。高精度ミサイルの残弾数が心もとない感じになってきて節約の意味でやたら古いものが使われ出しているという。新旧ミックス撃ちの帰結として

・旧式ミサイルの使用によって「ハズれ」が、つまり、住宅など民生施設の被弾が多くなる
・最新ミサイルの使用によって重要拠点のピンポイント破壊が多くなる(超音速ミサイルなので迎撃できない)

この結果市民はウクライナ軍のミサイル防衛はザルとの印象を抱き恐慌をきたす。まさにそれが敵の「ミサイル・テロル」の狙いであろうと。ОЖ
(9日のショッピングセンター攻撃に使われたのはちょうど旧式の精度の低いやつだった由)

例の橋に第4次攻撃

例のドニエストル・リマンにかかる橋(4/26の記述参照)が4度目の攻撃を受けた。犠牲者はいないという。分からない。結局橋は生きてるのか死んでるのか、生きてたのか、死んでたのか、今回死んだのか、今も生きてるのか。私たちに知らされることはないのだろう。(さしずめこういう攻撃に使われてるのが新式の方のミサイルなのだろう。実際5/2の第3次攻撃のときは超音速のが使われたっぽく言われていたし)ОЖ

「オデッサで大規模断水の危機」とのフェイク

水道インフラの破壊でオデッサが(隣のニコラエフのような)大規模断水に見舞われる恐れがあるからこれに備えよ、との報がSNSを飛び交ったらしい、でもこれはフェイクである由。敵がオデッサを攻撃するすべは今のところ(そして当分は)遠距離からミサイルを撃ち込む以外になくそれでピンポイントで水道網の一部が破壊されてもすぐに修復できる、陸上から攻め込まれているニコラエフとは全然状況が違う、パニックに陥るな、公式発表以外信じるな(拡散するな)、と。ОЖОЖ

5/9(朝に夕に夜に)

オデッサへの攻撃が止まない。朝に夕に夜にミサイルが撃ち込まれた。人的犠牲については負傷者数人の報があるばかり。軍事的損害、市民生活への影響については誰も何も言わないし何も分からない。一発何千万もするミサイルがただただ空費されたのであってほしい。

朝、クリミアから4発。そう言われても全然ピンと来ないのだが分かる人のために言っておくと沿岸ミサイル複合体バスチオンの「オニクス」型ミサイル(типа Оникс из берегового ракетного комплекса Бастион)だそうだ。ОЖ

夕、戦略爆撃機Tu-22から発射された「キンジャール」型ミサイル3発(3 ракеты типа «Кинжал» выпущены из самолета стратегической авиации Ту-22)によりオデッサ郊外の観光施設が破壊され、2人が病院に搬送されたそう。キンジャール型がオデッサに使用されるのは初めてで、何しろこいつは最新式の高速ミサイル、弾数もごく限られてる中で観光施設なぞの破壊に用いるのは敵ながら少々勿体ないのではと心配になる、いもしない「外国人傭兵部隊」を撃滅しに手あたりしだいのものを引っ掴んでは投げ引っ掴んでは投げしているのだろうか、哀れなことだ、とОЖ(の書きぶりを何丘で若干誇張)。ОЖ

夜、またミサイル攻撃、詳細不明。何しろ複数の爆発が報告されており、負傷者も出ている模様。どうもショッピングセンターが被害にあったようだ。ОЖУП

EU大統領のオデッサ訪問

上記の攻撃はミシェルEU大統領がオデッサを訪問中であるのにも関わらず行われた。何も驚かない。いま我々が目にしているのは核・軍事超大国の発狂というおぞましき事態であって、聖なるもの不可触のものを何一つ持たなくなることが狂うということだから(例:うんこ食べる)。そこがウクライナであれば岸田がいる場所にもローマ教皇がいる場所にも奴らはミサイルを撃つだろう。

で、何が話し合われたかというに、ひとつは、オデッサ州内の港湾の封鎖を解除する必要性が話し合われたそうだ。先に国連世界食糧計画(WFP)のビーズリー事務局長が延べていた:ロシア軍による海上封鎖で欧州・世界への一大穀物輸出国であるウクライナから穀物が出られなくなり、このままでは世界で4400万人が飢え死にする恐れあり、封鎖の解除は今日にも行われねばならぬ、さもなければ想像を絶する被害がもたらされるであろう。戦争犯罪もここに極まるという感じがする。ОЖОЖ

5月9日が過ぎた

その5月9日が過ぎた。もともと好きでない。私は2012~2017年の間モスクワに住んでたが、最初の2回くらいはわざわざ航空ショーを見に出かけた。雀が丘で当時の恋人(今の妻)と手ぇ繋いでサリュー(打ち上げ花火)見た。若かった。私たちも世界もともに。14年以降はゲオルギーリボンを見ると反吐が出るようになった。

頓風珍の演説に新味なし。よかった。何も言うことがないのだろうな、それは口惜しいであろうな、と想像する。日付を気にする人たちだ。口ではなんといっても、分かりやすい、誇れる戦果をこの日までに挙げたかったに違いない。だが挙げられなかった。動員とか戦争宣言とか、一歩踏み込んだ発言も日和らざるを得なかった。

頓風珍が「英雄都市」キエフとオデッサの献花台にカーネーションを捧げる動画を見て何とも言いようのない感情。クレムリン外壁に沿うアレクサンドル庭園に先の大戦で祖国(ソ連)防衛に功あった諸都市を顕彰する記念碑が並び立つ、それに順繰り一輪の花を手向けていった、ねえ頓風珍、お前何思ってたの?どんな気持ち、ねぇどんな気持ち?

5月9日が過ぎれば戦果を急いでのオデッサへの盲滅法の攻撃もいったん沙汰止みになるのではと見て、この日付をひとつのメルクマールにしてたが、どうもそんなこともない感じか。いいよ。果てしなく祈る。

(義父母義兄みな元気でおります)

5/8(16発)

終日ミサイルが撃ち込まれ続ける。4次にわたり少なくとも16発。負傷者あり、だが死者は出ていないらしい、スラーヴァ・ボーグウ。

⑴深更より空襲警報鳴りやまず。上掲スクショは発令と解除のタイムライン(T)、日本時間表示、マイナス6で現地時間。のちの発表によると、この夜間~早朝の攻撃では8発のミサイルが撃ち込まれ、うち2発が撃墜され、6発が州内各所の家屋とかインフラを破壊した。人的被害ありとのことだが詳報なし。ОЖ

⑵午前中、もう2発。1発は撃墜、1発はどこぞへか命中して爆発が起きた。ОЖ

⑶昼過ぎ、さらに複数発。詳報なし。ОЖ

⑷16時過ぎ、3発。1発は撃墜、2発が着弾、海辺のレストランが破壊された由。ОЖ

要するに全然わからない。どこに弾が落ちて何がどのくらい損なわれたのか、敵の狙いが何で、それがどの程度果たされたのか。だが少なくとも民間人の犠牲については、ウクライナ側が死者について何も言わないのなら、実際に明らかな死者はいないのだ。一人でもいれば必ず取り上げて敵は悪鬼なりと騒ぎ立てるはずだから。

8日22時から9日まるごとを含んで10日朝5時まで、オデッサ市・州で外出禁止令が敷かれる。侵略者たちはドンバスやアゾフスターリへの爆撃を続けつつオデッサにもミサイルを送り込みつつ、強大な軍事力と世界を滅ぼす核戦力を誇示するパレードを行うのだそうだ。赤い広場と赤い空で。おぞましい。これをおぞましいと感じない感性があるというのが信じられない。

5/7(10発)

朝4発、昼6発、インフラ損傷、死傷者なし。

時系列でいうと、
朝からオデッサ上空を戦闘機(ウクライナ軍の)が飛び、また敵の無人爆撃&偵察機が飛ぶ。ОЖ
で午前中に巡航ミサイル4発が撃ち込まれてインフラに被害、人的被害はなし。ОЖ
で午後にミサイル6発が撃ち込まれて、うち4発が民間の家具工場に当たり、2発が(先に既に攻撃されて滑走路が破壊されていた)オデッサ国際空港に当たった。近隣のアパート・マンションの窓が衝撃波でボロボロに破れる。人的被害はなし。ОЖОЖОЖ

そんな一日のオデッサ中心部「新市場」の様子(ОЖ)。まちびとの気息が感じられる良レポート。だから好きだよ、ОЖ。空襲警報鳴っては止み鳴っては止みの日も市は開いてる、人は疎らだが来てはいる、そこへ飛来音・爆発音、第一の反応は皆共通して①凍り付く②空を見上げる、そこからは十人十色だ、友人知人に電話かけまくって安否を尋ねる人、ヒステリーを起こす人、鎮静剤を飲む人。飽くまで買い物を続けようとする人、早く家に帰りたがる人。最強だったのはこれらすべての騒ぎをよそに市場で買ったピロシキもしくはチェブレキもしくはサムサをおいしそうにむしゃむしゃ食べてる初老のオデッサ民氏でその光景はいっそ感動的であった、とのことだ。

フライパンミュージアム

こんな記事タイトル見てさては珍ニュース!と思わず反応してしまった。

露のフライパンミュージアム狙い撃ちにつきゼレンスキー「発想が並のテロリストを超えている」と読める。

だが何のことはない、浅学な私が知らなかっただけで、グリゴーリイ・スカヴァラダー(スカヴァラダーは「フライパン」の意味)という18世紀の文人がいて、ハリコフにあったその人のミュージアムが露軍のミサイルで破壊されたのだそうだ。露軍の攻撃ですでにウクライナの文化遺産200件が破壊されているらしく、これ自体は笑いごとにも何にもならない。(УП

5/6(2発/厳戒)

6日、オデッサにミサイルが二発撃ち込まれた。詳細は全然不明だが何しろ「犠牲者はいない」そう(ОЖ)。なにしろ9日の対独戦勝記念日にかけて敵が大規模攻勢をかけてくるリスクが高く(ОЖ)9日当日はオデッサ市・州全域で終日外出禁止だそうだ(ОЖ

不快な話は、義父母の住まう団地(妻の実家)のガチ至近の学校および病院にウクライナ軍の司令部が置かれ今後ラシア軍の攻撃の標的になるとのフェイク情報が拡散されたとかで、ウクライナ側はこれを明確に否定している。こういうことをする狙いは住民の間にパニックを引き起こすことなのだそうだ。パニックっていうか、多分、やはりウクライナ軍は市民を肉の盾にしている(ゆえにこそ高精度ミサイルで軍事標的だけを攻撃してもどうしても民間人に犠牲が出てしまう)という露側の旧来のレトリックを想起させてウ軍への信頼を損ねる狙いがあるのだと思う。ОЖ

5/5(無事)

5日、オデッサは静穏だった。市中でガソリン不足が続いてるが、これは先立って敵が石油加工場・石油貯蔵施設を攻撃したからで、でも新物流ルートの開発にはもう着手がなされていて、可及的速やかになんとかするとのこと。ОЖ

5/4(静かな日)

4日はオデッサに対して攻撃が行われなかった。ただし油断は禁物、とりあえず9日まではミサイル攻撃の脅威が非常に高く、苛烈な攻撃に備えるべきだという。ОЖ

市民の憩いの場、都市庭園(горсад / city garden)に緑あふれ、マロニエの燈心燃える。でも人影疎ら。写真

軍部よりオデッサの皆さんに改めて。「2022年、海水浴のシーズンというものは、ありません。ビーチは地雷原です。浜に寝そべるのは戦争に勝ってから」ОЖ

オデッサで、またウクライナ全体で、ガソリンが不足していて、ガソリンスタンドに長蛇の列ができている由。うちの義父も仕方なく電車で仕事に通い始めた。ОЖ

(注:そうは言っても無事であるからには仕事せにゃならん金を稼がにゃならんということで、人たちは通勤する。オデッサは公共交通機関が非常に未発達で多くが自家用車で通勤する。義父の会社は市中心部にあって村から一応電車で行けるのだが諸々の事情で車の4割増し不便である)

5/3(やたらめったら撃ってきた)

世界第二の軍隊の軍事関連施設のみを標的にし民間人に一切の犠牲を出さない不思議な高精度ミサイルが3日夕、カスピ海上の戦略爆撃機から20発ほど発射され、ウクライナ全土で空襲警報が鳴った。何発かは撃ち落とされ何発かは被害をもたらした、オデッサ州も下図のあたり被弾した。ОЖОЖУП

人的被害はなし。これだけ撃たれてちらほら負傷者の報告が上がる程度というのは、これは本当に世界第二の軍隊の(中略)ミサイルが高精度なのか、それとも単に、国土面積が日本の1.6倍でかつ人口が日本の3分の1(しかもそのうち1割強が国外に流出)かつ集住癖が強く人口の密疎濃淡の激しいウクライナでは「やたらに撃ってもあんまり当たらない」というだけの話か。これが日本だったら、日本全土に20発ミサイル撃ち込んで負傷者が数人出る程度というのは、よほど選んで山林田畑ばかり攻撃しないと無理という感じがするが。

もちろん当たるときは当たる。だが不思議なことに、当たったときこそこの世界第二の(略)の保有国は自国民向けにウソを言わなければならないようだ。同国国防省によれば、オデッサに対する2日の攻撃でも先月23日の攻撃でも、破壊されたのは飽くまで軍事関連インフラであって、アパートやマンションに被害は出ていないし、14歳少年が死亡したとか妊婦や3か月の赤ちゃんを含む7人が死亡したとかいうウクライナ側の発表は「フェイク」なのだそうだ。ОЖ

