ウクライナ戦争側面史Ⅲ

オデッサ/ウクライナ/ロシア

みかんにオレンジ、巴旦杏
これらがモミの木に実らないことは
とても残念なこと
――ロシアの戯れ唄

※本記事は「何丘ブログ」のメイン記事である。とはいえ、他にも記事を書いている。あ、ネコだ!の記事に更新状況をまとめているので、気が向いたら色々読んでみてください。
※本記事はオデッサ(ウクライナ)情勢、現地報道まとめ(2022年3/15~6/28)続・オデッサ(ウクライナ)現地報道まとめ(6/30~9/22)続々・オデッサ(ウクライナ)現地報道まとめ(9/23~12/31)続々々・オデッサ(ウクライナ)現地報道まとめ(2023年1/1~4/27)ウクライナ戦争側面史(オデッサを中心に)(5/15~8/2)ウクライナ戦争側面史Ⅱ(8/24~11/30)の続きです。

2/25(732日目)

「ウクライナ、2024年」と題する大型記者会見が開かれ、大統領以下キーパーソンが次々登壇、興味深い現状認識を示し、また「戦争3年目」への所信表明を行った。というわけで今日は要人の発言集。ゼレンスキー、ブダーノフ、ウメロフ。

■ゼレンスキー
・ウクライナ軍の死者は3万1000人
22年開戦以来のウクライナ軍の死者数は3万1000人。ロシア軍の死者は18万人。これに不明者・負傷者加えると最大50万人にもなろう。ウクライナ軍の負傷者や不明者については言わない。何人が戦場から退場したかをロシア側に教えることになるから。УП
(ウクライナ軍の戦死者については、23年11月に英誌エコノミストが「少なくとも7万人」と報じていた)
・新たな反転攻勢の条件とは
ウクライナが攻勢に転じるのは、ロシア軍との戦力比が1対1に近づいたときだ。ハリコフ方面(クピャンスク)を例にとると、昨年末から今年初めの時点で砲弾の比率が我1に対し彼12であった。これが現在は1対6.6まで差が縮まっている。とはいえなお膨大な開きだ。昨季の反転攻勢は戦力比1対1.5~1対3の状態で行われた。そうなればロシア軍を押しやれる。それまでは、無念だが、100mや50mずつ(領土を)失っていくことになる。だが戦略的により大事なのは、人(兵士)を失わないことだ。要するにやるべきことはシンプルで、議論し合意し調印された支援についてはきちんと行ってくれと、パートナー諸国に圧力をかけることだ。それである方面で1対1状態を実現したら、必ずや結果を出す。これまでも出してきたように。УП
・プーチンのこと其の一
(ゼレンスキーは大統領就任の年である2019年の12月、ノルマンディー・フォーマット(ドンバス紛争を協議する枠組み、ウ露独仏)首脳会合@パリで一度だけプーチンと会談している。当時の印象を問われ)交戦ラインからの部隊の引き上げを伴わぬミンスク合意は無効であること、ガスのこと、捕虜交換のこと、相当長く話し、また交渉したが、正直よく覚えていない。そのときのことを思うと別の誰かの人生みたいだ。全てが今と全く違った。だが非常に長く話したという感じはする。УП
・プーチンのこと其の二
プーチンの弱点はお金だ。彼にとってはお金こそナンバーワン。ロシアの在外資産の凍結とウクライナへの譲渡によってロシアの実業界におけるプーチンの立場は弱まる。戦場でロシア軍を痛めつけ、一方では国際的孤立と制裁によってロシアを弱めることで、プーチンは貧しくなる。УП
・プーチンのこと其の三、あるいはウクライナの敗北について
米ABCニュース記者:ウクライナはこの戦争で敗北しつつあるのではないか、プーチンと対話すべき時なのではないか?ウクライナは勝つための武器が足りていないし、秋には米国で大統領選挙もあるではないか。
ゼレ:つんぼの人間と話せるだろうか。自分の敵対者を殺して回るような人間と話せるだろうか。ていうか貴方、聞いてませんね。イヤフォン(※通訳)つけてください。質問するだけじゃなくて、質問への回答を聞いてください。
以下、ゼレンスキーいわく:自分がこの戦争に敗北したと、自分は大きな過ちを犯したと、自分にとっては小さな過ちかも知れないが、我々にとっては悲劇である、全民主主義世界にとっての悲劇である、そういう過ちを犯したと、そうプーチンが認めるための場所なら用意してやる。さて、ウクライナは敗北するか? 確実に、否。勝つ以外の選択肢は我々にはない。ウクライナが敗北すれば我々はいなくなる。自己の生存をかけた戦いにそのような終わり方(敗北)はあり得ない。犠牲の多寡はあなた方しだいだ。西側のパートナー諸国が十分な武器をくれれば、我々は勝つ。プーチンの一歩の後退は、プーチンが日ごとに一歩後退するとすれば、それは必ずやロシア社会に影響を与える。そのときやっとプーチンは対内的な安全保障のことを考え始める。プーチンは30年まで居座る気だ。我々はそれより早くプーチンとの関係を終わらせたい。УП
・ナヴァーリヌィとロシア人(の沈黙)
ロシア人については何をか言わんや。クレムリンを通じて自らの反体制政治家を一人殺しておいて、社会として何らの反応も示さない。彼だって同じ国民の一人なのに。УП

■ブダーノフ情報総局長官
・ロシア本土攻撃
露の政権が自壊することはない。我々の支援なしに瓦解は起こらない。ロシアに安定的な政権があることがウクライナそして世界にとっての脅威なのだから、ウクライナはロシア本土での作戦を続ける。ウクライナで戦争が続く限り、ロシア内部で問題は起こり続ける。クリミアのロシア軍施設への新たな攻撃も行われるだろう。敵を新たなサプライズが待つ。市民の皆さんは「クリミア橋」とかいう橋をどうぞご利用ください。УП
・ナヴァーリヌィ
ナヴァーリヌィは自然死だ。というとガッカリされるかも知れませんね。だがどうも、血栓らしい。それなりに確実な情報だ。インターネットからとった情報ではない。УП
・A-50
ロシアのA-50はあと6機。もしあと1機でも失えば、ロシアは24時間態勢の哨戒が不可能になる。(折しも侵攻2周年の前夜となる2月23日に同機の撃墜に成功したことについては)日付を待ったわけではない、飛行機(が現れるの)を待っていただけだ。УП
・マイダン3
ロシアが「マイダン3」とか名付けた秘密作戦でウクライナの国情壊乱を図ったが早や頓挫しつつある。敵の狙いは大統領および政権の正当性について市民に疑念を植え付け動乱(スムータ)を惹起することであった。そのために莫大な資金を投じたが、ウクライナ側にはその手の内があまりに見え透いていた。УП

■ウメロフ国防相
ブレイクスルーを果たすために可能事と不可能事の全てを行う。2024年のプランはすでにある。だが公表はしない。強力なプランだ。2024年のうちに結果を出し、その先への希望を抱かせる。УП
なお、ウメロフはこれに先立ち総司令官スィルスキーとともに前線を視察していた。スィルスキーの総司令官着任が2/8、ウメロフ&スィルスキーの第一次前線視察が2/13、第2次2/25。この間アヴデーエフカ撤退という大きな動きがあった。総司令官交替時の標語の一つが「司令部による前線の状況の正確な認識」であった。УП

その他の話題。

■ウポ穀物紛争

ポーランド農家によるウクライナ産穀物の流入に対する抗議行動で、第4次となる穀物ぶちまけ事件が発生。24→25日の夜間、ポーランド国内の鉄道駅に停車中の貨物列車からウクライナ産穀物160トンがぶちまけられた。バルト海に面したポーランドのグダンスク港から第三国へ出荷されるはずの穀物(ポーランド報道によれば、トウモロコシ)であった。「ウクライナ側はポーランド政府との合意を順守し、一部農産品のポーランドへの輸出を停止している。穀物はただポーランドを通過するだけだ」とウクライナ地方発展・国土インフラ相。УП

■反戦デモ
2月24日、世界69か国746都市で同時多発的に反戦デモが行われた。東京でも。УП世界ウクライナ人会議

2/24(あれから2年)

■ゴストメリ(あれから2年)
ゼレンスキーがキエフ西郊のゴストメリから動画でメッセージを発した。ゴストメリにはアントーノフ国際空港があり、ここを制圧して「三日でキエフを陥落させる」ことこそロシア軍の侵攻当初の狙いであった。ゼレンスキーの背後に見えるのはウクライナが誇る世界最大の貨物輸送機ムリーヤ(夢)号の残骸か。

「偉大な国の偉大な民よ! 皆さん一人一人を誇りに思う。皆さん一人一人のことを信じている。まともな人なら誰しも思う、戦争よ終われと。だがそれがウクライナの終わりを意味することは私たちが許さない。だから『戦争の終結』にいつも『我々の条件での』と注記する。だから『平和』という語に『公正な』の一語を付す。未来の歴史で『ウクライナ』という語の横にはいつも『独立国』と書かれている。そのために戦おう。そして勝とう。ウクライナは730日分、勝利に近づいた」
この日ゴストメリにはEUのフォンデアライエン欧州委員長やカナダ・イタリア・ベルギーから首脳がかけつけ欧州とウクライナの団結を演出した。УП

■これまで①敵戦力
英国防省によればロシア軍の2年間の損失は戦車2700両・歩兵戦闘車および装甲輸送車5000台、死傷者は35万人(ウクライナ軍参謀本部によれば40万人)。侵攻時点の戦力は戦車1300両・歩兵戦闘車および装甲輸送車5000台・兵員10万人だった。ロシア軍は不足分を動員と徴兵、生産と修理によって補い、現在ではウクライナ軍を数量で圧倒している。УП

■これまで②空の戦果
ウクライナがこの2年で撃滅したのは敵ミサイル1905発、攻撃ドローン4844機、その他ドローン7660機、航空機340機、ヘリ325機。空軍発表。УП

■これから①ロシアは戦争をやめられない
ロシア経済の軍事支出への依存度はある閾値に達し、もはやロシアは戦争に勝つわけにも負けるわけにもいかなくなった。英ランカスター大の上級経済教員何某。
IMFによればロシアの今年の経済成長率は2.6%と英国の0.6%やEUの0.9%を大きく上回る。だがこの成長は莫大な軍事支出によるところが大きい。国家予算の実に40%(23年のGDPの10%)=3860億ドルが軍事支出という前代未聞の戦時増産体制。
国際的孤立といびつな産業構成、戦争による十万単位の犠牲と頭脳の大量流出、こうした状況でもしロシアが戦争に勝ってしまうと、ウクライナの占領地(「新領土」)の安全維持および復興のため、さらに莫大な支出を強いられる。ならばロシアはいっそ、膠着状態を長期持続させた方が良い。それが経済崩壊を回避する唯一の道である。要は、経済的観点からは、ロシアには戦争を終わらせるインセンティブがない。УП

■これから②西側兵器で露本土は攻撃しない
ゼレンスキー:ウクライナはパートナー諸国の兵器を外国領土に対しては決して使用しない。そのようなことをする権利がない。使用はウクライナの被占領地に限る。УП

■これから③沿ドニエストル(まぁ大丈夫でしょう)
ISWによれば、沿ドニエストルに不穏な動きありとの報道があるが(2/22参照)、同地域に駐屯しているロシア軍部隊が地上作戦をしかける兆候は全くなく、そもそも矮小な兵力でその名に値するような地上作戦をウクライナにしかけられるとは考えにくい。要は:沿ドニのロシア軍部隊は脆弱であり、ウクライナにとって軍事的脅威とはならない。УП

■ドイツ①キエフ
ドイツ外務省がキエフの表記を従来の「Kiew」から「Kyjiw」に改めた。日本の「キエフ」→「キーウ」に相当。ウクライナ語の発音に準拠する方向へ改め。УП

■ドイツ②オデッサ
ドイツ外相がオデッサを電撃訪問。ロシアのミサイル攻撃で損傷した大聖堂や港湾を視察し、ウクライナのクレバ外相と会談した。というわけで2月24日の記念日に、キエフをカナダ・イタリア・ベルギー・EU首脳(あと英ジョンソン前首相)が訪れ、ドイツ外相がオデッサを訪れた。УП

■シェルターのバリアフリー
防空警報発令時に市民が駆け込むべきシェルターは国内に6万か所あるが、うちインクルーシヴな(歩行困難者にアクセス可能な、要は階段・段差のない)ものは5000程と、1割にも満たない。バリアフリー化の予算は中央からは出ず、各自治体ないしシェルターが設置された建物の所有者の善処に委ねられるという。傷痍軍人の帰還で社会に障碍者が溢れる。バリアフリー化はウクライナが直面する喫緊の課題である。УП

2/23(730日目)

■ウポ穀物紛争
ウクライナ産穀物の過剰流入へのポーランド農家の反発による国境緊張を解消するため、ゼレンスキーの勧奨を受けシュムィガリ首相率いる政府代表団がポーランド国境を訪れたが、果たしてポーランド側は代表団を派遣しなかった。空振り。こんなことあるんや。ポーランド側は事前に「行かない」と言っていた。それでも国境へ出向いたウクライナ代表団(首相や内相、農相を含む)。ワンチャン来てくれるかな、と思ってか。政治的には幼稚と言われても仕方ないのでは。УП
これに先立ちゼレンスキーはこう述べていた:24日までに首相らを国境に送ると申した。明日(24日)は2周年記念日なのでできない。だから今日送る。向こうが来るかどうかは向こう次第。УП

■A-50撃墜
ウクライナ軍がまたロシア軍の早期警戒機А-50を撃ち落としたらしい。1/15に撃墜してセンセーションを引き起こしたあのレア機A-50である。空軍司令官および情報総局広報の発表。後者「このような大事な目標をこのように大事な日(「特別軍事作戦」2周年前夜)に破壊できたことは格別に気持ちいい」УП
なお情報総局内の情報(非公式)によれば、当該機を撃墜したのはソ連製の地対空ミサイルS-200であるという。УП

■夜襲とシャヘド
23日未明、31機のシャヘドがウクライナを襲い、オデッサ・ニコラエフ・ポルタワ・ドネプロペトロフスク、ハリコフの各州上空で23機を撃墜した。УП
オデッサ沖で撃墜したドローン片が沿岸部の建物を破壊し火災。3人死亡。УП
なお、キエフの研究機関によれば、ロシアはカミカゼドローン「シャヘド」を月間400~500機製造する態勢を整えている。同ドローンが最初にウクライナの銃後を襲った22年秋の時点ではシャヘド(Mシリーズ)は全き意味でイラン製だったが、その後イラン製部品のロシア国内での組み立てが始まり(Ыシリーズ)、今ウクライナ攻撃に使われている第3世代(Kシリーズ)はほぼロシア製ドローンと言ってよい。УП

■お金集めてドローンつくる
ウクライナ保安庁が開発した海上ドローンSea Baby生産のためのクラウドファンディングで、ウクライナ市民から僅か2日間で3億グリヴニャ(約4倍で円)の募金が集まった。このドローンはこれまでロシア黒海艦隊の船を8隻以上撃滅しており、クリミア橋まで到達して損傷させた。航続距離1000km、最大時速90km、850キロの爆発物を積める。船体は「レーダーに映らない素材」で出来ている。一機当たりの価格は850万グリヴニャ。今度のクラファンで35機作れるお金が集まった形。УП

■お金もらって情報げろる
ナヴァーリヌィの後援団体が同人の獄死にまつわる情報に懸賞金をかけ、ロシアの警察・刑務所関係者に情報提供を呼び掛けている。価値ある情報には2万ユーロの賞金を出し、かつ情報提供者のロシアからの出国を助けると。УП

■ゼレ語録
米FoxNewsのインタビューでゼレンスキーが語った。УПУПУПУП
・24年の軍事的目標は?
第一の課題は防衛だ。ロシアのような国との戦いは守るだけでも大変だ。黒海では戦果が上がっている。この方向を推し進める。ロシアを種々のサプライズが待つ。さて南は大事、だが敵が20万の兵力で押してくる東の守りも大事。ではさて、守ってばかりかというと、さにあらず、新たな反転攻勢も準備している。だがそれは多くのファクターに依存する。
・23年の反転攻勢(の不首尾)について
反転攻勢を考える際には兵士の命を考えなければならない。急速な進軍は人的損失を伴う。兵士を失えばウクライナは全てを失う。
・ウクライナ兵は何人死んだ?
具体的数字は言わないが、死者は万単位である。比率でいうと、こちらが1とすれば、ロシア軍は5。戦場でウクライナ兵1人の命とロシア兵5人の命を交換している(※ウクライナ軍参謀本部によればロシア軍の死傷者は2月24日現在、40万8240人)
・戦争の外交的解決とは
ウクライナの「平和の公式」を基礎とした和平しかあり得ぬ。ロシアが占領したウクライナの全ての土地の解放に基づいてしか。これ即ち、ミンスク諸合意の轍を踏まないということである。もう紛争の凍結(現状容認からの外交的解決)など信じない。きゃつ(頓風珍)を信じない。УП
・なぜザルージヌィを更迭した?
リセットでありリビルドであり、軍司令部のマネージメントの修整だ。それは必ずしも戦術の変更を意味しない。ただ永らく変わらなかったもの、はびこる官僚主義の克服を、早急に行う必要があった。何しろ時間がない。賢く、ハイテクに、すばやく。時は金なり、我々にとって金とは、人命だ。УП


■ある兵士の帰還(と埋葬)
オデッサ西郊アヴァンガルド村に棺が到着した。兵士ユーリイ・グロダン、22年4月オデッサの集合住宅への敵ミサイル着弾で妻と娘と義母の3人を一瞬で失い軍隊へ(前職は菓子職人)。昨年9月に戦死。村の墓地で妻ワレリヤ、娘キーラ(当時生後3か月)、義母リュドミラの隣に埋葬された。УП
「側面史6」11/8付参照のこと)

2/22(729日目)

■わるぐち合戦
CASE 1:米バイデンが選挙資金集会でプーチンを「狂ったサン・オヴ・ア・ビッチ(娼婦の息子)」呼ばわり。露ペスコフやや気色ばみ、プーチンは泰然としてみせた。CNNУПУПУП
CASE 2:露メドヴェージェフが露メディアの取材でナヴァーリヌィ獄死について遺族を侮辱。「未亡人は夫が死んで嬉しそうだった。自身の政治キャリアを飛躍させる契機を何年も待ち焦がれていたかのようだった」。これを受けユリヤ夫人「メドヴェージェフは政権の咬ませ犬でこういうときこちらがムキになることこそ連中の術中なので基本的にこの不在の者には取り合わぬのがよろしい、今いうべきは『プーチンがアレクセイ(・ナヴァーリヌィ)を殺した』その一言だけ」と冷徹。MeduzaУП

■あたまおかしい
同じインタビューでメドヴェージェフはキエフとオデッサへの食欲を示した。特別軍事作戦をどこで終結させるべきか。キエフはとることになるだろう。今じゃなくてもいつか、この紛争のどこかのフェーズで。というのも第一にキエフはロシアの街(ルースキイ・ゴーラド)であり、第二にキエフは米国を筆頭とする反ロシア国際連合体の支配下にありロシア連邦の存続に対する国際的脅威の淵源になっているから。だからキエフはそうね、とることになります。それから、おーい、オデッサぁ! ロシアのもとへ帰ってこーい(笑)。ロシア連邦はオデッサを少々待ち疲れました。この街の歴史から言ってもそこで人たちの話す言語から言ってもオデッサは私たちの、ロシアの街にしてロシアの街(ラシースキイ、ルースキイ・ゴーラド)です。УП
この発言についてEU報道官(外交問題担当)「コメントする価値なし」「ひとつ言うとすれば、メドヴェージェフ氏は精神科で診てもらった方がいい」УП

■ポーランドとの穀物紛争
両国農業従事者の対立をトップ会談で解決しようというゼレンスキーの呼びかけをポーランドのトゥスク首相が拒絶した。いわく:それやっても形だけのことになるだろう。仰々しく団結を演出することよりも、いま大事なのはテクニカルに中身を詰めていくこと。言っとくが、ウクライナとの関係は良いし、対話は続いている。ウクライナは今後も抗露闘争におけるポーランドの全面支持を期待してよい。ただ一部で利益の相反があり、これをウクライナやEUと調整していかなければならない。なお、政府間対話なら今やらなくとも、3月28日に予定されている。УП
関連して。安全上の観点からしばらく見送られてきたコンテナ船を使ったウクライナ産品の水上輸送が再開する見込み(ポーランド農家による国境封鎖を受け代替輸送路として)。まずは近日中にドナウ川航路を再開させ、追ってオデッサ諸港から黒海を伝った輸送も再会する計画。УП

■ポーランドの世論調査
United Surveys社が2月中旬に行った調査。УПУП
Q:戦争のもたらす帰結は?
紛争は今後も長く続き、露とウ双方の壊滅をもって終わる……47.4%
ウクライナが勝つ……17.4%
ロシアが勝つ……14.1%
Q:ロシアのポーランド侵攻あるか?
確実にある……12%
多分ある……35%
ない……38%
(前二者合して47%と実に半数弱がポーランド侵攻「あり得る」と見ている。23年5月比16ポイント増。ウクライナの苦戦あるいはロシアの強さそして野心を見て明日は我が身との感を募らせている)

■沿ドニエストル蠢動
モルドヴァ東部一帯の自称独立国・沿ドニエストル(実態はロシアの飛び地、ウクライナとモルドヴァに挟まれた陸の孤島)で今月28日に中央・地方議員総会なるものが開かれ2006年以来の「国是」であるロシアへの統合を改めて求める決議を行う計画という。УПの独自情報。なんでも28日に沿ドニエストルからプーチンへメッセージが出され29日にはプーチンが応答メッセージを出す、のちロシア連邦議会が緊急的に本件に関するある種の決定を下す段取りだとか。
(※同地域では2006年に「住民投票」が行われ、97%が将来におけるロシアへの統合とその間の独立を是とした、ということになっている)УП
本件にウクライナ国防省情報総局がコメント、現時点では裏付けのない情報という。УП

■ウクライナにはロシアを攻撃する権利がある
NATOのストルテンベルク事務総長がラジオ・スヴァボーダのインタビューで「ウクライナにはロシア本土の軍事標的を攻撃する国際法上の権利がある」と述べ、のちNATO広報も「然り、事務総長は『ウクライナは国外の露軍事標的に対する攻撃を含む自衛の権利を持っている』ことを意味した」と追認した。
ストルテンベルクはこれまでにもウクライナの国際法上の権利については言及していたが、その中にはロシア本土への攻撃も含まれるとの明言は、今回が初。
ウクライナがドローンや長距離ミサイルでロシア本土を攻撃していることは周知の事実だが、これまでウクライナは対欧米関係上の配慮から、それが自軍の攻撃であるかどうかは明言を避けていた。УП

2/21(728日目)

もうすぐ2月24日、開戦2年。StandWithUkraineがこの日にウクライナとの連帯を示す世界同時多発的デモを呼び掛けていて、参加都市に印がついた地図を公開中。日本からは東京の「クラヤヌィ(日本ウクライナ友好協会)」と名古屋の「日本ウクライナ文化協会」がエントリーしている。

知らんけど、一人でも参加者多ければウクライナの皆さんは嬉しいと思う。意味といってはそれだけ、でも大事なことだと思う。お近くで参加可能な方よければ。

■ウポEU3者会談?
ポーランド農家がウクライナ産穀物の流入を国境で実力阻止している問題で、ゼレンスキーはウクライナ語とポーランド語によるビデオメッセージを発出、24日をめどにウクライナ=ポーランド=EUの3者協議をウ=ポ国境で実施することを呼び掛けた。①自国閣僚に参加を命じた、②自らも参加の意思がある、③ポーランド首相および大統領閣下の出席を、④欧州委員会も代表者の派遣を。「ウクライナの農家もポーランドの農家も互いをおとしめることは止めよう。我々に必要なのは一体性だ。ウクライナのためにもポーランドのためにもEU全体のためにも、解決が必要だ」←この箇所ポーランド語で。УПУП

■アヴデーエフカ撤退でウクライナ兵数百人が捕虜に?
アヴデーエフカ撤退の際に数百人単位のウクライナ兵が捕虜に取られたとのNYT報道。ウクライナ軍はこれを無根拠なデマと退け、「不明者の確定作業は現在進行中であり、追って確実な情報を出す」とした。УПУП

■読心
情報総局の見立てでは、ロシアは豚芝居「大統領選」(3月15-17日)に向けて戦果を急いでいる。アヴデーエフカで上げたような目に見える形の戦果を他の場所でも出したい。たとえばクピャンスクやリマンといった大規模侵攻(22年2月)以降にウクライナ軍が取り返した土地を再支配できればロシアとしては象徴的な効果が高い。そして今後半年くらいをかけてルガ・ドネ両州全域を掌握したい考えだ。УП

■世論調査
キエフ国際社会学研究所が2月初旬に行った調査。УПУПУПУП
①戦争に勝つのはウクライナか、ロシアか?
間違いなくウクライナ……60%
おそらくウクライナ……29%
おそらくロシア……3%
間違いなくロシア……1%

左から、22年5月、23年12月、24年2月。勝利を確信している人は減っていっているが、それでも今なお全体で89%が勝利を信じている

②いま戦況はどちらに有利か?
ウクライナ……24%
ロシア……15%
どちらでもない……47%
わからない……14%

③どうやって決着つける?
犠牲をいとわず軍事的手段のみを用いて勝利する……23%
犠牲の最小化のため外交手段を用いた戦争終結の道を模索する……72%

左から、22年5月、23年12月、24年2月。戦って勝つことへの楽観が薄れ犠牲の重みが耐えがたくなっていることが窺える

④現実的に考えて、戦争の結果ウクライナはどうなる?
現状(ドンバスの大半とクリミアさらには南部2州の大半を奪われた状態)で決着する……19%
22年2月24日時点の勢力図(ドンバスの大半とクリミアを奪われた状態)で決着する……9%
ドンバス全域を奪還するがクリミアは奪われたままで決着する……4%
91年国境(ドンバスとクリミアを含む)の完全回復……52%
ロシア本土が戦場になる……14%

左から、22年5月、23年12月、24年2月。この数か月で91年国境の完全回復を信じる人が61%→52%へ激減。現状の勢力図の固定化やむなしと考える人はこの2年弱で6%→19%に増えた

⑤いつまで戦争耐えられる?
どんだけでも耐える……73%
1年は耐えられる……3%
半年……3%
あと数か月……18%

左から、22年5月、23年12月、24年2月。変わってない。「あと数か月しか持たない」と22年5月時点で言ってた人も、結果的にはよく耐えている(そうして変わらず「あと数か月しか持たない」と思っている?)

