【週刊YouTubeレビュー】10/17:宮本浩次は今も俺たちのミヤジなのか?

その他

印象に残ったYouTube動画のメモ。今回は10/11~17の間に視聴した分。

【音楽】The Marías – All I Really Want Is You (Live)

今週これ何度も聞いた。The MaríasというバンドのAll I Really Want Is Youという曲。すべての私の本当に欲するものはお前。

バンドについては何も知らない。ただリコメンドされるままに聞いた。YouTubeからの音楽のリコメンドはとりあえず聞いとくことにしてる。したらThe Marías、全然ふだん私の聞く系統じゃないのに、気に入った。AIてぇのは頭が切れるね。綜合力に富む。私の視聴傾向を人間が見たら「ああヒップホップとか好きなんですね」と大きくジャンルでくくって済ませてしまいそうだが、AIはもっと深く綜合的に見て判断してくれる。だから……

ダカラ好キダヨ、汝ノコトガ。AI。

ところで私はみのさん(みのミュージックの)じゃないのでこの曲のどこがどう私の気に入るのだと分析的には言えない。とりあえずMVのビジュアルが好き。あと、ある種のポップスとかロックに感じる「うるささ」がない。後半ドラムやギターが白熱するところがあるが、この感じはむしろ好き。歌唱は、基本的に黒人の方々の情感たっぷりな歌いぶりが好きなのだがこの白人女性の決して熱を入れない感じ、なんだろうな、言えないんですよね、でも好きだ。

【音楽】Common – Rain (Audio) ft. John Legend

こっちこそ何度も聞いた。趣味どまんなか。別に今出た曲でもない、てか見たら2016年のアップロードだったが、今さらながらに出会った。Common ft. John Legendの Rain という曲。だがこれは表記がおかしい。歌ってる分量からいってCommonがJohn LegendをというよりJohn LegendがCommonをft.してると言った方が正しい。曲がったことが大嫌い!!

私はJohn Legendという人は全然聞かないで育った。育つっていうか、過ごしてきた。フィーチャリングの形で界隈に出没するので顔と名前と声はつとに一致していて、それこそ先日の東京オリンピック開会式で五大陸Imagineリレー(そのImagineという曲はまた名前のよく似たJohn Lennonという人の作なのだが)(片やジョンレ〇ン〇、片やジョンレ〇ン)の北米大陸代表でぱっと画面に映った瞬間あああいつだなと分かったくらいのものではあったが、(なんか話長いね私)

とにかくこのほど初めて聴いてみた。したら、悪くなくソウルフルだった。思ったほど男性版アリーシャ・キーズでもなかった。ピアノもいい。特に低音部からだだだっと駆け上がる劈頭のピアノなんかすごい胸熱くなる。

Commonはさすがの仕事ぶり。この声は本当ヒップホップ界の至宝。ラップって喋ってるだけじゃん誰でも出来んじゃん音楽じゃないでしょあんなの、という人よくいるが、そういう人にはとりあえずCommonを聞かせて「少なくともこの声を持ってる人が1億人に1人もいないことは分かるでしょ」と迫るのが手っ取り早いと思う。Commonの声なら正直もう韻踏んでなくても許せる。

【音楽】John Legend – Bridge Over Troubled Water(LIVE)

これも今週何度も視聴した。John LegendがBridge Over Troubled Waterを歌う(もちろんサイモン&ガーファンクルのカヴァー)。素晴らしいの一言。白T一枚でこんなことできるやついる? や白は関係ないか……てかTが関係ないのか。もう何もかも関係がないのか?

【アメリカがすばらしい】
圧巻のパフォーマンス。こういうのきくとアメリカってすごいよなって思っちゃう。アメリカは超大容量の圧力釜で、その上澄みの上澄みにのぼりつめるとこういう白T(繰り返して恐縮だけども)が完成する。私は原曲どんなだっけと思ってサイモン&ガーファンクルのBridge Over Troubled Waterを聞いてみた。もう全然聞けたものではなかった。塗り替えてしまったのだ。JLはもうこの曲を自分のものにしてしまった。このようにして楽曲は所有を替るのだ。次の誰かが奪い直す日まで。

【歌詞がすばらしい】
にしてもどういう歌詞なんだろう。”like a bridge over troubled water I will lay me down”私の乏しい英語力によるとこれは「氾濫した川に橋を架けるように私は我が身を横たえる」。これで合ってるとすればすごい比喩だ。「眠り」の卓抜な比喩。

