続々々・オデッサ(ウクライナ)現地報道まとめ

オデッサ/ウクライナ/ロシア

ウクライナ戦争の個人的な記録。①ウ全国メディア「ウクラインスカヤ・プラヴダ(УП)」②オデッサローカル紙「オデッスカヤ・ジーズニ(ОЖ)」③露反体制メディア「Meduza」を巡回して録すべきと思われたものを取り上げる。筆者はモスクワに4年半、オデッサに2年半住んだ。望むものは平和と正義、それだけ。平和。ロシアは侵略をやめろ。正義。ロシアはウクライナにもたらした全ての損失を完全に弁済しろ。

※この記事はオデッサ(ウクライナ)情勢、現地報道まとめ(2022年3/15~6/28)続・オデッサ(ウクライナ)現地報道まとめ(6/30~9/22)続々・オデッサ(ウクライナ)現地報道まとめ(9/23~12/31)の続きです

2月5日

レズニコフ国防相「情報が錯綜している。たとえば『今晩攻勢がかけられる』とテレグラム(※SNS)に情報が出る、多くの人がそれを読む、実際には攻勢など何も起きない。いま非常に大事なのは参謀本部の公式声明に耳を傾けることだ。侵略軍が攻撃の構えを整えたときには、それがどこの場所で起きているのか、参謀本部は確実に知ることができる」「とはいえ無論、ロシアが攻勢をかけてくることは予期している。なぜなら今は2月で、連中はシンボリズムの愛好者だからだ。我々にはそれに対する備えがある。だから我々にとっても皆さんにとっても、『想定外の事象』などない」「現時点でベラルーシ領内にキエフに侵攻可能な攻撃力が形成されている形跡はない。かの地の戦力集中状況はそこまでのレベルではない。我々の評価では、ベラルーシの訓練場にいるロシア軍人の数は1万2000人を超えない」УП

ゼレンスキー「侵略軍が2月に何かシンボリックなことをしでかそうとしている、または昨年の敗北を挽回しようと試みる、ことを示す多くの情報がある」УП

なおレズニコフは国防省の汚職スキャンダルを受けて国防相を解任されるという話が大統領府内で出ているらしい。そのタイミングでУПの長尺インタビューが出た(УП)。解任について具体的な話は聞いていないとしながら「УПに取材された後には必ず何か起きるので(前回インタビューは昨年2月24日に出た)、今度も何かあるかも」とレズニコフ。УП

オデッサ電気

5日昼の時点のオデッサ市の電力状況は、死活的インフラ(たとえば暖房用温水プラントの9割)ならびに市民20万人には電気が通い、28万人(全体の40%)に電気が来ていない。УП

オデッサにおける今度の電力の危機的逼迫は①先月26日のミサイル攻撃による被害②それまでの累次の攻撃による蓄積ダメージ③今月3日・4日に起きた変電所の事故のトリプルパンチによるもの。最後の事故に関してだが、これは憶測でしかないが、でもま住んでた人の憶測として聞いてくれ:オデッサ(含め、たぶんウクライナのどこでも)では戦争とか始まる前から、事故による不意の停電というのは日常的にあった。落雷とかそういう見やすい不可抗力による停電でなく、ある街区への電気の供給が予告なく途絶する、追って情報が出るときもあれば出ないときもあり、数時間後にぱたと回復する。これはとりもなおさず、発送電のチェーンのどこかに脆弱性(たとえば設備の老朽化)があり、もともと慢性的に事故が起きやすい状態であったということだ。加えて、この数か月の寝ずの復旧作業で人員の疲労が蓄積しておりヒューマンエラーが起きやすくなっているということも考えられる。

五輪

ロシア(とベラルーシ)人選手の次回五輪参加の是非をめぐってウクライナとIOCの対立というか不一致が続いている。ウクライナは今度は五輪のスポンサー企業に対し書簡を送った。「露政権がスポーツや五輪をプロパガンダに利用することを容認してはならない。テロ国家の代表選手には五輪にもその他の国際大会にも居場所はない」(ゼレンスキー、УП)。前も言ったが悪手だと思う。これではウクライナがスポーツ選手の自己実現権を迫害しているという非本質的な問題にすり替えられて敵プロパガンダのウクライナ悪魔化に利用されてしまう/そう世界の人に見られてウクライナへの共感を棄損してしまう。日本人の中にも今のウクライナのふるまいを見て「そこはさすがに目くじら立てずにさぁ、平和の祭典でしょ?選手に罪はないわけだからさぁ」とリベラルぶってみせる人がそれなりにいるだろう。

私の愚案は、ウクライナはまず「ロシア選手は五輪の中立的白旗でなく白青赤の三色旗で出場していい、金メダルとったらロシア国家が奏されてもいい」とIOCを凌駕する寛容を示して世界を驚かす。ただし重大な付帯事項:「その条件として、軍事侵攻を即刻停止すること」。ポイントは、スポーツだの文化だの自体的価値のあるものを抑圧しているのはウクライナでなくロシアなのだ、という構造を明確化することである。だって本当にそうなんだもの。IOCはウクライナの唱導に応じて次のように声明すべきだ:然り五輪は平和の祭典である、ゆえにこそ、平和の壊乱者の参加を許すわけにはいかない。逆にいうと、平和の壊乱を止めれば五輪の参加をゆるす。つまり、ロシア人スポーツ選手がかわいそうに五輪に参加できないのは、ウクライナがヤアヤアいうからでなく、ロシアが侵略戦争を続けるからですよと。こう整理するのが正しいと思うんだけどなぁ。(本記事1月27・28日の記述も参照のこと)

Дія、世界へ

マイナンバーカードはじめマルチな証明/手続き機能を備えた国民アプリДіяがウクライナの重要な輸出品目になりつつある。その声望が高まり、現在、欧州・アジア・アフリカの5か国がДіяをベースに自国版電子証明アプリを開発することを計画中という。フョードロフDX相によれば、Діяの輸出はいまや外交上のひとつの武器になっている。「Діяはもはやウクライナのブランドであり、名声であり、ウクライナの政治的影響力拡大のテコである」。財政面でもДіяの輸出から得られるものは大きく「Дія導入の際にパッケージになっている複数の製品それぞれが数千万ドルで売れる。すなわちДіяがひとつの国で導入されるだけで短期間で数十億グリヴニャ(数千万ドル)、という話になる」УП

※これまで当ブログではДияとロシア語表記してきたがそれもよく分からん話だなと思ったので今度からウクライナ語表記のДіяに改める。どちらも読み方は「ヂヤ」。ディヤとジヤの中間音としての「ヂヤ」。語の意味は行動・運動・効果(露действие)

2月4日

オデッサの電力状況があまりにひどいので政府内にエネルギー相をリーダーとする特別対策チームが組まれ、またエネルギー省が保有する全部の大出力発電機およびガスタービン発電所がオデッサに送られることになった。喫緊の課題は死活的インフラへの電力供給および集合住宅への暖房供給だという(УП)。4日夕方の時点でひとまず死活的インフラ(上下水道と中央暖房)については電力供給に成功したそうだ(УП

上述ガスタービン発電所というのは先に米国から送られた出力25メガワットのもの。またウクライナ外務省はトルコに対し発電船による追加の支援を求める方針とのこと。

オデッサに電気を供給する変電所(複数)で相次いで大規模な事故が起きており、オデッサ市全域ならびにオデッサ州オデッサ地区の一部で長時間の停電が発生している。

ウクライナ全国総LED化計画

最寄りの郵便局で白熱電球をLEDランプと交換させるやつ、大都市で1月31日に始まって一週間で早や100万個がハケた。計画ではこれから対象地域を順次拡大してって2月末には郵便局の移動店舗を使ってすべての僻村までカバーし、総計2000万個のLEDランプを全国に灯す。順調。УП

2月3日

ウクライナEUサミット(於キエフ)後の記者会見でゼレンスキー、一致団結して市民の戦意を強化し、戦争は今も続いているのだということを市民に思い出させてほしい、と記者らに訴えた。「戦士たちの頑強さは国内の戦意に依存している。我々一人一人にかかっているのだ。些事にかかずりあわずに重大なことに取り組むべきだ。いま我が国の重大問題は、戦争だ」「開戦当初、戦意はより強かった。我々皆が戦争を生きていた。だが今は、一部の都市は、まるで弛緩してしまっている」УП。ゼレンスキーが記者らにこう訴えるような報道・社会環境であるということだ。興味深い。「てんで弛緩している一部の都市」の印象は、最近のオデッサ訪問から来たものではないかと疑われる。

ヘルソンのショッピングセンター

3日夜、ヘルソンのショッピングセンター「エピツェントル」に敵凶弾、つづく火災でショッピングセンターは灰燼に帰した(УП)。同じ名前の店がオデッサにもあり度々訪れていたのもあり、胸が凍る。読者の中にもこの週末をショッピングセンターで過ごす人があるかと思うが想像してください、あなたの訪れたショッピングセンターに夜間、ミサイルが撃ち込まれて、跡形もなく消滅する。こんど来たとき買おうと思った靴や鞄ももろともに。すべての財貨、すべてのよき思い出とともに。

「花びら」

ハリコフ州のイジュームで14-17歳の男女7人(男3女4)が不審物を見つけて拾い上げ、放り投げたところ炸裂し、全員が軽度の裂傷を負った。不審物は「花びら」と呼ばれる小型の対人地雷であった。УП

拾い上げたのがもっと年端のいかぬ子供であったら手もなく爆死もあり得た。解放成っても戦争が終わっても長くこうした悲劇の報を聞くことになる。ウクライナは日本のように隅々までコンクリで塗り固められた国ではない。人口の密疎濃淡の落差が激しく国内ツーリズムが未発達なので行楽はしばしば徒歩ないし車で道なき道を進むことを伴う。マインスイーパーも到底全土には手が回らない。国土の荒廃、地雷原化。その責任は、爆発物がロシア軍が撒いたものであるかウクライナ軍が撒いたものであるかを問わず、侵略者ロシアが一義的に負う。

モルドヴァ

モルドヴァでこのほど行われた社会調査が興味深い。ロシアのウクライナ侵略戦争に対する意見は二分している。悪いのはロシアだ、ウクライナの一部領土併合は不法である、という意見が一応多いとはいえ。

たとえばクリミアについて、「クリミアはウクライナ領土だ」は34.5%、「ロシア領土だ」は23.5%。前者の多さと後者の少なさに驚く。ああモルドヴァどこかって?

ウクライナのすぐ隣、オデッサから一番近い外国。筆者は一年前この国を経由してウクライナから帰国した。

続ける。偽住民投票の結果としてのルガンスクおよびドネツクのロシア併合は「不法である」と考える人は49.8%、ロシアにはその権利があったとする人は26.7%。

ロシアの侵攻は誘発されたものでもなければ言い分のあるものでもない、という意見の人が39.6%で最大多数だが、ロシアは「ドンバス両人民共和国をウクライナから保護している」のだと信ずる人も22%と少なくない。そして12%が「ロシアはウクライナをナチスから解放している」と信じている。んで1%が「ロシアは自己防衛している」。

戦争の責任は誰にあるのかについては「プーチン」25.1%、「ロシア」17%、「米国」17.7%、「ウクライナ」11.8%、「NATO」9%。УП

なお、グルジアで12月行われた調査では、戦争について有責であるのは「ロシア」54%、「プーチン」25%、「米国」15%、「ウクライナ」8%、「NATO」3%。ロシア政権に「反感を持っている」80%「好感を持っている」13%。ロシア人に「好感を持っている」56%「反感を持っている」38%。УП

2月1・2日

暗鬱。

電気

電気はもちろん全然足りていない。電力施設に対してこれまで13次のミサイル攻撃15次のドローン攻撃、回を重ねるごとに状況は深刻化する。1度攻撃があって次の攻撃があるまでに10日~2週間。前々々回が元日、前々回が1月14日、前回が26日。敵の「必殺ゲージ」がたまるのをただ待っている。

いまいま、比較的温暖なので電力逼迫はやや改善しているという(УП)が、間もなくまた冷え込む。キエフ10日予報↓

(読み方:左端が、2月3日金曜、天気は曇りときどき晴れときどき雪または雨、最高気温1度、最低気温-3度)

オデッサ10日予報↓

なお、2月はウクライナ語でлютий、「厳しい月」。一年で一番寒い月ということだ。

支えてくれ

オーストリアのファン・デア・ベレン大統領が発電機持参でキエフを訪れた。「オーストリアは戦争については中立だが、関係性においては中立ではない。ウクライナの人たちが自国のために・子供たちの未来のために戦っている。私たちはそれを助けるのだ」とオーストリア大統領。УП

「絶対悪」と隣り合わせの国の日常(ゼレンスキー、T)。ただ生存し、健康で文化的な最低限度の生活を続けるという戦いを「絶対悪」によって強いられた人々を、なんとかして支えたい。彼らがその戦いで負けないように。すいません、また募金の呼びかけです。一度した人も、何度でも。私ら自身がウクライナに出かけていって直接支援するというのは困難な話ですから、それをまさに行っている団体に寄付をするという形で、間接的に(しかしかなり直接に近い間接)、支援ができると思うのです。

いつものやつです。

ユニセフ(子供たちと家族への支援)
赤十字(医療支援)
UNHCR(防寒支援)

1月31日

ウクライナは腐敗した国?

腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index)の2022年版が出た。それぞれの国がどの程度腐敗・汚職にむしばまれているかを示すもので、国際透明性機構(Transparency International)が世界銀行とか世界経済フォーラムとかと組んでやってる。それによると、ウクライナは100点満点中33点(100が一番清潔、0が一番不潔)で、180か国中116位だった。なお、ジャパンは73点で18位、デンマークおよび英国と同率。ロシアは28点で137位。CPI2022

腐敗「認識(perception)」指数というのはどういうことかというと、それぞれの国のビジネスマンとか専門家に「自分の国がどのくらい腐敗してると認識してるか」を聞いて、その主観的評価を総合して採点するのだそうだ。というのも、腐敗の度合いは裁判件数とかの実証データで測ろうとするとかえって誤る、「実際に実務などで腐敗の現場に直面している方々の経験や認識から」評価するのが一番なんですて。Wikipedia

要するに腐敗認識指数とは、それぞれの国のビジネスマン・専門家が、自分の国がどのくらい腐敗していると認識しているか、を数値化したものということでいいですかね。

で、ウクライナの33点116位というのはもちろん輝かしい数字じゃないわけだが、傾向で見ると、2013年から10年間で8ポイントも向上していて、これは結構なことであると。ただ、2017年以降でみると、上がったり下がったりの振り子になっている。ひと頃より高い水準で安定しているのは間違いないから、これをここからどうさらに上向けていくか、というところらしい。

ウクライナ透明性機構(Transparency International Ukraine)のアンドレイ・ボロヴィク代表の口ぶりだと、汚職撲滅はウクライナの中のロシア的なものとの戦いである。彼によれば14年の尊厳革命(マイダン革命)で政権が浄化されたからこそこの10年で8ポイントという大幅な改善があったのだし、33ポイントという水準を今年も維持できたのは「その適切性と合目的性をウクライナ国内の親ロシア勢力が多年にわたり否定してきたところの反汚職体制は、持ちこたえた(Антикоррупционная система, уместность и целесообразность которой годами отрицали пророссийские силы в Украине, выстояла)」ということになるらしい。УПУП

一言でいうと、ウクライナは依然として汚職の問題が深刻な国だが、改善に向けた努力を行っていると。傾向としては悪くないと。そゆ状況。

ミニ発電所

キエフ西郊のイルペンにて、オーストリアから届いた出力1メガワットの小型ガスピストン発電基(малая газопоршневая электростанция)が稼働を開始した。市内の温水プラントや重要インフラ(学校、病院、市議会)に電力を供給するらしい。こういうやつ

この「コンテナ発電所」、すでに組みあがってる状態でオーストリアから届いたので、あとはコンクリートで基礎を作ってガス・電力網と繋げればすぐ使えた。届いて数日で稼働を開始したらしい。技術的なことは分からんが書いてあるまま訳すと、天然ガスを使うのでディーゼル燃料を使う場合に比べて生産されるキロワットあたりの価格が低減される。でまた、ディーゼル発電機と違い、予備電源でなく恒常電源として使えて、耐用期間の限り休みなしでずーっと稼働できるのだそうだ。

今後は同様のものを100基導入して重要インフラの電源とする計画だそう。発電手段の多角化によってエネルギーシステムの強靭性が増し、ロシアの電力施設攻撃にも負けなくなる。すばらしい。УП

1月30日

ゼレンスキーがオデッサに来た。

ニコラエフ→オデッサと歴訪しながらデンマーク首相と会談してインフラ復興についてなど話し合った。ニコラエフでいま喫緊の課題となっているのはロシア軍によって破壊された水質浄化施設及び上水道の復旧であって、それにデンマークも参加するという。オデッサについては、ウクライナ産穀物の海上輸送計画への支持を取り付けた。ほか、ウクライナ側が準備した和平案の実現にデンマークがどのように参加し得るか、戦車ほか兵器の供与について、対ロ制裁について、ロシア人選手の国際スポーツ大会への参加の是非、あらゆることを話し合ったということだ。УПОЖT

こちらで数えたらニコラエフ訪問は今度が3度目であった。1度目は6月、戦線視察。2度目は11月、ヘルソン解放祝賀訪問にあわせて、ニコラエフをねぎらいに。オデッサ訪問も今度が3度目で、1度目は6月、ニコラエフのついでに。2度目は7月、穀物輸出の再開を祝いに。では今度の3度目は? デンマーク首相と会うためにわざわざ出かけるということもないだろうから、何らかの実務あるいは象徴的意義があってこのタイミングでニコラエフ・オデッサを訪問したはずだが。一つには、いまオデッサが全国で最も深刻な電力不足に喘いでいる、ということがある……か。また一つには、やはりオデッサの世界遺産登録ということが思い浮かぶが、ゼレンスキーのビデオメッセージやデンマーク首相との共同記者会見記事にそれについての言及なし。

なお、この戦争においてニコラエフはどんな街だったかというと、ロシアがドンバス・クリミア・沿ドニエストルをつなぐ陸の大回廊をつくるためにはヘルソン・ニコラエフ・オデッサを順次攻略していかねばならず、ヘルソンは早期に掌握しえたから次はニコラエフ(それが終わればいよいよオデッサ)ということで、侵攻開始当初からニコラエフには毎日毎日猛烈な攻撃が加えられていた。逆に言えば、オデッサがこのかん終始無事を保っていられたのはニコラエフの英雄的防衛のお陰であった。実際11月にヘルソンが解放されると、ニコラエフへの攻撃頻度は激・減した。ゼレンスキーの1度目と2度目のニコラエフ訪問はこれに関連したものだった。

にしてもデンマーク首相とたっぷりデートを楽しんだものだ。岸田もこんなふうに、1日かけてウクライナの2つの街をめぐり、その間あらゆるテーマについてウ大ととくと話し合う、ということができればよいが。(※ウ大=ウクライナ大統領ゼレンスキー)

電気

オデッサ市には1日最大4時間程度しか電気が来とらんそうだ。これまでの攻撃で出力そのものが低減しているなか、直近26日の攻撃でオデッサ市および近郊に電力を供給する重要な変電所が2基破壊されたためという。ОЖ

昨夕義父に電話は通じた。普通に出勤していた。職場は例によって発電機で稼働しているとのことだった。スーパーや薬局のレジ機の修理を行うわりとエッセンシャルなことやってる会社なので、稼働しないわけにもいかない。

あと、例の国民アプリДияを使って白熱電球をLEDと交換しようキャンペーンが30日、大都市を中心に始まった(УП)。利用方法を紹介する1分動画も作られた。言葉わからなくてもスマホ完結の感じ、Дияアプリ内の身分証と白熱電球5個で最寄りの郵便局でLED5個手に入りますの感じ、何しろ簡便迅速である感じが伝わるかと思う↓

Як подати заяву на обмін старих ламп розжарювання на енергоощадні LED-лампи в Дії

ここ数日オデッサは気温が終日0度以下だった。雪も積もってる。ОЖ

これ子供が好きなやつ。雪みちをそり引かれていく。

この子供たちは夜、明るい電灯のもとで本を読むこともままならないわけだ。

※募金にご協力ください。
ユニセフ(子供たちと家族への支援)
赤十字(医療支援)
UNHCR(防寒支援)

※あるいはこういう考え方:何丘ブログに何か学びを得ている、という人、こいつが書いていることには価値がある、と思ってくれる人。なんだかんだ定期的に見に来てますよという方。少しばかりの対価というか、報酬をください。それを私に支払うかわりに、これら慈善団体に寄付してください。たとえばこの記事この1か月だけで3万5000字書いてるそうですが、これにせめて1000円の価値がなかったでしょうか。あったと思ってくださるなら、その1000円を、たとえばUNHCRの防寒支援にご寄付ください。よろしくお願いします。

1月29日

ロシアがウクライナへの侵攻を続けている。という基本的な一行から。

29日一日をとっても、東にも南にもロシアの砲撃は加えられている。住宅が破壊され市民が死傷している。ヘルソンに集中攻撃で3人死亡6人負傷(УП)。ハリコフ中心部の住宅にミサイル攻撃で1人死亡(УП)。爆発音と空襲警報。電気がない。「私たちが何をした」。すべての人の平穏な日常が奪われていることを思い出そう。小ブログは基本的に際立って暴虐な事象が発生したときあるいはオデッサに被害があったときしか取り上げないがこうした「小さな」悲劇は毎日毎日起こっているのだ。

(こんなこと言い出すのも自分がいま1年前の自分の「手記」再読していることの功名だろう。裏を返せば自分は毎日毎日ニュースを追って関心を持続させているつもりで、感覚はだいぶ麻痺・剥離していたということだ。どうしたってそうなる、数は数へと抽象化する)

砕氷船ノアスフェラ、南極に到着

ウクライナの学術調査用砕氷船「ノアスフェラ」が南極基地「アカデミシャン・ヴェルナーツキイ」に到着した。УП

物資およびウクライナ人専門家チームを基地に届けた。先遣の第27回ウクライナ南極調査団は10か月ぶりに同郷人と会えて大喜びしたということだ。

この砕氷船は2021年に英国から買ったものでニコラエフで補修したのちに南極ミッションに就いた。しばらくオデッサ港にも停泊していてポチョムキン階段あたりからよく見えていた。当時はバカにしてたものだ、高い買い物しやがって、あれ黒海って冬凍るんでしたっけ、とか何とか。でも見よ、こうして立派に就航してるわけだし、この時局にウクライナの学術調査船が南極の海を泳いでいると思えば、なんか胸がすっとする。

がんばれ「ノアスフェラ」。

1月27・28日

いま最も電力不足が深刻なのはオデッサ州だそうだ。26日の大規模ミサイル攻撃で複数の高圧変電設備が損傷したため(国営電力ウクルエネルゴ、УП

義父母は週末をダーチャで過ごしていて、これは正直どういうことなのだかよく分からんのだが、街(オデッサ市内)にいるときは停電すると電話も通じないがダーチャにいるときは停電してても電話が通じる。昨晩(←日本時間の)義母に電話したら「いま停電中、でも大丈夫」といつもの調子であった。もう義父母も、また多分ウクライナの人たち一般に、暗いことそれ自体には慣れていると思う。義父母で言えば、ひるま電気があるうちパソコンとかフル充電しておいて、暗くなったらハードディスクに撮り溜めといた映画とか見る。あるいはラジオを聴く。電子書籍読む。そんな感じで過ごしてるそうで、多分皆さんこんな感じに暗闇と仲良くするすべを編み出していることだろう。

深刻なのは電力不足によって中央暖房とか水道が機能しなくなることだ。乏しい電力はそういう死活的インフラに優先配分される、だからこそ家庭の電気は全然使えなくなるわけだが、お陰で今のところ一昼夜に及ぶレベルの断水・暖房停止の話はオデッサについては聞かない。

ロシア人選手のパリ五輪参加可否

2024年夏に行われるパリ五輪にロシア人およびベラルーシ人の選手を出場させるか。バッハ会長(いつまで会長?)率いるIOC国際オリンピック委員会はロシア国旗のもとでなくIOCの中立的な旗のもとでならロシア人も参加させたい考え。УП

で、ウクライナ側はいかなる旗のもとでもロシア人ベラルーシ人は国際スポーツイベントに参加させるべきではない(参加させるなら我々がボイコットする)との立場。ゼレンスキー「独裁国家は得てしてスポーツを自らのイデオロギー上の利益のために利用するものだ。IOCの中立的な旗とやらも必ずや血に染まる」「ウクライナのスポーツ選手はロシアの侵略から家族や祖国を守るために戦うことを余儀なくされている。また、ロシアの攻撃で将来世界のスポーツ界の宝になるかもしれなかった100もの男女の命が奪われた。ロシアはまず侵略とテロルを止めるべきだ。ロシア選手の参加について話すのはそのあとだ。五輪憲章と戦争、両者は根本的に相容れないものだ」「バッハ会長はいちどバフムートを訪れるがよい。自らの目で見て悟ってほしい、中立などというものは存在しないと」УП

