続・オデッサ(ウクライナ)現地報道まとめ

オデッサ/ウクライナ/ロシア

オデッサに関する露語・ウ語メディア報道をキュレーション、3月まで2年半住んでた感覚とか知見とかも加味してお届けする。基本的に毎日更新。

必ず見てるのは①オデッサ市公式テレグラム(略号「T」)②地元紙オデッサライフ(Одесская Жизнь、略号「ОЖ」)③ウクラインスカヤ・プラヴダ(Украинская Правда、略号「УП」)④メドゥーザ(Медуза)⑤タス(Тасс)⑥NHK、あとは適宜。

  1. 8月10日(クリミア)
  2. 8月9日(無事/クリミア)
  3. 8月8日(ニコラエフ/橋/DX相談)
  4. 8月7日(無事/浜)
  5. 8月6日(無事)
  6. 8月5日(穀物船/アムネスティ/ニコラエフ閉鎖)
  7. 8月4日(検察官/ゴーゴリとブルガーコフ)
  8. 8月3日(スパイ/赤紙/横浜)
  9. 8月2日(対敵協力者/世論調査/請願)
  10. 8月1日(鎌月/出航)
  11. 7月31日(弾/ニコラエフ/海)
  12. 7月30日(無事)
  13. 7月29日(ゼレンスキー来オ)
  14. 7月28日(5人目)
  15. 7月27日(ヘルソン)
  16. 7月26日(ザトーカ)
  17. 7月25日(無事)
  18. 7月24日(鉄面皮)
  19. 7月23日(港)
  20. 7月22日(穀物輸出)
  21. 7月21日(無事)
  22. 7月20日(決別/蛇猫/害虫駆除)
  23. 7月19日(ダーチノエ)
  24. 7月18日(橋/密告奨励/オフシャニコワ)
  25. 7月17日(矛盾と分断とミスコンとヴェネツィア)
  26. 7月16日(1発)
  27. 7月15日(浜の散華pt.3/道路名称の脱ロシア化/ロシア世界の伝道者)
  28. 7月14日(ヴィニツァ/ヘルソン/I ♡)
  29. 7月13日(焼豚/女帝/横浜/トルコ)
  30. 7月12日(何丘@疲労)
  31. 7月11日(ミサイル/ミサイルを招く人)
  32. 7月10日(小休止?/解放/女王/読書)
  33. 7月9日(穀物輸送/柔道/ロシア語教育/浜)
  34. 7月8日(以後はこちらの動画でお楽しみください)
  35. 7月7日(ミサイル/善意/本気出してない)
  36. 7月6日(無事/逝ってよし記念硬貨)
  37. 7月5日(浜/露プロと文セクと何マニ)
  38. 7月4日(無事/児戯)
  39. 7月3日(浜/蛇島/世界遺産)
  40. 7月2日(喪/また爆死)
  41. 7月1日(喪)
  42. 6月30日(悪魔的攻撃/蛇島解放/ビーチ事情)

8月10日(クリミア)

静穏。ОЖ

この静穏は隣のニコラエフが敵弾を一身に受けていることに依っている。ニコラエフにはその隣のヘルソンから攻撃が行われている。ヘルソンが敵に取られなければニコラエフにここまで苛烈な攻撃が加わることはなかった。敵にクリミアがなければ開戦初期にヘルソンが取られることもなかった。

クリミアの敵軍飛行場の不時の爆発について。ゼレンスキー「この爆発で敵戦闘機9機がオシャカになった」УП。英国防省「原因不明だが、西側兵器による攻撃の線は薄い。煙草の燃えさしによる失火でないことだけは確か」УП。米ISW(戦争研究所)「露が『宇による攻撃』と言わないのはそれを言ってしまうと自軍の対空防衛網の無能を認めることになるからだ(cf. 巡洋艦モスクワ)。同時に二か所で爆発が起きた以上、露側の失火説は否定される」УП。クリミアでは非常事態令が敷かれているそうだ(УП)。

クリミアの人たちのことを考える。14年までウクライナ人であった人たち。97%が望んで(ということになっている)ロシア人になった人たち。この5か月半、ウクライナがボロボロに破壊されていくのをただ見ていたのだろうか。クリミアからオデッサへニコラエフへまた全土へ、ミサイルが飛んでいくのをただ見ていたのだろうか。この人たちは「ウクライナ人」だろうか。「解放」されるべきなのだろうか。

ウクライナ軍マルチェンコ少将「ウクライナは軍事的手段によってクリミアの解放を行う。その際に必要となるのはクリミア大橋(クリミア半島とロシア本土を結ぶ。ロシアがクリミア併合後に建設)の破壊だ」「クリミアはウクライナだ。我らの土地、我らが人民、それが未だに占領下に留め置かれている。勝手に来て人の土地をもぎ取って『俺のだ』などと言う権利を誰もロシアに与えてなどいない」УП

8月9日(無事/クリミア)

静穏。ОЖ

クリミアで爆発

クリミア半島西岸のロシア軍の飛行場で大きな爆発が相次いだ事象がウクライナメディアでも大きく取り上げられている。

ウクライナからミサイルを飛ばしたり爆撃機を飛ばすにはあまりに敵陣深く、そもそもウクライナはクリミアの軍事的手段による奪還を非現実とみて目標には掲げていない。ウクライナ国防省「原因わからない」УП、ウクライナ大統領補佐官「キエフは本件に無関係、もしかしたら現地パルチザンの独断専行かも」УП、ロシア国防省「火器取扱い基準違反により弾薬が爆発したものとみられる」TASS

ゼレンスキー「欧州随一の名所であった・であるべきクリミアをロシアは軍事基地に変えてしまった。クリミア占領から始まったロシアの戦争はクリミア解放をもって終わるべきだ」УП

何丘はクリミアに行ったことがない。風光明媚というが伊豆半島を知ってる私を感動させるかな?と疑っている。義父母は私をクリミアに連れていけないことを大変残念がっていた。あのすばらしいクリミアをお前は知らないのだなぁと哀れまれていた。14年までは義父母は毎年クリミアで夏の二週間ほどを過ごしていた。写真を見してもらった。「なぁんだ、ただの伊豆半島じゃないか」と思った。実は15または16年に当時住んでたモスクワから旅行でクリミア行こうという話になったがロシアのクリミアなど絶対に訪れたくなかったので拒んだ。だがクリミア行きたく思わない一番の理由はたぶん自分が乗り物酔いするからだ(西伊豆とかソレント半島みたいにつづら折り&上り下りの海岸線を延々車で走るイメージ)

8月8日(ニコラエフ/橋/DX相談)

オデッサ州に一発ミサイルが飛ばされたが上空で撃墜した。穀物船も順次出航してってる。ОЖ

都市封鎖のニコラエフで

対敵協力者摘発のため50時間超のロックダウンが敷かれたニコラエフだが、この間指名手配犯5人の身柄が確保され、20件の刑事事件が立件された。「ご迷惑をおかけしたが、その甲斐はあった」とキム知事。УП。これによってニコラエフがどれだけ安全になったのか。

アントノフ橋

ヘルソンのアントノフ橋(本記事この語で検索を)に追撃が行われた。ロシア側の発表によると攻撃に使用されたのはHIMARS、だが被害は僅少で、8月半ばにも通行可能な状態を回復する由。УПTASS

YouTubeでウクライナ語字幕の自動生成機能実装

YouTubeで機械翻訳によるウクライナ語字幕が付された動画の視聴が可能になるそうだ。「これで世界中のおもしろコンテンツをウクライナ語字幕で見られるようになる」宇デジタルトランスフォーメーション相談(しょう・だん)。ウクライナ当局は世界の各種リソースをウクライナ語で享受できるよう多くの世界的企業と交渉を続けており今回はその一つが実った形だという。すばらしい。УП

何丘は、ウクライナ語の国際的地位の向上(ロシア語のそれの相対的低下)を望んでいる、わけではない。が……是認する。そうなるのは良いことだと思っている。世界でロシア語人に対して図られていた便宜と同等のものがウクライナ語人に対して図られる。それが小国(政治経済軍事上の)を大国政治の客体と見る見方を戒めるひとつの象徴になると思う。(私の立場は「ロシアとウクライナについて思うこと」を書いたときからかなり変化している。私がそのうちキエフをキーウと表記しだすこともあり得る(それとオデッサをオデーサと記すことには百里の径庭))

8月7日(無事/浜)

オデッサ静穏、攻撃なし。ОЖ

こう平和だと仕方ないか。オデッサのとあるビーチで撮影された写真ですと。ОЖ

記事全訳:何ごともなかったかのようにビーチに出てくる一部オデッサ人たち。機雷で爆死する、またはミサイル攻撃にあうリスクなど考えたがらない。▽戦闘行為が続いていることに鑑みオデッサではビーチに降りることが禁止されている。これは当局の恣意ではない。波打ち際には潮流によって機雷が打ち寄せられることがあり、またロシアのミサイルによる攻撃も続いている。▽ビーチがそうした攻撃の標的になることもあり得る。あるいはミサイルがビーチの上空で地対空兵器によって撃墜され、残骸が降り注ぐこともあり得る。▽すでに数件の死亡事故があった(オデッサのビーチで機雷に触れて死亡した人は5人を数える――何丘)。しかし多くのオデッサ市民およびゲストたちはこれを不幸なネズミがネズミ捕りにかかった寓話か何かのように受け取り、性懲りもなくビーチに出てくる。▽今回、記者のカメラがオデッサの某ビーチの模様を撮影した。多くの人がのんきに浜に遊んでいる。いつ機雷が爆発しミサイルが飛んでくるかわからないというのに。

空言、とこれをいう。

侵攻始まって以来オデッサには10万人が避難

オデッサはウクライナの大都市として例外的と言ってもいいほど被害僅少の街である。この5か月半で「わずか30人ほどしか」死んでいない。隣のニコラエフが一身に攻撃を受けている。というわけでウクライナ各地からオデッサ州に多くの市民が疎開してきている。その数、8/3時点で9万3575人ですと。ОЖ

「7月の活動報告」という記事を書きました。7月食べておいしかったもののことなど書いています。あわせてお読みください。

8月6日(無事)

5日オデッサは静穏であった。ミサイルは飛んでこなかった。8月入ってから一発も飛んできてない。ОЖ

橋のかわりに船で(続)

ドニエストルリマンの東岸にあるオヴィヂオポリと西岸のベルゴロド・ドニエストロフスキーを結ぶ旅客フェリーが就航するのだそうだ。ロシア軍のミサイル攻撃で損傷し通行不能となっている例の橋の代替手段。(本記事8/1付けで触れた件の続報と思って可)ОЖ

8/9追記:就航しました。ОЖ

逃がし屋(case6)

case6は適当だが、徴兵適齢健康優良男児国外不法逃亡幇助の話はずっとある。今度の話が面白いのは、組織者はどうやら欧州域内の船舶修理・乗組員管理会社の指導部で、オデッサらへんの船舶修理スペシャリストらをリクルートして沿ドニエストル・モルドヴァ経由で欧州に逃がして高度技術者として採用するという一気通貫スキームであった。これまで20人ほどが同サービスを利用、新たに3人を移送中のところを摘発された。ОЖ

沿ドニエストル越境までの一人当たりの「運賃」は3000米ドルというから安くない。沿ドニ入ったら2月25日付け(まだ禁足令が敷かれてなかった)の出国スタンプを押してもらい、書類上も合法的な出国者ということにしてしまう手はずという。手がこんでる。

船乗りとか港湾労働者は実入りと人聞きのいいオデッサらしい職業である。オデッサ国立海洋大学を出て欧州の商船とかクルーズ船とかに勤務するのが伝統的にエリートコースとされる。欧州からするとそこそこ技能の高い英語もできる労働力の安価な調達先として重宝していたろう。くすぶってる人材プールに手を突っ込んできた形か。

今日のアネクドート

ОЖのお家芸「本日のアネクドート」気が向いたのでまた紹介す。

Абрам прогуливается с Сарой по Одессе. Проходят мимо ресторана. Сара говорит:
– Ой, как вкусно пахнет!..
– Тебе понравилось? Хочешь, еще раз пройдем?
アブラムとサラがオデッサを散策中。レストランの前を通りしなサラがいう:
―まあ、いいにおい!
―気に入ったか? もう一回通るか?

なお、オデッサのアネクドートに出てくる熊さん八つぁんたちは大体ユダヤ人である。(名前からわかる)

7月ウクライナで発表された楽曲の集成byУП。いろんなジャンルから13曲集められてます、興味ある方一聴を。

8月5日(穀物船/アムネスティ/ニコラエフ閉鎖)

5日オデッサは静穏であった。ミサイルは飛んでこなかった。ОЖ

新たに3隻

さらに3隻の穀物船がオデッサの港から出発した。トルコ、英国、アイルランドにウクライナ産トウモロコシ5万7000トンを運ぶ。ОЖ

AIウクライナ辞任

アムネスティ・インターナショナルの4日付け報告書(日本語メディアで十分報道されてると思うので詳細省く)の内容を不服として同団体ウクライナ支部の代表が辞任した。その人にいわく「ことばの壁にぶち当たってすべてが砕けてしまった。というのは何も英語力の問題ではなくて、こういうことだ:自分の住む国に占領者が闖入してきて国を八つ裂きにしつつある、というときに、それに立ち向かう防衛者たちを非難するということが一体どういうことなのか、この事態を内側から経験しなかった人には到底理解できない。この痛みを感じなかった人にそれを伝える言葉などどこにもない」УП

何丘は、ウクライナ軍が学校だの病院だのを軍事拠点として利用することがあることを、別に疑わない。直接の証言に接した例もある。だがそのことの責めがウクライナに向かうというのは私には不可解である。そこに民間人がいるならロシアは撃たなければいいではないか。そもそもロシアが攻めてこなければこの全てはなかったではないか。ウクライナの戦術がそれとして非難されるべきことは認めるが、その非難をなすものは、その十倍の非難をロシアに向けねば均衡を失する。

ニコラエフ、2日間のロックダウン

お隣のニコラエフで5日23時から8日5時まで丸二日間の外出禁止令が敷かれる。市境は閉鎖され街路に人も車も通らないという静寂の二日間。狙いはというと、本記事7/20および7/26付けで記した通り、対敵協力者(коллаборанты)の炙り出しだそうだ。УП(だがどうやって?)

なお、ニコラエフ当局は敵火誘導員(корректировщики)に懸賞金をかけている。有用な情報には100ドルの報酬が支払われるそうだ。

下図、敵の猛攻から子供たちを守る聖ニコライ(ニコラエフの守護聖人)。ウクライナ郵便が最近新たに発行した切手の絵柄。ОЖ

ヘルソンはロシアへの編入を(そんなに)望んでいない?

ロシア大統領府に近い情報筋の言葉をMeduzaが伝えたところによると、ロシアは9月11日の統一地方選に合わせてウクライナ東部二州(ドネツク・ルガンスク)と南部二州(ヘルソン・ザパロージエ)で住民投票を行い同地域をロシア連邦に編入(私たちの言葉でいえば併合)する企てであるが、まぁ実施は難しいであろうと。難しい理由①ドネツク全域はいまだ掌握できず、ヘルソンでは今後ウクライナ軍が反転攻勢をかける見込み。②7月半ばにヘルソンとザポロージェで秘密裡に世論調査を行ったところ、ロシアへの編入に賛成と答えた人は30%、反対と答えた人も30%で、クリミアのとき(賛成97%)のような結果は到底見込めない。支配地域における露プロパガンダは今のところそう奏功してるとも言えないと。だがここに関しては「親ウ住民は投票忌避し親露市民は熱票を投じるであろうから結果はかなり編入賛成に傾くであろう」との声も。

改めて、現状でも3割がロシアへの編入に「是」、これをどう見るか。


自分用メモ:
ウクライナ国民の74%が正教徒、54%がウクライナ正教の信徒(УП

8月4日(検察官/ゴーゴリとブルガーコフ)

4日オデッサは平穏。クリミアから一発オデッサ州の方へ「オニクス」ミサイルが発射されたが海上で爆発した由。ОЖ

穀物輸送も今年の収穫も順調で、ロシアでは謎の写真を持ち出して「オデッサではパンを求める長蛇の列(キエフは政治的ええかっこしいのために穀物輸出に踏み切ったが当のオデッサでは飢饉が発生している!)」などとうそぶいているが真っ赤なフェイクであると。ОЖОЖ

国語監視委員

言語オンブズマン(языковой омбудсмен)という役職があってたぶん大臣の格だと思うのだが、何をする人かというと、ウクライナにおける言語状況の監視・ウクライナ語使用の促進を担う。要するにロシア語撲滅担当大臣である。タラス・クレメニという人がその役を務め、これまで遠いキエフからオデッサに対してウクライナ語化を進めろ進めろと口やかましく言ってきてたが、このほどその分身がオデッサに置かれることになった。オデッサおよびウクライナ南部全域のウクライナ語使用状況を監視するのはヤロスラヴァ・ヴィトコ=プリシャジニュクという女性。「検察官が来たぞぉ!」である。どーなることやら。ОЖ

右がその女性、隣の黒Tがオデッサ州トップ(マルチェンコ)、その隣の白シャツが言語オンブズマン(クレメニ)

公教育からのロシア文学の排除、の例外(ゴーゴリ、ブルガーコフ…)

ウクライナ教育科学省によりますと、9月より学校教育から全面排除されることになったロシア文学ですが、ウクライナで生まれた/ウクライナに長く住んだ/ウクライナに関する著作をものした作家については、ロシア語作家であってもカリキュラムに存置することにしたそうじゃ。具体的には、ニコライ・ゴーゴリの諸著作、ミハイル・ブルガーコフ「犬の心臓」、イリフ&ペトロフの「12の椅子」などは読む。「外国文学」の科目で。もちろんウクライナ語訳で読むのだろう。УП

あれをしろ、これをするな

ロシアの街ペルミに一朝出現し翌日には消し去られたストリートアート。今のロシアでしていいこと・してはいけないこと37ヶ条が動詞の命令形でただ列挙されている。それにいわく、

