ウクライナ戦争側面史(オデッサを中心に)

オデッサ/ウクライナ/ロシア

リアルタイムで綴るウクライナ戦争側面史。軍事・政治・経済よりは、社会・文化の変化を中心に。とりわけ筆者がかつて2年半居住したオデッサの情勢について。主として2つの露字メディア――ウクライナ全国メディア「ウクラインスカヤ・プラヴダ」(Украинская Правда、УП)オデッサローカル紙「オデッサライフ」(Одесская Жизнь、ОЖ)の抄訳。

※開戦以来400日の経過を綴った過去記事(1234)の後継。

6月5日

■心理戦①偽プーチン勅語
ウクライナ東部と国境を接するロシアのロストフ・ベルゴロド・ヴォロネジの各州でラジオ放送にて、プーチンの声でプーチンが使いそうな言葉で次のように語られた。「ウクライナ軍が本日朝4時、NATOの装備と米国の賛同を得て、ロシアのクルスク・ベルゴロド・ブリャンスクの各州に侵攻した。わが軍は圧倒的な戦力で侵略者に反撃している。当該3州では既に戒厳令が敷かれた。本日中に国家総動員令もかける。3州市民は安全な場所に退避を。ロシア軍がルーシの大地をナチスウクライナから守る。敵は粉砕される。勝利は我らの手に」。のち露ペスコフ大統領府報道官、当該放送は「フェイクだ」と断定(УП

↓赤枠のベルゴロド州(ひしゃげた埼玉県)を起点にウクライナとの国境に沿って、時計回りにヴォロネジ・ロストフ、同じく反時計回りにクルスク・ブリャンスク。

■心理戦②米「ウクライナは準備万端」
米軍のミリー統合参謀本部議長はウクライナの反転攻勢について「非常によく準備を整えている」と評価、ただし「結果について話すのは尚早」とも(УП
※ウクライナが大統領以下政府・軍高官声明や電波ジャック・偽勅語の発出といったИПСО(情報心理特別作戦)によって敵の軍・体制・市民をビビらせ反攻の物理フェーズのお膳立てをしているのは明らか。これに呼応して、米国をはじめとする西側からも反攻への期待を煽るような声明が相次いでいる。ウクライナ側の意図を汲んだ/ウクライナ側と協調しての援護射撃か。……というような印象をウ露字報道ウォッチャーの自分などは受けているのだが、そう感じさせるような報じ方をしているだけ?(あるいは単に自分が期待に目を曇らせている)

■心理戦③露「反攻はすでに始まったが撃退した」
露国防省発表では4日朝ドネツク・ザポロージエ州境あたりでウクライナ軍が大規模な攻勢を仕掛けたが、これを露軍が撃退したのだそうだ。ウクライナ側は「ロシアの情報作戦に過ぎない。ありもしない反転攻勢について戦果を鼓吹している」と一蹴。ただ、ウクライナ軍が当該地域に攻撃を仕掛け、一部損失を被ったのは事実と見られる。識者によればウクライナ側の目論見はこうした小規模の攻撃を各所で仕掛け、敵の防衛線を引き伸ばすことにある。少なくともウクライナ軍が反攻のために特別に用意した部隊だの兵器だのが使用された形跡は現在のところ見られなく、逆にこれらの使用が確認できれば、それをもって反攻は開始されたものとみなすことが可能だ(Meduza
※さっきの伝でいけば、猛烈な反攻が今日明日にも始まるぞ始まるぞといってなかなか始まらないことで心理的圧力をかけたいウクライナ側の狙いに対して、ロシア側は「すでに始まったが撃退した」と繰り返すことでアンチドートとしている、ということになる。

■ウ「バフムート方面でウクライナ軍が前進中」
ウクライナ国防省「我々は2022年2月24日より国家の防衛を行っている。防衛作戦には反転攻勢も含まれる。ゆえに一部方面で我々が反攻に転ずることもあり得る。その一例として、バフムート方面は今もって軍事行動の中心地であり、そこでウクライナ軍は幅広い前線で前進し、戦果を収めている。我々は高地を占めている。敵は拠点防衛を試みている」「ロシアはバフムート郊外で劣勢になったからこそ『ウクライナの反転攻勢』について情報を出したのだ。なお、南部では局地的意義をもつ戦闘が続いている」УП

やめようか。「側面史」だものな。「オデッサを中心に」だものな。

■オデッサのビーチの安全はロボットが守る
昨夏完全閉鎖されていたオデッサのビーチが今年は一部オープンする(かも)という中で、米国から海底探査用ロボットが届いた。海底から重いものを持ち上げたり爆発物を無害化したりするらしい。別途ドイツからも小型の無人カタマランボートが届いていて、こいつが水面から海底をスキャニングして危険物を見つけるらしい。ОЖ

なお、ビーチ行楽のオフィシャルな解禁を待たず、市民はすでにビーチに出ている。かつて当記事でもまま取り上げたオデッサ日録チャンネル5/24付↓

Одесса 24 мая 2023. «Собачка».Как мне сломали ребра на Собачем пляже.
hh

↓反転攻勢について、またロシアの窮境について、この動画が(いつもながら)大変勉強になった。

ロシア・プーチン氏に遠心力/反転攻勢を有利に“シェーピング作戦”とは【6月5日(月)#報道1930】|TBS NEWS DIG

【note】
・形成作戦(shaping operation)は5月10日に始まり、これが30-40日続くと見られる
・本格攻勢の開始は来週後半~再来週くらい?
・前線(war front)は1200kmだったが明らかにウクライナ軍の支援を受けたロシア人武装勢力の越境攻撃により露ベルゴロド~ブリャンスクまで延伸したものとすると、今や前線は2000kmである。国境警備と占領地防衛は両立できない、大変なジレンマ
・露の報道ではРДКなど一切出てこない、ウクライナがやっているとしかいわない
・戦争は双方向のものであり、仮にウクライナがロシアを攻撃しても国際法違反にはならない
・英(既)供与ストームシャドー:射程300km、貫通力・破壊力に優れる
・米(未)供与ATACMS:射程300km、クラスター式、面で制圧、敵部隊をまるごと殲滅する
・米は遠くない将来ATACMSを供与するであろう。英が道筋をつけ、米がそれに従うという、双方納得済みの一種の職掌分担
・いまウクライナがドローンやストームシャドーでアゾフ海沿岸の港湾部(マリウポリ~ベルジャンスク)を叩いているのは①そこに敵司令部があるから②海路の兵站をくじく
・作戦の後半でストームシャドーによるクリミア橋の破壊も行われるだろう。その破壊は同兵器を供与した英も事実上容認している
・ロシアが総動員令を出さないのは国内混乱という政治的要因もさることながら、いざ人間だけ増やしてもその手に握らせる武器がなく、その口にのりする食糧もない、という物理的要因もある
・ウクライナ軍発表によれば露軍はすでに3800両の戦車を失っており、高性能半導体の払底により月あたりの新規生産力は僅か1両
・食糧不足もばかにならない、食糧は「兵士という兵器を動かすための燃料」、専用・特別なものが必要
・ロシアは攻撃力が枯渇し、今に敵(ウクライナ)の反転攻勢が始まると分かっているのに首都キエフに対してドローンやミサイルを飛ばすという「軍事的には無意味な攻撃」しかできていない
・ナゴルノ・カラバフ紛争(アルメニア・アゼルバイジャン間)の調停を今やEUや米国が担っている
・どの国も「戦争が終わった時に勝った方についていたい」。ロシアの伝統的同盟国も非ロシア連帯を模索中
・堤伸輔氏「潮目が変わった」

こういう良い番組、またYouTubeチャンネルがあるのなら、何丘ブログなんか無用の長物以外の何ものでもない。と分かった上で明日も更新する。

今日取り上げようと思ってやめたやつ
・キエフのシェルター開いてない問題は深刻(УП
・ウクライナはロシア内部にエージェントネットワークを構築し、裏ルートでドローンを提供して、ロシア深部攻撃に使っている(УП
・NYT:ウクライナは反転攻勢を開始したものと見られる、ただしロシアの防衛線は堅牢である(УП

6月4日

■恐怖のビデオメッセージ①ひみつだよ
反転攻勢の始まりについてウ国防省がまた意味深極まりない動画を公開。武装した軍人が次々画面に登場して人差し指を口に当てる。追って「計画は静寂を好む。開始についての宣言はなされない」との文字。で、占領下のクリミアの一部ケーブルテレビチャンネルがジャックされ、この動画が放送されたらしい。こわ。こわ。指摘されるようにロシアに対する心理作戦なのだろう(УПУП

■恐怖のビデオメッセージ②会って話そや
ロシア志願兵団(РДК)と「ロシアに自由を」軍団(ЛСР)がまたしても露ベルゴロド州に侵入しロシア人兵士(複数)を人質にとり、SNSでビデオメッセージを表して州知事との面会を要めた。「グラトコフ(州知事)閣下!きょう6/4は正教会の大祭、トロイツァ=聖三位一体祭だ。我々はロシア人兵卒らを明け渡す用意がある。いわゆる「善意志の発露」というやつだ(露政府の口ぶりを借りるならば)。ただし、引き換えに、あなたと直接面会したい。地域の現況、なかんずく、地域の将来について、また一般にロシアの将来について、話し合いたい。〇〇村の聖堂まで一人で来られたし。武器を持たず、運転手一人を伴って、救急車で。こちらはРДКおよびЛСРの代表者各一名、そして捕虜たちで迎える」УП
当のベルゴロド州知事はやはりSNS上でビデオメッセージを発表してこれに応じた。「卑怯者・ろくでなし・殺人者・ファシストどものメッセージを見た。当該地域では現在РДК掃討作戦が行われている。きゃつらが根絶やしにされることを願っている。基本的にそれ以外の解決はあり得ぬが、唯一連中との交渉に乗り出さざるを得なくなるとすれば、それは連中の手に落ちた捕虜たちが存命である場合だ。だが恐らくもう殺されているだろう(そう言うのは忍びないが)。万一生きているならば、17~18時、××町。安全は保障する」УП