それでゼレンスキーは「良心のマラソン」と呼ばれるキャンペーンを始めることを宣言。「IOCの立場はいかがなものか」と問う書簡を、世界の主要なスポーツ連盟(※たぶん、世界陸上競技連盟とか世界水泳連盟とかそういう団体)の会長たちに送った。УП

個人的には、ゼレンスキーの言うことはすごくよく分かる、だからこそ引用も長くなったが、でもやってることは悪手だと思う。私にはある決定またはある運動が一般のロシア国民にどう受け止められるかということしか考えられない。それでいうと、国際社会は結局ロシアにそこまで厳しくはなれないんだと思わせることも、西側はやっぱりロシアが嫌いで皆してロシアをいじめるんだと思わせることも、ともに違う。ロシア選手の国際大会への参加の可否は、国際社会とか西側というものの関数ではなく、ロシア政権の関数なのだと思わせるように設計することが大事だ。要するに、あなたの国がウクライナへの侵攻をやめさえすれば、IOCの白い旗といわず、ロシアの三色旗で選手を出させますよと。試しに3日停戦してみてください。それができたら来夏の五輪への参加も仮に認めておきましょう。それで停戦が成るとは思えないが、少なくとも何を直接の原因としてロシア選手が参加できたりできなかったりするのかはロシア国民の目に明白となるはずだ。

私にとってはスポーツ大会が開催されるかされないか、どのような形で開催されるか、スポーツ選手の自己実現権、五輪憲章との整合/不整合、すべてどうでもいい。五輪なら五輪、それをテコに、ロシアの侵攻をいかに終わらすか、それを終わらす力をいかに産み出すかが肝心であると思う。「平和の祭典」、スポーツを通じた平和の実現。だが現に平和は乱されてるのだから、五輪も非常時にふさわしい形に変形すべきだ。五輪それ自体が戦争を終わらすテコとなるべきだ。「五輪はロシア人はおろかロシア国歌・ロシア国旗を排除しない。だがそのためにはロシアは侵略を止めろ」この明確なメッセージを出すべきだ……と思うが、どうか。

あわせて読んでね→何丘マニフェスト

復興庁の新設

復興およびインフラ計画庁(Агентство восстановления и инфраструктурных проектов)というものが新設されたそうだ。日本にとっても今後重要なカウンターパートとなるだろうからメモしとく。

何しろ戦後復興戦略計画というものを立ててその枠内で仕事をするのだそうだ。所管業務には「資金提供者たち(各国政府、国際金融機関、非政府組織)との協業メカニズムの策定」「各地域からの『わが地域のこの施設を優先的に復興してほしい』という要請間の調整」「非政府組織や公共団体の中から設計・建設・マネージメントといった分野における最良のエキスパートを探す」といったことが含まれる由。んで、時流も受け、透明性と説明責任を担保するべく汚職撲滅事務所の庁内設置を早期に実現することも約した。初代長官はインフラ省副大臣のムスタフ・ナイエム氏。УП

ドローンハンター

26日のインフラ撲滅大規模攻撃では飛来した自爆ドローン17機を全機撃滅ということで凄っと思ってたのだが、いまウクライナのエネルギー施設をロシアのドローンから守っているのは「ドローンハンター」と称する最新鋭の自律的防御システムであるらしい。これをまた軍とか国防省でなくフョードロフDX相が発表するという。しかもカッコいい動画つきで。→Telegram

何しろ敵ドローン飛来をレーダーが探知すると妨害電波を発して行動不能状態にし、そこへAI搭載の自律型ドローンを時速100kmで飛ばして敵ドローンを捕縛し強制着陸させるのだという。米国の戦略拠点防衛に使われている最新防衛装備で、これを6ユニット購入しているということだ。

1月26日

26日朝、第13次となるウクライナ総暗転を目指した大規模ミサイル攻撃。カミカゼドローン17機は全部撃滅、ミサイル59発は47発撃墜、12発が着弾(УП)。インフラが損壊したほか、2件の火事が起き35棟の建物が損傷し、11人死亡、11人負傷(УП

今次の攻撃により少なくともキエフ・ドネプロペトロフスクの2州でエネルギーインフラが損傷、電力供給に支障が出た(УП)。とはいうものの、今回はよく守った、被害は軽微だったようだ。キエフ州とドネプロペトロフスク州は電力供給が安定化し計画停電へと移行する旨を昼過ぎ~夕方にかけて相次いで発表した(УПУП)。

わがオデッサは「電力不足が最も深刻な地域」のひとつに数えられているが(26日晩の時点、УП)、少なくとも15時には市内の全病院・暖房用の温水供給施設の復旧に成功したと発表(УП)。逆にいうと数時間の間は中央暖房も止まっていたということだ。現地の昼過ぎの時点で義母に電話は通じた(停電してると言っていた)(爆発音かまびすしかったと言っていた)

オデッサにはちょうどフランスの外務大臣が来ていて、空襲警報発令と対空防衛システムの作動という状況下で予定の場所を変更してオペラ劇場の倉庫で外相会談を行ったということだ(УП)。外相はエネルギーインフラの破壊をその目で目撃したという。岸田に同じようなメにあってほしいとは言わないが、これを体験するとしないとでは全然リアリティが違ってくる。したがって発言の重みも。

1月25日

慶事3つ。

慶事①戦車

ドイツの戦車の供与が決まった。アメリカの戦車の供与も決まった。手放しに喜べないのは、専門家の方々が言ってるように、これを受けてロシアが春の大規模攻勢を早める可能性があるからだ。戦車の訓練には相当な期間を要する。供給と訓練が一段落したらロシア軍にとって明白な脅威なので、そうなる前に大規模攻勢をかけてくることは大いにありそうに思える。

・ドイツが「レオパルト2」最新型(A6)の供与を決定した。あわせて第三国からの同戦車の再輸出も許可することを決めた。パートナー諸国は”Tanke shön”と口をそろえた。当面の目標は「レオパルト2」を中心とする2個戦車大隊(各大隊に「レオ2」40両、計80両)を早急に創設することだという。УПУПУП

・米国はウクライナに「エイブラムス」戦車31両(ウクライナの一個戦車大隊に相当)を提供することを決めた。УП

戦車の次は戦闘機。ゼレンスキー「我々はウクライナへの航空機の供与へと進んでいかなければならない。夢のような話だが、必ずやらなければいけないことだ」УП

慶事②ゼレンスキー誕生日

1月25日はウクライナ大統領ウラジーミル・ゼレンスキーの45歳の誕生日であった。おめでとうリーダー。

公言するが私はこの人が好きだ。理由は単純で、義兄と同じニオイがするからだ。義兄の職場によく遊びに行ってマリファナ吸ってたが、というのは嘘だが(マリファナはあったが)、義兄の仲間たちの中にこんなやつ全然いた。3月末にメドゥーザとかドーシチとかロシアの独立系メディアの合同インタビューがあったが(これ)、そこで台本なしのロシア語でПо-пацанскиしゃべっているゼレンスキー見て「ふつうの人じゃん」と思った。「ウクライナの、オデッサあたりにもごろごろいる、ふつうの兄ちゃん」。この人がたとえばブチャを訪れたときの苦悶に歪んだ表情に胸が締め付けられた。

この人が12月のNetflix番組でデヴィッド・レターマンに「戦争が終わったら何をしたいか」と問われて、「今は何も考えられないが……まぁ、海を見ながらビールを飲みたいかな」と答えたとき、その願いが叶うことを心から望んだ。

私はこの人に好きな義兄を重ねている。とても耐えがたいようなことに耐えている。人間に耐えられる精神的苦痛の限界をこえて戦っていると思う。この人を応援したい。この人は失えない。

同い年で結婚19年のエレーナ夫人から祝電。「旦那さんはこの1年ですっかり変わってしまいましたね、なんてよく言われるけど、私はいつもこう答えています:何も変わっていません。同じ人です。お互い17歳で出会ったあの頃と同じ。……でも、本当をいうと、ひとつだけ変わったことがあります。あなたは全然笑わなくなりました」「精神力は十分足りてるみたいだから、あとは体が健康でありますように。健康でいてください。いつもあなたと笑顔でいたい。そうさせてくれますように」УП

慶事③オデッサ世界遺産登録

おめでとうオデッサ。第18回ユネスコ世界遺産委員会臨時総会で、オデッサ旧市街の世界「危機遺産」登録が決定。長い道のりでした。

私は世界遺産登録の効果の一つとして、戦後ウクライナが世界に開かれたときに観光客を集める旗印になる、ということがあると思っていたが、危機遺産ということは、ロシアの侵略戦争で灰燼に帰す恐れというものが消滅した場合には、即ち登録抹消ということになるのだろうか。

少なくとも一つ、文化遺産の保護のためにユネスコから資金が出る、という利点はある。УП

追記:危機遺産というのは、あくまで世界遺産の中で危機に瀕しているものへの指定である由。だから、一義的には、オデッサは世界遺産に登録されたのだ。そんで、同時に「危機遺産」にも登録されたのだ。お詫びと低姿勢。訂正。

岸田のキエフ訪問のメリットと問題点

「首相のキエフ渡航の是非で揺れる日本」と題する記事がУПに。引用元はThe Japan Times。どんなふうに伝えられてるか手短に紹介する(※自分の言葉も多少盛っている)。

まず、次のような理由から、キエフ訪問と日ウ首脳会談の対面実施は望ましいと考えられている。すなわち、日本はいまG7議長国で5月には広島でG7サミットが開かれるが、広島サミットの主たる議題はウクライナ支援となるであろうところ、G7(米英カナダ仏独伊日)の中で侵攻以来リーダーがゼレンスキーと会っていない国は日本だけである。それではG7議長国として議論をリードするにあたってビミョウ。あと、広島という象徴的な場所で、しかも広島出身の岸田が「核なき世界を唱道」するにあたり、今まさに地球上で第二次大戦以来最も大きな核攻撃の脅威に直面しているウクライナを自分で訪れていないというのは、いかにも弱い。

だが、安全性への懸念がある。キエフに入るためには政府専用機でポーランドかどっか隣国に入ったあと陸路を使うことになる。24時間の道程。ロシアのミサイルとかドローンがいつどこに飛んでくるかわからない。護衛の問題もある。ウクライナに入ってからの護衛をどうするか。自衛隊には海外でそのような任務を行う権限がない。警察の警護では武器が心もとない。

また、ゼレンスキーが12月に隠密裏にキエフを抜け出し米国訪問を成し遂げたが、これと同様の極秘電撃作戦として岸田がキエフを訪問することは、困難であるらしい。理由は①日本の首相が海外渡航する際は議会の許可を取り付ける必要がある、そして②安全性のために事前に渡航について発表しておくべきだと日本では考えられているためである。……このように伝えられている。УП

1月24日

ドイツ戦車のウクライナ供給やはり成るかと期待させる報道が相次いだ。ドイツが「レオパルト」提供の条件としていた米国の「エイブラムス」提供(30両規模)をバイデン大統領は水曜(25日)にも発表する可能性があるという(УПУП)。独誌シュピーゲルによればドイツ政府内ではすでにレオパルト供与について決定がなされていて、ショルツ首相はやはり水曜に①自国からの提供②欧州諸国からの再輸出許可を発表する可能性がある(УП)。

G7協調でウクライナの電力を支える

主要7か国(G7)会合が24日開かれロシアの攻撃にさらされているウクライナのエネルギーセクターへの今後の支援について話し合った。会合を率いたのは米ブリンケン国務長官と日本の林外相。「設備ならびに冬季人道支援の提供、必要なインフラの購入、ウクライナの電力システムの近代化・脱炭素化・欧州の電力システムとの統合の長期的推進を目的として、緊密な調整を続ける義務をG7が負う」と声明。УП

オデッサの世界遺産登録を邪魔する勢力

オデッサ旧市街の世界危機遺産登録が来るユネスコ世界遺産委員会第18回臨時総会で検討されるのだが、ロシアの暗躍が見え隠れしている。ウクライナ文化省によれば、ロシアはまず総会の議事日程からオデッサの世界遺産登録の議論を排除しようとした。だがこの試みは阻止された。次に、一般的な手続きとして、総会での議論に先立って①ウクライナ側が自薦書類一式を準備し②ICOMOS(国際記念物遺跡会議、ユネスコの諮問機関)が当該遺産の保存上の特性について純技術的な勧告書を送る、という段取りを踏むのだが、①自薦書類(昨年10/11付)の時点では存在しなかった「オデッサはエカテリーナ二世女帝の戦略的決定によって創設された」との文言が②勧告書(今年1/11付)には出現していたという。②の執筆者は匿名であり、誰がこの文言を盛り込んだのかはウクライナ側も関知できないとのことだ。УП