■世論調査②ラズムコフセンター
ラズムコフセンターが1月下旬に行った調査。УП
Q:ウクライナが戦争に勝つことをを信じる?
信じる……85%
信じない……8.5%
Q:戦争に「勝つ」とはどういうこと?
ウクライナ全土からロシア軍を追い出し14年1月時点の国境を回復する……38%
ロシア軍を壊滅させロシア国内の反乱とロシアの崩壊に協力する……27%
22年2月23日時点の現状を回復する……13%
ウクライナ全土からのロシア軍の追放、ただしクリミア除く……7%
大規模侵攻(22年2月24日)の結果占領された領土にロシア軍が残った状態での終戦……4%
Q:(勝利を信じる人へ)勝利の日はいつ来る?
年内に……20%
1-2年後……40%
3-5年後……14%
5年以上……3%
わからない……22%

2/20(727日目)

■ウポ穀物紛争
ポーランドとウクライナの穀物紛争が過熱している。ポーランド農家がウクライナ産穀物の流入(輸入及び通過)に抗議してウクライナとの国境を私人封鎖、20日朝には鉄道さえ封鎖して立ち往生した貨物列車からウクライナ産穀物を一部ぶちまける蛮行に及んだ。УП
これに対しウクライナの運送業者が封鎖解除を求めてポーランドとの国境通過ポイント3か所で抗議行動を起こした。組織者「行くも止まるもお互い様だ。こちらからあちらへの通行がブロックされて、あちらからこちらへの通行が天下御免などふざけた話だ。彼らの求めていることは分かる。だが文句を言うならEUないし自国政府に言うがいい、ウクライナはお門違いだ」УП
ポーランド側の抗議行動組織者は、国境の実力封鎖を「4月まで続ける」としている。「ローテーションで当たる。農家の一部は農場で働き、一部は国境に立つ」「もしポーランド政府が農家への対応を変えず、ウクライナ側が対抗的に国境封鎖をしてくるなら、我々はトラックだけでなく、旅客バスもウクライナから入れなくする」УП
抗議行動ではメッセージが書かれたプラカードが諸々掲げられるわけだが、ポーランド側が掲げた一つに「プーチン、ウクライナをどうにかしてくれ」と書かれたものがあって、さすがにコレはということになった。

「プーチン、ウクライナをどうにかしてくれ。それからブリュッセル(EU)を、またポーランドの役人どもを」。ソ連の国旗まで掲げられている

この写真がSNSに出回るとさすがに抗議行動の組織者も面喰い、ポーランド内相は即座にXで「警察と検察がこれ書いたやつを調べる」と発表。ポーランド刑法典で「国籍・民族・人種・宗教上の相違に基づく憎悪の扇動」に対しては罰金もしくは2年以下の自由刑が科される。УП
ウクライナ側は、EUへの穀物の陸上輸送がこうしてポーランド農家にブロックされていることを受け、ドナウ川を使った水上輸送を拡大することを検討中。「ポーランドよりルーマニアの方が予見可能性が高い」とウクライナインフラ相。УП

■世論調査
キエフ国際社会学研究所が2月上旬に行った調査。УП
●ゼレンスキーは2期目も続投すべきか?(注:ウクライナの大統領任期は5年かつ連続2期まで、2019年5月大統領就任のゼレンスキーは24年5月改選にかけられるべきだが、憲法の規定上、戒厳令下で国政選挙は行われない)
・2期目も可……53%(23年12月は59%)
・1期でやめとくべき……43%(同、34%)
●大統領選挙は行うべきか?
・戦時体制が続く限りゼレンスキーが現職に留まるべき……69%
・大統領選挙行うべき(戒厳令の解除もしくは関連法の改正によって)……15%
・ゼレンスキーは5月24日で辞任し、最高会議議長が大統領代行となるべき……10%

2/19(726日目)

УПのタイムラインに日本という語が躍った。東京で「日ウクライナ経済復興推進会議」が開かれたことの関係で(シュムィガリ首相もこれに参加)。日本のメディアで詳報されているので敢えてここでは取り上げない。いま欧米の武器支援が滞っていることを背景に、財政支援揺るぎなく確実にくれる日本の存在はウクライナの人たちに大変頼もしく見えていると想像する。

■武器支援の遅れと防衛線崩壊の危機
ISWによれば、西側の武器支援の遅れに乗じてロシアは前線の複数個所(少なくとも3か所――①ハリコフ州とルガンスク州の州境(クピャンスク及びリマン含む)②アヴデーエフカとその周辺③ロボチノ近郊およびザポロージエ州西部)で同時に攻勢をかけている。先般のウクライナ軍のアヴデーエフカからの撤退は西側供与の弾薬や防空システムの欠乏によるところが大きく、且つまたウクライナ軍は米国からの軍事支援が完全に停止する危惧から前線の広い範囲に装備を分散配備せざるを得なくなっており、こうした状況をロシアは勝機と見て、一挙攻勢をかけているものと目される。こう攻勢を受け続けるとウクライナ軍は自らの反転攻勢のために人員や装備を準備することもままならない。もし24年の間中塹壕を掘り続け防御し続けることとなったら、ウクライナとしては非常に苦しい。УП
ゼレンスキーも言う。クピャンスクの前線視察後に「ロシア軍は予備兵力を前線の幾つかの場所に集中させ、西側のウクライナ支援が遅れ砲弾不足が起きているこの隙に突破しようと計っている」УП

■ロシアにスターリンク使わせなくする
ロシアの侵略軍がウクライナの占領地でSpaceX社の衛星通信システム「スターリンク」を使用していると見られる件についてフョードロフDX相:この件についてはイーロン・マスク氏ともコミュニケーションできている。我々は、戦場で①ロシア軍はスターリンクを使えなくなるが、②ウクライナ軍は引き続きスターリンクを使える(というのもドローン作戦に必要なので)、そういうことを可能にするアルゴリズムを発見した。これをSpaceX社側に提案しているところだ。УП

■2月24日回顧録(ドンバス軍司令官の場合)
ドンバスは22年2月のロシア軍の全面侵攻に先立つこと数か月、21年秋には侵攻への備えを進めていた。当時ドンバス統合軍司令官(現陸軍司令官)のパヴリュク談。
「LNR軍とDNR軍だけでなくロシア本土から部隊が攻めて来る兆候が明白だったため、秋には迎撃準備を開始した。彼我の戦力差は圧倒的だが背後に全ウクライナが控えていることを思えば防塁として立ち凌ぐ他に選択肢はなかった。1-2月には情報総局からも侵攻マジあるかもとの報告が入ってきた。これを受け2月には準備をさらに加速させ、全拠点を最大限強化し、あり得べきシナリオを徹底分析し、予備戦力を全て移動させ、少なくとも2回の大規模演習を行い、夥しい訓練を行った。これが決定的な効果を生んだ。侵攻初日、敵が我が軍の拠点という拠点に砲弾を撃ち込んできたとき、そこにある筈の兵営や弾薬庫は既に移動済みであった」УП

■世論調査
社会調査機関「レイティング」が2月半ばに行った調査。
①ウクライナは全体として正しい方向に進んでいる、か?
YES……36%
NO……45%
(YESは漸減傾向。22年3月以来初めてNOがYESを上回った)УП


②ウクライナはロシアを撃退することができるか?
YES……85%
(絶対的な確信あり42%、確信あり43%、確信なし10%、全然確信なし5%)
・ウクライナは「世界諸国の支援なしに、単独で」ロシアを撃退できるか?
YES……19%
(絶対的な確信あり5%、確信あり14%、確信なし41%、全然確信なし38%)УП


③ウクライナを思うときあなたが抱く感情は?
誇らしさ……56%(22年8月は75%)
悲哀……39%(29%)
恐怖……21%(11%)
歓喜……10%(26%)
(ポジティヴな感情の後退とネガティヴな感情の前景化が著しい。なお、②で戦勝を「確信している」層においてウクライナについてポジティヴな感情――誇りあるいは喜び――が強く、「確信できない」層においてネガティヴな感情――哀しみや怒り――が強い)УП

2/18(725日目)

今さらだが、ドイツのミュンヘンで2月16ー18日開かれたミュンヘン安全保障会議は、「欧米における安全保障会議の中で最も権威ある民間主催の国際会議の一つ」「欧州主要国の閣僚をはじめ、世界各国の首脳や閣僚、国会議員、国際機関主要幹部が例年参加」「欧州のみならず、各地域及びグローバルな安全保障問題について広く議論がなされる」ものだそうだ。防衛省

■ゼレンスキー、ミュンヘン安全保障会議を総括
ゼレ、ミュ安保会議を総括していわく:多くの成果があった。ウクライナの立場がパートナー諸国の支持を得た。独仏のほかデンマーク、オランダ、チェコ、さらにはアゼルバイジャン、バングラデシュ、グアテマラの首脳と会談し、生産的な会話ができた。米国の議員団、副大統領と対面会談し、バイデン大統領とも電話会談して、アヴデーエフカのこと、追加支援のことを話し合った。こうした対話で明確になるのは、畢竟、プーチンを止めることができるのはウクライナだけであり、しかし単独ではそれを成し遂げることは不可能で、大事なのは支援、そして団結であるということだ。ともに戦ってはじめてこの戦争に勝利することができる。УП

■もう一つの視角
ブルームバーグによれば、ミュンヘン安全保障会議にはペシミズム(悲観主義)が伏流していた。NATO加盟国からの参加者はオフレコの会話で「米国は欧州を守ってくれないのではないか」「ロシアのNATO加盟国への攻撃にどう備えるか」と囁き交わしていた。УП

2/17(724日目)

■祝!アヴデーエフカ占領
ロシア軍がついにドネツク州の要衝アヴデーエフカの占領に成功した。対価は兵士何万人かの命と健康。「昨一昼夜のロシア軍の死傷者約1000人」というウクライナ軍参謀本部の朝の発表を何十日にわたって聞き続けたか分からない。それで探し物は見つかったかい。「ウクライナの非ナチ化」。ウクライナのナチ党員が一人でも見つかったかを教えてくれ。
・スィルスキー総司令官「包囲されることを避け、兵士たちの生命と健康を守るため、同市からのウクライナ軍部隊の撤退と、より有利な場所での防衛に転じることを決定した」УП(02:16)
・第3独立襲撃旅団広報「ウクライナ軍の大部分が同市から予め準備されていた拠点まで撤退した。大量に捕虜にとられる事案は発生していない」УП(20:53)
・作戦戦略部隊「タヴリヤ」広報「南部戦線におけるロシア軍の損失は今年元日から2月16日の一月半だけで2万607人。このほとんどがアヴデーエフカである。アヴデーエフカはロシア軍を消耗させるというミッションを果たした。なお、退路を断たれるリスクのあった部隊は現時点で全てより有利な防衛拠点まで引き上げられている。撤退に際し大規模な損失は出ていない。この作戦はウクライナ軍にとって悲劇ではない。包囲攻撃にあったマリウポリとは全然ケースが違う」УП(23:17)
・ウメロフ国防相「アヴデーエフカの教訓:敵の航空支援を許さぬための新式防空システムが必要。敵弾薬庫を撃滅するための長距離攻撃手段が必要。弾薬が必要。これらの獲得に注力すること。また、拠点をより強固なものにすること。人命を守る(=撤退する)という決断については、これは正しかった」УП
・バイデン「米議会の無為のせいでウクライナ軍の弾薬が枯渇し、ロシア軍が数か月ぶりの目立った成果を挙げることを許してしまった」УП
・ISW:アヴデーエフカ攻略戦の終盤、ロシア軍はウクライナにおける作戦で初めて限定的かつローカルな制空権を確立し、地上軍を空から直接支援することに成功した。これがロシア軍の同市攻略につながった。西側の支援が遅れウクライナ軍の防空能力が低下すれば、同様の事案(航空支援+地上侵攻による拠点攻略)が他の場所でも起こりかねない。УП

■ゼレンスキー、ミュンヘン演説
ゼレンスキーのミュンヘン安全保障会議演説から言葉を拾う。
・アヴデーエフカ攻防戦における死者数はウクライナ軍1に対しロシア軍7。УП
・ウクライナはロシアを撃退できるということを戦場で証明してきた。我々は領土を奪還できる、プーチンが負けることはあり得る。いま我らの行動を束縛しているのは、攻撃手段の①不足、そして②飛距離だけだ。これは我々の力ではどうにもならない。アヴデーエフカの一件でそのことが確かめれらた。砲弾や長距離攻撃手段の「人為的欠乏」、つまりどこかの誰かの作為もしくは不作為に起因する武器不足によって、戦況に適応する猶予がプーチンに生じてしまっている。民主主義の自己弱体化。これにより、出せるはずの結果が出せないでいる。УП
・実はパトリオットなどの西側防空システムがあればロシアのあらゆるミサイルは撃ち落とせる。数が足りないだけだ。十分な数さえあれば、国外避難した何百万ものウクライナ人を取り戻せる。皆さんが自分の国でウクライナ避難民に与えてくれている支援に感謝を(→万雷の拍手)УП

■ゼレンスキーと米国
ゼレンスキーはまたミュンヘン安全保障会議場裏で米国のハリス副大統領と会談した。ゼレ「いま我々にとって一番大事なことは、米国からの支持を維持することだ。ウクライナそしてウクライナ軍は米議会におけるウクライナ追加支援法案の可決を必要とし、また強く望んでいる。このひとつの採決にどれほど多くのことがかかっているかを自覚する人がもしあれば、その一人一人に感謝したい」УП
続いてゼレンスキーは米議会上院両党代表団とも会談。上院がウクライナ追加支援法案を可決させたことに謝意を示し、米国の支援を大いに当てにしていると期待感をにじませ、今とりわけ必要としているのは砲と砲弾、長距離兵器、電子戦装置、防空システムであると強調した。УП
またゼレンスキーのミュンヘン滞在中、バイデン米大統領との電話会談も実現した。ゼレ「米大統領の全面支持を期待できることは喜ばしい。米議会が賢明な決定を下すことを信じている」УП

■NATOと米国
NATOのストルテンベルク事務総長がウクライナ追加支援の最早期可決を米議会に訴えた。「正しい決断をただ下すだけでなく、正しい決断を『より早く』『より速く』下すことを求める。米国からの支援の有無は戦況にダイレクトに反映する。一週間遅れればそれだけウクライナでより多くの人間が殺される」「これまでウクライナの支援の重荷を負ったのは欧州とカナダだ。欧州とカナダの軍事支援はすでに米国のそれを上回っている。今度は米国が責めを果たす番だ」УП

■EUとウクライナ(砲弾遅れてゴメンね)
ヨハネス・ハン欧州委員(財務担当):EUは2025年よりウクライナ向け砲弾を年200万発製造できるようになる。そもそも24年3月までに100万発を送るという約束だったが50万発しか送れないのは生産に問題があったためで、需要のなかった間に縮小した生産力を再強化するのに手間取った。УП

■チェコで砲弾80万発「発見」
チェコのパヴェル大統領がミュンヘン安全保障会議場裏で「ウクライナに弾薬80万発(NATO規格の155ミリ砲弾50万発+旧ソ連規格の122ミリ砲弾30万発)を送る方法を見つけた」だが「そのための資金が必要」。よう分からんが何せよ有難い話だ、急送を。УП

2/16(723日目)

■米議会が休眠
米議会でウクライナ追加支援法案の審議が頓挫した。上院を通過してあと下院で可決すればというところであったが議事進行権を持つ下院議長(共和党)が採決を前に下院を2月いっぱいの休暇に突入させた。米大統領府はこの対応を厳しく批判。バイデン「この危急存亡のときにウクライナを支援できなかったことは永久の禍根となる」УПУП

■ゼレンスキー独仏歴訪
ミュンヘン安全保障会議への対面出席のためドイツを訪れたゼレンスキー、ショルツ首相との首脳会談のち安全保障分野での協力に関する合意に調印。続いて訪れたフランスで同国のマクロン大統領と会談、同様の合意に署名。УПУПУП

■ナヴァーリヌィ死亡
シベリアの監獄でロシア反体制派の旗手ナヴァーリヌィが死亡した。当局によれば「散歩後体調急変し意識失う、救急治療を行ったがあえなく死亡」УП
(経過:20年8月毒殺未遂後ドイツで療養、21年1月ロシアに帰国し即座に拘束され、23年8月には禁固19年の実刑判決、同年12月シベリアの監獄に移送)
ゼレンスキー「改めて、プーチンは人殺しである。これから行われる大統領選挙なるイベントでこの者に投票する人は正確に認識すべきだ、人殺しに投票し、人殺しを大統領にまつりあげるのだと。またこの者と経済関係にある人たちは知るべきだ、殺人者と協働し、血塗られた金を稼いでいるのだと」УП

■アヴデーエフカ(撤退の前夜に)
ゼレンスキー、ロシアの猛攻を受け陥落間近のアヴデーエフカ(ドネツク州)について:私から軍司令部への注文は畢竟、一番大事なのは兵士たちであり、兵士たちこそ我々の最大の武器であり、兵士の損失が最小になるように行動せよ、ということだ。あと戦場で何をどうするかはプロの軍人たちが決める。УП

■ロシアの戦費は2000億ドル
米国防総省の試算では、ロシアはウクライナ侵略戦争で既に2110億ドルを費消した。またロシア兵31万5000人が死亡もしくは負傷した。УП

■ロシア軍の人的損失は40万人
一方ウクライナ軍参謀本部の発表によれば、ロシア軍の人的損失(死傷者数)はこの日、ついに40万人の大台に乗った。УП

■NATOがウクライナ産ドローン100万機買う話
ミュンヘン安全保障会議でウクライナ戦略産業相がNATO諸国に対しウクライナ製ドローン100万機の注文・購入を呼び掛けた。いわく、ウクライナはあらゆるタイプのドローンを製造できる――安価なFPV(一人称視点)から飛距離1000kmのドローンまで、また地上機に海洋機、偵察機から攻撃機まで――それらの効果は実際の戦争でまさに証明済み。値段も手ごろだ。УП

■露はゼレンスキー信用失墜工作を遂行中
米紙ワシントンポストによれば、ロシアは露大統領府第一副長官セルゲイ・キリエンコを首魁とする情報工作を23年初頭以降展開している。欧州向けのそれとウクライナ国内向けのそれとあり、後者はテレグラムをはじめとするSNSでウクライナ政権の内訌やウクライナ軍の損失を誇大に語り「ザルージヌィは次期大統領の座を狙っている」とか「ゼレンスキーは権力欲の虜となっている」などという風説を流して(ただしその際「あまりに露骨な親露ナラティヴ」は避けつつ)ウ国エリート層の分断、ウ軍の士気低下、ウ国民の混乱を招来しようとした。成果指標に使ったのはSNS内の閲覧数やウクライナ国内の世論調査結果。現時点ではそう奏功しているようにも見えないが、大変なのはこれからだと。ロシアは体勢を立て直し、3層のキャンペーンを展開するはずだ。①前線の圧力を高め、②ウクライナのインフラを攻撃し、③不安定化工作を展開する。WP、УП

■ドンバス奪還はクリミア奪還より難しい
情報総局のブダーノフ長官によれば(つまり「事実を語る」より「状況を作り出す」ための発言である可能性を考慮すべきであるが)クリミアよりドンバスの方が取り戻すのが難しい。というのもドンバスは背後にべったりロシア本国が控えていてあらゆる方向から補給が可能であるから。一方クリミアは。かつてクリミアを所有した者は皆クリミアこそは不落の要塞だと誇語したが、誰一人その要塞を最後まで保持できた者はない。10年前のウクライナも同様。今クリミアは陸の回廊で(露本国と)繋がっている。クリミア橋は生きている。だがそれももう長くはない。①陸上回廊を寸断し、②クリミア橋を落とす。あとは時間の問題だ。半島は奪還される。より難しいのはドンバスだ。ちな、クリミアを失ったとて、ロシアは核エスカレーションには踏み切らない。核使用の口実になりそうな事象ならこれまで10回くらいあった。ロシアにとって核使用のコストは皆が思った以上に高かったということだ。УП

2/15(722日目)

■全土空爆
15日朝、相当に苛烈な攻撃があった。ミサイル5種26発、うち13を撃墜。УП
西部の街リヴォフ(リヴィウ)には14発のミサイルが飛来し、うち8発を撃墜したが、変電所が一つ壊滅。ザポロージエやドニエプル、ミルゴロドでインフラが被弾した。キエフへのミサイルは全弾撃ち落とした。死者なし、各地で数名ずつの負傷者。УП

■ゼレンスキー欧州歴訪へ
ゼレンスキーは16・17日の両日で独仏を歴訪し、ミュンヘン安全保障会議で登壇するほか、各国首脳と会談を持つ。УП

■ロシア黒海艦隊司令官が更迭か
公式発表ではないが、ウクライナ軍のドローン攻撃によるロシア黒海艦隊の大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」沈没を受け、同艦隊司令官が更迭されたとの情報がある。УП

■予測①アヴデーエフカは攻略される
米大統領府:ドネツク州アヴデーエフカ市におけるウクライナ軍の状況は危機的である。ロシア軍は連日ウクライナ軍拠点に圧力をかけており、対するウクライナ軍は弾薬と兵員が決定的に不足している。早晩同市がロシアの支配下に収まる可能性もある。
ウクライナ軍が死ぬほど欲している弾薬を、米国は供与できない。米議会がウクライナ追加支援法案を可決できないため。このままでは「今アヴデーエフカで起こっていることが前線の他の場所でも起きかねない」УП

■予測②ロシアの春季大攻勢は行われない
こうした状況にも関わらず、ロシア軍が春に大規模攻勢をかけることは起こりそうにない、との見方がNATO内部にある。その能力もないし、それに向けた準備も見られないと。具体的には、大規模攻勢のためには追加の大規模動員(今隠然と行われている小規模動員でなく)が必要だが、その動きは見られない。今ロシアがたとえばアヴデーエフカで行っていることは小規模かつ象徴的な戦術行動であって、戦略的攻勢は今のところ行われそうにない。УП


■世論調査①ゼレンスキー支持率
ゼレンスキー支持率は低下の一途。2月上旬のKMIS(キエフ国際社会学研究所)の調査で64%にまで下落した。調査期間は2月5~10日で、ザルージヌィ解任が発表されたのが8日晩。9・10日の両日だけ見るとゼレ支持率は60%にまで下がっている。
侵攻前(22年2月)僅か37%であったゼレ支持率は22年5月には90%にまで跳ね上がった。これが漸減して23年12月には77%にまで下がり(つまり1年半で13ポイント下落)、で24年2月が64%(つまり僅か2か月で13ポイント下落)УП

■世論調査②スィルスキー支持率
同じ調査で、スィルスキー新総大将の支持率は僅か40%。一方、前総大将ザルージヌィの支持率は驚きの94%であった。
なお、スィルスキーについて何も知らんという人、35%。
も一つ尚、情報総局長官ブダーノフの支持率は66%で、前回12月の60%から躍進。УП

■世論調査③ウクライナは道を誤っている
ウクライナは正しい方向に進んでいると考える人、44%。前回(23年12月)の54%から大分と下がり半数を割った。
逆に、ウクライナは進む方向を間違えていると考える人、46%。前回は32%だった。はじめて「間違っている」と考える人の割合が「正しい」と考える人を上回った。УП

2/14(721日目)

ウクライナ軍が黒海でまた大きな戦果を上げた。ロシア軍の大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」を撃沈。情報総局との共同作戦による水上ドローン攻撃という。УПУП

号外:スィルスキーと仲間たち

新たにウクライナ軍の総司令官に着任したアレクサンドル・スィルスキーと、その側近たちに迫るУП(ウクライナ・プラヴダ)のレポート。

■スィルスキー総司令官

・58歳。前職は陸軍司令官。

【出自・経歴】
・ロシア生まれ。父親も軍人。両親は今もロシアに在住という
・1986年モスクワ高等総合士官学校を卒業。同窓に露「特別軍事作戦」軍司令官ドヴォルニコフや統合軍司令官ナエフがいる。敵軍に同窓生がいることの利点は「情況に応じて相手が何をするか手に取るようにわかる」こと(ABC Newsのインタビュー)
・その後1990~2000年の間キエフのウクライナ国家防衛アカデミーで学ぶ
・2019年陸軍司令官に

【人となり】
・「骨の髄まで軍人」(側近談)。起床は5時20分、職務の前に1時間筋トレ。物欲なし。睡眠時間は4時間半。もともと睡眠時間は少なく、戦前でも5時間、日曜でも5時間半(ガーディアン紙)
・落ち着いた声で短く質問を発し、的確に回答する
・枕頭の書はプロシア軍人クラウゼヴィッツそして古代ギリシャの賢哲プルタルコス。「プルタルコスを読み古代ギリシャ史のドキュメンタリー映像を見ると我々が今日用いているのと同じ戦争遂行原理を用いていることが分かる。戦争の主たる原理は不変だからだ。何も変わっていない。変わったものといえば、せいぜいが装備の複雑さと、行動の機械化度合いくらい」
・週一の前線視察で夕日の写真を撮るのが趣味

【抗露戦争におけるこれまでの役割】
・「最も経験豊富な司令官」(総司令官任命の際のゼレンスキー評)
・実際、今次の戦争において複数の決定的な作戦について重要な役割を果たした
・まず、22年2-3月のキエフ防衛戦。キエフ含む北部解放の功績で同年春、ボグダン・フメリニツキー2等勲章、「ウクライナ英雄」の称号を授かる
・続く22年春および9月、ハリコフ州の反攻作戦を指揮、同州の広い範囲を解放
・総司令官任命の直前まで最激戦地クピャンスク・ハリコフ~バフムートを担当。バフムート防衛線を指揮。ここの評価は分かれる。一方では最強格のワグネル軍を事実上解体させた。他方、10か月にわたる防衛戦で幾つかの最強部隊に著しい損害を出した。これが「人的犠牲を考慮しない酷薄な司令官」というスィルスキーのイメージを生んだ。

【新総司令官としての今後の課題】
・アドヴェーエフカ(アウディーイウカ)に対するロシア軍の猛攻を耐え凌ぐ
・動員による人員増強。新たな大規模動員については昨年半ばから議論があったが、このほどはじめて動員新法案が第1読会を通過した

【スィルスキーの評判】
・「与えられた任務を遂行する能力はあるが、その際人的犠牲は必ずしも勘定に入れない」司令官としての評価が相当に広く共有されてている
・評者が本戦争についてよく言う、「小さなソビエト軍(ウクライナ軍)が大きなソビエト軍(ロシア軍)に勝てるわけがない」。同質であっては規模に勝る方が勝つに決まっている。だからこそウクライナ軍は質的に進化し、「量」でなく「技術力」とその「賢い運用」で敵を凌駕しなければならない。この進化プロセスを率いるのが、ウクライナ軍で「最もソビエト的な司令官」の一人と軍内で評される人物であるということこそ、最大のリスクと言えるかもしれない

【ちなみに、前任のザルージヌィはどうなる?】
・ザルージヌィの今後は不明。本人はかつて周囲に退役後は健康に気を使いつつ後進の育成に努めたいと述べていた。
・なお、ゼレンスキーとザルージヌィの対立についての初報は早く22年春。当時大統領府は露のIPSO(情報工作)にすぎぬと言って退けた。だが果たして交替は成った。これを大統領府は「ローテーション、前線の運営、動員、徴兵」への新たなアプローチの必要性ということで説明している。УП

2/13(720日目)

■軍トップ前線視察
ゼレンスキー、晩方のビデオメッセージで:スィルスキー新総司令官とウメロフ国防相が前線視察を行った。アドヴェーエフカ、クピャンスク、リマンと最激戦地を順次訪問し、直面する課題――兵員の補充・増派・運用、またドローンや電子戦装置の強化、司令部の強化、これら問題の解決に当たっている。のち詳細な報告が得られるだろう。УП
(トップ刷新で良きモメンタムが生じているとの印象付け)

■今の防衛フェーズの目標は「敵の消耗」
スィルスキーが総司令官着任前にZDFのインタビューで述べた:ウクライナ軍が攻勢から拠点防衛に転じたのは敵を消耗させるため。東部のクピャンスクに対する敵の猛攻は23年10月3日に始まり、この4か月で膨大な死傷者を出している。死者数は我が軍1に対し敵は7~8とのデータがある。УП

■日本のたばこがロシアのウクライナ侵略を支援している
ウクライナの4月からの軍事調達(食品・日用品等の)に新ルール。「侵略のスポンサー企業」指定された国際企業の商品の購入は行わない。УП
たとえば煙草は公費で一括購入されるのか兵士のポケットマネーで購入されるのか知らないが、もし前者であるならば、JT=日本たばこの製品は入札競争から排除されることになる。同社の子会社JTI(日本たばこインターナショナル)はロシアのたばこ市場で第一のシェアを占めており、ロシアの国庫に莫大な税金を納め、結果としてロシアの侵略戦争を支援している。日本企業として数少ない、ウクライナ反汚職当局によって「侵略のスポンサー企業」に指定されている企業である。

■米議会上院でウクライナ支援法案可決
米議会上院が600億ドルのウクライナ追加支援法案を可決させた。残るは下院。ゼレンスキーとクレバ外相がSNSで謝意を表した。УПУП

■スターリンク
ウクライナ軍情報総局によれば、ロシアのスターリンクは軍でアラブ諸国で購入されたもの。ケーブル、Wi-Fi、ルーターなど一式全てアラブから運び込まれたものだという。УП
また、スターリンクのターミナルはロシア深部では使用できず、使えるのはウクライナとの国境付近、またクリミア等の占領地。さらには欧州の飛び地カリーニングラードや、日本にほど近いカムチャツカでも問題なく使用できるとのこと。УП