↓赤線内が××町、黄色い道挟んで向こう側の集落が〇〇村

■シェルター閉まってる問題
例のシェルター閉まってる問題で、キエフ市内のシェルターひとまず1000か所を点検したところ、半数が閉まっているor利用に適さずの状態であった。カムィシン戦略産業相(この問題を所管?)はテレグラムに「シェルター開けろ」と題するチャンネルを設け首都市民にシェルターに関するタレコミの募集を開始した(УП)感想:侵攻始まって16か月目にやることではない。

6月3日

■ゼレ「反転攻勢の準備はできている」
ウォールストリートジャーナルのインタビューでゼレンスキー、現時点でウクライナは既に反攻の準備を整えている、と語った。「これを持っていたかったというものはあるが、それを何か月も待つことはできない。我々は成功を固く信じている。どれだけの時間を要するかは分からない」УП

■ゼレ「パトリオットのお陰でロシアは数千万市民を脅迫できなくなった」
同じWSJのインタビューでゼレンスキー、米国製地対空防衛システム「パトリオット」はロシアがウクライナ攻撃に用いるある種のミサイルを撃墜できる唯一無二の兵器だ、と語った。「この戦争の教訓:ロシアによる数千万市民に対する脅迫を阻止することができる兵器は存在するのだ」УП

■国内のシェルター5000か所のうち2割が使用不可
首都がミサイル攻撃を受ける中で頼みの綱のシェルターが閉まっていたせいで市民が死傷した一件(6/1)を受け警察・救急・役人5300人を動員して国内のシェルターの一斉点検が行われている。3日朝時点で4800か所の点検が終わったが、うち252が閉まっており、893が「使用に適さない」状態であった(УП
そんな状態で「空襲警報無視するな、自分の身は自分で守れ」とか言っていたのか。人が死んで初めて動き出すのか。呆れる。
オデッサでも1日付で市内全シェルターの状態を評価するよう市長命令が出たが、8月20日までに報告書をまとめて国家非常事態庁に提出するとのことだ(ОЖ)。それまで一度もオデッサにミサイルだのドローンだの飛んでこないと思ってるのだろうか(※一番最近オデッサがシャヘド攻撃を受けたのは5月29日)

■オデッサの人気ビーチで深刻な水質汚染
オデッサの人気ビーチ「アトラーダ」の海水に見てから明らかに石油とわかる黒ずみ・テカりが見られ、現在汚染の規模の測定が行われている。アトラーダはオデッサ住んでたとき私らの最寄りのビーチで私などは週8で降りていた。戦時中また機雷漂着・ミサイルやドローン飛来のリスクにも関わらずオデッサでビーチ行楽が許可されるかどうか(去年は厳禁だった)の決定は5日以降下されることになっているが、ここへきてこの問題か(УПОЖ

■オデッサでまた発砲
中年男性が集合住宅6階のベランダから空へ向けて4度発砲したとかで逮捕。負傷者なし(ОЖ)。6/1「オデッサで銃撃事件」の項参照

■ウクライナでも女性専用車両を設けてはという議論
大統領あてのオンライン請願で「夜行列車に女性(男性)専用車両を設けてほしい」とのイニシアチヴが所定の数(2万5000筆)の賛同を集めた。「6時間を超える長距離寝台列車には少なくとも一つの女性専用車両(平等のために、男性専用車両も)を設けてほしい。異性と寝台が隣り合うことがよくあり、しばしば執拗な声がけや痴漢行為が発生している。稀には強姦事件さえある」УП
※いくつか注釈する。まず、ウクライナには高速鉄道がない。たとえばオデッサ=キエフは直線距離430kmだが電車だと8時間かけて行くしかなく、たしか昼行便もあった思うが、夜行乗って寝てれば朝つくというのがポピュラーである(ちなみにモスクワ=サンクトペテルブルクは直線距離630kmだがサプサンちゅう特急列車で僅か4時間、これなら昼行できる)。で、寝台列車は庶民はふつう2等(クペー。4人一部屋)ないし3等(プラッツカルタ。ひと車両まるまる仕切りなし)に乗る。たとえば2等において、異性の同室を避けるなどの配慮は、鉄道会社側には皆無である。快適な旅となるかどうかは一にかかって乗客の良心しだい。とはいえ、ふつうは、何事もなく済む。女性が寝間着に着替えるときなどは男性はいったん室外に出るのがマナーである。

6月2日

■夜襲
連夜の襲撃。1→2日の夜も首都ほか各地を多数のミサイルとドローンが襲った。空軍発表によれば巡航ミサイル15発と攻撃ドローン21機が飛来、そのすべてを撃ち落とした(УП)。なおシェルター閉まってる問題については最高司令部会合でゼレンスキーが首都および全国のシェルターの総点検を内相らに厳命した(УП

★以下、いろいろな人がいろいろなことを言う、一言ずつ紹介する★

■ゼレンスキー:反攻は目に視え・触知できるものとなる
「反転攻勢がどのような姿をとるかは言えないがそれが目に見え・感触できる(ロシアに。とりわけ占領地の軍人たちに)ものとなることは確かだ。それが起きればそれが起きていることをあなたも知るだろう。結果として領土の解放は行われるので」УП

■WP:ウクライナ軍は反攻に向けて地雷の除去を始めた
米ワシントンポスト「ロシアと同様ウクライナ自身も前線に沿って数千もの地雷を埋設している。領土解放作戦の進路上の地雷は撤去せねばならないが、爆発させるとロシア側も気付いてしまうので、工兵が夜間こっそり戦場へ出て手作業で撤去している。こうしたことがすでに数週間行われている」УП

■プリゴジン:露軍は地雷によってワグネルのバフムート撤退を阻んでいる
「撤退直前に我々の進路上で不審な活動が行われており、調べてみると対戦車地雷ほか爆発物が10か所以上で発見された。設置したのはロシア軍であり、後方でこんなことをしても敵の抑止には役に立たない。ワグネル軍を迎えるために設置したものと考えられる。捜査を進める」УП

■露プロパガンダ「ウクライナ軍は米供与の軍用イナゴでロシア農業の壊滅を目論んでいる」
RIA「ウクライナ軍は米国の某ラボラトリーから取得した軍用イナゴを飼育・繁殖させている!イナゴは徒歩で格納庫を出てルガンスク州およびロシア本土の作物を攻撃している!」УП

■ポーランド首相:今こそ欧州に100年の平和を樹立する歴史的チャンス
「西側はグルジアやコーカサスにおける一連の出来事・露政権による自国民抑圧・ウクライナ分割計画を看過し、ロシアに武器を販売し続けた。ロシアがウクライナに侵攻してやっと状況が変わった。今こそ、ウクライナが主権と自由を回復し、ポーランドが国境の安全を確立し、欧州がロシア帝国主義の脅威を除かれ世紀の平和を獲得する、歴史的チャンスだ」УП

■パシニャン「アルメニアはロシアの同盟国ではない」ペスコフ「重大な声明」
アルメニアのパシニャン首相「アルメニアはウクライナ紛争においてロシアの同盟国ではない」УП。これにつき露大統領府ペスコフ報道官「留意する。重大な声明だ」「ウクライナ紛争に対するアルメニアのアプローチに一定のニュアンスがあることは承知している。むろんアルメニアとの理念的同盟関係の発展は続けていく」УП

6月1日

■モルドヴァで欧州政治共同体サミット、ゼレンスキーも参加
オデッサからすぐの隣国モルドヴァで1日、欧州政治共同体サミットというものが開かれ、これにゼレンスキーが対面参加した(なんだ、それでオデッサに立ち寄ったわけか)。欧州政治共同体サミットはウクライナ戦争を受けて昨2022年に仏マクロン大統領主導で発足した欧州域内(EU加盟国も非加盟国も含まれる。ロシア・ベラルーシは含まれず)政府間対話の枠組み。第1回は昨年10月プラハ、第2回が今回のモルドヴァ。ゼレンスキーの対面参加は安全上の理由から直前まで明かされなかった(УП
約50か国の首脳を前に登壇したゼレンスキーは「ロシアの侵略に対する3つのステップ」を描いてみせた。第1が「ロシアのテロルからの完全な防護」だとして、戦闘機や地対空防衛システムのさらなる供与を呼び掛け。第2が「ウクライナ以外でもロシアの侵略を認定すること」、これはサミット開催国モルドヴァの東部一帯がここ30年「沿ドニエストル共和国」と称するロシアの飛び地になっていることを指している。そして第3が「ウクライナのNATOおよびEU加盟」。この3段階で欧州はいわばロシアの侵略から浄化される、と(УП

↓沿ドニエストル(臙脂色)