3日の「でたらめ矢」に関してゼレンスキー、ウクライナを思うように攻略できないことに苛立ちまた無力感を感じて、とりあえず何でもいい壊せそうなものを壊すという挙に出たもの、と一蹴。動画

ウクライナにおけるロシアのTV放送

ウクライナ国内で今も衛星放送でロシアの国営プロパガンダTVを視聴することが可能なのだが(※確実な情報)、前から不思議に思っていた。まずこれを見れなくするべきなのに、と。どうも、よくわからないが、衛星放送を見られなくするのは結構大変なことらしくて、段階的にしか進んでいかない、でもパートナー諸国と協力して、それに向けて作業は進んでいるとのことだ。ОЖ

5月は<草の月>

言い忘れてたがウクライナ語で5月はтравень、<草の月>です。去年の今日のツイート(ダーチャの裏の草っ原で撮った)。

灰色の冬の長い北国では春は色彩として現れる。ロシア語で「色」цветと「花」цветокが同根である意味も暮らしてみるとしみじみ実感される。ウクライナ語では4月がквітень<花の月>、5月が<草の月>。草の緑の目覚しさもまた格別のものがある。

5/2(ミサイル攻撃で住宅が被弾、死傷者あり)

2日夕方、オデッサにミサイルが撃ち込まれ2階建ての集合住宅が被弾、一人が死亡、一人が負傷とのこと(ОЖ123)。前者は14歳の少年、後者は17歳の少女で、少女は5日に誕生日を迎えその後嫁入りの予定であっただそうだ。ゼレンスキー「これは一体なんなんだ?何故だ?この子供たち、そして集合住宅が、ロシアにとって何の脅威だったというのか?」(動画

また、これより早い時間、例のドニエストル・リマンにかかる橋に対して3度目のミサイル攻撃が行われた。2度目で橋は破壊されたとの報であったが。たとえばそれがウクライナ側の偽情報で、本当は橋は一応通行可能な状態をとどめていたのだがいざというとき軍の装備が通行できるように対外的また市民に対しても壊れました(разрушен)と言っておいた、それをロシア側は例のスパイ無人機か何かで知って、改めて完全破壊を目指してきた、とかそういうことか。いずれにしろ、今度もまた、ウクライナ側は防御ができなかったようだ。空襲警報さえ鳴らなかった。(ゆえに、おそらくは)クリミア発の超音速ミサイルであろう、とのこと。なお上述の集合住宅がやられたときにも空襲警報は事後的にしか出なかったそうで、それも超音速ミサイルの可能性があるとのこと。ОЖ

沿ドニエストル周りは、とりあえず現時点でモルドヴァ国防省はロシアがモルドヴァに侵攻してくるとは考えていないそうだ。NATO高官も、沿ドニエストルで今後も策動は見られるであろうがそれはウクライナを困らせるためのものであってモルドヴァにとっての軍事的脅威は今のところないとの見方を示したという。УП

(昨日市中ではとバスというものを見たのだが車体にでかでかとHATO BUSと書いてあって一瞬エッ!?と思った)

5月2日の意味

オデッサの悲劇から8年、あの日あったこととは何か、と題する(全然題さない)記事がОЖに。14年キエフにおける政変いわゆるユーロマイダンで親露政権が打倒され親欧政権が樹立された、これを歓迎する一派と肯んじない一派がオデッサ中心部クリコヴォ原で衝突、後者が立て籠もった労働組合会館が炎に包まれ、48人が死亡した。マイダン支持者は火災という、反マイダン派は焼殺という。映像を見ると火炎瓶は上からも下からも飛んでいた。今から真実を知ることは困難だ。市民は今も二派に別れる。ここから(最後のとこ)訳出す。

Для майдановцев, для ярых украинских патриотов это стало днём, в который Одесса сказала жесткое «нет» проекту Одесской народной республики и «русскому миру». Для антимайдановцев 2 мая — день, когда Одесса «умерла и никогда уже не будет прежней». И главный аргумент для активной поддержки образований ЛНР и ДНР.
マイダン派にとって、また熱烈なウクライナ愛国者にとって、この日はオデッサが「オデッサ人民共和国」あるいは「ロシア世界」というプロジェクトに対し厳格に「否」を言い渡した日だ。一方の反マイダン派にとっては、5月2日はオデッサが「死に、もう二度ともとには戻らなくなった」日であり、かつ、ルガンスクおよびドネツク人民共和国の設立を積極的に支持する際の主たる根拠となっている。

Но есть и другое разделение, не политическое, более глубокое и важное. Одни одесситы (с обеих сторон того противостояния) сегодня по-прежнему повторяют: мы не забудем, мы не простим, мы отомстим!
Другие — в ужасе оглядываются на события того дня и задаются вопросом: как это могло произойти в Одессе, которая гордилась в те месяцы именно своим миролюбием? И как нам сегодня сделать так, чтобы подобное больше никогда не повторилось? И будущее — за ними.
しかし、政治的な立場によらない二分法もあって、こちらの方がより深く、重要である。すなわち、一方のオデッサ市民(対立でどちらの陣営に属していたかは問わず)は今日も繰り言する――「忘れない、許さない、目には目を!」と。他方は、あの日を思い返しておののきつつも、次のように自己に問う――「あの(国家が大きく揺り動いた激動の)数か月の中でも泰平を保ち、そのことを誇りにしていたオデッサで、どうしてあのようなことが起こり得たのか? このようなことがもう決して繰り返されないように、今私たちは何をすればよいか?」と。未来は後者にこそある。

オデッサ鴉雀無声

終日外出禁止令が敷かれた2日のオデッサ市中心部の様子。動画

5/1(わりと大丈夫だった)

1日、目だった攻撃はなし。隠然たる策動の話は多い。

戦果として、敵の無人偵察機を一つ撃墜した。これだって馬鹿にならない戦果だ。無人機はミサイル攻撃の誘導に使われるらしくて上空への無人機出現はしばしば続くミサイル攻撃の先ぶれとなるそうで、これを撃ち落としたことによってオデッサのどこかが破壊と死傷を免れたかもしれないのだ。ОЖ

復活祭のあとの日曜日はお墓参りに行く伝統、一か所に大人数が集まると敵のミサイルが飛んでくるかもしれないから墓参は控えるように、とのお触れが出ていたが、そうは言っても人たちは墓参した。そうは言っても人たちは墓参するだろうということで、お墓ごとに警察が配されていたが、幸いにして何ごともなしと。ОЖ

くだんの(昨日の項参照)5月2日付け「沿ドニエストル」紙の紙面はこんな感じらしい。グロ失礼。ОЖ

「沿ドニエストル」号外:モルドヴァ沿ドニエストル共和国住民よりロシア連邦大統領裏地見る裏地見ろビッチ風珍への公式書簡、とある。この号には他にも「ゴールデンウィークに流血を伴うテロ発生、子供・老人・女性を含め死者数十人」なる記事もあり、何ごとかやらかしてウクライナと西側にその責めを負わせて沿ドニエストル参戦・ロシアの沿ドニエストル併合への道をつける計略であろうが、事前に企みを摘発できたことで信頼性は損なわれたであろうと。(注:ウクライナ軍情報総局の発表をそのまま伝えているだけ、同紙が有力紙かどうかなど知らない)ОЖ

【追記】
ラヴロフ(笑)が「ロシアは5月9日に向けて戦果を急ぐようなことはしない」と述べた、これは9日までに戦果を出すことが非現実的になってきたため予防線というかハードルを下げにかかったものか、だとすれば嬉しい。TASS

ОЖのお家芸、今日のアネクドート。好きな人もいるかも知れないから一応紹介す。題は「スターウォーズ」

— Папа, а почему в «Звездных войнах» нет россиян?
— Потому что это будущее, сынок, — отвечает тот.
パパ、なんでスターウォーズには(他のクリーチャーどもと並んで)ロシア人が出てこないの?
子よ、それはな、スターウォーズは未来の話だからだ

ロシア人に未来はない、未来にロシア人はいない、という毒すぎる皮肉。ОЖ

4/30(オデッサ国際空港の滑走路がミサイルで破壊される)

クリミア発のミサイルでオデッサ国際空港の滑走路が損傷し今後の使用が不可能になった。軍用飛行場でない、普通の民間の空港である。私たちもようけ利用した。ОЖ

ウ国防省によると露は黒海に「カリブル」ミサイル20発を集中させていて、ミサイル攻撃の脅威が非常に高まっているのだそうだ。ОЖ

【追記】
5月2日に向け敵工作員による扇動・揺さぶりが激化してるらしく、その一つとして、ウクライナ軍の攻撃から私たちを守ってくださいという沿ドニエストル住民からプー珍への公式嘆願書なるものが掲載された5月2日付「沿ドニエストル」紙というものが押収されたそう。ОЖ

ちなみに同記事(軍部の定例の戦況発表)にこんな一行あり

「世界はさらにファシスト42人分だけ浄化された」(敵陣の損失大なるを呼号する箇所、ロシア軍人42名が新たに死亡したことを言う)

4/29(大丈夫/外出禁止)

28日はオデッサは平穏のうちに過ぎた。敵の失敗、自軍の成功、平穏を、この死の一週間のうちに一日稼げることがそれだけで途方もない戦果に聞こえる。とっとと過ぎてしまってほしい、5月9日なんか。気が付いたら世界は5月10日になっていてほしい。

5月2日は終日外出禁止だそうだ。オデッサ市だけ。オデッサ州はいつも通り22時~翌朝5時が外出禁止で、オデッサ市域に関してだけは1日22時から3日早朝5時まで外出禁止になる。ОЖ

パートナー諸国よりS300という地対空ミサイルシステムを取得して南方の対空防衛力が格段に増したそうだ。すでに稼働しているという。感謝しかない。ОЖ

4/28(暗鬱のGWが始まる)

ゴールデンウィークが恐ろしい。5月2日と5月9日という日付に向けて敵は成果を作ろうと急ぐのではないかという観測があって、まず後者は有名な対独戦勝記念日という日でロシアが年間通じて最も盛り上がる日である。20世紀の2度目の世界大戦でファシズムを打倒した、今また21世紀のナチス殲滅作戦でも赫々たる戦果を収めつつあります、我ら最強、我ら正義、プットラー総統万歳。

そして5月2日は14年マイダン革命のウクライナ南部におけるエポックとなったオデッサ労働組合会館焼き討ち事件の日である。事件については「手記」2月22日の項参照。「バンデラ主義者どもへの懲罰」を8年越しに下したらオデッサの親露市民は喜ぶだろう、という妄想のもとに、本当に攻撃を激化するかもしれない。少なくともプーはこの日付を認識しており、侵攻直前の演説でも言及している。

「5月2日にかけてオデッサで挑発・扇動・テロが行われる危険あり」ОЖ。だがこの記事にある「14年の同日オデッサ労働組合会館の火災で<ロシア世界>支持者48人が死亡した」(в одесском Доме профсоюзов во время пожара погибли 48 сторонников «русского мира»)との記述には戦時の言論補正を感じる。私はこの事件は火災でなく焼き討ちだと思ってるし、少なくとも<ロシア世界>支持者であるからといって市民が生きたまま焼かれていいとは思わない。14年のウクライナに民族主義過激派の蛮行が全くなかったと信じるのもまたナイーヴなことだ。むろんそのことによって今次のロシアの侵略・破壊・殺戮は寸毫も正当化されない。

ミサイル攻撃と防衛

28日、オデッサ州に巡行ミサイル3発が発射されたが、いずれもウクライナ側が撃墜したということだ。何であれ敵の目論見が実現しなかったということが喜ばしい。ОЖ

イルカが死んでいる

無辜のイルカが戦争の犠牲になっている。黒海海上の敵船のソナーの影響でイルカが超音波による方位測定能を狂わされパニックになり岸に大挙打ち上げて死んでいるのだそうだ。オデッサの岸辺には時折イルカが現れる。もちろん生きて現れていた。今は死体が打ち上がるのだそうだ。ОЖ

オデッサ旧市街を世界遺産に(再)

オデッサ市長がラザール・エルンドゥ・アソモ世界遺産センター長と会談。オデッサが世界遺産になる(さきたま古墳群より早く)、そんなことが本当にあるのかなぁ。いわゆる危機遺産のカテゴリーなのだろうか。「戦争でいろいろ大変な中でも文化遺産の保全に努めておられることに多大な敬意を覚える。我々も必ずや支援する」とアソモ氏。本当に世界遺産になったりすれば、もちろんいいことしかない。①ほんの1ミリでも破壊者侵略者(の少なくとも銃後)に対する抑止になるであろう②オデッサ市当局の文化財への態度も少しは改まるであろう③戦後の復興とともに多くの観光客がオデッサを訪れてくれるであろう。T

4/27(橋/墓/幽霊/ロシア人はなぜ「特殊作戦」を支持するのか)

橋、結局だめになる

例のドニエストル・リマンにかかる橋に対して二度目の攻撃があり、果たして橋は破壊されてしまった。何であれ敵の目論見が成功してしまったということが怖い。修正してきたということだ。「世界第二の軍隊(冗談はよしこちゃん)」はそこまで無能でもなかったわけだ。逆に、一度狙われた場所がすぐ翌日また攻撃されたのに、ウクライナ軍は防御できなかった。ОЖ

墓参を控えよ

パスハのあとの一週間とりわけ週末は近親者のお墓参りをする伝統であるが「墓参は控えるように」と警察からお触れが出ている。「敵軍はこれまで民生インフラ墓地含む、に対してたびたび攻撃を行ってきた」、一か所に大勢が集まればそれだけで標的となる可能性がある、とのこと。ピークをずらしての「時差墓参」が勧められている。ОЖ

