YouTube俵レビュー9/19:エレカシ宮本vsサッカー吉田麻也

その他

一週間に見たYouTube動画のうち、印象に残ったものについて、一言語り残しておく。YouTubeの世界は思ってる以上に広い。ふーん、こういうのもあるのか、と発見が尽きない。

【音楽】Stevie Wonder|You And I (We Can Conquer the World)

今週は多くの時日を海辺のホテルで過ごしていた(Twitter日記参照)。そのホテルには浴槽があったので、元来お風呂好きだが家に風呂がなく「あ゛~、フロ~」と嘆いていた私は、ここぞとばかり日に二度入浴した。そのとき枕頭にスマホを置いて、この曲をエンドレスでかけていた。

私は静寂を好む。うるさいのは嫌い。そこに海嘯があるなら黙ってそれを聴いていたい。ただそこにこれを……Stevie WonderのYou And I (We Can Conquer the World)を添せてみることを思いついて、添せてみたら、悪くなかった。のでずーっと波の音にこの歌を重ねてた。

Stevie Wonderの歌唱のすばらしさもさることながら、ピアノのこれでもかという体重の乗せ方。歌詞もすごく沁みる。愛が強度と深さとみずみずしさを持っていられる人生の凄く短い期間はもう俺は過ぎちゃったのかなぁ。

【音楽】宮本浩次 × 櫻井和寿|東京協奏曲

エレカシ宮本とミスチル桜井のコラボ。東京協奏曲ですて。嫌な予感しかしないが、まぁ聞かないわけにもいかなじゃないか、聞いたら、まぁ案の定というか。

自分に酔ってる大御所ふたり。ダサ。何一つ東京を批評できていない。宮本よ、東京の空の宮本よ、「東京中の電気を消して夜空を見上げてえな」の、07年野音の生命賛歌で「オレは東京が好きだ」と絶唱した宮本の、これが今の東京か?銀座のSEIKOがお前の東京か?

↑07年野音「生命賛歌」。圧巻というしかない。ライブ終盤で高音が出てないこととか関係ない。圧倒的カリスマ、圧倒的本気。これが俺のエレカシだ。でももう帰ってこないのよな。

↑口直しでこれも見てしまった。神戸チキンジョージ03年俺の道LIVE。14:54~の「俺の道」(上掲リンクそこから始まる)の最終ヴァース末とかもう震える。凄すぎてなんかもう笑っちゃう。声も素晴らしい。ヴォーカルアートの極致極致。ゆえに人肌のにほい渦巻く渦巻く。

【子供】うんちが出るしくみ|しまじろうチャンネル

うちの太郎@2歳児は昼寝のあとしばしば不機嫌を発してときに手のつけようのないほど泣く、そういうときにアニメ映像を見せるとすごい効く。普段(方針で)動画を見せないので、それがここに効いてくる。

私たちが海辺のホテルに滞在中に一度そういう事態になったので、以前とある方に教えてもらった「しまじろうチャンネル」より「うんちが出るしくみ」、これを見せたらけんたくんがドーナツをぱくぱく食べるシーンがたいへんお気に召したようで。

その後の展開は私まで勉強になってしまった。お読みの読者よ、アナタ言えます?口から入った食べ物が最後うんことなってケツの穴いわゆる明日・ホールから明日へ向かって飛び出ていくまで、どういう路程をたどるか。正解は・・

①食道、②胃、③十二指腸、④小腸、⑤大腸だよ。わかったかな?

【子供】まなお姉さんとあそぼ!いろりんのマトリョーシカ|しまじろうチャンネル

これもそんとき見た。まなお姉さんとかいう可愛らしい可愛らしいお姉さんが猫なで声でわかったかな?わかったかな?とか言って語り掛ける、本当に子供のレベルをとことんまで下げて想定する日本式なコンテンツの作り方。これはベネッセ社がこういうおもちゃを売るためのコンテンツだ。こういういじましきものしか日本のインターネットセグメントにはないのだ。商魂たくましきヤマトンチュ。でも動画自体はタダなのだからせいぜい利用できるところを利用させてもらおう。

あかりんとかあおりんとかウザい名付けは無視して、まなお姉さんの人を小馬鹿にしたようなしゃべり口も無視して、てかそれを片耳で取り入れながら私自身が主音声として太郎に語り聞かす、黄色いだるまちゃんは青いだるまちゃんの中にいるかな、それとも赤いだるまちゃんの中にいるかな? あ、振ってみるとカラカラと音が鳴ったね。てことは青の方に入ってるんだね。ほら、開けるよ、ほらいたねー。黄色いだるまちゃん青いだるまちゃんの中に入ってたねー。変わらんか、私の語り口も。

【子供】ひらがな かくれんぼ「し」|しまじろうチャンネル

これも同じときに見た。お、これは優良コンテンツ!しまじろうチャンネルの「ひらがな かくれんぼ」。しまじろうチャンネルとしては「こんちゅうのうた」以来の俺的ヒット。ひらがなの勉強になるじゃん。手元のひらがなの本と合わせてかなり強力な教材になる!