2/12(719日目)

■ウクライナのドローンの現状
フョードロフDX(デジタルトランスフォーメーション)相:ウクライナは2024年、ロシア深部を攻撃可能な長距離ドローン(飛距離300km~1000km)を数千機製造する。既にモスクワやサンクトペテルブルクを攻撃可能な無人機を製造するメーカーが10社存在し、国家がヴェンチャー投資家となって無人機市場の資本を増強させている。2023年の1年間でウクライナのドローン生産力は120倍に増大した。これは砲弾の数で圧倒的に劣勢なウクライナがロシアとの攻撃力差を縮減する取り組みの一環であり、「すでにウクライナは長距離無人機製造においてロシアと一定の均衡を達成している」との評価も情報総局から得ている。
今後の課題①部品の国産化。現時点で部品の多くは外国(中国ほか)からの輸入頼みだが、年内に部品の50%の国産化に成功する見込みだ。
課題②兵站の充実。ドローン輸送量は23年12月の月量が既に22年の年量の50倍に達している。ロジスティクスがこの爆増に追いついていない。УП

■忘却されていく「ロシアの脅威」
ミュンヘン安全保障インデックスの調査では、「ロシアのウクライナ侵略戦争は世界にとっての脅威」と見る見方は22年末と比べて大分弱くなっている。
調査は昨年10月末実施、G7およびBRICS(ロシア除く)1000人に世界の32種のリスクについて聞いた。22年末時点ではG7諸国にとって「世界最大の脅威」であったロシアが、23年末時点では第4位に後退。代わって欧州では大量移民や軍事紛争(※複数形)、気候変動、イスラム過激派のテロへの危惧が、米国ではサイバー攻撃、社会の政治的分極化、中国の脅威への危惧が高まった。УП

■スターリンクは第3国から
情報総局によれば、衛星通信システム「スターリンク」は第3国からロシアに並行輸入(要は「密輸」)されたもの。ロシア国内から事実上ネットで好き放題購入できるようになっている。ロシアは世界第一のテロ国家であると同時に、今や世界第一の密輸国家でもある。むろんウクライナとしてこの問題を座視してはおらず、脅威の無害化に向けた取り組みが行われている。УП

2/11(718日目)

■夜襲(大規模ドローン攻撃)
11→12日の夜、クリミアよりシャヘド45機、うち40機を撃墜。撃墜場所はキエフからオデッサまで広い範囲に及ぶ。主たる標的は沿岸インフラおよび農業施設とのこと。ニコラエフでインフラに被害、1人が負傷。防空警報は5時間半鳴りっぱなしだった由。УПУП

■電力は足りてる
電力供給は安定しており国内発電だけで全消費をまかなえているほか火力発電10基の予備があり隣国との輸出入も機能している。11日は輸入1300メガワット、輸出2700メガワットでむしろ輸出超過であった。УП

■新陸軍司令官
スィルスキーの総司令官就任で空位となった陸軍司令官にパヴリューク前国防副大臣。スィルスキー、パヴリュークについて「ゼレンスキーに私の後任について尋ねられたとき他に候補者が思い浮かばなかったくらい無二の人」УП

■隣国①ポーランド(穀物騒動)
ポーランド=ウクライナ国境でウクライナ産穀物の流入に抗議しているポーランド農家がウクライナから入境したトレーラー3台の通行を阻み、貨物室を勝手に開いて積み荷の穀物を一部路上にぶちまけた。トラックはやむなくウクライナにとんぼ返り。普通に犯罪。犯人見つけて捕まえる、とポーランド警察。УП

■隣国②ハンガリー(親露反ウ停戦主義者の論理)
オルバン首相:ウクライナはロシアと西欧の緩衝地帯となるべきであって、その安全に対する一定の保証は与えても、EUやNATOの一員に加えるべきではない。オーストリア元首相との対話で。以下その抜粋
・好むと好まざるに関わらずウクライナが地図上に占める位置はあそこでしかあり得ないのだから最良のシナリオはロシアと西側の緩衝地帯となることだ。一定の安全保証とともに。それでだめならウクライナは領土を失うまでだ。ロシアは何度でも何度でも何度でもウクライナを破壊する。ウクライナのようなEUまたはNATO加盟国が隣国に出現することをロシアは永遠に許容しない。
・(停戦は事実上のウクライナの敗北ではないのか?)将来をどう見るかによって評価は異なる。このまま戦闘を続ければウクライナはもっと多くの領土を失うかも知れない。
・(ウクライナの加盟を得てEUはさらに強化されるのではないか?)EUのほぼ全加盟国がNATO加盟国であり現状すでにNATOはロシアより強い。ロシアがNATO加盟国を攻撃する脅威は存在しない。
・ロシアがEUを交渉相手と見なす日は永遠に来ない。その交渉相手は専ら米国、良くてEUのみである。
・(ロシアと(たとえば停戦について)合意したとして、それを信じてよいものか?)問題は信頼でなく、力だ。欧州はロシアが取り合わざるを得ないほど十分にその力を見せつけてこなかった。これは力比べであり、戦争だ。力を見せつけて、ロシアに分からせなければならない:我々には我々の利害があり、彼らには彼らの利害があると。その上でこそ何らかの合意というものが成り立ちうる。
・2024年も戦争は終わらない。少なくとも戦火を収め交渉が可能な状況を実現しなければならない。
・欧州はウクライナに十分な武器を供給することはできない。既に欧州諸国の世論は「支援し過ぎ」との考えが強い。ウクライナが戦争で勝利するまで支え続けることなど不可能。УП

■隣国(でも何でもない)③ネパール
CNNによれば、ロシアはこれまで1万5000人のネパール人をウクライナ侵略戦争のために徴兵している(ネパール政府の公式発表では200人)。国境を全然接してもいない貧国で月2000米ドルという高給とロシア旅券の発給をエサに外国人傭兵をリクルートしているわけ(ネパール旅券は国際通用性で世界最弱レベル、またネパールは一人当たりGDPで世界最貧レベル)
ネパール政府は就労目的でのロシアへの渡航を禁止しており、同国外務省は昨年12月にロシアに対しネパール市民の徴兵を停止し戦没者の遺骨を祖国に送り返すよう求めているが、ロシア側は沈黙と不作為を貫いている。УП

■スターリンク
情報総局が前線におけるロシア軍による衛星通信システム「スターリンク」の利用を確認した。利用は拡大しており「組織的性格を帯び始めている」とか。УП
イーロン・マスクは明確にこれを否定。直接にも間接にもスターリンクはロシアに販売されていないと。

■トランプ
トランプが「NATO加盟国のうち拠出金が十分でない国についてはたとえロシアから攻め込まれたとしてもアメリカは守らないし、むしろそんな国には攻め込むことをロシアに推奨する」と述べて(УП)各所から批判と対抗声明の嵐。米大統領府報道官「おぞましく、異常な発言」(УП)NATO事務総長「同盟国が互いを守ることは当然であり、加盟国へのあらゆる攻撃に対しNATOは強力な反撃を行う」(УП

2/10(717日目)

■夜襲
9→10日の夜、シャヘド31機、うち23を撃墜。発射地点はクリミアの南端と東部、また露クルスク州。いずれもオデッサ州とハリコフ州の上空での撃墜。УП
オデッサ州には3波にわたりシャヘドが飛来し撃墜片等で4人が負傷した。黒海およびドナウ川の港湾施設への攻撃と見られる。УП
ハリコフでは無人機攻撃による民生インフラ損傷と燃料流出により住宅街に大規模火災、とある家屋が全焼し一家5人が全員死亡した――両親と3人の子供、上から7歳・4歳・7か月。近隣ではさらに高齢夫婦も死亡。本件につきゼレンスキー、哀悼の意を述べるとともに、テロリストどもには全ての破壊と殺人につき対価を支払わせる、と約した。УПУП

■ウクライナが負ければ難民1000万人
ドイツ連邦政府の試算では、今後事態が最悪の経過をたどりロシアが勝利を収めた場合には、ウクライナからさらに1000万人(少なく見積もって!)が難民として流出する。大半は西欧を目指し、ドイツにも大勢が押し寄せるだろうと。
ウクライナは少なくとも24年末まで戦い続けるだけの軍事的・財政的能力を有しているが、米国の状況が不安定なことを思えば、最悪の事態(ウクライナの敗北、欧州への大量避難、NATO諸国への戦争の拡大)を防ぐためには、ぜひとも欧州が今のウクライナ支援戦略を変更しなければならない、と。УП

■子供たちの将来像
ウクライナの中高生(14~18歳)の4分の1が「卒業したら外国に出たい」と考えている。国際慈善基金savEDがウクライナ教育科学省と共同で行った調査。УПsavED
【去就】
ウクライナに残りたい……53%(ただし国内の別の市町村に住む……23%)
外国に移住したい……26%
未定……20%
【ウクライナの将来】
非常に明るい……21%
どちらかというと明るい……31%
明るくも暗くもない……25%
どちらかというと位……14%
非常に暗い……9%

2/9(716日目)

■新司令官語る
新たにウクライナ軍の総司令官に就任したスィルスキーがSNSで課題感を示した。①まず行うべきは軍および軍に連なる全機関の具体的かつ詳細な行動計画の策定(その際特に考慮されるべきは、諸国から供与される新式兵器に対する前線のニーズ)②兵站改革。部隊が必要としているものを高速かつ合理的意に配給・輸送すること③参謀本部の全職員が前線のニーズに通暁すること④兵士の生命と健康を守ること。即ち、⑴軍事課題の達成と⑵部隊の再生産(人員の集中的教練など)のバランスを維持すること⑤新たな戦術の導入と、成功体験の大規模化。とりわけ無人機や新式電子戦装備の使用経験の共有⑥軍事行動の手段および方法を絶えず変化させ、洗練させること⑦信頼できる後衛(前線から遠い諸都市の世情が落ち着いており一丸となっていること)これも戦争に勝つための大事な要素。УП

■軍人事2件
・新参謀総長にアナトーリイ・バルギレヴィチ(前領土防衛隊司令官)УП
・新陸軍司令官(スィルスキーの後任)にアレクサンドル・パヴリュク(前国防副大臣)УП

■ありがとうさようなら
ゼレンスキーが前総司令官ザルージヌィと情報総局長官ブダーノフに「ウクライナ英雄」の称号と金星勲章を授与した。УП

最高司令官と前総司令官は熱い抱擁を二度にわたり交わした。「2人のЗ(ぜー)」の終わり。(上掲記事に動画あり)

■カールソンのインタビュー
アメリカの有名テレビ司会者がモスクワのクレムリンでプーチンに2時間の単独インタビューを行う、という糞茶番があった。タッカー・カールソンは露政権のシンパサイザー・露プロパガンダの拡散者としてつとに知られた人物、「勇気ある西側大物司会者が単身乗り込んだ」のでなく「クレムリンに誘い込まれて利用された」だけ。

露の御用記者は「鋭い質問を浴びせますぞ」と息巻きながらブチャにもマリウポリにもナヴァーリヌィにも触れず、ただプー老人が自身の歪んだ「歴史観」をとうとうとまくしたてるのをうんうん頷いて聞いていた。やれ、特別軍事作戦の目標の一つ「ウクライナの非ナチ化」はなお未達であるとかこの戦争を始めたのはウクライナでありロシアは自衛してるだけとかロシアはいつでも交渉の準備ができているとかポーランドやバルト諸国にまで攻め込む気はさらさらありませんとか、内容は全部いつか聞いた歌。虚妄と錯誤と嘘八百。だが西側大物ジャーナリストとプーチンの直接対決!というパッケージが強いので、露プロパガンダメディアは大喜びでインタビューの詳細またカールソンのモスクワにおける一挙手一投足を詳報した。УПMeduza

■ロシア深部攻撃
露クラスノダール地方の石油加工工場2か所で爆発があり、大きな火災が生じた。保安庁の内部情報(非公式)によれば、ウクライナ軍のドローン攻撃。年360万トンの石油を処理する一次加工設備(価額5000万米ドルと見積もられる)が破壊された由。石油工場は敵軍に燃料を供給し敵国経済を潤す施設であるからこうした攻撃は「正当である」とのこと。УП

2/8(715日目)

★ザルージヌィ更迭
8日晩の大統領令により、ウクライナ軍の総司令官ワレリー・ザルージヌィが正式に解任された。後任はアレクサンドル・スィルスキー陸軍司令官。УП

スィルスキーとゼレンスキー

・ゼレンスキー「戦争のヴィジョンが軍内あまねく共有されることが望ましい。ロボチノやアドヴェーエフカの戦士たちも、参謀本部も、最高司令部でも。これまで各階層の司令官と数十回の対話を続けてきた。中でも最も経験に富む司令官がスィルスキーだ。キエフ防衛作戦を成功させ、ハリコフ解放作戦も成功させた」УП

・ゼレンスキー「スィルスキー新司令官のもとで軍は次の8点の改革を経ることになる。これらの変革なしに24年を成功の年とすることは望み難い。第一に、戦場の現況および展望に基づいた、現実的かつ詳細な24年の作戦計画を策定すること。第二に、全ての前線部隊が効果的な西側兵器を取得すること――とりわけ第一線の部隊への西側兵器の公正な配分。第三に、兵站の改善。第四に、将軍各人が前線を知ること。第五に、参謀本部の人員数の適正化(現状多すぎる)。第六に、実効的なローテーションシステムの確立。ローテーションがうまく機能している一部部隊の経験に学ぶ。第七に、兵員教練の質的向上。第八に、新たな軍種としての、無人機システム軍(ドローン軍)の創設。その初代司令官が任命されなければならない」「いまウクライナ軍には100万の人員がいるが大多数は前線を知らない。前線を知り、戦闘に参加しているのは一部のみだ。これ即ち、ローテーションに対する新たなアプローチが必要ということ。前線運用、動員、リクルーティングへの新たなアプローチが必要ということだ」УП

・ポドリャク大統領府長官顧問「今度の決定の根拠となったのは次の諸々の必要性だ。一、昨年十分な成果を挙げなかった戦術の見直し。一、前線の停滞により国民の士気が低下している現状の改善。一、実効的かつハイテクな戦法を開発してイニシアチブを握り、かつそれを強化する。一、軍の運用原則の更改」УП

・キエフ市長クリチコ「ありがとうザルージヌィ。あなたのお陰で軍は国民の心からの信頼を勝ち得た。さて前線では今も苛烈な戦闘が続き、諸外国との協力が進められ、国民は信頼できる権威を必要としている。その今、どうしてこのような交替が必要だったのかを、政権は国民にしっかり説明しなければならない」УП

・米大統領府「軍の最高司令官であるゼレンスキーが軍指導部の人事を決めるのは当然だ。これが文民統制ということだ。ウクライナ軍を率いるのが誰であれ、その人と協力する」УП

・ゼレンスキーは晩方、非公開の記者会見を開いた。ザルージヌィ解任について説明が行われたとのこと。УП


■捕虜交換
第51次の捕虜交換が行われ、マリウポリ防衛のウクライナ兵士100人が祖国に帰還した。アラブ首長国連邦の協力で実現した由。ウクライナに帰還した捕虜の数は累計で3135人に上る。УП
(幻の第50回捕虜交換=Il-76の一件がまだ全然未解明だが捕虜交換は続いている)

■夜襲
7→8日の夜、ウクライナ南部にシャヘド17機が飛来、うち11機を撃墜。オデッサで建設中の高層住宅と専門学校校舎が損傷。後者は撃墜片によるもの、屋根が欠けほとんど全ての窓が破れ、中もぐちゃぐちゃ。УПОЖ

■兵員不足、不平等、前線崩壊
米紙ワシントンポストがウクライナ軍の兵士および将官数十名の証言をもとに報じたところでは、ウクライナ軍は弾薬もさることながら歩兵が深刻に不足しており、新兵の補充も少なく、前線の兵士たちは消耗しており、士気も低下しかかっている。いま最も深刻なのは兵員の不足。以下、若干の証言を拾う。
・今次のゼレンスキーとザルージヌィの対立も兵員の補充をめぐる意見の不一致によるところが大きい。ザルージヌィはゼレンスキーに50万人の動員を求めたがゼレはこの数字を否定し、軍指導部に対しこの数字の根拠を求めた。その際、政府にはそれだけの兵士に給料を支払うことが難しい、との懸念も示した(欧米からの財政支援は兵士の給料に当てることができない)
・このまま続けていればある地点で前線が決壊するだろう(敵が22年のハリコフで前線が決壊したように)
・8月に汚職スキャンダルで各州の徴兵事務所長が一斉解雇されて以降、動員が止まっている。秋以降新兵は少数しか入ってきていない
・とりわけ冬季は厳しい環境のなか戦うことになるため3日戦ったら交替するのが望ましいところ、代わる者がいないためローテーションが成り立たず、より長く戦うことを強いられたり、あるいは後方要員が不慣れな戦闘に参加させられたりする。こうして過負荷により精神的にも肉体的にも消耗した兵士たちが陣地を支えきれず、人員と弾薬を大量に擁するロシア軍に前進を許してしまっている
・なぜ交替要員がいないのか。人がいないから、誰も軍隊に入らないから。なぜ軍隊に入ろうとしないのか?国が入れと言わないからだ、軍隊にどうして人が必要なのかを、国が説明しないからだ
・兵士たちはリヴォフやキエフの同輩たちに思いをはせ、不公平だと感じ始めている――ある人はそこらを安穏とほっつき歩いている、だが俺たちのこの惨状は!УП

2/7(714日目)

■ウクライナ深部大規模空爆
7日朝、1/23以来半月ぶりの大規模ミサイル/ドローン攻撃。ミサイル5種44発、シャヘド20機。うち29発と15機を撃墜。УП
・首都キエフで少なくとも4人死亡、40名ほどが負傷。УП
・ハリコフに撃ち込まれたミサイル5発中2発は北朝鮮製と見られる。УП
・国営電力ウクルエネルゴによれば、キエフとハリコフで送電線が損傷し2万人に停電被害が及んだが、エネルギーシステム全体の安定性に深刻な被害は出なかった。また今回は隣国ポーランドの風力発電所からの緊急給電支援も得られた。ポーランドの風吹きが良く朝のピーク時間前の余剰電力があったためとか。УП
・ISW(米戦争研究所):本件はロシアとウクライナの間で常態化している「攻撃vs防御」あるいは「イノヴェーション(革新)vsアダプテーション(適応)」競争の一環をなすものである。今回発射された各種ミサイル/ドローンのうち、ウクライナ軍は巡航ミサイル「Kh-101/555/55」および「シャヘド」は大半を撃ち落としている。だがこれは、ロシア軍がこの種のミサイルおよびドローンをウクライナ軍の防空システムを引き付ける「囮」として使い、今回ウクライナ軍が一発も撃墜できなかった巡航ミサイル「Kh-22」弾道ミサイル「イスカンデルM」、地対空ミサイル「S-300」を「本命」として使っていることの表れかも知れない。つまり、今度の複合攻撃は、ロシア軍によって考え抜かれたコンビネーションであると。また、このコンビネーションに北朝鮮のミサイルを組み込むことによって、さらにウクライナ軍の発見・撃墜を難しくしている可能性もある。
なお、折しもこの日キエフをボレルEU外相が訪問中であり、外ならぬこの日に外ならぬキエフを集中攻撃したのは、EUないし欧米への情報効果を狙った可能性もあると。УП

■ボレルEU外相、キエフ訪問
EUのボレル外務・安全保障政策上級代表(外相)がキエフを訪問、ドローン工場を視察し「ウクライナ人の創造性」を高く評価。「ドローンに関しては皆さんに支援は要りませんね。ほとんど何もない状態から1年で新鋭・高品質のドローンをこれほど大規模に製造できるようになるとは。瞠目。賞賛」УПУП
また弾薬について:年内に115.5万発の弾薬をEUからウクライナに送る。これは「十分に正確な数字」であると。УП

■ゼレ:24年の目標は……
ゼレンスキー、晩方の恒例ビデオメッセージで:24年の目標は①空の護りの強化②長距離攻撃の強化③ロシアに最大限の組織的損失を与えること。③には「国際法の全面的尊重とテロ国家への全面的軽視」に基づく在外ロシア資産の没収→ウクライナ支援への転用も含まれる。「テロリストへの返報は正当だし、テロリストの抹殺は正当だし、テロ国家にその所業の対価を払わせることは正当だ。本日7日も大規模空爆が行われた。ミサイル一発、シャヘド一機ごとに、ロシアにその対価を払わせる」УП

■露深部で爆発
モスクワから東へ1000kmのウドムルト共和国にある軍需工場(弾道ミサイルや核兵器の部品を製造)で大きな爆発。露プロパガンダメディアによれば爆発は「ロケットエンジンの実験に伴う計画的なもの」。УП

■世論調査
ラズムコフセンターが1月後半に行った調査。УПУПУП
・ウクライナにおいて物事は全体として正しい方向に進んでいる、か?
然り……41%(21年12月で20%→22年9-10月で51%→23年2-3月で61%)
否………38%
・ウクライナは今ある諸々の問題を克服できるか?
然り、近い数年のうちに……33%(21年12月で18%→23年2-3月で49%)
然り、ただし、より長期的展望において……42%(21年12月で54%→23年2-3月で36%)
否、克服できない……9%(21年12月で18%→23年2-3月で3%)
・各機関の信頼度(信頼している人の割合)
ウクライナ軍……95%
志願兵部隊……85%
非常事態省……82%
国家親衛隊……81%
ボランティア団体……78%
国境警備隊……77%
国防省……69%
保安庁……68%
大統領……64%
教会……61%
警察……58%
社会団体……55%
国営銀行……53%
地元当局……49%(市)、43%(町村)
マスメディア……47%
・各機関の不信度(信頼していない人の割合)
国家機関(госаппарат)……75%
政党……72%
最高会議……70%
裁判所(司法制度全般)……68%
政府……64%
検察庁……60%
民営銀行……53%
特別反汚職検察……52%
国家汚職予防局……51%
ウクライナ国家対汚職事務局……51%
マスメディア……43%
・各公人の信頼度(信頼している人の割合)
ゼレンスキー……69%
ヴィターリイ・キム(ニコラエフ州知事)……58%
プリトゥーラ(芸能人、ウクライナ軍支援活動家)……54%
クレバ外相……50%

■人気の名前
法務省が23年下半期の新生児につけられた人気の名前(あるいは珍名)を発表した。女児で人気だったのはこれら。(カッコ内はロシア語読み)УП

アンナ、ヴィクトリヤ、エヴァ、ズラータ、(エ)カテリーナ、ミロスラワ、マリヤ、ミラナ、ソフィヤ、ソロミヤ

男児で人気の名はこれら。

アンドリイ(アンドレイ)、アルテム(アルチョーム)、ボフダン(ボグダン)、ダヴィド、ダニーロ、ドミトロ(ドミートリイ)、マクシム、マトヴィイ(マトヴェイ)、マルク、ミコラ(ニコライ)、オレクサンドル(アレクサンドル)

女児の珍名はたとえば下記。

ジュリエッタ、ユスチニヤ、ジーワ、リエル、カタレヤ、ミラーダ、シェルー、マルセリーナ、ロクサーナ、ステファニヤ、グナータ

同、男児。

ヴィダル、イライ、クサヴィエル、アヴェル、ロジデン、イオナ、テオ、レフ、ゾリャン、ヤン

何丘:世相の反映はそんな色濃くない気がする。強いて言えばヴィクトリヤ(勝利)とかボグダン(・フメリニツキー)が人気なこととかか。あとは人気の名はいずれも昔ながらのよくあるやつで、交友関係の狭い私でも女子ならミラーナとソロミヤ、男子ならマルク以外なら出会ったことがある(ロシア/ウクライナ問わず)。
珍名は、女子のジーワ(Жива)、男子のクサヴィエル(Ксав’єр)あたりは片親が外国人なのかなぁと想像されて、ほとんど個人が特定される気がする、こんなの法務省が発表していいのか。レフ(Лев)は聖名目録(Святцы)に載ってる由緒正しい名のハズだが珍名扱いなのは驚いた。

2/6(713日目)

■「ドローン軍」の創設
ウクライナ軍内に独立兵科として「無人機システム軍」が新設される。大統領が内閣にその創設を命じた。ゼレ「これは何も未来の話でなく、近々に具体的な成果を出すべき事柄だ。ドローンは陸空海の戦闘においてその効果を証明してきた。ウクライナが黒海の勢力図を塗り替えることができたのはドローンがあったからこそだ。地上で敵の進軍を撃退できたのもドローンのお陰によるところが大きい。新設部隊の任務は、ドローンスペシャリストの効果的なトレーニング、経験の共有、生産態勢の強化などだ」УП

■記者迫害の件(Bihus.Info)
ウクライナ治安当局による自国メディアBihus.Infoに対する盗聴・迫害の件(1/17参照)、最高検察庁が捜査に着手した。表現の自由は民主主義の根幹をなすものであり記者に対する迫害は看過し難いと。УП
当の保安庁によれば、本件は飽くまで同庁「一部職員」による行為であり、庁としては強い憤りを感じており、既に担当部局の長の解雇含む一連の人事措置が取られたとのこと。УП
※文脈:1/16にBihus.Info職員が薬物を摂取している模様を収めたとされる動画がネットに出回った。だがそれがかねてより当メディアを追跡していた治安当局者の盗撮であること、暴露動画の発表元がAI生成の架空の人物を編集長とする架空のメディアであったこと、薬物を摂取していたのがBihus.Infoの記者でなく技術系職員であったことなどが次々明るみに出て、国家によるジャーナリズム弾圧ではないかとスキャンダルに。政府も本件を重く見て、1月31日にはゼレンスキー命により保安庁の担当部局の長が解雇されている。

■ウクライナの戦時アプリ8選
「ウクライナの戦時アプリ8選」と題する記事がУПに。いわく:この2年は軍人だけでなく市民も多くの未知の技能を新たに身に着けることを強いられた。応急処置のやり方、ミサイルやドローンからの身の守り方、情報工作への対処法。こうした課題に応えウクライナのIT技術者たちは数々の戦時アプリを考案し・発表してきた。今ではウクライナ人の生活に必須のものとなっているアプリ8選。
①ウクライナ脱地雷原化
ウクライナの国土の30%=17万平方kmが地雷原化している(非常事態庁発表)。ウクライナは今やアフガニスタンやシリアを超える世界一の地雷埋設国である。22年2月から23年10月までに地雷により市民261人が死亡、559人が負傷している。この状況を受け非常事態庁が作ったのがアプリ「ウクライナ脱地雷原化」。地雷が埋まっていることが判明している/疑われるエリアが地図上に明記されており、また地雷/不審物を発見した場合に当局に通報もできる。便利な爆発物図鑑つき。爆発物を見つけた場合の対処法も。

②誰やお前?
あなたが領土防衛隊員だったり歩哨だったり、あるいは外出禁止時間中にパトロールを行う警官だったりした場合に、そこを歩ってるウロンなやからの身元が気になりますよね。そこでこのアプリ、「誰やお前?」。アプリ起動してスマホをかざせばAI技術でそこ行く者が内務省や保安庁の指名手配犯リストに載っている人物かどうか、国家安全保障庁の制裁対象者であるかどうか、ロシア軍人またはその協力者であるかどうか、ロシアの戦争犯罪に関する資料に言及のある人物かどうかを照合してくれる。

③ペットケア
空襲で家族とペットが生き別れになってしまうケースがある。そんな事態に備えてペットケアというアプリを持っとくといい。飼い主情報をAnimal IDとかいうデータベースに登録してそれと紐づいたQRパスポートを首輪かなんかに添付しておくと生き別れても再会できる可能性が飛躍的に高まるそうだ。

④スパイバスター
MacおよびChromeの拡張機能として22年3月に発表された「スパイバスター」。アプリもしくはウェブサイトがロシアまたはベラルーシと関係のあるものかどうかをリアルタイムでユーザーに可視化する。電子空間を「清潔」に保つのに有用なアプリという。