オデッサ沖に幽霊船あらわる

27日、オデッサの岸辺からほど近くに謎の船団があらわれて、すわ敵襲!とビビった人もいたというが、これは実は幽霊船であった。「なーんだ幽霊船か」ホッ。

その正体は3月初頭(戦争初期)に魯軍に攻撃されて無人となったモルドヴァ船籍のタンカーだという。詳しく経緯をいうと、そのミレニアム・スピリット号なる船、魯軍の砲撃を受けて炎上したところオデッサの救助隊が出動して乗員を避難させ無人化、だが戦闘状態の海で危険なので船を港へ曳行することは叶わず、付属の数隻の荷船とともに永遠に沖を彷徨う存在となった。ОЖ

ロシア人はなぜ「特殊作戦」を支持するのか

メドゥーザ記者の渾身のルポ。熟読した。まだ消化できてるとは言えないが、だいぶ腑に落ちた。Meduza

何しろメドゥーザのシューラ・ブルチン記者がモスクワ・カルーガ・コストロマで通行人を無作為に掴まえて戦争を支持するか、ウクライナで何が起きていると理解しているか、それをどう感じているか、等を聞き込み、特にそのうち戦争(特殊作戦)を「支持する」と答えた人たちのその回答を分析し深層心理に分け入った。

(ついでにいうとこの方法は日本では絶対に無理だろう。ロシアの市井の人はこのような時でなくても政治社会に一家言もち話好きで雄弁であることが多い、翻って日本人は。「テレビの言葉で語る」という点はむしろ日本人の方がひどいくらいだが)

Есть мнение, что поддержка войны — результат пропаганды. Это, конечно, так. Но почему люди ей верят? Ее формулы работают потому, что люди могут пользоваться ими для своих нужд. Люди — жертвы пропаганды, но вместе с тем — ее заказчики.
戦争支持はプロパガンダの結果だという意見がある。それは確かにそうだ。でもなぜ人たちはプロパガンダを信じるのか?プロパガンダが用いる定式が有効であるのは、人たちがそれを自分自身の必要のために利用できるからなのだ。人たちはプロパガンダの犠牲者であると同時に、その注文者でもある。

ロシア人はメディアの嘘を信じ込まされているだけでなく、それを積極的に信じようとする内的動因を抱えている、と。それが強力なあまり、今回調査した50人ほどのサンプルの中にはウクライナに親類・友人がいる人も多かったが、彼らの直接のヴォイスと国営メディアのプロパガンダが矛盾した場合でさえも、むしろ後者を信ずることに人は就きがちであるという。(私(何丘)個人としては、開戦前、まさに多くのロシア人がウクライナ側に近親知己を持っていること、そのことによって、プロパガンダは容易に馬脚を露す、もってプーチンの構えた言論の檻は瓦解する(だから侵攻は不可能である)、というお花畑な幻想を持っていた。だけに、失望は大きかった)

Украинцы все время спрашивают: неужели россияне не знают, что происходит? Да, в большинстве своем не знают. Хотя понимают. Минут через пятнадцать все сторонники «спецоперации» мимоходом признавали: ну да, наверное, города бомбят, люди гибнут и все в Украине нас ненавидят. На каком-то уровне это понимают все — но не знают. И отказываются узнавать — даже если у них есть прямые свидетельства близких людей.
ウクライナ人のお決まりの質問:本当にロシア人は知らないのか、何が起こっているのかを? 然り、大多数は知らない。だが、理解はしている。「特殊作戦」の支持者といえども、会話が15分も続けば、決まって口を滑らせるのだ:まぁたしかに、多分、街を爆撃はしてるんだろう、人たちが死んでるんだろう、ウクライナ中がロシアを憎んでいるんだろう(注:攻撃は軍事拠点のみを標的に高精度で行われており民間人に犠牲は出ていない、ウクライナの民衆は我々を歓呼して迎えている、との露プロパガンダに反して)、と。全ての人がなんらかのレベルで理解はしている、――だが知らない。そして知ることを拒んでいる。たとえ近しい人の直接の証言があったとしても。

うすうす感づいてはいる。だが、それを意識にのぼせることを抑圧する。自分がその一員である共同体が弁護不能の悪事を遂行中であるという理解が耐えがたいために。

«Многие понимают, что что-то не то происходит, — говорит учитель истории, — и пытаются найти оправдания, чтобы не быть в таком потерянном состоянии. Повторяют из телевизора: „Если НАТО придет…“ Но видно, что чисто эмоционально им тяжело. Во время Крыма [в 2014 году] было по-другому: он [человек] прямо в глаза тебе смотрит и доказывает [свою правоту]. А тут — вроде то же самое говорит, но глаза так отводит…»
ある歴史教師「多くの人が、何か思わしくない事態が進行している、ということを理解している。そうして、そんな中で呆然自失してしまわないように、正当化の根拠を探している。NATOがやってくるだとかなんとか、テレビの言葉を繰り返す。でも、純粋に心情の面では、明らかに、キツイのだ。クリミアのとき(14年)は違った。自分の正しさを証明するにもちゃんと相手の目を見て語っていた。だが今は、語る内容は同じなのだが、語る際にこうして相手から目を逸らす」

Люди не могли допустить мысли о том, что мы развязали страшную войну, и готовы были выдумать любые объяснения, чтобы защитить образ хороших себя.
人たちは「恐ろしい戦争を始めたのは自分たちなのだ」という考えを受け入れがたく、<善き自己>というイメージを守るために、あらゆる説明を考え出すようになる。

いわく、やらなければやられていた、他に方途とてはなかった、ウクライナとロシアはひとつのものだ、キエフ政権はナチス、そもそもウクライナなぞという国家は存在しない。自分の側に善と正義がないという無意識的理解を抑圧するために考え出されるあらゆる幻想(その考え出すということを代行してくれるテレビ)。

Самый простой способ защиты от тревоги — сужение своей зоны ответственности. Человек просто говорит себе, что тут от него ничего не зависит, и больше не думает о том, что приходится принимать как данность.
不安から自己を守る最も安易な方法は、自分の責任の範囲を狭隘化することである。人は自己に語りかける、自分にはどうしようもないことだ、と。そうしてもう考えるのをやめる。所与のものとして状況を受け入れる。

Кажется, что все население выбрало быть ребенком, который не хочет ничего понимать.
まるで全国民が、何を理解することをも拒む”子供”になることを選択したかのようだ。

記事を読んで、ロシアの民衆はやっぱり被害者なのだ、という心情に傾いた。ロシア国民をあしざまにいう言葉は、今後そう出ないで済みそうに思う。今は、そう思う。

Meduzaは応援されるべきメディアだという思いを新たにした。「西側の手先」ということでロシアでBANされてるロシア語メディアが今後も良質な記事を生産できるようにクレジットカードやPayPalで献金できます→こちらから(英語)

4/26(ドニエストル)

25日、オデッサ州に巡航ミサイルが3発撃ち込まれてうちの一発がドニエストルリマンの橋を損傷させたそう。(リマンлиманというのは河口が砂州に鎖され内水化したもので、多分いわゆる潟湖というやつ、黒海北岸に一杯ある。ドニエストルリマンはドニエストルの河口が湖化したもの)

ウクライナ側の軍部の見立てでは、敵の狙いは橋を破壊してオデッサ州のドニエストル以西の地域(俗にいうベッサラビア)との連絡を断つことで、これは沿ドニエストルでの策動と無関係ではない。知らんが、なるほど広大なドニエストルリマンは南端の橋を渡れなければ北側を大きく周っていくしかなく、陸路の連絡は相当に難しくなる。沿ドニエストルからの攻撃をオデッサが迎え撃つという場合に、ベッサラビア側に取り残された兵員兵器の動員が難しくなる、とかそういう話か。だが幸いに、橋は崩落せずに済んだ。鉄道と車道が通っているのだが、車道二車線のうち一車線は通行可能で、もう一車線と鉄道を復旧作業中とのことだ。(ちなみにいうと景勝地である。片側にリマン片側に黒海を望む細く長い陸地がずーっとビーチになっている。ザトーカЗатокаと呼ばれる黒海北岸を代表するリゾート)ОЖ

沿ドニエストル策動

沿ドニエストルで、ロシアのプロパガンダラジオのウクライナ向け放送に使われていた電波塔が破壊されるという事象。これを受け①沿ドニエストル当局はテロの脅威が非常に高まっているとする赤色警報を発令②モルドヴァは「沿ドニエストル地域内部の勢力争い」によるものとこれを位置づけ、ウクライナによる挑発行為との線を否定③ウクライナ側は「沿ドニエストルを対ウクライナ参戦させるべくロシアの特務機関が仕組んだ挑発行為」と断定④OSCEはドニエストル両岸(※ドニエストル川はモルドヴァと沿ドニの「国」境になってます)に自制を呼びかけ⑤ロシアは「状況を注視している」ОЖ

4/25(あやしい話が多い)

あやしき情報の多かりし日。

超音速ミサイル

25日、クリミアからオデッサへ超音速ミサイル2発が発射されたが、不思議に一発は海に落ち、もう一発はウクライナ軍が撃墜したそうだ。ほんらい超音速ミサイルはウクライナ側の対空防衛網の手に余る代物で、撃ち落とせたのは僥倖であると。ОЖ

沿ドニエストル蠢動

沿ドニエストルで椿事。ティラスポリ(同「国」首都)の国家安全保障省に榴弾砲が撃ち込まれ建物が軽微な損傷とか。ウクライナ側の軍部の見立てではこれはウクライナ侵攻に向けて士気の全く上がらない沿ドニで「ウクライナの特務機関が攻撃を仕掛けてきた!」と騒いで敵意と戦意を煽り立てるための自作自演の劇である。だが使われた榴弾砲がよく見るとウクライナの装備にはなくロシア軍や沿ドニ軍だけ使ってるものだったりあまりにお粗末で、誰が何のためにやったことなのかよく分からないと。ОЖ

戦果と嘘

ウクライナの某テレビで某著名ジャーナリストが「ロシアは5月9日の対独戦勝記念日までに南部ウクライナを攻略しロシア~沿ドニエストルを結ぶ陸路の回廊を開いて国民向けに戦果を誇りたい考え」との見方を示した。ОЖ

この人は公開情報にもとづく戦況分析(いわゆるOSINT)に定評のある人で、気になったのは、彼のところではロシア国内のインターネットユーザーの検索クエリの分析が恒常的に行われてるそうなのだが、ここ数日で「巡洋艦モスクワに本当は何があった?」とか「ショイグはどこ行った?」とか「ウクライナはいつになったらロシアに攻め込んでくるんだ?」とか、ロシアのプロパガンダに対して疑念が生じていることを示す検索語句が増えていて、これは1週間前にはなかった新たな傾向らしい。ひび割れ…か?

間諜?

24日、パスハ(復活祭)を祝う人たちがオデッサ市内の聖堂前に集まっている様子を男がじっとスマホで撮影していて、不信に思った警官が取り押さえたところ、男が動画をリアルタイムでロシア国内に送信していたことが分かった。さらに、男のスマホの連絡帳にはロシアの番号が多く登録され、これら番号には頻繁に電話がかけられており、しかも男は身分証を保持していなかった。こうした工作員の情報を得て市民が集積している場所を知りそこに遠方からミサイルを撃ち込むことを敵軍は常にオプションとして検討しており、しかしさすがにパスハの日に正教信徒を殺戮するのは(イメージが悪い)……ということで手控えた、という想像を禁じ得ない。もちろん単にロシアに友人の多いたまたま身分証を携行していなかっただけの市民である可能性もある。だが少なくとも戒厳令下で拘束されて当然のふるまいではある。ОЖ

23日の攻撃に関する訂正

23日カスピ海上からのミサイル攻撃でオデッサ市内の高層マンションが被弾し8人が死亡という話、正確には7人死亡で1人不明だそうだ。不明とはいうが救助活動は終結したらしい。被弾の瞬間建物内にいた可能性があるが遺体が見つからない……ということは「いなかった」ということで、7人死亡ということで確定じゃないかと思う。負傷10名、命に別状なし。発射されたミサイルは「8発」だそうだ。

4/24(何もない日)

24日日曜は攻撃が行われなかった。幸いにも、と言っていいのか、23日の攻撃による死者は8人より上らず、負傷者10人は命に別状なしという。建物自体も倒壊の危険はなさそうで修理すればまた人が住める見込みだそうだ。ОЖОЖ

このブログもそれなりの数の人が見に来てくれているのだからこんなことは言うべきではないのかもしれないが、パスハをことほぐ定型のあいさつ、キリスト甦ったね、ほんなこつ甦ったね、を言い交わして笑顔であったこの日の魯の国の「罪のない普通の人々」を思うと憎くて仕方がないのだ。あなたたちだけがこれを止められるのに。それが今日行われれば今日、このすべてが終わるのに。

プのコア支持層であるというテレビを見る層=プロパガンダの影響をもろに受けている人たち、大好きなガールキンもウルガンも皆さんを去ったのに、グレベンシコフもDDTもこんなふうに歌っているのに、どうして、どうして信じたままでいられる?