と思って「ひらがな かくれんぼ」で検索してみると、他に「み」が見つかった。

「み」だけ見つかった。「し」と「み」しか存在しないようだった。五十音ぜんぶ取り揃えてるわけではないのだ。これも結局はベネッセ社が「し」から始まるしまじろう、「み」から始まるこの何とか言う兎のキャラクターをPRし、これでお金もうけをするために作ったコンテンツなのだ。やだねー、やだやだ。こんなんばっかりだよ。

とこういうと、「誰が慈善でこんなことやるんだ、いいものは金がかかるんだ、しとみだけでもタダで見られるだけ有難く思え!」と別にベネッセ社のまわしものでもなんでもない人が義憤にかられて「良識」をのたまう。悪いけどそこがもう全然感覚違うよ。そうじゃない世界も全然あるよ。

【子供】The Very Hungry Caterpillar(はらぺこあおむし)

絵本「はらぺこあおむし」のアニメ版。英語。わりとよかった。これも太郎の午睡のあとの不機嫌を癒すのに使った。筋からディテールまで知悉している物語がアニメイトされている!太郎には嬉しい驚きだっただろう。

「はらぺこあおむし」には日本語の、なんか「歌のお兄さん・お姉さん」ふうのアニメがあることは知っていて、だが全然気に入らなかった。これがそれ↓

なんかのったくさしててさあ。聞いてられない。まぁ好みかな。皆さんは比べてみてどっちが好きですか。

英語版は余白が多いのがいい。演出がしつこすぎない。絵柄も原作に近いし。それに英語を聞かしてみるっつーのも悪くないかなと思った。太郎は日露バイリンガルなので(⇒バイリンガル2歳児の言語能力)、つまり2つの言語があり一方言語は一方言語集団には通じ他方集団には通じない(だから切り替えを行う)という弁えが早や生じているので、では懸案だった英語にもそろそろ手を出してみてもいいんでないかい? とこの機に妻と話し合ってみた。その皮切りがこの「はらぺこあおむし」になるかもしれない。

【音楽】みのミュージック|米津玄師、フジファブリックが教科書に採用された件

前回のYouTubeレビューで取り上げた「米津玄師のLemmonとフジファブリックの若者のすべてが教科書に採用された件」をみのミュージックが取り上げていておっと思った。期待して視聴したが、今度ばかりはなるほどな~感が全くなかった。当該教科書の出版社の社員の人の片言節句をとらえて会社全体の姿勢を批判してるんだが盲者の象評し感。

と一度は言ってみたものの、みの氏は音楽教育という観点をちゃんと持っている人なんだから、こういうこと言うのもうべなるかなだ。たしかに教育の現場を想像すると、これらポップソングが教科書に採用されたからといって、それが何だというのか。けだし学校の音楽の授業の価値は、彼ら高校生が生活・街・交友関係内でタッチしないような音楽に触れさせることにこそがある。あるいは、彼らが普通に生活の中でタッチし得る(YouTube、カラオケ等で)種類の音楽でも、改めて分析的に鑑賞して多くの発見をもたらせるものであれば、教科書に採用してわざわざ授業で考究する価値もあると言えるが、そういう観点から選曲してるのではどうもないっぽい、ということをみの氏はまさに言ってるのだ。とこのように私は書きながら転回を遂げた。

【映画】米粒写経×松崎健夫 映画談話室

私のYouTubeレビューは、まぁ姉妹編のTwitterレビューも半ばそうだが、てか当ブログの他の記事も多かれ少なかれ皆そうだが、何かについて何をか語る能力を高めたいという漠然とした動機のもとに制作されている。それで何をか→何丘(私の筆名)というわけなのだ。