⑤敵損失トレッカー
ウクライナ軍参謀本部の協力のもと開発されたアプリ。ロシア軍の損失(人員、航空機、砲門、防空システム、船舶……)をリアルタイムでグラフ表示する。追加機能として防空警報通知、軍への募金などもできる。

⑥E‐防空システム
オデッサのエンジニアたちが開発し国防省情報総局に公認されたアプリ。空襲警報下で飛翔するミサイルないしシャヘドを目撃した/その音を聞いた人が本アプリの赤いボタンを押すと軍の防空チームに通報ができる。この位置情報の集積により、当該飛翔体がどこに向かって飛んでいるのかを割り出すことができる。

⑦戦術的メディカルエイド
負傷者の応急処置を指南するためのテレグラム(SNS)上のチャットボットとしてスタートし、のちアプリ化した。止血法、凍傷を回避する方法、ショック状態の負傷者の取り扱いなどが分かる。

⑧ドリル
射撃のセルフトレーニングアプリ。拳銃からライフルまで武器を選び、4コース、17レッスン、82トレーニング、5つの軍事課題で自らを教練する。22年発表、5万ダウンロード。

当局への通報が可能なアプリ(①とか⑥)についてはマイナンバーアプリ「Дія」による認証が必要。8選には入っていないが「Дія」は基本中の基本アプリということ。

2/5(712日目)

■政治vs軍部
ゼレンスキーはザルージヌィだけでなくウクライナ軍参謀総長セルゲイ・シャプタラの更迭も考えているらしい。УПが政権内部情報として伝えた。УП(09:27)
これを受けてかザルージヌィ、FBにて、「我々に恥じるべきことは何一つない。わが人生と戦争をあなたような人――ウクライナのことを何よりも大切に想う人とともにできて幸せだ。誕生日おめでとう、友よ!良きことが待つと信じよう。そろそろ我々も報われていいはずだ」誕生日だったらしい。にしても、あてつけがましいことだ。УП(10:13)

■クリチコ参戦
キエフ市長クリチコがザルージヌィ解任報道に触れ、「今日見られる軍への高い信頼はザルージヌィの力によるところが大きい」とザルの功績を讃え、「総司令官の更迭は国益を損ねかねない」「今一番重要なことは戦闘力の維持、そして国民が一丸となることだ。政治的な暗闘にかまけている場合ではない」と牽制した。УП

■暖冬ウクライナ
ウクライナがだいぶ暖かくなっている。キエフの4日の最低気温は+4.6°Сと観測史上最高(УП)。この先まだ何度か寒波が襲うだろうが、暖房シーズンも早や3分の2を過ぎた。このまま大きな事故なく冬を越えられるのではと期待を抱かせる。キエフ10日間予想↓

読み方:左端=2月6日火曜曇り時々晴れ時々雪時々雨、最高気温6度、最低気温1度。
↓オデッサなんかこの通りだ。ほとんど4月並みの陽気。↓

■ドローン100倍増
DX省によれば、ウクライナ国産ドローンの生産力は戦前比で100倍にも上っている。現在ウクライナに登記されているドローン関連企業は200社、これら企業が製造している67種のドローンが国家からの発注を受ける可能性がある。23年6月から24年1月の半年で20種ものドローン関連法令が作られドローン関連企業は各種の手続き・税制上の優遇を受けることになった。結果、同期間の戦果として、映像による裏付けがあるものだけで1万4000ものターゲット(戦車、装甲車その他)にドローンを命中させることができた。УП

2/3・4(710・711日目)

■ゼレンスキー南方視察
ゼレンスキーがザポロージエ州ロボチノ村の前線を視察。УП
その後クリヴォイ・ローグで会議を開き、同市を含むドニプロペトロフスク州における電力および水供給について話し合った。クリヴォイ・ローグはここ数日ロシア軍の集中攻撃を受けており、とりわけ3日のドローン攻撃(7500人に停電被害)は同市のインフラに対する攻撃としては過去最大規模とされる。УПУП

赤ピンがロボチノ。なおクリヴォイ・ローグ(クリヴィー・リフ)はゼレンスキーの出身地でもある

■戦況とザルージヌィ
ゼレンスキーがイタリアのTV局「Rail1」によるインタビューで語った。
・戦況概括
海上の作戦では成果を挙げた。露軍は多くの船を失い我々は穀物回廊の創設に成功した。だが地上における戦闘については、確かに膠着状態だ。その主たる原因は武器弾薬不足。今なお国土の26%が占領をされている。だが露のさらなる前進は阻み得ている。УП
・ザルージヌィ総司令官更迭の噂は本当?
特定個人の交替どうこうでなく、また軍に限った話ですらなく、国家指導部のローテーションについてなら考えている。勝利を望むなら全員が一つの方向を向き、全員が勝利を信じているのでなければならない。絶望や無気力に駆られた者を排除し、然るべきポジティヴなエネルギーを充填させなければ。そのためのリセット、そのためのリスタートだ。一人の人間どうこうでなく、国家指導部全体の方向性を整えるそれ。УП

■海上輸送は順調
オデッサ諸港から黒海の「ウクライナ回廊」を通じた1月の輸出量は630万トンと、ほぼ戦前の水準を回復している。トータルだとこれまで同ルートで32か国661隻2000万トンが輸出された。うち1430万トンが農産品である由。УП

■弾不足
ISWによれば、深刻な弾薬不足のせいでウクライナ軍は長い前線のどの部分を優先するか(逆に言えば、どの部分を諦めるか)という困難な選択を強いられている。タマ数の圧倒的な開きによりウクライナ軍は有効な大砲兵戦ができておらず、頼みの綱のドローンも敵の砲台が陣取っている前線から15~24kmまで飛ばすには飛距離が足りない。УП

■ユーロヴィジョン
欧州のど自慢大会(ユーロヴィジョン)のウクライナ代表を選ぶ投票を国民アプリ「Дія」で受け付けたところアクセスが殺到し、一時アプリが開かなくなった。行政サービスの簡素化からこうした娯楽イベントまでその機能と守備範囲をどんどん拡充させる「Дія」そして仕掛け人のフョードロフDX相、恐るべし。УП
ちなみに結果、ウクライナ代表はalyona alyona & Jerry Heil(アリョーナ・アリョーナ&ジェリー・ヘイル)に決まったそうです。УП

2/2(709日目)

■5つの重要問題
ゼレンスキー:今日の最高指導部会合で5つの重要問題が話し合われた。第一にドローン生産。フョードロフDX相とウメロフ国防相より報告を受けた。現在戦場で使われているドローンの9割が国産だ。ウクライナ企業各社に謝意を。今年は契約件数も増大し、ドローン用の追加予算も組んでいる。
第二の話題は砲弾。第三が戦況。第四が要塞化(拠点の堅牢化)。第五が電力。今年の暖房シーズンは安定的に経過している。УП

■アリガト日本
シュムィガリ首相:日本からウクライナへの財政支援は45億ドルに上り、支援国の中でも金額ベースで第4の位置を占めている。両国はビジネスや投資といった分野での関係発展に意欲的であり、今月ウクライナ政府代表団が日本を訪れて「復興・経済成長会議」に参加する予定もある。УП

■オルバンおこ
ウクライナのクレバ外相が親露反ウで鳴らす欧州一の問題児・ハンガリーのオルバン首相を北風と太陽とばかり「彼は親露でなく親ハンガリーなのだ」とあえて持ち上げてみせた(1/30参照)のがまたオルバンの気に召さなかったらしい。出演したラジオで「ウクライナ政権幹部の発言になんか興味ない。首相はこんなやつ外相はこんなやつなどと規定しないでほしい。千年の歴史もつ主権国家ハンガリーは外国人による承認など必要としない」怒気おびて。扱いムズ。УП

■スロヴァキア
スロヴァキア32都市で反政府デモ。首都ブラチスラヴァでは3万人が参加。第7次のデモである由。争点はウクライナでなく刑法典の拙速な改正らしいが、これでフィツォ親露政権が倒れることがあれば喜ばしい。УП

■夜襲
1→2日の夜、中部・南部に中規模無人機攻撃。シャヘド24機、うち11機を撃墜、少なくとも7機が目的を達成せず(←電波妨害?)УП
この攻撃で中部のクリヴォイ・ローグで変電所が損傷し一時10万人に停電被害。УПУП

■Il-76
露ペスコフ:露大統領府はウクライナ側より「24日のIl-76墜落で死亡(※ロシア側によれば)した軍人たちの遺体を渡してほしい」との要請を受け取っていない。……だそうだ。УП

■イワノヴェツ
ブダーノフ:露ミサイル艇「イワノヴェツ」撃沈はウクライナの無人海洋ドローン6機の直撃によるもの。УП

2/1(708日目)

■EUから500億
・EU全27か国首脳がウクライナへの500億ユーロの供与について合意した。УП
・ゼレンスキー:EU諸国に謝意を。4年間の長期支援だ。最初の2年で180億ずつ、総計500億ユーロ。社会の安定のための財政的な保証が得られた。УП
・ゼレ「軍事支援の方もよろしく」УП
・クレバ「ハンガリーの拒否権発動による支援妨害の脅威は霧消した」УП
・EU首脳らはいかにしてオルバンを説得したか――3つの条件(使途の年次報告など)УП
・ポーランドのトゥスク首相「EUにウクライナ疲れなし、寧ろオルバン(ハンガリー首相)にうんざり」УП

■イワノヴェツ乙!
情報総局がらみの特殊作戦でクリミア沿岸に停泊中の露ミサイル艦「イワノヴェツ」が撃滅された。УП

■Il-76
情報総局広報:1月31日の捕虜交換では24日に返還予定だった者たちも含まれていた。ウクライナ側は遺骸の返還を求めているが露がこれに応じない。またウクライナ側は墜落の状況そして搭乗者について国際的な調査を求めているがこれにも露は同意していない。УП
ウ議会人権問題全権「要は構図は調査求めるウクライナ、ひた隠しのロシア」УП
墜落現場の衛星写真が上がってきた。УП

■ザルージヌィ語る
ザルージヌィ総司令官がCNNで語った。
・24年の目標は3つの方向性に注力せねばならない。第一に、ハイテク装備を軍に供給するシステムの構築。第二に、装備が不足しその使用法についても制限がある中で軍事行動を策定・実行していく上での新たな哲学の導入。第三に、新たな軍事的能力へのいち早い習熟。УП
・ウクライナは全く新しい戦力再生産システムを構築しなければならない。各職階の人員の補給と教育、兵站の整備、さらにはドクトリン開発。5か月あれば整備できる。パートナー諸国も同様の意見だ。УП

■砲弾不足の訴え
ウメロフ国防相がEU諸国に書簡を送り、深刻な砲弾不足を訴えている。今ウクライナ軍は延長1500kmにも及ぶ前線で1日に2000発の砲弾を使用しているが、ロシア軍は少なくともこの3倍の砲弾を撃ってきている。情況は日に日に悪化しており、だからEUよ、約束通り100万発の砲弾をくれよと。ブルームバーグ、УП

■ゼレ本
ゼレンスキー本『ザ・ショウマン』著者サイモン・シュスターへのインタビュー。УП

■ウクライナ人の購買行動
ウクライナ最大手銀プリヴァートバンク発行のカードによる買い物が1年で40%増えた。これ自体驚き。私のいた2019~2022年すでにウクライナは日本よりだいぶ進んだキャッシュレス化社会だったが、そこからさらに4割増?
それはさて、各種の数字がウクライナ人の消費行動の外形を浮かび上がらせていて興味深かったので。まず、同行カードでの支払いは1日あたり800万件、2023年通じて30億回、総額7800億グリヴニャ(約4倍で円)。22年は5500億だった(即ち40%増)
費目では、食料品3500億(全体の45%)、医薬品8.5%、衣類8.1%、「家用商品」(家具調度品?)7.2%、外食7%、家電5%、燃料(ガソリン等)4.2%、交通費1.5%、レジャー1.4%、装身具1.2%。УП

■豚芝居「ロシア大統領選」側面史(その2)
占領地に駐屯しているロシア兵(住民でも何でもない)が選挙人登録している。むろん得票数水増し→大帝の改選に見せかけの正当性を与えるため。УП

1/31(707日目)

■捕虜交換
例のIl-76墜落の件の真相究明に進展がないなか、新たに207人の捕虜交換が実現した。ウクライナ側の当局情報(非公式)では、この207人の中に1/24交換予定だった65人は含まれていない。なお今回は、露の軍事侵攻始まって以来50回目の捕虜交換。これまで総勢3035人のウクライナ人が返還されている。УП
プーチン「例の件で捕虜交換が止まるか?いや、止めない。兵士たちを取り返さなければならない」УП

■動員新法
内閣が30日付で議会に提出した動員新法(案)には次のような新機軸が盛り込まれている。
・徴兵忌避者に対しては裁判所経由で①出国の禁止②運転免許の一時停止③銀行預金等金融資産の差し押さえなどの強制執行を行えるようになる。УП
・26年以降、健康な男性が官公庁に就職する際には、基礎的な軍事教練の修了、または軍務経験を必須とする。УП
・検察庁(地方と中央とを問わず)ないし警察への就職の際にも上記条件が求められる。УП

軍相克
WPがウクライナ政府高官(複数)の証言として報じたところでは、①ゼレンスキーはザルージヌィ(およびその年長の側近たち)の更迭によって何を実現したい?→ウクライナ国民の戦争疲れと西側からの軍事支援の滞りという沈滞した現状を刷新したい。②何が両者の不和を深めた?→軍の需要と政府の供給の不一致。たとえば動員について、ザルージヌィが24年次動員で50万人を求めたのに対し、ゼレンスキーは制服・武器・訓練所の欠乏に鑑みこの数字は現実的でないと判断。また西側兵器・装備品についても、軍が求めるものを政府は必ずしも調達できなかったと。УП

■貧するウ軍/ひどいよ西側
ブルームバーグが西側当局者(匿名)の証言として報じたところでは、ウクライナ軍は砲弾が不足し、前線の状況はますます苦しく、ロシア抑止が覚束なくなってきている。また、都市防衛用の地対空ミサイルも欠乏しかかっている。頼みの綱は欧米からの支援だが、欧州からウクライナへ3月1日までに「100万発」の砲弾が供与される約束も、生産遅れ等により60万発にとどまる見込み。米国からの60億ドルの追加支援も早や数か月国内合意できず。EUからの50億ユーロの支援もハンガリーの抵抗により合意できないまま。米欧の支援の成否いかんによっては、泥濘期があけ戦闘が激化する5~6月を、ウクライナ軍は相当に劣悪な状態で迎えるかも知れない。УП
EU外相ボレル、EU諸国国防相会合の後で:EUは3月までに砲弾「50万発」しかウクライナに供給できない。今年中には100万発行きそうだ。今のEUの砲弾製造能力は年産100万発ほどだが、ウクライナ戦争を受けて生産力は4割増しになり、今年の終わりには年産140万発の体制を築けそう。УП

■信頼と実績の日本
けた一つ違うとはいえ、米から60億EUから50億ドルの支援が国内/域内不一致でなかなか実現しないというなかで、日本からしれっと3億9000万ドルの財政支援がウクライナに供与された。農地の復興などに用いられる。УП

■地雷除去
占領地解放闘争と並行して脱占領地では早や地雷除去が進められている。1月は南部のヘルソン・ニコラエフ両州で農地2万1000ヘクタールが浄化された。「冬季で作業困難なことに鑑みれば相当いい数字」経済省広報。記事では言及されていないが、ここには当然、日本が供与した技術が使われていることだろう。УП

■軍事演習
戦争中でも軍事演習は行われるものらしい。キエフ州のブチャ地区で2月1~3日、昼夜問わずの演習が行われ、大きな爆発音など鳴るけど気にしないでね、とキエフ市当局。ただ撃つなら戦場でやればいいところ、あえて戦地から遠いところで演習するのは、何か新しいことやろうとしている、ということだろうか。УП

■今は敵のターン
ブダーノフ情報総局長官:今のロシアの攻勢は23年11月に端を発するもので、それから2か月半経った今も続いている。このかん多少の前進は見せたが、彼らが願ったような大きな戦果は全く上がっていない。春の初めには完全に息切れするだろう。つまり、今は敵のターン。それが終われば、我々のターンだ。УП

あちらの人の「春」という語の含意として、一般的には季節は3か月割り、345が春、678が夏、91011が秋、1212が冬。

■死せる魂
ザポロージエ州の被占領地で占領者どもが来る「ロシア大統領選」に向けた選挙人登録を進めている。その際当局は「死せる魂」(←ゴーゴリ『死せる魂』)つまり不在者・不同意者も積極的に登録しているらしい。見せかけの投票率を高め選挙の「正当性」を演出するための水増し行為。ウクライナ側は被占領地に住むウクライナ国民に対し「選挙」を無視するよう、投票当日にロシア兵どもが住家を訪ねてきても決してドアを開かぬようにと呼びかけている。УП

■夜襲
30→31日の夜、シャヘド20機、イスカンデル3発。うちシャヘド14機撃墜。各地のインフラ等に被害。УП

1/30(706日目)

■ザルージヌィ総司令官、更迭秒読み(か)
ザルージヌィの更迭が近く行われる、との見方が強い。各種報道機関の得た内部情報によれば、
①更迭は時間の問題。ゼレンスキーとザルージヌィの相互不信は極点に達している。⑴ザルが大規模動員を強く要請したことがゼレの気に染まなかった⑵軍事戦略についての不一致⑶ザルの人気の高まりに大統領府が警戒感を抱いた
②ザルージヌィの更迭自体は決定事項であり、30日には大統領執務室にてゼレンスキー、ザルージヌィ、ウメロフ国防相の3者密談が行われ、ゼレよりザルに「総司令官更迭が決定された、近く(大統領令に)調印がなされる」との通告がなされた由
③更迭が既定自体ならなぜ辞令(大統領令)が出ない?考えられる理由A、西側が介入した、B、後任が決まっていない
④後任候補にスィルスキー陸軍司令官またはブダーノフ情報総局長官(ともにゼレンスキーに近い)が上がっていたが、両者とも辞去したとか。スィルスキー(58)は「軍事行動に対するハードなアプローチ」がたたって兵士の間に人気がない。ブダーノフ(38)は通常の軍隊を率いた経験がなく、100万からの人間を組織できるか疑問(FT、エコノミスト、BBC、УП

■サイバー攻撃
ウクライナ情報総局が関与したサイバー攻撃により30日、露「国防省」のサーバーがダウンした。この結果、同サーバー経由の部隊間の情報交換が停止した。УП
これに関連したものと思しいが、モスクワ、サンクトペテルブルクを含む広い範囲で通信に障害が出、大手検索エンジンサイトやSNSが開かなくなった。УП

■ハンガリー
ウクライナのクレバ外相:もしハンガリーのオルバン首相やシイヤルト外相が「親ロシア」なら、EUにとって大問題だ。だが彼らは、「親ロシア」でなく、「親ハンガリー」なのだと思う。そうでなかったらシイヤルト氏はわざわざウシゴロドに来なかっただろう。УП
ハンガリーのシイヤルト外相:オルバン首相とゼレンスキー大統領の会談までの道のりはなお遠い。もしウクライナがハンガリーの要求(ザカルパチア=ウクライナ西部に住むハンガリー人の復権)が満たされれば、そのときようやく首脳会談への道が開ける。УП

■ブダーノフと日本大使が会う
情報総局のブダーノフ長官が松田駐ウ日本大使と会談した。パートナーシップおよび「興味深いアイデア」について話し合った由。それ何。情報総局「日本は依然としてロシアの侵略戦争への抵抗におけるウクライナの最も堅実かつ首尾一貫したパートナーの一人である」УП

■夜襲
29→30日の夜、シャヘド35機、うち15機のみ撃墜に成功。「連日連夜のことなのにどうして撃墜に習熟しないのか、どうして100%撃ち落とせないのかと思われようが、数も違えば来る方向も進む方向も毎度異なる。今回でいうと、35機のうちの大半は前線付近ないし国境付近に位置する各種の標的(軍事/民生/エネルギーインフラ)を狙ってきた。УПУП
※ここ数日は10機に満たない少数が続いていた。久しぶりにどかっと送り込んできた。

■腐敗認識指数
トランスペアレンシー・インターナショナルの国別「腐敗認識指数」ランキングが今年も発表された。ウクライナは100点中36点(180か国中104位)で、前回+3点という伸び幅は世界最高水準、つまり、ウクライナは昨年世界で最も政府のクリーンさに対する国民の評価が高まった国の一つとなった。УП
デンマーク 90点 1位
フィンランド 87点 2位
ニュージーランド 85点 3位
・・
日本 73点 16位
・・
ウクライナ 36点(昨年+3点) 104位
・・
ロシア 26点(昨年-2点) 141位
・・

1/29(705日目)

■ゼレ語
独ARDテレビによるゼレンスキーのインタビュー。
・ウクライナ軍には88万の兵士がいる(※なおプーチンの1/26の発言によれば、ロシアのウクライナ侵略軍の人数は61.7万人)。その背後には3000万の国民がいる。相当に強大な軍であるが、徴兵適齢にも関わらず不法に出国した人たちには、ウクライナに帰還するか、あるいは、税金を払ってもらいたい。いま外国にいるウクライナ人を、その外国がウクライナへ強制送還することは望まない。だが、税金は払ってほしい。その税金が軍の資金になる。戦争が始まってから、650~750万人が出国した。УП
・(新法を成立させて50万人規模の動員をかける動きがあるが)公正であること、それに尽きる。動員の問題では復員(動員解除)も重大な点だ。すでに700日戦場に立ち続けている者もいる。公正なローテーションが必要だ。高級を払ってはいるが、お金の問題だけではない。広範な休暇が必要だ。それから、召集令状については、リクルーターが街で男性をつかまえて徴兵事務所への出頭を命じるようなことは願い下げたい。時代はデジタルであり、我々は一大デジタル国家だ。この問題は現代的に解決したい。УП

■今年の目標は「ドローン技術でロシアを凌駕すること」
ゼレ、晩方の定例ビデオメッセージで:ドローンの質で敵を凌駕すること、これが今年の一大課題だ。FPVドローンから戦略ドローンまで、ウクライナ産ドローンをうまく使えれば使えるほど、兵士の命を守ることができる。УП

■「総司令官更迭」デマ
ザルージヌィ総司令官が更迭された、との情報がSNSで流れ、一部メディアも報じたが、のち大統領府が明確にこれを否定した。УПУП

■ウクライナ=ハンガリー2+1会談
クレバ外相とイェルマーク大統領府長官がウシゴロド(ウクライナ西部の都市)でハンガリーのシイヤルト外相と会談、両国関係正常化について話し合った。УП
のちイェルマーク:会談では両国首脳会談実施への意欲が双方から表明された。今回の会談でその実現へ大きく近づいたと考える。首脳会談が両国関係に新たな一ページを開くことを期待する。УП
またシイヤルト:ウクライナ西部に住むハンガリー人が2015年までに持っていた権利(ハンガリー語による教育など)を回復してほしい。17年以降、ハンガリー人の権利を狭める法律が採択されはじめ、12月には権利が停止されてしまった。それら権利の回復、求めるのはそれだけだ。УП

■捕獲シャヘドの効用
イグナート空軍報道官、捕獲に成功したシャヘドはそのまウクライナ軍の攻撃ドローンとしてロシアに送り返しているのか?との記者の問いに「笑、気持ちは分かる。だが、合理的に考えると、シャヘドはコレクターに売りつけて、そのお金でウクライナ製のドローン10機を買った方が良い。というのは冗談として、捕獲したシャヘドから得られる一番の利益は、情報だ。シャヘドの性質をよりよく理解して、対策を講じるのに役立つ。また、使われている集積回路等の部品を、『西側の制裁が不十分であること』の動かぬ証拠としてパートナー諸国に提示できる。УП

■許容度(ソーシャルディスタンス)調査
各民族/言語集団へのソーシャルディスタンス(どのくらい近くにその人がいることを許容するか)を測るキエフ国際社会学研究所の調査。ソーシャルディスタンスが最も近い(つまり、その人にならごく身近な距離――たとえば家族のメンバー――に受け入れてもよい、と多くの人が感じる)のは、「ウクライナ語を話すウクライナ人」。次点は「ポーランド人」そして「ロシア語を話すウクライナ人」。
以下、そのランキング。数字が小さいほど親近感が強い。目安として、たとえば「2」なら「家族の一員になっても歓迎」レベル、「7」は「ウクライナにいてほしくない」レベル。

・ウクライナ語を話すウクライナ人 2.03
・ポーランド人 2.93
・ロシア語を話すウクライナ人 2.95
・カナダ人 3.04
・アメリカ人 3.07
・ドイツ人 3.32
・フランス人 3.35
・ウクライナ在住ユダヤ人 3.39
・ウクライナ在住ベラルーシ人 4.04
・ルーマニア人 4.23
・アフリカ人 4.69
・ロマ(いわゆるジプシー) 4.75
・ウクライナ在住ロシア人 4.96
・ベラルーシ在住ベラルーシ人 5.30
・ロシア在住ロシア人 6.38

傾向として、「ロシア語を話すウクライナ人」への許容度が低下しているそうだ。УП

1/28(704日目)

1)ベ露首脳会談
ルカシェンコがペテルブルクでプーチンと会った。ルカ「我々はロシアとの関係にほとんど何の問題も見ない。ロシアのようにベラルーシに対してくれる国は他にない。どうして同じことをウクライナやバルト諸国はできないのだろう? ともにあの恐ろしい戦争(※第二次世界大戦)に打ち勝ち、数十年かけて打ち立てた私たちの世界。この方向で邁進すればよかったではないか。なのに彼らは、『海の向こうの幸せ』へと奔走した。それも彼らの自由ではある。だが思うのだ、きっと彼らは戻ってくると。他にどこにいくところがあるというのだ?」УП

2)もしも西側兵器で露本土を攻撃できていれば……
ウ海軍司令官ネイジパパ:もし英国の兵器でロシア本土を撃つことが許されていれば、戦争の経過は異なり、いちはやく勝利を収めることができていただろう。ウクライナは力を持たなければならない。ロシアがもうウクライナの方を物欲しそうな目で見ることすらためらうように。プーチンは小物のチンピラ、殴ったら殴り返されると分かったら、もう殴りかかってはこない。УП

3)動員
ウ陸軍将校、動員について:近く採択される見込みの動員新法で何人の追加動員が決まろうとも――10万でも20万でも50万でも――訓練する能力はある。2割を外国で、残りをウクライナ国内で訓練する。なお、いま一番必要な兵種は、歩兵である。前進できる歩兵、襲撃できる歩兵、敵を拠点から追い落とし、または自軍の拠点を維持できる歩兵。ドローン/戦車/大砲を操れる兵士もむろん大事だが、今一番必要なのは歩兵。УП

1)ルカシェンコの言葉は素朴で率直で、これはこれでリアルな世界観の表明だと思う。他にどこにいくところがあるか(Деваться некуда)は呪いの言葉。地政学というやつか、ロシアの隣国という地理的条件からは逃れられない。
2)だが、意思すれば、遥か遠く、逃れていくことはできると信じたい。「ロシアがもうウクライナの方を物欲しそうな目で見ることさえためらうように」強く、新しくなることができれば。それは飽くまでウクライナの人たちの選択なので、ウクライナは欧州の国となるべきだとも、いやロシアとともに歩むべきだとも、私は言う立場にない。ただ、少なくともロシアが、言うことを聞かないからといって隣国に何千発のミサイル/ドローン、何十万の兵隊を送り込んでくるような国であり続ける限りは、
3)ほへいとは、私の理解では、一番死ぬ人たちだ。消耗される、ゆえに数が要る。死にながら殺していく数と数のぶつかり合い、それに欠乏している、それが補充されるのだと。

1/27(703日目)