沿ドニエストルはモルドヴァの国土の一部をロシアが不法に占拠しているものであり将来的に同「共和国」はモルドヴァの施政権下に復帰するべきであるというのがウクライナのヴィジョンである。欧州政治共同体サミット閉会後の記者会見でゼレンスキー「沿ドニエストル地域の帰属をめぐる問題について話し合う国際的枠組みとして唯一現存するのが「5+2」というフォーマット(モルドヴァ・沿ドニエストルの両当事者に加え、仲介役としてロシア・ウクライナ・OSCE、オブザーバーとしてEU・米国)だが、侵略国ロシアが仲介役を務める時点でこの枠組みは無効であり、ウクライナ戦勝の暁には全く新しいフォーマットが創設される必要である。その枠組みの中で、当該地域と境界を接し、かつ占領者から領土を奪い返した戦勝国であるウクライナは、間違いなく重要な役割を占めるであろう」(УП
なおウクライナ軍が沿ドニエストルに対して軍事行動を行う可能性については、ゼレンスキーは「モルドヴァ政府からの要請がない限り、ウクライナにはそのようなことをする権利がない」と言明。ウクライナは沿ドニエストルに対する領土的野心を持たず、沿ドニエストルはモルドヴァと統一されるべきだ、と強調した(УП

(沿ドニエストルの帰趨はオデッサの安全保障に直結するので厚めに紹介した。なお、現在のところ、沿ドニエストルはオデッサまたはウクライナに対して軍事的脅威となってはいない。沿ドニエストルにロシア軍部隊は駐留しているがウクライナにとって何か意味があることができるほどの装備・兵力はなく、またロシア本土からの補給も事実上不可能になっている。ロシアとしてはせっかくの支配地域を持ち腐れしている形)

■夜間のミサイル攻撃toキエフ
31→1日の夜、キエフを10発の「イスカンデル」が襲い、全弾撃墜したものの、撃墜片で3人が死亡、うち1人は9歳の子供(УП

■シェルタースキャンダル
その3人はしかし失われずに済んだ命だったかもしれない。昨晩のキエフ空襲では警報が鳴ってから最初の爆発音が鳴るまで6分しかなかった(УП)らしく、その間に人たちは最寄りのシェルターへと急いだわけだが、どうも当てにしていたシェルターが閉まっており、立ち往生しているところへ――時間にして空襲警報発令から4分後に、ミサイルの撃墜片が落ちてきたらしい(死亡した女性の夫が語った、УП)。これを受け外遊先のモルドヴァでゼレンスキー、もしもシェルターが開いていなかったせいで市民が死亡したというのが事実なら「責任は取らせる。決然たる対処をする」(УП)。首都の対応として、まず当該シェルターの管理責任者である役人1人と市民3人が業務上過失致死の疑いで拘束された(УП)ほか、クリチコ市長は「警報が鳴ったら警官を巡回させて市内のシェルターが開いているかどうか確認させる」と発表(УП

■オデッサで銃撃事件
オデッサで1日白昼、市民間で銃撃戦があり、2人が死亡した(УП)。筆者の疑問:どっから銃が。開戦初期に敵侵入に備え市民社会を武装する(警察が有志市民に火器を配布する)動きがあった。その後自主返納が呼びかけられたが、その回収率はいかほど。私は2年半で3回ほど剥き出しの暴力みたいなものとニアミスしたが(ウクライナに2年住んでて怖かった体験3選)、これからはピストルも恐れなければいけないのか?

■バフムート
英Sky Newsが匿名の西側高官の言として伝えたところでは、戦略的に重要でないバフムートという街ひとつ制圧するのに、ロシア軍は少なく見積もって6万人の死傷者を出した(うち3分の1が死亡。УП)。「もう街とは呼べない。灰と廃墟だけが残った。侵略者はバフムートという街を地上から消し去ってしまった」とバフムート市長(それでも行政単位として市は存在し、市長という人がいる。УП)。スィルスキー陸軍司令官「バフムート方面は今静かだがこれはワグネル部隊の撤退に伴う作戦形式の変更が進行しているためで、静穏は一時的なものに過ぎない」УП

【5月あった主なできごと】
・ゼレンスキーの欧州歴訪→サウジアラビア→広島サミット出席
・ロシアがどうやらバフムート制圧を完了し、ワグネルが引き上げを開始
・ルカシェンコ体調不良説
・親ウクライナのロシア人武装勢力がロシア領内へ侵入(→撤退)
・キエフを標的とした連夜のミサイル/ドローン攻撃
・モスクワ周辺へのドローン攻撃
・いよいよ始まるか、大規模反転攻勢?

とはいえ、こうしたことを伝えるのは本分ではない。本記事はリアルタイムで綴るウクライナ戦争「側面史」それも「オデッサを中心に」ということでやっている。
それでいうと、下記の話題などは、わりと面目を果たせたかなと思う。つまり、示唆に富むが、必ずしも日本語でよく紹介されているとはいえない話題を、よく紹介し得ていると思う。

・5月15日付、世論調査「ウクライナ人にとっての『内なる敵』No.1は汚職」。ウクライナ国民は対敵協力者にも増して汚職役人の存在を「脅威」と認識している。折しも三権の長である最高裁長官が収賄容疑で罷免・逮捕されたことが話題となった。
・5月27日付、世論調査「ロシアとの和解は可能か/ロシア国民をどう思う?」。いずれの質問項目でも嫌露と主戦論が主調であることは確認できるが、逆の意見も常にそれなりの厚みを持っている。和平はできても和解は不可能だと考える人、在ロシアまたは在ベラルーシの親類と今も「交流はあるが、戦争や政治に話は避けている」人、いろいろな個人の姿が見えてくる。

ほか、この記事を読んで、何か新たに知った・学んだ・その知ったことには価値があると思ってくれる方、私がやっているこの「側面史を綴る」営為に価値がある/応援に値すると思ってくださる方、下記ボタンより「投げ銭」をお願いします。このブログは個人が身銭を切ってやっている。身銭つうか、身時間つうか。同じ時間で自分じゃなくてもできる労働をして些少のお金を稼ぐこともできた。なにがしか収入につながらないと、自分の(あらゆる)活動は持続的でない。です。

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5月31日

■ゼレンスキー、オデッサへ
ゼレンスキーが新任のオデッサ州知事(オレグ・キペル氏)を連れてオデッサに来て軍・治安機関指導部と会合を持ちオデッサ州の現況――具体的には①ロシアの攻撃によって破壊されたインフラの復旧・安定化②戦時体制下における重要企業の再始動③国内避難者のニーズをいかに満たすか④軍人のリハビリテーション、こういったテーマについて話し合った(УПОЖ
※この今、なんでオデッサに。州知事ひとりの着任にわざわざ付き添うだろうか。③④に着目したい。ウクライナ軍の本格反攻が始まり南部が激戦地となった場合にオデッサの重要な役割の一つがヘルソン・ザポロージエで大量に発生する避難民の受け入れ先となることだ。また、開戦1年3か月、モチベーション維持のために兵士たちにも休暇を与えねばならぬ、オデッサには軍立病院があり海辺には軍の保養施設がある。

■新知事の妻は「ロシア人」
新たにオデッサ州知事に着任したオレグ・キペル氏だが、奥方がロシア国籍者であることが問題視されている。夫人がウクライナ国籍のほかロシア国籍を有していることはつとに知られていたが、キペル氏は23年2月に「ロシアのウクライナ侵攻を受け妻はロシア国籍を放棄した」と証言していた。ところが調べてみると、どうも露内務省サイトの「失効パスポート」一覧の中にキペル夫人の名は見当たらず、同人のロシア旅券は現在も有効であるらしい(ОЖ
※二重国籍者に対しては特に2014年以降ロシア国籍の放棄が勧められたが、密かに棚の奥にロシア旅券を蔵っているという人は少なくないと思われる(私の狭い交友範囲の中にもそういう人はいた)。公人でそれが発覚して問題になるケースもままあり、我らがオデッサ市長ゲンナージイ・トルハーノフも指摘されてやっとロシア国籍を放棄した。新知事夫人については、前知事退任からこの2か月の間に候補者の身元の洗い出しが行われていないはずがないのであるが、よほどそれがザルだったのか、本人じゃなきゃ別にいいじゃんという話なのか。

■ロシアへの越境攻撃を西側は許容するか
ロシア本土への攻撃について西側の声明が相次いだ。米国家安全保障会議カービー報道官「米国はロシア本土への攻撃を支持しない、とりわけ米国製兵器を使用してのそれは。ただし(米国に)与えられ今やウクライナの所有となった装備を使って何をするかはウクライナ自身が決めることだ。何を攻撃し何を攻撃しないかについて米国はウクライナに指図をしない」(УП)。ドイツ首相府報道官「ドイツ政府の立場は『国際法はウクライナが自衛目的で侵略国領土を攻撃することは許容される』というものだ。とはいえドイツ政府は、こうした攻撃にドイツ製兵器が使われることには反対する」(УП)。欧州議会議長ロベルタ・メツォラ氏「ウクライナがモスクワをドローン攻撃したというロシアの非難が事実だったとしても、ウクライナに供与された兵器が潜在的にロシア本土への攻撃に使用される可能性があるとしても、ウクライナ支援の必要性は揺るがない。次の事実を忘れるべきでない:ロシアこそがウクライナに侵略したのだ。ある国が他の国の一部領土を強奪した。ロシアがウクライナから引き揚げない限り、我々はウクライナ支援を止めない」(УП

■戦場の理髪師
美容師・理髪師たちがザポロージエの前線付近を訪れて軍人たちのために青空バーバーショップを開いた。

ある軍人「ヘアスタイルは士気に多大な影響を与える。(髪型がキマっていると)全てにおいて自信が持てる。戦場に行くのも怖くなくなる」別の軍人「今や軍人は皆の注目の的であり、模範となっている。だからこそ『最大限カッコよくある』ことが重要なのだ」。前線ではしばしば髪を切り髭を剃ることもままならない。久しぶりにサッパリできて兵士たちも満足、美容師・理髪師も思わぬ形で戦争に貢献できてハッピー(УП
※ウクライナの男性は短髪を非常に好む。若ハゲも多いので、毛髪量の国際比較というものがもしあれば、とりわけ男性部門で日本はウクライナを圧倒しているだろう。