それでいうと、みのミュージックのみの氏もその道におけるわが兄だし、「米粒写経×松崎健夫 映画談話室」のこの映画評論家の松崎健夫さんなんか仰ぎ見る高峰だ。

今回取り上げられている「すべてが変わった日」なる映画、もちろん知らない。だがそれについて松崎健夫氏の語るのを聞いて感心しきりであった。映画をこんなふうに見て、こんなふうに語れるものなのか。古今東西の映画を膨大に見貯えているということの凄み。映画って楽しいだろうな、と単純素朴に思ってしまった。何かひとつの専門家になるなら、文学より音楽より映画がいい。それが一番喜び多き道だ。どうして私もその道に入っていかなかったか? 文学部に学ぶほどの人なら文学だけ読んでるということはまずなくて、まぁ絵画でも音楽でも映画でも古典と言われるものには一通り触れていないとおかしいのであるが、ステータス五芒星でいうと私は(総合的に低いが)映画のとこだけ陥没がひどい。本当に見ていない。見れば楽しく、ごく単純に見れば(2時間画面の前にただ座っていれば)見たという事実が手に入るという入門至易な道なのに、とんと入門し損じ続けてきた。同じ千円で早稲田松竹で2本映画が見れたのに、TSUTAYAで借りれば10本見れたのに、私は神保町の裏通りで入沢康夫「わが出雲」初版本を入手して喜んでいた。なんで?? TSUTAYAのカードというものを生涯に一枚も所有しなかった。なんでだ。そら私かてタルコフスキーだのソクーロフだのカネフスキーだのまたパラジャーノフ、ミハルコフ、リャザーノフだの露文生としてそれ見てなきゃさすがにやばいというものは一応一通り見ている。止そう、私は記事の(YouTubeレビューの)本筋を踏み外した。

ケビンコスナーとあと誰とかいう女優の(知らない。聞いても覚えられないレベル)主演作「すべてが変わった日」、滅茶滅茶面白そう。もちろん松崎健夫氏のようには見れない。映画史の文脈とか、批評性とか、置きの撮り方とか、三叉路とか、何一つメタファーに気づけない自信がある。でもジャンルが次々煮崩れしていく展開というのは楽しそうだ。サイコなママ氏というのも非常に見たいよ。

て、今「予告編」を見てみた。

ケビン・コスナーと「ダイアン・レイン」の主演作か。何のイメージもない。だがこうして予告編で実際の映像を見てみると、見たさがだいぶ殺がれました。なんだろうな、私は映画に向いてない人なのかな。これについて映像なしで松崎健夫氏が語ってるの聞いてるだけですごい釣られたのに、こうして試し見してみるとたちまちもう見たくない。わからん、わからん、自分がわからん。

【本】衒学チャンネル|「好きな本は?」への正しい答え方講座

半分くらい見てやんなって止めた。だが印象は強かった。このチャンネルは知らない。衒学とかインテリとかいう看板がすでにうざい。てかインテリで売ってる本物のインテリなんか見たことない。こいつの程度には私だってインテリだが自分がエセだって知ってるのでそんなこと言わない。

というのはしかし全然違う。私は日本的インテリの定義に含羞という態度を勝手に組み込んでしまっている。インテリすべからく含羞んであるべしという自分流の定義をこの人にも押し付けてこんなインテリインテリ呼号する人は即ちインテリではないと決めつけているが知ったことかである。この人の知ってること読んだ量話せる内容は(前言に反して)明らかに私を数倍する。私は単に同族嫌悪してるだけ、あるいは嫉妬に狂ってるだけだ。

で上掲動画だが、またころっと態度が変わって聞こえるかもしれないが、全然いただけない。「好きな本は?」と訊かれたときに、堀江貴文『多動力』とか答えると浅はかな奴と軽蔑されるし、ハイデガー『存在と時間』と答えると逆に重すぎてカッコつけてるだけの奴とみなされてまた軽蔑されるのだそうだが、下らん下らん。人間を知らん。そんなもん人によるだろうが。というとそれは雑駁な批判である、そうじゃない人はもちろんいるだろうが、そうととる人の方が大多数なのだ、そういう蓋然性の話をしているのだ、と反論されそうだが、第一に、そもそも私の相場感では別にこの論者の想定通りに反応する人は大多数ではない。第二に、好きな本が何であろうと、そんなもんは本当に人それぞれでいいのだ。その人がそれを第一の図書に推す相当の理由があれば対手だって別になんとも思わん、むしろ書名だけ聞いて浅薄な奴と決めつけるそいつの方こそ浅薄だ。そもそもなんで対話をQ「好きな本は?」A「書名。」で完結するものと想定しねばならない? A「ハイデガー『存在と時間』。」Q「へー大著ときたね、私は30ページで挫折しましたが読み通したの?」A「ええまあ。」Q「つまるところあの本の魅力って何?」A「つらつら。」Q「大したものだねえ~」十分会話になってるではないか。ひと盛り上がりあったではないか。A氏は自分の力量・個性・魅力をアピールできたではないか。なにがNGだったのだ?

まぁでもこの人としては耳目を引く切り口で(私もげんに釣られたわけだし)本の話ができてAmazonアフィリンクを貼れればそれでよかったのだ。……て、ここではじめて概要欄にチャンネル主「堀元見」の名を見いだして、あ、あの人かい!落合陽一のサバの話の!あの堀元見のチャンネルだったんかい!