そこへ行くな、ここに立つな、
それは歌うな、
そこに座るな、その中に座るな、
それを食うな、それを聴くな、
それを点けるな、買うな、
それを言うな、そいつと寝るな、
それを見るな、それを着るな、
貶めるな、崇めろ、
それを描くな、そいつに投票するな、
これを支持しろ、
それは書くな、それをフォローするな、
異を唱えるな、そいつを敬え、
騒ぐな、祈れ、こうべを垂れろ、
もっと低く腰を折れ、
拡散するな、擁護するな、
あげつらうな、やりすぎるな、
思考するな、その気になるな、
産め、邪魔するな、
支払え、ひっくり返せ、
でもこいつは揺さぶるな。

Ffchwというアーティストの作品だそうだ。Meduza

今日のアネクドート

ОЖが戦時下でもお家芸の「今日のアネクドート」をせっせと綴っているのでたまには紹介する。

– Сёма, завтра приезжает моя тёща. У меня совершенно нет времени. Можешь поехать на вокзал и встретить её? С меня сотня.
– А если я её не узнаю и не встречу?
– Тогда с меня две сотни…
明日嫁のお袋が来るんだけど俺時間がなくてさ、お前悪いけど駅に迎えに行ってくれないか?100やるから
俺お前の嫁さんのお袋さん知らないんだけど会えなかったらどうする?
そしたら200やる

洋の東西問わず、姑に会うのは気が重い。なるべくなら会えない方がいい。

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8月3日(スパイ/赤紙/横浜)

3日オデッサは静穏であった。ミサイルは飛んでこなかった。ОЖ

スパイ捕獲

ロシア連邦保安庁がウクライナ国内に構えていたスパイネットワークが摘発され、その組織者を務めていたオデッサ市民が拘束された。ОЖ

男は露側から「教授」のコードネームで呼ばれていた。ウクライナ各地から情報提供者を募りスパイネットワークを形成、軍・作戦本部・対空/対艦兵器の所在、地域の社会・政治情勢、重要インフラについての情報をロシア側に提供し、火力の誘導を行った。この働きに対して露側からは男に報酬が支払われ、男は協力者にそれを分け与えていた。

金銭給付のみのためにこれほどのことができるだろうか。良いことをしているつもりであったかもしれない。ナチス政権の支配からウクライナを解放するために、母なるロシアと合体してより自然な状態をウクライナが回復するために。一種の加速主義、より良い未来の到来を早めるために、社会の破壊に手を貸す。いずれにしろ、破壊の客体の側からは、八つ裂きにしても足りない。

赤紙

赤紙(повестки)について。ウクライナでは総動員態勢が敷かれているが、それは何も男が全員軍隊に駆り出されているということではなく、徴兵適齢の健康優良な男子は誰でも軍隊に駆り出される「可能性がある」という状態のことだ。だから①徴兵適齢(18~59歳)の男性は国内に留まっていなければならない(国外に出ることが許されない)し、②赤紙(召集令状)の発行が盛んに行われている。赤紙というのは一義的には徴兵適齢の健康優良な男児の目録の完全化を目指すもので、それを受け取った者に軍事委員会への出頭と健康診断の受診の義務を負わせるものである。ただちに前線に送られるという話では全くない。

というわけで、①と②が行われる社会のなかで、若い男がふつうにそこらをほっつき歩いていることはできている。わが義兄もその一人である。それ自体別段咎められるべきことではない。だが日本だったらどうだろうか。日本が今のウクライナの状況になったら、少なくとも義兄など相当白い目で見られるのではないか。内部からの圧力/下からの突き上げによって結局国民皆兵みたいな状態が成立するのではないか。また、オデッサのごとき、ミサイルがときどき飛んでくる「に過ぎない」街と、苛烈な陸上戦が行われている街とでは、また空気も異なるであろう。

ОЖに赤紙についての記事あったので。よく質問を受ける事項。

アリガトヨコガマ

昨日付けでも書いたが、オデッサが横浜市(※姉妹都市)からもらった水の浄化装置を使って、あちこちの汚い水を浄化してみる実験を行っている。T

オデッサは別に水に困っていない。だが水道インフラを破壊されると非常に困ることになる。ロシアのミサイルは非常に高性能で環境に優しいのでオデッサ市民100万人から浄水を奪うようなことはまさかしないであろう。隣のニコラエフではたまたま当たっちゃったのだろう。そう、しかし、たまたまということはどこまでもついて回る話なので、備えておくに越したことはない。

今回は街外れの戦勝記念公園(парк Победы)のお池の水を横浜の浄水機にかけてみたら飲用に適する水準までキレイになりましたということで、我々はその水の汚さを知ってるので装置の高性能に驚くとともに、本番前に酷使しすぎじゃないかと心配にもなる。

ともあれ、これまで姉妹都市でありながら存在感皆無であったヨコガマが連日タイムラインを賑わせていてこれはこれ自体慶賀すべきことだ。横浜市がいまやるべきことは、目下進行中のオデッサ市内の道路名称改変、これに一枚噛んで、市内の一等地に「ヨコハマ通り」を成立させることだ。

道路名称の改変とは……
なんとなくソ連時代から存在している意味もなくソ連的・ロシア的な名称を、まぁロシアは敵国だしソ連は恥ずべき過去であるからということで廃止して、新たに自分たちに意味のある、なんなら今の戦争で協力してくれてるパートナー諸国の地名・人名を冠しよう、ウクライナにはモスクワ広場よりロンドン広場が、レーニン通りよりジョンソン通りのほうがふさわしい、というムーヴメントだ。

長年ロシア的世界観に親しんだ市民にはアングロサクソンへのアンチが強いが、ヨコハマはいい具合に無臭である。同様に姉妹都市関係であるマルセイユ(フランス)に関してはいいとこにマルセイユ通りがありプレゼンスを誇っているが、ヨコハマ通りは知る限り市内に存在しない。この千載一遇の機会に、ヨコハマ通りを作るのだ。ぼさぼさしてるとつい最近姉妹都市になったヴェネツィアに先を越されるぞ。

ただしガガーリン広小路からガガーリンを奪ってしまうのはおすすめしない、ガガーリンはおじさん世代には今も人気が高いので、アンチを食らう。毒にも薬にもならぬ、かついいとこにある道路名称をハックすることを奨める。

跫音

ロシア軍はヘルソン州全域を掌握すべく戦力をウクライナ南部に集めているそうだ(УП)。「テロリストどもは交渉の用意ありとうそぶくが本当に戦争を終わらせたいならなんでウクライナ南部に予備役を結集させるんだ」とゼレンスキー(УП)。先にウクライナ軍が損傷させることに成功したヘルソンのアントノフ橋は来週にも復旧し通行可能になる由(УП)。敵はさらにこの付近に新たに渡河ポイントを設け船舶による兵員輸送を可能にしようとしているという(УП)。悲観の材料で浴槽を満たせる。

8月2日(対敵協力者/世論調査/請願)

ちょうど3年前のこの日何丘オデッサ入り。

8月2日オデッサは静穏、ミサイル飛んでこず。1日出航の穀物船は無事黒海を横断したそうだ。ОЖ

対敵協力者A

SNS「テレグラム」上で親露チャンネルを運営しロシアによる侵略を擁護、現行のウクライナの憲法体制の転覆・権力掌握を呼びかけたオデッサ女性に、禁固3年の判決。ОЖ

同人は今年5月半ばから約1か月にわたり反ウ親露チャンネルの管理人としてたとえば次のような檄文を拡散した:
「ロシアオデッサ共和国(Русская Одесская Республика)。オデッサよ、ノヴォロシア諸都市の住民よ、武器を手に取り自らの自由のために戦え、それが無理なら街頭に出よ、血と虚偽に塗れたキエフの傀儡政権からの離脱を求めて行進せよ!力を合わせてロシア連邦への編入を成し遂げよう!我らの参加なくしてこの虐殺は止まらない。手を拱いているときではない!ファシストどもに知らしめるのだ、ロシア人をナメるなよと。ウクルファシストどもを我らの土地から焼き払え!」

何丘の感想:ОЖのこの記事、こんな過激な文章をガッツリ報道で取り上げてしまっていいのだろうか。これ自体が檄文の拡散に当たらないか。あまりにどぎついのでむしろ滑稽にして無害という判断だろうか。

女性は容疑を全面的に認め、真率な改悛ならびに、ボランティアセンターで働く意向を示しているそうだ。5月半ばまでウクライナにいながらにしてロシア世界的世界観を保ちえた強靭な精神力の持ち主が、何があって改悛に至っただろうか。ひとえにwonder。

対敵協力者B

さっきのはただの扇動だがこちらはリアルに利敵行為。ニコラエフの男性が市内のウクライナ軍拠点および重要インフラに関する情報をロシアのインターネットコミュニティに拡散した疑いで治安機関に拘束された。男性のもたらした情報は実際に敵諜報機関の攻撃目標策定に利用され、複数の軍事/民生施設の攻撃に結実した由。有罪と認められれば禁固8~12年が科せられる。ニコラエフの「ナチスからの解放」を願ったロシア世界信者。こんな話はごろごろある。УП

ロシアの社会調査A(ロシア人の3分の1が天動説を信じている)

全ロシア世論調査センター(ВЦИОМ)が科学リテラシーに関する調査を公表、それによると、ロシア人の35%が「太陽が地球を周っている」と信じており、しかもこの数字は増加傾向にある。この15年前で「天動説」信者は7%増加した由だ(УПВЦИОМ)。今の状況とあわせて、情報鎖国の中で妄想的世界観の濃縮が起きている、という印象を禁じ得ない。実際にはそんな鎖国でもないわけだが。

時節を合して伝えられた世論基金(ФОМ)の調査ではロシア人の約7割が一度もロシア国外に出たことがないらしい(УПФОМ)。日本と比べるとまだ低いのかもしれないが、欧州の国としては異様な高さと思う。外の世界を知らない、外の世界が怖い、内向き志向、夜郎自大、等の感想が走るがこういう憶断は危険だろう。だが示唆的ではある。

ВЦИОМとかФОМとかいうのはクレムリンの息がかかった調査機関で、西側がプーチン支持率とかを分析する際にはあまり参考にされない。

ロシアの社会調査B(プーチン支持率)

いっぽうレヴァダセンターというのは独立性の高い調査機関ということで西側から信頼されている。その7月末の調査が公表された。サプライズは何もない。驚くほどの恒常性。

■ウクライナをめぐる状況をウォッチしているか?

非常に注意深くウォッチしている25%、それなりに注意深く31%、特に注視していない32%、全く追っていない11%(最下段を見ればよい)。前月、さらに前々月と比べて変化なし。

■ウクライナにおけるロシア軍の行為を支持しているか否か?

明確に支持48%、どちらかというと支持28%、どちらかというと不支持10%、明確に不支持8%。つまりは76%が支持。これも前月さらに前々月から驚くほど変化がない。以上こちら

一方、同じレヴァダセンターのこちらの調査では、7月末時点のプーチン支持率は83%。不支持は15%。

表の一番右が2022年7月。左隣(6月)やそのまた左(5月)と見ていっても何ら変化がないのが見て取れるだろう。侵攻始まった2月時点では動揺が見られたが、その後は完全に硬直した。この間ブチャがありクラマトルスクがありマリウポリがあり、その他もろもろあったわけだが。始まったからには完遂されるべし、その過程で起こる大抵のことは看過する、というわけか。

これ見る限り、ロシア世論は少しずつ解体していっているなどという幻想はちょっと抱けそうにない。主戦論といよりは容認論なのだと思う。概して後者の方が解体は困難であろう。

請願:男性の出国を許可してください

総動員態勢のウクライナでは徴兵適齢(18~59歳)の男性の出国を原則禁止しているが、この禁止を解除してほしいとの請願が2万5000人の賛同者を集め、ゼレンスキー大統領の検討にかけられる。同様の請願は過去に2度行われたらしいのだがゼレンスキーは「国家防衛は市民の義務である。同じことを戦没者の遺族たちに言えますか。前線ではウクライナ軍人が毎日50~100人も死亡しているのだ」とけんもほろろであった。

3度目の正直となる今度の請願は女性が起草したもので、レトリックに工夫がみられる。第一に、戦力もう十分なんじゃないか説。2月24日以降逆に外国からウクライナに帰還した男性は11万人を数え、領土防衛隊には10万人を超える志願者が登録しており、外国人部隊には2万人の戦士がいる。ウクライナ軍の人員は23万人を数え、内務省には16.5万人がいる。総計して62.5万人もいて、うちの絶対多数が教練を終えており、武器の取扱いに通じ、肉体的・精神的に一定仕上がっている。この上新たに素人をリクルートするには及ばないんじゃないかと。

第二に、ウクライナにはIT系・技術屋・クリエイティブ畑の人材が多くいて、彼らは変に軍隊に徴用するより外国で避難民など助けつつまた外貨を稼いで軍隊に仕送りしつつ情報戦線で戦わせた方が適材適所でないですか。

第三に、特定のカテゴリーの人間の出国を禁ずるなんて、それを克服しよう卒業しようとウクライナが努力してきたところのソビエト時代の慣行そのままじゃないですか。УП

唱道者および賛同者の本音は、平和な市民であるわが夫・恋人・弟・パパ(あるいは自分自身)を軍隊にとられたくない、家族一緒で国外に逃げたい、というところだと思う。でもそれを言うにも言い方というものがある。うまく工夫したものだと思う。

ウクライナから「プーシキン通り」「ガガーリン通り」を一掃せよ

ウクライナ文化情報政策省が国内の道路名称に採用されているロシア人名の一種のブラックリストを作成した。ウクライナにはガガーリン通りとかプーシキン広場が多すぎると。別にその地にゆかりもないのに(仇敵たる)ロシア人の名がつけられているのは不当であり、改称すべきであると。УП

ウクライナの道路名称にムダに採用されまくっているロシア人名トップ10は下記。
・ユーリイ・ガガーリン(宇宙飛行士)
・アレクサンドル・プーシキン(詩人)
・イワン・ミチューリン(生物学者)
・ワレーリイ・チカロフ(パイロット)
・マクシム・ゴーリキイ(作家)
・ミハイル・レールモントフ(詩人)
・アレクサンドル・スヴォーロフ(軍人)
・ウラジーミル・マヤコフスキー(詩人)
・アレクサンドル・マトロソフ(軍人)
・ウラジーミル・コマロフ(パイロット)

「その生涯と活動がウクライナおよびその歴史・科学・文化と何ら関係がないロシア人にちなんだ通り・広場・街道の名前」が問題である由なので、たとえばオデッサだと、目抜き通りであるプーシキン通りは存続(プーシキンはオデッサにゆかりがあるので)。だがガガーリン広小路は改称されるであろう。

横浜からもらったアレで水を浄化する

オデッサは今のところ(隣のニコラエフと異なり)浄水・飲用水に困ってはいない。だが今後の戦況の推移によっては困るかもしれないので、浄水の取得方法の多角化を進めている。その一環で、先に姉妹都市である横浜市から供与された33機の携帯式水浄化装置を使って、あちこちの貯水池から採取した水をきれいにしてみて、飲用その他の用途に適するかを調べる。という話題。横浜の名が出てきたので一応。T

8月1日(鎌月/出航)

8月はウクライナ語でСерпень(鎌月)、刈り入れの月である。今年の穀物の収穫ももう始まっている。そんななか、長く港に留め置かれていた昨年分の収穫が、ようやく海に出た。

1日朝、戦争始まって以来の穀物船の出航、汽笛はオデッサ市旧市街に鳴り響いたということだ。シエラレオネ船籍の船で、ウクライナ産トウモロコシ2万6000トンをレバノンに運ぶ。「これで世界的な飢饉が回避され、ウクライナ経済は10億ドルを下らない収入を得る」とウクライナインフラ相(ОЖ)。「ロシアが穀物輸出を台無しにする試みを自重してくれるなどという幻想を我々は持っていない。先の合意の諸安全規定が遵守されるかどうかに全てがかかっており、その責任は一義的には国連とトルコが負う」とゼレンスキー(УП)。

オデッサ港にはまだ16隻の船がいて出航の順番を待っているということだ。

エカテリーナ二世像の去就「自分たちで決めてくれ」

本記事7/13付で紹介したオデッサ市創建の母エカテリーナ二世女帝像を市中心部から撤去してはという請願、2万筆の署名を集めると自動的に大統領マターに上げられるということで、このほど多忙なゼレンスキー大統領の検討にかけられ、当たり前すぎる結論:オデッサ市議会が決めるべき事項であるによって、どうぞオデッサ市議会でよく話し合って決めてください。ОЖ

ちなみに跡地にはゲイポルノ男優像を立てようという話であった。

詳しくは7/13の項を。忙しい大統領を下らない話で煩わせて罪なことを? いや、クスリと笑ったはずだ。こういうのは好きなはずだ。ユーモアの街オデッサから大統領閣下への暑中見舞い。

橋のかわりに船で

ドニエストルリマンにかかる橋がロシア軍の度重なるミサイル攻撃によってつとに通行不能になっていることにつき、かわりに船を出して旅客輸送を行おうという話になっている。ОЖ

上図に見える砂州の切れ目、ディーゼル船で10~15分で渡れるそうだ。船は現地に届いてるのだが就航の日は未定、各階層の役人たちが計画実現のため汗をかいているところ、とのこと。

してみると、なんや、本当に橋は落ちてたんかい。とすると、船渡すくらいのことは、とっくに行われていないとだめだろ。そんな難しいことか?

アルカディア

オデッサの今を伝える例のチャンネル、7月末日日曜日、アルカディアビーチのクラブ・イビサの様子。

Одесса 1 августа 2022. Клуб Ибица. Воздушная тревога в клубе и реакция.