【ピアノがすばらしい】
ピアニストのピアノ(ピアノ単体で聴かせるピアノ)とは全く別個の技能だと思う、「弾き語りのピアノ」。歌唱と相互作用するピアノ。歌を支え歌を高め、また歌によって高められるピアノ。それのすごくいいやつがこれだろう。ドラマチックの演出がすごい。それこそStevie WonderのYou and I (We can conquer the world) みたいに(⇒過去のYouTubeレビュー)。

【音楽】Usher – Mercy Mercy Me/What’s Going On (LIVE)

これも古いな、13年のアップロードか。Usherの歌うMercy Mercy Me/What’s Going Onのメドレー。両曲は言うまでもなくマーヴィン・ゲイ。Usherてやっぱ歌うまいんだなって改めて思った。当たり前かもしれないけどマラカスも手堅くうまくてやっぱミュージシャンなんだなって思った。

Usherは工業生産されたスーパースター(ポストMJあるいはボビー・ブランとして)というイメージが強くていまひとつ評価しきれなかったけど好感もてるパフォーマンス。けっきょく室内楽の方が好きなんだろうな俺は。アンプラグドが。

【音楽】宮本浩次 - アルバム『縦横無尽』全曲ダイジェスト

エレカシ宮本がソロでアルバム出したらしい。その全曲ティーザー。ジャケ写と曲名から期待された通りにソープ。ソープオペラならぬ、ソープロック。おばさま方向けに甘々。行ってしまったなー、、さよならミヤジ、俺たちのミヤジ。向こうでもがんばってくれ。

【音楽】宮本浩次のYouTuber大作戦!

リンク切れ。

だがこれ見てまた考えが変わった。宮本浩次公式チャンネルの「宮本浩次のYouTuber大作戦!」。やっぱり俺たちのミヤジは俺たちのミヤジだった。この感じで歌ってくれるなら今の曲も全然聞いてられる(たとえギターがメタメタでも!)。ということはつまり、俺が許せないのはアレンジなのか? 小林武史という人こそ俺(たち)の敵なのかな。

この「宮本浩次のYouTuber大作戦」というのは要するにミヤジが一人でアジトで語ってニューアルバムのPRをする、途中弾き語りもあり……という企画なのだけども、ミヤジは一種の天然記念物、世にも珍しき生き物なので、その振る舞いをただ観察しているだけで言い知れぬ満足がある。

ミヤジはやっぱり声のいい人だった。そしてアツくて、本気でやってる人だった。肯定したい。私は聞けないが、どーしても、今のその本気でミヤジがやってる音楽に寄り添うことができないのだが、それでもミヤジがこうして生きていて頑張ってくれているということから大いなる励ましを受け取る。あの頃と同じように。

なんか動画は削除されちゃったようなのだが(期間限定公開だった模様)、再掲を望むし、それだけでなく、定例化してほしい。こんな1時間なら正直毎週見たい。多くは望まぬ、ちょうどこんな感じに、ただ近況報告してくれて、気が向いた曲2、3曲演ってくれて、「視聴者からの質問に答える」だけでまぁ40分とかで。それで表現の場&ファンとの接点がもてるなら宮本も本望なのでは?

【音楽】ダイノジ中学校|宮本浩次 × 櫻井和寿「東京協奏曲」

芸人のダイノジがダイノジ中学校と称して音楽語りする。今回は例のエレカシ宮本浩次×ミスチル櫻井和寿コラボの「東京協奏曲」について。たいしたもんだ、こりゃ立派に分析であり批評だよ。まったく自分が恥ずかしくなる。この「週刊YouTubeレビュー」は一種の批評の訓練ということでやってるのだが、好きなエレカシ(宮本)についてさえ何にも語れない自分が情けないわ。

過去のYouTubeレビューでこの曲について何と言ったか。

自分に酔ってる大御所ふたり。ダサ。何一つ東京を批評できていない。

この批評うんぬんこそ全く実体のない空疎な言辞だ。認める。

でも基本的に自分の立場は変わらんつーか、ダイノジが激賞してるからって、聞いて不快とさえ感じるものを好きになるなどということはない。宮本桜井、そこから降りろよと思う。そのMVの銀座和光の屋上から。銀座と泥臭い修行時代を重ねるダイノジは少数例外であって、私を含む多くの人には銀座は綺羅めく他所の星だ。その綺羅めきの象徴のような建物の屋上から眼下にうごめく衆を見下ろして「東京は~~」などと気持ちよさそうに歌うな。そのただ中をストラグルしてる人らを超越しちゃってんじゃねえよ。「俺ビルの角あたりに日本人の情緒感じて……」と歌った宮本よ。「ビルは山の、す・がたを見せ!」と歌った宮本よ。もうホントやめてくれよ。