4/23(オデッサにミサイル攻撃)

23日、オデッサにミサイルが撃ち込まれ、高層マンション他が被弾、民間人少なくとも8人が死亡した。

カスピ海(上図右手の水域)上の敵軍航空機から巡行ミサイル少なくとも6発が発射され、その誘導、及びウクライナ軍の防空兵器を攪乱するために数機の無人機も飛んだ。ウクライナ軍はミサイル2発と無人機2機を撃墜したが、撃ち落とし損ねたミサイル2発が軍事施設に、2発がマンション/アパートに命中した(ОЖОЖ)。上の地図では不幸にもいわれなき強襲にあった16階建て高層マンションの位置に赤ピンを打ってある。オデッサのほぼ中心部といっていい、多くの人が住むタイーロワと呼ばれるエリア。オデッサ市公式テレグラムの最新の発表(日本時間24日未明)では死者8人となっている。

にしても、カスピ海上の航空機から?そんな遠いとこからやたらめったらに撃ってきてマンションを破壊する、そんな法があるか?こんなやり方をとってくるなら、もう黒海海上の巡洋艦モスクワが沈んだとか、それでビビって敵艦隊はウクライナの対艦ミサイルの射程外まで沖に退きましたとか、そんなニュースで小躍りしている場合ではない。中央軍管区副司令官という妙な位階の(それを言うのに適切な高さなのか)奴の口から作戦の第二フェーズでは南部ウクライナの完全制圧を目指すと出たその翌日にこれだ。暗鬱なメッセージとしか読めない。問答無用で破壊し蹂躙してウクライナから海を奪い支配地域を沿ドニと繋げる、と。何人死のうと知ったことか、と。

パスハの前日に、正教の国が正教の国に、どうしてこんなことができるか。もうひとつ言わせろ。ロシア侵略以降、ロシア正教徒であることは野蛮である。

4/22(もうすぐパスハですね)

もうすぐパスハですね、ということで盛り上がっている。パスハというのは西洋でいうイースターで(南洋のイースター島もロシア語ではパスハ島といいます)要するにキリストの復活を祝う。キリストは金曜に処刑されて一度死んで、日曜に復活したことになっている。その復活を祝って、ある種のぱさぱさしたパンを食べたりゆで卵に彩色を施したりする。

ゼレンスキー「死が勝利したかに見えた金曜のあとに日曜が来る。生は必ず死を克する。ロシアはウクライナに死をもたらした。ウクライナの生への権利を奪おうとした。だがいかに過酷な戦争によっても、死は絶対に生に勝利しない。全ての人、全てのキリスト教徒が、そのことを知っている」(動画

なおロシア語で日曜日воскресеньеは「復活воскресенеの日」であるが、ウクライナ語ではそうは言わない(日曜はнеділя、安息日)

そんでオデッサ市内某所のツリーが復活祭の卵で飾り立てられた。ОЖ

「特殊作戦」第2フェーズの目標は…

敵軍高官(中央軍管区副司令官ミンネカエフ)によると「特殊作戦」はおとついくらいに第二フェーズに入っていて、その狙いはドンバス及びウクライナ南部を完全制圧することなのだそうだ。ウクライナ南部を支配できれば沿ドニエストルへの出口が作れる、その「沿ドニエストルではロシア語住民の迫害の事実が認められる」のだそうだ。(TASS)(こういうの書いてると本当に怒りで体が震える)

大雑把な地図だが右の領域と左の領域(沿ドニエストル)はいかにもつなげたくなるであろう。ヘルソンまでは事実上もうとられていて、あとはニコラエフとオデッサ、ニコラエフにはつとに攻勢がかけられていて、オデッサだけ金甌無欠といっていい状態だが。

改めて沿ドニエストル地図。オデッサ州と隣接するモルドヴァの一部領域、事実上のロシアの飛び地となっている。

何度も言ってるがロシアはロシア正教を信じロシア語を話す地球上のすべての人の宗主国をもって自任していて、その人々が「迫害されている」ということを口実に外国に乗り込んでいってその領土を強制的に併合したりする(クリミア)。いわゆる「ロシア世界」русский мирというドクトリン、帝国主義的拡張を正当化するためのプーチンロシアの世紀の発明。

これについてオデッサ州軍事行政報道官ブラチュクの兄貴「改めて言うまでもなく沿ドニエストルは一時的に占領されたモルドヴァの領土である。ロシアの占領者が沿ドニエストルの住民をロシア語話者であるからといって迫害している、だから『脱ナチ化』しないといけない、というわけか。ロシア人がロシア語を話す沿ドニエストル市民を迫害している!こういう場合は誰に相談したらいいんでしょうねえ!基地外としか言いようがない。常にこうやってウソをついてるのだ。ロシアを決して信じてはいけないОЖ

России верить нельзяか。「アウシュヴィッツ以後詩を書くことは野蛮」じゃないが、ロシア概論を語り起こすとき定石通りチュッチェフの「ロシアは理知では理解できない、ロシアのことはただ信じるのみ(В Россию можно только верить)」の詩を紹介するのは完全に野蛮で魯鈍ということになったな。

「ウクライナ人はロシア語で話すのをやめるべきか」

ОЖに「ウクライナ人はロシア語で話すのをやめるべきか」と題する記事。オデッサ国立工科大学のなんとかいうセンセイへのインタビュー。①日常使用言語のウクライナ語への集団的移行が認められる②「ウクライナにおけるロシア語迫害」をロシアは侵攻の根拠としているがそれは口実に過ぎず、ウクライナにおける言語状況がどうであれウクライナが独立自尊の主権国家であろうとする限りロシアは侵攻したであろう③(ウクライナの国語は何語であるべきかという点について)民族構成でみるとウクライナ人が70%を占めるのだからウクライナ語が国語であるのが自然④人は自らの言語を誰に対しても恥じることはない。

要するにただ無難な線をいった。こういう記事しか今は出ないであろう。①については気になるところ、街の会話に耳を澄ませてみたい。②は同意。③パーセンテージの話をするなら、たとえば9割がロシア語常話者であるオデッサにおいてロシア語が地域使用言語の地位さえ否定されたことにどうして言及しない(どうしてか。わかりきった話だ)。④ここが最も難しいところだ。それはまったくその通りではあるのだが、変わってしまったのは人たちの口でなく耳であって、この変化は不可逆的だ。心と口、耳と頭脳をつなぐ回路を切断したり繋げ換えたりする自己手術を数千万の人間に強いることをプの魯の国はあえて行った。

4/21(昨日に同じ)

オデッサをめぐる全般的な状況は昨日に同じ。一言で言って静穏。モスクワ沈没で敵艦隊がウクライナの対艦ミサイルやばいかもということで沖に引っ込んでくれたので敵上陸は当分延期された、ただしクリミアからのミサイル攻撃の脅威は高レベルで残存、沿ドニエストルから破壊工作が仕掛けられる恐れもあるが防備は十分である、自分とこが比較的大丈夫なので今は隣のニコエラフを手伝ってる、と。ОЖОЖ

ねこグラフィティ新作

オデッサ市内に続々登場している「たたかうねこちゃん」グラフィティの新作はボルシチいただきますねこちゃん。「ボルシチは(ロシア料理でなく)ウクライナ料理!」的なこと書いてあります。ОЖ

ちょっと絵解きすると、オデッサらへんの人らはベーコンの脂部分をサロсалоと称して薄切りにして食べたりする。あと、細ネギをお尻の玉の部分から生でかじったりする。黒いのは黒パン。個人的にはボルシチにどろっとしたクリーム(スメタナ)が乗っててほしかった。

もひとつ解説すると、4/10付けで記したが、これを描いてるイーゴリ・マトロスキン氏のその名が完璧だというのは、まずマトロス=水兵というのは港町オデッサにおいて古典的に「男が最も就くべき職業」であって、オデッサの人にして苗字がマトロスキンというのは相応しすぎるぜ(東京の空)という感じがする。あと、マトロスキンには「猫」との強い連想がある。「プロスタクヴァシノ村」いう超有名なソ連アニメの主人公?が猫のマトロスキンだから。単にペンネームなのかもしれないがマトロスキンという姓じたいはあり得る(ある)ものであり、名前が彼をこの職業/事業に導いた可能性もある。

良いニュースと悪いニュースがある

ОЖのお家芸、「今日のアネクドート」。巡洋艦モスクワの艦長が乗組員一同を前に語った言葉とは?

Капитан ракетного крейсера строит экипаж и говорит: «У меня для вас две новости. Сначала хорошая: нам посвятят почтовую марку»…

ミサイル巡洋艦の艦長が乗員に語る。「ニュースが2つある。まずは良いニュースから。わが艦の記念切手が発行される
そうだ」……

ОЖ

4/20(ファシストの駆逐艦には”Z”の名がついてるんだよ)

オデッサをめぐる状況は変わらず。特に攻撃は行われず。ただミサイルが飛んでくる可能性は依然として高い、ただし敵上陸や沿ドニエストルからの攻撃は当面ない見込み。ОЖОЖ

売国奴

発表された敵戦犯リストの中にオデッサ出身の将校の名。セルゲイ・コブィラシュ、この者が航空宇宙軍の将軍としてマリウポリの徹底破壊(を含めウクライナ諸都市へのミサイル攻撃)を指揮しているのだそうだ。同郷人の夥しい殺害。出身ても生まれただけとかも知れんが、だとしても、だとしても……。八つ裂きにしても足らんとはこのことだろうよな。ОЖ

予言的アニメ

例の巡洋艦モスクワ沈没が73年のマイナーなソ連アニメで見事「予言」されていたそうだ。ご覧な(1分)

海底探査機「ネプトゥーン」の向かう先に沈没した船。船体には「Z 29」の文字。子供の一人がいう。「ファシストの駆逐艦だ!」「なんでわかるん?」「ファシストの駆逐艦には”Z”の名がついてるんだよ」。

ロシア当局はYouTubeからこの動画を削除することに躍起になってるそうだ。ОЖ

アニメ自体は罪のない、愛らしいものだ。Сокровища затонувших кораблей「沈没船の宝物」。全編こちら(サムネクリックで動画へ)

なんかピオネールっていっつも金属スクラップ集めてるね。

4/18・19(戦時アネクドート)

オデッサ市・州は静穏。攻撃は行われず。てかウクライナ側の対艦ミサイルを恐れて敵船はだいぶ沖に引いてるらしい。とはいえ次なる攻撃目標を探しに無人機は飛来しているらしく(それをウクライナ側が撃ち落としたり撃ち落とせなかったり)油断は禁物、と。敵上陸は当分ない。一時期話題にのぼっていた沿ドニエストルからの進軍はまずない、と。ОЖ

街中の様子を覗いてみたい人はОЖのフォトルポルタージュを。大聖堂前広場、パサージュ、デリバーソフスカヤ、都市庭園。

モスクワ沈没祭続報

ウクライナ国立軍事歴史博物館がUNSECO水中文化遺産保護条約に基づき巡洋艦モスクワの残骸を博物館の「収蔵品」に指定したのだそうだ。ОЖ

例の逝ってよし切手入荷の報を受けオデッサ市中央郵便局に蜿蜒長蛇の列ができたそうだ。ОЖ

ОЖというのは地元週刊紙(週に一冊出る新聞)オデッサライフОдесская Жизньの電子版のことなのだが、私らは住んでたときこの紙の新聞をよく買っていて、そこにほぼ毎号掲載されていた「今週のアネクドート」を最近電子版でもやってくれている。全然おもしろくはないが。まず「モスクワ沈没の真相」ОЖ

Крейсер «Москва» НЕ утонул.
Крейсер «Москва» повышен в звании до Подводной лодки!

巡洋艦モスクワは沈没したのではない。「潜水艦」モスクワへと格上げされたのだ。

ОЖではショイグがプに報告してる様子が一枚絵になってるが、個人的にはコナシェンコフが喋ってるところを想像したい。

あるいはこんなのはどうだろう。「なぜオデッサ市民はロシア語を忌避するようになったか」ОЖ

— Фима, ты знаешь, я стараюсь меньше говорить по-русски …
— А шо такое, ты боишься, шо тебя побьют украинцы?
— Нет, я таки боюся, шо меня придут спасать русские…

A:最近なるべくロシア語で喋らないようにしてるんだ
B:どした、ウクライナ野郎どもにいじめられるのが怖いってか?
A:いや、ロシア野郎どもが俺を「保護」しに来るのが怖いのよ

4/17(ハリネズミと地雷原と祭)

寒の戻り。オデッサ州北部では18日朝の気温は0度とかマイナス2度とかだそうだ。義父母もさみぃさみぃ言っていた。もうやめてやってくれ。どんどん温かくなってほしい。花もどんどん咲け。杏よ花つけ。

デリバーソフスカヤの解放

敵上陸の可能性が低減されたということで、オデッサの目抜き通りから「対戦車ハリネズミ」が撤去された。「デリバーソフスカヤ通りが戦前の姿を取り戻した」の一行に涙ぐむ。ОЖ

「Ж」の字を立体化したような、というのはこの写真が分かりやすいか。

ハリネズミたちはそれを今最も必要としているお隣のニコラエフに移動するのだそうだ。たのんだ、ハリネズミ。

(改めて)ビーチは地雷原

テレグラム(というSNSがあるのだが)で、なんでもオデッサのビーチの地雷が撤去されるとかいう情報が流れたが、それはフェイクである、と公式アナウンス。地雷は撤去されていない、市民のビーチ訪問はガチで危険であるから引き続き厳禁である、と。「SNSで言われているこれこれの情報はフェイクだ」系のアナウンスは定期的に聞かれるが、今回のこれなどは、敵の情報工作というよりも、例のロープウェーの再開(昨4/16付け記述参照)の報が伝言ゲームで歪曲されていって「海行ってもいいらしいぞ!」みたいなことになったのではないかと想像す。誤解を与えかねないシグナル、だから、よしたほうがいいのだ、こういうことは。と私も口中の雌黄の分泌が忙しいこと。ОЖ