たいへん興味分かかった。何丘ブログが千万言費やさなくてももうこのチャンネルだけ見とけばいいよと自嘲する。これがオデッサのリアルだ。さすがにアルカディアは市中心に近くオデッサを代表するビーチということで、柵をこえて渚に出る人はいないようだ。夏草や兵どもが夢のあと。しかし動画後半、「いま爆発音が聞こえた。空襲警報が発令されている。しかしクラブ・イビサは音楽を止めない。音量が半分ほどになっただけ。人たちも逃げ隠れようとする素振りを全く見せない」。

ほか名言集:(柵ごしに眺めて)海がこれほど魅惑的に見えたことはない/夏はもうその3分の2を消化したが(※ロシアとかウクライナでは季節は月割りで観念され夏=6・7・8月)夏らしい感じが全然しない/オデッサがオデッサに恋している。海に出たくて出たくて仕方がないのだね。

【お願い】
本記事は、オデッサについに平和の鐘が鳴り響くまで情報と情動をオデッサに同期し続けるという自己満足&自己破壊的プロジェクトです。とはいえ、いささかの社会的意義もなくはないものと思っています。世界の無顧慮と無関心のなかでウクライナがただ破壊されていくということがないように、人たちの記憶と関心を喚起するものとして。マスメディアの描く大きな・分かりやすい物語を是正あるいは補足するものとして。のちの人がウクライナ戦争のオデッサ局面についてタイムラインを再構成する際の参照資料として。

有料にして10人に読まれるよりは無料で1000人に読まれたいという思いから全編無料としていますが、正直もろもろ無理をしています。少しでも持続可能なものとなるように、皆さまのご支援を仰ぎたく思います。下記ボタンより「投げ銭」をくださいませ。100円~1万円まで自由に金額を設定できます。金額÷2の文字数、何丘宛てメッセージもお書きいただけます。

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【ご報告】
7月10日に同様のお願いをした際、月間目標金額12万円だと申しました。結果、7月の収益は、4万2984円でした。皆さまありがとうございました。
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以下私信です。
・太陽燦々の方。メッセージありがとうございます。あなたのような読者がいるから続けられています。いつもお返事できず心苦しく思っています。ログインなしで投げ銭いただいた場合、こちらから返信できない仕様なのです。(別口でお返事いたします)
・「猫」を意味する3文字の方。もしかしたらあの方ではないかと思っております(こういう妄想をよくします)。多額の投げ銭恐れ入ります。よきことのみがありますように。
・Y@Eさま。返信には200字の字数制限がありますため意を尽くせませんでした。おっしゃる通り、戦争は明らかに長期化傾向を示しているのに、何丘は短距離走みたいな走り方をしていて、これでは息も上がるであろうと見えるかと思います。ただ自分としてはこれ以外の走り方はできないという感じがするのです。こんな(汚い言葉を用いますが)クソみたいな侵略行為が長く続くなどということは自分にはうけがい難く、明日にもこの全てが夢のように終わってしまうことを願わずにはいられません。

メモ:時間があれば紹介したい
オデッサオペラ劇場とアーティストたちの戦争(Meduza)

7月31日(弾/ニコラエフ/海)

夕刻オデッサ州にミサイル2発、特段の被害なし。今度のは「イスカンデル」とかいうタイプの弾道ミサイルだそうで、同ミサイルがオデッサ方面に使用されるのは初。イスカンデルはいろんな種類の弾頭を搭載できるそうなのだが、今回使用されたものは、なんでも空中で破裂してサーマルトラップ(тепловые ловушки)なるものを飛散させるのだそうで

↑サーマルトラップ。標的付近でこういうものをばら撒くことによってウクライナ側の対空兵器を攪乱することが狙いらしい。非常に高温のため触ると危険、いくつかは乾燥した草原に火災を引き起こしたが、速やかに消し止められたということだ。ОЖ

追記:翌日、特段の人的・物的被害がなかったことが発表された。ОЖ

ニコラエフ

隣のニコラエフにこの5か月で最も苛烈なミサイル攻撃が行われたそうで、31日朝にかけての一晩で浴びたミサイルは40発とも(УП)。病院、運動場、学校など一連のインフラが損傷し、民家1軒が倒壊&複数に損傷、複数個所で火災(УП)。人的被害については、この攻撃で国内長者番付24位の農業王の自宅が被弾し本人および細君が死亡した(ОЖ)。穀物輸出・物流・船舶造営を一手に担うアグロホールディングス「ニブロン」の創業者で、フォーブスによると資産は4億3000万ドルだそうだ。

ほか、数人が負傷という。いつもながら攻撃の規模と人的被害の不均衡に不思議の念。ロシアのミサイルは高性能だなぁと棒読みしておけばよいか。なお、こういう場合の人的被害というのは民間人のことであって、軍人の死傷についてはウクライナ側は発表しない。ロシア側も自軍についてそうであるが。

ゼレンスキーの定例ビデオメッセージもニコラエフはじめ南部戦線が主題となった。

Обращение Президента Украины Владимира Зеленского по итогам 158-го дня войны (2022) Новости Украины

「今日はニコラエフ市民の不屈の精神に特に謝意を表したい。同様に、ニーコポリ、ハリコフ、クリヴォイ・ローグ、ドネプロペトロフスク州、ザパロージエ、ヘルソンの人たち一人一人に。あなたたちがオデッサを守ってくれている。皆さんの勇気に謝意を」

ほか、敵はいま東部から南部に戦力を向け換えている、敵の戦略的敗北は明らかだが、戦術的にも勝利を収めていかねばならない、東でも南でもしぶとく戦わねば、とゼ。

セヴァストーポリ

クリミアのセヴァストポーリで椿事。31日はロシア海軍創設記念日で、セヴァストポーリでも記念イベントが予定されていたのだが、そのセヴァストーポリで「ウクライナ軍無人機による黒海艦隊参謀本部への攻撃」があり6人が負傷、記念行事はキャンセルされた。УП

これについてウクライナ海軍「わが海軍を恐れるあまり狂言を演じてイベント中止の口実としたもの」(УП)、オデッサ州軍政報道官ブラチュク「明らかな自作自演。クリミアの占領者どもからの解放はこんなやり方では行われない。やるときはもっと遥かに効果的にやる。だがまだその機は熟していない」(ОЖ)、同軍政長官マルチェンコ「侵略艦隊記念日を祝うはずが火花ひとつでびっくりして何も行われなかった。プーチンも怖気づいてクリミアを訪れなかった。塹壕じいさん(Бункерный дед、安全な塹壕の奥深くに自己隔離してる老人、プーチン)はクロンシュタットに行った」(ОЖ

これに先立ち、31日の海軍記念日に向けて黒海のロシア船団が急激増員との報もあったが、ウクライナの対艦ミサイルの射程外にちょっと集まってみただけであった(УП)。撃ってはこなかった。ゼレンスキーのオデッサ電撃訪問の後も撃ってはこなかった。6月半ばの第1回訪問のときはすぐ翌日にどばばっと撃ってきたし、7月初旬にゼレンスキーが故郷のクリヴォイ・ローグを訪れたときもそのすぐ翌日に同地を攻撃したものだが。象徴的とか示威的な攻撃にまでは手が回らない状況になっている、と見てよいか。

海水浴

31日日曜、オデッサの海は芋洗いの大盛況だったそうだ。至るところに地雷/機雷の危険ありと看板が立ってるし進入禁止のネットも張られているのだが、大勢の客が子供を連れて海水浴を楽しんだ。この夏すでに機雷に触れて5人が死んでいる。この日はやや波高く、すなわち沖の機雷が打ち寄せられる危険も高かった。ОЖ

ネットは子供でも用意にくぐれる(跨げる)もので、それより向こうへ行くも行かないも市民の良心しだい。見回りの警官だの警備員だの領土防衛隊員だの誰一人いなかったそうだ。思うにこの夏はこの感じで終わる。もう2人3人は死ぬであろうが、市民の行動は変わらないだろう。当局も特に手は打たないであろう。

動画

動画で見るオデッサの観光名所。例のチャンネルでキルハが取り上げられた。オデッサの教会は8割方正教寺院だが、こちらはルター派(プロテスタント)の。ドイツ語で教会を意味するKirche(キルヒェ)にちなんでキルハと呼ばれる。美麗でしょ。

Одесса 30 июля 2022. Кирха, Лаура и ортодонт. Немного про историю Кирхи.

オデッサ旧市街が世界遺産登録されたらキルハもその構成要素になってると思う。とはいえ、今見える建築自体はわりと近年のもの。ソビエト時代は(よくある話だが)宗教施設の脱宗教家・世俗利用の一環でこの建物が体育館として利用されてたというのだから驚き。

7月30日(無事)

30日オデッサは静穏であった。ミサイルは飛んでこなかった。ОЖ

テロ国家

ゼレンスキーがロシアをテロ国家認定するよう世界に求めていて(УП)アメリカ議会では現にそれに向けた動きがあって、ロシアの攻撃をテロと呼びロシア軍をテロリストと呼びロシアをテロ国家と呼ぶ語法はウクライナ側報道に最近とみに多い。

ゼ「エレノフカでウクライナ人捕虜を大量殺害した一件のあとでは世界は露連の犯罪をただ非難するのでなく、テロリズムのスポンサー国家としてロシアを認定しなければならない。ロシアをテロ国家として形式的・法的に認定することでロシアとの政治・ビジネス関係は自動的に破断し、ロシアは存続が困難になる。ロシアのテロ国家認定は遅かれ早かれ必ず行われる。それが早ければ早いほど、ロシアの悪事を未然に防ぐことができる」

私(何丘)の感覚でもロシアのやっていることをテロと呼ぶのは全く自然なことだ。プーチンのロシアは国家の名に(ロシアの名にも)値しないと3月時点で言っていて、その確信はその後強まるばかり。国際社会の追認に何の実効的意味があるのか知らないが、それによって欧州が痛み(凍え)を伴うロシア産エネルギー依存からの脱却をついに成し遂げ、国連安保理常任理事の一角をテロ国家(で一度でもあったもの)が占めることの異常さに人々が目を覚ますなら、願ったりだ。

和平か正義か

NHKのこの記事、和田春樹と防衛研究所の山添氏、異なる2つの考え方。国際社会は今のままウクライナに兵器を供給し続けるのか、それとも戦争を調停すべきなのか。皆さんはどうお考えですか。

戦争とは何よりもまず生活の破壊であるというのが何丘の第一テーゼである。市民の生命と生活より優先されるべきものは何もない。にも関わらず私の立場は山添さんの方に近いというのだから無茶苦茶な話だ。

・ウクライナの意志は尊重されねばならない
基礎的な感覚の相違があると思う。たぶん山添氏は(私と同様)、主権国家を自然人の類比でとらえ、その領土(人間でいえば身体)に対する主権を絶対視し、その主権的意思決定を崇高なものと見る。対する和田春樹は国境線を暫定的なものと見、米露の綱引きの舞台または客体としかウクライナを見ない。和田によればウクライナはアメリカによって戦わされているのだが、山添氏によればウクライナは「戦う」ことを自ら主体的に選んでいる。その決断は尊重されるべきであり、そのための武器をとウクライナが求めるならば、国際社会はこれに応えるべきだ。

・正義が行われねばならない
ロシアは国境に自ら緊張を創り出し、緊張緩和に向けた国際社会のあらゆる努力・進行中のあらゆる外交交渉に唾を吐きかけて侵略に及んだ。かりそめの講和が結ばれたとて、新たに何度でも侵攻を始め直す。このロシアは滅ぼされねばならない。加えて、すでに今日までに行われたこと、ウクライナの人たちの生命・生活・財産・幸福の破壊について、罰が下らないなどということはあってはならない。

以上が私の確信だが、これが果たして人々の生活が破壊され続けることの理由になり得るか。自分は矛盾してると思う。けっきょく私の主戦論は目の当たり行われている不正と非道に対する怒りと憎悪、それから、そうは言っても生活の破壊とやら(の脅威)が自分たちの家まで焼かれるというところまで及んでいないことを根拠としている。ニコラエフが落ちたとき自分が全く違うことを言い出すこともあり得る。

7月29日(ゼレンスキー来オ)

29日オデッサは静穏であった。ミサイルは飛んでこなかった。ОЖ

ゼレンスキー&G7各国大使、オデッサに結集

G7(米英独仏伊カナダ日本)さらにトルコの在ウ大使たちがオデッサ州チェルノモルスク港に集結、そこへさらにゼレンスキー御大まで来て、貨物船への穀物の積み込みを視察、ウクライナへの国際的な支援について話し合ったということだ。ОЖОЖ

ゼ「ウクライナ産穀物の輸出の準備はできている。パートナーたち(仲介者である国連およびトルコ)からのゴーサインを待っている」УП

ご覧の通り日本の大使は不在あるいはオンラインオデッサ詣で。G7とはいうものの実際に来Oしたのは米英独伊カナダ大使、EUおよび国連の代表者であった由。ちなみに今日本の「在ウ」大使館はポーランドにあります。

もいっこちなみに、このチェルノモルスク(黒海)という街はつい近年までイリイチョフスク(レーニンの街)と呼ばれていた。地名の「脱共産化」の一例。でも巷間では今もふつうにイリイチョフスクと呼ばれたりする。

Wikipedia英語版がオデッサ表記をオデーサに改め

Wikipedia英語版のオデッサの頁で、市名表記が従来のOdessaからOdesaに改められたということだ。日本語でオデッサがオデーサに改められたことに当たる。英語の言論空間ではつとにOdesaが一般的になっておりこれに合わせた形とか。ОЖ

オデッサは今や親ウ愛国一色であります

オデッサ副市長がアルジャジーラのインタビューに応えて語ったということだ:オデッサはいつだって様々な政治信条を抱く人びとの集まりであり、あるひとつの立場によるモノポリーなど絶えてなかった。だが戦争によって社会は糾合された。「かつてオデッサではロシアのプロパガンダが相当強力であったが、今日ではそれは明らかに機能していない。今では大多数のオデッサ市民が親ウ愛国という立場をとっている。民生インフラが攻撃され、市民が殺害されている現実を目にしているからだ。この数十年間それに向かって歩み続けていたところのことが起こった。オデッサ市民が一つになったのだ」T

7月28日(5人目)

28日オデッサは静穏であった。ミサイルは飛んでこなかった。ОЖ

浜の爆死case4(4人目、5人目)

浜に遊んで機雷に触れて男が二人爆死した。所はコーブレヴォ、黒海北岸を代表するビーチリゾート、オデッサ州とニコラエフ州の州境に位置する。一節によるとこの二人は警官で、ヘルソン勤務の犯罪対策課長40歳とその部下35歳だそうだ。ОЖ

たしか犯罪ではなかったはずだ。浜に遊んでも罰金とかの規定はない。①なんで法令で禁止しないのか②なんで遮蔽物を設けて物理的に侵入できないようにしないのか、かねて疑問。オデッサ戦時七不思議。ともかく、これで浜の散華者は5人となった。

ウクライナにいながら「ロシア世界」に生きる人(続)

「オデッサはロシアの街、プーチンは我らが大統領――オデッサ男に刑罰か」と題するОЖ記事。まぁそういうことだ。ウクライナへの軍事侵攻支持を触れ回っていたオデッサ市民57歳が取り調べを受けている。彼によるとオデッサはロシアの街であり、プーチンは我らの大統領であり、それに異を唱える者は皆、「ロシア世界」到来のあかつきには苦い思いをするであろうと。

なんでもウクライナ刑法典111-1条(対敵協力活動、法原文)という恐らくは大規模侵攻始まって以降の修正条項があって、それによると、「ウクライナに対する軍事侵略遂行の公然たる否定、並びに侵略国の決定及び行動への支持の公然たる呼び掛け」をなしたウクライナ市民に対しては「一定期間、特定の職業に就く権利が剥奪される」という。特定の職業というのはまぁ軍人とか警察とかだろう。要するに問題となる発言をなした時点で警官でも軍人でもない(これからなる気もない)者にとっては実質的な罰則はないということ。一種の合法的徴兵忌避になるのではないかと愚考した次第。

ちなみにこのタイトル文に違和感を覚えた人、

こういう記法はウクライナメディアでは今はふつうである。つまりロシアとかプーチンとかいう語を固有名詞として扱わない(頭文字を大文字にしない)。もちろん侮蔑の表現。

ヘルソンの橋

昨日お伝えしたヘルソンのアントノフ橋について、露占領軍は路面の補修を試みたり(УП)民間のディーゼル船を徴発してそれでもって渡河を試みたり(УП)しているらしい。

ロシア語「優生思想」

ちょっとしたエピソードではある。よくある話といえばそう。

トルコのホテルでロシア人とウクライナ人が呉越同舟、前者が後者にダル絡みし「お前らロシア語わかるんだろう本当は喋れるんだろうなんでロシア語喋らねえんだよロシア語喋れよほらこのいなかっぺがよ」と罵言の限りを尽くした挙句ホテルから強制退去、警察に連行されたという。УП

詳細:
ハルキウ(ハリコフ)から休暇に訪れていた女性2人がホテルのエレベーターに乗り込んだところ乗り合わせた知らん男がロシア語で「上ですか下ですか?」と問い、女性2人がウクライナ語で下ですと答えると、男は「ロシア語で喋れ」と要求、女性2人がウクライナ出身者と知ると、辮髪女どもべぇべぇ弁喋るんじゃねえと罵りだしたということだ。男はその後も女性2人の行く先々に付きまとい「なんでロシア語喋らねえんだ?」と問うこと百万遍、女性の方は「ロシアの軍船が赴いた場所にあなたも赴くがよい*1」「ここは互いにとって外国なんだから何なら英語で会話しましょうか?え、何?英語しゃべれない?(ダサ!)」などと応酬したが馬鹿には勝てんということで警察を呼び、男は連行されていった。

ホテル側は女性らに陳謝、攻撃的なロシア人と二度と出くわすことがないよう努力する、と約束したそうだが、被害女性自身の弁によると、ホテルにはまだ多くのロシア人観光客がいて、ウクライナ語を耳にすると攻撃的な態度をとる人も多い、「それでも私たちは旅行中ウクライナ語で会話することを続けます」とのこと。

ロシア人の「ロシア語はスラヴ諸語の盟主である」という意識は根強い。本件のような「亜種」蔑視の発露を私(何丘)自身もリヴィウでキシナウでプラハで(ついでに言うと家庭内で)繰り返し目にした。私とかが「戦争と文化は別」とかいって擁護しようとしているロシア語は……私たちはすると事のついでに何を擁護してしまうことになるのだろう。もちろん色々な人がいる。それはもちろんだが。