5月30日

■ドローン攻撃toキエフ
29→30日の夜もキエフに自爆ドローン群が飛来した。空軍発表では31機中29機を撃墜(УП)、撃墜片で住宅が損傷し1人が死亡、4人が負傷(УП)。何しろ今敵は①夜間に②キエフへ③大量のミサイルまたは自爆ドローンを送り込んでくる。

■ドローン攻撃toモスクワ
かと思えば30日、30機ほどのドローンがモスクワに飛来、その全部またはほとんどが撃墜され、住宅等に軽微な損傷をもたらした(УП)。下掲は露独立系メディア「ヴョールストカ」作成の地図(Вёрстка)、青丸は住宅に命中した場所、赤丸は爆発/撃墜/墜落があったとされる場所。黒丸はプーチン別邸。

ロシア側は当然「ウクライナ軍によるテロ」と断定、ウクライナ側は関与を否定。ISWの分析によればプーチンは今次の事象を既にロシア側がウクライナ側に対して行っている攻撃に対する報復であると規定し、逆に今次の事象に対して新たにロシアが限りある攻撃力を費消して報復を行わねばらならない責任を回避した。いわば今次の事象を矮小化した/せざるを得なかった(УП

■反攻(形成作戦)
英フィナンシャルタイムズ紙は今月4日のクレムリン上空でのドローン爆破事件・22日のロシア人パルチザン部隊による露ベルゴロド州への侵入・30日のモスクワ周辺へのドローン大量発生を一列に並べ、これは大規模反攻前にモスクワの思わぬ脆弱性・国境防備の手薄さを剔抉して敵司令部の注意を攪乱する、一種の心理作戦である。象徴的あるいは実質的な意義をもつ一連の攻撃によって自軍の本格攻勢に有利な状況・環境を作り出すこうした行動は「形成作戦」と呼ばれる。「敵の戦意はもともと高くない。よき反攻はよき心理攻撃から」とウクライナ政府高官。また米国の専門家「欺瞞は戦争につきものだが今はSNSがその効力を高めている。ウクライナによるグレーゾーンの攻撃によってロシアはリアルな軍事リソースもさることながら手品師よろしく観客の注意を(思わしくない事象から何か別のものへと)向け変えるための情報作戦を行うリソースも費やさざるを得なくなる」(УП

■反攻(本番)
領土奪還に向けた物理的な進軍がどの方面にどのように行われ得るか。5分の動画で高橋さんが超分かりやすく語っているのでこれを見るにしくはない。メリトポリが本丸、だが大部隊で真っすぐ南下しメリトポリ奪取と見せかけてそれより上流または下流から攻め入ることがあり得る。だが南部と見せかけて東部ということは恐らくないであろう、と。

【ストーム・シャドウへの攻撃?】高橋杉雄 徹底分析 ウクライナ最新戦況【ロシアの意図は】2023/5/30放送

■新オデッサ知事にキエフ市検察長官
オデッサ州軍政当局長官(以下「知事」)職は3月にマルチェンコ前知事が更迭されて以来空位であったが30日の閣議でキエフ市検察長官オレグ・キペル氏のオデッサ州知事就任が決定された(УПОЖ

オレグ・キペル(43)オデッサ州生まれ、長くオデッサ州検察に勤め、大統領府のイェルマーク長官の補佐官を務めたのち、キエフ市検察へ。

■ウクライナ語の強要
よくある話だ。たまにはこういうのも取り上げる。オデッサのとあるコーヒースタンドで男性店員が女性客の求めを無視してロシア語での接客を続け、「オデッサはロシア語の街だ、何語でしゃべったっていいじゃないか、ウクライナは自由な国だろう、違うか?」とのたまい、のちイカツイ系「活動家」氏が当該男性店員を捕まえきて、カメラに向かってウクライナ語でこう言わせた:「すいませんでした、二度と繰り返しません、オデッサはウクライナの街です、オデッサは首尾よくウクライナ語の街へと移行しつつあります、ウクライナに栄光あれ」(ОЖ←記事内に動画)

たしかに2021年に法律で役所・商店等の接客にはウクライナ語を用いることが義務付けられた。この「活動家」もまさか街で聞こえる私的な会話にまでは容喙しないだろう(オデッサ市内の私的会話に占めるロシア語の比率は戦前で9割、今も大半はロシア語と思われる)。にしても、こんなこと言わすなよ。気分が悪い。こういう経験が人をコラボラント(対敵協力者)にしてしまうんだよ。

5月29日

■キエフに大規模ミサイル・ドローン攻撃
28→29日の夜、またしても大規模ミサイル・ドローン攻撃。空軍発表ではミサイル40発中37発、「シャヘド」35機中29機を撃墜した。重要インフラおよび軍事拠点を狙った攻撃で、深刻な被害・死傷者は出ていないという(УП)。首都上空で40以上の目標を撃滅というから標的は主としてキエフか(УП)。キエフに対しては29日午前に第2次(今月通算第16次)のミサイル攻撃があり、弾道・巡行合わせて11発が飛来したが全弾撃ち落とした(УПУП)。参考:キエフ中心部、列をなしてシェルターに避難する途中で爆発音が鳴り響き、叫び声をあげて走り出す子供ら(УП。下記画像クリックでインスタ動画へ)↓

これがウクライナの非ナチ化・非軍事化「特別作戦」とか称してロシアがやっていること。首都上空で夜間に40白昼11の撃墜が行われたということは一昼夜に51回の爆発音をこの子らは聞いたということだ。私らは、この子らのために、想像・共感・怒りを絶やすな。一方で、この動画の撮影者が撮影しながら朝のコーヒーを飲み続けたらしいこと、子供らの叫喚と狂奔を眺めながら笑い声を漏らしていること、も一応認識しておけ。

■ミサイルを写すな・公開するな・拡散するな
撃墜率100%というキエフの対空防衛チームの華々しい成果に舞い上がったか同市のクリチコ市長が撃墜したミサイルの写真をSNSに公開し、それがウクライナ大統領府の批判を浴びることになった。ポドリャク大統領顧問「他人の命を犠牲にしてまでバズりたいのか?全面戦争15か月めにして未だに州・市行政当局者一人一人に『防空装備の仕事ぶり・ミサイルの着弾地・攻撃の標的について写真を撮ったり情報公開してはいけません』と説明して回らなければならないのか?」「戦時とはいえ国家は表現の自由を規制せず、検閲も行っていない。だが公人がその職権上(ex officio)知り得た重大な情報を拡散するなど犯罪に等しい過失である」。またイェルマーク大統領府長官「閲覧数稼ぎたさに防空装備の仕事ぶりを写真や動画で伝える無責任な人たちの存在に驚いている」(УП)。ミサイルの撃墜片の写真などをみだりに公開してはいけないわけは、そうした写真によってロシアはウクライナ側がどの種類の地対空兵器をどのあたりに展開しているかを判別・推測することができるからだとイグナート空軍報道官(УП)。むろん私人に対してもこうしたことは厳しく戒められていて、警察は今回の攻撃の際に防空兵器を撮影していた若い男性2人を拘束、またそうした情報を拡散した人6人の身元を確認した。「沈黙こそは後衛の大事な務め」(УП

■(反攻の)「期限」が切られた
ゼレンスキーによれば、29日の最高司令部会合で、進軍の期限に関して決定が下った(приняты решения о сроках движения войск)。いわく、①全体また各方面の戦況について②新たな攻撃部隊の加入や高速補給の確保について③ミサイル・地対空兵器の追加供給契約や最近の対空防衛・与えた損失の分析・評価、これら重大問題について報告を受け、重大な決定が下された。最重要なのは期限であり、期限には責任が伴うということだ。期限。それこそが最大限に重要なこと。なんの期限か。我々が動きだす期限だ。動くぞ。決定は下された(УП

■ウクライナの戦勝記念日は「5月8日」で決定
ウクライナ最高会議の採決で5月8日をウクライナにおける「ナチズムに対する戦勝および哀悼の日」とし、公休日とすることが決まった。5月9日に対独戦勝記念日を祝うソ連・ロシアからの決別と、もともと5月8日を終戦記念日としている西側への仲間入り(УП

■ウクライナの人口変動
戦争で人口の大量流出が起き青壮年男性の多数が戦場で死亡しているウクライナの人口動態は今どうなってる・今後どうなるか、人口統計学社会研究所のリバノワ所長へのインタビュー記事がУПに(縮約版→УП)。それによると、女性一人当たりの出生数は2021年で1.2人であったところ、2022年は0.9人に減った。2023年はさらに壊滅的なレベル(おそらく0.7人水準)まで出生数が減少する見込み。戦前の死亡率の水準に照らすと、ウクライナの世代再生産(人口維持)のためには女性一人当たり2.15人の出生が必要で、ただでさえ人口は減少傾向にあった。戦後はちょっとしたベビーブームが起きるだろうが、それでも女性一人当たり1.5人、よくて1.6人の水準だろう。
※私が知ってるウクライナ避難民30人ほどの中に単身日本にやってきた若い未婚女性は3人いるがいずれも日本人のカレシを見つけている。われらがジョニーは相変わらずあぶれてるが。恋(発情)するは人の性、「ウクライナ人との混血」が世界的に増大する。もう一つの人口動態。