何丘の立場は、まず⑴オデッサの世界遺産登録を心から望む。そして⑵ロシアはユネスコからもICOMOSからも追放されるべきだ。他国の歴史的建造物や学校をミサイルで破壊するような国にユネスコ(国連教育科学文化機関)の庇護を受ける権利はない。

1月23日

戦況の話とか聞きたい人はこういうの見たらいい。

引っ張りだこの軍事アナリストが色んな番組でしゃべってる。私がその畑の産であるところの文化とか文学の研究者は全く呼ばれないのだけども、軍事とか戦況の話はむしろ日本のメディアに横溢している。何丘ブログはなるべく違う話をしようと思う。

実際問題、素人が漫然と見てるのとプロが本気でウォッチしてるのとは全く違う。自分もこんな毎日ニュース巡回してるのに、こういう動画見て初めて知ることも多い。なんとなく思ってたことをばしっと言ってもらってやっぱそうかぁと思うこともしばしば。上掲動画でいえば、ロシアの語用ではウクライナ軍を相手に行っている個々の戦闘行為は「特別軍事作戦」なんだけども経済制裁とか兵器供与とか情報宣伝とかグローバルに行われている西側との角逐についてはざっくり「戦争」と呼んでいるとか、ああ確かに、と思った。戦車という究極に強い兵器を出す出さないの議論が公然と行われる状況になったことでそれ以下の兵器(歩兵戦闘車とか)の供与は事実上フリーパスになっている、という指摘とかも成程。

電気

気温がまた冷え込み始めてるのとオフィスの稼働日(平日)なのとで23日月曜は出力不足がやや深刻化し、州ごとに定められた使用量上限をオーバーして複数の州で緊急停電が発生した。УП

ウクライナ全土総LED化計画こと、例の国民アプリДияから申請して家庭の白熱電球を最寄りの郵便局でLEDランプと交換させる話、そのベータ版がオデッサ含む4か所で16日から始まっていたのだが、月内にこれが全国に拡大し、2月末にはどんな僻村でもランプ交換ができるようになるらしい。ウクライナの電気のうち家庭で使われるのは40%だそうで、家庭の電灯が全部LED化すれば、ピーク時の電力消費が7-10%削減される。これでエネルギーシステムへの負担が著しく軽減される。都合3000万個のLEDランプがEUの資金で購入されることになっていて、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長によれば、「もしランプが5000万個になれば、1ギガワット、すなわち原発一個分の電気を削減できる」УП

世論調査:ウクライナ国民のほとんどがNATO加盟支持

調査機関「レイティング」が1/14-16行った調査では、NATO加盟の是非を問う国民投票がもし行われたなら「賛成する」と答えた人が全体の86%に上った。過去最高の数字という。反対は3%。地域・年齢層による偏りもほぼなかったということだ(УП)。上掲動画でもNATO装備の流入とそれへの習熟によってウクライナ軍が否応なしにNATO標準に近づいているとの指摘があったが、国民の意思もこの通り。

世界で最も美しいコイン

ウクライナの2種類の記念硬貨が国際コンクール「コイン・オブ・ザ・イヤー」で賞を受賞したらしい。

左のコウノトリのやつは「ウクライナ独立30周年」記念5グリヴニャ硬貨で、これが「最も芸術的な硬貨」部門で優勝した。右のパズルモチーフのやつは「ウクライナ憲政25周年」と名付けられた10グリヴニャ硬貨で、これが「現代史に関する最良の硬貨」部門で優勝した。

第40回となる「コイン・オブ・ザ・イヤー」には世界各国から2300種のコインが参加した。УП

1月22日

更新休みます。

一つだけ:22日はウクライナ統一記念日(День Соборности Украины)だった。1919年にキエフを首都とするウクライナ人民共和国とリヴォフを首都とする西ウクライナ人民共和国が合体してほぼ現在のウクライナの形ができた。「一つにならなければ独立は失われてしまう。あの2月24日がそれを教えた。私たちは強い、なぜなら一体だから」УП

1月21日

キエフの10日間予報。

記録的な暖冬だということだがそれでも最高気温0度付近の日が続く。(見方は、左端が1月22日日曜曇り、最高気温3度最低気温1度)

続いてオデッサの10日予報

キエフより1度2度高い、て感じだ。

深刻な電力不足は続いている。ЗДМ(значительный дефицит мощности、著しい出力不足)。УП

ИПСО

ロシアのやってることに関してСВОとかИПСОという略称が使われる。前者はСпециальная Военная Операция=特別軍事作戦のことでロシア側の言い方。これに対して後者は(多分)専らウクライナ側が用いる表現で、Информационно-ПСихологическая Операция=情報心理作戦。ロシアが偽情報とか流して市民に不安や不信を植え付けたり社会を混乱させようとする、そうした心理作戦のことをこう呼んでいる。

で、ウクライナ情報総局によれば、いま「ベラルーシから攻撃が行われるのではないか」という観測がささやかれてるが、これは外ならぬロシアのИПСОであると。敵が故意に不安を煽っているのであると。「ベラルーシにルカシェンコという独裁者がいることは先刻承知。だが客観的な事実として部隊・人員・装備その他をカウントしたときに、今日ベラルーシから大規模な地上作戦が行われる脅威、ないしベラルーシがロシア側で参戦する脅威は存在しない」
加えてこうも。「もし状況が変化したら然るべき情報が出る」ただし「状況のあらゆる変化をウクライナ側はすでに織り込み済みである」。УП

いつか聞いた歌、の感。去年の今頃もちょうど軍や政府はこんなこと言っていた。→50日後にウクライナから脱出する何丘とかいう奴の「手記」

新祖国戦争

この戦争はのちの歴史の教科書に何という名前で呼ばれているだろう、ということに前々から興味を持っている。たとえば先の大戦は第二次世界大戦というのが世界標準であろうが日本には日中戦争・太平洋戦争というローカルな呼称があり、ロシアらへんでは(ひと頃まではウクライナでも)大祖国戦争=Великая Отечественная войнаと呼ばれている。では今次の戦争はというと、いまウクライナ側の露字メディアないし露独立系メディアでは単にвойна(戦争)と呼んでいる。あるいは14年~のドンバス局地戦争と差別化する意味でполномасштабная война(大規模戦争)とか、より詳しくполномасштабная война развязанная Россией против Украины(ロシアがウクライナに対して仕掛けた大規模戦争)とかと呼んでいるが、これらは普通名詞である。現にそれが行われているときは他との混同の余地がないので普通名詞で足りる、「戦争」の一語で足りるのだ。だが、歴史の教科書では何と呼ばれているか。まぁ国際標準では「ロシア・ウクライナ戦争」とかなのだろうが、ウクライナ側の教科書では何と書かれる。ロシア側の教科書ではまた何と。それはまだ確定していない。(私はウクライナ側にウクライナ語で美称される未来を夢見ている)

前置きが長くなった。珍言王ドミートリイ・メドヴェージェフがSNSで「ナポレオンとヒットラーの直接の後継者であるナチスウクライナおよび西欧との戦争はさしずめ新祖国戦争(новая Отечественная война)である」とか述べた。УП

世論調査:ソビエト時代との決別

民主イニシアチブ基金が昨年末行った、今日のウクライナ人はソビエト時代をどう捉えているかを問う調査。УПУП

問い:ロシアの侵攻でソ連時代に対するあなたの立場は変わりましたか?
・全く/おおよそ変わっていない 34.6%
・完全に/いくらか変わった 52.8%

地域別で見ると、オデッサを含む南部でも4割が「変わった」と答えている。ロシアと一体的であったソビエト時代に郷愁とか憧憬とか感じていた人の4割が過去をよきものを思うことを止めたということだろう。もうオデッサについて何か知ってる気で語っちゃいけないなと思った。

問い:ソビエト連邦の崩壊をどう評価する?
・完全に/どちらかといえば肯定的に評価する 73%
・完全に/どちらかといえば否定的に評価する 12%

地域別で見ると、わが南部では「肯定的」48.3%「否定的」22.9%。また様相が違ってくる。ソビエト連邦が崩壊し独立ウクライナになって良かったと思う人が、全体でも7割、南部では5割しかいないということなのだとすれば意外。

あと、昨日の国民アプリДияの話で、もはやこうした世論調査は全部Дияに取って代わられるのではないかと一瞬思ったが、仮に今回みたいな調査をДияでやったらどうだろう。ロシアの侵攻にもかかわらずソビエト時代に対しては依然として懐旧の情をもっています、ソビエト連邦の崩壊については完全に否定的な評価を行っています(それは崩壊すべきでなかった)、こんな回答つづけるやつは手もなく敵性国民認定だ。権力に対してマイナンバー(個人の識別評)と結びついた意見表明を繰り返す、こんな危険なこともない。やはりこういう調査は独立した調査機関が匿名を条件に行うことでしか成り立たない。当然か。

検事総局「イランの有罪性を確信している」

昨日お伝えした「ロシア軍が使ってる自爆ドローンがまさしくイランのものであるかについて確証はない」発言はウクライナ検事総局「軍事紛争下における犯罪対策」課のとある検事のものだったのだが同課の課長氏が述べた:検事総局はドローンの製造およびそのロシアへの供給についてイランの当局者・法人また自然人の関与を微塵も疑っていない。それを示す中間的なデータは我が国およびパートナー諸国の偵察情報に基づくものであり、これから証拠を集めて、最終的には国内および国際法廷で関係者の責任を追及する、と。めちゃめちゃ予断をもって調査してることを検察側が公言しちゃった形だが、まぁそういうもんか。前の検事氏はデュープロセスの観点からもの言っただけだと思うけど更迭されちゃうのかな。УП

1月20日

ドイツ製戦車「レオパルト2」の供与あるか否かで盛り上がっていた。結論は先送り。

20日行われた「ラムシュタイン」フォーマット会議(ドイツのラムシュタイン米空軍基地におけるウクライナ支援をめぐる国際会議)で出し渋りのドイツがついに自国製戦車の供与を許可するかと注目されたが、「同盟国間になお意見の一致はない」と独国防相。ただし「ドイツが決定を阻害している、という理解は間違っている。供与のメリットには分厚い論拠があるが、反対の論拠も分厚い。ゆえに、いつ、どのような決定が下されるかについて、今言えることはない。供与が決定された場合には最速で供与を行えるように準備だけは進めている」(УП)。またポーランド国防相「レオパルト保有15か国で集まりウクライナへの戦車供与のため連合形成を試みたが何らの決定も下されなかった。次また集まることで合意した」УП

それでドイツ首都ベルリンの連邦議会前では在独ウクライナ人ら数百人が集会を開きFree The Leopards、ヒョウ(レオパルトは豹の意味)を解放せよと叫んだということだ。УП

「イラン製ドローン」は本当にイラン製か

9月からウクライナ攻撃に使用されてる神風ドローンとか殺人原チャとか呼ばれるものが本当にイラン製自爆ドローン「シャヘド136」であるか、純法学的にはまだ確定していないという。ウクライナも米国もそれがイラン製のものであるとしてイラン非難の声を上げて久しい(クリミアに同ドローン操縦の教練を行うイラン人インストラクターが入っている、との指摘もあった)ので意外の感。

ウクライナ検事総局「軍事紛争下における犯罪対策」課によれば、「無人機がイラン製のものかどうか断定することは今のところできない」「無人機攻撃に関するあらゆる要素について事実を確認する必要がある。同兵器がどのようにしてロシア軍の装備に入ったのか。なぜこの兵器に『ゲラニ』とか『ゲラニ2』という商標が入っているのか。なぜこれがかくも『シャヘド131』や『シャヘド136』に酷似しているのか。当該無人機の生産がどこで行われ、どのような経路で供給されているのか、誰が供給しているのか、製造日と製造場所は、契約書はどこにあるか、誰が契約を交わしたのか。こうした事柄が逐一重要になる」「さらにロシア側は意図的な攪乱を行っている。あえて特定企業の商標を刻印したり、あるいは部品に刻印された商標やステッカーを消したりなどしている」「作業は膨大であるが、その間にもロシアからの絶えざる攻撃があり、調査は遅々として進まない」УП

米国、大規模反攻の計画を延期するようウクライナに勧告

米政府高官(匿名)が20日少数の記者を集めて語ったところでは、米国はウクライナに対し、米国から供与される兵器が全部到着し、またウクライナ軍人がその扱いに習熟するまで、ロシア軍に対する大規模攻勢の開始を待つよう進言したということだ(УП)。