「モスクワ沈没」祭

巡洋艦モスクワを海の底に沈めたことがよほど嬉しかったと見えて(そりゃそうだ)、この一事を踏まえた言説・表現が溢れ、さながら「モスクワ沈没祭り」の観。

たとえばオデッサ公式テレグラムのこのポストでも↓(T

ウ:Хай для них залишиться в історії лише один покажчик курсу – ближче до дна, за російським військовим кораблем.
露:Пусть для них останется в истории лишь один указатель курса – ближе ко дну, за российским военным кораблем.
オデッサに進軍などさせない、敵の進路はただひとつ、「例の船」のあとを追うことだけである、と。

「たたかう猫ちゃん」と「逝ったモスクワ」↓(ОЖ

有名なアニソンのこんな替え歌もできました。「巡洋艦モスクワFUCK OFFの顛末」↓

Крейсер "Москва" идет нах*й под мотив – «В море ветер, в море буря…» (оставайся, мальчик, с нами…)

元ネタはこちら。ソ連アニメ「青い海、白い泡」主題歌。もちろん原曲の方が数段優れている。(サムネクリックで曲へ飛べる)

昔何丘Twitterの「ロシア語アニソン百夜百曲」で取り上げたこともあった(第57夜)。そんな昔でもないか。大昔だ。

4/16(あらゆる活動が最前線)

16日、オデッサ市・州にはミサイルが一発も飛んでこなかった。例のモスクワ号沈没で海からの脅威は減じた……か。しかし①クリミアからミサイルが飛んでくる可能性は依然として高い。ただし②先に指摘されていた沿ドニエストルからの進軍の可能性は今や「非常に低い」そう。ОЖ

空襲警報について

とはいえ16日未明は空襲警報が鳴りやまなかった。その発令と解除についてはオデッサ市公式テレグラムでこんなふうに発表されるのだが↓

表示は日本時間。マイナス6で現地時間になる。即ち16日早朝1時32分から48分まで、そのあと4時半から6時9分まで、そのあと6時34分から7時6分まで、耳障りな音響が鳴り響いたわけだ。空襲警報のしくみについては本記事3/18の記述参照。要するにミサイル発射の情報をつかむとそれが飛来する/通過する可能性のある全ての自治体に順次警報を鳴らしていく。飛行の軌道は変化するかもしれないし(プログラミングで曲がったり折れたり自在に軌道をデザインできるものらしい)中途で迎撃されるかもしれない、要するに警報は必ずしも被弾と爆発を伴わない、ていうか通例伴わない。私らは警報が心理的に耐えられないうちに(それが耐えがたいことをひとつの理由に)出国したが、今まだ残っているオデッサの人は、まず慣れっこになって、この朝も基本的にはぐーすか寝ていたのではないかと想像する。

逝ってよし記念切手

オデッサ沖「蛇島」の兵士がラシア船に中指を突っ立ててる「ラシア船逝ってよし」切手が大人気で売り切れ御免だそうだ。モスクワ撃沈前からあったものらしいがこのほど人気爆発した。おそらく第二バージョン(続編)が発行されるであろう。ОЖ

ロープウェーが営業再開

オデッサ名物、街と海をつなぐロープウェーが土日営業再開するらしい。ビーチは今や地雷原だからこれからいい季節で気持ちは分かるけどバカンスになど訪れないでね死ぬよ、と再三警告がなされているなかで、その海へと降りていくロープウェーがねえ。コロナ感染爆発で不要不急の外出が厳に戒められていた20年春に、それでも公園の噴水が続々オープンしたのを思い出す。ОЖ

だが、朝日新聞4月17日朝刊5面、リヴィウのオペラ劇場が稼働を再開したことにつきそのソリスト語らく、「軍は最前線で抵抗している。国家も自治体も機能している。文化人も活動を続ける必要がある。あらゆる活動が抵抗の最前線」。そうだな、生きてあること、笑うこと、海を眺めること春を楽しむこと、そのすべてを否定してかかる海の向こうの敵船に対して、あえてこのちゃちな玩具みたいなロープウェーで接近していくこと、これも立派な戦いであろう。その道義的戦いのために命まで失うことがないようゆめ注意されつつ。

4/15(オデッサが少し安全になった?)

ウクライナのミサイル「ネプトゥーン」が敵艦を轟沈させた、のイメージ↓

このたたかう猫ちゃんシリーズはオデッサのアーティスト、ユリヤ・ポドモギーナ(珍名!)によるもので、インスタでいろいろ見れます。Tシャツも買えるらしい。ОЖ

ちなみにネプトゥーンというのはウクライナ国産のミサイルらしくて、海神ネプチューンの三叉鉾(トライデント)といえばウクライナの国章にもなっている。

「ハリネズミ」の撤去

オデッサへの脅威が著しく下がったということで、市中にばら撒かれていた「対戦車ハリネズミ」が撤去され、より危険度の高いニコラエフ及びヘルソンに移送されるとのこと。ОЖ

↑こういう「Ж」の字を立体化したような障害物が街中いたるところに設置されていた。

それでも飛んでくるミサイル

それでも15日もミサイルは飛んできたし、無人偵察機も飛んできた。前者は空中で爆発したので被害なし、後者は撃墜した、と。だが実際に飛んでるやつの何割を撃ち落とせてるのだろうか。ОЖ

犬の徴兵

軍用犬のほとんどが前線に駆り出されてしまったので市中の爆発物探知などのために民間人の飼い犬を訓練することが奨励されていて、多くの犬と飼い主がワークショップに参加している由。週3回の訓練を1か月続けるのだそうな。ОЖ

4/14(巡洋艦モスクワ撃沈)

巡洋艦「モスクワ」の沈没をロシア側も認めた。明らかな戦果だ。これでオデッサが少しでも安全になるなら私として喜ばない理由はない。ウクライナも嬉しいだろう。敵旗艦その名も「モスクワ」を、かねて逝くべし逝くべしと願っていた場所へと送ったのだ(本記事4/4、3/23の記述参照)。

何しろウクライナのミサイルで大破した同艦がセヴァストーポリの母港に曳行されようとしたところ時化にあい沈んだと。「神風」とはこのこと。ОЖによるとウクライナのミサイル「ネプトゥーン」は元来もっと小型の船に対して用いるもので、敵艦もまさにこのような攻撃に備えてレーダーだの迎撃ミサイルだの満載していたらしく、今回の戦果は望外のものという。

JR東日本、ロシア語による案内板を撤去したり復活させたり

くだらんニュースだと思うが一言しておく。JR東日本が恵比寿駅構内の「(ロシア大使館のある)六本木に行きたい方日比谷線乗り場こちらです」のロシア語による案内表示を張り紙で隠した。利用客から「不快だ」という声が複数寄せられたためだという。でもそのやり方はちょっとどうだろうな、という批判の声がまたそれに対して上がって、それを受けて、やはりJR東日本は案内表示を復活させるのだそうだ(NHK)。JRとしてはカッコ悪いところを見せてしまったが、まぁある種仕方がないというか、こんなもんだろう。要するに自分の考えというものがないのだ。当社としては正直どっちでもいいのでより批判の声の大きい方に屈しておきます、といったところ。

だが「不快だ」とか言ったという人たちっていうのは何なんだろうな。ある種の義憤、正義と高潔の感覚。事の局外にあって、少しの心の努力で憎まないこともできるのに、あえて容すほうでなく憎む方にアクセルを踏む人たち(想像)。この戦争に心を痛め、「何か自分にできること」を探している人たちに、この世界に憎悪と破壊と他者否定でなく、愛と建設と寛容がしめる割合を少しでも多くすること、それもあなたの「できること」だと訴えたい。

4/13(ライオン、銃、消去される街)

オデッサは基本的に平穏。南部三州(オデッサ、ニコラエフ、ヘルソン)の概況「敵は戦況芳しからずと見て情報戦・心理戦を活発化させ、アジテーションやフェイク情報の拡散などを行っている。黒海における敵船の配置は従前と変わらず、依然としてミサイル攻撃の脅威があるが、悪天候が幸いして敵の上陸は差し当たり行われない見込み」(ОЖ

ライオン

ハリコフの動物園からオデッサの動物園へライオン2頭が送られてきた。ハリコフは猛攻を受け動物園の檻さえ破られて、新たに棲み家が見つからなければ猛獣は安楽死もやむなしというところであった。それでオデッサが引き取ったのだそうだ。この種の動物がらみの戦中美談が時折報じられる。明らかに人間の水準が獣畜未満であるときに、本物のケモノを前にしてやっと「人間」になることができる(ОЖ

前に書いたが防衛力強化の一環で警察が市民有志に銃火器の配布を行っており、オデッサにわりと暴力的な人が多いことを知っている何丘は、市民社会に武器が充満することは基本的にいいことではないと思っていた。思っている。何しろ武装市民による「不適切な行動」が散見されるそうで、ケース①オデッサ市中心部で男性が行き会った市民と口論になり、かねて所持していた銃火器を車から取り出して威嚇射撃。ケース②住宅街で酔っぱらって通行人に悪態をついていた男が静かにしてくれろと注意されたことに腹を立てその注意した人めがけて3度発砲。ケース③男が自宅窓からふざけてライフルを放ち女性二人が住む隣家の窓が被弾。幸い人死には出ていないが……住めないな。(ОЖ

抹消

オデッサ市中心部にこういう(↑)世界の街までここから何キロということを記した標識があって、姉妹都市である横浜の名もそこにあるのだが、ここからロシアの諸都市のプレートが撤去されるのだそうだ。具体的にはヴォルゴグラード、モスクワ、ロストフ・ナ・ドヌー、サンクトペテルブルグ、タガンローグ。もはやこれらの都市は姉妹都市でも友好都市でも何でもない、と。その字並びを見るのも不快である、と。「あいた場所にはこの戦争でわが国を支援してくれた友好都市のプレートを置く」と市長。(ОЖ

4/11(静か)

11日はオデッサ市・州に対し砲撃は行われなかった。

4/10(オデッサ解放記念日、ネコ)

終日外出禁止令が敷かれていた4月10日「オデッサ解放記念日」は平穏のうちに過ぎたようだ。ただし「敵による破壊工作、ミサイル攻撃や空襲の危険は依然として続いている」と軍部(ОЖ

オデッサ解放記念日

先の大戦でナチスドイツからオデッサが解放された日を祝う、4月10日「オデッサ解放記念日」。皮肉なことに、敵軍に狙い撃ちされるかもしれないから集会禁止、そう言っても人らが集まるかも知れないからいっそのこと終日完全外出禁止、ということにした今年こそ、かつてなく意義深く印象深く、「解放」の日が祝われたように思う。オデッサ市長らは前日に「名もなき水兵たちに捧げる」記念碑ならびに「4月10日広場」の「勝利の翼」オベリスクに献花を行った(T)。市長は市民向けビデオメッセージで、78年前と同様、今日も兵士たちはオデッサの「ナチスからの解放」のために戦っている、と語った(T

皮肉なことだ。何重にも皮肉なこと。かの国は「特殊作戦」をウクライナの脱ナチ化を目指したものと鼓吹しているが、ウクライナではロシアこそナチスと呼ばれている。「ナチスロシア」という言い方は今のウクライナの報道・公式発表ではごく普通だ。ところで、「先の大戦で多大な犠牲を払いながらナチスドイツを撃退し、世界をファシズムの脅威から解放した英雄国家ソ連」という物語をロシアと共有することを、14年以降のウクライナは快く思っていなかった。脱ロシア・脱ソ連はゲオルギーリボンや「鎌と槌」といったソ連のシンボルの市中からの排除といった方向にも進んだ。そんな中で、しかし、市民感情に配慮してさすがに排除しきれずに、お目こぼしに預かっていたのが、4月10日とか5月9日の、市民自発の記念行事であった。オデッサではいわゆる「不滅の連隊」の小規模なものも、上記「名もなき水兵たちに捧げる」記念碑や「4月10日広場」で毎年行われていた。今年はしかし、4月10日の記念行事が、あたかも公式のお墨付きを得た。「ナチスからの解放」という物語が、新たな意味合いを帯びたのだ。もはやロシアとの連帯でなく、訣別のしるしとして。

なお、これもどの程度知られた事実か分からないから一応言っとくと、ロシアのプロパガンダでは、たとえばマリウポリとかメリトポリとかロシア軍によって占領されたウクライナの都市は、「解放された」都市ということになっている。「解放」освобождение。

たたかうネコ

オデッサの街中に「たたかうネコ」のグラフィティが続々出現しているらしい(ОЖ

「ハローこちらウクライナ」「英雄たちに誉れあれ」等々といった言葉が書かれている。描いてるのはイーゴリ・マトロスキンという人だそうだ(「水兵イーゴリ」。できすぎ)

ゼ演説

日本では報道されるものとそうでないものがあると思うがゼレンスキーの国民向けビデオメッセージ(10分弱)は毎日行われていて、筆者も基本的にいつも聞いてる。あまりに力強いので逆に感化されすぎないように注意してるのだが。

その最新のものにいわく、「人は自らの過ちを認める強さを持てず、現実に適応できなかったとき、モンスターになる。そうして、これを周囲の人たちが見てみぬふりすれば、モンスターは増長し、周囲の人たちこそが自分に適応するべきだと考えるようになる。ウクライナはこのすべてを阻止する」(動画

(長らくお付き合いいただいている方はご存知だが私はこのブログで一貫してロシア語擁護者としてふるまっている、だが正直に自白すると、私はウクライナに暮らしながらウクライナ語を学ぶことあまりに少なかったことを恥じている。ウクライナ語をちゃんと勉強したい)

4/8(外出禁止令)