■ゼレ、1月の総括
ゼレンスキーが定例ビデオメッセージでこの1か月を総括。最大の成果は「国際社会の関心を留め得たこと」。国際社会は頑健でない者・勇敢でない者には見向きもしない。頑健さ、それがこの1月、さらに鍛えられた。頑健さ、それこそがあらゆる国際的コミュニケーションの基礎だ。そして、皆さん(ウクライナ国民)には、それがもともと備わっている。
ほか、具体的成果として、英国との安全保障合意、ポーランドとの関係正常化、EU加盟への前進(法制度スクリーニングの開始)、第一回平和サミット@スイスの開催決定、在外ロシア資産の没収とウクライナ支援への充当に向けた前進……などが挙げられた。パートナー諸国からの軍事支援の取り付けについても「悪くない流れだ」УП

■制空権
クレバ外相:「F-16+ドローン+防空システム+ミサイル」これらを適時に取得できれば年内に制空権を回復することは可能。УП

■Il-76と捕虜
ブダーノフ情報総局長官:
・Il-76に何が起きたのか今もって確たることは言えない。ロシアの立場は明快で、何しろ全てのことにつきウクライナが完全に悪いというものだ。だがそれを言うためには死体や残骸が撒き散らされた墜落現場を写真なり動画で示すべきだが、それをしない。よく分からない点だ。なぜ死体を示さない?УП
・捕虜交換はそれでも行われるべきだ。それに向けて我々は全力を尽くす。近い将来、捕虜交換は実現するものと信じる。Il-76に何が起きたのかは次第に明らかになっていくだろう。УП

■夜襲(低調)
26→27日の夜、シャヘド4機、全機撃滅。露ロストフ州からドネツク州に「イスカンデル」ミサイル1発、被害なし。УП

1/26(702日目)

■Il-76
・UN
25日の安保理会合でディカルロ国連事務次長:露政権によれば当該機にはウクライナ軍人65名とロシア人乗員6名とロシア軍人3名が乗っていた。ウクライナ政権によれば同機は露ミサイルを運搬していた可能性がある。国連はこれら主張ないし事故状況を確認できる立場にない。УП(10:12)
・GUR
情報総局広報:ロシアは国連安保理に「Il-76にはウクライナ人捕虜が乗っていた」という明白な証拠を提出しなかった。我々が繰り返し述べているのは、①当該機は露兵器と敵兵の輸送にたびたび使われていた軍用機であった②ウクライナ人捕虜を当該機で輸送することについてウクライナ側に通知は行われなかった、ということだ。また当該機が何を原因に・どのような状況で墜落したかについては、国際的な調査委員会を設置して、残骸を調べブラックボックスを解析して究明するのが自然な運びだ。だが現時点でロシアはこうした可能性を否定していると聞いている。УП(12:39)
・ダニーロフ
ダニーロフ国家安全保障会議書記:状況が完全に解明されるまで結論を急がないように。ウクライナ軍および政府の最高レベルで事態の究明に取り組んでいる。真相が明らかになるまでそう長い時間はかからない。それにしても国連の不作為は。国連本部でラヴロフ(露外相)を抱擁し接吻し、挙句に言うことには、「事故」現場を訪問する権利が自分たちには無いと。何のための国連だ、国連とは何をする機関なのか?УП(17:31)
・プーチン
プーチンが本件にコメント。「ウクライナが自国軍人65人の乗ったIl-76を撃墜した。わが軍の誤爆ではあり得ない。我々が65人のウクライナ軍人を輸送していることをウクライナ軍と情報総局は知っていた。故意にか誤ってかは不明だが、彼らがやったことは明らかだ。ロシア軍の誤爆ではあり得ない。ウクライナの支配地域から2発のミサイルが発射された。命中までは2~3分、反応は事実上不可能だった」УП(18:35)
・GUR2
ロシア側が24日の捕虜交換の対象者であり同日のIl-76墜落で死亡したウクライナ軍人65名のリストをウクライナ側に渡した。ウクライナ情報総局ブダーノフ長官「同機に搭乗していたのだ誰だったのか、今もって確たる情報はない。あらゆるチャンネルを動員して究明に努めている」УП(21:30)

■ハリコフ
さらに1人が搬送先の病院で死亡し、23日朝の攻撃による死者は11人になった。УП
ハリコフ市議会が市内65の街路の名称を変更することを決定した。脱ソ・脱露。23日の攻撃で被弾し多くの犠牲を出したプーシキン通りはグリゴーリイ・スカヴァラダー通りになる。УП

■数字
・38万人
26日朝のウクライナ軍大本営発表では先立つ一週間、ロシア軍は990人の兵員を失い、侵攻開始以来のロシア軍の人的損失は38万人を超えた。УП
・4万人(3000人)
BBCほかの調査では、侵攻開始以来のロシア軍の人的損失について、死亡が確実に確かめられているのは4万3014人で、うち3079人が将校だという。ロシア国内70か所の墓地を組織的に調べた。実際の死亡者は少なくともこの倍と見られる。УП

ウクライナ人のネット習慣
毎日ネットに接続するウクライナ人の割合は昨年の72%から1年間で80%へと増大した。全然インターネットを使わない人は21年の9%から現在は5%まで半減。キエフ国際社会学研究所が18歳以上を対象に行った調査。УП

1/25(701日目)

■Il-76(捕虜輸送機?)撃墜の件
●情報総局広報が声明。
・ベルゴロドの死体安置所に搬送された死体は5体のみ。Il-76の乗員の数がちょうど5名である。また、現場にロシアの消防および救急が駆けつけたところ、保安庁および軍に追い返されたとの情報もある。УП
・捕虜交換のための捕虜の輸送については、抑留国側が安全確保の義務を負う。ゆえに、これこれのルートで輸送するから砲火を控えよとの通知を相手側に行うのが常道だ。前回1月3日の捕虜交換の際(このときもロシア側は捕虜の輸送に航空機を使った)は事前に通知があったので当然我々も砲火を控えた。だが今回、そのような通知は、口頭でも書面でもなされなかった。УП
・ロシアが自ら撃墜した可能性もある。当該航空機が撃墜された地点は交戦地帯に至近であり、一帯の上空をウクライナ側ロシア側双方の多数の無人機が飛びかっていた。ロシアの対空兵器が自軍航空機(輸送機含む)をウクライナ側の偵察ドローンと誤認して撃滅した例は過去にもある。УП
●また空軍司令官が強気のコメント:ハリコフ、ヘルソン、ドニエプル、ザポロージエその他前線に隣接する諸地域は毎日毎晩敵ミサイル・爆弾・ドローンの攻撃を受けている。我々がたとえば敵の航空機を撃滅すれば、その航空機はもはや我々にテロを行えなくなる。既に多くの敵機を撃滅した。これからも撃滅する。そのための手段はどんどん充実していっている。敵が思いもよらないような場所をこそ襲う。УП
●ISWによる分析:捕虜交換はロシアにとってもウクライナにとってもセンシティヴな問題であり、今回のことは当然に感情的なリアクションを呼び起こしている。露は本件を「ウクライナ軍が西側兵器を用いてウクライナ人捕虜を故意に爆殺した」ものと決めつけ、情報キャンペーンを展開中。その狙いは、①ウクライナ国内に不満そして政府不信を醸成すること、②西側の対ウ軍事支援にブレーキをかけること。たとえばカルタポロフ露議会下院国防委員会議長は本件を口実に捕虜交換の無期限停止を呼びかけている(→ウクライナ国内の不満そして政府不信の醸成)。また別の複数の高官は、何らの根拠も示さずに、本件を米国ないしドイツ供与の対空兵器による攻撃と決めつけている(→西側の対ウ軍事支援への妨害)УП

■ハンガリー
・ウクライナ政府はハンガリー首相オルバンの15年ぶりのウクライナ訪問を実現すべく折衝を続けている。オルバンがキエフに来るかゼレンスキーがブダペストに行くかだが、ウクライナとしては、やはりオルバンにキエフに来てもらいたい。29日にはウクライナ西部のウシゴロドで両国外相会談が開かれ、首脳会談に実現に向けて話し合う。УП
・そのハンガリー政府が無意味かつ滑稽なお手盛り世論調査の結果を発表した。それによれば、ハンガリー現政権の各政策への支持率は、軒並み98%を数える。
ウクライナ戦争、EU、外交政策など11の質問から成る調査で、いずれの項目でも最低97.5%の支持率で現政権の立場が支持されている。調査には150万票(有権者の15%に相当)が集まったが、一人で何票でも投票でき、またハンガリー国籍がなくても投票できる。УП

■ロシア(侵略戦争が自国民の生活を圧迫)
ここ数か月、ロシアの諸地域で暖房と電気の供給が支障をきたしている。英情報当局の分析によれば、戦時経済で資本が軍需に集中しインフラ整備が手薄になったところへ気温が低下し高熱需要が増したこと、また動員の影響で工学・技術系の高度熟練技能者を含む各分野の労働力が欠乏していることによる。プーチンは暖房と電気を住民に確実に供給するよう非常事態相に下命。この問題を解決できるかどうかが大統領選を控えたプーチンにとっては極めて重要になると。УП

■トゥアプセ火災
ロシアの黒海沿岸の都市トゥアプセ(下図)の石油加工工場で大規模火災。ウクライナ軍のドローン攻撃と見られる。「石油関連施設はロシア経済の生命線であり、かつロシア軍への燃料の供給源である。今後もロシア深部へのこうした攻撃は続く」ウ保安庁内情報(非公式)。УПУП

■夜襲(オデッサ)
24→25日の夜、14機のシャヘドが飛来、11機を撃墜。УП
うち10機はオデッサ州(残り1機はニコラエフ)上空での撃滅。臨海工場地帯の家具製造工場の倉庫に命中して大規模な火災が発生したほか、撃墜片が惰性飛行でオデッサ市ハジベイ地区(筆者の義父母が住む)の新築マンションに当たるなどで計6人が負傷。既知の戦術ではあるが①複数機同時に②低高度で海から街へ入り③複雑な軌道で飛ぶため撃墜は困難。警報発令から実際の攻撃までの時間は15分であった由。УП

1/24(700日目)

■捕虜爆殺?
24日白昼、露ベルゴロド州(ウクライナに隣接)に露軍用機Il-76が墜落した。このとき露プロパガンダメディアは一斉に騒ぎ立てた:この日はウクライナ軍とロシア軍の捕虜交換が行われる予定であり、同機には捕虜交換に向かう数十人のウクライナ軍人が乗っていた、と。ウクライナ軍が自らウクライナ軍人満載の航空機を撃墜し、数十人の味方を殺害した、と言いたいのである。実際この日、予定されていた捕虜交換は行われなかった。
これについてゼレンスキー、晩方のビデオメッセージで:可能な限り全てのファクトを洗い出すことが重要だ。その際に参照されるべきは、墜落はロシア国内で、我々の管轄外で起きたということだ。「ファクト」、それがいま一番重要な言葉だ。ロシアはウクライナ人捕虜の命を、また親族たちの心情をもてあそんでいる。ウクライナは国際的な調査の実施を求める。УП(23:16)
米国は現時点で十分な情報を持っておらず、事態の究明に努めていると。УП(22:50)
露ラヴロフ外相:この日は捕虜交換が行われる筈のところ、ウクライナ側がハリコフ州から発射した地対空ミサイルで当該機が撃滅された。我々は既に安保理の緊急会合を要請した。УП(19:21)
ウクライナ情報総局:交戦国は相互に捕虜の安全の確保について義務を負うのであって、ウクライナ側はロシア人捕虜を事前に告知した安全な場所に適時に送り届けていた。一方のロシア側はこれこれの時間帯はベルゴロド上空の安全を確保せよとの要請をウクライナ側に行わなかった。過去のケースではそうした通知があったにもかかわらずだ。捕虜の移送は航空機・鉄道・自動車と様々な手段で行われうるが、捕虜の移送ルートおよび様態について情報もなかった。これらのことから、ロシア側は故意に捕虜の安全を危険にさらした可能性が示唆される。前線から30km圏内の航行は安全ではあり得ないのであって、いずれにしろ双方の話し合いが必要であった筈だ。ロシアはウクライナ国内情勢の不安定化と国際的な支援の弱体化を目的に計画的・故意に事故を誘発した可能性がある。УП(17:51)

素人:ざっと4つのケースが考えられる。A.ロシアが故意に撃墜した。B-1.ウクライナ軍が撃墜した(ロシアが偽情報の発信ないし情報の秘匿によりウクライナの攻撃を誘発した)。B-2.ウクライナ軍が撃墜した(ロシア側に瑕疵はなかった)。C.捕虜は実際には乗っておらず、ウクライナ軍の通常の作戦行動の範囲内の事象を、ロシア側が後付けで「捕虜輸送機撃墜」と決めつけ情報工作に利用した。
正直、いずれの場合(たとえB-2)であっても、ウクライナ側が非難されるいわれはそうないと思う。私としては、むろん、Cであることを望む。即ち、捕虜たちが無事であることを。しかも、Cであることが立証されることを望む(たとえば情報総局の調査によって、捕虜交換予定であった捕虜たちがロシア国内で健在であることが確認されるなど)

■ウクライナ=スロヴァキア首相会談
ウクライナのシュミィガリ首相がスロヴァキアの親露首相フィツォとウクライナ西部ウシゴロドで会談、「信頼と尊重」に関する宣言に調印した。内容は、ゼレンスキーの「平和の公式」への支持、ウクライナ復興へのスロヴァキアの参加の重要性、ウクライナがスロヴァキアの民間企業から兵器や装備を購入することをスロヴァキア政府としてブロックしないことなど。УП

■ハリコフ
二けたに迫る死者を出した23日のミサイル攻撃を受けハリコフ市のテレホフ市長、市内の大道「プーシキン通り」の改称を支持する立場に転じた。「(ソ連やロシアにちなむ地名・道路名を欧米化/ウクライナ化するキャンペーンの一環で市内のプーシキン通りを改称する案が存在したが)つい昨日までプーシキン通りは改名しなくてよいという立場だった。多くのハリコフ市民と同様、私もまた、プーシキンは現代ロシアとかプーチン体制とは別個の存在だと思っていた。だが昨日の、無辜の命を奪い、家屋を瓦礫の山と化したおぞましい攻撃を受け、『名前を改めることには意味がある』と考えるに至った」。新名称はグリゴーリイ・スカヴァラダー(ハリコフ出身の哲学者・作家)通りとする案を示した。УПУП

■オデッサにドローン攻撃
24日晩、オデッサにシャヘド(2機?)攻撃、家屋に命中、2人が負傷。УП(21:42)

■ロシアの攻撃でウクライナの学校の7つに1つが損傷
ロシアはウクライナの学校(※小中高の区別なし)200校を破壊し、1600校を損傷させた。国内の学校の7つに1つが被害をこうむった計算になる。教育省発表。УП

■ベスト戦中切手オブザイヤー
国営郵便ウクルポーチタが23年中に発行された戦中切手10種の中から至高の一枚を選ぶオンライン選挙を開いていた(本記事1/16参照)が、結果が出ました。ベスト戦中切手オブザイヤーに選ばれたのは、ウクライナ戦没防衛者追悼の日(8/29)発行の「とわの記憶」。これ↓

辮髪のバンドゥーラ(ウクライナ琵琶)奏者が朋友の墓標の前で咽び泣く。墓標は青黄の鳥に変化して空へ。なるほど美しい。これを一番に選ぶ今のウクライナの人たちの心を想う。УП

1/23(699日目)

■全土空爆
23日朝、大規模な複合ミサイル攻撃。5種41発中、撃墜できたのは21発のみ。УПУП
ハリコフで8人死亡、少なくとも46人負傷。УП(18:53)УП(23:36)
首都キエフで複数の家屋が損傷し22人が負傷。УП(12:58)
スームィ州ショストカ市で死活的インフラが損傷。УП(10:34)

■困った隣人
スロヴァキア首相フィツォ(親露反ウ)によれば「キエフは平穏そのもの」だそうだ。同人は24日ウクライナ西部の都市ウシゴロド(スロヴァキアと国境を接する)を訪問し、ウクライナ首相と会談する。「なぜキエフまで行かないのか、キエフへ行けば戦争の災禍をその目で確認できるだろうに?」との記者の問いに、フィツォ「キエフに戦争があるなどと本気で思っているのか?冗談だろう?キエフは平穏そのものだ。ウシゴロドで首相と会えるのに、なんでキエフまで行かなければならないか。同じことだろう」
※この発言に先立ち上記のごとく当のキエフにミサイル攻撃があり22人が負傷、うち1人が重傷、市民の家屋や自動車が破壊された。УП

1/22(698日目)

■「ウクライナ人」の拡張(深化)
1月22日は統一記念日(День соборности Украины、1919年「ウクライナ人民共和国」「西ウクライナ人民共和国」の統一を記念する国民の祝日)ということで、ゼレンスキーが朝から気合の入ったビデオを発表した。

その動画の中で一驚に値する発表が2つあった。
・外国人へのウクライナ国籍付与
ゼレは22日付けで議会に対し多重国籍に関する法案を提出した。①現在外国(ロシア除く)に住んでいる民族的ウクライナ人②現在外国人志願兵としてロシアと戦っている外国人に対しウクライナ国籍の保持を認める。「その魂ないし出自がウクライナ人である人は、法的にもウクライナ人となるべきだ」УПУП
・在露ウクライナ人の権利擁護
ゼレは22日付けで「ロシア連邦領土における歴史的ウクライナ人居住地」に関する大統領令に署名した。要はロシアに住んでるウクライナ人を脱ロシア人化(ウクライナ人化)する文化政策を行っていくことの宣言。ウクライナのソボールノスチ(一体性)を強化し、「ウクライナの未来のために、歴史的過去に関する真実を取り戻す」一歩とのこと。
のち大統領府サイトで発表されたところでは、ウクライナと隣接するロシアのクラスノダール地方、ベルゴロド/ブリャンスク/ヴォロネジ/クルスク/ロストフの各州を「歴史的にウクライナ人が居住していた土地」と見なし、そこに住んでいるウクライナ人のナショナルアイデンティティ保護に関する行動計画の策定を外務省ほか関係省庁に命じたとのこと。
具体的には①当該地域に住むウクライナ人に対する迫害ないし強制的ロシア化(ルシフィケーション)の事実をめぐる調査②歴史的記憶の回復および保存③ウクライナに関するロシア発の虚偽情報またはプロパガンダへの対抗(たとえば国内外の専門家を招いてのイベントの開催)④各時代のウクライナ国家とその領域およびウクライナ民族の歴史的結びつきに関する資料の作成および普及⑤現代ロシア領内の歴史的ウクライナ民族居住地に関する真の歴史を教える教育プログラム・教科書・教育機関の策定など。
平たく言うと(ゼレ談)、ロシアは幾世紀にもわたりウクライナ人のナショナルアイデンティティ、その権利や自由を組織的に弾圧してきたし、今もしている。それへの対抗策として、特にウクライナに隣接する諸州に住む民族的ウクライナ人の権利擁護を国策として追及していくと。具体的には、当該地域に住むウクライナ人がウクライナ語で教育を受け・ウクライナ語による報道にアクセスし・集会を開く権利を擁護するようロシアに圧力をかけていくと。УПУП

■夜襲
21→22日の夜、シャヘド8機が飛来、全て撃墜。人的物的被害なし。УП

■ウ=ハンガリー首脳会談
ウクライナとハンガリーの首脳会談に向けた準備が行われている。ウクライナ大統領府イェルマーク長官談。29日に予定されている両国外相会談@ウシゴロドはその重要な露払いになると。УП

■ウクライナで相対的に安全な地域
英外務省がウクライナへの渡航中止勧告を緩和した。西部4州は比較的安全ということで、必要があれば渡航可能とした。УП

米国がこれに続けば日本も間違いなく追随するだろう。

1/21(697日目)

■深部攻撃
ウクライナが露トゥーラにドローン攻撃を仕掛けた模様。軍事関連工場に損害をもたらした可能性あり。ウ情報総局の非公式情報によれば、同局は20→21日の夜、露スモレンスク、トゥーラ、オリョールの軍事施設に対し攻撃を行った。УПУП
なお先日の攻撃で石油施設が炎上したサンクトペテルブルク(18日付参照)についてISWが興味深い見方を紹介している:レニングラード州の防空システムは仮想敵国であるNATOを念頭に西ないし北西からの攻撃に備える形で構築されており、南方からの攻撃に対しては脆弱である。露軍はいまウクライナのドローンの想定飛行ルートに沿って地対空ミサイルを再配備しているが、レニングラード州内の重要拠点をカバーするにはそれでは不十分で、他所から追加で防空システムを借りてくることになる。こうしてウクライナのロシア深部攻撃が続けばロシアの防空システム全体が圧迫される。УП

レニングラード州。中心に位置するのがサンクトペテルブルク(旧称レニングラード)、ただしサンクトペテルブルクは州と同格の市(特別市)であり独立した行政単位なので「サンクトペテルブルクはレニングラード州の州都」には非ず

■後退
東部でとある村からウクライナ軍が撤退した。ハリコフ州のクロフマリノエ(Крохмальное )村。戦前の人口は45人。ウクライナ陸軍広報「これを取られたからといって近隣部隊には何らの影響もない。村の占領も束の間のことと思う。前線は日々動いている」УП

■ブダーノフ情報総局長官談
・23年反攻について:確かに不首尾ではあったが、それを「大失敗」と呼ぶこともまた違う。
・動員について:動員は必ず必要になる。人手不足は非常に顕著だ。УП

■原子炉の新規建設
ウクライナは米国と共同で24年中に9基の大型原子炉の建設に着手する計画。何しろ24年の課題は①損傷した施設の修理②防護の強化③発電量の増大であると。エネルギー相発表、УП

1/20(696日目)

■静かな夜(再)
19→20日の夜、シャヘド7機がウクライナを襲い、4機を撃墜。残り3機も目標を達成しなかったという。空軍、УПУП

■ロシア本土は防空ガバガバ
イグナート空軍報道官:ロシアは防空システムをクリミアと前線に集中配備しており本土諸地域は手薄になっている。モスクワとペテルブルク、プーチンのいそうな場所はそれなりに守られているが、あとは来るもの拒まず状態だ。ウクライナのドローンはモスクワでもペテルでも、どの場所にある石油基地にも到達することができる。彼ら(ロシア人)は戦争の苦味を強く感じだしている。かつては戦争は他人事、「SVO(特別軍事作戦)は計画通り進捗している」と考えていた人たちも、今や自分事と感じ始めている。まさにこの2年、我々(ウクライナ人)が耐えてきたこと――火災、破壊、死――それが今彼らを見舞っている。УП

1/19(695日目)

■「何もなかった」という(最高の)ニュース
18→19日の夜は珍しくドローン攻撃が行われなかった。イグナート空軍報道官「珍しくも静かな夜だった。3次にわたる大攻撃のあとの小休止だ」「アゾフ海には例のA-50が出現した。自分の運命を試している。前に言ったように、1機落としても次の1機が来るだけ。露軍にはまだこの種の航空機があるのだから」УП

■露油炎ゆ🔥
露ブリャンスク州クリンツィ(下図)の石油基地が炎上している。同州によれば19日朝飛来したウクライナのドローンを撃墜した後に火災が発生したという。УП

攻撃があったのが朝6:40で、12時現在も燃え続けている。

ウ情報総局:クリンツィの石油基地はロシア軍に燃料と潤滑油を補給するのに使われていた。それが破壊されればロシア軍は兵站に支障をきたす。そのかんウクライナ軍は有利に作戦行動をとることができる。これはロシアがウクライナに対して始めた戦争の帰結だ。現地住民は理解し始めている:現実とプロパガンダの間には大きな隔たりがあると。露プロパガンダは今度もまた「目標を撃滅し、無害化した」と言い募るばかりだ。УП

■2つの観測①ロシア24年夏季攻勢説
英FTによれば、ウクライナはロシアが24年夏季新たな大規模攻勢を仕掛けることを見越して、いま積極防衛(アクティヴ・ディフェンス)に転じようとしている。УП

■2つの観測②ウクライナ25年反攻説
米CNNによれば、各国情報当局者および軍関係者の一致した意見として、ウクライナの戦争は少なくともあと2年は続く。また有力な見方として、24年は目立った戦況の変化はなく、というのもロシアもウクライナもこの期間は戦力の回復に努めるからで、続く25年こそウクライナは再び反転攻勢に出る可能性がある。УП

1/18(694日目)

■ドローン戦争①露→ウ
17夜→18未明にかけてシャヘド33機飛来、22機撃墜。もう数機「目標を達成せず」(←電子戦による妨害に成功か)УП

■ドローン戦争②ウ→露
露サンクトペテルブルクの石油ターミナルで爆発・炎上。ロシア国防省によれば「ウクライナの無人機攻撃」。遥か遠方である。珍しい。

УПの当局内部情報によれば本件はまさに情報総局の特殊作戦、「以後サンクトペテルブルクおよびレニングラード州はウクライナ軍の射程圏内である」УП
公式筋では、情報総局ユソフ報道官「例によって我々がやったともやっていないとも言わないわけであるが、事実を言うと、レニングラード州では過去にも爆発があったが、今回のそれは新しい種類の爆発であって、ロシア軍にとってはペテルブルクないしレニングラード州内の軍事施設の安全を心配する理由にはなることだろう。なお、当該石油基地は制裁回避に使われ、ひいては侵略軍・占領軍の補給や財政支援に使われているものであってみれば、合法的な標的であるとは言えるだろう」УП
一方ダヴォス出張中のカムィシン戦略産業相「我々は何でも作ることができる。350ドルでFPVドローンを作れるし、かと思えば、1250kmも飛んできょう未明サンクトペテルブルクに到達して標的に命中したドローンもある。非対称的な戦争では夥しい無人機が必要だ。今年はこうした事象が頻発するだろう」УП

■商用便の再開への動き
ウクライナで商用便の運航の再開に向けた動きが加速している。「信頼性の高い交通網とりわけ航空便の就航は企業誘致や投資の呼び込みにとって非常に重要だ」「快適かつ高速で行き来できない場所に投資家や実業家は来ない、従って、何も始まらない」「まずはキエフ(ボリスポル国際空港)、それからリヴォフだ」大統領府副長官、ダヴォスにて、УП

■ロシア語やめました、ウクライナ語始めます
日常生活でウクライナ語を使う人は依然として増加傾向にある。22年4月時点で53%、23年4月は61%、現在は65%。Gradus Research社が昨年12月後半に行った調査。УП

■УПシンポジウム
ロシアとウクライナの戦争は間もなく10周年となる。2014年2月、クリミア侵攻から起算すれば。これを機にУП(ウクラインスカヤ・プラヴダ)がシンポジウムを開く。題して「ゴリアテの倒し方」。
「ソ連独立から20年の不決定・改革不首尾・汚職がたたって、14年2月、ウクライナは自国領土も国民も守ることができなかった。それから10年。我々は成熟した。自ら決断できるようになり、戦える軍隊を持ち、西側からの支援も取り付けられるようになった。ロシアの侵攻に対するウクライナの抵抗は世界中の語り草になった。それでもなお、勝利の日は遠い。開戦10年の節目に『ウクライナ・プラヴダ』は財界人、軍人、公人らを招いてシンポジウムを開く。題して『ゴリアテの倒し方』。どんな兵器があればウクライナは勝つことができるか。ウクライナの勝利のために民間部門ができることとは。戦争では人的資源をどのように使うのが効果的か。こうした問いへの答えを探る。日付は2024年2月26日」УП

1/17(693日目)

■オデッサ夜襲①ドローン
17日未明オデッサを敵ドローンが襲い一連の爆発、臨海地区で集合住宅ほかが損傷、3人が負傷。温水配給システムの損傷により58戸で暖房が停止。УПУПУПУП

この夜、敵が飛ばしたシャヘドは全20機、うち19機を撃墜。うち11機がオデッサ沿岸。黒海を超低空飛行してきたところを迎撃し、大半が海に落ちたが、撃墜片の飛来および衝撃波で上記被害が出た由。УПУП
なお上記11機のうちの1機はオデッサ沖合9kmという遠方での撃滅で、これに用いられたのは「ソ連の発射装置+西側のロケット」もしくは「西側の発射装置+ソ連のロケット」の魔改造ハイブリッド防空兵器。同種の兵器で攻撃を撃退した最初の例という。戦略産業相、УП