*1=海底

戦時のウクライナは結婚ブーム

キエフは結婚ブームだそうだ。戦争始まってから婚姻登録の件数が爆増しているらしい。たぶんウクライナ全土の傾向じゃないかと想像する。2月24日から7月23日までの5か月間でキエフにおける新規婚姻登録は9120件、前年同期は1110件だそう。①不安やストレスをふたりで乗り切りたい②明日をも知れぬ身、先延ばしにしてなんとする、みたいな心理的動因のほかに、手続きの大幅簡素化とか、軍人・警察・医療従事者はオンラインでも婚姻届けを出せるようになったとか、そういう外形的要因もあるそうだ。УП

戦時のウクライナにおける新生児の命名傾向

ウクライナ法務省が2022年上半期のウクライナにおける新生児の最もポピュラーな名前のリストを公開した。それによると(以前何丘が「ロシア人の名前の読み方」という記事に書いた通り)ほとんどは伝統的・保守的な名前で、女子の上位はこんな感じ↓

アンナ、ソフィヤ、マリヤ、ヴィクトリヤ、アナスタシヤ、ソロミヤ、オレクサンドラ(アレクサンドラ)、ポリーナ

男子↓

アルテム(アルチョーム)、オレクサンドル(アレクサンドル)、マクシム、ボフダン(ボグダン)、マルク、ドミトロ(ドミートリイ)、ミハイロ(ミハイル)

だが戦争の現実を反映した新手の命名も散見されるとのことで、たとえば米対戦車ミサイル「ジャヴェリン」より、女性名ジャヴェリナ、男性名ジャヴェリンというのがわりとポピュラーらしい。男児の間ではトルコの無人戦闘機バイラクタルをそのまま名前にするのも流行っているとかだ。どちらも外国からウクライナ軍に供与されて占領者撃滅に戦果をあげている兵器。УП

その親たちにとってこの全体は最終的にウクライナが勝利を収める好ましい物語なのだろう。あるいはそうなることを願っているのだろう。私にとっては戦争はただひたすらにおぞましくけがらわしいものなので、子供の生涯にそれにちなむものは塵一つ近づけたくない。だから私らなら無論こういう名前はつけなかった。

(国民のアイドル=ゼ大統領のファーストネームからヴォロジミル(ウラジーミル)が増えたりなぞしないものかなと思うが、国民の大敵と同名でもあることから忌避されたか。地域英雄の名がフィーチャーされることもあると思う、たとえばニコラエフでは名物知事ヴィターリイ・キムからとってヴィターリイが増えたりなぞしてそう)

7月27日(ヘルソン)

27日オデッサは静穏であった。ミサイルは飛んでこなかった。ОЖ

ヘルソン

南部戦線の戦果として今大きく取り上げられてるのはヘルソンのアントノフ橋の破壊だ。26日晩のウクライナ軍の攻撃で同橋が通行不能になり、占領軍はドニエプルのあっちとこっちで分断され、補給路を断たれると。ОЖ

ロシア軍に占領されているヘルソンをウクライナが奪還できれば、ニコラエフ(「ムィコラーイウ」)が安全になる。ヘルソンが敵の手に落ちればヘルソンからニコラエフにミサイルが飛び(←今ここ)、ニコラエフが落ちればニコラエフからオデッサにミサイルが飛ぶことは必定なので、ヘルソンの帰趨はオデッサにとっても極めて重要だ。

アントノフ橋(Антоновский мост)で地図検索して辺りを見てもらえると分かるがドニエプル河口部を渡れるポイントは非常に少なく、これより下流はドニエプル・デルタというぶしゃぶしゃの水域で、だいぶ上流に代替通行路となるカホフダム(дамба Каховского водохранилища)があるが、こちらはウクライナ軍の火力の統制下にあるということだ。つうわけでドニエプル右岸に取り残された占領軍は①死滅するか②投降するしかなくなると。

Meduza動画で橋が要衝であること、また攻撃後の損傷の様子など見てとれる↓

ВСУ обстреляли мост в Херсонской области

ご覧の通り橋はまだ直せば渡れそうな感じではある。橋をすっかり崩落させるということの難しさ。たぶんウクライナ軍は、今ロシア軍がオデッサ州のドニエストルリマン橋に行っているのと同じことを、このアントノフ橋に対して行うことになる。攻撃し続け、道路に穴をあけ続け、補修を不可能にすること。

この話のなんとなく喜べない点は、ウクライナの橋をウクライナ軍が落とすということの苦みである。南方作戦司令部報道官「我々は、わが国に存在するものは、たとえ被占領地域のものであっても、大切にする。インフラは破壊しない、破壊するのは敵の計画である」。とはいうものの。ОЖ

また本件についてゼレンスキー:橋その他の渡河点は無論復興して再び渡れるようにするが、その復興を担うのは(敵でなく)我々である。占領者どもが我らの土地でいかなるロジスティクスも行えなくなるよう全力を尽くす。どんなプランを練ってこようとも、必ずそれを破壊する。УП

オデッサのビーチに異変

浜は地雷原・渚は機雷原ということでビーチへの立ち入りが禁止されているなかで、浜に雑草が生い茂っているらしい。なるほど雑踏ないものね。見たことない姿。ОЖ

ОЖ15周年

ОЖことオデッサライフが7月27日、創刊15周年を迎えたそうだ。おめでとう。基本的には今は戦時なので軍事・政治当局の公式発表を伝える仕事がメインだが、市中の様子を活写するフォトルポルタージュをはじめ地元密着・市井の人の生活に寄りそうあり方が素敵。貴重な露字ローカル紙としてこれからもがんばってほしい。

黙過は即ち奨励である

オデッサ市長がイスラエルメディアの取材に応えて語ったということだ。「ロシアの侵略に反対の立場をとらない人は、すなわち悪を選好し、侵略戦争を奨励しているのだ」T。ほんとうにその通りだと思う。ロシアのミサイルは世界の無関心を燃料に飛ぶ。なんの意味があってと自分のブログ更新についてよく思うが、でも続けようと思うのはこういう言葉に接した時だ。

7月26日(ザトーカ)

26日早朝、オデッサ州を代表するビーチリゾートであるザトーカに大量のミサイル。民家や保養施設が損壊した。人死になし。ОЖ

ザトーカ。片手に湖もう片手に黒海を望む細長い陸地がずーっとビーチになっている奇勝の地、ホテルや企業・自治体の保養施設が立ち並び、夏場は大勢の海水浴客で賑わう。例のドニエストルリマンの橋もここに架かっている。また橋が狙われただろうか。何しろ敵機が色んな方角から、都合13発くらい浴びせてきたそうだ。以下、ウクライナ空軍司令部発表(УП

「まずSu-35ないしSu-30機(露連邦アハトゥビンスク基地所属)が黒海水域より複数発、次いで午前4時半ごろ同種の敵機からKh-59ミサイル5発が主としてオデッサ州方面(ザトーカ地方を含む)へ撃たれる。次いで5時ごろ10機ものTu-22M3機(長距離爆撃機、露シャイコフカ基地所属)が黒海地域に飛来し主としてオデッサ州ザトーカ地区(周知の橋が存する)に対しKh-22ミサイル8発を撃ち込んだ」
「敵はウクライナの対空防衛を脅かすべく絶えず発射戦術を変化させている」

ザトーカの着弾地だそう↓

Последствия ракетного удара по Затоке. Первые кадры

ゼレンスキー「朝。いつものザトーカの村。人たちが休養していた、暮らしていた。ただ暮らしていた。基地もなければ兵士もいない。ただ露連のテロリストどもは撃ってみたくなったのだ。このすべてに報いが下る。「解放者」を僭称し、我々の生活を破壊する一人一人に」ゼInsta

人的被害は、男性一人が軽傷を負ったのみだそうだ(ОЖ)。それも分からん。戦時とはいえ、また比較的ミサイルのよく飛来するエリアであるとはいえ、オデッサ市内のビーチの仄聞瞥見から推すに、いま時期のザトーカにバカンス客が来ていないとも思えないのであるが。

同じ朝、隣のニコラエフは18発のミサイルを浴びた。空から6発、また隣のヘルソン(ロシアに占領されている)から12発。工場、インフラ、鉄道橋に被害。爆発音はすさまじかったが人的犠牲はなしとのこと。黒海北岸において「軍事行動が緊密化している。両陣営とも多くの航空機が稼働している」とキム知事。なお、先に伝えた工作員・誘導員摘発目的でのロックダウン(20日の項参照)については「収穫期が終わったころに実施する」とのこと(УП)。ミサイル攻撃の脅威の低減か、飢餓の回避か。なんという過酷な二者択一。

英「ロシアのオデッサ攻撃の狙いは……」

英国防省のインテリジェンスレポート。ОЖより

①24日のオデッサ港の攻撃についてロシア側は「ウクライナの軍船および対艦ミサイルを攻撃した」と説明しているが、着弾地に当時そうしたものが存在したことを示すものは何もない

②ロシアがウクライナの対艦ミサイルを自国黒海艦隊にとっての最大の脅威とみなしていることは「ほぼ確」。それがあるためにロシアのオデッサ上陸・占領は現実性を失い、侵攻計画全体が大幅に遅れている

③ロシアは引き続きウクライナの対艦攻撃力を殺ぐことを試みるであろうが、⑴(敵兵器の位置)情報が適示に入手できていないこと⑵作戦立案が拙劣であること⑶トップダウン体質、これらが災いして、標的策定プロセスは著しく劣弱化している

国語法改定

ウクライナ語の国語としての機能の保全に関する法律(国語法)というのがあって本質的にはロシア語排除法、ウクライナの民に極力ロシア語を使わなくさせ・極力ウクライナ語を使わせることを目指した法律なのだが、その改正版が今月16日に発効していたらしい(УП)。新たに付け加えられた6章27条各項は国内で作成されるウェブサイトやSNSアカウントについてはユーザーがまず目にするページはウクライナ語であるように、と定めている。同法原文→ウクライナ最高会議法文集

たとえば全国メディアであるУП(Украинская Правда)は、トップページがウクライナ語版で、右上の「УКР/РУС/ENG」のところで言語を切り替えられるようになっている。ウクライナ語が主、露語・英語が副、というタテツケである。

一方、オデッサローカルメディアであるОЖ(Одесская Жизнь)は、トップページはロシア語版で、右上の「UA」を押すとウクライナ語版に切り替えられるようになっている。ロシア語が主・ウクライナ語が副というわけ。

つまりОЖは現状、改正法に違反している。そのうち改められるのであろう。※ロシア語版の存在を禁止するものではない

ウクライナ語図書の焚書

ハリコフの被占領地域でウクライナ語図書の焚書が行われているらしい。各学校の図書館(図書室)にある91年以降に発刊されたウクライナ語図書の目録を作成し処分するように、との命令が占領当局から出ているとか(УП)。出所の怪しい話ではあるが、さもありそうなこと。

ウクライナでロシア語図書の輸入や発刊が禁止される、ウクライナの公立学校の文学の授業でロシアの古典は扱わない、という話(→前の記事で「ロシア語」「ロシア語図書」と検索)を聞くと、私のような露文科の出身者は、トルストイやドストエフスキーやチェーホフを念頭に、「ロシア文学あんなに豊穣なのに(勿体ない/狭量だ/言っちゃ何だけど暗愚だネ)……」とつい言いたくなるのだが、では同じことが向こう側では行われてよいのか。そういうアンタはウクライナ文学が豊穣であるかないかを自ら調べたのかね。単にアンタがそれと長く接面してたから、それでなんとなく親しみを感じるからというだけで、ロシア文学を擁護していないかね。「戦争と文化は別」、言うは簡単だが、ロシア文学を読んできた自分への自己愛を抜きに、ゼロベースでその問と向き合う努力を、一度でも払ったかね。……という問いを、誰よりもまず自分に問うている。

7月25日(無事)

25日オデッサは平穏。ОЖ

ラヴロフ「オデッサの一件について言うと、ロシアが自ら負った諸々の義務(22日にイスタンブールで調印されたものを含む)の中には、我々の特殊軍事作戦の継続を禁じ、軍事インフラその他軍事目標の撃滅を禁ずるようなものは何もない」Meduza。これまでもこれからもいろいろな合意が結ばれるであろうが侵略と破壊と殺戮は続けますよと。これって外務大臣としての自己の存在意義を完全に否定する発言だと思うんですがどうですか。戦争始まって当初から、どうしてこの巨漢が恥辱のあまり1原子のサイズまで収縮して消え入ってしまわないのか、何丘には不思議でたまらない。徹底して無意味な存在。(ロシア外務大臣勤続18年)

動画2つ

①ウクライナの農村の破壊された家屋をDJのトゥンツトゥンツにノりながら若い者らでばーっと片づけてしまおうというRepair Togetherなる活動、各地を巡回しているらしい。

Рейв-уборка после обстрелов украинского села

②例の「オデッサの日常」チャンネル。オデッサ旧市街モルダヴァンカ地区のスタラコンカ(Староконка)と呼ばれる蚤の市。ソ連時代の骨董品とかわけのわからんものがごたごた並べられてる。こんなゆる~い感じの蚤の市をぶらぶら歩いてみたい方、平和になったらオデッサへ。

Одесса 23 июля 2022. Староконный рынок. Молдаванка. Чемодан со шприцами, ус кита, Кобзон и пробка.

7月24日(鉄面皮)

侵攻始まって5か月となる24日、オデッサは無事であった。ミサイルは飛んでこなかった。

オデッサ州軍政長官マルチェンコ「オデッサ港に対する昨日のミサイル攻撃は我々(ウクライナ軍)が自分で自分に撃ったものなのだそうだ。ロシアのプロパガンディストどもはそれよりマシな説明を何も思いつけなかったらしい。だがウクライナ軍に存在しないミサイルが上空を飛ぶのを街の半分が目撃したとあっては、そんな説明もそうは功を奏さなかった。国際社会からも非難の声が上がるにつけ、占領者どもが言い出したのは、「合意に反することはしていない、穀物とか輸出に必要なインフラとかは攻撃していない」ということだ。ですがね、港というものは穀物輸出に必要なインフラそのものなんですよ。これほど暗愚で無意味な声明などどうやったら出し得るのか」ОЖ

ロシア国防省報道官コナシェンコフ「海上発射式高精度長距離ミサイルでオデッサ港の船舶修理工場のドックに入っていたウクライナの軍船および米国からキエフ政権に供与された対艦ミサイル”ハープーン”の格納庫が撃滅された」TASS

私に何が言えるだろう。いつもの伝でウクライナ側の発表を信じる。仮にロシア側の発表が真実だったとしてもなおロシアの攻撃は100%非難に値する。そもそもロシアの軍船が沖合から間歇的に飛び道具を飛ばして市民の平和な生存と生活を脅かしてくるからこそオデッサに軍船と対艦ミサイルが必要なのだ。「自分たちがオデッサを攻撃するのに邪魔となる装備があったから破壊しました」という説明を聞いて「そうかそれならば仕方ない」とチラとでも思った人、あなたは要するにロシアの侵略を全体として肯定するのですか。

いずれにしろ、打ちのめされる。やっと明るい話と思ったあとにこれ。神も仏もない。破廉恥と鉄面皮。いな戦争という怪物はその顔面がすっかり闇である、一筋の条理の閃きもない。正視する者の気を狂わす闇。

余談だが、まぁ笑い話みたいなもんだが、昨日のトルコ国防相の「(オデッサ港へのミサイル攻撃の報を受けて)宇・露双方のカウンターパートと話したところ、露側からは『露は攻撃に関与していない』との説明を受けた」という内容を、TASSはこんな見出しで

んでこんな本文で伝えた。

タイトル「トルコ国防相、ロシアはオデッサ攻撃と無関係であると声明」リード文「トルコ国防相は、ロシアはオデッサ港攻撃に関与していないと述べた」。なんと低劣なジャーナリズムであろう。実際は「トルコ国防相は『ロシアは<ロシアはオデッサ港攻撃と無関係である>と述べている』と述べた」のだ。露プロパガンダメディアで印象操作・事実の歪曲はこのようになされます。

7月23日(港)

あまりのことに……なんと書き出していいか分からない。国連とトルコの努力によってウクライナ産穀物の海上輸送の安全に関する国際合意がやっと結ばれた翌日、オデッサ港に対しミサイル攻撃。

どこまで冷笑的になれるものだろうか。戦争は人間の顔をしていない(У войны нечеловеческое лицо)

ОЖ記事1:ウクライナ軍南方作戦司令部によると23日白昼、「カリブル」型巡航ミサイル複数でオデッサ港が攻撃され、2発は撃墜に成功、2発が港湾インフラに命中。海辺でまた市中心部で晴れの週末を楽しんでいた多くの市民は文字通りの空中戦を目撃することとなった。敵ミサイルが飛来する、それを地対空ミサイルが迎撃する、空中でまた市中で度重なる爆発。

ОЖ記事2(オデッサ州軍政長官マルチェンコ):穀物輸出合意に調印がなされたすぐ翌日、ロシアが「カリブル」ミサイルでオデッサ港を攻撃した。負傷者も出ている。港湾インフラが損傷した。この攻撃を機に全世界が目を開くべきだ。ロシアはテロリスト国家であり、ロシアとはいかなる合意も不可能である、と。ロシアとの合意は彼らが調印をほどこす紙切れ一枚の値打ちもない。オデッサへのミサイル攻撃は単なる攻撃ではなく、国連および全世界に対するメッセージだ。「ロシアは合意をする気も停戦する気もない」というメッセージ。我々は、現実感というものをとうに失ってしまったこの人非人どもを制止するために、あらゆる手段を尽くして圧力をかけなければならない。

УП記事1(ゼレンスキー):オデッサ港への攻撃は冷笑的であり、同時にロシア自身の政治的立場に対する攻撃でもある。これまでは世界各地で「ロシアとの対話や合意が必要だ」とする声も聞かれたが、今日のロシアの「カリブル」で、そんな発言を行う可能性そのものが粉砕された。この攻撃に対しては全世界が完全に一致したリアクションを見せている。占領者どもはもはや誰を欺くこともできない。
攻撃の結果損傷した建物のひとつに、オデッサ美術館がある(何丘注:オデッサ港のほぼ真裏にある)。攻撃はウクライナ文化、いやヨーロッパ文化の清華たる歴史建造物群にすぐ隣接するエリアに対して行われた。