オデッサ州に対し引き続き、散発的に海からミサイルが撃ち込まれている。詳細は分からないが、インフラを標的としたもので、複数回の攻撃のうちの一回、オデッサ近郊某村(地図赤ピン)に着弾したものでは、人死にも出ているそうだ(ニュース

外出禁止令

ドネツク州クラマトルスクの鉄道駅への攻撃を受け、オデッサで9日夜から11日朝にかけて外出禁止令が敷かれる。1日半にわたる、これほど長時間の外出禁止令は、オデッサではこれまでなかった。外出禁止時間は私らがまだオデッサにいた先月初頭ころが最長(19時~翌6時)で、その後段階的に緩和されていた。

昨日書いたが、4月10日は先の大戦でオデッサがナチスドイツから解放された日付、いわば小さな「戦勝記念日」で、市内にはその名もずばり4月10日広場というものもあり、そこには天衝くオベリスクが立ち、「久遠の火」が燃えている。ほか、市内にはいくつか、そういう日に献花したり集まって涙したり歌うたったりするような場所があり、今年は「そういう場所に集まらないでくださいね」と当局からお触れが出ていた。というのも、クラマトルスクでの一件に見られるように、敵は目下「なるべく多くの市民を殺害できる場所を特に選んで攻撃し、ウクライナ国民を震え上がらせ、もってウクライナ指導部から譲歩を引き出そうとしている」。だから大勢が集まりそうな場所は狙い撃ちにされるぞ、と。

(にしても、「ファシズムからの解放」とは、まさに今次の「特殊作戦」の錦の御旗であり、「犠牲と戦勝」という物語は、ウクライナの中の親露成分との主要な紐帯である。4月10日に「英雄都市オデッサ」を顕彰するモニュメントの前に集まる市民を皆殺しにする……どこまで深く暗いニヒリズムがあればそんなことが可能になるのだろうか)

ともあれそういう次第で9日21時から11日朝6時まで、オデッサ市・州の市民は一切の外出が禁止される。わんわんのおトイレは近所の散歩で可及的速やかに済ませるように、とのことだ。(ニュースAB

4/7(ミサイルは撃ち込まれるものの)

6日夜、オデッサに再び海からミサイルが撃ち込まれ、インフラに被害と(ニュース)。何しろ被害の様相とかミサイルそのものを写真に撮ったり、あるいは場所特定につながるような情報をSNS等に書き込んだりすることが禁じられているので、分かることは少ない。通例、速報から数時間後に公式のアナウンスがあるのだが、そこで伝えられるのは曖昧模糊とした概要のみ、つまり、大体どこのエリアのどういう種類の施設が狙われたか、人的犠牲のあるなしくらいしか言ってくれない。現地の義父母や義兄らはいわゆるсарафанное радио(伝聞)で色々情報を仕入れるのだが、第一に信憑性に疑問、第二に、私たちとの定例のビデオ通話でも盗聴される前提で話してるのであまり詳しいことは言わない。

軍部によるときたる4月10日の「オデッサ解放記念日」(先の大戦でオデッサがナチスドイツから解放されたことを祝う日)に何ごとかあることを警戒すべきで、例年のように第二次大戦戦没者記念碑前に集まって集会など開くことがないように、とのこと(ニュース

今後(海上から撃ち込まれるだけなら…)

海から散発的に威嚇射撃があるばかり(公式発表を信じるならば幸いにして人死には出ていない。とはいえ燃料庫等に対する攻撃で毎度大きな爆発も伴っており、市民に不安と恐怖を、街に経済的実損を与えるものではある)で、その他一般情勢に鑑みると……滅多なことは言えないが、私としては第一に義父母の身を案じてしまうのは致し方のないところで、この分なら、内陸のダーチャに引っ込んでいるうちの義父母は大丈夫であろうと、その意味では、安堵している。

だが沿ドニエストルから進軍があるとしたら話が違ってくる、「海から遠いこと」をひとつの根拠としていた安心は崩れる。だが考えてみると、このいわば非友好国に囲繞されたロシアの「飛び地」に、新戦力の補充などどうやってやるんだ。もともとこの地域に存在した兵力を集めるほかない。兵器も、人員もだ。それだけなら、さまで脅威にもならんような気がする。

4/6(事もなし)

あの頃は(まだしも)良かったね、などと言う日が永遠に来ないことを祈る。オデッサは無事であった。

オデッサライフのフォトルポルタージュによると大小の商店は軒並み営業しており棚には商品ずらり、アルコール棚にも行列はなし、薬局は一部の品が払底、だが総じて、物のある生活、人のいる街路。

左:春を告げる立金花(リュウキンカ)。中央:たぶん建築基準法的なやつで定められていて、原則すべての家屋にこういう国旗をさす用の旗さしが取り付けられている。祝日のときは上の段にさし、何か悲しむべきことがあったときは下の段にさして弔意を表する(半旗の掲揚)。戦争が始まってからは上の段にさしっぱなしである由、私らも3月4日だかに街に出たときにその様子を見た。右:また街中の至るところにウクライナ国旗がペイントされている由。14年の政変ではたとえば愛国市民のこうしたペイントの上に親露市民が赤いペンキを散らす(「マイダンは血塗られたクーデター」との立場表明)などの落書き合戦がまだ可能であったが、今あえてウクライナ国旗を侮辱しようという人はいないだろう。

4/5(花を植える)

5日、オデッサは平穏だったそうだ。

待たれた春だ。街に花が植えられる。(オデッサはウクライナ南端付近の街ですが緯度でいうと稚内より上で冬は寒く春は遅いです)

「危険、地雷あり」。暖かい晴れの日は何はなくとも海に出てきて憩うオデッサの人たちの素朴さが好きだった。

4/4(無事)

ミサイルは飛んでくるものの幸いにして人死には無し。沿ドニエストルからの侵攻に関しては「可能性は低い」と軍部(ニュース)。

4/3(オデッサへの攻撃が過熱している)

オデッサへの攻撃が過熱している。3日早朝、石油の貯蔵庫・加工工場にミサイルが撃ち込まれ、大きな爆発。軍部の発表によると人的被害はなし。情報統制で私人による写真・動画の撮影は禁止されているし、軍部も具体的にどの場所にどういう被害があったのか発表してくれないので気を揉むが、何しろ①義父母と義兄は無事。義兄とその彼女はこれを受けてダーチャの義父母のもとに避難した。②彼らの集めた口コミ情報によると、やられたのは海沿いのいわゆる工場ゾーンと呼ばれる一帯で、市中心部(オデッサ市100万人口の3分の1が住む)と団地(同じく)をつなぐ線上にある場所(と私が日本語で書いても利敵しないと信じる)←ニュースAB

そうして4日0時頃また大きな爆発があったということだ。これ書いている今(4日10時JST)はウクライナ時間の払暁。情報ふるえて待つ。

沿ドニエストルからの攻撃に備える

軍部によると敵はウクライナ・モルドヴァ国境線上の沿ドニエストル(下図)と呼ばれる領域からオデッサを攻撃する準備をしてるのだそうだ。

沿ドニエストルは事実上のロシアである。いわば背後からの攻撃によってオデッサらへんの軍事力を囲い込んで無力化するのが敵の狙いだという。だが「緊張は続くものの、近日中に侵攻が行われる可能性は低い。ウクライナ軍は状況を掌握できている」(上掲ニュースB)。(ミサイル全然撃ち落とせないでぼんぼん爆発が起こっている状況で言われても)

戦時下のユーモア

4月1日いわゆるエイプリルフールの日にオデッサではユモリーナ(Юморина)と呼ばれるコミカルな街頭パフォーマンスが行われる伝統がある。戦時下における笑いとは。オデッサライフによるルポルタージュにSNSミームとか風刺画像とかまとまってる。「オデッサっ子がもつ最強の”生物兵器”は、恐怖と悲哀と不安の中にあっても冗談をいう能力である」。

↑例の「ロシアの軍船、逝ってよし」(3/23参照)のセルフパロディ、「ロシアの軍船、どうだ、逝ったか?」

また同日、実際にロシアの軍船に「逝っていただく」儀式がオデッサの海で行われた模様だ(ニュース

悪王支持率

かの国における悪王支持率が83%とかで(レヴァダセンター)。1月は69、2月は71、で3月が83%。調査期間は24~30日。残虐性の高まりに伴って支持率はむしろ上がっているのだ。絶望、という言葉は使いたくないが。失望разочарованиеという言葉はゼレンスキーも使ってたが(先月28日の露メディアへのインタビューで)。

奴らは強大だが言うて100人1000人のことだ、対するこっちは1億人だ、と有名なプーチン宮殿動画の最後でナヴァーリヌィがアジっていた。でも見よ、ベラルーシもあれだけ騒いでいまだにルカシェンコは権力の座に座っているのだし、

結局はある種のдворцовый переворот腹心の離反による無力化を期待するしかないのか。ああナロード、ナロード。

表記の問題

日本政府がウクライナの地名表記をウクライナ語読みに近似するよう改める決定を下したこと自体は、これは政治的決定であるので、仮にそれが普遍的価値に奉仕するものでなく、戦術的なジェスチャーに過ぎないとしても、肯定されうると思う。だが雪崩を打ったように新聞・テレビが表記を改めたことは、いかにも定見のないこと、無批判なことだと思って、軽蔑している。

ウクライナにおける唯一絶対に「正当な」言語がウクライナ語なのではない。地名のロシア語呼びは「ソ連時代の遺風」などではない。ロシア語による文化生活はウクライナの一部である。ウクライナはウクライナ語とロシア語(少なくとも)二つの言語を公用語と認めてしかるべき言語環境であった。後者を抑圧し、迫害さえしたのは、14年以降の政権の党派性に過ぎない。むろんそこに同情の余地はある。隣接する核超大国がロシア語を話すすべての人の宗主国をもって自任し、実際にその錦の御旗をふるって外国領土の一部を併合するという挙に出た、その当の被害国としては。だが8年間の言語浄化も、ウクライナ国内の言語地図を決定的に塗り変えることはできなかった。①その言語浄化はまさしく正当なものであったか。②現下のウクライナの言語環境はどうなっているか。この2点の精査なしに、「おかみのつるのひとこえ」で一斉に地名のウクライナ語化に走ったマスメディアの、矜持のなさよ。

ひかえめに言って街の会話の9割がロシア語で行われているオデッサをオデーサと呼ぶことのいったい何が原音主義だろう。(コ●●●ワさん、これが私の答えです)

3/31(またお酒を飲んでもいい)

戦時ということで3月1日より施かれていた禁酒条例が4月1日解除される(ニュース)。商店でワイン、ビール他が販売可能に。ただアルコール度数30度以上の酒(ウォッカとか)はダメ。「犯罪が増加したり風紀紊乱が見られたらまた禁酒しますよ節制してくださいね」

↑3月6日、村の商店で。このブラックシートが一部剥がされることになる。

地名表記改定

日本政府がウクライナの地名の慣例表記を改める決定をなし、NHKも早速追従。思うところあるが、……(あとで書くかも知れないし書かないかも知れない、私は改めない)

3/30(停戦交渉で進展というが)

画像、オデッサ市公式テレグラムから。「世界第二の軍隊?冗談はよしこちゃん」。冗談はよしこちゃん(я вас умоляю、直訳:頼みますよあなた)はオデッサっ子に特有の表現で、こいつを自家薬籠中の物にした人は晴れて裏ハンター試験合格、オデッサ市民の一員として認められる。(逆にいうとこのフレーズを多用するロシア語話者がいたらそいつはオデッサ出身である疑いが濃い)そのオデッサは30日も平穏無事。

ニコラエフ行政庁舎破壊

写真見ましたか。これが国家のやることですか。お隣のニコラエフ州の行政庁舎にミサイルが撃ち込まれた(ニュース)。十数名死亡。名物知事のキム兄は幸いにして無事だった。想像してほしい、あなたの住む県の県庁にぼかんとミサイルがぶち込まれて知事執務室を含む庁舎の3分の1が吹っ飛ぶ、こんなことを行うのはテロ組織でなくてなんだろうか。プーチンのロシアは国家の名に値せず、またロシアの名にも値しない。国家を僭称するテロ組織「イスラム国」をISと呼び表したのと同様の措置をプーチンのロシアに対してとるべきではないだろうか。

3/29(ゆるみ過ぎ禁物)

とはいえゆるみ過ぎると死ぬ。軍部「敵はオデッサ侵攻計画を放棄したわけではない。偵察飛行、軍船の接近、工作員送り込み、様々な試みがなされている」(ニュース

ゆるみ過ぎ市民の悲劇もあった。地雷が埋め込まれていることがつとに周知されているビーチに車で乗りこんで爆発、1人が死亡1人がけが。「戦時下のビーチはバカンスのための場所でなく敵上陸の舞台である」(ニュース

3/27・28(「オデッサは多分もう大丈夫だね」)

攻撃は行われなかった。「オデッサは多分もう大丈夫だね」とニュースばっかり見てて物知り博学秀才文化人のわが実父。義父母と義兄(とその彼女)もビデオ通話で毎夜元気な姿を見せてくれている。

時差

日曜、サマータイムが始まって、日本とウクライナの時差が「7」から「6」へ短縮されました。日本の昼12時がウクライナの朝6時。

オデッサを世界遺産に

オデッサの歴史建築群はUNESCOの暫定リストに載ってるのだそうで、ロシア侵略軍の破壊から守るためにその正式な世界遺産認定を急ぐようオデッサ市長が求めている(ニュース)。記事内の動画で戦時下のオデッサ中心部の様子が見られるので市長がロシア語で喋ってるのは無視して映像だけでもご覧いただきたい。喋ってる市長のバックに見えるのがオペラ劇場、その後ルソフ邸、デューク像(平時)、ポチョムキン階段、沿海並木通り、デューク像(戦時。土嚢に埋もれている)、市庁舎など映る。何しろ一番きれいなところを並べているが、文化財指定なのにもかかわらず管理不行き届きでボロボロの建物も多く、UNESCOはロシア軍の前にウクライナの無作為からも文化財を守らなければならない(≒登録は無理であろう)