【美容】VOGUE JAPAN|宇宙人ムーンが語る、眼球タトゥーと人類の未来

禁断のコンテンツ見てしまった。私はグロ耐性がゼロなので好きなVOGUE JAPANといえど(つまり面白さが確約されているとはいえ)サムネにウッときて、「後で見る」には追加したものの視聴を躊躇していた。それをこのほど見た。

何しろこのムーンという「人」は、眼球eyeballにインクを入れて、いわゆる眼球タトゥーを入れて、白目を藍色に変えている。ぎゃひぃ!!そうして宇宙メイクして宇宙的に歩行している。まさにVirtual Insanity。正直、生理的な嫌悪感を催すヴィジュアルだ。これはカラコンの一種であり取り外し可能な美容オプションであって、今に素の(白目が白目のままの)ムーン氏が現れる……と視聴中ずっと信じたがっていた私。白状すると、しかし、もちろん、美しいとも感じる。醜の美というのかな。畏怖を感じる。

ヴィジュアル以外のとこ、ムーン氏の語る内容のほうでいうと、まずジェンダーなんかは全く問題にならない、男女の弁別さえナンセンス、という構えはふーん……とちょっと斜に受け取った。性欲とかないのだろうか。というのは未開の疑問だろうか。一方、ヴィーガンの信条告白は気に入った。それなしで生きていけるのに動物を酷殺するのは間違っている、自分は野菜が嫌いであったが「味覚は鍛えることができる」、というのは筋が通っている。こういうの聞くと自分が漫然と肉食ってるのが恥ずかしなるな。

あと、コメント欄が荒れていた。眼球タトゥーは失明の危険あり、本動画は自己身体毀損を奨励していて反社会的だ、と主張する粘着氏がいて。どうなんだろうな。たしかに微妙な線だがピアスや通常の刺青と同列ではないような気はする。私たちの社会は自己実現としての愚行に自由を認めても、その自由の中に自殺の自由は含めていないはずだ。で失明の危険が相当程度高い美容行為はかなり自殺寄りの愚行な気がする。また、仮に眼球タトゥーを法律で禁止すればそれは表現の自由の抑制ということになるだろうが、それによる社会的デメリットはほぼないと思う。まー考えさせるテーマだ。リスク分かっててやってるんだからやりたいようにやらせれば、こんなの本人の自由でしょ、という意見には、ことこのムーン氏に関しては、同意する。

このVOGUE JAPANのExtreme Beauty(極端美)というシリーズで他にも動画が出ている。ムーン氏みたいなエンハンストヒューマンが各種紹介されてるっぽいが、もう手は出さないでおこう……。

【中田】福田萌|中田家のウォーターパークで遊ぶ1日

中田敦彦好きが昂じて今や相方の藤森どころか妻の福田萌まで見ている私。それでいてオンラインサロン今だ踏み切らないのだが。

シンガポールのウォーターパークに家族みんなで遊びに行くこの回も楽しかった。中田が「滝うたせで底抜けに明るく喋るキャラ」にハマって畳みかけてくるの笑う。このノリ、まさにクラスの面白い奴、笑いに頭の切れる奴。楽しいな、あんたら家族幸せだよこんな面白いパパいて。一人でルフィとナミとチョッパーとブルックこなしちゃってるんだから。つまり船長、舵取り、コメディリリーフ、ミュージシャンね。スーパーパパ。

【交通】スーツ|JR九州の豪華列車「或る列車」

鉄道オタクのスーツ氏がJR九州の「或る列車」という豪華列車に乗って旅する。1時間全部見てしまった(倍速だが)(音楽以外の大抵の動画は倍速で見ています)

スーツの動画は久しぶりに見たが鉄道に本当に造詣が深くて(素人の私には少なくともそう見える)車窓を見ながらまるで本でも読み上げてるかのように情報を出してくる、未知の事項も豊富な知識から類推して「これ多分〇〇じゃないかな……あ、やっぱりそうですね」←これ小気味いい。

コメント欄で食レポ下手かというのが見えるが何と比べてるんだろう、TVが大袈裟なだけで、これで十分すぎるくらい伝えてくれてるじゃないか。出てくるスイーツが食材からして珍しいものばかりで大変面白かった。スーツのやたら丁寧な乗務員あしらいもなんかウケた。

いつか乗ることあるかな、「或る列車」。

【芸能】FANYチャンネル|超高級5つ星ホテルに一行大興奮!