ほか、米および国連はロシアを非難、トルコ国防相は「合意調印のすぐ翌日にかかる事象が出来したことを憂慮する。両当事者には平静と忍耐を求める」と自身はロシア非難せず(УП)。なお、国連内の消息筋によると「ロシアのオデッサ港攻撃は技術的には前日の国際合意に違反してはいない可能性がある。合意は穀物輸出に直接参加しないウクライナの港湾部への攻撃を自制する義務を課すものではなく、付近に軍事標的があればロシアは文書上のこの抜け道を利用することもできる」УП(NYT伝)。ただこの点に関しては、ウクライナ農業政策省によると、攻撃当時オデッサ港には直近2日で輸出される予定の穀物があった。ОЖ

ロシア側現時点で発表なし。

蛇島の猫

ウクライナ軍が蛇島で見つけた子猫(20日の項参照)は「蛇(Змей)」と名付けられ、キエフの家庭で飼われることになった。ОЖ

蛇島に4か月いたロシア兵からは別の名で呼ばれ可愛がられていたことだろう。猫の安否を案じてウクライナ側報道をチェックしていた人もいたかもしれない。その人は猫が無事保護され飼い主を見つけたと聞いて安堵していることだろう。

7月22日(穀物輸出)

22日は無事の1日、オデッサにミサイルは飛んでこず。ОЖ

日本語メディアでも報道されてるが、オデッサ港からのウクライナ産穀物の輸出について大きな前進があった。国連とトルコの仲介により国際合意が結ばれ、オデッサ港に留め置かれていた2000万トンにものぼる昨年分の収穫が、黒海を伝って諸国へ輸送できるようになる。すでに収穫が始まっている今年分の穀物についても無事に輸出できる見込みだ。ウクライナにとっては経済的利益であるし、諸国にとっては飢饉およびそれに伴う政治的な混乱が回避されることになる、とゼレンスキー。УП

なお商船の無障害通航について本来であればウクライナとロシアが合意すべきところだが、両者間で直接の合意はなく、ウクライナはウクライナでトルコおよび国連と、ロシアはロシアでトルコおよび国連と、別個に合意を結ぶ。ほか、ウクライナ側によれば、ロシア船が商船の護送を行うことはなく、またロシア船はウクライナの港には立ち寄らない。挑発行為があれば即刻「軍事的返報」を行う。必要があれば海上で輸送船の合同点検を行う。ОЖ

ウクライナ側は海上輸送が再開すると商船に紛れて露軍の軍船が近づきオデッサに攻撃をしかけてくるのではないかとつとに警戒している。まさかそんなことまではしまい、というある種のロシア性善説がこの期に及んでなお自分の中に残っているのがいっそ不思議である。

国際信義の一切に悖る無法・非人道の極北たる侵略・破壊・殺戮が始まって間もなく5か月。明日にも、いや今日にも終わるべき最悪最低の犯罪行為が、少なくも今後数か月は続くことを、これをお読みのあなたももう容認されているのだろう。

爆発

22日オデッサには攻撃が行われなかった、とはいうものの、市民は夕刻大音の爆発を聞かぬでもないのである。露軍の無人偵察機がオデッサ上空で撃墜された由。幸運な街の無事の1日はこうして暮れる。ОЖ

文化の破壊

NHK「もうひとつの戦争犯罪? ~破壊されるウクライナの文化財~」ご一読あれ。

オデッサ中心部の公園で詩の朗読会

オデッサ中心部の都市庭園(горсад)で今週末、「インスピレーションの方舟」と題するイベントが開かれるとかで(ОЖ

それを紹介するОЖ記事タイトル「オデッサの都市庭園に様々な言語で詩が響く」、本文に「オデッサの都市庭園のロトンダのところで多様な文化が混交する『詩とヴォーカルの夕べ』が開かれる。ウクライナ語、ポーランド語、英語、スペイン語、フランス語、その他言語で詩と歌が披露される」。

ロシア語は「その他言語」にも含まれないのだろう。

7月21日(無事)

無事の一日。21日オデッサ(市/州)に対する攻撃はなかった。
デニス・シュムィガリ首相というのがオデッサに来てドナウ河口部の街イズマイルおよびレニの港を視察した。黒海航路が事実上封鎖されている現状、ドナウを遡行していくルートでの産穀輸送(ウクライナ→欧州)が非常に大事であると。ОЖ

動画(夜の散歩)

無事の一日の夜の散歩。オデッサの一番いいものが全部つまってる。猫(かわいすぎ)、アカシア、石畳の道、テラス席、噴水、バンドゥーラ、都市庭園。これが恐らく世界遺産に登録されるオデッサ中心部の街並みです。

Одесса 21 июля 2022. Прогулка по ночной Одессе. Персиковый кот – на месте.

時刻は8時~9時くらいか。この季節として人あまりに少なく、寂しい。

7月20日(決別/蛇猫/害虫駆除)

20日未明オデッサ州に1発ミサイルが飛んだが特段の被害なしとのこと。ОЖОЖ

ダーチノエ

ロシア国防省によると19日未明のダーチノエ攻撃の戦果は「軍人・予備役200人を殲滅、外国製兵器10ユニット以上を撃滅」という赫々たるものだそうだ。乾いた笑い。TASS

ロシア文学による仲違い

全世界オデッサ人クラブ(Всемирный клуб одесситов)という団体があって、要するに全世界に散らばったオデッサ出身者を束ねる同郷人会、これがロシア文化をめぐる立場の相違がもとでオデッサ市と絶縁した。ОЖ

同団体が主催するイサアク・バーベリ記念オデッサ国際文学賞なるイベントに①ロシア人が審査員に名を連ねていたこと②ロシア人が受賞者に名を連ねていたこと、が絶縁の原因だそう。とりわけ、それらロシア人の中に⑴ウクライナに対する(好ましくない)発言をたびたび行った者⑵ロシアのプロパガンダメディアへの協力者、がいたことが問題視された。

この文学賞はウクライナ/ロシア/その他の国々でロシア語で書かれた文学作品の中から特別に秀でたものを選んで顕彰するものだそう。たしかに今のウクライナにとっては時宜を得ないイベントだ。

とはいえそもそも反ウ親露の団体かというとそんなことはなく、全世界オデッサ人クラブは2月24日以降たびたびウクライナ支持を表明しており、慈善コンサートを開いて集めたお金をウクライナ軍に送るなどしていた。不幸なすれ違い。

なお、同会の会長は故ミハイル・ジュヴァネツキーである。

蛇島上陸作戦(続)

ウクライナ軍が蛇島に上陸して情報収集(敵が残していった装備や書類などの発見・回収)や地雷除去などを行い、ロシア国旗を降ろして改めてウクライナ国旗を掲げるなどした。で、ミッション中に猫が見つかって、これを保護した。「ウクライナ軍、救える命は猫でも救う」。ОЖ

また切手にでもなりそうな美談だ。みんな猫好きだからなあ。

お願いです、オデッサを攻撃してください

オデッサにミサイルを撃ちこんでください(ヴィニツァのように)と度々ロシアのチャットに書き込んでいた疑いでオデッサ在住男性が自宅で拘束され、証拠品としてパソコン・スマホを押収された。「<ロシア世界>の信奉者」。ОЖ

ニコラエフで対敵協力者炙り出し作戦?

隣のニコエラフ(オデッサ州に10倍する攻撃を久しく受け続けている)で大規模な「対敵協力者炙り出し作戦」が行われるかもしれない。ヴィターリイ・キム知事のイニシアティヴで、なにしろ数日にわたり街への/街からの人の出入りを禁止し、市内では終日外出禁止令を敷いて、その間に工作員(диверсанты)および協力者(коллаборанты)を一斉検挙する、と。ОЖ

キム知事は対敵協力者を4群に分けている:①思想的(идейные)②破滅型(отчаявшиеся)③無責任型(те, кто не думает о последствиях)④小遣い稼ぎ(решившие заработать)。さっきのオデッサの「わが街にミサイルを撃ちこんでください」の人はさしずめ②のタイプ? 色々うまくいっていなく、人生に絶望し、すべてをリセットしたい、とりあえずこの呪わしい街並みを烏有に帰さしめてほしい。むろんそれで自分が死ぬことなど慮外。・・勝手な想像です。

#プーチンを待たせよう

エルドアンがプーチンを待たせる動画が好き。「ふつうは皆がプーチンを待つ、だがテヘランではプーチンがエルドアンを待った。僅か50秒のことであるが、動画を見るに、露大統領には何時間にも感じられたようだ」Meduza

Эрдоган заставил ждать Путина

したたかなエルドアンは当然わざと待たせたものと思う。国際的に孤立した被仲介国のリーダーを。あらゆるリーダーが国際場裏でプーチンを待たせてほしい。ハッシュタグ「プーチンを待たせよう」。

7月19日(ダーチノエ)

19日未明オデッサ州のダーチノエ村に6発のミサイルが降り注いだ。勘弁してくれ。ひとつの村に6発とは。またその村というのが私たちのダーチャの存する村のすぐ隣なのだ。義父母はたまたま街の本宅の方にいた。

この農村には公知の事実として軍の施設が存する(いわゆるказарма、兵営)。それで侵攻初期に叩かれ、その後も何度か攻撃が加えられた。今回の攻撃により、負傷者6人、幸いにして死者なし、学校や公民館、複数の家屋が全半壊。ОЖОЖ

ПОСЛЕДСТВИЯ ОБСТРЕЛА СЕЛА ДАЧНОЕ ОДЕССКАЯ ОБЛАСТЬ

これがフェイクでも何でもないことは直接の証言によって知っている。私たちは今月この村に住む少年を一人日本に避難させる。破壊された学校というのはこの少年の母校である。

戦争は生活の破壊である。それを始めたのは誰か。ロシアである。誰が止めればこの全ては止むか。ロシアである。だからロシアを非難すべきだ。ロシアがこれを止めるよう世界は全力を尽くすべきだ。難しい論証は要らない。

7月18日(橋/密告奨励/オフシャニコワ)

18日昼、黒海海上の敵機3機から4発のミサイルが発射され、1発は撃ち落とすことに成功したが、2発は軍事施設に命中、1発がドニエストルリマンにかかる橋に当たった。犠牲者なし。ОЖОЖ

この橋には私のカウントで通算9度の攻撃が加えられている。

詳細は省くが、この橋が落ちるとオデッサ州の一部領域がウクライナ本土から切り離され孤立する。孤立させておいて攻め上がるというのが敵の目論見ではないかと愚考している(詳しくは前の記事で「ドニエストルリマン」と記事内検索)。ウクライナ側の発表では橋はとうに機能を停止している。それでもロシア軍が貴重なミサイルを飛ばしてくるのは何故なのか。①偏執狂。②ウクライナ側の発表はブラフで、実は橋は通行可能な状態をとどめている。③ウクライナ側の発表はブラフで、実はロシア軍は特に橋を標的としていない。

対敵協力者に懸賞金

激しい攻撃に久しくさらされているお隣のニコラエフのヴィターリイ・キム州知事が対敵協力者摘発につながる情報に100ドルの報奨金を支払う考えを示した。УП

ウクライナ社会の内部には敵シンパ、いわば「ロシア世界」市民がいて、ロシアが自分たちを解放してくれる日を早めるために自ら志願してロシア軍に情報提供を行い、ミサイル攻撃の誘導を行っている。協力者(коллаборанты)とか誘導員(корректировщики)とか呼ばれる。ロシアは彼ら協力者に対して日本円にして数千円のお駄賃を払っているらしく、ならばこちらもということらしい。

のちの発表では、誘導員摘発は大統領案件に上げられており、近々軍最高司令部会議で討議されるということだ。УП

徴兵適格者の国外逃亡幇助

徴兵適齢の男性(18歳以上60歳未満)のウクライナ国外への違法輸送がまた摘発された。オデッサ市民3人からなるグループが国境通過ポイントを迂回してルーマニアに入るルートでの輸送を運賃3000米ドルで請け負っていたそうだ。ОЖ

オフシャニコワ

↑これで有名なオフシャニコワ氏はドイツに逃れていたと思ったのだが知らぬまにロシアに帰っていて、そこで向こう見ずとも言える反戦活動を続けており、このほど自宅付近で拘束されたということだ(のちすぐ解放)。Meduza

同氏はオデッサ出身ということで、6月の帰省で同郷人たちにあまり快く受け入れられなかった顛末を前の記事(6/4)で伝えたが、地元メディアの尻馬に乗って私も冷淡な書き方をしてしまったかと悔いている。

7月17日(矛盾と分断とミスコンとヴェネツィア)

17日オデッサに対しては攻撃が行われなかった。オデッサ州軍政報道官ブラチュクの兄貴「敵はオデッサについてプランを有しており明日にも攻撃が行われる、などとどこかで聞いたり読んだりしてもびっくりしないように。連中がオデッサを欲しがってる/オデッサに入りたがってることは周知の事実だ」ОЖ

16日のミサイルは……

昨日の「1発」は、ロシア国防省によると、高精度ミサイルによりNATO諸国供与の対艦ミサイル「ハープーン」の保管庫を撃滅したものだそうだ(TASS)。だがウクライナ側によれば、これはロシア殺人省のお定まりの嘘であって、全オデッサ・全ウクライナ・全世界が明らかに目にした通り、被弾し・火の手に包まれたのは家具の組み立て工場であって、それ以外の何でもない。論拠として①仮にハープーンが爆発したなら周囲1㎞は焼け野原になった筈&その轟音は遠くオデッサ内外に響き渡った筈である。②第一、黒海上のロシア船団が依然としてオデッサ沖から慎重に距離をとっていることが、ハープーンが無事であることの何よりの証拠である。ОЖ

このブログの筆者(何丘)がどういう予断を持っているか言ってしまうと、こういう場合に普通、ウクライナ側の発表を信じる。露側はもちろんウ側にも報道の自由はなく、私が見ているОЖとかУПも大本営発表のメガフォンであることは承知している。だが原則的に、真実を伝えることへの動機づけは、露側よりも宇側に強いと思っている。露は外国での戦闘行為について自国向けに好き勝手言っておけばよい。市民社会に言論の自由はなく、何か言えばすぐ拘束される強度の警察国家と化していて、検証には全くさらされない。一方の宇は、正義の防衛戦の継続のために自国民はもちろん諸外国から支持・支援を取り付け続ける必要があり、市民のSNSでの発信にもそう強度の統制はかけられていないように見える中で、他ならぬ自国の被害について、あからさま過ぎる嘘をつけるとも思えない。

分断

オデッサ市内の某公園で、62歳のストリートミュージシャンがウクライナ語で自作の歌を歌っていたところ、36歳男性がやってきて歌うのやめろと要求、「てめえみたいな奴がいるせいで今戦争になってんだ」と叫びながらマイクスタンドを倒して立ち去った。青年は逮捕された。ОЖ

ОЖの書きぶりだとウクライナ語で歌ってたことが青年の気に食わなかったみたいだが実際は歌の内容が癇に障ったのかもしれないし、詳細不明なのでなんとも。だが市民社会がウクライナ愛国一色でないのは事実と思う。

ミスコン

ポーランドでMiss Supranational-2022なるミスコンが行われウクライナ代表としてオデッサ娘ディアナ・ミロネンコが出場。途中、参加69女性が青黄二色の衣装をまとって登壇しウクライナへの連帯を示す一幕があったということだ。んでディアナさんが巨大なウクライナ国旗を掲げた。ОЖ

本イベントにはロシア代表は参加しなかった。ウクライナ侵攻への抗議の意味でロシアの参加は拒否されたそうだ。何丘マニフェスト的に言えば、ただロシア人であることを理由に参加を拒否するというのはよくなかった。だが仮にロシア代表が参加していたとして、その一人に配慮して、参加全女性によるウクライナ支持のパフォーマンスは差し控えねばならなかったか。どうであろう。むしろ、まさに①ロシアを排除せず②しかもウクライナへの連帯を示すパフォーマンスはきっちり行う、というのが何丘マニフェストの精神ということになるか。ロシア代表の女性にはいささか居心地の悪い思いをさせてしまうが、「せめて少しのdiscomfortは感じてほしい」ということで、正当化されるか。どうであろう・・

ヴェネツィア

ヴェネツィアで年に1度のFesta del Redentoreなる祭があって、16世紀のペスト克服を祝うものだそうなのだが、あわせて行われた花火大会の中で、夜空にODESSAの文字が描かれた。ОЖ

オデッサのあとにヴェネツィアと出て、そのあとに「平和」と文字が出たのだそうだ。なんでオデッサ?と思ったら、なんとオデッサとヴェネツィアはこの5月に姉妹都市協定を結んでいたのだそうだ。そのニュース見落としていた。頼りになりませんね何丘とかいう奴。

7月16日(1発)

16日午前オデッサ市内某所にミサイル1発、工場が被弾して火災、負傷者1名。TУП

今回は敵戦略爆撃機がスタヴローポリあたりから撃ってきたものだそうだ。オデッサへの攻撃は①沖の船団から②クリミア沿岸から③カスピ海あたりの航空機から行われてきたが、ウクライナ軍が蛇島を奪い返してからは①が減って③が増えた。

同日夕方にもカスピ海から広い範囲にミサイルが飛ばされほぼウクライナ全土で空襲警報、4発撃ち落としたが残り複数発がウクライナ中央部に着弾。УП

コラム(何丘ぼやき)
晴れの日曜の朝のニュース巡回はしんどい。このマラソンのいつ終わるとも知れなさに改めて深い疲労を覚える。わが住まう三多摩は飛行機がよく飛ぶ。戦略爆撃機の話をしながらその上空で轟音。平和の翼。ね、これ平和の翼ですよね。Українська Мрія.
ベランダで月を見ていたら西の空が燃えていて何かと思うと遠くで花火が行われていた。その日は雲が多く、また周囲の建物に遮られて低い花火は見えぬので、花火をというよりはその雲への反映を見ていた。いやーな感じがした。キエフ爆撃の映像が重なった。

この誰にも求められていない営み(戦争ブログ更新)によって自分は明らかに心の傷を深めていると思う。こんな無意味なこともない。忘れたくない、のだそうだ。感じなくなることは簡単だ、ウクライナの人たちの苦しみをその百分の一でも感じていたい、のだそうだ。

7月15日(浜の散華pt.3/道路名称の脱ロシア化/ロシア世界の伝道者)