知らんけど、情報工作なのかなと思った。ロシア軍が昨年2月を彷彿とさせる大規模攻撃を仕掛けるのとウクライナ軍がかねて準備しているという大規模反攻を仕掛けるのとどっちが早いか(先制した方が状況を有利に作れる、だがなるべくタイミングを遅らせて準備を整えたい)というなかで、ドイツ製戦車の供与が決まれば「ウクライナ側に戦車軍が加わると長期的にロシアが不利になる」との判断からロシアはむしろ攻勢をかけるのを早めるのではないか、と高橋さん言ってた。そんな中で「ウクライナは当分攻撃をしかけてこない」とロシアに思わせるためにあえて米国がこんな情報流したのかな、と素人何丘は思った。

国民アプリДия、世界へ

ウクライナ国民ほぼ全員スマホを持っていてそのスマホにほぼ全員Дияという電子マイナンバーカードアプリを入れている。これであらゆることができる。身分証明書(運転免許証とか健康保険証)にもなるし役所・役人介在不要で各種手続き(婚姻手続きとか)を行えるし、世論調査に使う実証実験も行われた、多分ゆくゆくは選挙の投票もこれで行える。私らがいたときはまだコロナのワクチン接種証明書くらいの機能しかなかったが、戦時下にフョードロフDX相がガンガンに推し進めた。マイナポイント2万円分プレゼント!とか言ってる日本が原始人に見えてくる。このシステムがいま各国の熱視線を集めており、たとえばエストニアがДияの自国版を開発した(УП)。ノウハウの輸出には米国際開発庁(USAID)も協力するということだ。УП

1月19日

ヘリ墜落の原因は依然として霧の中。

相変わらずドイツが戦車を出すの出さないの。ゼレンスキー「多くの国が戦車の提供に前向きな中、とある一か国がブレーキをかけている」УП。米が供与すれば独も供与するとの独首相の提案については米大統領府報道官「どの兵器を出すかは各国の主権的決定に委ねられている」УП

プーチンいるいない論争

ゼレンスキーがプーチンはいないんじゃないかと言い、露ペスコフが「プーチンはいます。い続けます」と応えた。ダヴォス会議でゼ「誰と何を話せばいいのかよく分からない。ときどきクロマキー(合成)で出てくるあのロシア大統領なる人物が本当にその人であるのかどうか。その人が今もなお生きているのかどうか、その人こそが決定を下しているのか、それとも誰か別の人か」→露ペス「ウクライナとゼレンスキーにとってロシアそしてプーチンが大問題であることはよく分かる話だ。純心理学的に、ゼレンスキー閣下にとってロシアやプーチンがいてくれないほうが好ましいということ、これもまたよく分かる。だが認めた方がよい、ロシアはある、プーチンはいる、そしてい続ける」УПУП

くまのめざめ

異常気象でカルパチアのヒグマが1月というのに冬眠から覚めちゃった。イワノ・フランコフスク州の国定自然公園でカルパチア最大最強の哺乳類であるヒグマの活動痕跡が認められた。まだエサもない時期なのでクマにとってよろしいことではない、おなかがすいた熊は狂暴になるので森を歩く人は注意を、とのこと。УП

1月18日

そんなことあるのか。キエフ東郊の幼稚園近傍に18日朝、内務省のヘリが墜落、搭乗していた内務大臣以下同省最高幹部数名が死亡、子供たちも巻き添えになった。死亡14人、うち1人子供、負傷25人、うち11人子供(УП)。こんなこと絶対あっちゃだめだろ。何をやっている?

内務省は警察および国家親衛隊(Нацгвардия)という武力を保持し、前者は国内の治安維持、後者は対ロの前線で戦力になっている。今回のことはそれ自体悲劇であるが、国家経営と戦争遂行にとっては巨大な損失である。ドニエプル市の凶事がやや霞むほどの被害で、情報工学者たちも困惑だろう。スペキュレーション慎みなさいとシュムィガリ首相に言われてるが(УП)、パイロットが隠れルースキイ・ミールで自爆テロに及んだのではないかとか疑ってしまう。そうでないならば、単純な整備不良とか操縦ミスだったなら、何をやってるんだって感じだ。ゼレンスキーは「これは不幸な事故などではない、すべての死は戦争の結果だ」というが(УП)、さすがに苦しいと思う。

電気(暗い話)

国営電力ウクルエネルゴによれば、深刻な電力不足は続いており、気温の上昇でやや需要が低下したものの、それでも供給が需要の4分の1しかカバーできていない状態。18日昼の時点で8州で緊急停電が行われている。「ウクライナのエネルギーシステムはこれまで12回のミサイル攻撃、14回のドローン攻撃を受けている。その都度、機動的に復旧作業を行うのであるが、攻撃が回を重ねるごとに復旧作業はますます困難に、ますます時間がかかるものになっている」УП

ウクライナはただでさえ欧州最大の原発であるザポロージエ原発、ザポロージエ火力発電所、ルガンスク火力発電所、ウグレゴルスク火力発電所、カホフカ水力発電所が敵に押さえられ、都合10ギガワットの電力源を失っている状態だ。УП

電気(明るい話)

そんな中でもキエフは木曜から計画停電モードに移行できそうだという(УП)。同じ時間停電するのでも、何時から何時までと分かっているのといないのとでは、生活の便が全然ちがう。

オデッサも木曜朝から計画停電モードに移行するそうだ(УП)。ここでも要因として高気温ということが指摘されている。義母も1月としては異常な暖かさだと話していた(昨日テレビ電話通じた)。

ロシア軍がいつ何をしてくるか分からない、人間の行動のほうが予見不可能なので、自然の確実な歩みに期したい。春は確実に近づき、夜は日に日に短くなる。昔の人は天候のことを神様に祈ったそうだが逆になった。人間のやることのほうがわけわからなくなり、今は季節の巡りこそ確かなものだ。平和には期待しない、早く春が来てくれ。

だがやっぱ人間か。米国がウクライナの電力復旧支援に1億2500万ドルを拠出する。資金は首都キエフの水・温水供給のための予備電源の構築、ガスタービン・変圧器その他機器の購入に充てられる(УП)人間万歳。

ドイツの戦車

前に別のとこで紹介したが戦車戦についてはこの動画が大いに勉強になった。

戦車戦の現実…“ウクライナに西側戦車供与”狙いと課題【1月16日(月)#報道1930】| TBS NEWS DIG

これでドイツが欧州のベストセラー戦車であるレオパルト2をウクライナに大量(300両とか)供与するか否かが死活的ポイントだと学んだ。

欧州議会は独ショルツ首相に対しウクライナに新式兵器と地対空防衛システムを即時供与するよう呼びかけた(УП)。当のショルツ首相は米バイデン大統領との電話会談で「アメリカが戦車『エイブラムス』を供与するならドイツも『レオパルト2』を供与する」とか条件を出したということだ(УП

ドイツの「レオパルト2」は欧州各国に配備されており、たとえばポーランドが自国保有の「レオパルト2」をウクライナに提供する意向を示しているが、ドイツ製の戦車を購入国が第三国に再供給する際には本国ドイツの同意が必要なのだそうで、EU諸国からドイツへの圧力が高まっている。ドイツは金曜のウクライナ防衛問題コンタクトグループ会合で戦車の供給の是非について結論を出す可能性があるそうだ。УП

1月17日

ロシアの14日のミサイル攻撃で破壊されたドニエプル市の集合住宅における69時間に及ぶ捜索・救助活動が17日13時をもって終結した。死亡45人。うち6人が子供。最も幼い子は11か月。負傷79人。うち16人が子供。28人が入院中、うち10人が重体。子供5人が孤児になった。うち3人は親類が引き取ることに。2人には親類がなく、ひとまず国家の庇護下にある。УПУП

シュムィガリ首相によれば、14日の攻撃で火力発電所の発電設備が9機損傷した(東部1機、西部8機)。これにより深刻な出力不足が起き、15日以降は緊急停電が常態化している。一方で、エネルギーシステムは全体としては「持ちこたえた」。発電・送電網は完全性と制御可能性を保持しているという。УП

電力不足が最も深刻な地域の一つがオデッサ州である。電力使用上限は通常の消費量の半分に設定され、供給量の半分が重要インフラの維持に回されるため、市民には到底行き渡らない。緊急停電が続いている。УП

不幸中の幸い、現地は4月並みの暖かさである。オデッサ10日予報↓

18日は最高気温10度、最低7度、風速15m毎秒と風が強いが。この水準が3日続く。

キエフ10日予報↓

黒海上にはなお6隻のミサイル艦がいて、「カリブル」ミサイルの搭載総数は44発と見積もられる。過去最大で48発だったらしいので、記録的な水準の火力が洋上からウクライナを睨んでいる。УП

東京は18日朝、気持ちよく晴れている。光が明るい。部屋うちは暖かい。ドライヤーも電子レンジも気兼ねなく使える。通信もある。二つの現実。無数の現実。忘れないようにしたい、感じていたい。そのために書いている。現地報道を追いかけ続けている。

1月16日

ドニエプル市の集合住宅爆撃による死者数がなおも増大している。40人死亡、うち3人子供。何をかいわんや。УП

このドニエプルの事例についてEU報道官「ロシアはウクライナの重要インフラ破壊に続き市民の住居にまで標的を拡大したのではないか」。水平的エスカレーションというやつ。プーチン政権は紛争の鎮静でなく激化を望んでいる、EUはこれに対処する必要がある、と。УП

ゼレンスキーによれば近々に新たな侵略行動がとられるとの情報もあり、敵が新次のミサイル攻撃を行う可能性に備えて、最大限に効果的な対抗手段を策定中であるとのことだ(УП)。現在黒海には「カリブル」ミサイル搭載艦が6隻配備されており、総計30発のミサイルが黒海からウクライナを睨んでいる。「カリブル」搭載艦は今年に入ってからずっと姿を見せていなかったが、14日初めて現れ、その日に大規模ミサイル攻撃が行われたのだった。УП

電気

14日の大規模ミサイル攻撃で発電量が大幅に減り電力供給は深刻な障害をきたしている。全土で使用上限が下方修正されたほか、16日昼の時点で9州で緊急停電が生じている。(УП

2022年初頭時点でウクライナの電力構成は原子力55%、火力29%、水力7%、再生可能エネルギー(太陽光、風力ほか)9%であった。まずザポロージエ原発が送電網から外され、今次の攻撃で火力発電所も複数ダウンしている。水力発電所も修復が必要な状況。ウクライナの送電網は全土で一体的であり、たとえば西部で発電所がダウンしたとなれば、その影響は等しくリヴォフにもオデッサにも及ぶ。УП

世論調査①政治に関心がある

キエフ国際社会学研究所が昨年末に行った調査。

⑴政治にどの程度関心があるか
全く関心がない……9.5%(前年30%)
ある程度関心がある……60.5%(前年60.6%)
強く関心がある……29.9%(前年9.4%)

 

⑵今日のウクライナに自分の政治的立場を表現する自由はあるか
ない……9%(前年32.1%)
ある……75.9%(前年47.2%)

 

この結果はウクライナ国民の多くの政治的立場が政府の公式的な立場と一致していることを示すものだろう、と社会学者。

⑶国家経営を効果的に行えるような政治的リーダーたちがウクライナに存在するか?
しない……9.2%(前年44.2%)
する……60.2%(前年25.7%)

 

ロシアにおける世論調査では通例、政治に興味は「ない」だが独裁者プーチンは「支持する」、なぜなら俺たち私たちにはよくわからないけどもあの人たちには物事がよく見えていてよろず俺たち私たちに良いようにやってくれているのだろうから。との答えが大勢を占める。ウクライナはこれと完全な対照をなしている。ウクライナ人は政治に、状況の推移に、関心を持っている。そうして、自身の立場を主張するのを恐れない。УП

世論調査②今年中に戦争に勝つことを信じている

同じくキエフ国際社会学研究所が昨年末に行った調査。

⑴ロシアとの戦争にウクライナが勝利することをどの程度信じているか
完全に確信している……75.3%
どちらかといえば信じている……20.4%
どちらかといえば信じていない……1.6%
全く信じていない……0.9%

 

⑵戦争の終結までどのくらい時間がかかるか
一週間以内……0.4%
数週間以内……1.4%
数か月以内……13.6%
一年以内……49.6%
1年以上かかる……26%

 

一言でいうと、ウクライナ人の95.7%が戦争への勝利を信じており、66%が一年以内に戦争が終わると考えている。УП

もちろん、願望に加圧された数字である。

1月15日

ドニエプル市の集合住宅破壊による死者数がどんどん増えていく一日だった。14日晩の時点で12人だった死者は、負傷者が搬送先の病院で死亡したり瓦礫の下から新たに死体が見つかったりして、15日晩には30人に膨れ上がっている。「うちの一人は子供であった。15歳の少女。また、子供2人が両親を失ったとの報もある。なお30人が生死不明であり、捜索・救助活動が続けられている」ゼレンスキー(УП