5月28日

■大規模ドローン攻撃
またしても夜間にドローン攻撃、ただし今回は空前の規模で。だがウクライナの対空防衛網もさるもの、ウクライナ軍参謀本部によれば飛来した「シャヘド」59機中、実に58機を撃墜(УП)。主たる標的は首都キエフ、5時間にわたる防空警報と爆発音・振動でキエフ市民は眠れぬ夜を過ごしたそうだ(УП)。幸いキエフを襲った40機あまりのドローンは全て撃墜に成功(УП)、ただし撃墜片で一人が死亡したほか、住宅や民生インフラに被害が出た(УП)。折しも28日はキエフの創建記念日で、駐ウEU大使は「倒錯的な祝砲」と今次の攻撃を評している(УП

■ドニェプル、死者4人に
26日朝の凶弾で破壊されたドニェプル(ドニプロ)市の病院で捜索・救助活動の結果、不明であった3人の死亡が確認され、死者数は都合4人となった(УП

■オデッサ市に集中豪雨
局所的な大雨でオデッサ旧市街が冠水し目抜き通りのデリバーソフスカヤが「川」になった(ОЖ)。リンク先に動画多数。
オデッサは降水量というよりは街・道路の排水がなってないのが原因でしばしば道路が川になる。

■平和な感じのオデッサ
オデッサ旧市街のドイツ教会(通称キルハ)でサマーマーケットが始まった。グリルした肉や野菜の量り売りとか、あと花とか甘いものとか子供向けのちょっとしたワークショップとか。平和な感じ(ОЖ

■レーベジェフ「オデッサはロシアの街」
アルテーミイ・レーベジェフがインタビューで述べた:オデッサは絶対的にロシアの街である。その創始者はエカテリーナ(女帝)であり、ウクライナ人がそこにいたことはなかった。だがオデッサの人たちはいろいろ吹聴されて狂わされ、人工的な理念のために殺人をもいとわなくなっている(ОЖ
本ブログにも何度か登場してるがレーベジェフ属性①ヤンデックスのロゴやモスクワメトロ路線図をデザインした有力デザイン事務所を率いるデザイナーかつ人気YouTuber……だったが今見たら登録者1230人?一度BANされて4月に再開したくさいが再生回数ふるわない。そうかそうか。②ハート(❤)と錨(⚓)を組み合わせたオデッサのシンボルマークの考案者③プーチンロシアとその戦争を礼賛するプロパガンディスト、明らかな戦犯④作家タチヤーナ・トルスタヤの子、作家アレクセイ・トルストイの曾孫

5月27日

■反転攻勢について
ダニーロフ安全保障会議書記が「ウクライナ軍の領土奪還作戦は既に始まっている」説を否定した。一方で「ウクライナ軍は攻撃の準備ができている」とも。「それは明日かも知れないし明後日かも知れないし、一週間後のことかもしれない。ある事象がいつどの日に始まるかを私が言うのはおかしいだろう。我々は国家に対し非常に責任重大な任務を帯びている。過ちは許されない」(УП)。一方ザルージヌィ総司令官は反攻に向けて士気を鼓舞する動画をSNS上で発表、「自分のものを取り返すときが来た」と記した(УП)。いよいよ、の感。

■脳漿が完全に蒸発してしまっている人の空言
全く取るに足りない話だがたまには取り上げておく。露外務省のガルージン副大臣がタスのインタビューで語った:包括的・公正・堅固な和平の達成のためにウクライナは1990年の国家主権宣言に規定された中立・ブロック外の地位に復帰しNATOおよびEUへの加盟を放棄すべきだ。民族自決権の結果として形成された新たな領土的現実を認めるべきだ。非ナチ化・非脱軍事化。ウクライナ軍が軍事行動を停止するという条件下でのみ正常化は可能となる。これに対しウクライナ大統領府長官イェルマーク「わが領土にロシア軍がいる限りロシアと交渉の余地はない」УП

★世論調査:ウクライナ国民の6~7割が「全土解放まで戦う」「ロシアとの和解は次世代まで不可能」「ロシア人はほぼ全員嫌い」
ラズムコフセンターが4月末~5月頭にかけて行った調査(УП

問い:ロシアとの直接和平交渉を支持するか
回答:支持しない・・63.9%
   支持する・・・23.1%

問い:1991年の国境でなく2022年2月24日時点の境界線(つまりクリミアとドンバスがロシアに奪われた状態)への復帰が和平の条件となった場合にこれを支持するか
回答:支持しない・・66.8%
   支持する・・・17.2%

問い:ロシアとの和解は可能か
回答:不可能。決して・・36.3%
   不可能。現世代の存命中は・・32.2%
   可能。ただし戦争犯罪への裁きと賠償の支払いが終わった暁にのみ・・11.9%
   可能。ただしロシアが改悛した暁にのみ・・5.6%
   可能。軍事行動が終結すればすぐにでも・・4.1%

問い:ロシア国民をどう思う
回答:ロシア国民全員が嫌い・・34.6%
   ロシア国民全員が嫌い、ただし戦争や露政権に積極的に反対している人を除く・・26.1%
   ウクライナに対するロシアの侵略を支持するロシア国民が嫌い・・23.3%
   プーチンその他ロシア国家指導部のみ嫌い・・9.2%
   ロシア国民全員が例外なく好き・・1.9%

問い:ロシアまたはベラルーシにいる親類との関係は大規模侵攻以後どう変化したか
回答:ロシアにもベラルーシにも親類はいない・・53.4%
   口論し、交流が途絶した・・19.6%
   交流はあるが、戦争や政治に話は避けている・・13.8%
   親類はウクライナ側であり、立場を同じくしていえる・・7.1%
   親類はロシアとベラルーシの行為を支持しており自分も彼らの立場に近い、関係に問題はない・・1.2%

5月26日

■ミサイル・ドローン攻撃
25日夜~26日早朝にかけてミサイル17発とカミカゼドローン31機がウクライナを襲い、うち10発・23機のみ撃墜に成功(ウクライナ空軍、УП)。被害が深刻なのは中東部の都市ドニェプル(ドニプロ)で、夜間~昼にかけてのミサイル攻撃で複数の医療機関が被弾、2人死亡・30人負傷(УПУП)。病院への攻撃は明白な国際人道法違反。

■米「ロシア本土への攻撃は支持しない」
米大統領府はロシア本土への攻撃を支持しない旨ウクライナ側に伝えた、と米国家安全保障会議のカービー報道官。「我々は米国製のいかなる装備がロシア本土攻撃に用いられることも望まない」「こうした希望を尊重する旨、ウクライナ側から言質を得た」「(とはいえ)攻撃を受け、侵略にさらされているのはウクライナの方であり、彼らには自衛の権利があるのであって、ウクライナが自らの領土を防衛できることを我々は望んでいる、という立場も明確に伝えた」(УП

■名前の話①「グルジア」か「ジョージア」か(はたまた)
ウクライナはグルジアという国をその正式かつ歴史的名称である「サカルトヴェロ」の名で呼ぼうではないかという話がウクライナ最高会議で出ている。グルジア政府が「グルジア」というロシア的呼称の廃止を国際社会に呼びかけて早や15年、リトアニア、イスラエル、韓国、日本といった国がこれに従ったが、旧ソ連諸国を中心とした20か国が今も「グルジア」で通している。ところで、上記改称国のうち、2021年より「サカルトヴェロ」呼称をとっているリトアニア以外の国は、かの国を「ジョージア」と呼んでいる。しかし「ジョージア」は帝国主義的呼称である「グルジア」の単なる翻訳に過ぎない。ウ・グ二国間関係のさらなる深化のために、我々も「サカルトヴェロ」の呼称をとってはどうか(УП
※筆者(何丘)は世の風潮に逆らって長らくグルジア呼びを通してきた。理由は上に述べられている。まるこ呼びは屈辱だからまるおと呼んでくれませんかと言われたってクラスに丸尾は他に存在しているしそもそもお前の本当の名はももこじゃねえかというわけである。だがウクライナが本当にサカルトヴェロ呼びを始めたら、僕も考えないといけなくなる。かも。ももこがももこと呼んでほしいというならももこと呼ぶのにやぶさかではな……い。が、「ももこ(まるこ)」と併記する形にはどうしたってなるだろう。

■名前の話②オデッサについに「ヨコハマ通り」出現か
この種の話をするときつい言い落とすのだが大前提、欧州(含むウクライナ、ロシア)は原則的に横丁一本に至るまで全ての道に名前がついている。で、2014年以降とりわけ今次の全面戦争始まってから、道路名称の中でソ連・ロシアにちなむものをウクライナ・欧州にちなむものに改称する動きが全国的に加速していて、オデッサもその例外ではない。レーニン通りとかモスクワ広場みたいな明らかなやつはとっくに一掃されて、今はより地味なやつがしらみつぶしにされてる感じ。さて本題:オデッサ市ペレスィプ(旧スヴォーロフ)地区のボチャロフ通りをヨコハマ通りに改称しようという話が市議会で出ている。まだ決定ではない。現行のボチャロフ通りはソ連軍人レオニード・ボチャロフ(1909-1964、1941年の対独オデッサ防衛戦における沿海軍政治部長官)の名にちなむ。ボチャロフ通りはオデッサで最も人口密度が高いエリア(わが義父母もそこに住む)の幹線道路の一つで、これがヨコハマ通りになるインパクトは大きい。付近にマルセリスカヤ通りがあり、これは横浜同様オデッサの姉妹都市である仏マルセイユにちなむが、これと同様、ヨコハマ通りは横浜がオデッサの姉妹都市であることを住民に思い出し続ける役割を果たすだろう。横浜市がロビー活動をがんばったのかどうか知らんが、うまくいくといいよな(ОЖ