堀元見の廃ブログ「こっちは遊びでやってんだよ!」【サバの話だったの?】WEEKLY OCHIAIというコント、あるいは地獄について。

↑理想のブログ文体。有料noteへの誘導の流れも完璧だ。レイアウトもいい。堀元見、この人がやってるYouTubeなら私ももうちょい見てみようかな。

【サッカー】GQ JAPAN|吉田麻也の人生に欠かせない「無くてはならない10のもの」

これもすんごい印象強かった。吉田麻也の人生に欠かせない「無くてはならない10のもの」。一流のサッカー選手というのは大したものだなと感心するとともに、肉体・美容・精神の三面強化の余りにストイックな追及ぶりにいわゆる「引いた」。本田圭佑とか中田英寿とか三浦知良とかそのレベルの明らかなアイコンでありカッコマン(※カッコよさをアイデンティティにしてる人)ならわかるが、吉田麻也とはね。してみるとこの人種は皆そうなのか。と推して知るべきか。

まず肉体。サプリをとったり(ドーピング検査にひっかからず且つ最大限肉体を強化するアイテム、とのこと)、また「職業柄移動が多い」なか「海外組ならこのくらいできて当然」との期待に応えるべくパフォーマンスを最大化するための快眠グッズ。んで美容。君が代斉唱で大抜きにされたときにきれいに見えるためのバリカン歯ブラシセット(芸能人とサッカー選手は歯が命、ですて)、さらには香水・高級時計。そして内面。ローマ教皇から直伝されたるロザリオ、そして「音楽」ですと。音楽以外にはひとつとして身近&共感可能なものがない。全く違う世界の人。こうまでしないと伍していかれない厳しい世界、そんな世界もあるのだ。

【旅】藤森慎吾のYouTubeチャンネル|”ブラリタビ”【諏訪編】

年齢私のちょい上の藤森慎吾のこの男盛り感。見てられるなーホント見てられるルックス。それはともかく、「ブラタモリ」の藤森版、「ブラフジモリ」ですて、藤森の地元の諏訪で。ブラタモリが好きで諏訪が好きで藤森が好きな私としてはそら期待して見るよね。

もちろんブラタモリはNHKの構成力とタモリの特異きわまる個性によってはじめて成り立つ番組、いかに藤森そして地元といえどもブラタモリに比肩することはできない、全然違うものにはなったが、でも十分見ごたえするいい番組だった。ラブホのくだり面白かったし、諏訪湖を見下ろす丘すごくいいところ、信州そばを両断したくだりは信州訪れれば有難がって蕎麦食う(だって水やんか蕎麦は!東京でも食えるって、蕎麦はやっぱ水どこでしょ、水と日本酒は!)私のような非信州人にはオイオイそれ言うてくれるなよだったが、地元チェーンのラーメンを腕白食いする姿、実にすがすがしかった、最高の飯テロだった(夕食前の一番腹減ってる時間帯にこれ見た)。

最後のなんとか村は情報が分厚すぎて一瞬行政コラボのPR動画?と疑ったが標榜してないから違うのか。まー出産手当その他補助金に力入れてる自治体は各所にあるのを知ってるが、その中でここを選ぶ理由は、動画見た限りだと、なさそうかな。田んぼばっかの日本の農村、魅力はまーない。それだったら私が今住んでるウクライナの農村に類する場所がもし日本にあって同じくらい手厚い補助を用意してればそこ一択になるかな。

【ロシア】Вечерний Ургант|Евгений Миронов

長い夏休みをとってたウルガンの「晩方ウルガン」今期はじめて見た。ミローノフ出てたので。エヴゲーニイ・ミローノフ、俳優、TVシリーズ・ドストエフスキー「白痴」ムィシュキン公爵ほか。

前回のYouTubeレビューで取り上げた歌舞伎の坂東玉三郎にも通じるな、ミローノフの姿かたちの、内に鎧った表現筋(そんな筋肉があるとして)のものすごさ。俳優教室と劇場でバキバキに鍛えられたロシアの役者のたたずまいはやっぱり違う。27:42~の百面相コーナー(実在・非在の人物を即興で演じ分ける)(上掲動画リンク、その箇所から再生されます)に彼の能力のほんの片鱗が見えている。が、まだまだ何が可能か底の知れないニンゲンだ。ネフェルピトーもひと目で見抜く、降り注ぐ無数の龍より危険なのはあのニンゲン。

今後もВечерний Ургант「晩方ウルガン」ゲスト次第でちょいちょい見るなり。

【関連記事】
前回のYouTube日記 ⇒ 9/12号:坂東玉三郎、中田敦彦、米津玄師

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