オデッサ州にミサイル3発、うち1発のみ撃ち落とした。負傷者なし。
だが別件で人が死んだ。またぞろ禁止を破って渚に遊んで機雷にふれて、青年の首から上が吹っ飛んだ。浜の散華は3件め。ОЖ

ОЖ「今日のアネクドート」↓

— Слышали, вчера парень на пляже мину нашел?
— Да, слышно было хорошо
聞いたか、昨日男がビーチで機雷を見つけたって?
ああ、よく聞こえたよ

道路名称改定(は時間がかかる見込み)

オデッサ市内の道路のうちロシアにちなんだ(かつオデッサと特段関係のない)名前を冠せられたものを100個ほど改称しましょうという話、このたび歴史学者・郷土史家・言語学者・法律家からなるワーキンググループが結成された。だが色んな方面から色んな要望が届いており、たとえばガガーリン大通り(かつて私もそこに住んだ)を「冬季行軍騎士名称第28個別機械化旅団通り」に変えましょうとかいうのが届いており、かと思えばロシアのミサイルで死亡した子供たちの名前をつけましょうというのもあり、これら種類の異なる要望を逐一検討するに先立ってまず統一した改名規則を設けるべきであり、そう考えると改名は一朝一夕にはいかない、「時間がかかります」とのことだ。ОЖ

オデッサで「ロシア世界」に生きる人

酔っぱらって行きずりの人に絡んで「オデッサはロシアの街だ」などと喚き散らしていた男が逮捕された。電話を調べると例によってロシア国内との通信履歴が見つかった。ОЖ

記事内の動画で音声きくと男はオデッサがロシア語の街(русскоязычный город)であることを強調している。相手の市民(若い男女)は「私たちは何語で喋ったっていいのよ!」と反発している。その通りだ。オデッサはロシア語を話す人々が住むウクライナの街だ。

なぜロシア人は依然としてプーチンを支持しているのか

仏リベラシオン紙にロシア人作家ドミトリー・グルホフスキーのインタビュー。ОЖより孫引きする。ロシア世論分析。

(のちほど更新します)

7月14日(ヴィニツァ/ヘルソン/I ♡)

14日オデッサにはミサイルが飛ばなかった。ヴィニツァには飛んだ。二桁の死者。

ウクライナでロシアのテレビ放送を見る人

オデッサ州のサイバー警察がロシアのテレビ放送の視聴を可能にする機材を違法に販売していた犯罪組織を摘発した由。千人を超える顧客がいたそうだ。「人非人どもは我らが同胞・子供たちを殺しウクライナの街々を破壊し、オデッサ州にミサイルを飛ばし海上封鎖を行いながら、自分たちは『脱ナチ化』を行っているなどとほざく。しかし残念ながら、多くの同胞たちは、露プロパガンダの棘を引き抜くことができない、あるいは、それを望まない」とオデッサ州軍事行政長官。ОЖ

ヴィニツァ

14日朝ヴィニツァ中心部にミサイル(黒海の潜水艦より発射された「カリブル」)、14日夕の中間報告では、市民23人が死亡、64人が病院で治療を受けており、うち34人が重体で、5人は危篤状態という。捜索・救助活動は続いており、なお39人が消息不明ということだ。УП

普段あんまり攻撃されないようなところだ。この攻撃を受けて米大使館は在ウ米国市民に対し改めて即時退避勧告(УП)。追随して日本も今日あたり勧告出すだろう。露側によると標的は「ウクライナ軍が結集していた将校会館(※露はウの軍事施設しか攻撃していません!)」TASS。私が行ったことある場所、友人知人の故郷がまたひとつ黒い連想と結び付けられた。そこから来たと名乗られると言葉に詰まるような場所がまたひとつ。

ヘルソン

ヘルソン州軍事行政長官代行の言うことにゃ、すでに州内44集落がウクライナ軍によって解放されたとのことだ。これが本当だとすれば、反撃とか反転攻勢とかという次元でない、先日ゼレンスキーから軍へその準備をせよと命令が下ったところの南部奪還作戦が、リアルに(長足で)進んでいるということだ。周縁部の敵防備の薄いところではあるのだろうが、にしても44集落。УП

オデッサ周辺情勢

蛇島:善意で明け渡してくれた筈の(そのお陰で穀物危機が緩和されたところの)蛇島にまたぞろロシア軍が攻撃をしかけたらしい。スキゾフレニア? 戦闘機2機で爆撃を試みたが爆弾うまく島に落ちず海にドボンしたということだ。ОЖ

沿ドニ:沿ドニエストル(モルドヴァの東部一帯、事実上のロシアの飛び地)でまたぞろ不穏な動き、との風説が行われているが無根である、「新次の扇動に向けた特段の動きは見られない。オデッサ州の西部に第二の戦線が開かれるなんてことはない」と軍報道官。ОЖ

機雷と思ったらブイだった

オデッサのとあるビーチで波打ち際に怪しき物体がふよふよしているとの通報があり、すわ機雷かと駆けつけたスペシャリストらが調べてみると、漁業用のブイでしたという話。「何しろ時化でいろいろな物体が岸辺に打ち寄せられるもんで」と軍司令部広報。ОЖ

I ♡ ODESSA

オデッサ市内では錨(いかり)を♡に見立てた上図のような意匠がよく見られる。初めて知ったが、これを考案したのは有名なロシア人デザイナーのアルテーミイ・レーベジェフだったらしい。で、レーベジェフは(ウクライナ政権の見るところ)親プーチンの侵略戦争支持者なので、そんな奴が作った観光用ロゴチップなど一切撤廃しては、と某オデッサ市議が発議している。ОЖ

レーベジェフのデザインスタジオはヤンデックスのロゴとかモスクワ地下鉄の路線図とか誰もが知ってるデザインを担った名門で、よく知らんが、日本でいうと佐藤可士和とかそういう感じか。

あとオデッサのオペラ劇場のシンボルマーク(↓)もレーベジェフのとこのらしく、これも廃止してはと同市議。

レーベジェフは人気YouTuber/TVタレントでもある。動画は通例ロシアおよび世界のおもしろニュース紹介&コメントで、1ニュースあたり数秒~数十秒でばさばさ斬ってく。10秒に1回放送禁止用語を放ち、タブーや忖度一切なしって感じの歯切れ良さが痛快。最新の動画はドネツク48時間探訪記、マリウポリの惨状など伝える。

何かの動画で言ってたが世界のたしか全部の国に行ったことがある旅行家・冒険家で、デザイナーの観点から世界で最も素晴らしい国は日本であると言っていた。日本のデザインについてがっつり語った動画もある。そういう人ではあるが、政治的には反欧米の国粋主義者で、私の言葉でいえば露プロパガンダマシーン分散モデルの重要な一翼を担うインフルエンサーだ。ブチャ虐殺は自作自演でありウクライナ諸都市の占領は「解放」であると平然と言い切る。だが一方で、奇特なことに、戦争をはっきり戦争(特殊作戦でなく)と呼ぶ。あらゆる戦争は愚劣であり自分は絶対的に戦争に反対であると言う。ただし、この世には政治と一切関係をもたない「平和な生活者мирный житель」という人々がいて、自分もその一人であると。自分は一切戦争と関係がないし戦争に責任がないし、自分のスタジオもこれまで通り稼働するし、当然自分がロシア語で喋ることもやめないと。そうして自分を局外に置き、一切の責任から超越させておいて、戦争の過酷の中で人々が演じるあれこれをあげつらい嗤いつつ、クレムリンの言葉を拡散している。私はこの人物に悪の魅力を感じるが、平和な生活者などという責任逃れは全く認めない。

7月13日(焼豚/女帝/横浜/トルコ)

未明ミサイル攻撃があり養豚場が破壊されたそうだ。人的犠牲なし(человеческих жертв нет)豚には犠牲があっただろう。着弾後火災が発生、速やかに消し止められる。ОЖОЖ

エカテリーナ二世像撤去?

オデッサ市は1794年にロシア皇帝エカテリーナ二世によって創建されたということになっている。それで「創市の母」を讃える像が市中心部に立っているのだが、そいつを撤去してはどうか、という話が持ち上がっている。2件の請願が各2万5000筆の署名を集め定足数を満たしたため、本件は自動的にゼレンスキー大統領に送られ、その検討にかけられる。ОЖ

請願の一件めは、エカテリーナ大帝はクリミアタタールの民を虐殺しウクライナの地に農奴制を導入して自由なウクライナ人を奴隷状態に貶めた独裁者・殺人者であって、そんなやつの像が独立ウクライナに立っていること&その維持のために百万単位のお金を使うのは非合理だとする。

請願二件めはそのパロディで、女帝像を撤去してそのあとにゲイポルノ俳優ビリー・ヘリントンの像をブッ立てましょうというもの。ポーズはバーカウンターでビール瓶を手にしたビリーという「古典的な表象」を用いたい(とのことだが画像検索するのが怖い)。新しい銅像はウクライナがLGBTフレンドリーであることを示すシグナルになる。観光名所にもなるし、ポップカルチャーの発展が促進されるし、いいことづくめ。……とのことだ。本件も2万5000人分の署名を集めた。

後者は露プロパガンダにはウクライナを嘲笑するための好個の材料である。歴代皇帝の中でも人気の高いE女帝を引き倒して、こともあろうにゲイ男優の像を立てるとは。それほどまでにキエフの麻薬中毒者・変態性欲者どもの政権下で人心は腐敗してるのだ(守ってやらなくちゃならない、洗脳を解いてやらなくちゃならない、正しい価値観を再度植え付けてあげなくちゃならない)……

ロシア人が所有するホテルを差し押さえ

最終受益者がロシア人であるオデッサ中心部のホテルが複数差し押さえられた。ОЖ。いつもその傍を通ってたホテルのこと、そうかロシア人のホテルだったのか(そらそういうこともあるだろう)と今さらながらに知る。

アホな私にはグローバル企業がロシア市場から撤退することの正義はよくわからない(マクドナルド、コカ・コーラ、IKEA・・最近はLEGOが撤退を発表した)が、ロシア資本がウクライナから引き揚げるべき理由は納得できる。単純に、ウクライナ人から巻き上げた金でウクライナにミサイルを飛ばすというのはおかしい。むしろウクライナにもたらされた何十兆円に上るともしれない損失は、最後の1円に至るまでロシアが賠償するべきで、そのためにロシアが最貧国にまで落ちぶれてもやむなし……なぞというとき、私は自らのマニフェストに反しているだろうか。

夏の行楽シーズンのクリミアは

クリミア共和国の首長が発表したところによると、6月クリミアを訪れた人は前年同月比4割減(コロナ前の19年6月と比べると僅か12%)の81万5000人だそうだ。「来年はヘルソンやザパロージエも(ロシアの海浜リゾートとして)オープンするはずのでクリミアにおける観光客の流れも変わるであろう」と露帝傀儡。УП

横浜から浄水装置が届いた

姉妹都市である横浜から浄水装置33ユニットが届いた。駐ウクライナ日本大使はじめ横浜市やJICA(国際協力機構)の代表者から成る使節がオデッサを訪れ副市長らと懇談。オデッサからは感謝の言葉、日本側は今後も支援を継続することを強調したとのことだ。T

この話題で前から疑問なのは、なんで他ならぬ横浜市が、他ならぬ浄水装置を送るのか。一般に、誰が何の支援をするかというのはどうやって決まるのだろう?(邪推は可能だが、せっかくの支援に水をさすことになるのでよしとく)

穀物輸送の問題に進展か

オデッサ港に貯えられた大量の穀物が輸出できずに世界食糧危機が引き起こされかねない問題について、トルコで四者協議(ウクライナ・ロシア・トルコ・国連)が開かれ、そこで「重大な前進」があったということだ。合意締結には至らなかったもののそれに向けた作業を行うことについて合意を見たとのこと(УП)。別伝では、国連の監督のもと黒海航路の安全のための合同監視・調整センターをイスタンブールに開くことについて当事者間で合意が得られたとのことだ(УП)。

この種の話題でいつも疑問に思うのは、こういう仲介役となる第三国というのはどうやって決まるのだろう。今回で言えば、たしかにトルコは適任に見えるし有難いことなのだが、言ってしまえば、あえて引き受けなくてもよい苦労だったではないか。そこをあえて買って出るのは、外部からの圧力なのか、内部からの突き上げなのか、何がしか相応の利益を見越してのことなのか。また翻って、このような形で日本が国際紛争の調停役を買って出ることってある/あった?

今日の動画(とある中庭)

Одесса 13 июля 2022. Двор, где прошло мое детство. Тётя Элла, дядя Игорь и Капитанша с попугаем.

例のチャンネル。長尺だが、飛ばし飛ばし画だけ見ていってほしい。観光ガイドには載らないがオデッサは中庭(дворик/courtyard)めぐりが楽しい。今回の動画で映されてるのは珍しい3連中庭で、私らも入ったことある。それこそエカテリーナ女帝像の立つエカテリーナ広場にほど近いところだ。中庭には必ず猫がいる、暇そうな婆さんとか爺さんがいることもある、騒がなければ本当に普通に入ってよい。半公共空間、パリのパサージュかオデッサの中庭かというところ。(オデッサにはパサージュもあるので総合点でオデッサの勝ち)

ロシア語わかる人は喋ってる内容のほうも聞いてみてほしい、生え抜きのオデッサ人が語る昔語り非常に興味深い。ソ連末期のコムナルカ(一住戸を簡易的に分割して複数世帯で住む)、若いめちゃくちゃ可愛い女の子と二人で暮らしてたユダヤのおっさんの話、友達の家までの道のりをショートカットするために中庭の一番奥から高い塀を乗り越え屋根伝いに歩いて行った話。

7月12日(何丘@疲労)

12日オデッサに対してミサイルは飛んでこなかった。ギリシャの外務大臣がオデッサを訪れてオデッサ旧市街世界遺産登録への支持を示した。ОЖ

隣のニコラエフに対してはそのさらに隣のヘルソン(ロシアが占領)からミサイルが、弾痕の数から察するに24発撃ち込まれ、複数の集合住宅が全壊もしくは損傷、学校や病院も損壊とのこと。12人が重軽傷。УП

14年に無血で明け渡したクリミアから今オデッサへミサイルが飛んでいる。またクリミアなしにロシアはドニエプル左岸を攻略することができたか。いまヘルソンががロシアの手に落ちてみれば、そのヘルソンからニコラエフへミサイルが飛ぶ。ニコラエフが陥ちればニコラエフからオデッサにミサイルが飛ぶであろう。(なおオデッサが陥ちればウクライナは海への出口を完全に失い、ロシアの支配地域は沿ドニとつながる)

11日の攻撃の詳細

11日の攻撃も(1日の凶弾で22人の命を奪ったのと同じ)オデッサ州ベルゴロド・ドニエストロフスキー地区に対するものだったそうだ。家屋や港湾施設に被害、ただ死傷者はなし。ОЖ

ロシア世論調査

全ロシア世論調査センター(ВЦИОМ)が露大統領府の注文で行った非公開調査の結果をMeduzaが入手、それによると、全回答者の3割が「ウクライナにおける戦闘行為」は可能な限り早く停止するべきだと考えている。そうした立場の人は若い世代ほど多く、またTVよりネットを見ている層に多い。Meduza

18–24歳グループ:戦闘行為停止派56%、続行派19%
25–34歳グループ:停止43%、続行41%
60歳以上グループ:続行72%

インターネットのアクティブユーザー層:停止派47%、続行派35%
TV視聴層:停止22%、続行68%

公開されている中で最新の同センターによる調査(6月分)では「特殊作戦」支持率は、「どちらかというと支持する」72%、「どちらかというと支持しない」17%となっている由。

ВЦИОМとかФОМとかいうのはLevada centerと違って権力からの独立性の低い御用調査機関。その改竄前の生データをMeduzaが入手した、ということかな。

7月11日(ミサイル/ミサイルを招く人)

11日は昼と夕の二次にわたり計9発のミサイルがオデッサ州に飛ばされ、インフラに被害、死傷者なし。苛烈だったのは昼の方の攻撃で、7発のミサイルが撃ち込まれ、大きな爆発と衝撃波で州内某所の家屋や民生インフラ(港湾施設を含む)が損傷。夕方の攻撃では特段の被害なし。ОЖОЖ

いつもそうだが、被害の実相は全然わからない。州内のどこの村の何の施設が食らったのかも明かされない。民間人が死傷または重要な民生施設に被害があればそれは言うはずなので、恐らくは軽微な被害であった、としてよいか。なおロシア側の発表(11日のコナシェンコフ)でもオデッサ州への攻撃に言及なし。

外患援助

オデッサに住む26歳男性がロシアの特務機関との協力関係を暴かれ逮捕された(ОЖ)。ウクライナ軍が沿岸部に展開する対空防衛装備や対艦砲発射装置の位置情報をSNS(テレグラム)を通じて敵に送り、敵のミサイル攻撃を誘致していた疑い。検察庁が一部公開した青年と敵特務機関のテレグラムのやり取りを見て生々しさに引く(ロシア語わかる方、上掲記事内の一連の画像ご覧あれ)。「オデッサはいつロシアの一部になるんです?また、どうやって?」「何か協力できることはありませんか?情報送りましょうか?」「地図に印つけて送ります!」と自ら志願しての対敵協力。

なお、青年のまたひとつの任務はウクライナ南部でこうした対敵協力者のネットワークを組織することであったという。

いろいろ思うところがある。まず、ウクライナ警察はどうやってこの青年を見つけた? よく「ミサイル着弾地の写真を撮ってた奴のスマホ調べてみたらロシア国内との通話記録がありZ系テレグラムチャンネルを多くフォローしていたので御用」とかの話は聞くが、そういうチョンボを犯しただろうか。だがこの自称「ウクライナ警察にとっつかまるほど馬鹿じゃない」青年が、たとえばスクーターで街を乗り回し、目視のみにて「それらしき」施設の目星をつけ、自宅に帰って地図にピンを立て敵に共有するに徹していたなら、摘発はほぼ無理だったのではないか。そうした場合でもネット検閲で捉えるのか?

あと、敵の諜報機関とやら、青年の協力志願を、簡単に信用しすぎじゃないか? こんな簡単に信じてもらえるなら、逆にウクライナの特務機関が一般市民を装って偽情報を提供し敵ミサイルをムダ撃ちさせられるじゃないか。実際、そうしたことは、どの程度行われている?