■名前の話③「プーシキン通り」廃止?
同じ流れでオデッサ中心部のプーシキン通りの名を廃してはという話も出ている。地元著名ジャーナリストの何某がフェイスブックに「プーシキンは<ロシア世界>の代表格だ。というとあなた方は反論するだろう、『でも彼はいい詩を書いたじゃないか』と。だがその詩、その創作、その人物像そのものがウクライナに対する武器なのだ。文化的な意味でオデッサのプーシキンはセヴァストーポリにおけるロシア黒海艦隊と同じだ」とか書いた。これに対し歴史家の何某が「プーシキンが書いたのは反帝国・欧州都市としてのオデッサへの讃歌であり、露助どもが自らの犯罪行為の片棒をプーシキンに担がせたからといってオデッサの文化や歴史に対する詩人の態度までを帳消しにすることはない」と反論、そこに市民らが参加してコメント欄が湧いたという話(ОЖ
※平然とロシア語を話し平然とロシア文学を愛することこそが<ロシア世界>という帝国主義的イデオロギーを真に超克するみちであろうとかねて考えている→何丘マニフェスト

■切手
ウクライナ国営郵便が6月1日の「国際子どもの日」に向けて新たな記念切手を発行する。「戦勝チルドレン、ウクライナの未来を描く」と題されている。

「未来」をテーマに子供たちが描いた絵が使われている。平和な空の一日も早い回復をという願い、そして、この子たちから平和の空を奪う者たちへの怒りを新たにする。УП

5月25日

■シャヘド36機襲来、全機撃滅
25日未明、ウクライナを36機のイラン製カミカゼドローンが襲ったが、全てを撃墜した。悲願の「撃墜率100%」を大統領も空軍も喜んでいる(УП)。装備の充実と練度の向上のたまものであろう。

■ポドリャク「反転攻勢は数日前に始まっている」
ポドリャク大統領顧問によれば、ウクライナの反転攻勢はある日ある瞬間に赤いテープを切って始まるものではなく、それは実はもう数日前に始まっている。反攻の内実は「様々な方面における露占領軍の殲滅に関する様々な行動」であり「敵の補給路の集中的な破壊」であって、それは昨日も行われたし今日も行われるし、明日も行われるであろう、と(УП)。ただしУПの戦場特派員の観察では、現在のところウクライナの大規模反攻が始まる兆候は見られない。ウ軍はバフムート近郊でピンポイントな進軍を成功させているがその他の方面――ハリコフからヘルソンに至る――で特に前線は動いていない。

■ワグネル軍撤退開始か
プリゴジンによればワグネル軍は25日にバフムートからの撤退・露正規軍への拠点の明け渡しを開始した。このプロセスは6月1日まで続くという(УП

■不法出国者は処罰される?
クリメンコ内相によれば、戦時体制下でウクライナから不法に出国した男性は処罰される。「戦争終結の際に国家は国民一人一人に対し、自分が戦争のときに何をしていたのかを思い出させる。不法に越境した者のことを言っている。おそらく法律ができるだろう。内閣と議会の共同イニシアチブで事が行われるだろう」。逆に現時点では不法に出国してのちウクライナに帰還した者に対して特段の罰則は規定されていないという。内相発言をひとしきり引用したあとにУП記事はただ一行「参照:ウクライナ憲法58条によればある行為が行われた時点で法律によって違法と認められていない行為に対しては何者も責任を負わない」(УП)。あまりにも正しい。内相大丈夫か。

■ウクライナ国内観光の現状
オデッサのビーチが観光シーズンのオープンに向けて着々準備を進めていることが全国メディアでも連日報じられていて注目度の高さが伺えるが戦時下のウクライナの国内観光はどうなっているか。夏の行楽シーズンを前に観光推進庁が勧告・禁止事項一覧を発表した(УП
【勧告】
・旅行先/移動経路上の防空壕の場所を確認しておくこと
・各州の外出禁止時間を確認しておくこと
【禁止事項】
・重要インフラ/軍事/戦略施設周辺の観光
・ベラルーシ/ロシア国境周辺の観光
・前線付近、被占領地の観光
このほか、州によって森林/緑地/貯水池への立ち入りが禁止されていたり(たとえばキエフ市/キエフ州)、あるいは容認されていたり(たとえばリヴォフ州)する。何しろ州ごとの取り決めを守って安全に旅を楽しんでくださいということ。※日本人のウクライナ渡航はNG。日本外務省の区分でウクライナは依然として全土で危険度レベル4(最強)

■ウクライナの図書事情
ウクライナには現在130軒の書店があり、1万2000ある公立図書館のうち正常に開館しているのは3-4000だという(文化省ウクライナ図書研究所、УП)。戦前は全国に200の書店があり、人口20万人あたり1軒本屋がある計算(対して欧州平均は2万人に1軒)であった。もともと少ないのがもっと少なくなった形。図書館については戦争で500館ほどが破壊・損傷・解体された由。また図書館の蔵書の52%が1991年以前に発行されたもので、新刊の購入費の拠出は停止しているという。ウクライナでは新刊の刊行点数自体が2021~22年で激減している。

【ウクライナの図書事情について乏しい見聞】
日本の本屋も随分減ったがそれでもウクライナ全国に書店が200軒しかなかった(そして今130軒しかない)というのは驚く。オデッサ中心部にはぱっと思い出せる限りで4軒本屋があった(デリバーソフスカヤに1軒、その脇道(ガンブリヌス斜向い)に1軒、リシェリエフスカヤに1軒、TZ「アテネ」内に1軒)。だがそれはオデッサが大都市だからで、農村部はひどいものだと思う。義父母のダーチャのあるオデッサ北郊の某村は周辺10集落のハブ村(土曜市が開かれる)だが書店も図書館も皆無であった。
常設でない露天の図書販売スタンドみたいなのが各所にあって、これは上記の数には入ってないと思う。あと、うちはロシア語でしかものを読まない家庭で、ロシア語図書はふつうの本屋にはあまり置いてないので(ロシア語図書の棚占有率の上限が法令で定められている)、大体オンラインで注文して買っていた。こうしたことも可能なので、ウクライナが特別、図書にアクセスしにくい環境であるとも思わない。ただし、これらは戦前の話。
図書館については、オデッサ市内は図書館もわりに多かったように思う。私らは2年半で市内4か所に住んだがいずれの住まいも徒歩5分以内に図書館があった。ただ、日本の図書館ほど市民に開かれた存在(使いやすい存在)ではないと思う。私らは使ったことがないし、使っているという人の話を聞いたこともない。よく知らない。
ウクライナの国民性として、特別、本をよく読む人たちだなという印象を持ったことはない。2012年にモスクワ住み始めたときは地下鉄とか乗っててそこそこ読んでる人多いなと思ったが、時代もかわったし(今は皆スマホ)、よくわからない。

ウクライナがこんなに行けない国になり、戦争前のウクライナを知ってる人間のヴォイスがこんなに貴重になると知っていたなら、もっと研究的によく見ておいたのに、とつくづく思う。こうなったら大事なのは、人が知る由もないことに乗じてウソいつわりを述べないよう、重々自制をきかせることだ。そのうえで、確実に自分が知ってること(あるいは自分が現地で抱いた印象)については、出し惜しみなく語っていく。

5月24日

■ベルゴロドどうなってる
反プーチンロシア人武装勢力「ロシア志願兵部隊(РДК)」「ロシア自由軍(ЛСР)」がハリコフ郊外でウ露国境を露側へ越え出て露ベルゴロド州の一部村落を占拠した件(22日)、露側によれば、23日時点で速やかに越境部隊の鎮圧に成功し同日中に「対テロ作戦」は終結、安全保障会議の緊急会合も開かれなかった。ISW(米戦争研究所)も上記親ウ武装勢力がウクライナ国境まで追いやられたとの見方を示している(УП)。当のРДКおよびЛСРは記者らに対し、自陣に合計十数名の死傷者が出ているとしながらも、露ベルゴロド州において「軍事的・政治的目的を達した」と話している。「我々のロシア領内への侵入がより強力に行われれば行われるほど、彼ら(ロシア軍)が対抗手段を講ずるのにかかる時間は増大する。戦車を大量に運び込むまで彼らはほとんど全く我々に対抗できなかった。今回全領域を支配し十全に管理できなかったのはただ我々の側に十分な力がなかっただけだ。今回のことは我々にとって、単なる力試しに過ぎない」(УП

■語録①プリゴジン「ロシアのウクライナ侵攻には大義がない/ウクライナ軍は世界最強クラス」
骨子:「特別作戦」の名目はウクライナの非ナチ化と非軍事化だったはずだ。だが、まず前者について、我々はむしろウクライナを世界に冠たる民族に押し上げてしまった。ウクライナは今や世界の誰もが知る国だ。あたかも古代ギリシャ全盛時のギリシャ人を見ているかのよう。我々はウクライナを合法化(легитимизировать)してしまったのだ。次に「非軍事化」についてだが、開戦前500両だった戦車は今や5000両。開戦前2万人だった軍人は今や20万人。とんだ「非軍事化」だ。いま世界最強の軍隊はわが「ワグネル」であり、それに続くものとしてロシアの名を挙げたいところではあるが……ウクライナ軍は世界最強の軍隊の一つである。高い組織力、練度、装備、諜報能力。ソ連式の装備もNATO式の装備も同じように使いこなす。崇高な目的を達成するために犠牲を覚悟の上で戦う点では第二次大戦時の我々と同じだが、よりハイテクに、より正確に事を行っている。翻ってわがロシア軍は、大統領が「弾薬はある」と言ったのに、ショイグ(国防相)とゲラシモフ(総司令官)がワグネルへの弾薬の供給を阻止した。この二人を更迭して正常な状態にする必要がある。自分の政治信条を端的にいうとこうだ:祖国を愛する、プーチンには従う、ショイグは失せろ、戦闘は続ける。(というようなことをだいぶ粗野な口調で述べた、УП