■オデッサ夜襲②ミサイル
ドローン群に続き朝にはミサイル「オニクス」まで撃ち込まれたがオデッサ州内の家畜小屋が破壊されただけで済んだ。当時家畜はそこになく、人・動物に被害なし。УП

■薬物とジャーナリストと迫害
ウクライナの汚職問題などを追う有志ジャーナリスト・法律家らから成る調査報道プロジェクト「Bihus.Info」が当局から迫害を受けている疑い。
流れ:16日、同プロジェクトの記者らが違法薬物を摂取している模様を収めた動画がネットに出回る→編集長「当該動画は長期間に渡り隠し撮りされた複数の場面をつなぎ合わせたもの」→保安庁「記者に対する違法な盗聴・盗撮について捜査を開始する」→ゼレンスキー「記者に対するあらゆる圧力は許容されない」УП

■発言集①クレバ外相
クレバ外相:ロシアのウクライナ侵略戦争において危機に瀕しているのは人類の生存そして世界秩序だ。侵略者に対する闘争をやめられないことは、疫病との闘争をやめるわけにはいかないことと同じ。「戦争疲れ」?たとえば疫病との闘いに「疲れ」などあるだろうか。もう疲れたから新しいワクチンの開発やめますなんてことがあるだろうか。この戦争に勝つことは我々の歴史的責務なのだ。УП

■発言集②ダニーロフ国家安全保障会議書記
ダニーロフ国家安全保障会議書記:ドローン製造技術でウクライナは間違いなく世界トップ3に入る。軍が使うドローンの多くは民間企業で作られたもの。彼らは軍事的ニーズにいち早く対応してくれる。我々の先端的ドローン技術に早やパートナー諸国も関心を寄せている。УП

■発言集③スキビツキー情報総局副長官
スキビツキー情報総局副長官:ロシア軍は学習が早い。たとえば同じKh-101ミサイルでも22年に使ったそれとまるで違う。我々も変わらなければならない。防空能力も向上せねばならぬし、23年の経験に学びつつ、反転攻勢の手段も講じなければ。УП

■発言集④ブリンケン米国務長官
ブリンケン米国務長官:プーチンへの最良の回答は次の3手段によってウクライナを「耐え抜き」かつ「花開く」国とすること。即ち、①民間部門の投資誘致、②抗露軍事支援、③改革そしてEU加盟へ。
もしウクライナ支援を弱め、プーチンに「水から濡れずに出る」ことを許せば、米国はパンドラの函を開けることになる。プーチンはウクライナにとどまらずNATO諸国にも攻め入る。そうして他の侵略者がロシアの範に倣う。УП

■経済①ロシア資産の差し押さえ
ロイター:3000億ドルに上るロシアの在外資産を差し押さえウクライナ支援に充てることを目指した動きが欧米諸国にあるが、依然として確たる法的枠組みを模索している段階。また、仮にそれが見つかったとして、それがキエフにとって打ち出の小槌となることはない。УП

■経済②穀物輸出
黒海の「穀物回廊」を通じた農産品の輸出はほぼ戦前の水準(月量750~800万トン)に戻りつつある。貨物保険額も著しく下がっている。ウクライナ農業連盟会長、УП

■経済③総LED化計画
国営郵便「ウクルポーチタ」が郵便局の窓口で家庭またオフィスの白熱電球をLEDランプと交換するキャンペーンを継続している。ロシアのインフラ攻撃の脅威を念頭に置いた節電の取り組み。昨年1月始動、今日までで3300万個の白熱電球が集まった。新たにLED700万個が交換可能という。УП

1/16(692日目)

■ゼレンスキー@ダヴォス
ゼレンスキーがダヴォス(スイス)で色んな人と会った。NATOのストルテンベルク事務総長、米ブリンケン国務長官およびサリヴァン大統領補佐官(安全保障担当)、EUのフォンデアライエン欧州委員長。これまでの支援に感謝しさらなる支援のため今どんな状況で何が必要かを話し、今後の外交日程について協議した。УПУПУП
世界経済フォーラム(ダヴォス会議)でゼレ:戦争を終わらせるにはロシアに圧力をかけるしかない。プーチンの野望は必滅だ。平壌やテヘランのご友人たちもプーチンを利用しているだけ、誰もプーチンに未来を見てはいない。西側の制裁は不十分だ。ロシアのミサイル生産さえ阻止できていない。凍結されたロシアの国有および私有(オリガルヒ)資産がウクライナの防衛そして復興に徴用されるという決定が今年こそ取られることを強く望む。プーチンが何より愛するものがカネだ。プーチンと取り巻きの大金持ちどもがカネを失えば失うほど、戦争を始めたことを悔やむようになる。凍結の「解凍」はこりごりだ。2014年にドンバス紛争が凍結された。だがプーチンは肉食獣であって、冷凍食品には興味がない。УП

■穀物①ポーランド国境ひらく
ポーランドとルーマニアの輸送業者および農業団体がウクライナ産穀物の通過(流入)を阻止するべくウクライナとの複数の国境通過ポイントを実力で封鎖していた問題で進展。まずポーランドにつき、政府との妥協が成立して3月1日まで1か月半、抗議行動が停止することになった。16日晩には全国境が開通、実に昨年11月以来。同様にルーマニアでも6日ぶりに国境が開通した。УПУПУП

■穀物②強奪して栄えるロシア
一方のロシアはウクライナの占領地で産出された穀物を売りさばいて利益を上げている。23年は400万トンの穀物をウクライナの土地から奪いそれで「小麦の世界市場でロシアは首位を維持している」とプーチン。УП

■後方の市民生活を強襲することについて①露ヴォロネジにウ軍のドローン飛来?
16日未明、露ヴォロネジ市(ハリコフ北東280km)で一連の爆発。集合住宅ほかが損傷、犠牲者なし。УП

後方の市民生活を強襲することについて②クレバ外相:ロシア本土ドローン攻撃の合目的性
クレバ外相、米ABC Newsのインタビューで、米議会でウクライナ軍事支援増大のための合意の期日が迫っていることについて:たとえ武器がなくてもショベルで戦う。民族存亡の危機なのだから。
また、ここ数か月ウクライナがロシア国内の標的にドローン攻撃を行っていることについて:戦争がロシアに悪影響を及ぼしていることを示したい。(ウクライナのドローンによるロシア国内での被害が続けば)プーチンは自国民に「なぜこのようなことが起きるのか」を説明しなければならなくなる。現実はテレビで見るプロパガンダよりも本当はずっとずっとひどい、ということをロシア国民にリマインドするのは有益なことだ。УП

後方の市民生活を強襲することについて国営電力「ウクルエネルゴ」配電主任インタビュー


・ウクライナのエネルギーシステムはこれまで幾多の挑戦を持ちこたえてきた。侵攻初期、欧州および露・ベラルーシ双方から孤立させられ、欧州最大の原発(ザポロージエ原発)を占拠され、夥しいミサイル/ドローン攻撃を受け……そのたび何とかブラックアウトを回避してきた。今年の暖房シーズンは折り返し地点、あと半分、持ちこたえ得るか。以下、国営電力「ウクルエネルゴ」配電主任ヴィターリイ・ザイチェンコ氏へのインタビュー抜粋。
・開戦当初、ザポロージエ原発占領の後、露軍は(オデッサに進軍するだろうとの予想に反して)南ウクライナ原発方面に向かった。この第二の原発まで占拠されるとまずいと、政府を通じて軍に警告した。結果その危機は回避された。
・最も深刻だったのは23年11月23日のブラックアウトだ。11月15日に空前の規模の攻撃があり、それで深手を負ったところへ追撃を受け、ほとんど全ての発電所がダウンした。既にかなり寒い時期で、水道・病院など死活的インフラへの電力供給を早急に復旧させる必要があった。2時間後には大筋復旧、14時間後には完全復旧を果たした。
・再びのブラックアウトはあり得るか。戦争が続いており敵がミサイルを貯め込んでおりしかも北朝鮮やイランから兵器を調達している状況で絶対大丈夫などと言えるわけもないが、もし敵の攻撃という要素をカッコに入れるなら、大規模なシステム障害のリスクは低い。
・エネルギーシステムの心臓部にあたる配電センター(диспетчерский центр)には絶えずサイバー攻撃が仕掛けられているが、撃退している。ドローンによる物理攻撃も22年10月17日に一度行われた。
・本格的な寒の到来で気温が低下し家庭・工場の双方で電力需要がピークに達しているが、今のところ供給は足りている。要員として、電力設備の大部分が復旧できており、使えるものは全部使えていること、また、12月の気温が高かったためにドニエプルおよびデスナの水量が多く水力発電の発電量が歴史的高水準であることが挙げられる。ただ、薄氷ではある。現実には、悪天候(雪氷による電線の寸断等)による事故停電とか防空警報発令による電力使用控え、こうした消費者にとってはマイナスの要因によって全体の電力負荷が軽減され、ギリギリ供給が足りている状況。
・電力輸入も余り頼みにならない。欧州の電気は高価で、また諸隣国も一番寒い時期は国内需要でかつかつなので、細々としか輸入できない。
冬の終わりまで現在の水準で需給バランスを保ち続けることは不可能だ。水力発電所の水量も尽きる。600メガワット(火力発電所3ブロック分)の不足があり得る。消費に制限をかけるか、外から輸入するかだ。制限の場合、最初に対象となるのは工場。だが経済の血液を止めたくはない。次いで家庭だ。
・(電力供給網の強靭性を、ロシアの攻撃前を100とするなら、今どれほどか?)戦争前は100でなく200であった。国内消費の倍量の電気を生産できる体勢であった。それが攻撃で30まで下がり、今85~90まで持ち返した。
・(ウクルエネルゴ社はしばしば国民に節電を呼び掛けるが、功を奏しているか?)協力してくれる人には謝意を表するが、あまり目立った効果は出ていない。
・(なぜ22年10月、ロシアはエネルギーインフラ破壊を開始したのか?)キエフとハリコフから追い出されて「ウクライナは3日で落とせない」と理解した。それでウクライナ人を虐殺することにしたのだ。
・そもそもウクライナの電力網はソ連の電力網の一部として設計・建設されたのであって、ロシア人の電力事業者はウクライナの電力網のこと(どこにどんな施設があるか等)をよく分かっている。14年まではロシアやベラルーシの同業者と絶えず情報交換し、協力し合っていた。その彼らが今、ウクライナの電力網のどこをどう攻撃すれば効果的かを、ロシア軍にアドバイスしている。
・逆にいうと、我々も、ロシアの電力網のことを熟知している。
・(それを軍事的に利用することはある?)知らない。
・(そうしたロシア側の元同業者のことをどう思う?)少なくともエネルギー屋として、また人間として、倫理的なふるまいとは言えない。だって彼らは、そうした攻撃が市民にどのような被害をもたらすかを、よく分かっているのだから。
・(なぜ2024年は電力網を攻撃してこないのか?)準備しているだけだ。(攻撃は確実に行われる、という情報がある?)ある。(つまり攻撃は確実に行われる?)いつかは言わぬ。(備えはある?)90まで回復していると言ったろう。あとは軍の防空システムを信じるばかり。
・(防空システムに使うお金を予備の変電所や変圧器を買うのに使った方がよい、という意見があるが?)いや、むしろ電力網の延伸に資金を投じてロシア側の知らないシステムを構築してしまうのがよい。УП

■A-50
ロシア軍機А-50およびIl-22Mの大破についてウクライナ側は公式に「撃墜」ロシア側は非公式に「誤爆」を唱えている。後者についてISW:誤爆すなわち人的エラー説を強調することでロシア人パイロットに対し「黒海およびアゾフ海上空の飛行は依然として安全なのだ」と信じさせることを狙った虚偽情報、との説があるが、撃墜されたのでなく誤射で撃ち落とされていた方が安心だ、というのも謎な話だ。УП
イグナート空軍報道官:A-50ひとつ失ったくらいで前線における航空機の使用状況に大きな影響はない。とはいうものの、甚大な損失であるには違いなく、敵はより慎重に航空機を運用せざるを得なくはなるだろう。УП

■復興軍
政府プロジェクト「復興軍」は既に人員8万1269人を数える。求職中のウクライナ人を有償で雇って「有益な労働」に従事させる(労働の内容は地域により異なる)というもので、失業対策と復興、2つの課題の同時解決を目指す。УП

■切手コンクール
国営郵便ウクルポーチタが23年に発行された戦中切手15種からベスト切手オブザイヤーを選ぶコンクールを開いた。同社FBで15種ご覧いただける。УП
私(何丘)の推しは電力復旧に奮闘する作業員たちを描いた「光の闘い、善の闘い」と題するやつ。英雄と呼ばれるべきはこの人たち。デザインも美しい。時期がまた時期であるし、これが優勝するんじゃないかな。

1/15(691日目)

おしながき
何があった:ロシア軍の重要な航空機を撃墜したっぽい
今どうなってる:ISWによる戦況分析まとめ。ウ軍陸軍司令官による戦況概括。ロシア軍の今の攻撃力&体力の分析。ほか
これからどうなる:NATOとロシアの直接戦争という暗鬱なシナリオ

■何があった:大戦果
14日21時、2機のロシア軍機がアゾフ海のベルジャンスク沖でレーダーから消失した。「A-50早期警戒機」および「Il-22M空中指揮機」。ウクライナ軍のザルージヌィ総司令官によれば、ウクライナ軍による撃墜。後者は全壊を免れ機体が露本土アナパに引き上げられたが復旧はまず不可能と見られる。
A-50はロシア軍に9機しかない貴重な航空機で、空中・地上・海上の標的を監視し、これら標的に戦闘機を誘導することを任務とする。一方のIl-22Mは軍事行動時に部隊の統制を補助するもの。とりわけ前者について、その貴重で高価なことと、またその探知能力(周囲400kmという広範囲で索敵を行う)によって本来非常に撃墜しにくい筈のものであることによって、衝撃を呼んでいる。
情報総局のブダーノフ長官によれば、露軍はA-50を失ったことで、戦場における24時間態勢の通信維持に支障をきたす可能性がある。УПУПУПУПУП

■今どうなってる①ISW:前線概況
ISWがロシアの軍事ブロガーらの情勢展望をまとめた。
識者A:露軍は1/12~2/2の間に①地面が凍結し②アドヴェーエフカ(アウディーイウカ)およびヘルソン左岸におけるウクライナ軍の拠点防衛力が枯渇し次第、大規模攻勢を仕掛ける計画だが、露軍もまた兵員不足であり、戦略的に重大な成功は見込み難い。
識者B:寒波の影響で南部における露軍の地上作戦は難航している。ウクライナ軍の南方作戦司令部も「悪天候によりロシア軍は南部で航空戦力を動員できないでいる」と発表している。
識者C:ザポロージエ西部ではウクライナ軍の投下する大量の無人機が雲霞の観を呈しており、これら無人機が同地域のあらゆる重要拠点に攻撃を仕掛けている。猛烈なドローン攻撃のせいでロシア軍は人員のローテーションもままならない。
全体として、低気温により前線における作戦は抑制されているが、地面の凍結とともに機甲戦にとって好適な状況が生まれるだろう、とISW。УП

■今どうなってる②陸軍司令官:消耗戦
ウクライナ陸軍司令官スィルスキーが現況を語った。ウクライナ軍の今の基本的な方針は①拠点を維持し②敵を消耗させること。
いわく:極限まで高められた期待感の中で開始された夏季反攻をロシアは大筋持ちこたえ、ウクライナ軍の前進を初期の数kmにとどめた挙句、場所をかえてむしろ新たな攻勢をかけてきた。そうして開戦2周年を前にイニシアチヴを取り返そうとしている。これに対しウクライナ軍は小規模の反転攻勢をしかけて(「積極的防衛」)、イニシアチヴを取られまいとしている。УП

■今どなってる③ISW:後方の攻と防
ISW、ロシアの大規模ミサイル攻撃戦術について。
ロシアはウクライナ全土爆撃を繰り返す中でウクライナの防空システムが攻撃に適応してきているのを看取し、これを克服するために、各種ミサイル(超音速ミサイル「キンジャル」含む)の組み合わせを様々に試している。УП

■今どなってる④ロシアの体力
情報総局スキビツキー副長官の敵戦力分析。
・ミサイルは月産200発
露軍は月に戦略ミサイルを115~130発、戦術ミサイルを100~115発ほど製造している。
前者(キンジャルやカリブルなど)は外国製部品を多く使用しており、これら部品の供給業者は国際的な制裁下にあるため納品が不安定、その関係で減産する月もある。この種のミサイルにつき敵は残弾の3割ほどを戦略備蓄に回そうとしているが、実際に使用されているものに第3・第4四半期の製品が認められるので、ほぼ造る端から使用しており、備蓄はそう多くないと見られる。
後者(Kh-31、Kh-59など)は主としてロシア製部品で作られている。大規模攻撃に先立ち我が軍の防空システムを破壊するために用いられるやつだ。УП
・人員は1日1000人増
ロシア軍には毎日1000~1100人ほどの人員が加入している。隠れ動員などでなく、単に高給に釣られて、貧困地域から進んで人が出稼ぎに来るのである。ローンを払うため、家族を養うため。これが連中が軍と契約書を交わす一番のモチベーションだ。
給料は戦闘への関与度合いで違ってくるが、戦闘が行われる日は+8000ルーブル(×1.6倍で円)と決まっている。最前線で戦闘に直接参加する者は月22万~25万ルーブルほど稼ぐ。
新兵は現状、単純に損失の補填に回されている。強力な戦略予備軍を創設するためには(22年10月のような)動員が確実に必要だ。自身の大統領選(※3月)までにプーチンがそれに踏み切る可能性は極めて低い。その後はどうなるか分からない。いざとなったら動員を行える環境はロシアで整備されている。УП
・ドローンは月産300機
当初イランから輸入していた「シャヘド」だが、今は国内生産を行っており、月あたりの生産数は330~350機を数える。ただ、ミサイルのときと同様、外国からの部品の供給に依存する。たとえば、機体はできているがエンジンの納品を待っている、という形で、生産数が減少する月もある。そしてロシアは、これもミサイルのときと同様、できたそばから運用している。
ロシアは2026年までに生産サイクルを国内完結にする目標だ。集積回路その他電子基板については本当に国産化できるのが疑問だが、機体・弾頭・エンジンその他の要素は今日でもロシアは自前で生産できる能力がある。
12月はシャヘドの使用が最も大規模だった。770~780機ほどが使用された。使用法の変化として、かつてはウクライナ深部(後方)施設への攻撃が多かったが、今は前線の軍事拠点に対して使用している。УП

■今どうなってる⑤暖房シーズンは「既に半分を経過した」
暖房シーズンは半分過ぎた。ガスの備蓄は十分である、と「ナフトガズ」社。УП

■これからどうなる:ロシアとNATOの直接戦争(というアタマの体操)
ロシアとNATOがついに戦争へと至るシナリオを想定したドイツ連邦軍内の秘密文書を独Bild紙が入手、そのあらましを伝えた。大略:24年夏、露がバルト諸国で紛争惹起→同年秋、露がカリーニングラードに部隊を展開→25年夏、露が米大統領選後の政治空白を利用してNATO諸国に侵攻。
当該文書では開戦への経過が月ごとに想定されている。始まりは24年2月、ロシアが新たに20万人の動員をかける。次いでウクライナに対する春季攻勢、6月にウクライナ軍は後退を余儀なくされる。7月には西欧、とりわけバルト諸国に対するロシアの攻撃が始まる。まずサイバー攻撃で下地を作り、次いで局地的衝突を発生させ、それをロシアおよびベラルーシ国内における大規模軍事演習の口実に利用する。10月にはカリーニングラード(ロシアの飛び地。リトアニアとポーランドに挟まれた領域)にロシア軍部隊および中距離ミサイルが配備され、緊張が一挙に高まる。12月にはスヴァウキ回廊(リトアニア=ポーランド国境、ベラルーシとカリーニングラードを結ぶ通路になり得る)にて「国境紛争」「多数の犠牲を伴う騒乱」が人工的に惹起される。米大統領選後の米国リーダー不在の数週間を狙ってベラルーシの支援を得たロシアが2014年のウクライナ侵攻シナリオをNATO領域内で繰り返す。2025年5月、NATOが抑止策を決定。夏の「Xデー」にNATOはその東翼に30万人の兵力を展開、うち3万人をドイツ連邦軍が占める。当該文書が描いているのは「Xデー」から30日後まで。NATOがロシア抑止に成功するか否かまでは記されていない。УП
のちNATOの報道官はBild報道について、演習用の架空のシナリオの一つに過ぎない、と火消し。「以前は不在の国または地域に関する完全に虚構のシナリオを用いたが、今は現存する国または地域を使うのが時宜を得ている」УП

1/14(690日目)

■ゼレ語録
ゼレンスキーが外遊先のダヴォス(スイス)で述べた。
・ウクライナはパートナー諸国とともに「暴力と欺瞞によってルールなき・安全保障なき・弱肉強食の世界秩序を打ち立てる」というロシアの夢想を打ち砕きつつある。УП
・今年最初の2週間で既にウクライナは新たな力と可能性を得た。新次の支援を取り付けた――武器弾薬の共同生産、ドローンの増大、防空システムや電子戦装備の増強について。砲弾の国内生産も月ごとに拡大していっている。この厳しい戦争の道を進み切るポテンシャルが、ウクライナには十分に備わっている。勝利の目はある。重要なのは、自分の力を信じることだ。ウクライナを信じることだ。УП

■電子戦①ウクライナが一歩リード?
ISWによれば、ロシアの大規模ミサイル/ドローン攻撃に対しウクライナ側が電波妨害を行って20発余りのミサイルの挙動を狂わせた(とのウクライナ側の13日付発表が事実だとすれば)、これは相当に画期的なことである。これまでもドローンに対する電波妨害には成功していたが、今回はミサイルシステムを狂わせることに成功した点が新しい。概して攻撃と守備については絶えず戦術的・技術的イタチゴッコが行われているが、今回はウクライナ側が相次ぐロシアの大規模攻撃にいちはやい適応を見せた。УП

■電子戦②自立防御のすゝめ
イグナート空軍報道官が「地方組織が敵ミサイル/ドローンに対処する目的で民間メーカーから電子戦装備を購入することは許容される」との見解を示した。いわく、敵の航空攻撃に対し電子戦を仕掛けることは常套手段であり、現在ウクライナには電子戦装備を製造している企業が数多く存在する。地方組織(местные общины)は、武器は買えない。即ち、重火器、大砲、防空システムは買えない。だが、電子戦装備は買える。それは命を守ることにつながる。ドローンを狂わせ、うまくいけば、ミサイルを狂わせて所期の目標に到達させないこともできる。すでに一部企業は自社施設用の自衛装備の購入を検討している。将来性のある話だ。高価な(地対空)ミサイルを使わなくても、敵の意図をくじくことができる。УП

■ウクライナから「だれでもトイレ」を一掃するために我々は戦っているのだ
露サンクトペテルブルク市長が帰還兵との面会で「ウクライナの学校でジェンダーフリートイレを目撃した」との報告を受け、「我々がどんな価値観を守るために戦っているかこれでお分かりだろう」と侵略の正当性に自信を深めてみせた。
「児童に対する西側からの有害な影響」だの「伝統的価値観の強化」だのはウクライナ侵略を正当化する際の露政権の常套句。22年9月のウクライナ4州併合宣言byプーチンでも「児童に変態性が押し付けられている」との西側非難が行われた。逆に22年4月ゼレンスキーは、非占領地におけるロシア軍による専横の数々について「ロシアの悲願は『便所標識を塗り替えて死ぬ』ことだ」と規定してみせた。УП

■フィンランドの非親露ロシア人
少し珍しいような話。フィンランド議会前で「ロシアとの国境を(引き続き)封鎖せよ」と訴えるデモ。主体は「フィンランドにおけるラシズム(ロシア+ファシズム)に否を」なる団体、メンバーはフィンランド在住のロシア人およびロシア語人、総勢20人ほど。「フィンランドに住む全ロシア語人の代表」を自称してロシアとの国境開放を訴える別のロシア人団体に対抗して結成された団体だそうだ。УП

■決死の国境越え(未遂)
西部ザカルパチアでティサ川を渡り隣国に逃れようとした徴兵逃れの男性が瀕死で救助された。当記事1/10付で伝えた件とはまた別。男性はテレグラム(SNS)を通じて知り合った不法出国手引き業者に5000ドルを支払い、土壇場になって初めて凍れる川を自力で泳いで渡らねばならぬことを知る。無理して決行したが結果無残。
ザカルパチアでは一昼夜に12件の不法出国(未遂)が確認されたということだ。ある者は山を越えてルーマニアへ、ある者はティサを渡ってハンガリーへ。УП

■モルドヴァと沿ドニエストル
モルドヴァのサンドゥ大統領、ロシアによるモルドヴァ不安定化工作について:秋に控えるモルドヴァ大統領選挙を前に春頃ロシアの不安定化工作が活発化するリスクはある。政権はこのリスクを認識し、市民社会と協力して未然防止に努めているが、依然として国内に脆弱性は存在する。УП

■ChatGPTの軍事利用
OpenAI社が公式アナウンスなしに規約を改訂して、ChatGPTの軍事利用に対する禁止を削除した。1月10日時点では「利用ポリシー」のページに「物理的な損害をもたらすリスクの高い活動、たとえば兵器開発や軍事行動」へのChatGPTの利用を禁止する旨記載されていた。これが改訂版だと「自己および他者に損害をもたらす用途(たとえば兵器の開発および使用)での当社サービスの利用」は依然として禁止されているものの、「軍事目的および軍事行動遂行のため」の利用に対する禁止については削除された。米国の軍事当局は既に書類作成の迅速化にChatGPTを利用していると見られる。УП

1/13(689日目)

■全土爆撃
13日夜にかけて大規模ミサイル/ドローン攻撃。6種37発のミサイルと「シャヘド」3機、計40の飛翔体を、露クルスクからベルゴロドから、あるいは遠くカスピ海から、あるいは近くヘルソンの占領地から。撃墜できたのは、うち僅か8発のみ。УП
とはいえ、ウクライナ空軍発表によれば、うちの20発余りは自爆したり空閑地に落ちたりで、所期の目標を達成しなかった(それでも差し引き10発/機は「所期の目標を達成した」ということになるが)。一つはウクライナの無線妨害によって。また一つには、ロシアのミサイルの品質低下ということがあるそうな。УП
実際、市民に人死には出ておらず、死活的インフラ(電力等)への目立った影響も報じられていない。ドニエプル、チェルニーゴフ、ショストカ(スームィ州)に着弾、それぞれ家屋20棟余りが損傷。УПУП
今度の攻撃でロシアが費やした兵器の価額は2億3900万ドルと見積もられるそうだ。УП

■弾薬に毒薬を混ぜる
ロシアが毒性の化学物質つき弾薬の使用頻度を高めている。これまで626件の事例が確認されており、今年始まってからだけで51件。主として無人機から投下される榴弾に用いられているという。УП

■国民ドローンプロジェクト
フョードロフDX相がまた面白いイニシアチヴを打ち出した。「国民ドローン」と題するそれ。7インチFPVドローンの制作方法についてZoomで無料レクチャーを受ける→自宅でドローン作る→品質チェック→合格すれば軍の装備に。プロジェクトのパイロット版では100あまりのドローンが集まりうち8割が品質チェックをパスし軍に納品された。国家総動員でドローン作る。「FPVドローンはこの戦争におけるゲームチェンジャーになった。プロジェクトに参加し、勝利に貢献しよう」УП

■フランスとドローンの共同生産?
新任のフランス外相が最初の外遊先としてキエフを訪れゼレンスキーと会談、ドローンの共同生産、防空強化などの国防上の必要について討議した。УП

■ウクライナを占領してゴミ溜めを造成しよう!
ロシアはドネツクおよびルガンスク州の占領地に新たに9か所のゴミ投棄場を作る計画。隣接するロシア本土のヴォロネジ、ロストフ、ベルゴロドの各州からゴミを運び出してそこに捨てると。
既にロストフからドネツクへのゴミの運び込みは行われている。ロストフ郊外にゴミ投棄場を造成する計画だったが地元住民の反対を受け白紙撤回、ではとばかりドネツクに。УП

■沿ドニエストル蠢動
ISWによれば、ロシアはモルドヴァ不安定化策の一環で沿ドニエストルにて偽旗作戦を実行すべく、情報工作に努めている。沿ドニエストルの自称国家保安省(モスクワの直接指揮下にある)は12日付けプレスリリースで「モルドヴァの特殊工作部隊(人員60人)が沿ドニエストルの死活的重要拠点の破壊、指導層の拘束・殲滅を画策している」と主張。ISWによれば、ロシアの目的は①モルドヴァの不安定化、並びに、②今後「ロシア語人を迫害から守るため」と称してロシアがとるあらゆる行動を正当化すること。УП

1/11(687日目)

■深部攻撃
露カルーガ(下図右上隅)のポンプ場がドローン攻撃を受けて損傷した由。カルーガ州知事発表。УП

■ゼレ「敵は武器不足」
ゼレ、休止の意義について:休止すればウクライナ軍も戦力の立て直しができるわけだが、むしろそれによってロシアが利するところの方が大きい。我々はロシアの生産力を知っている。連中は今、ドローンと砲弾、またミサイルについて、相当に深刻な欠乏状態にある。それだからこそドローンをイランに頼り、砲弾とミサイルを北朝鮮に頼っているのだ。もし休止すれば、その間に合っていない分を、ロシアは間に合わせてしまう。休止は紛争の凍結である以上に、侵略者を利することなのだ。УП

■沿ドニエストル
ISWによれば、クレムリンは沿ドニエストルで偽旗作戦を準備している。ロシア人およびロシア語人の保護を口実に同地域に介入し、モルドヴァ情勢を不安定化させ、ひいては黒海北西海域を伝ったウクライナ産穀物輸出を破綻させるのが狙いだ。
ここ最近ロシア政府高官ないし政権の息がかかったメディアが「在外同胞」「ルースキイ・ミール(ロシア世界)」といった理念を論拠とする言辞を盛んに用いている。これは沿ドニエストルで偽旗作戦を実行するための情報環境の整備と見られる。22年4月、23年2月にも同様の試みがあった。
これまでクレムリンが沿ドニエストルをウクライナ戦争に引き込めなかった一つの要因として、沿ドニエストル行政府および経済界を事実上支配しているモルドヴァ人実業家、ヴィクトル・グシャン氏の存在がある。同人は西側及びウクライナとのコネクションから利益を得てきた。

Соглашение об углубленной зоне свободной торговли между ЕС и Молдовой позволило приднестровским компаниям, зарегистрированным в Молдове, пользоваться беспошлинным доступом к рынкам ЕС при условии прохождения молдавских таможенных проверок.