青年の相手方が実はロシア特務機関を装ったウクライナ特務機関の釣りアカウントで、こうした方法で対敵協力志願者を釣り上げている可能性もあるか。

7月10日(小休止?/解放/女王/読書)

10日も攻撃なし。ОЖ

オデッサに関しては(事後的に)小休止と認めてよい状態だがゼレンスキーは敵が「作戦上の小休止」をとっているという風説を排撃、「一昼夜に34度も敵機が飛来している。小休止などと口にする全ての人へ:これが答えだ」「ロシアが甚大な損失を被り、本当に小休止が――それも次なる攻撃のためでなく、我らウクライナの母なる大地から逃走するための小休止が――必要となるように、まだまだ多くのことが行わねばならない」УП

南部奪還作戦

ウクライナ国防相が英紙The Timesに語ったところによると、ヘルソンやザパロージエといったウクライナ南部の被占領地の奪還命令が、ゼレンスキー大統領から軍へ下されているそうだ。「西側兵器で武装した百万軍勢を集結させている」「大統領が軍最高指導部に計画策定を命じた。これを受け参謀本部が目標達成のために我々にはこれこれの装備が必要だと申告し、私がパートナー諸国に向け将官どもがこれこれの兵器がこういう理由で必要だと述べておりますと書き送る。しかるのち政治的決定が下される」УП

結局どういう段階なのだろうか。近いかその日は。ウクライナ副首相やヘルソン州第一副長官といった人たちもウクライナ軍がまもなく占領解除を開始し猛烈な戦闘になるので住民たちは避難せよ/シェルターに水や食料を確保せよと警告している。

疑いもなく、解放という言葉を使う権利はロシアでなくウクライナの側にある。だがこれも疑いなく、当該地域の多くの住人は、ロシア軍の支配によって、(当のロシア軍がもたらしたところの)死と破壊の恐怖から、解放されている。今度はウクライナ軍がその束の間の平安の破壊者として立ち現れる。

ウィンブルドン新女王

難しい問題。モスクワ出身のカザフスタン人エレーナ・ルィバーキナ(23)がテニスのウィンブルドン王者になって、勝利後の会見で「ウクライナ戦争をどう思うか」との記者の質問に対し、回答を忌避した。УП

ウィンブルドン今大会はロシアおよびベラルーシの選手の出場を禁止していた。「スポーツにおける勝利がプロパガンダに悪用されないようにするため」。これにつき、ロシアはあなたの勝利を自国の偉大さの喧伝の材料に使うのではないですか、と水を向けられルィバーキナ選手「自分は長くカザフスタン代表としてプレイしている。この後何が起こるかなど自分には分からない、自分にはどうしようもない」。戦争をどう思うか、プーチンを支持するかとの問いには「英語が下手なので何を聞かれてるかわかりませんでした」「私が言えるのはこれだけです:私はカザフスタン代表です。自分の生まれる場所を自分で選んだわけではありません」

同人は自分がカザフスタン代表であることを強調しているが、УПの伝え方は、実質的にはお前ロシア人だろうが、という調子。モスクワ生まれモスクワ育ちであり、2018年までロシア代表としてプレーしていたという事実が指摘され、記事タイトルも「モスクワ出身のウィンブルドン新女王、ウクライナにおける戦争について質問されるも理解できないふり」。実際他の英語の質問には的確に英語で答えていて、この質問だけ回答を忌避したのは明らかではある。

皆さんはどう思われますか。何丘マニフェスト的には、ウィンブルドンはロシア人・ベラルーシ人であることを理由に出場拒否などするべきではなかった。ただし一方で、大会としてロシアの侵略行為を断固非難する旨声明を出し、朱筆大書のスローガンとする。優勝賞金の1割をウクライナへの人道支援に向けるなど設定してもよい。

あわせて、記者会見の場で、選手の政治的立場を問うような質問をすることを、記者に禁ずる。引き換えに選手に対し、プーチン政権やロシア軍の行動を支持するようなシンボルの表示ならびに発言を禁ずる。もしそのようなことをしたら出場資格剥奪。こういう紳士協定を結ばせる。

敵シンパに読書刑

オデッサの裁判所はときどき面白い判決を下す。読書刑というやつで、懲役のかわりに人格矯正に資すると裁判官が判断した図書の読破を受刑者に強いる。極めてソフトで文化的な刑罰で、戦時下でもそれやるんだと驚いた。ええと、3月某日、動物園職員が勤務時間中にSNS(ウクライナでそもそもBANされてるОдноклассники)で次のように呟いた。

奮起せよオデッサ!麻薬中毒者どもの巣窟たるナチス・キエフ政権という名のヒドラを廃滅せよ!オデッサはノヴォロシアだ!我らの解放のために自らの命を挺する我らが兵士たちにともに感謝を捧げようではないか!ロシアの兵士よ、オデッサは君を待つ、君のために祈る!

これで同人がくらったのは、5年の自由剥奪刑・執行猶予3年つき。猶予中の義務として課されたのがウクライナ人作家の指定図書を3冊読破すること。何の本かは全然知らんが I. バグリャノイ『虎猟』V. バルカ『黄公』U.サムチュク『マリヤ』、受刑者を感化し更生させ再犯を防止するに力ある3冊だそうだ。ОЖ

同じことがお隣の国で行われていたらどうなっていたか。ご参考(NHK)↓

何丘ブログがウクライナ戦争について本邦一般報道の伝えない側面を照射し得ている、知見を授かった・思考を触発された、これの著者の労力は多少評価に値する・多少報われてもよい……と思われる方、投げ銭くださると嬉しいです。

思い切ってお金の話をしてみます。7月の目標金額は12万円です。現在(7/11昼)時点で2070円。

何丘が本記事を更新する一日分(平均3時間ほどかかります)の労力に対し100円投げてくれる人が50人いれば1日5000円、30日で15万、システムに1割吸収されて13.5万円。これを心の弱さでさらに下方修正して12万円。このあたりが、この内容に対しては(またこれだけの人が読んでいるのであれば)そのくらいは貰ってもいい、という自己評価額とも合致します。

経過は折々報告します。浅ましいですが、ひとつの試みとして。

何丘に「投げ銭」してみる

7月9日(穀物輸送/柔道/ロシア語教育/浜)

9日、オデッサ州に対しては、珍しくミサイル攻撃が行われなかった。ОЖ

穀物輸送迅速化

蛇島の解放によりオデッサ港の穀物の輸送が高速化する由。ルーマニアのスリナからドナウ河を遡上していくルート。下図でBileとあるのが蛇島。ロシア軍が善意でどいてくれてよかった。その後も島にウクライナが旗を立てたりすると不思議に爆撃をしかけるのだけども。ОЖ

ウクライナ柔道選手ら日本へ(合宿

オデッサで柔道やってる青少年とコーチ陣が日本に渡りひと夏を過ごすのだそうだ。合宿。姉妹都市である横浜市の招きによるもの。「大変な状態のこの国から一時抜け出して日本の柔道家たちと経験を交換し英気を養う絶好の機会」とオデッサ市長。T

ウクライナでロシア語教育やっぱり行われる?

9月からの新年度、公立学校でロシア語・ロシア文学という科目は一掃される由だが、例外もあるようだ。教育担当オンブズマン(大臣格と思しい)セルゲイ・ゴルバチョフ氏談。以下УП記事要旨

・両親が「民族的ロシア人」を自任する場合は子供が学校でロシア語を学べるよう学校側に求めることができる。民族的少数派に属する人々に対しては法的に公立学校で国語(ウクライナ語)と並んで当該少数民族語の教育を受ける権利が保障されている。

・ロシア文学については「戦争が続いているうちはロシア文学にはお休みいただくのがいいだろう。勝利の暁にはこの問題に回帰し、ロシアの作家のどの作品ならばカリキュラムに復帰させてもよいか、検討するのもよいだろう」とゴルバチョフ氏。

・同氏は先に「学級の保護者全員が賛成した場合にはカリキュラムに選択科目としてロシア語を含める必要がある」と述べていた。

・開戦以来ジトーミルやニコラエフなど複数の地域でロシア語の授業が取り止められた。

・世論調査では学校の休み時間にウクライナ語で会話すると答えた人は38%に過ぎない。

ニコラエフは隣のオデッサと同じロシア語が圧倒的優勢の地域だが、よくいわれる「今次の大規模侵攻を受けて使用言語をウクライナ語に切り替えた人」の割合は、ニコラエフの方がオデッサよりずっと多いのではと想像する。撃ち込まれたミサイルや砲弾の数に自然に比例するだろう。

УПのこの記事に6月発表されたウクライナのアーティストたちの楽曲が16曲ほど紹介されていて、どーせダサいんでしょと侮ってかかって本当に申し訳なかった。豊穣だった。いくつかとても気にいった。各1分ずつくらいでもひとわたり聴いてみられるとよい。余力あれば別記事でも立ててゆっくり紹介したい(が……)。

動画(海)

お待たせしました、ここから本編です。動画、オデッサのとあるビーチの様子。9日撮影。この季節として人はめちゃめちゃ少ないが、とりま柵から向こうへ人は行かない、水へ入る人は一人もいない、にわかに信じがたいがオデッサ民もついに心を入れ替えたか、と言っている。

Одесса 9 июля 2022. 14 станция Фонтана. Пляж. Обстановка в городе.

7月8日(以後はこちらの動画でお楽しみください)

なんでも白昼2発のミサイルが沿岸部を攻撃しようとしたとかで、幸い海上で爆破して事なきを得たらしいが、「敵が戦術を変更し沿岸部の人口密集地帯にて大量殺傷を行おうとしている可能性も十分にある」ОЖОЖ

渚にはまた河豚が漂着した。離れた場所に一発ずつ計2発。T

敵は雑魚ミサイル下手撃ちの結果意図せず沿岸部やアパートなど攻撃してしまうのか、それとも、諸所で言われてるように、狙って人口密集地を攻撃しているのだろうか。後者はつまり、市民の意図的虐殺。東京大空襲や原爆と同じ、これ以上の犠牲は堪えられないと厭戦気分を瀰漫させ屈辱的講和に追い込む。だが、本気で(всерьез)市民を虐殺するなら、もっと狙える場所がある。オデッサ中心部を無慈悲に叩いてケタ2つ違う死者を出すこともできる。では過誤・錯誤なのか。しかし、もし誤って集合住宅を破壊してしまったのなら(死者は1人増えて22人、ОЖ)、反省のための攻撃中止の期間があってもよかったではないか。実際はその後もオデッサ州へのミサイル攻撃は小止みない。一日として撃たれない日がない。多くはウクライナ軍の方で撃墜できているが、もし撃ち落とせていなかったら、一発あたり数十人が死んでいた……のだろうか。

動画

少し前からちょいちょい紹介してるがこの人のチャンネルでその日その日のオデッサの様子が見られる。何丘ブログなど読まずこれだけ見ていればよい。

↓6日公開、空襲警報発令でショッピングセンターの各テナントが即座に閉まる様子。もちろんクレメチュクの一件で対応が強化されたのだ。

Одесса 6 июля 2022. Торговый центр во время тревоги и прилётов возле Черноморска.

↓8日公開、「お船」という名の海浜レストラン。光と海、青と白、これぞ夏のオデッサって感じ。

Одесса 7 июля 2022. Ресторан Кораблик. Дешевле грибов. Меню и эмоции.

7月7日(ミサイル/善意/本気出してない)

未明および朝にミサイル攻撃。前者では穀物35トンが保管されていた倉庫が破壊された。肥沃な黒土の賜物を「占領地のそれは着服し非占領地のそれは灰にする」のが敵の狙いであると(ОЖ)。後者では侵攻初期にロシア軍の攻撃を受けて無人化し大量のディーゼル燃料を積んだまま近海を彷徨っていたモルドヴァ船籍の商船ミレニアル・スピリット号が被弾し海の一画を赤々と燃やしたそうだ(ОЖ)。

蛇島

ロシア軍を追い出したものの上陸できないでいた蛇島に、7日未明、ウクライナ軍の特殊部隊が電撃上陸、機雷・地雷を避けつつ敵の残した装備に関する情報を収集するなど島の状況を点検し、複数地点にウクライナ国旗を立てて退散、全員無事で帰投した。追ってロシア軍が来て爆撃を行った。TОЖ

ロシア国防省も「今朝ウクライナ軍がモーターボートで蛇島に上陸し旗を立て写真を撮った。即座にロシア航空宇宙軍の航空機が高精度ミサイルで蛇島を攻撃、ウクライナ軍人の一部が殲滅された。生き残った者はオデッサ州プリモルスコエ村方面へ逃走した」とか言っている(TASS)。乾いた笑い:あっはっは。ロシア軍はウクライナ産穀物の海上輸送を妨害する意志がないことを示すために「善意で」島を明け渡した、ということだった。

プ「まだ全然本気出してない」

7日プーチンがロシア議会下院幹部・各会派代表と会談して席上述べたということだ:我々は本式にはまだ何一つ始めてなどいない(Мы, по большому счету, всерьез пока еще ничего не начинали)。TASSУП

「まだ何一つ始まっていない」のだそうだ! いかにこの人間が戦争の「生活の破壊」の側面に盲目であることか。ウクライナ人4400万人の恐怖、不安、涕泣、叫喚、死、住居破壊、家族離散、国内外流亡。これでまだ「何一つ始まっていない」のだそうだ。

セルゲーエフカ

1日未明のミサイル攻撃で被害にあったオデッサ州ベルゴロド・ドニエストロフスキー地区セルゲーエフカ町の9階建てアパートの捜索救助活動が終結したそうだ。21人死亡、39人が負傷、100人超が住居を失った(ОЖ)。我々はまだ何一つ本式には始めていない。「だってまだ我々はキエフに核ミサイルを撃ちこんでいないじゃありませんか!」

本件はオデッサ州としては一度の攻撃による被害として最悪の規模である。民間人の死者数(開戦から通算)はこれで一気に倍加した。

けんか

そのベルゴロド・ドニエストロフスキーで椿事。同地方議会の議場で市長と議長が殴り合いを演じ、その模様を収めた映像が流出、オデッサ州トップより「血が余ってるなら戦場いけ」と強くたしなめられた。ОЖ動画

このどうでもいい話題のうち唯一の何丘的ポイントは市長の名がヴィターリイ・グラジダン(Виталий Граждан)であったことだ。つまり苗字が「市民」。「市民ヴィターリイ」。ちなみに議長の方は「粉引のグリゴーリイ」(Григорий Мельниченко)で、粉引(мельник)系は珍しくない。

⇒過去記事「ロシア人の名前の読み方」「ロシアvsウクライナ珍名五輪

ジョンソン乙

英ジョンソン首相辞任。直前に同人を名誉市民に祭り上げていたオデッサとしてはちょっとバツが悪い。(7/1の項)

7月6日(無事/逝ってよし記念硬貨)

6日オデッサは、未明と白昼ミサイル攻撃を受けるも無事撃滅して被害なし。ОЖОЖ

徴兵適格者の州境またぎ移動「OK」

昨日の続き。軍指導部とゼレンスキーが話して、移動やはりOKということになった。つまり、「徴兵適格の男性が住民登録地から出る場合には軍事委員会の許可を得る必要がある」との説は、否定された。30年前の法律は人の往来が活発になった今の時代に適合していないため無効であると。ゼレンスキー「自分と軍の間にあったことは誤解の名にも当たらない。ロシアの脅威を前に私たちが示している大いなる団結と比べれば、ほんの些細な過ちというに過ぎない。些事である、何ほどのことでもない」ОЖУП

オデッサの蛇島がアメリカで記念硬貨に

ホワイトハウスのおみやげショップもしくはオンラインで買えるらし。9月末発売、予約可。価格は1万円。売上の2割はウクライナの女性・子供の支援に。NATO諸国とウクライナからの注文については送料無料(!?)ОЖ

Russian warship go fuck yourselfというのは2月24日の侵攻開始直後にウクライナの島である蛇島にロシア軍が来て無線で「こちらロシアの軍船、ウクライナの国境警備隊よ投降せよ、さもないと」と警告したところ、国境警備隊は「ロシアの軍船行って自分をファックしてこい(Русский военный корабль, иди нахуй)」と端的に回答し、その会話の音声記録が流出して、強大な敵を前にしてのウクライナ人の気骨と豪胆を示すものとして大流行した。蛇島は結局ロシア軍に占拠され、長らくロシア軍の黒海北岸攻撃の拠点となっていたが、このほど解放された。その間同島沖でロシアの巡洋艦「モスクワ」が轟沈するという一幕もあり(予言の成就)、左の硬貨に描かれてるのはそれ。

アメリカが記念硬貨を出すだいぶ前に本国ウクライナでは異工同曲の記念切手が作られている。前の記事で「記念切手」とか「逝ってよし」と検索すると関連情報いろいろ見つかる。

7月5日(浜/露プロと文セクと何マニ)

5日オデッサ州に3発ミサイルが発射されたが全弾撃ち落とした(ОЖ)。敵はオデッサ上陸作戦など行える状態になく(ОЖ)さしあたり恐れるべきは陸海空からのミサイル攻撃のみ。

浜①ビーチ開放「しません」

浜は地雷原・渚は機雷原だから水浴するなと厳重に勧告されながらそれでも人民の浜降りが止まらぬので「いっそ一部ビーチを重点掃海のうえ開放しては」という話が当局の方で持ち上がったが、やはり安全の観点から、今夏ビーチの開放は無しということでファイナルアンサーだそうだ。ОЖ

浜②浜降りる人民

Once again, 人民の浜降りが止まらない。はなはだしきは子供を伴ってくる。柵もネットも効果なし。ОЖ

動画↓

(言いたくないが)この夏もう何人か死ぬであろう。

浜③浜セのふたり

約1月前にビーチクラブで衆人環視下情事に耽り御用となった男女(ベラルーシ男とキエフ女)に判決。ともに1年の執行猶予付きで、男は1年半、女は1年の自由剥奪刑だそうだ。ОЖ

詳しく知りたい方→前の記事の6/12・13・15付け記述

移動の自由の制限?