「ロシアへの憎悪が恐怖を凌駕している」――侵略者による高層アパート砲撃に遭ったドニエプルからのルポルタージュと題するУП記事に写真多数。映ってる景色はこれはオデッサだと言われたら信じる。義父母の住まう13階建てアパートのある団地の景色そのままだ。生えてる木さえ同じ(ポプラ)。写真の中に入っていってそのまま違和感なくこの景色の中を歩けるような気がする。着ぶくれたおばちゃんたちのこの意思的まなざしを見てほしい。ただ生存し、生活を続け、勝利を見届けること、それがこの人たちの<前線>なのだろう。そうして救助隊、この瓦礫の山から人間(の、おそらくは死体)を見つけようとする人の絶望を思ってほしい。すべての人が途方もない前線に立っている。

私たちもまた問うべきだ、自分に何ができるかを。さしあたり可能なことは、いつもの辻説法、煩わしいリフレインかもしれないが、募金の輪を広げることだ。医療支援なら、赤十字(https://www.jrc.or.jp/lp/kaigai/donation/)。子供たちの保護とケアなら、ユニセフ(https://www.unicef.or.jp/kinkyu/ukraine/)。極寒のなか電気・暖房途絶にあう人たちに毛布や衣類を届けたいなら、UNHCR(
https://www.japanforunhcr.org/appeal/winter-support)。ご自分の問題意識に一番ふさわしいと思う団体に募金してみてほしい。また、ご自分の影響圏(交友関係、属する組織、メッセージを拡散可能な人間集団)に、募金の輪を広めてみてほしい。その際に私がお手伝いできることは①文案を草す②対面またはオンラインで辻説法する(30分でも2時間でも。私が見た・生きた・写真を撮った平和だったころのオデッサと、現在の問題について話し、募金を訴える)。これらがご入用な方は何丘TwitterからDMを。(むろん無償でする)

電気事業者Yasnoによれば14日の攻撃で複数の火力発電所が稼働停止するなど被害は甚大であり、深刻な出力不足が生じている。復旧のめどは立たず、ウクライナ市民は相当長期の停電を覚悟する必要がある、と。УП

1月14日

14日、ウクライナの電力施設を狙った新たな大規模ミサイル攻撃。国営電力ウクルエネルゴによれば「ウクライナの発電・送電網に対する第12次となる大規模ミサイル攻撃。露テロリストどもの今次の標的はまさしくウクルエネルゴの発電所および変電所であった。ウクライナの発電・送電網は完全性と制御可能性を保っているが、電力不足は深刻である」「敵の最終目標はウクライナ全土を寒さと暗闇の中に陥れることである。軍とエネルギー従事者の協調によってこれを阻止しなければならない」УП

今これを書いてる私はどんな顔をしているだろうか。当たり前みたいな顔をしてないか。寝起きみたいな顔してないか。正しく憤れ。無感覚になるな。馬鹿野郎!

うちの一発がドニエプル(中部の都市。宇ドニプロ)の集合住宅を見舞った。12人死亡、64人負傷(うち14人が子供)。УП

攻撃にはミサイル38発が使用された。25発を撃墜したが13発に着弾を許した。カスピ海上の爆撃機から、黒海上(また海面下)の船艇から、また各地の戦闘機から、ウクライナ全土にミサイルが飛んだ(УП)。火力発電所2基が被弾し、うち1基は発電を停止した(УП)。ほか6州(オデッサ州含む)でエネルギー施設に被害、多くの地域で緊急停電が生じている(УПОЖ)。復旧作業にすでに着手がなされているが今後数日は厳しい電力状況が続くという。

発電所職員・電気技師は砂上楼閣を築くようなものだ。いつ大波にさらわれるかわからない、いや必ず来ると分かっている大波の前に必滅の試みを続ける人たち。英雄とはこの人たちのこと。兵士には兵士の、電気技師には電気技師の前線。私たちも私たちの前線に立たねばと思う。さしあたり思いつくのは、いつもの呼びかけを繰り返すことだけだ。ウクライナの越冬支援のために募金を……。

・日本赤十字社 医療サービス・機器、医薬品など
https://www.jrc.or.jp/lp/kaigai/donation/
・ユニセフ 子供たちの安全・健康支援
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/ukraine/
・UNHCR 発電機、毛布、温かい衣服など防寒支援
https://www.japanforunhcr.org/appeal/winter-support

1月13日

ロシア国防相が公式にソレダール掌握を宣言(УП)。これに対し先に掌握を宣言していたワグネルのプリゴジンは「戦功が盗まれている」と苦言を呈した。つまり血の犠牲を払ってソレダールを掌握したのはロシア軍でなく我が民間軍事会社ワグネルである、手柄を横取りするなと。実際ロシア国防省コナシェンコフ報道官の定例発表でソレダール「解放」がどのようにして可能であったかを語る際にもワグネルの貢献については言及なし(TASS)。また、ウクライナ国防省情報総局が入手したロシア軍司令部作成の露プロパガンダメディア向けインストラクションでも「PMC(民間軍事会社)ワグネル」の名に肯定的な文脈で言及しないこと、むしろ「PMC」による攻撃の無意味さや、そのもたらす人的犠牲の大きさについて重点的に報道するように、との一条があるとかだ(УП

それにしても露の用いる「解放」の語のおぞましさ。この無意味な侵略、破壊、殺戮が「解放(освобождение)」の語で語られている。

なお、ウクライナ側によればソレダールをめぐる戦闘はなお継続中である。УПУП

グッバイ・トルストイ

キエフの地下鉄で駅名の「脱ロシア化」2件。キエフ市の旧称ズヴェリネツ地区の「諸民族の有効」駅は「ズヴェリネツ」駅に。レフ・トルストイ広場の「レフ・トルストイ広場」駅は「ウクライナの英雄たち広場」駅に。市民10万人が改称を是とした結果だそうだ。УП

ボルシチは誰のもの

朝日の12日朝刊のコラム。この話題で「違うよなぁ」と思うことがよくあるので一言しておく。私は赤汁が好きなのでモスクワでもオデッサでもいろんな店で赤汁たべた。んでいうが、ロシア風ボルシチなるものはない。ウクライナ風ボルシチなるものもない。ウクライナでも結構な人が黒パンで赤汁のむ。店によって違う、としか言えない。ウクライナの人がロシアのどっかの街のどっかの店で赤汁飲んで、「これはウクライナ風だ!」とか思うことはない。あ、この店の赤汁好きだなとか、ここのはちょっと違うな、とか思うだけである。と思う。

私が一番好きなボルシチは義母のボルシチだ。義母がロシア人なのかウクライナ人なのかは微妙なところだが、それを食べるときこれはロシア料理だともウクライナ料理だとも思ったことはない。言われたこともない。義母のボルシチは二刀流で、ひとつはふつうの赤カブの赤いボルシチ、もうひとつはщавель(ホウレンソウ、で合ってますか)とジャガイモの緑のボルシチ。前者はたっぷりのスメタナ(サワークリーム)と黒パンで、後者は私はスメタナなしで、グレンキ(焼いたパン)と食べるのが好きだった。ボルシチとはおふくろの味であってそれ以外の何でもない。ウクライナ料理だなんだという議論には空虚なものしか感じない。

1月12日

日本がウクライナの重要インフラ復興のために9500万ドルを拠出する、というニュースがУПに。資金は国連開発計画(UNDP)に送られる由。使途は①政府の危機反応/対処能力の強化②国家機関が重要インフラ復旧などの機能を維持するための支援③民間企業が活動を継続しそれによって共同体が維持されるための支援④市民社会および社会的つながりの強化とか書かれている。あわせて、日本が2022年春にウクライナの爆発物除去や瓦礫撤去のため450万ドルを拠出したこともリマインドされている。

9500万ドル=122億円。意味のある支援とはこういうことだ。単発のイベントなんか開いて10万円を集めたって仕方ない。「何かやった」と思いたい自己満足にすぎないと思えてくる。

国営電力ウクルエネルゴによれば電力不足は深刻で、12日昼の時点で9州で緊急停電が起きている(УП)。電力供給会社Yasnoによれば、電力不足は相当長期にわたる問題で、復旧には相当な期間とリソースがかかる。気温は最大のファクターではない。おもてが-20度でも発電が止まることはないし(それによって市民が受け取る電力は非常に限られたものになるが)、逆に気温が上がっても、それで事態が急激に改善するわけではない(УП)。改善も増悪も、その最大の要因は気温でなく、それぞれ「時間」、「敵のミサイル攻撃のあるなし」であるということだ。

ロシアは次なる大規模ミサイル攻撃を準備している?

ウクライナ軍の報道官によれば、ロシアは近日中に新たなミサイル&ドローン攻撃をしかけてくる可能性がある。これまでの例を見ると大体10~14日のインターバルで大規模攻撃を繰り返している。攻撃準備を整えるのにそれくらい時間がかかるらしい。敵の残弾は僅少なので攻撃はミサイルとドローンを併用したものになるだろう、またウクライナの対空防衛も精度が上がっているので、対空兵器の所在を確認しながら波状攻撃をしかけてくるであろうと。げんに敵の無人偵察機の活動は活発化している。オデッサ沖では11日夜と12日朝に無人偵察機を撃墜した。УПОЖ

ロシア軍は3つ半ある

ウクライナ国家安全保障会議書記アレクセイ・ダニーロフによれば、スロヴィキン→ゲラシモフの露軍総司令官交代劇はロシア内部で権力闘争が行われていることの現れである。ダニーロフによればロシアには軍が「3つ半」ある。すなわち、正規軍・プリゴジン軍・カディロフ軍・そして新たに形成されつつある軍。諸勢力間の争いは今後も先鋭化する一方であり、やがて対立はモスクワの最中枢にまで及ぶ。サドーヴァエ・カリツォー(環状道路。この内側がモスクワの中心)の内側で銃火器だの装甲車が火を噴くのも時間の問題であろうと。いずれにしろここ2-3か月で趨勢はほぼ決する。「プーチンは重病人である。プーチンが弱体化するや否や、まぁプーチンは日に日に弱体化しているのであるが、どちらが上だかはっきりさせるための闘争が諸勢力間で始まるだろう」УП

怖くて酒が買えない

ウクライナの情報当局が傍受したロシア兵の会話内容というのが定期的に公表されている。

このほど発表されたひとつ。ロシア兵が妻と電話で話している。「いや、何も要らないよ。こっちにゃ何でもあるよ。まぁウォッカとビールかな、それで新年を祝いたいもんだ。いや、中には(アルコール飲料を)買うやつもいるけど、定期的に死ぬやつ・目が見えなくなるやつが出るよ。もちろんなんか混入してるのさ。俺は何も買わないよ。毒殺されたくないもんな」УП

1月11日

戦況については他を当たってほしい。だがソレダールとスロヴィキンについて一言ずつ。

●ソレダール
ロシア側(ワグネル)が掌握を主張しているドネツク州ソレダール(バフムートの隣町)はСоледарと書いて「塩(соль)の産地」である。先にロイターが米大統領府筋の情報として「プーチンのシェフ」プリゴジンがバフムートにかく執着するのはかの地で産せられる塩が欲しいからだ、と報じていた(УП)。つまりはかの地でプリゴジンが火力と人命の莫大な消費のもとに追及しているのは経済的な利権であると。

ちなみに土地の産出物+дарで地名を構成する例は他にもあり、ザポロージエ州エネルゴダール(Энергодар)といえばかのザポロージエ原発のあるところでエネルギー(энергия)の産地。またわがオデッサ州にはチプロダール(Теплодар)という街があって、これは熱(тепло)の産地と解せる。チプロダールにはチェルノブイリ原発事故のため建設途中で放棄された原発廃墟があり(筆者訪れたことあり、薄気味悪い場所だった)、そもそもこの街自体が原発の産業城下町として人工的に造られた。

●スロヴィキン
露軍トップに人事異動。昨年10月8日にウクライナ侵攻の総司令官に任命されたスロヴィキンが更迭され、かのワレーリイ・ゲラシモフ露軍参謀総長が後任に据わった。その意味するところはまた小泉さんにでも語ってもらえばよいが、Meduzaによれば前任のスロヴィキンはもともと民生インフラに対する大規模ミサイル攻撃の推進派であったとかで、実際スロヴィキンの総司令官就任直後の10月10日に電力インフラに対する仮借なき攻撃が始まっている。だがこの日から12月31日まで十数次にわたるインフラ攻撃によっても結局ウクライナの<継戦>という国家意思を挫くことはできなかったわけだ。スロヴィキンの退場は、ウクライナの電力インフラ破壊という糞戦術の否定を意味しないだろうか。してほしいのだが。