ゼレンスキーへのロシア独立系メディア複数によるインタビュー

見た(動画)。アドリブで何口滑らすか=「何を」喋るかでなく、「いかに」喋るかを聞いていた。(日本のメディアは「何を」の方を報じていておやと思った。そういうものかな。事実誤認とか言いすぎとか言いまつがいとかあるかも知れないじゃん、「何を」はやはり公式声明の方を聞いた方がいいのでは)

マリウポリの惨状については聞くだに苦しかった。総じてこの若き・闘う指導者に共感と親近感を覚えた。今はとにかく何も言わずにこの人を応援したいと思った。27分くらい~メドゥーザ編集長の「2月24日を境にあなた自身のロシアとかロシア人に対する感情は変化したか」との問いに対する苦悩に満ちた真率な回答はロシア語・ロシア文化・ロシア文学を学ぶ全ての人に見ていただきたい。人間の心はこのように引き裂かれる。敵を愛すること、神ならぬ身にどうしてそんなことが可能か。

だが……こんなことは言わぬが花か。ロシア語に対してあなたの政権が、本当に抑圧の名に当たることをしていなかったか。疑う。よくも言えるなと思う。

3/26(この状況で固定化するのか)

26日はオデッサ方面への砲撃がなかった。ただ住民を不安にさせるフェイクニュースが流れたりとか住民を扇動するようなフェイクSMSが配信されたりとかはした。(ニュース

オデッサライフの市中フォトルポルタージュ、春の陽気、古書市通り(実際は書肆より雑貨屋とか立ち飲みカフェとか闇両替所が多い)が活況。

沿いでは恒例となったバルコニーコンサート、聞く人多数、オデッサ逞しいなという感じがする。

聴衆の一人「すごくお年を召した」クセニヤお婆ちゃん談:古書市通りに毎日来ている、ここにいれば怖くない、人がたくさんいるし、みんな親切だし、ここに2時間座っていることが何よりの薬、血圧がスーッと下がる。(記事

あと、昨日記したように、オデッサ市立動物園が久しぶりにオープン、これに長蛇の列(ニュース

要するになんだ、暗い話は聞き飽きた、待たれた春だ、生きてるなら楽しまにゃ損。

一般情勢

この戦争は長期化するのか。キエフを落とせなかったロシアは目標を下方修正し東部二州支配を落としどころとするのか。この戦争は飽くまで「ロシアがどこまで勝つか」の勝負だったのか。ウクライナはこの後も長く苦しむのか。さらに東部二州まで失って、NATOにもEUにも入れず。「ポスト14年」体制がさらに悪化したものが固定化するのか。プーチン政権は存続するのか。せめて東部二州を押さえられれば国民向けには一応整合性が立つ? ――ふざけるな。ロシアがすでに行ったことに対する業罰が絶対に下らなければならない。1000万人が住むところを失ったのだぞ。すべての人の生活が破壊された。街が破壊され、人たちが殺された。

帰国後はじめてテレビのニュースを見た(ニュースウォッチ9)。やはり見るものではなかった。耐え難い。やはり何をかしなければならない。ガルシアマルケスなど読んでる場合ではない。しかし何ができるだろう、私はロシア語ができるが知恵が回らなく影響力も皆無である。テーブルで牛乳がこぼれたなら床よりまずテーブルを拭くべきだ。募金とか難民支援とかそれはそれで大事だと思うがより本質的なのは戦争そのものを止めることだとどうしても思ってしまう。私の考えは、ロシア軍を止められるのはロシア世論しかない、いわばロシアは背後からしか止められない、前方から止めようとするとその抗力を上回るおぞましき火力を用いかねない(生物化学兵器、そして核…)、それは絶対に避けねばならない。西側の殺傷兵器供与や「ウクライナ軍が反転攻勢」といったニュースが素直に喜べないのはそれだ。

右を見ても左を見ても(チュバイス逃亡は吉兆か)また後ろを見ても誰も自分を支持する者がなく、自分が全くの孤独であり、この上いかなる抵抗も意味がない、と知らしめねば、まだ撃つものがあるにも関わらず砲火を収めるという最後の英断は、あの狂気の老人には不可能であろうと思う。申し訳ないが、それが「この政権のもとで生活は不可能だ」という目覚めにつながるならば、(指導部の個人資産などではなく)ロシアの国民生活を標的とした制裁もやむを得ないと思う。そもそも誰の選挙、誰の容認もしくは無関心によって存続した政権なのか。あなた方にも責任の一半がなかったとは言わせない。

だがそれはそれとして、俺に何ができるだろう。

3/25(オデッサ市営動物園が営業再開)

動物園が営業再開

一陽来復。休業してたオデッサ市立動物園が市民の求めに応じて26日限定的に営業再開するとのこと(ニュース)。大した動物園ではないがライオンとかゾウとかいる。戦争で動物たちの食べ物とか大丈夫かと心配され、欧州からたびたび「人道支援」を受けていた。

黒ミサで侵略軍に呪いを

ウクライナの魔術師・魔女たちが侵略軍に呪いをかける特別な儀式を催すのだそうだ。儀式は3部構成で、第1部は月齢29歳(「祟りと呪いの日」)となる3月31日にウクライナ国内の某パワースポットで魔女13人が何かする。第2部は4月中に某国某所で他国の同輩たちも集めてより強力なエネルギーにアクセスし、「われら偉大なる民族の勝利と栄光」を祈願する。「万国の魔女・軍神たちよ団結せよ」。第3部はよくわからんが仇敵プーチンが近臣の支持を失い孤立し追い落とされるよう願い、そうして侵略者に死と懲罰が下されるよう呪いをかけるのだそうだ(ニュースインスタ

徴兵適齢の男子はウクライナから出られない

18~59歳の男子はウクライナ国外に出ることができない。だが、例外規定は存在する。その一覧。たとえば18歳未満の子供が3人以上いる父親は応召可能な健康体であっても出国できる。逆に言うと、ていうか再度言うと、こういう例外的な事由がない限り、若い男性は国外に出られない。父が残り妻子だけ出国するということは可能で、実際多くの家庭がそうしているであろうが、いつ再会できるとも分からぬ一家離散よりは、不安でも怖くても国内に留まることを選ぶ人たちというのもまた相当数いる。出るべき人は出て、いまなおウクライナに残っているのは祖国防衛の熱情に燃える闘士ばかりだという理解は全然間違いだ。

3/24(切り取り方次第)

24日も特段のことなし。オデッサライフ電子版にオデッサ中心部のフォトルポルタージュ(こちら)。晴れた暖かい日、人は少なくなったが街を粛々とトロリーバスが走り人はベビーカーを押して散歩しまた買い物する。休業中の商店の窓が緩衝材で守られたりウクライナ国旗のペイントが街中に施されたり敵軍の進行を阻むべく「Ж」の字を立体化したような障害物が道路の要所に置かれたりと、街の様子は旧に変わらずとはいかない。だがそれでも、スーパー以外の店、たとえば美容院やカフェなどもぼちぼち営業再開していて、さしずめ一陽来復のきざしといったところ。

同じ24日づけ、NHK記事「【現地は今】ロシア軍ねらうウクライナの要衝オデッサで何が?」。これはこれでひとつの現実だ。同じ日同じ街でもどこを切り取るかで報道の色は全然かわる。ただ、それは別にして、まぁお粗末な記事だ。ロシア軍はなぜオデッサを狙うかといって、今さら「不凍港がほしくて」もないもんだろう。いつの時代の話をしてるんだ。それから「ウクライナ海軍の戦力を使えなくする」狙いがあるのだというが、ウクライナ海軍の戦力はロシアがオデッサを攻撃しようとするときにはじめて問題になるのであって、因果関係がおかしい。ウクライナが武力によるクリミア奪還を計画していたとかいう話は寡聞にして聞かない。ほか、あらゆる情報に留保をつけるべき状況で米高官の見方とやらに安易に「実際に」などという句を付すのもセンスがないし、そもそもサムネの文字をロシアカラーに塗るのはデリカシーがない(極めて不快)。この程度の記事が出てしまうことは、逆に、NHK編集部はオデッサに大して注目してないし、オデッサを大して危険だと思っていないということを証している。

3/23(どうかこのまま何ごともなく)

オデッサについて言うことなし。毎日ビデオ通話してる義父母(オデッサ郊外に在住)も「変わりなし」と。

«Русский военный корабль, иди на…й»

文学徒としては非常の事態がどのような<非常時のことば>を生むものか興味あるところだ。さしあたりこんな言葉がウクライナ側で流行ってる。「ロシアの軍船fuck off」。もともと戦争初期にオデッサ沖の蛇島(остров Змеиный)の防衛をめぐってウクライナ側が言い出したフレーズで、のち写真のようにオデッサ市・州内のビルボードでも盛んに掲示されるようになった。(写真はこちらからの借り物、オデッサ市内)

ここで用いられている語はいわゆる放送禁止用語で、良識ある大人は用いない、無垢な子供の目にも触れさせるべきではない非常に汚い言葉だ。(この種の言葉を「教科書に載っていない生きたロシア語」として得々と紹介してる日本語サイトがあるのを知ってるが個人的には最も愚かなやり方だと思う。変に覚えていい気になって使って眉を顰められるさまを想像するとまことに寒々しい。知っていて悪いことはないと思うが最低限の品位を失いたくないなら使うべきでない。余談)。で、このほどこのフレーズが「ウクライナに味方する世界中の人々の心をつかみ、結束を呼びかける、ロシア侵略軍との闘争のシンボル」となったと公式に認められ、使用しても「国家ないし地方自治体の品位を損なうものではない」と認定された(ニュース)。

「これは戦時だ、軍の発表・決定・権限に疑義を呈すな」

すごいインタビューもあったものだ。ウクライナ国防省報道官。Q「どうして戦争中は国防省や特務機関の発表・広報のファクトチェックをしてはいけないの?」A「なぜならこれは戦争だから。声明というものは省庁の夥しいフィルターを通過するもので、それがひとたび発表されたということは、即ちそうすることが国家防衛のためには必要だったということなのだ、そう信ずることだ。戦争に勝ってから(お望みなら)検証をなされるとよい」Q「どうして軍の決定や権限について公然と疑義を呈し・また個人的に疑問を抱いてはいけないの?」A「なぜなら軍は前線の状況について誰よりよく関知しているから。ある決定があなたにとって不可解でも、それはあなたが全てを知っているわけではないということをしか意味しない。加えて、そもそも軍事的決定はたとえば外科医のする医学的決定と同じでプロフェッショナルなものであって、世論の影響のもとにとられるものではない」盲信せよ、疑うな、私たちの正しさを。それをこのような言葉であけすけに言ってしまっていいのか。オブラートに包むということを知らん人らやな。原文

ゼレンスキーの国会演説

聞いた(動画)。日本が特別期待されてるなどと自惚れない方がいい。ゼも忙しい中なんでこんなもの引き受けたろう。①日本への感謝と賞賛。②新国際秩序建設を呼びかけ。③原発危機の強調。

①日本がアジアでいの一番に対露制裁に踏み切ったことを賞賛。これは直接日本にというより間接的にアジアの某権威主義大国ならびに他の自由主義諸国にシグナルを送ったものと解した。即ち、今ウクライナに支援を・ロシアに制裁を行えば行うほど「ウクライナから感謝され称揚される」という特典に与かれるよと。今その国際社会における発言力が(マリオの)スター状態であるウクライナに別して賞賛されることは即ち国際社会における地位をジャンプアップさせる捷径である。そういうメッセージをアジア全土に届けるために、日本はとりあえずセンターピンとして選ばれたと思う。
②今次の戦争を未然に防げなかったことは既存の国際安全保障体制がもはや無効化していることを証すものであり、新たな国際秩序の樹立が急務である、そこで日本はリーダーシップを発揮してほしいと。後段、スター状態のウクライナからこの言葉を貰ったのは儲けものだが先ほどの伝でいうとこれは今ウクライナを支援するとこんなふうな推輓が得られますよといわば返礼品サンプルを示したものと解されるが穿ちすぎか。前段についてはある一点において完全に同意、ロシアの国連安保理常任理事の地位を剥奪すべきだ。(まったくツラの皮が何枚あればロシアの国連大使など務まるのか。人間の厚かましさには限界というものがないと感心する)
③日本向けに、ウクライナにおける原発危機がことさら強調されていた。原発に対する/原発周辺でのロシア軍の軍事行動によって破局的事象が引き起こされたらどうなるか、フクシマから11年、日本人なら分かるでしょ。ツナミという言葉も使われた。

前から思っているが、ゼレンスキーにはいいスピーチライターがついている。そしてゼレンスキー自身も役者がいい。

世界に報じられることが分かっているこのイベントで、日本としては、是非ともウクライナの問題とりわけクリミアを北方領土に結び付けてくれるようロビーイングを行うべきではなかったか(と後から思う)。北方領土を名指しし、不当に占拠されたものとして国際的にコンセンサスのとれているクリミアと北方領土を同列に並べてくれていたら、後々効いたのではと思う。前も書いたがロシアの現政権は遠からず倒れると確信している。今はまだギリ惰性でプロパガンダマシーンへの喜怒哀楽の同期&思考停止が続いているロシアの大衆も早晩解呪されではやまぬ。これほど明白な悪事は絶対に覆い得ない。そうしてプーチン無謬神話が壊れ国営メディアの虚偽が暴かれロシアの近年の対ウクライナ政策は完全に間違っていたということになれば、少なくともクリミアまでは還ると思っている。それを見越して日本政府は今クリミアと北方領土を強力に紐づけておくべきだと思うのだ。