■語録③ゼレンスキー、シャヘドをロシアに供与しないようイラン国民に呼びかけ
骨子:どうして皆さんはロシアのテロルの片棒を担ぐのか?どうして悪の国家の側に立つのか?世界が目にしている、皆さん自身も目撃している、イランが悪を支持していることは否定しようがない。なるほどカミカゼドローンの撃墜率は上がっているが、それでも撃ち漏らし、犠牲を産むことがないではない。イラン製ドローンがウクライナの妊婦を殺害する、夫やその住む家とともに。イランのお母さんお父さんたちよ、こんなことに何の意味がある?皆さんの作った「シャヘド」がウクライナ人学生たちの住む寮を襲った、人たちが死んだ、火の手が上がった、現場に救助隊が駆けつける、そこへ「シャヘド」の第2波がくる、今度は他の命を救いに来た人たちの命が奪われる……。これほど酷薄な殺人が、イランにどうして必要なのか。なるほどロシアの手によるものだ。だがあなたがたの作った武器なのだ。侵略を支援することであなたがたが出るものは、国際社会でのさらなる孤立だけ。皆さんの「シャヘド」が連夜ウクライナにテロルを行う、そのことでイランの人たちはますます深く、歴史の暗黒面に嵌りこんでいく。だが、あなたがたはまるで違うふうに生きることもできる。イランの人たちは歴史の光の側にいるべきなのだ(УП

■オデッサのビーチが海水浴シーズンに向けて準備を整えつつある
オデッサらへんを管轄してる軍事行政庁から夏期のビーチのオープンに向けてこれこれの条件を整えよとの命令が発出された。それに基づき一連の安全上の措置が講じられ、うまくいけばオデッサ市のプリモルスキー・キエフスキー両地区の全ビーチ(ランジェロンから16-ая станция Большого Фонтанаまで)がオープンする。これはすごいことだ。実際にビーチをオープンさせるかどうかは6月5日以降に決定が下る由(УП

5月23日

■バフムートどうなってる
バフムート市の全部または大部分をロシアが支配しているのは確かで、現在はその周辺でウクライナ軍の反攻含む戦闘が行われている(米国防総省ISW)。プリゴジンはワグネル軍のバフムートからの撤退を予告しまた希望しているが現在のところ配置換えの動きは見られずむしろ人員が増大している(ウクライナ軍

↓NYTによるバフムート空撮

原爆資料館に展示の写真と今日の広島を見比べて「あの惨状からここまで復興した」ということに希望を見出していたゼレンスキー。once destroyed cityとして語られる日を手繰り寄せなければならない。

■ロシアの侵攻による被害目録が8月始動する
ウクライナ法務省によれば、ロシアの侵略によってウクライナにもたらされた損害の国際的な目録が今年8月から始動する。十分な証拠とともに提出された被害届を登録していき、のち設置される賠償委員会の決定に基づき損失に見合った補償を得る(УП

■反転攻勢
プリゴジンは次のように公言している:ワグネル軍は224日間にわたり攻勢をかけ続けたバフムートをついに完全掌握したことにつき、5月25日まで様子を見た後、同市を露正規軍に明け渡す形で撤退し、「6月1日から少なくとも2か月間、ワグネル軍はウクライナの全前線からいなくなる」。まさにその間にウクライナの反転攻勢が行われるのではないか、とISW(УП)。ウクライナ国防省情報総局のブダーノフ長官はNHKの取材に「必要最低限の武器はもうある。(反攻は)間もなく始まるだろう」と述べている(УП

5月22日

■ベルゴロド
この戦争をウクライナ側で戦うロシア人義勇兵らがウクライナに隣接するロシア・ベルゴロド州の村落複数を掌握したらしい。ロシア志願兵部隊(Русский добровольческий корпус)と自由ロシア軍(легион “Свобода России”)の2団体が声明を出している(УП)。このことはプーチン大統領にも報告され(ペスコフ、УП)、同州では「対テロ作戦体制」が敷かれた(УП)。州内の核弾頭が保管庫から運び出されたとの報も(ウクライナ諜報機関、УП)。ウクライナ側は「本事象とは直接的な関係はない」として関与を否定(ポドリャク、УП

↓ハリコフの右上の埼玉県みたいな形の領域がベルゴロド州

↓赤ピンの辺りの2村落(КозинкаおよびГора-Подол)が反プーチン武装勢力に占拠されている由

■オデッサのビーチを機雷から守れ
オデッサが海水浴シーズンの到来に向けて準備を進めている。今年の夏は漂着機雷への備えが十分であることを条件の一つにビーチのオープンが許容される見通し。そこで突堤と突堤を二重のネットで結んで機雷が岸まで漂い来ないようにする。ほか、ブイを浮かべてその内側で遊ぶように注意したりとか、ビーチの営業時間を7時から21時までに限るなど、色々策を講じるようだ(ОЖ

■ピンクフラミンゴが群来
オデッサ州南西部の国立自然公園「トゥズロフスキー潟湖群」にピンクフラミンゴが500羽ほど飛来して営巣を始めた。数年前にヘルソン州に飛来して営巣したことはあったがオデッサ州に来るのは初。だが人里に近すぎ野次馬が見に来て騒いだりシャッター切ったり平穏を乱すのと、あと人里あるところ必ず存在する野犬が彼らの生存を脅かすのとで、あまりフラミンゴにとってはいい環境ではないかもしれないとのこと(ОЖ

5月21日

■バフムート陥落?
20日晩に露国防省とワグネルが相次いでバフムート制圧を宣言、プーチンが軍およびワグネルに祝意を表した(УП)。ISW:たとえこれが事実だったとしても疲弊した露軍・ワグネル軍がここに橋頭保を築いてさらなる進軍を行うことは不可能であり、市制圧の意義は純粋に象徴的なものにとどまる(УП)。21日昼の時点でゼレンスキー@広島は「現時点でバフムートはロシアによって完全に掌握されてはいない」としていた(УП

■ゼレンスキー帰途に就く
ゼレンスキーの21日の国民向けビデオメッセージは帰りの飛行機の中で:「非常に困難かつ非常に大事な一週間――金曜はアラブ連盟、土日はG7+ウクライナ+グローバルサウス――を終えて帰るところ。安全保障、領土奪還、国民奪還、正義、『平和の公式』の実現……すべての本質事項について世界の多数派と相互理解が得られている」УП

■オデッサのレフ・トルストイ像撤去
オデッサ中心部にレフ・トルストイ広場がありそこにレフ・トルストイ像が立っているのだが、これが撤去されるらしい。例の脱露脱ソ景観クリーンアップキャンペーンの一環。トルストイは若き日にクリミア戦争従軍で一度オデッサを訪れている(1854)がほぼ通過しただけっぽい(ОЖ

5月20日

ゼレンスキーが今わが日本にいる。と思うと不思議な感動がある。自分がそのために長らくこれほど胸を痛めているもの、まぁウクライナとそれを呼ぼうか、の象徴が、私のいるここから地続きの場所に今いる。おかしな話だ、地続きな場所にはかつていた。オデッサからキエフの方が西東京から広島までよりよほど距離が近かった(前者400km、後者650km)。だがオデッサにいたとき自分にとってゼレンスキーなど何でもなかった。

本人テレグラムのタイムラインを見ても「誰と会った・何を話した」しか書かれていない。日本に来たというより、G7サミットが行われている場所に・各国首脳のいる場所に来たのだ。カーキ色の服を脱いで(一度脱いだらもう一生着ないだろう)いつかまた来てほしい。

5月19日

きょうの一枚。

突然やってきた緑ずくめの男たち(Зел. человечки)

■ゼレンスキー、東へ
19日午前の時点ではG7広島サミットへのゼレンスキーの参加はオンラインであると言わていたが(ダニーロフ安全保障会議書記、УП)昼過ぎには「ゼレンスキーがサウジアラビア入りした」との報(УП)。ゼ氏はアラブ連盟サミットに参加して「ロシアの影響に屈せずウクライナ支援を」と呼び掛け(УПУП)、どうやらその足で日本に飛んだ。夕刻になってイェルマーク・ウ大統領府長官がようやく「ゼレンスキーはG7広島サミットに対面参加する」とアナウンスした(УП)。相変わらずの神出鬼没ぶり。

■ロシアの現在のミサイル生産能力は月67発
ウクライナ国防省情報総局によれば、ロシアは保有ミサイルの大部分を費消したが、国際的な制裁にもかかわらずミサイル生産体制は維持できており、たとえば最近のキエフ攻撃に用いられている超速弾道弾「キンジャル」なら月2発、オデッサ攻撃によく用いられる巡航弾「カリブル」なら月25発、その他合計67発を毎月生産する能力を有している。先日撃墜したミサイルの残骸を分析したところ、そのミサイルが2023年第1四半期に製造されたものだと分かった。ロシアはコンベアーから下ろすなりその武器をウクライナに向けて発射している(УП