電力

電力不足は依然として深刻で、首都キエフでは11日晩の時点で必要量の6割しか供給できていないとのこと。その6割のうちの4割が重要インフラにおける電力維持に使われるので、家庭に回るのはその残余ということになる。気温が下がるほど暖房だなんだで電力消費が増大する。キエフの12日の気温は最高で-4度、最低気温は-9度。УП

希望の話として、欧州からウクライナへの電力輸入が年明けから始まっているらしい。現在のところ少量であるがゆくゆく増大させていける見込みだそうだ。УП

(そういやオデッサ沖にトルコの発電船を停泊させるというプロジェクトがあったがあれどうなっただろか)

昨日のLEDの話の続き。国民アプリДияを通じて白熱電球とLEDランプを交換する取り組み、その試験版の導入地域の中にオデッサも入ってるらしい。何しろДияで申請して最寄りの郵便局で白熱電球5個とLED5個を交換する。LED化で消費電力が7-10%削減できるらしい。УП

何かやる

「何かやる」の記事更新したので見てください。

1月10日

寒波というほどではないが、この季節としては普通の寒さがかの地にきていて、キエフは当然、オデッサでも終日気温が0度を下回っている。

気温の低下に伴い10日朝の時点で多くの州で電力需要が増し、州ごとに設けられた供給量の「天井」が突破され、緊急停電が発生している。「発電量は増していないのに消費量が増している、そのため不足が生じている」УПУП

シュムィガリ首相によれば、電力節減のため、白熱電球→LEDランプの無料交換プログラムがスタートする。第1段階として国内6地域で50万個を交換し、その2週間後に全土で同様のことを行うそうだ。手続きはというと、市民各人が国民アプリДияを通じて申請を行い、最寄りのウクルポーチタ(国営郵便)店舗で新型ランプを5個入手する、という手筈らしい。「すべての手続きを最大限イージー&スピーディに行う」と首相。このLEDランプはどこからといえば、先に欧州委員会から3000万個、ついでフランスから500万個が供与される。すばらしい。УП

名前の話

2022年にウクライナで生まれた赤ちゃんにどんな名前がつけられたか。人気の名・珍奇な名を法務省が公表した。УП

女子の名で人気なのはソフィヤ(宇Софія/露София)、マリヤ(Марія/Мария)、アンナ(Анна)、ポリーナ(Поліна/Полина)など

男子の名で人気なのはマルク(Марк)、アルテム/アルチョーム(Артем)、オレクサンドル(Олександр)/アレクサンドル(Александр)など

珍奇な名は、女子でいえばエミリー(Емілі/Эмили)とかキャロライン(Керолайн/Кэролайн)、男子ならウィリアム(Вільям/Уильям)みたいな、バタ臭い=西欧ちっくなのが当世風だなと思った。男子のオリオン(Оріон/Орион)みたいな古典時代風の名もかえって今ふう。新しきものとはよく忘れられた古きもの(новое – это хорошо забытое старое)

珍名の中でとりわけ目を引くのはやはりジャヴェリナ(Джавеліна/Джавелина)、ムリーヤ(Мрія)/メチター(Мечта)といった戦争の現実を反映したと思われる名だが、実際にはごく少数のケースなのだと思う。マスメディアが好みそうな話題(げんにУП記事もタイトルにジャヴェリナちゃんを起用している)だけに割り引いて見ておきたい。私が親なら大人たちの醜悪な戦争の痕跡を子供の名前に残したいとは思わない。

とはいえ、ウクライナではわりと簡単に改名ができる?みたいだ。УП記事によると、両親の同意があれば14歳で、また16歳以上なら本人単独で、役所に届けて改名ができる由。「こういうケースだと改名できません」という条件が列挙されてるが、そこにあるのは「刑事訴追されてる人」とか「裁判中の人」とか「外国の治安機関から指名手配されてる人」とか極端なケースばかりで、過去の例を見てもアンナ→オリアンナとかアンナ→アナベッラとかラリーサ→グロリアサンドラとか、単に審美的観点からクラスチェンジを図ったものとみられる例が散見される。逆にドッラアオッルドリッスДррааоллдлісс→アンナみたいな珍名を凡名に戻すみたいなパターンもあるみたいだが。とにかく、特段の必要性とか汲むべき情状とかなくても、わりとカジュアルに改名できるように見受けた。改名手続きの際に役所に払う手数料は初回が5グリヴニャ(20円)、2回目は51グリヴニャ(200円)だそうだ。だいたい年間1万数千人が改名するらしい。プチ整形みたいなノリか。

そういや名前については過去に記事を書いたことがあった→ロシア人の名前の読み方(名・父称・姓)。ロシア人ということで書いてるがウクライナ人も全く同じ。さしあたりロシア・ウクライナ人名について日本語で書かれたもののなかで最も網羅的かつ分かりやすい記事だと思うのでよかったら。

1月9日

戦況のことは他を読んでほしい。東部で激戦、バフムート、ソレダール。

ロシア語かウクライナ語か

キエフ国際社会学研究所が昨年12月に行った調査で、ウクライナ国民の使用言語に明らかな地殻変動が起きていることが分かった。つまり、ロシア語からウクライナ語へ。УП分析

上のグラフで、上段が2017年、下段が2022年。青がウクライナ語、赤がロシア語。比重が青の方(左側)へ移ってる様子が一目瞭然だろう。「日常生活での使用言語は」との問いに、「専らウクライナ語」と答えた人が34%(2017)→41%(2022)に増、「主としてウクライナ語」15→17に増、「両言語等量」変わらず、「主としてロシア語」14→9に減、「専らロシア語」12→6に減。

こうした調査には願望を現実と取り違えることによる歪みがつきものであることは調査した側も認めている。そうした歪みを除去する方法として調査前にどちらの言語で調査を行うかを回答者に選ばせたり、回答者自身が調査に答える中で使用する言語を分析したりといったものがあるらしい。いずれにせよ大規模な変動が起きていることは確実である由。

あわせて行った調査で、それぞれの言語がなぜ重要であるかを聞いた。まずウクライナ語。ウクライナ語は重要だ、なぜなら……「国語だから」76%、「ウクライナの独立の基盤だから」32%、「ウクライナ社会を統合する言語だから」23%、「ウクライナ語は重要じゃない」1%。これらの数字は2014年からそんなに変わっていないという。

次にロシア語。こちらは2014年から大きく変化があった。ロシア語は重要だ、なぜなら……「全ウクライナ人が理解できる言語だから」14%(←2014年は59%だった)、「ウクライナ東部の大多数の言語だから」14%(←31%)「CIS諸国との共通言語として」7%(←34%)、「ウクライナで昔から話されてきた言語だから」5%(←15%)「ビジネスや科学技術の言語だから」4%(←10%)「優れた文学・芸術作品の言語だから」4%(←16%)「ロシア語は重要じゃない」58%(←9%)

1月8日

全国的な冷え込みで電力需要が増し各州に設定されたリミットを州内の電力消費が上回り緊急停電が起きる事態も懸念されているが、たとえば首都キエフでは時間割り通りの停電で問題なく回っているらしい。УПУП

オデッサに新年初雪。ОЖ

寒かろう。この人たちを世界が支えなければならない。ロシアがいくら押しても倒れないように支え続ける。

いつものヤツです。お年玉余っている方、募金にご協力ください。

・日本赤十字社 医療サービス・機器、医薬品など
https://www.jrc.or.jp/lp/kaigai/donation/
・ユニセフ 子供たちの安全・健康支援
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/ukraine/
・UNHCR 発電機、毛布、温かい衣服など防寒支援
https://www.japanforunhcr.org/appeal/winter-support

ロシアがつくった「世界最大の地雷原」

昨日の話題だが、ロシアがウクライナの領土のうえに築いた地雷原の総面積は25万平方kmにのぼる。日本でいえば本州(23万平方km)と四国(2万平方km)を足した面積だ。「ロシアは世界最大の地雷原をウクライナに造った」「人々の移動が困難になるだけでなく、我が国の基幹産業のひとつである農業にも深刻な損失を引き起こすものだ」とシュムィガリ首相。УП

1月7日

「クリスマス停戦」が明けた。ロシアが一方的に停戦を宣言する中でウクライナ側が攻撃を仕掛けて、それが露プロパガンダにうまく利用されてウクライナの国際的イメージまで傷つくのではないか、と心配したが杞憂であった。ロシア自身がさんざ停戦違反を犯した(ウクライナ側発表)。少なくともロシアが騒ぎ立てて世界の人の耳目をそばだてるに足るほどの揚げ足はウクライナは取らせなかった。

ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア軍は7日夕方までの24時間に空爆1回、ロケット砲からの砲撃7回を行い、ウクライナ軍拠点に対する戦車・迫撃砲等による攻撃も複数回行われた(УП)。タイムラインにはロシア軍のバフムート砲撃で市民2人死亡13人負傷とか(УП)ハリコフにミサイル着弾で1人死亡とか(УП)ザポロージエ郊外にミサイルが飛んできて爆発(УП)とかの見出しが躍った。

地雷原のウクライナ

国家非常事態庁が爆発物マップを発表した。УП非常事態庁

円の中の数字はその円の周辺に「半径30mの中に爆発物があるかもしれないエリア」がいくつあるかを示している(と理解した)。

ウクライナはツーリズムが発展していない。PRもされてないしよく整備もされていないが、実はオデッサ周辺だけでも景勝地の宝庫である。こんないいとこあるのに知られとらんよなぁ実にもったいないことをしているなぁと思うこと再三であった。そういう場所には誰がどうやって行くのか。知ってる人とか、知ってる人から口コミで聞いた人が、道なき道をただどって行くのである。地図でオレンジ色になっているエリアにも風光明媚な場所がどんだけでもあると想像する。ヘルソンあたりのドニエプル・デルタだってそうだ。この戦争が終わっても地雷や不発弾による死傷の報に長く接することになるであろうし、ウクライナの観光開発は大幅な遅れをとる。本当に……どうしてくれるんだよ、ロシア。

1月6日

7日0時(日本時間7時)現在、深刻な「停戦」違反の報はない。ウクライナには二つの道があった。勝手に入ってきたやつが壊し殺し盗み犯し狼藉の限りを尽くした、それに抗う形で不可抗的に戦闘が始まった。あるタイミングで侵略者の方が一時停戦を一方的に宣言して実際に破壊と殺戮を一時停止した。だがそいつはまだそこにいるのだ、本来いるべきでない人んちにい残ったままで、そうしてその一時的な停戦が明けたらまた破壊と殺戮を再開することは必定なのだ。ならば、むこう都合の停戦宣言など全く意に介さないで叩く、そこに不当に存在するものをそこから追い出すためにただ叩く。これはこれで全く正当なことに思える。

だがISWによれば「プーチン主導の36時間停戦はウクライナの評判を損ねることを目的とした情報戦という意味合いが強い」УП。プーチンは停戦を命じるに際し宗教的根拠を引き合いに出しており、そうである以上は、これをウクライナ側が無視して攻撃を行った場合、「ウクライナは正教徒を迫害している」ということに、どうしたってなる。露プロパガンダ的には。そうして「正教徒の真の庇護者はプーチンである」というイメージが強化される。

叩くか、待つか。ウクライナは評判によって戦ってるとこあるから、理不尽でも停戦には応じざるを得ない、か。敵のペースか、プーチンにまたしてもうまいことやられたのか。

もとはといえば新年祭中の停戦はゼレンスキーが言い出したのである。12月12日、G7各国首脳向け声明で、ロシアに対し二つの日付の降誕祭と正月を含む期間の休戦を呼び掛けていた(前の記事12/12の項)。これを露は一蹴した。実際に大晦日や元日にさえキエフに大量に自爆ドローンだのミサイルだの飛ばしてきた。

ウクライナは12/25と1/7がともに祝日である珍しい国だった。だがロシアの侵略を受け、もと1/7に降誕祭を祝っていた人の相当部分が、12/25の方に移っているという。伝統であれ慣習であれ宗教であれ(言語であれ)もはやロシアとひとつのものをともにしたくない、という人たちの思いが、かの地のカレンダーとか風俗習慣に地殻変動を起こしつつあるのだ。ある人はこれを国民国家の形成過程と呼ぶ。そこへ今回プーチンが、この世にひとつ聖別された日があるとすればそれは1/7であって、また1/7以外にない、という価値観を押し付けてきた。<ロシア世界>русский мирによる抱擁だ。停戦それ自体は歓迎すべきことなのだろうが、そのやり口の陋劣さとか構図の醜さに深い嫌悪を覚える。

気温、電気

オデッサの10日間予報

雪もちらほら、0℃付近をいったりきたりは、オデッサとしてはこの季節の平常運転だ。風が強いので屋外の体感気温はもう2、3度低いであろう(10日の風速17m毎秒やばい)