(先日のロシアの平和条約交渉破棄通告に対し日本政府は意外なほど毅然とした反応を返した。思い出すのは、今月頭に日本政府が北方領土は日本固有の領土であるとのレトリックに回帰したことについて、キシニョフで知り合った某ウクライナ難民が言っていたПросто Россию перестали бояться(ロシアのことを誰も怖いと思わなくなった)という、戦時下にあってパラドキシカルにも聞こえる言葉だ。案外そうなのかもしれない。プーチンはもう終わりだという私のソレは憎さ余っての妄言ではなくて、日本政府もさすがにこんなものは長く続かないと見ているのかもしれない)

3/22(わりと静かな日)

わりに静かな日だったようだ。オデッサ揚陸を企んでたロシアの海兵部隊が殲滅されたとの「吉報」が伝えられるなど(ニュース)。これは戦時下の報道で自陣の戦果について語ってるものだから耳半分で聞いとくが、しかし、先から言われている「オデッサの防備はかなり充実している」というのは本当なのかもしれない。

軍部の見立てでは、現環境で敵軍がオデッサに上陸するのはまず不可能(そのための戦力のほとんどは隣のニコラエフ掌握に投入され消耗している)で、現在は沖合にちょいちょい戦艦が現れて砲弾を撃ち込み心理的プレッシャーをかけにきているだけの状態だという(まとめ)。

機雷漂流説

先日も取り上げた「オデッサ沖の機雷が時化で繋留を外れ公海へ漂流している」との説、トルコ軍もそういうことを言っているらしい(ニュース)。ウクライナ側は「ロシアが設置した機雷だ」と主張しロシア側は「ウクライナが」と言う。いずれにしろ重要なのは、黒海が民間の船舶の航行にとって危険なものとなってしまったということ、あるいは、「危険なものになってしまったかも知れぬ」という不安によって、たとえば貿易船がオデッサに立ち寄らなくなるという効果が現実に生じ得るということだ。

日露平和条約交渉中断

日本の報道で知ったが、ロシアは日本との平和条約交渉を中断するのだそうだ(NHK)。驚きはない。そして意味もないニュースだと思う。だってプーチンは明らかにもう終わりだ。プーチンのロシアはこのあとなおいくつかの挙に及び得る、その中には某не дай бог兵器の使用も含まれるが、いずれにしろ、その命数は数えられている。プーチンはごく近い将来、少なくとも政治的には、必ず死ぬ。かつてこのコントロヴァーシャルな人物は死んだら一応モスクワに(故地サンクトペテルブルクではなく)記念館の一つも建つかなぁと考えたことがあったが、その線も消えたね。彼の歴史的評価はもう決定した。世紀の戦争犯罪人、これ以外にない。ゆえに、この政権が今の状況で打ち出すあらゆる施策は早晩撤回され無効になる。むしろ日本は、そのあとにくる、つまりプーチン王朝崩壊後にくる相当強い揺れ戻しの中で行われる大懺悔キャンペーンに乗じてうまいこと北方領土を取り戻す算段を整えておくべきだ。(※私の思惟は同人への憎悪でだいぶ濁っていると思います)

3/21報道(海からの攻撃)

21日早朝オデッサ沖からロシア船が砲撃を行い海沿いの複数の住宅が損壊、人的被害なし。のち現場を視察したオデッサ市長「周辺に軍事施設は存在しない。市民が住んでいるただの住宅である。ロシア国民よ目を覚ませ、このようなことが現実に行われているのだ」(オデッサ市テレグラム)。軍部「敵は例によって心理的なプレッシャーをかけてきている」(オデッサライフ

3/19記事(世論調査:オデッサ市民は戦争をどう受け止めている?)

オデッサ市民2000人を対象とした世論調査(記事)。

まず、今行われているのは「戦争」なのか、それともウクライナを救うための「特殊作戦」(ロシア側のレトリック)なのか。

ロシアが遂行しているのは「特殊作戦」である
否:81%
肯:12%

「特殊作戦」はナショナリストからウクライナを解放することを目指したものである
断固、否:73.9%
まぁ、否:12.1%
まぁ、肯:1%
断固、肯:4%

ロシアはウクライナと戦争を行っている
否:6.4%
肯:90.8%

ゼレンスキー支持率。

ゼレンスキーの行動を
支持する:93.4%
支持しない:6.2%

オデッサは「ウクライナの街」か。

オデッサはいずれにしろウクライナの一部である
否:3.4%
然り:90%

3/18記事(ウクライナの防空能力と空襲警報)

私らが新聞を購読していた「オデッサライフ」≪Одесская жизнь≫電子版に18日付でウクライナの防空能力と空襲警報のしくみについて語ったウクライナ空軍報道官のインタビュー記事が掲載された(記事)。ウクライナ軍の対空防衛能力の現状と限界をあけすけに語っていておもしろかった。何しろ敵機もしくは敵ミサイルの飛来をレーダーで探知し、その軌道を予測して、それが上空を通過することが予測される各市町村に順繰り警報を鳴らしていく。だが①24日の侵攻初日でまずやられたのがそのレーダーであり、②敵もレーダーで探知されないよう低く飛ばしたり軌道を大きく曲げたりしてくるので、捕捉できるミサイルは全体の10%程度だという。

3/18・19報道(イーロン・マスクとオデッサ、Timer編集長拘束)

オデッサの主要インフラが衛星インターネットに接続

詳しい人教えてください。何しろイーロン・マスクのスターリンクなる「衛星インターネット」にオデッサ市庁を含むオデッサの枢要インフラが接続されたということだ(ニュース)。ロシアのサイバー攻撃によるインフラダウンを回避する策と理解している。ちなみに私がオデッサにいた8日までの時点では(もう遥か昔ですね)、インターネットの動作感は旧と何ら変わらなかった(戦争が始まってインターネットが使いにくくなったという実感はなかった)

ウクライナ軍の設置した機雷が黒海でデブリ化?

戦争初期、敵上陸に備えてオデッサのビーチに地雷が埋設されたという話があったが、海にも機雷というやつが設置されていたらしく、その一部が先日来の時化(しけ)で錨を外れ、意図しない海域へと漂流し、黒海を航行する通常船にとって脅威となっているらしい(ニュース)。ただしこれはロシア側の発表で、ウクライナ側は特にコメントを出していないとのこと。だが……ありそうな話に思う。

露語ローカルメディア「Timer」編集長拘束

本記事ここまですべてのニュースの出典であった露語ローカルメディア「Timer」の編集長が19日、ウクライナ保安庁に拘束された(ニュース)。理由は示されていない。Timerの編集方針が問題視されたか。このニュース(19日17時)を最後にTimerのウェブサイトの更新は止まっている。公式テレグラムチャンネルの方はその少し前、それまでロシア語で伝えていた空襲警報発令および解除の報をウクライナ語で行って、以後更新が止まっている。

露語メディアが一律に閉鎖されているわけではない。オデッサのローカルニュースを伝える露語メディアは他にも存在するが、見たとこ20日も更新がなされている。Timerの編集方針がまずかったか。たとえばこのДумскаяみたいに、

こんなふうにロシア軍のことは「ナチス・ロシア」ウクライナ軍のことは「ウクライナ防衛者」と表記するのでなければ露語メディアはもうウクライナに存在できないのだろうか。そうして、

こんなふうにすべてのニュースの末尾に「ロシアの侵略者どもに死を!」と記するのでなければ。しかし、そんなニュースもまた読んでいられないのだ。(ロシア軍の破壊と殺戮を憎むことにかけて私は人後に落ちないが)(Timerには少なくともこのような姿勢はなかった)

(以下、筆者のたわごと)

ゼレンスキーのウクライナがただ勝つだけでは、ウクライナ国内の親ロシアの人にとって、ますます住みにくいウクライナになってしまう。この戦争はウクライナが右傾化を強める契機になり得る。この政権にはたしかに超克されるべき側面があった(もちろん外国軍によってではなく)。この政権が「親ロシア」即ち(たとえば)単にロシア語を話しロシア語でものを考えロシアの文化や芸術を愛する人々に対して行っていた政策を飽くまで私は支持しない。ウクライナの中には親ロシアの人だっていていい。ウクライナ語とロシア語、ふたつの言語をもつ国であっていい。私の願いは、ウクライナがこの上1ミリも蹂躙されることなく、かつ、ウクライナが寛容な国へと再び生まれ変わることだ。「ウクライナの勝利」を願うのは、私のすることではない。

(その裏側で、ロシアの無残な敗北は、たしかに願っている。プーチンのロシアよ、死んで詫びろウクライナに、と。実際、ウクライナが寛容性を回復するために、「ロシア語を話しロシア文化を愛する人間」が国内に存在することが即ちウクライナにとっての「国家安全保障上の脅威」であるという事態が解消されねばならないならば、そのためには、ロシアが「ロシア語を話しロシア文化を愛する人がいるのであればどこであれ出向いていって<保護>する」という、いわゆる<ロシア世界>русский мирなるドクトリンを放棄することがたしかに必要である。また、その実践例として併合したクリミアを、ウクライナに返還することが。してみると、偏屈にも「ウクライナの勝利」を望まないとする私は、誰よりも徹底的な「ロシアの敗北」切願者である、ということになる。所期目的を全く達成せずしての侵攻の中絶・ドンバス含むウクライナ全土からの自軍完全撤退、クリミア返還、憲法再改定、ウクライナとの完全講和そして全面賠償、<ロシア世界>ドクトリンの放棄、世界の鼻つまみ者からの再出発。これほど完全な敗北を、ロシアに望んでいる)

3/17報道(国境ガラ空き、社会混乱に乗じた犯罪)

国境ガラ空き

オデッサ州からモルドヴァ・ルーマニアへの各国境通過ポイントが今やガラ空きだそうだ(ニュース)。出る人はもう出た、ということだろう。オデッサ市に対して本格的な攻撃が始まればまた国境への奔流が起こる。が、そのようなことはありませんように。

社会混乱に乗じた犯罪

入居者募集の掲示を見て話を聞きにやってきた家族が、そこに待っていた20・30代の男3人に武器で脅され金品(自動車含む)を巻き上げられた(ニュース)。3/15付け「市民への武器の配布」のひとつの帰結か。

平和の海に・・

オデッサのビーチで地雷が爆発(ニュース)。ウクライナ軍は先に敵上陸に備え黒海の真珠オデッサの最も貴重な財産であるビーチに地雷を埋設していた。そのひとつが作動した。作動の原因は記されておらず。

(※上掲記事内の動画はフェイクであるとジャーナリストの須賀川拓氏。教えてくださった方、ありがとうございました)

この日はまた、オデッサ沖にロシア船が肉眼で確認された。このかんを含め、この日オデッサ市・州では2度空襲警報が鳴った。

3/16報道(海からの攻撃、国境越えの悲喜劇)

海からの攻撃

海上のロシア船がまたミサイルだの大砲だのオデッサ州内各所に撃ち込んできた(ニュース)。ウクライナ軍部によると敵の狙いは将来のオデッサ上陸に向けてウクライナ側の対空兵器の所在を確かめることだという(ニュース)。昨日今日撃ち込まれているエリアは下図赤丸、黒海北岸有数のリゾート地であるZatokaの周辺。同地図赤線で囲われたオデッサ市からはやや離れている。

敵海上戦力が狙う本丸はオデッサであるとして、そのオデッサ市は防備十分であり、「来たら返り討ちにしてやる」とウクライナ軍部は豪語するが、果たして。

(なおこの日、オデッサ市・州では空襲警報鳴ること3回)

国境越えの悲喜劇

18歳から59歳の徴兵適齢の男性は国境を越えることができない。これが家族離散を生んでいるし、家族離れ離れになりたくないから国外へ逃れるに逃れられない人たちを生んでいる。戦争による生活の破壊は実に家屋の損壊とか人身の毀傷とかだけではない。モルドヴァへのとある国境通過ポイントで、後部座席の赤ちゃん用品ボックスの中に身を隠した37歳男性が国境警備にあえなく見つかり、越境失敗(ニュース)。戒厳令下の徴兵忌避は厳罰である。これに類する様々な試みがある。

強大な敵の理不尽な攻撃に敢然と立ち向かう勇ましきウクライナ人、という像が日本の報道では好んで描かれているように見受けるが、戦場で殺しまた死ぬよりは家族とともにただ生活を営むことを願う応召可能な健常男性がいたとして誰が責められるか。I don’t wanna be a soldier mama, I don’t wanna die.

3/15報道(海からの攻撃、市民への武器の配布)

海からの攻撃

オデッサ州内各地に朝また昼間、海上からミサイル攻撃があった(ニュース)。その後ロシア船はいったんオデッサ沖から離れたとのことで、ウクライナ軍部によれば、これは「いまに上陸するぞ」とロシアが心理戦を仕掛けているものだとか(ニュース)。なおこの日、オデッサ市・州では3度空襲警報が鳴った。

市民への武器の配布

市民社会に銃火器が広がっている。ウクライナ防衛のために働いている/自警団に所属している市民へ警察が自動小銃ほか武器の配布を進めており今日すでに1万丁ほどが市民の手に渡ったということだ(ニュース)。

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