■オデッサにビーチシーズンは訪れ……るかも?
オデッサ市当局が軍から「ビーチシーズンを安全に送るためのガイダンス」を受け取った。去年は「戦勝の日までバカンスシーズンなどあり得ない」の一点張りで、昨日は「キエフに今年ビーチシーズンは訪れません」と宣言があったばかりだが、比較的攻撃が間遠なオデッサで、今年はビーチ利用の一部緩和が望めそうだ。条件がいくつかあり、まず人が大勢集まり過ぎないようにすること(入場制限?効く?)それから機雷・ミサイル攻撃から身を守るための安全地帯およびシェルターを設置すること(どこに?どうやって?)(ОЖ

5月18日

■ミサイル攻撃、ほぼ全弾撃墜もオデッサで死者
連夜の空爆。17日晩~18日早朝にかけて数次にわたりミサイル攻撃。使用された巡航ミサイル30発のうち29発が撃墜に成功(ウクライナ空軍発表、УП)。オデッサ上空では8発を撃墜したが撃墜片が工場に落ちて1人死亡・2人負傷(УПУП

■キエフにビーチシーズンは訪れない
キエフ市民の夏の楽しみ、ドニエプル川での水浴・日光浴が、今年は禁止。ビーチにはシェルターがないため敵の攻撃があった際に安全を保証できないから、という。УП

5月17日

■オデッサにミサイル攻撃
17日晩、オデッサにミサイルが飛来した。詳細不明。晩の10時に市上空で爆発、市域隈なく爆発音が聞かれたという(ОЖ

■キンジャルとパトリオット
露国防省によれば16日未明のキエフ攻撃で超音速ミサイル「キンジャル」により「パトリオット」を一挙5基「完全に破壊」することに成功したそうだ(УП)。ウクライナ側によれば話は全く逆で、攻撃に使用されたキンジャル6発全部がパトリオットによって撃墜されたのである。米国防総省筋の情報としてAFPが伝えたところでは、パトリオットが1基損傷したのは事実だが、動作可能な状態は保っている(УП)。また英国防省のインテリジェンスレポートによれば、ロシアがウクライナでキンジャル数発を失ったのは事実であると見られ、このことは、キンジャルは「迎撃不能」だと考えていたロシアにとっては悪いサプライズであり、困惑のタネとなっている(УП

■ロシアは大規模ミサイル攻撃によってウクライナの反転攻勢の遅延を図っている?
CNNが米政権内の消息筋の情報として伝えたところでは、ロシアは通常より多くの弾薬を用いてより大規模な空爆を同時多発的に行い、ウクライナにとっては待望の反転攻勢の開始を強制的に遅らせようと努めている。だがウクライナは西側供与の多層的な防空防衛網によりミサイルや無人機の大部分を迎撃できており、むしろロシアの大規模攻撃は、弾数に限りのある高精度ミサイルをロシアが消尽するという意味で、ウクライナを利する可能性すらある(УП

5月16日

■キエフに大規模ミサイル攻撃→全弾撃墜
16日未明、北東南の三方から各種ミサイル計18発とイラン製自爆ドローンがウクライナを襲ったが、全て撃ち落とした。かつてウクライナ軍自身が迎撃不可能と認めていた超速ミサイル「キンジャル」も6発含まれていたが、これも全て撃墜した(УП)。ウクライナが異次元の防空能力を獲得しつつある。その中核を担う米供与の「パトリオット」だが、ロシア側は「破壊した」と主張、米側は「現在のところ確認ない」(УПУП)。なおУПによれば、今次の攻撃にかかった費用は1億2000万ドル(≒163億円)。使用された攻撃手段を「キンジャルは一発1000万ドルだから6発で6000万、カリブルは650万ドルで今回9発使用されたから5850万ドル……」という具合に足し合わせる。大規模攻撃があるたびにこんな計算をしてみせて、ロシアのカネが全く無意味なことに空費されていると分かりやすく示して読者を喜ばす(УП

■プリゴジン①ISWレポート
ISWレポートによれば、プリゴジンとウクライナ諜報機関の接触を国家に対する反逆であると非難する声も露政権内にはあるが、プリゴジンを追放することは現実的でない。理由は①バフムート方面でワグネル軍に頼るところ大である情勢(ワグネル軍を失えばバフムート攻略・防衛が瓦解する)②プリゴジンは政府内にいかなる役職も持っておらずワグネルは民間企業であり、プリゴジンをワグネル指導者の地位から追いやることは容易ではない③プリゴジンを追放してワグネル兵らが軍の直接指揮下に入れば、非合法の存在である傭兵らと軍・国防省・最高指揮官プーチンとの関係性の説明に窮する④プリゴジンは露国防省と対立関係にあるもののプーチンに対しては今のところ忠誠を保っている(УП
②には説得力を感じない。ワグネルは違法行為の総合商社なのでプリゴジンを逮捕する理由などいくらでもある。結局のところプリゴジンがこれほどあからさまな国防省侮辱あまつさえ敵諜報機関との接触にもかかわらずぶりっぶりに命脈を保っていられるのは、ひとえにウクライナ侵略戦争とりわけバフムート攻略においてワグネルが必要不可欠だからだ。裏を返せば、もしワグネルがバフムートから撤退すれば、プリゴジンの生命は危うい。⑴バフムートにとどまればワグネル兵らはミンチになるがプリゴジンは安泰である⑵バフムートから撤退すればワグネル兵らは生還の期待が高まるがプリゴジンは危殆に瀕する。であれば選択されるのは当然⑴であろう。

■プリゴジン②ブダーノフ評
ウクライナ諜報機関トップのキリル・ブダーノフによれば、プリゴジンの発言の80%は真実である。たとえばプリゴジンがショイグ露国防相やゲラシモフ露軍総司令官を批判するときそれはいわゆるIPSO(情報心理特別作戦)ではなく赤心から出たものである(УП

■ウクライナ最高裁判所長、収賄容疑で拘束
ウクライナの内なる敵No,1は汚職であるという話があったが(昨5/15付)、いまウクライナ最高裁判所長に270万ドル(3億円超)の巨額の収賄容疑がかけられており、既に同裁判所の不信任決議を受け裁判所長の任を解かれている。とある富豪の財産権をめぐる裁判で同人に有利な判決を下す見返りとして賄賂を受け取ったとみられる。(УПУП

5月15日

■ゼレンスキー
ゼレンスキーが3日間の英仏独伊4か国歴訪を終えた。「前線を強化し国民を保護するより新しく・より強力な兵器の供給に関する約束を取り付けて帰途に就いている」だそうだ。УП

■プリゴジン
ワシントンポストの興味深い報道。先般漏洩した米軍の機密文書によれば、「ワグネル」の首魁プリゴジンはウクライナの諜報機関と秘密裡に交渉を持ち、バフムートに関してとある取引を持ち掛けたという。なんでも、ウクライナ軍がワグネル軍との抗戦地帯から撤退すれば、見返りにロシア正規軍の拠点に関する情報をウクライナ側に提供する、と(УП)。露大統領府ペスコフ報道官は否認(УП)。ウクライナ側はプリゴジンのアプローチを怪しみ誘いに乗ってはいないらしいがウクライナの諜報機関は「国益追及・占領地解放のためさまざまな手段を用いている」(ウ国防省情報総局報道官、УП)と意味深。

■ルカシェンコ
プーチンの盟友・ベラルーシの独裁者ルカシェンコ(68歳)の健康状態が悪化しているらしく、数日ぶりにメディアに登場したルカシェンコの手に巻いた包帯・声のかすれ・蝋人形のような表情(↓)が話題になっている(УПУП

この関連でチハノフスカヤ(ベラルーシ民主化運動リーダー)「我々はあらゆるシナリオに対しよくよく備えておく必要がある。ベラルーシに民主主義を取り戻すために、ロシアの介入を阻止するために」(УП)。確かにルカシェンコが死ぬ等して後継者問題が浮上すればロシアが傀儡の擁立のために介入してくること必至である。

■世論調査(ウクライナの「内なる敵」の中で最も恐るべきものは……)
ラズムコフセンターが4月末~5月頭にかけて行った調査によれば、ウクライナ人が考える、国内の各種「敵」の中で最も恐るべきものは、汚職政治家・腐敗役人の類である。次点は政権内に潜むロシアの手先ども、3位は親露プロパガンディスト。
問い:あなたにとって「内なる敵」とは?
答え:政権内の汚職(53%)、ウクライナの情報機関や省庁内に広がるロシアのエージェントネットワーク(47%)、ウクライナはロシアと統合すべきだなどと主張する政治家・プロパガンディスト(46.8%)УП

■世論調査(時勢に鑑み、汚職の問題を追及すべきか否か……)
ラズムコフセンターの同じ調査で「汚職に関する事実を公表すべきか」と問うたところ、84%が「公表すべき」との立場だった。理由は「汚職のせいで国内の統一が損なわれ、パートナー諸国からの支持を失い、果ては勝利から見放される恐れがあるから」。7%が「公表すべきでない」との立場。理由は「戦争が続く限り、汚職問題の公表は時宜を得ない。むしろ公表することによって国内の統一が乱れ、戦争に勝利する見込みが減じる」。
なお、戦争前と比べて贈収賄の頻度および金額が増大したか否かを自分自身の体験を根拠に答えよとの問いに対し、各部門で「増大した」との回答。多くは徴兵(忌避)に関わるものと見られ、軍事委員会職員への贈賄は戦前比20.7%増、医師への贈賄(偽健康診断書を作成させるための)は16%増、地方役人への贈賄は14%増。УП

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