ウクライナ軍参謀本部が「徴兵適格の男性が現住自治体の外へ出る際は軍事委員会から許可を得る必要がある」との声明を出して波紋を呼んでいる。現状でも軍事委員会の窓口は長蛇の列で、実質的にかなり強度の移動の自由の制限となる(憲法違反の疑い)。たとえば戦場から妻子を連れだすためにパパ氏が車を出すという場合にも許可を求めて数日待たねばならぬのか。緊急性が高ければ・また懐に余裕があれば例によって袖の下で割り込みをする人も続出しようし「汚職の温床になるだけだ」という声も。軍当局は実はこのことは92年発効の法に明記されており何も新しい決まりごとではない、という。しかしゼレンスキー御大は「こんなことを私ぬきで決めないでほしい。参謀本部には説明を求める」とお冠。なんかいろいろグダグダな話であるが、とりあえず今ホットな話題、今日(6日)にも追報あるであろう。УПBOTTAK

露プロパガンダにおける文化セクションの役割

「露プロパガンダの広大なネットワーク」と題するУП論説が何丘マニフェストには冷や水であった。

男子フィギュアのレジェンド、エヴゲーニイ・プリュシェンコの「ロシア人よ胸を張れ」に代表される、文化人・アーティスト・スポーツ選手による翼賛的言説が、いかに国営メディアのプロパガンダを補完しているか。「テレビを見ている中高年層が最も強くプロパガンダの影響下にありネット世代の若者は反戦リベラルが多い」みたいな単純な図式的理解にまた冷や水。ネット、SNS、サブカル、スポーツ、あらゆる界隈にシンパサイザーがいて、国営プロパガンダを自らのファン層向けに勝手に局所最適化して喧伝してくれる。中央集権的というイメージを覆す、分散的なプロパガンダマシーン像である。

ではさて、このプロパガンダの衛星たち=文化従事者たち、この人たちは、例の「国家を憎んで文化を愛せ」の、どちらの側に属するだろうか。ほれ何丘とかいう奴が「ロシアからプーチンを除いた残余(を愛せ)」とか言っている、その「プーチン」の中には、たとえばプリュシェンコも含まれるだろうか。プリュシェンコもやはりプーチンとともに「ロシア」から引き去られねばならないか。なんだその妙な算数は。

もっと実践的な問い。エルミタージュの館長が「諸外国で我々の展覧会が開催されている。これはまさに、強力な文化的『侵攻』である。お望みなら、一種の『特殊作戦』であると言ってもいい。大向こうには嫌われる。それでも我々は侵攻するのだ。誰にも我々の侵攻の邪魔はさせない」などと発言するとき(Meduza)、たとえば日本でエルミタージュ展が予定されていたとして、その展覧会の開催を支持すべきだろうか。入場口には後援となった在日本ロシア大使館の一読鼻白む祝辞が掲示されている。私たちのチケット代のいくばくかは実質的にウクライナにミサイルを飛ばす費用に使われる。

といって私たちが「館長発言に抗議する」とかいってエルミタージュを拒んだら(さっきから仮定の話をしていますが)、それがかえって敵に塩を送ることとなる。なんて暗愚な(тупые)奴ら、ロシアが嫌いだからって、文化に罪はないのに、展覧会の開催をドタキャンするなんて(トゥポすぎる)……と、本当は私たちが使いたかった「文化に罪はない」を先に向こうに使われてしまう。

何丘マニフェストのアイデアは、「戦争否定とロシア文化肯定をセットで表明する」というものだった。この二つはセットではあるが同時ではない。侵略戦争およびそれを行う主体に対する絶対的な憎悪「にもかかわらず」ロシア語・ロシア文化を愛する、この「にもかかわらず」の前後は入れ替え可能ではない。戦争のエサになるような文化事業は支持するべきではない。だが、何がどこまでそうであるか、見極めることは困難だ。坊主から袈裟を剥ぐほど容易なことではない。

(尻切れとんぼだが、ここでいったん終わる。この問題にはまた何度でも還ってくる)

7月4日(無事/児戯)

オデッサ州軍政長官:4日オデッサは無事だった。ただし、陸海空(クリミア/海上の敵船団/戦略ミサイル爆撃機)のどこからミサイルが飛んでくるか分からない。とはいえ一つ現状で排除されているシナリオは、敵の陸上部隊のオデッサ侵攻である。ニコラエフがしっかり守ってくれている。ヘルソンに対しては奪還攻勢がかけられている。今年……とはいかなくても、来夏こそは、またヘルソンのうまいスイカが食えるであろう。ОЖ

あと、オデッサ州ベルゴロド・ドニエストロフスキー地区(大量死をもたらした1日未明のミサイル攻撃の標的)で敵方に情報を供与してミサイルの誘導を行っていたオデッサ州住人こと敵エージェントが逮捕された由。この戦争のひとつの特徴ではないか。同じ顔をし同じ言葉を話すZの間諜が人中に紛れ込んでいる。

嫌がらせ合戦

下らない話だと思うが。モスクワの英国大使館前の広場が「ルガンスク人民共和国広場」に改称されるそうだ。先にすでに在モスクワ米国大使館前は「ドネツク人民共和国広場」に改称されている。実は先に仕掛けたのは西側だそうで、在プラハおよび在ヴィリニュス(※リトアニア)のロシア大使館の住所が「ウクライナの英雄たち」通りになり、在リガ(ラトヴィア)ロシア大使館の住所が「ウクライナの独立」通りになった。子供のケンカ。現実に行われている破壊と殺人とは何の関係もない。Meduza

нет войне

昨日は繰り返しこれ見てただただ泣いていた。

7月3日(浜/蛇島/世界遺産)

3日また州内某所にミサイルが撃ち込まれたが今度は特段の被害なし。要は、(結果として)平和な日であった。ОЖ

浜(続)

昨日の浜の爆死について、浜で遊んでいたのは「領土防衛隊の戦士たちであった」という報道が一部メディアでなされているらしい。軍部はこれを否定、かかる情報は軍の信頼性を損ねるもので、メディア各社には是正を求める、とした(ОЖ)。なるほどな、あり得る話と思う。事実そうであったとしても軍としてはもちろん火消しに走るだろうし、戦時下のウクライナに無論報道の自由はないので揉み消される。

で、まだ公式アナウンスはないのだが、一部ビーチにはこういう(↑)ネットとか柵が設置され始めているらしい(ОЖ)。初めからやっとけよという感じがするが。「2022年・戦時下の夏、当局による禁止も、機雷の爆発による水浴者の死の先例も、バカンス客の海水浴を止められない(Военным летом 2022 года ни запрет, ни примеры гибели купающихся от подрыва на минах не останавливают отдыхающих от того, чтобы искупаться в море)」←ウクライナ戦争の裏面史に刻まれるべき事項。どんだけ海水浴したいんだ、どういうメンタルしてるんだと訝しいが、これは私が埼玉県民で、基本的にこういう文化と無縁で生きてきたからかもしれない。先日家族で江の島を望む片瀬の浜に遊んだのだが、埼玉東京で見るのと全然違う人種がいるなと思った。サーファー。やたらムキムキの男たち。やたら声のでかい女たち。この人たちになら共感できるのかもしれない。

蛇島

「善意」によってウクライナに明け渡した筈の蛇島に対しロシア軍が攻撃を続けているという。にしても「善意」はよく言った。厚顔無恥という語の説明には以後もう困らない。

島はいまグレーゾーンとなっていて、ロシアとウクライナの双方の攻撃を浴びているそうだ。ロシアはこの間この島を本格的な「海上の無線電子機器倉庫」と化すべく大量の設備を運び込んでいた。中には高価かつ機密性の高い装備もある。これを鹵獲されないよう破壊したい。でまたウクライナはウクライナで、破壊に躍起になっているそうだ(何故?)ОЖ

世界遺産

オデッサは年内に世界遺産に登録される、との見通しをウクライナのユネスコ常任代表兼駐フランス大使が示した。何しろイタリアをはじめとする諸国の後押しを受け、登録待ちの諸都市の中で最優先で審議を受けているとのこと。ОЖ

ロシア軍による破壊に対する抑止力のひとつとして登録を急ぐということのようだが、抑止力になぞなるだろうか。彼らに聖なるもの・不可触のものなど何もないではないか。世界遺産なぞより人の住んでいる9階建てのアパートの方がよっぽど攻撃してはならないものではないか。なるほど世界遺産に登録されている文化歴史的価値のある建造物を破壊してしまいましたというのは人聞きが、つまり、国民の覚えが悪い。だがそれもいつもの伝で、ウクライナのナショナリストどもが陋劣に事欠いて世界遺産指定の建物に西側供与の武器弾薬を密蔵していたのでやむなく破壊したとウソつけば済む話だ。

それでも、もちろん、喜ばしいことだ。薄皮一枚の抑止の被膜になればよし、また、戦後のことを考えると、世界遺産ブランドで、たくさんの観光客が外国から訪れる。オデッサを世界遺産に。オデッサに優先審議を。さきたま古墳群、悪いけどちょっと順番を譲って。


(自分用メモ:ノーヴァヤガゼータのドキュメンタリー、2018

7月2日(喪/また爆死)

1日未明のミサイル攻撃による20名をこえる死者のため2日オデッサは喪に服した。街中に半旗が掲げられた。

その2日はミサイル攻撃を受けなかった。ОЖ

浜の爆死case2

オデッサ州某所のビーチで水浴中の男性が爆死。いまオデッサで最も同情されない死に方。浜は地雷原・波打ち際は機雷原ゆえ水浴言語道断とずーっとずーっと言われているのに大丈夫っしょと水に入る人。男性数人で水浴してたらうちの1人が爆死、またの1人は挫傷&裂傷を負ったが「病院への搬送を拒否した」。廉恥ゆえか。ОЖ

先行ケースであるドネツクからの避難家族の家長が爆死した際(前の記事6/11の項)にはオデッサ州行政当局から同情の声は一言もなく、むしろ「前線で兵士たちは命を削って一体誰のことを守っているのか」と市民の軽率を批判した。ごもっとも、と言う外ない。

7月1日(喪)

7/1未明の攻撃による被害の全容が明らかになった。死者21人。うち1人が12歳の子供。38人が病院に搬送され、うち5人が子供、そのうち2人が重体。ОЖ

攻撃されたのは下図の地点。オデッサ州ベルゴロド・ドニエストロフスキー地区のセルゲーエフカ町。

9階建てのアパートと海辺の保養施設が被弾した。前者にはその晩150-160人がいた。瓦礫の中からペットの遺体も多く見つかり、その大半がネコだそうだ。ОЖ

ロシア国防省はオデッサのレーダー基地を破壊したとだけ(TASS)。ペスコフとかいう機械人形はオデッサ州でアパートが攻撃されたとの報道について「ロシア軍は民生施設は攻撃しません攻撃するのは軍事施設だけです」と繰り返すのみ(TASS)。それでは足りぬと思ったか露国防省、キエフ政権はオデッサにて今後も自作自演の「悲劇」を演じようとしており間もなく世界はオデッサを舞台にしたさらなる「ロシアの蛮行」を目にするであろうがそれはフェイクですので要注意!と注意勧告どうも(TASS)。

実際には、オデッサへのミサイル攻撃はいったん止むのではないかと思う。てめぇのミサイルが本当は何に命中してしまったのか、司令部は分かっていると思うので。

ボルシチ

ボルシチがユネスコの無形世界遺産に緊急登録されたらしい。「ウクライナ料理」として。ОЖ

個人的にはボルシチがロシア料理かウクライナ料理かみたいな論争に興味はない。何丘マニフェスト的にいえば「ボルシチはロシアより/ウクライナより偉きい」。ただ、世界遺産といえば、今オデッサが旧市街の文化遺産登録を目指しているではないか。今次のボルシチは「ロシアによる軍事侵攻で存続が脅かされて」おり「緊急に保護する必要がある」ということで、審議を大幅に前倒ししての登録だそう(NHK)。ならオデッサも近々いくか? 正直ボルシチより、オデッサ市街の歴史建造物群の方が、リアルに存続を脅かされていると思うが。

ところでОЖは「あなたの家庭のボルシチレシピ教えてください」キャンペーンをやっていた。私たちがОЖをまだ紙で読んでいた頃から。こちらのページで人気レシピ見られます。露語またはウクライナ語だがGoogle翻訳とかで分かると思う(多分)。

※буряк=свёкла、ビーツ

英首相がオデッサ市の名誉市民に

欧州でも突出してロシア批判・ウクライナ支援に積極的な英国のジョンソン首相がオデッサの名誉市民になった(ОЖ)。オデッサ名誉市民一覧(Wikipedia)見ると帝政時代・ソ連時代・現代ウクライナを通じ56人の中で「父称のないやつ」は際立っている。

6月30日(悪魔的攻撃/蛇島解放/ビーチ事情)

オデッサに対するミサイル攻撃が非人道性を増している。7/1未明の一発で9階建てアパートが被弾し少なくとも14人が死亡という。オデッサとしては開戦以来最悪の被害となる。ほぼ同時に攻撃されたオデッサ州内の臨海休養施設では3人が死亡、うち1人が子供。詳報を待つ。УПУП

蛇島解放

オデッサへの攻撃がより悪魔的になっているのは、これの報復なのだろうか。蛇島を陥落させた。蛇島位置↓

侵攻初日にロシア軍に占拠され、以後拠点として利用されていた蛇島(「ズミイヌィ島」)に対しては、先日来ウクライナ軍の猛攻が仕掛けられており、いろいろ戦果を誇っていたが、まぁ自軍の戦果は誇るよねということで、眉に唾をつけて聞いていた。だがこの6/30、ロシア軍を島から撤退させることに成功したらしい。ロシア側も撤退を事実と認めている(TASS)。かくして「オデッサ州で唯一ロシアに占拠されていた領域が占領者どもから解放された」ОЖ。ゼレンスキーも定例ビデオメッセージで「きょうの言葉は『蛇島』一択。黒海の状況は大きく変わる、敵の行動は大きく制約されることになる」と戦果を寿ぐ(動画)。

ロシア側は撤退をどう説明しているかというと、ロシア軍の海上封鎖のせいでオデッサ港から穀物が輸出できず世界食糧危機が引き起こされかねないと先から言われていたことに結び付けて、「もともと海上封鎖などしていなかったが、していないしする気もないですよとことさら示すために、所期の課題をとりま完結させて、善意で(в качестве шага доброй воли)島を明け渡します」などとうそぶいている。ウクライナ側は「残りの兵器を(鹵獲されないよう)自ら爆発させて高速艇で逃げ出した」と描く。島の様子↓

こんな島中からもうもうと煙が上がっている画をロシアのメディアはもちろん使わないのだろうな。善意(добрая воля)という言葉の寒々しさ。案の定この句はウクライナ側声明・報道でも皮肉をこめて引用・再生産されており、戦中珍言録に残りそうな感じだ。

ここからは素人談義だが、蛇島からロシア軍がいなくなったことで、オデッサはだいぶ安全になるのだと思う。蛇島の役割は基本的に攻撃というより防御であったと理解している。オデッサ州に飛んでくるミサイルは大体クリミアもしくは海上の船団(まれにカスピ海上の戦闘機)から発射されるのであって、蛇島からミサイルが撃ち込まれたみたいな話は聞いたことがない。蛇島が行っていたのは船団への補給とか、島に設置されたレーダーとか地対空ミサイルシステムによって、ウクライナ軍によるロシア船への攻撃を阻止または迎撃することだった。ということは、だ。蛇島を失ったことで、ロシアの船団は脆弱になる。これに乗じてウクライナ軍が海上のロシア船団を叩けば、ロシアのオデッサ攻略は確実に遠のく。と思って喜んでいいでしょうか。

ビーチ

オデッサは黒海北岸を代表するビーチリゾートで本来ならウクライナ全土また外国からもバカンス客がたくさん訪れて浜辺に憩うのだが、戦争が始まってすぐにウクライナ軍が浜辺に地雷を設置、のち海上に蟠踞したロシア軍が機雷を設置、その機雷が時化で繋留を解かれ岸辺に漂着するようにもなって、今年はバカンスのシーズンというものはありません、ビーチは立入禁止ですということになった。戦争百景が一「浜は地雷原」↓

で問題は、けれども夏が来て暑くなり、海が恋しくなって、人たちが禁止を破って浜へ降り、水浴を楽しみだしてしまったということだ。警察がパトロールして「注意」を行うのだが、罰金を徴収できるスキームがなく、注意は注意にとどまる、聞かない人は聞かない。で、次の展開としては、警察のパトロールに軍のリクルーターが同行して、いい若い者を見つけたら即時に召集令状を発行するようになった。

これについて市民や軍部の意見を集めたОЖ記事。前線では人が死に街が破壊され戦士たちが戦っているというのにオデッサたまさか平和であるからといってビーチ行楽にうつつを抜かすとは何事、徴兵適齢で健康なら当然前線に駆り出されるべきという声もあれば、批判的な声も。「むしろ士気の低いやつに軍に入ってほしくない」「そもそも国家防衛の任に就くことがペナルティみたいに理解されること自体おかしい」「半裸の海水浴客に迷彩服の軍人が赤紙を手渡してる画ヅラは敵プロパガンダに格好のエサを与えてしまう(すわ兵員払底!強制徴用!と騒ぎ立てる)」

また、当局の禁止ならびに己が命を軽んじて浜へ降りようとする人があまりに多いので、仕方ないビーチの一部区画を解放する、というオデッサ市のイニシアチヴがあったが、国レベルではこれをこころよく思っていないようで、実現するか不透明。非常事態庁「たとえば漂流機雷をキャッチする防護ネットを設置する案も出てはいるが、決定には至っていない」ОЖ

浜の爆死、浜のエロスについては、前の記事(6/11・12付けあたり)を参照。

大雨

30日、オデッサは大雨だった。某Youtuberが撮った街の様子。

Одесса 30 июня 2022. В городе ливень. Потоп.

冠水がひどいが、別に災害級の雨ということでもないと思う。アスファルトの質が低くて穴ぼこ・ひび割れだらけなのと、道路排水が全然なってないので、ちょっとの雨でも水浸しになる。戦後復興に姉妹都市の横浜市とかにガッツリ入ってもらって、ついでにこのあたりの問題どうにかしてもらいたいと思ってたりする。

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