Недавние изменения в Таможенный кодекс Молдовы, которые требуют от приднестровских предприятий платить ввозные пошлины в Молдову, возможно, нарушили эти преимущества, – предполагают в обзоре.

Молдова также заявила в последние месяцы о своей готовности сначала присоединиться к ЕС без Приднестровья, что еще больше лишит приднестровские предприятия особого доступа к рынкам ЕС.


■「大祖国戦争」とウクライナ侵略戦争
ISWによれば、露政権は「大祖国戦争」(※ロシアがソ連時代から用いている第二次世界大戦に対する美称)に関する神話をウクライナ侵略戦争になぞらえる語り方によって、戦争の長期化ならびに膨大な物質的・人的損失を社会に納得させようとしている。その一例として先日ロシア議会下院国防委員会議長カルタポロフが現在の状況を「大祖国戦争」でクルスク防衛に成功し破竹の進撃でキエフまで押し返した43年末~44年になぞらえたことが挙げられた。ISWによれば、第一にカルタポロフのアナロジーは、ロシア軍がこの数か月で目立った戦果を上げていない点で破綻している。第二に、概して現状を先の大戦とダブらせる語り方は「戦争はロシア内部に長期的影響は与えない」とするプーチンのレトリックと矛盾している。第三に、そもそもナチスドイツに対するソ連の戦争と自分で勝手に始めたウクライナ侵略戦争を同一視するのはナンセンスである。УП

■ネイジパパ語る
ウクライナ海軍司令官ネイジパパのインタビュー、by УП
・ドローンの可能性と限界
これからの戦争はドローンによるドローンに対する戦いだ。だが、ドローンこそが万能薬で、あとは全部捨てて良い、という話にはならない。ドローンがロシアを撃退する一つの方法であるには違いないが、サイズとか火力とか気象条件とか、ドローンを使う上での一定の制約というのもあるのであって、ただ有人船を乗り捨ててドローンに乗り換えるというわけにはいかない。陸戦に戦車や装甲車、大砲その他が依然として必要なのと同様だ。「これが自分たちの土地だ」と言えるためには、兵士の上靴が土を踏みしめていなければならない。同様に、「これが自分たちの海だ」と言えるためには、そこに有人船があり、それに対して誰も何も仕掛けてこれないのでなければならない。УП
・技術と戦術は陳腐化する
あらゆる戦争は、一方による軍事技術の向上と、他方による当該技術に対する対抗手段の開発、この繰り返しだ。ウクライナが22年また23年に開発した戦術や立ち回りは、24年には通用しない。敵も学習する。敵は強大な生産力を有している。資金も豊富だ。極めて過酷なドローン戦争がこれから始まる。УП
・戦艦モスクワとは何だったか
22年4月にウクライナ軍が轟沈せしめたロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」はロシアの誇りであり、「モスクワ」なくして黒海艦隊は黒海に冠たる艦隊ではあり得なかった。
「モスクワ」のふるさとはウクライナである。冷戦期に米国の空母を破壊することを目的に、ニコラエフの造船所で建造された。当初の名は「スラ―ヴァ(栄光)」。
そもそも「モスクワ」は巡洋艦であり、黒海にはミスマッチな存在だった。巡(oean)艦に黒(sea)は狭すぎる。「空母キラー」としての存在意義も、そもそも黒海に空母がいないとあっては、微妙だった。
ただ「モスクワ」は、海上の司令部を置くには恰好の場所だった。豪奢な造りだ、7階建て、各階層をエレベーターが繋いでおり、プールさえ備えている。乗組員が快適に長期航行できる環境が整えられているのだ。それもあってか、「モスクワ」にはプーチンも何度も乗船している。
また「モスクワ」にはレーダーや防空システムが完備され、対空防衛の拠点の役割も果たした。まとめると、①司令拠点②防空拠点③象徴性、こうした機能を一身に具備した存在が「モスクワ」だった。
そんな「モスクワ」の撃沈に成功した――それもウクライナ国産の兵器で――と聞いたときは、それは嬉しかった。ただ、戦争は続いており、一寸先は闇という状況で、非常な緊張を強いられており、喜びは速やかに去った。УП
・ロシア軍にとってセヴァストーポリとは
ロシア黒海艦隊にとってセヴァストーポリこそは最大の戦略的要衝だ。セヴァストーポリは100年がかりで作り上げられた一大基地であり、複数の修理場と飛行場を備え、燃料や弾薬、それこそ「カリブル」ミサイルなどが山間部に分散格納されており、こちらとしても撃滅が容易でない。この点たとえばロシア本土のノヴォロシースクなどはソ連崩壊後に造られた軍港であり、相当に発展はしているが、黒海艦隊を養うにはなお十分でない。大型の修理工場もないし、飛行場もない。2014年に連中がクリミアを占領したのも、セヴァストーポリなくして黒海艦隊が維持できなかったから、というのが大きい。
(※下図でセヴァストーポリおよびノヴォロシースクの位置を確認のこと)

(ロシアが①クリミアをなお占領しているが、しかし②セヴァストーポリの軍港はもう使えない、という状態にすることは可能か?との問いに)そうせねばならない。大統領そして総司令官から与えられた課題がある。これに取り組まなければならない。УП

1/10(686日目)

■全土空爆①ゼレンスキー
ゼレンスキーがリトアニアを電撃訪問。追ってエストニアとラトヴィアも訪問するそうだ(=バルト3国歴訪)。同国大統領との合同会見でゼレ「新式の防空システムが極度な欠乏状態にある。ウクライナは現状、これを自ら生産できる状態にはない。ロシアは年末から年始にかけて我が国の民生インフラそして市民に対し総計500発のミサイル/ドローンを送り込み、うち70%を撃退したが、貴い人命が失われた。これと戦うには高度な技術が必要だ。即ち、防空システムこそ、今我々に足りないものの第一位だ」УПУП
※直近3度の大規模攻撃について撃墜率を見ると、12/29は158発中の114(72%)、1/2は99中72(73%)、1/8は59中26(44%)。第3次で撃墜率ががくっと落ちている、これが弾切れ(防空能力の枯渇)を意味するとしたら、恐るべきことだ。

■全土空爆②ローマ教皇
ローマカトリック教会のフランシスコ教皇がロシアの大規模攻撃についてコメント:ウクライナの市民また民生インフラに対する攻撃はいかようにも肯定されない。ドラマチックな国際イベントの陰でウクライナの戦争が「忘れられた戦争」と化すことを深く憂慮している。事態の悲劇性に目を向け、国際社会をして平和的解決の模索へ赴かしめるべく、この戦争が沈黙に覆われないように努めることは、我々の義務だ。私もまたあらゆる機会を利して大声で呼びかけ続ける、ウクライナの爆音が鳴りやまない限り。УП

■その瓦解までロシアを叩き続ける
訪問先のヴィリニュス(リトアニア)でゼレンスキー「ウクライナは予感する、叩き続ければ、ロシアは保(も)たないと。私の確信:ロシアは後退する。それがいつ起きるか、具体的な日付は予言できないし、それがどのように起きるかも、今はつまびらかにできない。だが、我々は知っている:それは起きると」
これに続くパセティックなパッセージは割愛す(その日、ウクライナやリトアニアの選んだ「独立」ということの正しさが証明される、「自由」が勝利を謳歌する、終戦のその日こそは私たちの日、その日は必ず訪れる、それはベラルーシにも新たな道を開く、それはヨーロッパに新たな活力をもたらす、ユーラシア大陸は統一される、統一はウクライナを得てこそ完全なものとなる、EUも然り、NATOも然り、……)УП

■電力
寒波到来中のウクライナ、10日の電力需要は今冬で最大となった。市民に節電が呼びかけられている。大規模停電の報は見られない。事業者の奮闘のたまもの。УП

■1460万人そして630万人
国連の推計では、今年、ウクライナの人口の4割にあたる1460万人が人道支援を必要とするようになる。開戦ほぼ2年、毎日毎日市民が殺され彼らの家が壊され、死活的インフラが破壊されている。これまでに630万人が国外避難を余儀なくされた。全土の市民が年越しを防空サイレンの中で迎えた。УП

■希望の岸辺と人喰い川
カルパチアに端を発しウクライナ=ルーマニアおよびウクライナ=ハンガリー国境をなして流れるティサ川(ドナウ支流)で瀕死の男性が見つかった。26歳のスームィ市民、ウェットスーツと救命胴衣で凍れる川を泳いで渡ろうとして失敗、半失神状態で岸辺に打ち上がっているのを発見された。徴兵逃れの不法出国。同様の方法で出国を図り、これまでに同じ川で命を落としたウクライナ人男性は、実に19人に上る。
上記スームィ市民の暗夜の渡河を手引きした業者は同人から手間賃5000ドルを受け取っているそうだ。УП

■2024年の10大リスク
米タイム誌が「2024年の10大リスク」を発表した。第3位を占めたのが「ウクライナの分割」。
・ロシアのウクライナ侵攻は歴史的失策だった。結果NATOはフィンランドとスウェーデンという新たな加盟国を得、EUはウクライナ加入プロセスをスタートさせ、ロシアは11次にわたる制裁にあい、早晩新たな制裁も発動される。国有資産の半分が凍結され、ウクライナ復興へと用向けられる見込み。欧州はロシア産エネルギー資源の購入をやめた。
・今年ウクライナは事実上の分裂状態となるだろう。ロシアは今や戦場で主導権を持ち、物質的な優位性を誇る。24年は戦争の帰趨を決する年になる。もしウクライナが人事問題を解決し、武器生産を強化し、早急に現実的な軍事戦略を策定できなければ、ウクライナの領土的損失は恒常化し、むしろ拡大することも十分にあり得る。
・ウクライナはアメリカからの政治的・物質的支援の減少に大いに苦しんでいる。欧州からの支援の見込みもそれより若干良好な程度。またウクライナ軍は兵員の補充を渇望している。
・ウクライナは今年、大きな軍事的賭けに出ることになるだろう。たとえば、ロシア本土攻撃の激化。これが空前の規模の報復を誘発し、さらにはNATOの紛争介入を招く恐れもなしとしない。
・なお、タイム誌の10大リスクは他に「米大統領選とトランプ勝利の可能性による米国の危機および分裂」「中東における軍事行動拡大」「AIが人間の制御を超える」「ならず者国家=ロシア・北朝鮮・イランが互いの力を強化しより協調的かつ破壊的な方法で国際場裏で行動する」「中国経済の回復失敗」「資源をめぐる闘争」「21年に始まる世界的インフラ」「異常気象による食料安全保障の破綻、水不足、物流破断、疾病の蔓延、移民増大および政治的不安定化」「企業の先行き不透明化および損失」УП

■ロシア語の原罪(プーチンの母語である、という)
ウクライナ国連大使キスリツァ氏が安保理でロシア語有罪論を展開。「安保理メンバーはロシア国連大使の演説という形で毎日のように戦争の言語(ロシア語)を聞いている。侵略者たちはその言語でウクライナへの大規模侵攻開始の命令を受け取った。目の前で家族をレイプされる人たちが耳にする言語がそれだ。多くのウクライナ市民が処刑の前に聞く言語がそれだ」「ロシア代表団は翻訳サービスを利用してフランス語を用いてはどうか。フランス、スイスをはじめとする多くの平和諸国の平和と安全保障への貢献に敬意を表して。思い出せ、ロシアの貴族や外交官も、ボリシェヴィキ政権(今もクレムリの権力を握っている連中)の到来前まで、フランス語を常用していたのだろう」УП

■フランス新首相アタルとオデッサ
フランスに誕生した若すぎる宰相ガブリエル・アタル(34)はオデッサにルーツを持つそうだ。同人の父はユダヤ系でチュニジアからフランスに入った。母はギリシャ系ロシア人としてオデッサに暮らしていたが革命後亡命した。ユダヤ人であり正教徒のフランス宰相。УП

1/9(685日目)

■(解放したら解放したで)果てしない地雷除去
22年秋にウクライナ軍が奪還したヘルソン州の領土(ドニエプル右岸)のうち、24.5%で地雷除去が完了した。УП

■ウィキペディア大賞
「ウィキペディア」ウクライナ語版で23年に最も読まれた記事は「ウクライナ」(170万閲覧)であった。次点は「ロシアのウクライナ大規模侵攻」(130万)、3位は国民詩人「タラス・シェフチェンコ」(100万)。ほか、ウクライナ軍総司令官「ワレーリイ・ザルージヌィ」大統領「ウラジーミル・ゼレンスキー」情報総局長官「キリル・ブダーノフ」などもよく読まれた。歴史的事象への関心(アイデンティティの探索?)の高まりを示唆するものとして、「第一次/第二次世界大戦」「キエフ・ルーシ」「1932-33年の大飢饉(ゴロドモール)」といった記事へのアクセスも多かった。УП

■犯罪対策
国内に5万台ある監視カメラを犯罪対策のため統合運用する計画が進んでいて、今のところ8000台が統合プラットフォームとやらに統合されたとのこと。これは戦時の必要でもあるし、また戦後も存置される新しい治安の仕組みである、とシュムィガリ首相。УП

■深部攻撃?
露オリョール州オリョール市(下図)の石油基地およびエネルギー会社がドローン攻撃を受けた。ウクライナ国防省情報総局が関与したものと見られる。УП

■12/29大規模攻撃
キエフで新たに一体の遺体が見つかり、12/29の大規模攻撃による首都の犠牲者は33人となった。3日の時点で捜索救助活動は終了していたが、がれきの撤去作業がまだ続いていた。УП

■世論調査:国民主権思想の拡がり
政府を「庇護者」でなく「被雇用者」と考える人が増えている。キエフ国際社会学研究所の11月末~12月初旬の調査。
「政府とは被雇用者であり、国民がその監督者であらねばならない」……66%(3年前は55%)
「政府とは父のようなものであり、子供たちに対するように人たちの世話を焼く存在である」……30%(3年前は36%)УП

1/8(684日目)

■大規模ミサイル攻撃
8日午前、苛烈なミサイル攻撃があった。各種ミサイル51発、自爆ドローン「シャヘド」8機。うち18発と8機を撃墜。着弾地は東部のハリコフ、南部ザポロージエ、中部クリヴォイ・ログ、西部フメリニツキーの各州。4人死亡、45人負傷(20時時点)。ここ最近で3次目の大規模攻撃となる:12/29(158発/機、39人死亡)、1/2(99発、4人死亡)。前回前々回と比べ、撃墜率の低さが気になる(51発中18発、3割強)。「撃ち洩らした全てのミサイルが目的を達成したわけではない」とウ空軍。УПУП

■寒波到来
ウクライナ今かなり寒い。10日予報、キエフ↓

読み方:左端、1月9日火曜、曇りときどき晴れ、最高気温-7℃、最低気温-15℃。オデッサ↓

寒くなると人たちは電気を使う。電力需給が逼迫する。あるいは、積雪や凍結で電線が寸断する。8日、全国400自治体で停電、オデッサ州も7地区で停電。УПУП

■開発力・生産力戦争
ウクライナ情報総局がロシアの有力軍産複合体「特別技術センター」から100ギガバイト分の機密情報を窃取した。同社は無人機、対電子線装置その他多くの軍事製品を製造している。今回手に入ったのは、既存または開発中の軍事製品の設計図、仕様、使用ソフトウェア等に関する情報で、15億ドル分の価値がある情報と見積もられる(?)とか。既にこの情報はウクライナ軍の防衛力強化・敵弱体化のために利用されている由。УП

■穀物輸出(順調)
ウクライナ海軍がロシアの制海権を切り崩し23年8月に独力で設定した海上輸送路により、これまでに商船469隻が1500万トンのウクライナ産品(うち1000万トンが農産品)を輸出した。УП

■反ウクライナのEU大統領が爆誕してしまう?
親露反ウで鳴らすハンガリーのオルバン首相が24年後半にEU理事会議長(EU大統領)代行に就任する懸念についてウクライナのクレバ外相、「ウクライナに対する負の影響はない」と自信を示した。①そもそも現職のミシェルEU大統領が6月に行われるEU議会選に参加し、当選の暁EU議会議員に転身する=現職を辞すまでになお半年あり、この期間に正式に後継者が選任される希望はある。②いずれにしろ24年下半期にハンガリーがEU理事会議長国を務めること、従ってオルバンがEU理事会議長を務めることは、既定事項である。「なに、その6か月を耐え抜くまでのことだ」とクレバ外相。「ロシアと違って民主主義世界に生きる我々はどこかの国で何かの拍子に何らかの変化が起きる可能性というものに常に備えている。どんな状況になろうとも、必要なものを手に入れるために最善を尽くすだけだ」УП

当のミシェル氏(現EU大統領):いずれにしろ私の任期は今年いっぱいであり、6月には後継者に関する決定がとられる筈であった。オルバンを回避する方法はいくらでもある。必要なのは政治的意思ひとつだ。УП

1/7(683日目)

■上川外相キエフ訪問
日本の外務大臣・上川陽子氏がキエフを訪れゼレンスキーと会談した。ゼレは上川外相が新年最初の外遊先としてウクライナを選んだことを高く評価、日本の開戦当初からの有形無形の支援に謝意を表し、併せて北陸地震の犠牲者に哀悼の意を示し、ウクライナからの支援を約した。「我が国の国際関係における最良の成果の一つが日本との関係深化だ」УП
またクレバ外相との共同会見で上川外相、ドローン探知機の購入費として3700万ドルをNATOの信託基金に拠出することを約したほか、越冬支援として日本からウクライナへ5基のガスタービン発電機、7基の変圧器が送られたことを報告した。УПУП

■ミシェルEU大統領6月辞任へ
EU理事会議長(EU大統領)シャルル・ミシェル氏が現職を辞してEU議会議員に転身する意向を表明した。ミシェル氏は6月のEU議会選挙に出馬する。7月にはEU理事会が新たなEU大統領を選出することになるが、同理事会が速やかに後任を決めることができなければ、7月―12月期にEU議長を務めるハンガリーのオルバン首相が大統領代行に就任する。オルバンは反ウ親露を鮮明にするEU最大の問題児。УПУП

■攻&防
6→7日の夜、シャヘド28機飛来、21機撃墜。УП
7日朝の大本営発表では、先立つ一昼夜でロシア兵860体を無害化(уничтожили)УП

■ロシアの侵略に対し世界が取り組むべき2つのこと
ゼレンスキーがスウェーデン「社会と国防」会議にオンライン参加し、世界は①ロシア発の偽情報②対露制裁の迂回、この2つの問題に取り組まねばならない、と訴えた。①について:今日ロシアはウクライナのみかEU米英アフリカさらには中南米まで、文明世界の情報空間の相当部分を支配している。②について:ウクライナに飛んでくるミサイルにはEU製部品も米国製部品も使われている。これら諸国のメーカー、仲介業者が制裁の迂回を手伝っているのが現状だ。УП

1/6(682日目)

■軍事力の国産化
ゼレンスキー:ウクライナは今年、軍事力の大部分を国産製品でまかなうことを目指す。武器弾薬・装備品の安定的な供給のためには生産力の増強が欠かせないと。УП
なるほど、くれない・足りない・遅いの西側に頼せきりでは滅びは必定である。ちょうどこの日デンマークからのF-16供与が半年遅れそうとの報道があり、ウクライナ空軍のイグナート報道官が「報道に過ぎない、公式発表ではない。春に受け取れることを期待している」と述べる一幕があった。УПУП

■東
東では今日も今日とて。ドネツク北西郊ポクロフスクが空爆を受け、子供5人含む11人が死亡。УПУП

■南
ウクライナ空軍の攻撃でクリミア西岸サキの露軍司令部が撃滅された由。オレシチュク空軍司令官発表。ロシア側も先に5→6日の夜にサキの飛行場がストームシャドー4発で攻撃された(が撃墜した)と発表していた。УП
ISWによれば、ウクライナは連日にわたりクリミア全土のロシア軍拠点に向けミサイル&ドローン攻撃を繰り返しており、既にロシアの対空防衛網をかいくぐって一部目標を破壊することに成功している。いまウクライナがクリミアの露軍後方拠点を破壊して周る意図については、ISWは評価を控えている。УП

■流行語大賞
現代ウクライナ語辞典「ムィスロヴォ」が選ぶ2023年のことばは、「動員(мобілізація)」。一年を通じて論争の的だったがとりわけ12月に政府が動員強化に関する法案を提出して議論百出した。有力候補であった「反転攻勢(контрнаступ)」を追い落としての優勝。
他に次のような候補があった:「徴兵逃れ」「卵一個で17グリヴニャ」(国防省汚職の象徴として)「封鎖/封鎖解除」(ロシア軍による海上封鎖の試みとその破綻)「拠点戦」(ザルージヌィ総司令官が現状の膠着状態を指して言った言葉)「ドローン」
さすがに戦争に関する言葉ばかりが並ぶ。なお2022年のことばは「ロシアの軍船FUCK OFF」であった。УП

1/5(681日目)

米タイム誌記者サイモン・シュスター氏のゼレンスキー本の一部が英紙テレグラフで先行公開された。氏は2019年の大統領就任時よりゼレンスキーを取材、ロシアの侵略が始まってからも大統領府に入り浸り大統領と恐怖や不安をともにし、またその変化を間近で見てきた。開戦初期、地下壕にあるゼレンスキーの寝室、やっと寝返りが打てる広さの寝台、夜通し鳴りやまぬ電話、朝5時前には起きてきてどの町にどんな攻撃が加わったか報告を受ける。大統領チームの誰も絶望してはいなかった。だが過酷には違いなかった。食べ物すら満足でなかった。肉の缶詰と冷えたパンを分け合っていた。
ゼレンスキーは蒼白だった。「太陽の光と新鮮な空気」の不足を嘆いてた。あるスタッフの述懐:さながら生ける屍だった。どう見ても生きた人間の姿ではなかった。
しだいにルーティンらしきものもできてきた。朝一番のビデオ会議は7時に決まり、大統領は朝食をとってから(メニューは決まって目玉焼き)これに臨んだ。酒を常備し、ときに側近にふるまった。ダンベルとベンチプレスで筋トレする習慣も取り戻した。のち卓球台も運び込んだ。ゼレンスキーに勝てる人は少なかった。スタッフとともに映画を見ることもあった。新作のハリウッド映画が多かった。ソビエトのコメディはもう見られない、見ていて穏やかではいられない、とのことだった。
22年クリスマスに侵攻後初の外遊としてワシントンを訪れたゼレンスキーに短時間面会した。米議会を急ぎ足にゆく彼の姿は闘犬に赴くブルドッグを思わせた。戦争は終わっていない、終わりに近づいてさえいない。だがその中心にいる一人の人間は早や変身を完了させた――戦時の軍最高司令官へと。УП

米国務省のミラー報道官によれば、米国はウクライナ支援を続けるが、22年ないし23年の水準での支援はもう行わない。米国はむしろウクライナが自前の軍事産業基盤を建設するための支援に努める。米国の狙いはウクライナが自ら兵器を製造し、または購入できるようにすることにある。УП

ゼレンスキー、晩方の定例ビデオメッセージで:国家の最優先課題は今も変わらず、ウクライナそして軍を守るために必要なことを全てする、ということだ。今年を耐え抜くことはこの戦争を耐え抜くこと。大事なときだ、決定的なときだ。ドイツがまた新たな一歩を踏み出した。地対空ミサイルと砲弾。有難い! 米国はじめ他のパートナー諸国にもこうした一歩を期待する。この冬も、昨年と同様、ロシアのテロルが何らの成果も挙げることがないように。УП

1/4(680日目)

■空の衛り①敵の狙いは……
ゼレンスキー、晩方の恒例ビデオメッセージで:ここ数日、前線と後方とを問わず、市町村落、津々浦々に、大規模ミサイル攻撃が行われ、シャヘドが間断なく飛んできている。ロシアは年末~年初にかけての攻撃で、電力網=我々の生活基盤の破壊という脅威を再来させ、我らの士気を挫こうとしているのだ。УП

■空の衛り②「攻撃いくつか分」
ウクライナ軍のセルゲイ・ナエフ統合軍司令官がAFPのインタビューで「可搬式地対空ミサイルシステム用の弾薬はあと数回の大規模攻撃をしか耐えられない」と述べて反響を呼んだ。УП
後刻イグナート空軍報道官「去年もそうだったし、今もそうだ。対空ミサイルは慢性的に欠乏している。敵が12/29や1/2のような大規模ミサイル攻撃をしかけてくる限り、迎撃と防衛のため、西側供与のミサイルを消費せざるを得ない。我々はパートナー諸国に絶えず言い続けなければならない――『攻撃いくつか分』!」УП

■空の衛り③次の攻撃はいつ来る?
イグナート空軍報道官によれば、ロシアがいつ次の大規模攻撃をしかけるかは予測不能であり、攻撃を何らかの日付に紐づける試みは空しい。どの日でもあり得るという心づもりで、常に気を張っておく必要がある。
なお、ロシアの新規ミサイル生産能力は月100発程度と見積もられている。УП

■12月29日の大規模攻撃
首都で新たに2体の遺体が発見された。4日朝7時の時点で12/29の大規模攻撃による死者は32人に上ることになった。一度の攻撃で民間人にこれだけの死者が出る――それも首都で。異例のこと。УП