前回のYouTubeレビューでもラグジュアリーホテルの紹介動画を取り上げたが、自分におよそ縁のない贅沢なバカンスとか見るのが好きで、サムネ見てダウンタウンの浜田らが1泊70万?の5つ星ホテルに泊まるとかで興味をひかれた。

胸糞が悪くなる内容だった。芸能人・お笑い芸人・テレビ……全くついていけない世界だ。じつに見苦しい。ぎゃんぎゃん騒いで煽り立てて「くだり」を作ってく、「笑い」に落としてく。そういうことなしではいられないのだろうか。謎の衝迫。浜田はテレビの外でもシームレスかつエンドレスに手下どもに「バラエティ番組」を見せられて、いつか落ち着く時間があるんだろうか、これが彼の現実世界のすべてなのだろうか。まるごと虚飾。なんか気の毒なくらいだ。

お買い物でレジ員に(浜田のことを指して)「ジャパニーズボス」とかいってヒヒと笑うくだりの内輪感、夜郎自大感、ホント恥ずかしい。こういう人らに日本の外にあまり出てほしくない。でもお宿はさすがに海外、広々して気持ちよさそう。その一点のみ面白かった。(「笑い」の意味での面白さは皆無だった)(私は中田家のウォーターパークの方が100倍笑える)

コメント欄がごく肯定的なのに二度驚いた。お笑い脳の人がいっぱいいるんだ。という言い方はフェアじゃないか、こういうものが楽しめるように感性を鍛えられた人が。

【ロシア】Маша Себова|ФРАНЦУЗСКАЯ кухня за 20 минут!

私は多分YouTubeのロシア語コンテンツを日本で一番見てる部類だ。すごいいい旅チャンネル見つけた。マーシャ・セボーワという人。どうも旅・撮影・編集までこの女性が一人でやってる。大したもんだ。ルックス、言葉使い、情報の濃度、見せ方、全部好き。

この回はコロナ禍でなかなか旅に出られなかったがやっと色々障壁をクリアして念願のパリに来れました、でパリの食い物を紹介します、てな回。題して「20分で分かるフランス料理~パリでどの店入ればいいか~」。カタツムリから蛙から色々トライしてエライ。果敢だがイケイケではない、そして合わないものは合わないと率直に言う。塩梅がちょうどいい。ロシア語で旅行系最強コンテンツはОрёл и Решка(「オモテかウラか」)だと思うが、あれはさすがにテレビ番組なので見せ方に無理がある、そこいくとこちらのYouTuberはごくごく自然で誠実でいい。

そういや昔、Орёл и Решкаについて記事書いてましたわ⇒
【ロシアの旅番組】オモテかウラか:グレートバリアリーフ

ところで私らは生意気にも新婚旅行でパリ行った。そのときはカタツムリとかカエルとかにはちょっと手を出せなかった。勇気がなかったのだ。今また行くなら、絶対!今度こそ、オニオンスープを食べたい。どうして私らはオニオンスープを食べないで済ませてしまっただろう。これ見たあとだとどーしてもそれはありえへんということになる……!あと朝のクロワッサンもね。プレーンで。

パリ旅行記はこの後も続々出るそうだ。今回のグルメの話を皮切りに。楽しみだ。……

あ、そうそう、でだ。上掲動画を見て「この人はもしかしたらウクライナの人、それも南部の人、たとえばオデッサの人なんじゃないか?」と疑った私は日本人としてちょっと際立って耳と勘がいいんじゃないのかナ~(∀`*ゞ)エヘヘと自慢したい。果たしてオデッサの人であった。

↑「地元オデッサの魅力をぎゅぎゅっとまとめて30分で紹介します」という動画。これも実によかった。いかにも街を知り尽くした人の紹介。共感もできるし、個人的に教えられるところが色々あった。

(なんでパリの動画でマーシャがオデッサの人と分かったかというと、ひとつはгの発音と、もうひとつはたしかエスカルゴのくだりで発せられたя тебя умоляюというクリーシェ。詳述しない)

なにしろウクライナを中心にあちこち旅するビデオブロガーだ。色々見たい。リヴォフの回とかもふつうに面白そうだ。ゆっくり見ていこう。動画一覧(一部)↓

楽しみが増えた。当分メシがうまい。

【関連動画】
前回のYouTubeレビュー → 10/10:ハライチ岩井と映画・思想・文学・音楽
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