一方キエフの10日間予報は

やはりだいぶ寒い。7日と8日は最高気温-8℃。

寒くなると電力消費が増える。6日昼時点で全州の電力使用量に上限が設けられている。この上限を超えると緊急停電となる。そうならないために、各州が計画停電を行う。УП

1月5日

ロシア正教会の首魁キリルとロシア国家の首魁プーチンが相次いで「クリスマス停戦」を呼び掛けた。後者は実際にロシア国防相の首魁ショイグに対し6日正午から7日24時まで36時間にわたり全前線で戦火を収めるよう命じた。УПУП

ロシア正教では1月7日が降誕祭である。ウクライナでも降誕祭を(12/25でなく)1月7日に祝うという人が25%いる→前の記事12/30の項

このロシアからの一方的なクリスマス停戦の呼びかけについて米バイデン「12/25や1/1にすら病院・幼稚園・教会を爆撃した者について何をかいわんや」УП、ゼレンスキー「敵の狙いは短時間なりとウクライナ軍のドンバスにおける前進を止め、その間に自軍の装備を前進させること」УП、ポドリャク大統領府長官顧問「情報戦以外の何ものでもない。束の間にもせよ自軍補給拠点に対する攻撃の烈度を下げ、追加の動員を行い、占領地に防衛線を構築し、部隊の配置換えを行う。こうしたことを軍事的手段で行い得なかったがために月並みな情報工作に出たものに過ぎない」УП、クレバ外相「ウクライナ側は先に10か条の和平案を明確に示している。これを無視して12/25前夜にヘルソンを砲撃し1/1に大規模ミサイル・ドローン攻撃を仕掛けてきたロシアのいう『一方的な停戦』など真に受けられるはずがない」УП、ダニーロフ安全保障会議書記「連中が勝手に言ってるだけだ。停戦なるものについて何らの交渉を行うつもりもない。我々には全く関係がない。連中のすべきことは、持ってきた書類も兵器も全部引っかかえてロシアに帰ること、それだけだ」УП

それでも撃ってこない以上は、撃つべきではないと思ってしまうのだが。敵プロパガンダに好餌を与えないために。たとえば極端な話、この日にクリミア橋の第二の爆破を行いでもしたら、ロシアの国民感情としては、いよこそウクライナはサタンに与するものということになる。それがゆくゆく政権を打倒するかもしれない可能性に賭けて、ロシア国民の気分というテコは大事に育てていく必要がある。ならば向こうが聖日停戦というならば、こちらからは撃つべきでない。正教を信奉するウクライナ兵士の少なくない割合にとっても、1月7日は聖日なのであるし。

ウクライナ戦争と情報戦

УПに「ウクライナ戦争と情報戦」と題する(全然題さない)コラム。ウクライナのSNSユーザーがいかにロシアのプロパガンダを無意識的に拡散してしまっているか、という。以下にまとめる。

まず前提として、ウクライナでは市民の74%がSNSを情報源としている。うちのFacebookについて分析したところ、2022年6ー9月の期間にユーザーの63%が偽情報の拡散に加担していたという。ここにはもちろんロシアの意図的な呼応とか増幅も効いている。

コロナと戦争

ここ数年でロシアは二波にわたり超大規模な情報工作を行っている。第一次はコロナ、第二次は軍事侵攻に伴うもの。そのどちらでもFacebookは重要なツールとなった。オックスフォード大インターネット研究所によると、コロナに関する偽情報の92%はロシアと中国が発信源という。「反ワクチンキャンペーンによってクレムリンは『ウクライナ国内のエージェントを使って市民を街路に引き出すことは可能だ』との確証を得た」。つまりクレムリン発の反ワクチン情報工作はのちの軍事侵攻(に伴う情報戦)のよき予行演習になったというのである。反ワク運動の急先鋒の一人がかのキリル・ストレマウーサフ、占領下のヘルソンで「副知事」に上り詰め、11月に交通事故で死んだ名うての対敵協力者。

で、反ワク活動家はロシアの侵攻後にベクトルを変えた。同じ人たちが「これは戦争ではない、ビジネスだ」というテーゼへと旋回し、政治・軍事エリートの汚職への非難を繰り返すようになった。この状況で誰かが金儲けをしている、この状況は誰かの金儲けのためであると。たとえばウクライナ兵士の装備が貧弱なのは志願兵支援基金が猫糞してるからだ、云々。こうした情報が裏どりなく拡散された結果、はからずも敵を利することになっている、という。

ウクライナ人vsウクライナ人

Facebookユーザーの3人に1人が同胞非難の投稿を行っている。いわく「お前らがレストランに座ってるときに同じウクライナ人の戦士が塹壕で血を流してるんだぞ」いわく「オデッサに電気がこないのはリヴォフに電気を回してるからだ」いわく「西部では現地住民は勤勉に働いてるのに東部・南部からの疎開者は飲んだくれてばかりいる」。ロシアはウクライナ国民の分断をつとに目論んでおり、こうした言説を分析しては言論空間に介入して、個別の意見をさも全体の総意であるかのように誇張して拡散しているという。

我々には真実が伝えられていない

公式メディアが最も好む話題のひとつが敵の損失であり、最も忌む話題が味方の損失である。その裏返しで、SNSでは味方の損失の話題がもてはやされる。味方の損失は甚大なのではないか、政権は我々から真実を隠している、たまに捕虜交換の話題があるが、これは取り返し得た数十人によって取り返せていない数千人のことを覆い隠す試みではないか。「政権は彼らのことを見放したのだ。我々は見放してはならない。拡散してくれ」。


論考に書かれてることはざっと以上であるが、どう思うだろうか。どう思いましたか。ダメ出しをすると、敵の情報工作の話と、ウクライナ人自身の利敵性情報発信の話がごっちゃになっている。あと、利敵性情報発信についてだが、そうなんでもかんでも「偽情報」と断じてしまっていいだろうか。たとえば伝聞とか見聞ベースの投稿で、公式発表とか公式報道には拠らないけれども真実を伝えている、ということもあるではないか。公式筋とか公式メディアの言わないこと・その言ってることに反することすべてが「偽情報」だろうか。私自身の管見から推していうのだが、汚職は戦時下でも普通に行われてると思うし、西部と南部のメンタリティの違いもあるだろうし、実際に味方の損失は国民から秘匿されている。

この本↓

これがドイツで2022年に発刊した児童書ベスト12に入ったそうです。著者はウクライナ人。本邦でも書店でお求めになれます。УП

1月3日

3日は春並みの高気温のため電力需要が下がり、また晴天のため太陽光発電量も増えたため、昼過ぎまではウクライナ全土で電気が使える状態であった。ただし、夕刻にかけて電力消費が増大するため電力会社は各州に使用量の上限を課し、この上限量に応じて計画停電が行われた。最も電力不足が深刻であった首都キエフも停電は計画的なもの(緊急的でなく)で済んでいる。УПУП

1月2日

またしても首都キエフに大規模ドローン攻撃。2日未明、イラン製自爆ドローン40機が飛来、その全てを撃墜したということだが、あわせて用いられた誘導ミサイルが着弾したか、エネルギー施設に被害があり緊急停電が生じた。それでも全体として電力供給は安定的であるとのことだ。УПУПУП

ゼレンスキーいわく、2023年始まってわずか2日で、撃墜した敵ドローンはすでに80機。ロシアは今後もウクライナの対空防衛を消耗させるべく長期にわたって同様の攻撃を続ける可能性があるという。УП

だが、繰り返されるロシアのエネルギーテロにもかかわらず、ウクライナ国民の継戦意欲は揺らいでいない。キエフ国際社会学研究所が12月4-27日行った調査では、「早期停戦のためには領土的譲歩もやむなし」と考える人は8%、「譲歩はあり得ない」と答えた人は85%。9月の同様の調査と同水準であった。УП

暖冬?

元日キエフの平均気温は+10.3℃で4月並みの暖かさであった(УП)。義父母によるとオデッサもめちゃめちゃ暖かいらしい。天もウクライナの味方をしているか。

だがこのまま冬が終わるわけもない。予報ではこの暖かさはあと数日で終わり、続く急激な冷え込みで7日には日中の気温が-6°前後という水準になる。全土で雪も降る。УП

不屈のヨールカ

本記事のサムネに使っている首都キエフの新年祭ツリー、いわゆる不屈のヨールカ(ёлка несокрушимости)が、BBCの「世界で最も美しいクリスマスツリー10選」に選ばれた。УП

ニューヨーク↓

ストックホルム↓

香港↓

キエフ↓

プラハ↓

1月1日

朝日新聞の元日号一面はアレクシーエヴィチへのインタビュー。作家によればウクライナの民をいま支えているのは「勝利を信ずる心」と「なにげない日常」だそうだ。孫の頭をなでること、朝の一杯のコーヒー。

2023年は必ずウクライナ戦争終結の年となりますように。必ず。必ず。(そうしてその終結は、絶対にロシアの勝利でなどありませんように)

ウと露、双方の大統領の、年越しの国民向けビデオメッセージを見た。

Привітання Володимира Зеленського з Новим 2023 роком

音響効果も駆使してドラマティックに演出した。ついにロシア語は一語だに用いなくなったがもうそんなことはどうでもいい。好きな箇所を訳出す。

「2月24日の爆発音は我らの耳を聾した。以来私たちには全部の音が聞こえているわけではない。すべての声に耳を傾けてはいない。ある声は言った、『降伏するより道はない』と。だが私たちは言うのだ、『勝利するより道はない』と」

「この一年は”損失”の年であったと名指しうる。だがそれは正しくない。そのようには言うべきでない。我々は失ったのではない。奪われたのだ。ウクライナは息子たち娘たちをただ失ったのでない、人殺しによって奪われたのだ。ウクライナ人はただ住む家を失ったのではない、テロリストによって破壊されたのだ。我々は自らの土地を失ったのでない、そこへ占領者が入り込んだのだ。世界は平和を失ったのではない、ロシアがそれを破壊したのだ」

「311日。そのどの1分間についても多くを語りうる。だが贅言は無用だ。説明も文飾も要らない。必要なのは静寂、そしたら聞こえてくる。必要なのは静止、そしたら浮かび上がってくる。

2月24日。朝。

ゴストメリ。ブチャ。イルペン。ボロジャンカ。ハリコフ。

『ムリーヤ』。

クラマトルスク。駅。ぬいぐるみ。

チェルニーゴフ。

マリウポリ。劇場。『子供』と書かれていた。

オレネフカ。

オデッサ。集合住宅。少女。3か月の。

ヴォリニャンスク。産院。赤ちゃん。生後2日。

『アゾフスターリ』。

忘れることなどできない。許すことなどできるはずがない」

「戦争においてはすべての人が重要だ。武器を手にする人、ステアリングを握る人、パソコンに向かう人、コンバインを運転する人、哨戒を担う人、電力復旧に励む人、働くすべての人、学ぶすべての人。全面戦争に小事はない。不要なものなど何もない。一人一人が戦士だ。一人一人が前線だ。一人一人が国防の礎だ」

「この1年は帰還の年となる。戦士たちは家族のもとへ。捕虜は自宅へ、避難民は祖国ウクライナへ。ふつうの生活への復帰。外出禁止時間などない、空襲警報も鳴らない。奪われたすべてのものを取り返す。子供たちの幼少年時代、父祖たちの穏やかな老境。夏休みには孫がじぃじとばぁばに会いに来れるようになる。ヘルソンのスイカも。メリトポリのサクランボも」

私(何丘)も私の戦いを戦おうと思う。めっちゃ微力だが。戦争に小事なし、すべての人が前線。

Путин впервые на Новый год обратился к россиянам с военными, а не на фоне Кремля

対する頓風珍の方は紹介に値するものが何もない。サムネからすら漂う作り物感。何か奇怪な、自然でない、正視に堪えない感じ。スピーチの中の陶酔的な声のふるえも含めて、ただひたすらに気色悪い、胸糞悪い。見ながら100回「滅びてくれ」と唱えていた。

ロシアの残存攻撃力は

ウクライナ側の見立てでは、ロシアの残弾は枯渇しかかっており、大規模ミサイル攻撃はあと2回程度しか行えない。それが証拠に最近の大規模攻撃ではロシアは使用するミサイルの数を減らし、イラン製自爆ドローンなど種類の異なる複数の兵器を併用するようになっている。「3月までにロシアは深刻な兵器不足に陥る」とブダーノフ情報総局長官(УПУПУП)。ウクライナ側が一時盛んに口にした「ロシアは2月に前年を彷彿とさせる大規模侵攻をかける」というような暗鬱な未来予測はすっかり鳴りを潜めた。

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