■深部攻撃
4日夕、クリミアのセヴァストーポリおよびエフパトリヤで爆発。露「国防」省によれば半島上空でミサイル10発を撃墜、ウクライナ軍によれば、セヴァストーポリ近郊の占領軍司令部を撃滅した。УПУП
また4日未明、モスクワから遥か東へ1500kmのチェリャビンスクにある飛行場で爆撃機Su-34が炎上した。ウクライナ国防省情報総局が関与したものと見られる。УПУП

12/31(676日目)

■夜襲/空の守り
夜襲。30→31日の夜、ロシアは49機の自爆ドローンをウクライナへ送り込んだ。ウクライナ軍が撃墜に成功したのはうちの21機のみ。標的となったのはハリコフ、ヘルソン、ニコラエフ、ザポロージエの各州。攻撃は前線もしくは前線付近の諸地域に集中しており、奥所へまでは飛ばしてこなかった。イグナート空軍報道官によれば、敵は「攻撃のアクセント」を変えてきた。近距離攻撃の方がより撃墜されにくいため、とか。УП

撃墜率小括。オレシチュク空軍司令官によれば、22年2月24日よりウクライナ軍はロシア軍のミサイル1709発(Kh-101/555/55:1360中1045、カリブル:834中397、イスカンデルK:154中62他)、シャヘド3095機(3940中)を撃墜している。撃墜率は85%に上るとか。УП

パトリオット。イグナート空軍報道官によれば、米国供与の防空兵器パトリオットは5月4日以降すでに15発の「キンジャル」を撃墜している。素晴らしいパフォーマンス、だが現状では数量が足りないと。УП

■敵の損耗
31日朝の大本営発表では、先立つ一昼夜でロシア軍は960人の兵員、8両の戦車を失った。УП

■ロシア本土への大規模ドローン攻撃
ISWによれば、29→30日の夜および30日にかけてウクライナ軍はロシア本土に対し大規模なドローン攻撃を行い、多くの目標に命中させた。根拠は発表されている数字の差分。ウクライナ側の非公式情報では発射されたドローンは70機、ロシア側の公式発表では32機撃墜(素人:根拠薄弱でわ?)
ウクライナ側の治安当局者が西側メディアに伝えたところでは、今回の子激は29日のロシア軍によるウクライナ各地への大規模ミサイル・ドローン攻撃の報復。ロシア国内(モスクワ近郊、ベルゴロド、トゥーラ、トヴェリ、ブリャンスク)の軍事インフラ、国防産業工場に向けてドローン70機余りを発射したと。一方のロシア国防省は29→30日の夜、ブリャンスク、オリョール、クルスク、モスクワの各州で32機を撃墜したと発表している。УП

うちベルゴロド(ウクライナ東部のハリコフから北へ直線距離で75km)では市民20名余りが死亡している。ウクライナ側の発表では、攻撃目標は飽くまでロシアの軍関連施設であったが、ロシア側の対空防衛の「素人じみた」対応により、撃墜片が市中心部へ落ちたもの。УП

■電力
31日時点でウクライナに電力不足は起こっておらず、大晦日の夜から元日にかけては、むしろ隣国モルドヴァに電力を輸出する。久方ぶりの輸出という。УП

12/30(675日目)

■29日の大規模攻撃
キエフ市長(12:50):キエフの死者数は16人に上っており、キエフ市における民間人の犠牲者数では過去最悪となっている。首都は1月1日を喪に服す。УП
ゼレンスキー(14:33):被害は120もの都市・村落に及んでいる。捜索救助活動は今も続いているが、現時点で死傷者159人。うち39人が死亡。УП
キエフ州知事(22:51):瓦礫の下に新たに一体の遺骸が見つかり、キエフの死者数は17人となった。УП

■ISW:大規模攻撃は続く
ISWの暗鬱な見立て。ロシアは今後もこのような大規模攻撃を続ける。
29日の攻撃は種類の異なるミサイルや無人機のコンビネーションに関するロシアの数か月にわたる実験の集大成と言える。ロシアは秋から冬の初めにかけてミサイルを撃ち控えて蓄え、主としてシャヘドを用いて偵察・探索ミッションを進め、ウクライナの対空防衛の脆弱性を探り、あわせて、ミサイルやドローンをどのように組み合わせることが最も効果的かをテストしていた。ロシアはウクライナ人の意欲をくじきウクライナの継戦能力を奪うべく、今後も大規模攻撃を繰り返すだろう。УП

■電気は今のところ足りている
エネルギー省によれば、現状ウクライナに電力不足は起きていない。計画停電も行われていない。УП

12/29(674日目)

■ウクライナ全土に大規模ミサイル/ドローン攻撃
29日早朝、キエフ、ハリコフ、ドニエプル、オデッサ、リヴォフ、ザポロージエその他都市に対し空前の規模の空爆が行われた。ほぼロシアが保有する全種類の兵器が使用された。158の飛翔体のうち、114を撃墜。内相発表(19:30)で、死者30人、負傷160人。УП

オデッサで4人死亡。写真の高層マンションほか家屋数軒が被弾。全市に爆発音が響き渡った。オデッサがこのような攻撃を受けるのは実に昨冬ぶり。УПОЖ

ウクライナ軍総司令部によると、敵の狙いは「重要インフラおよび軍事施設の破壊」であった。УПУП

空軍発表では、使用された兵器の内訳は[シャヘド36機、空中発射式巡航ミサイルKh-101/Kh-555/Kh-55少なくとも90発、巡航ミサイルKh-22/Kh-32 8発、弾道ミサイルS-300/S-400/イスカンデルM 14発、航空弾道ミサイルKh-472M2キンジャル 5発、対レーダーミサイルKh-31P 4発、Kh-59ミサイル 1発]。総額12億7322万ドルと見積もられるそうだ。УП

ウメロフ国防相「ロシアは何か月もミサイルを貯め込んでおり、このような攻撃を繰り返し行うことは可能だし、まさに行うだろう」УП

クレバ外相「きょう何百万ものウクライナ人の眠りを破ったこの大音響を世界の皆に聞いてほしい。ウクライナへの支援の是非を討議している議会や政府の皆さんに、また『ウクライナ疲れ』だのロシアとの『対話』の必要性だのを書き立てる編集部の皆さんに。ロシアの本当の言葉は(交渉だの侵攻の正当性を巡る空言だのでなく)この爆発音なのだ」「ウクライナへの不断の、強力な、長期的な軍事および財政支援をもって統一的かつ集団的な返報とすることは可能だし、また、せねばならない。大火力、それのみが、ロシアのテロルを沈黙させることができる」УП

米バイデン「今度の攻撃は、侵略始めて2年、プーチンの目標は今も変わらずウクライナを滅ぼすこと・その国民を屈服させることにあると、世界に気づかしめるものだ」「米国および同盟諸国のこれまでの支援はウクライナの対空防衛強化に役立った。この流れを止めてはならない。議会は早急にウクライナへの追加支援を可決させるべきだ」УП

英シャップス国防相「今度の攻撃は、兵員数十万という壊滅的損失、『3日間戦争』のはずが早や3年目に突入しようとしているプーチンの信用失墜、こうした流れを変えるための、やぶれかぶれで、無意味な試みだ。我々は引き続きウクライナ防衛に関与していく。その証として、今日、英国式対空防衛装備用の地対空ミサイル数百発をウクライナに発送する」УП

■例の揚陸艦攻撃でロシアの船員100人が死傷していた
26日ウクライナ軍のミサイル攻撃でロシアの大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」が撃滅された際、乗員74人が死亡し、27人が負傷していたことが通信傍受で判明した。УП

※大規模ミサイル攻撃をめぐる一連の報道の中に、これを揚陸艦撃滅と結びつける言説は見られなかったが、一挙100人を死傷させていたとなると、なるほど「報復」でもあり得るかと思われる。

12/28(673日目)

ウクライナ大統領府のイェルマーク長官とハンガリー外相が電話協議、対面会談で両国首脳会談の早期実現に向けて話し合うことで合意した。УП

英国防省によれば、ロシアはこれまでに3隻の大型揚陸艦を失った(22年3月24日「サラトフ」号、23年9月13日「ミンスク」、23年12月25日「ノヴォチェルカッスク」)。それでもまだ10隻残っている。ロシアはウクライナ侵攻の準備段階で大規模上陸作戦(オデッサへの?)のため平時に倍する数の大型揚陸艦を黒海に集めていた。戦争が長期化の様相を呈し出してからはクリミアとロシア本土間の兵站支援に活用されていた。УП

わりに暖かい年越しとなりそう。29-31日の各地の気温は夜間+4度~-2度、日中+3~+9度。УП

世論調査。政府・軍・地方トップが戦況等を報告し合うTV全局合同番組「統一ニュース」(通称「テレマラソン」)への信頼が低下している。22年5月の69%をピークに目減りし続け、現在は43%。
テレマラソン「信じる」43%
「信じない」38%
(キエフ国際社会学研究所が12月初旬に行った調査、УП

27→28日の夜、シャヘド8機飛来、7機撃墜。また、27日を通じてのロシア側の損失は、人員920名他。УПУП

駐日ウクライナ大使セルゲイ・コルスンスキーのインタビュー。抄訳す。УП

(記者前置き:日本は世界第3位のウクライナ支援国である。2023年を通じて日本はウクライナに37億ドルの財政支援を行った。開戦当初から一貫して日本はウクライナ支持であり、ウクライナを支援するために国内の多くの制度を改変さえした)

記者:22年2月24日まで日本人はウクライナがどこにあるかも知らなかったそうな?

大使:2020年の着任当時、日本には2000人のウクライナ人がいた。だが貿易額は微々たるもの。いかにしてウクライナへの関心を高めるかが一大課題であった。だが世はコロナ禍でイベント開催はおろか人と会うこともままならぬ。そこで目をつけたのがTwitter。日本で大変人気のSNSと聞いていたので、着任初日に私のアカウント作成を命じた。最初のtweetはごくシンプル、棍棒かついだ私の写真、これが即座に700万view、4万7000ものLIKEを集め、一挙に私のことが知られるようになった。

記者:(侵攻後)人たちが寄付金を手に大使館に列をなしたとか?

大使:3か月というもの職員が大使館に入るのも大変だった。昼も夜も大勢の人が詰めかけた。上階は花とプレゼントの山。我々が24時間態勢で勤務しているのを知ってか、食べ物もどんどこ届いた。玄関ベルが鳴ってピッツァの宅配です寿司です、何でもござれだった。そこにポケモンの貯金箱ござろう、小さな子供たちが持ってきたんだ、お金ですといって。泣いたよ。このお金に手はつけられない、そこに飾っておこう、ミュージアムのように。決してこのことを忘れないように、と。
公人の来訪も応接に暇なしだった。全都道府県の知事が来た。首相にも3-4度ほど会った。開戦2週間のとき移民局(出入国管理庁?)の偉い人が来て3時間もブレインストーミングを行った……ウクライナ人の受け入れについて話し合った。

記者:日本は史上初めて難民を受け入れたとか?

大使:それまで難民受け入れ数は年間5人と決まっており認定を8年も待たねばならなかった。プログラムを策定し、これが4月に始動した。ウクライナ人が日本へやってくる、まず4つ星ホテルに2週間滞在してもらい、その間に入国ビザが1年間の定住ビザに書き換えられる、このビザで働くこともできるし医療保険も日本人並みに受けられる、そうして住居をあてがわれる。住宅の提供については全都道府県から声が上がった、うちは50戸提供できる、うちは100、そうして自治体がウクライナ人一人一人に10万円を支給する……。このようなことは日本の歴史上かつてなかった。外国首脳が議会で演説したのも議会がウクライナ支持の声明を採択したのも2700年の歴史上初めて。もう一つ:戦争前は恐ろしいような競争をくぐり抜けて年間3人のウクライナ人学生がやっと日本への留学を許されていたが、戦争が始まると83もの日本の大学が400人以上のウクライナ人学生を無償で受け入れた。あたかもウクライナ中から全ヤポニスト(日本研究者)が掻き集められたかのよう。

記者:このエンパシー(共感力)はどこから来るのですかね? 日本人は非常に閉鎖的な国民、第二次大戦後「平和を愛する国」というコンセプトの中に生きてきた人たちでしょう。なんでこんなにウクライナを支持してくれたんですか?

大使:①日本人にとって大事なのは不公正(несправедливості)の感覚だ。②どうかこうか日本人の琴線に触れた。③日本人はロシアが嫌いだ。第二次大戦その他の事由で。ロシアと貿易はする、だがロシアのことは嫌っている。

記者:北方領土を占拠されているから?

大使:1904年から100年余り続く問題だ。父祖がシベリア抑留でいかにひどい扱いを受けたかという話をよく聞かされた。
ひとつ理解しておかねばならないのは、日本人は戦争という言葉が大嫌い、暴力を目にするのが大嫌いということだ。ブチャの惨劇の写真を掲示していたらとある大学から取り下げるよう求められたこともある、これが私たちの目にした現実だから、と拒もうとしたが、結果(死体の?)顔は隠された。

記者:日本は昨年12月に安全保障および防衛戦略を見直し(※安全保障関連3文書改訂)、防衛費を2027年までにGDP比2%にまで増大させることを決めた。これはロシアの大規模侵攻の結果か?

大使:ウクライナ人の知らない事実――ウクライナは1人の敵と隣接しているが、日本は3人の敵に囲まれている。北方領土を占領しているロシア、ひっきりなしにミサイルを飛ばしてくる北朝鮮、尖閣諸島の領有権を主張してくる中国。それで昨年12月に岸田首相が2013年以来となる戦略文書見直しを行ったわけだが、おーまいごっど、なんという騒ぎが持ち上がったことか。やれ、自分たちの税金が防衛費に使われるなんていやだとか、私たちは平和な民族なのだ、とかと。日本では戦争の話は禁物なのだ。だが、色々な話が人たちの耳に入っては来る。それで少しずつ、理念が交代し、現実的な一歩がとられつつある。現にトマホーク1000発購入だの最新鋭船舶2隻の建造だのが行われている。
日本には39基の原発がある。そのどれか一つでも「パトリオット」で守られているか。いや、いないのだ。そこで問う。「ウクライナを見れば明らかでしょう、いざ戦争になったら、敵が一体どこを狙って撃ってくるのか。フクシマの悲劇を経験しながら、まだ目を覚まさないんですか!」その彼らもようやく目を覚ましつつある。

記者:日本は憲法を根拠に武器輸出を禁止してきたが、米国への輸出という形でそれを緩和した。日本が最終的に武器輸出を解禁する可能性は?

大使:技術大国日本は自分でも色々作るし、とはいえ全部を自分で作れるわけもなく、既製品も色々買う。だがそういう話はしたがらない。倫理的な障壁がある。今回、一部防衛装備を友好国に供給できるよう法整備したこと、これは既に一つのブレイクスルーだ。とはいえ、現状でも日本はわが軍を支援してくれていないわけではない。車両100両に、防弾チョッキ。武器はないが。

記者:そう、軍事支援はできないが、財政支援や復興支援には参加できる。先日もウクライナは日本から45億ドルを受け取った。そこで、何がウクライナの責務となってくるか。金銭の使途について報告義務はあるか?

大使:日本人にぬかりはない、(使途は)全部管理されている。発電機や変圧器――この変圧器は大型のもので、1基で1つの街全体の電力を賄えるようなしろもの、これがまず2基届けられ、恐らく10基ほど続く――、それから多数の地雷除去設備。
(何が必要かについては)大統領レベルで対話が行われており、無数の電話交渉が行われている。私も公人一人一人と会って説明を尽くしている。日本では100回説明した上になおもう1回説明することが極めて大事だ。「この冬をいかに生き延びるか」ということに話が及ぶと、彼らは言ってくれた、「助ける」と。

記者:記者から汚職問題について聞かれませんか。

大使:「汚職を解決しなければこれこれのものを提供しません」などとは一度も聞いたことがない。日本人はそういうことはしない。そういうことは寧ろG7の枠組みでやっている。
私の記者会見には決まって一人くらいそういう質問をする記者がいるが、大多数は無関心である。彼らはよその国に敬意を払っているし、また日本だって汚職と無縁でないことをよく分かっているのだ。ただ彼らの汚職が我が国と異なる点は、日本では汚職が発覚すると裁判を待たずにすぐ当人が辞職する。今度また数人が一斉に辞任する。ファンドレイジングで7万ドルの不報告があったため(※政治資金パーティの件)

記者:ときにウクライナ企業が日本に進出する際の課題とは?

大使:日本に入っているウクライナ企業はIT大手のEleks社一社しかない。最大の障壁は、独特の商習慣でも汚職でもなく、言語だ。それから、銀行で口座を開くとか携帯電話を契約するとか、そういうことが一々極めて難しい。彼らは信用を重んじるから。そういう次第で、会社を登記したりなんだりは、日本側のパートナーの協力が不可欠になる。
日本側のパートナーとの協業の際に知っておくべきは、ビジネスにおける日本的メンタリティ、即ち、ノーリスク主義。彼らは裁判沙汰になること、スキャンダルになることを、極度に嫌う。ゆえに単独で行動はしない、他者を巻き込もうとする。Eleks社も米国を通じて参入した。だから、企業からの相談には、いつもこう答えている:日本側のパートナーを探せ。できれば多国籍のパートナーを見つけられるとなお良い。
ウクライナ産品の日本市場進出も支援している。日本側の輸入業者がリスクをとってワイン、ビール、菓子など34~35品目を運び込み、好評を博している。

記者:文化については? ウクライナ文化の発信の重要性、そして、そのためにすべきこととは?

大使:文化はめちゃめちゃ大事だ。日本人ほど芸術と親しみ趣味を持ち異文化への興味を示す国民はいない。日曜日の美術館はどこも芋洗いだ。車いすの人たちもよく見る。12月にキエフ交響楽団のコンサートがあったが、チケットはオール・ソールドアウト、終演後はこんなことを言われた:「ウクライナの魂を見ました、ウクライナがロシアではないということが今日わかりました」。かつてロシア文化は(日本でも)隆盛を誇った、ロシア側もそれにかなり注力していた、でも今はロシア人の作曲家のものは全然演奏されない。
来年もいくつか展覧会を開きたい。日本がウクライナのことを知るうえで文化は非常に大事だ。

12/27(672日目)

時間ない。取り扱う予定の話題だけ列挙す

■夜襲
26日19時から27日4時にかけて無人機による波状攻撃、相当に苛烈な。シャヘド46機、撃墜できたのはうち32機のみ。УП
オデッサ上空で撃墜したドローンが郊外のダーチャ集落に落ちて2人が死亡、2人が負傷した。УПОЖ
(調べたが、どこの集落か分からない)

■ウクライナ版「シャヘド」量産開始
戦略産業大臣によれば、ウクライナはウクライナは今年8月から長距離カミカゼドローンの量産体制を敷いている。飛行距離1000kmを誇り、ウクライナ版「シャヘド」と呼べる。来年は1000機あまりをウクライナ軍に納品するという。УП

■マリインカどうなってる(ISW、ダニーロフ)
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434729/
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434728/

■黒海どうなってる(ダニーロフ)
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434726/

■南部戦線どうなってる(タルナフスキー)
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434736/
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434745/

■社会調査(「民主主義イニシアチヴ」基金)
・ロシアに対する勝利を「信じる」88%
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434802/
・ゼレンスキーを「信頼している」71%
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434804/
・「ウクライナは正しい方向へ進んでいる」45%
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/7434806/
・国家および家庭の財政状況への自己評価(低い)
https://www.epravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/708170/

■ハリコフの日本人おじいちゃん逮捕未遂
https://life.pravda.com.ua/society/2023/12/27/258548/

■エスプレッソ指数(物価高騰、エスプレッソが一番高いのはオデッサ)
https://www.epravda.com.ua/rus/news/2023/12/27/708146/

12/26(671日目)

■戦果
26日未明、ウクライナ軍がクリミア東部のフェオドシヤ(下図)にミサイル攻撃を行い、大型揚陸艦「ヴォロチェルカッスク」を撃滅した。ロシア側も認めている。УПУП
本件につき英国のシャップス国防相「『戦争は袋小路に入った』との説が誤りであることを示す戦果だ。この4か月でロシア黒海艦隊の実に20%が撃滅されている。黒海におけるロシアの覇権は危殆に瀕している。英国とノルウェーを筆頭とする新たな海軍連合がウクライナの海での勝利を支える」УП

なお、26日朝の大本営発表では、先立つ一昼夜の敵の損失は人員1010人、戦車22両、船舶1隻。УП

■ザルージヌィ語録⑴現状と展望
ウクライナ軍最高司令官ザルージヌィが国営テレビで一連の発言をなした。
・戦争に終わりをもたらすものは
ロシア軍の損失の恒常的な増大、それのみがロシアの侵略をとどめ得る。ただ現状、ロシア指導部は自軍の死傷を顧みてはいない。あとどれだけダメージを加えればよいのか、見当もつかない。これだけの損失を出したならロシア以外のいかなる国も侵略を中止しただろう。УП
・2024年は技術革新の年になる
来年はテクノロジーの点で今年と異なる戦争となる。「となる」というか、そう「せねばらない」。さもなくば勝てない。既に今何が問題になっているのかを洗い出し、その9割について解決法を見出した。パートナーたちの完全な同意とともに、その解決に向けて動いている。もう一度いう:来年は違う。УП
・マリインカからの撤退は常道
ウクライナ軍がマリインカ郊外へと退いたことは何ら騒ぎ立てるには及ばない。ちょうどバフムートと同じことが起きた。敵は道路一本ずつ街区一つずつを破壊していき、わが軍はマリインカ周縁部およびいくつかの地点へ退いた。これが戦争の姿であり、ここには社会的反響を呼ぶようなことは何もない。むろん寸土もないがしろにしない、だが、もっと大事なのは兵士の命だ。УП

■ザルージヌィ語録⑵動員について
・「50万人の追加召集」を軍が政府に求めたとされる件について
参謀本部に法案提出権はなく、具体的に人数を示す形で政府に対し増員要請を行った事実はない。その数字は現状や展望に鑑み来年向けに算定したもの。ただし、参謀本部は法案提出主体である国防省と連携しており、国防省が内閣に対し動員実施に関する法案を提出した可能性はある。УП
・召集令状の電子化案について
軍に必要な人員が行き届くのであれば、いかなる方法の動員も歓迎する。電子召集令状も大いに結構だ。軍および参謀本部はこの問題においては「消費者」の立場だ。УП
・36か月勤続で動員解除が行われる案について
(36か月連続で勤務した兵員の戦線からの離脱を認める案について)これは政府との妥協の産物。ただし、これにも条件が2つある。前線の緊迫化がないこと、また交替要員が確保できていること。УП

12/25(670日目)

聖夜ロシアは31機のシャヘドと2発のミサイルでウクライナを攻撃した。うち28機(90%)と2発を撃墜。撃墜片でオデッサの港湾施設が損傷するなどした。(УПУП

25日朝の大本営発表では、先立つ一昼夜のロシア側の損失は、人員760人、戦車19両、装甲車31両、航空機2機。久しく焦点となっているドネツク州のアドヴェーエフカ(アウディーイウカ)ではロシア側の人的損失は1日あたり300~400人に上っている由。(УПУП

上に航空機2機とあるのは爆撃機Su-34および戦闘機Su-30。先立つ22日にはSu-34を3機撃墜していた。ゼレンスキー「テロリストどもは1週間で5機も航空機を失った。降誕祭におけるこの戦果は、来年一年を占うものだ。戦果に富み、パートナー諸国との交渉も捗る一年となることを予感させるものだ」(УПУП

一方のロシアはアメリカからウクライナに供与されたF-16戦闘機を撃墜するという大戦果を上げたそうだ。その可及的早期取得&運用のためにウクライナが死に物狂い努めているF-16を早くも見つけて撃墜するとはろしあぐんは本当にすごいなぁ、とウクライナ空軍のイグナート報道官も驚きを隠せない。(УП

親露反ウを鮮明にしているハンガリーとウクライナは22年2月の大規模侵攻開始以来一度もハイレベルのコンタクトを持ってこなかったが、ここへきて各レベルで交渉が活発化しており、首脳会談に向けた動きもある。ウクライナ大統領府副長官「対面交渉は外交の最善手だ。訪問に向けた準備を進めている」(УП

12/24(669日目)

1. ゼレンスキーが降誕祭(クリスマス)のメッセージ。「今日、すべてのウクライナ人が降誕祭を祝っている。ひとつの日付で。2週間の時間的な相違なしに。一つの家族、一つの民族、一つの国家として。今日、かつてなく力強く、かつてなく多くの声から成る祈りが――民族の祈りが、響き渡る。ヨーロッパ、そして世界とともに唱和する。自由への祈り。勝利への祈り。ウクライナのための祈り」「戦時下で迎える2度目の降誕祭。家を飾る前に、家からゴミを――敵どもを一掃しなければならない。夕暮れの空に一番星を見つける喜びの前に、ミサイルや『シャヘド』が空を飛んでこないことを喜ばなければならない。百もの祝い唄も『空襲警報は解除されました(відбій повітряної тривоги)』の3語がもたらす喜びに若かない。だが、闇はついには駆逐される。悪は滅ぼされる。戦地や避難先の全ての人が家へと帰り、寿ぎ合うのだ――『主はお生まれになった!』と」(УП、17:23)

2. EUのボレル外相がガーディアン紙のインタビューで語った。「プーチンは完全勝利まで戦争を続ける。ロシアからすれば、成否は『どれだけの人員を戦場に送り込めるか』にかかっている。もし我々が速やかに路線を変更し、持てる全ての可能性を動員しなければ、プーチンに勝利を許してしまう」(УП、11:01)

3. ISWによれば、プーチンは9月くらいから仲介役を通じて停戦に前向きであるかのごときシグナルを伝えてきているが、実のところプーチンが望んでいるのは停戦でなく「ロシアの完全な勝利」であって、停戦うんぬんは西側を攪乱し、西側からウクライナへの軍事支援を遅延させ、妨害するために言っているだけ。(УП

4. オデッサで5度にわたり爆発。ミサイル攻撃か。(УП、21:31)

5. 23→24日の夜、シャヘド15機がウクライナを襲い、うち14機を撃墜した。(УП、7:38)

6. フョードロフDX相「Дія(各種の身分証として機能し、また各種の行政手続きが可能なアプリ)を通じて召集が行われることは決してない」と明言。背景①ウクライナ最高会議で召集令状の電子化が検討されている(旧来の対面・手渡し⇒Eメールへ)、背景②ウメロフ国防相、電子メールによる召集令状を国外のウクライナ人男性に対しても発行する可能性を示唆。(УП、10:16)

7. ウクライナの国家無形文化遺産の目録にオデッサ州を代表して新たに「ウクライナの伝統料理『ガルプツィ』の調理法」が登録された。(УП

解説
1.ざっくり言うとウクライナにはクリスマスが2つあった――欧米式に12/25に祝う人たちと帝政~ソヴィエト期からの伝統に則って1/7に祝う勢とあり、どちらも有力であったので一時は「両日とも祝日」としていたが、14年また22年の事象あり、脱露入欧、即ち何事もロシア式を廃して欧米式にやりたいという社会的欲求が高まり、あるいはロシアと言語風俗文化を共有してしまうとすわ兄弟!同胞!歴史的一体性!とかいって死の抱擁してくるので国家安全保障上の必要から、12/25に一本化することにした。
ゼレンスキーのいう一つの日付・一つの家族・一つの国家というのはこのこと。だが、もちろん、詭弁である。国家だの教会だのが家庭の伝統とか習慣を指導しきれるものではない。ウクライナでは今年も多くの人が1月7日に降誕祭を祝うものと信ずる。ゼレンスキーは自国民を「真の国民」と「非国民」に分断してしまうこういう言辞を本当にやめるべきだと思うが。

7. ガルプツィ(голубцы)は要するにロールキャベツ。わが義母の十八番。オデッサの郷土料理というが本当だろうか。まあ本当なんだろうが、そうとは知られずロシアでもどこでも食べられているしろもの。上の写真でロールキャベツに乗ってる白いもの、蚕の繭かと思うよネ、はスメタナ(牛乳由来の、なんかどろっとしたクリーム)。ちなみにキャベツで包まないガルプツィのことを「怠け者のガルプツィ」ленивые голубцыという。

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